JP3596554B2 - インストルメントパネルの取付構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車のボデイにインストルメントパネルを着脱自在に取り付けるためのインストルメントパネルの取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般的に、自動車の組立ラインにおいて、ボデイの室内側には、エアコンディショナ、ＡＢＳ、エンジンＥＣＵ、ＥＡＴ、ピラーパイプ、ダクトおよびインストルメントパネル等の種々の部品が順次取り付けられる。このため、部品の組み付け作業に多数の工程を有してしまい、該組み付け作業が相当に煩雑なものとなっていた。
【０００３】
そこで、予めこの種の部品が一体的に組み付けられたパネルユニットを用意し、このパネルユニットをボデイに取り付けるようにすれば、工程が削減されるとともに、組み付け作業の簡素化および効率的が容易に遂行されるという効果が得られることになる。
【０００４】
ところで、パネルユニットをボデイに取り付ける際には、このパネルユニットを前記ボデイに対して位置決めする必要がある。この種の技術としては、例えば、実開昭５８−８２９３７号公報に開示されているように、インストルメントパネルに設けられたピンを、カウルボックスに装着されたゴムブシュに嵌合させてこのインストルメントパネルの位置決めを行うものや、インストルメントパネルのボスに植設されたピンを、ボデイ側に装着された弾性クリップに嵌合させてこのインストルメントパネルの位置決めを行うもの等が知られている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、上記の従来技術では、いずれの場合でもインストルメントパネルの着脱方向がこのインストルメントパネルに設けられたピンの軸方向と一致している。従って、上記の従来技術をパネルユニットの位置決めに採用しようとすると、このパネルユニットの取り付け作業性を考慮してピンの軸方向を略水平方向に指向させることが望ましい。
【０００６】
しかしながら、パネルユニットの着脱方向が略水平方向（ピンの軸方向）にのみ可能であるため、例えば、メンテナンス時にインストルメントパネルだけを取り外そうとすると、このインストルメントパネルが他の部品と干渉するおそれが多い。従って、インストルメントパネルだけでなく他の部品をボデイから取り外さなければならず、メンテナンス作業全体が煩雑なものになるという問題がある。
【０００７】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、種々の部品が一体的に組み付けられたパネルユニットを、ボデイに対して容易かつ高精度に位置決めすることができるとともに、所望の部品のみを前記ボデイから簡単に取り外すことが可能なインストルメントパネルの取付構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、インストルメントパネル、ダクトおよびエアコンディショナ等の部品が補強部材を介して一体的に組み付けられたパネルユニットを、ボデイに取り付けるためのインストルメントパネルの取付構造であって、
前記インストルメントパネルの上部に組み付けられたデフロスタダクトの前記インストルメントパネルにおける中央位置と、前記インストルメントパネルの両端縁部とに一方の嵌合部を設け、
前記インストルメントパネルの前記中央位置に対応する前記ボデイ側のカウルボックスの中央位置と、前記インストルメントパネルの前記両端縁部に対応する前記カウルボックスの両端縁部とに他方の嵌合部を設け、
前記デフロスタダクトおよび前記カウルボックスの前記中央位置に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する離脱方向を所定の角度範囲内で選択可能にするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した円錐状嵌合面として形成し、
前記インストルメントパネルおよび前記カウルボックスの前記両端縁部に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する前記両端縁部の高さ方向を位置決めするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した上下傾斜面として形成することを特徴とする。
【０００９】
【作用】
上記の本発明に係るインストルメントパネルの取付構造では、インストルメントパネルをボデイに取り付ける際、インストルメントパネルの中央位置に設けた一方の嵌合部の円錐状嵌合面を、ボデイ側のカウルボックスの中央位置に設けた他方の嵌合部の円錐状嵌合面に嵌合させるとともに、インストルメントパネルの両端縁部に設けた一方の嵌合部の上下傾斜面を、カウルボックスの両端縁部に設けた他方の嵌合部の上下傾斜面に嵌合させることにより、インストルメントパネルの中心位置および左右の高さ位置が正確に調整される。
また、インストルメントパネルをボデイから取り外す際には、円錐状嵌合面の傾斜に沿ってこのインストルメントパネルの離脱方向を所定の角度範囲内で選択することができる。このため、インストルメントパネルは、他の部品に干渉することがなく、容易に取り外される。
【００１０】
【実施例】
本発明に係るインストルメントパネルの取付構造について実施例を挙げ、添付の図面を参照して以下に説明する。
【００１１】
図１および図２において、参照数字１０は、本実施例に係るインストルメントパネルの取付構造が採用されたパネルユニットを示し、このパネルユニット１０が、第１の実施例に係る取付構造１２を介して自動車のボデイ１４の室内側に対応するカウルボックス１６に取り付けられる。
【００１２】
図２に示すように、パネルユニット１０は、ピラーパイプ１８およびワイヤハーネス（図示せず）が一体化された強度部材２０を備え、この強度部材２０には、部品であるインストルメントパネル２２とエアコンユニット２４とセンタダクト２６と一対のサイドダクト２８およびデフロスタダクト４６等を有したダクトユニット３０とボックス３１とステアリングユニット３２とＳＲＳユニット３４とエンジンＥＣＵ、ＡＢＳ、ＥＡＴおよびＴＣＳを集中配置した制御ユニット３６等が予め一体的に組み付けられる。
【００１３】
図１および図３に示すように、取付構造１２は、パネルユニット１０側に設けられる凹状部（嵌合部）３８と、ボデイ１４側に設けられ前記凹状部３８に嵌合する凸状部（嵌合部）４０とを備える。凹状部３８は、インストルメントパネル２２の長手方向略中央位置に対応してデフロスタダクト４６のカウルボックス１６側の端部に形成されており、内方に向かって縮径する円錐状嵌合面４２を有する（図３参照）。この嵌合面４２には、スポンジゴム製のクッション部材４４が固着される。凸状部４０は、ボデイ１４を構成するカウルボックス１６に形成されており、パネルユニット１０側に突出する円錐状嵌合面４８を有する。
【００１４】
図３に示すように、嵌合面４２、４８は、凹状部３８と凸状部４０が嵌合した際に互いに摺接してパネルユニット１０の位置決めを行うものであり、このパネルユニット１０の離脱方向、すなわち、インストルメントパネル２２の離脱方向（矢印Ａ方向）を所定の角度範囲α°内で選択可能にすべくその傾斜角度が設定されている。
【００１５】
図１に示すように、カウルボックス１６の両端縁部には、凹状部４９が設けられるとともに、各凹状部４９の内壁面には、上下方向に互いに所定の角度だけ傾斜する傾斜面５０ａ、５０ｂが形成される（図４参照）。インストルメントパネル２２の長手方向両端縁部には、それぞれの凹状部４９に嵌合自在な一対の凸状部５２が設けられ、各凸状部５２は、傾斜面５０ａ、５０ｂに対応した傾斜面５４ａ、５４ｂを有する。
【００１６】
図３に示すように、ダクトユニット３０を構成するサイドダクト２８、センタダクト２６およびデフロスタダクト４６は、エアコンユニット２４に形成された突起５６等に圧入（いんろう）結合されている。
【００１７】
次に、このように構成される取付構造１２の動作について説明する。
【００１８】
まず、図２に示すように、強度部材２０に対し、インストルメントパネル２２とエアコンユニット２４とダクトユニット３０とボックス３１とステアリングユニット３２とＳＲＳユニット３４と制御ユニット３６等が一体的に組み付けられ、パネルユニット１０が予め構成される。
【００１９】
その際、ダクトユニット３０を構成するサイドダクト２８およびセンタダクト２６が、エアコンユニット２４に形成された突起５６に圧入されている。このため、エアコンユニット２４とダクトユニット３０を気密にかつ確実に結合することができるという効果が得られる。また、種々の部品が強度部材２０を介して組み付けられるため、インストルメントパネル２２に直接他の部品が装着されるものに比べ、このインストルメントパネル２２自体の形状が簡素化する。
【００２０】
次いで、パネルユニット１０が、ボデイ１４に組み付けられる。すなわち、パネルユニット１０は、矢印Ａとは逆方向に移動されることにより、ダクトユニット３０に設けられた凹状部３８にカウルボックス１６に設けられた凸状部４０が嵌合する。一方、パネルユニット１０の凸状部５２がカウルボックス１６の凹状部４９に嵌合する。これにより、パネルユニット１０は、ボデイ１４に対して所定の位置に正確に位置決めされ、図示しないねじ等を介して前記パネルユニット１０が前記ボデイ１４に固着される。
【００２１】
この場合、本実施例では、取付構造１２を構成する凹状部３８の嵌合面４２と凸状部４０の嵌合面４８が互いに摺接するとともに、この嵌合面４２、４８が円錐状を有している。このため、凹状部３８に凸状部４０が嵌合することにより、パネルユニット１０の中心位置の位置決め作業が確実に遂行されることになる。さらに、パネルユニット１０の両端側に設けられた凸状部５２がカウルボックス１６の両端側に設けられた凹状部４９に嵌合することにより、前記パネルユニット１０の左右の高さ位置を正確に調整することができる。従って、パネルユニット１０は、ボデイ１４に対して上下左右の位置を正確に維持して高精度に組み付けられることが可能になるという利点がある。
【００２２】
ところで、例えば、メンテナンス時において、インストルメントパネル２２を単独でまたはダクトユニット３０と一体的にボデイ１４から取り外す必要が生ずる場合がある。その際、本実施例では、図３に示すように、取付構造１２を構成する嵌合面４２、４８が傾斜することにより、パネルユニット１０の離脱方向（矢印Ａ方向）が、所定の角度範囲α°内で選択可能となる。
【００２３】
これにより、インストルメントパネル２２を、斜め上方に向かって取り出すことができ（図３中、矢印Ａ１ 参照）、例えば、このインストルメントパネル２２と一体的に取り出されるダクトユニット３０が、取り出されない他の部品に干渉することがない。従って、インストルメントパネル２２の離脱方向を角度範囲α°内で任意に選択するだけで、このインストルメントパネル２２の取り外し作業が容易かつ効率的に遂行され、メンテナンス等における作業性が一挙に向上するという効果が得られる。
【００２４】
さらに、本実施例では、デフロスタダクト４６に直接凹状部３８が設けられるとともに、カウルボックス１６に直接凸状部４０が形成されている。このため、寸法精度を容易に向上させることができ、しかも部品点数を有効に削減することが可能になるという利点がある。
【００２５】
次に、第２の実施例に係る取付構造７０について、図５を参照しながら説明する。なお、第１の実施例と同様の構成要素には、同一の参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
【００２６】
この取付構造７０は、上記の取付構造１２とは反対に、デフロスタダクト４６に設けられる凸状部（嵌合部）７２と、カウルボックス１６に設けられる凹状部（嵌合部）７４とを備える。凸状部７２は、カウルボックス１６側に突出する円錐状嵌合面７６を有し、この嵌合面７６にスポンジゴム製のクッション部材７８が固着される。凹状部７４は、内方に向かって縮径する円錐状嵌合面８０を有する。
【００２７】
従って、第２の実施例では、インストルメントパネル２２の離脱方向（矢印Ａ方向）を所定の角度範囲α°内で選択することが可能となり、第１の実施例と同様の効果が得られる。
【００２８】
また、図６に示すように、カウルボックス１６に直接凹状部７４を設けることなく、このカウルボックス１６にガイド部材９０が固着されるとともに、このガイド部材９０に前記凹状部７４に相当する凹状部９２を形成してもよい。
【００２９】
【発明の効果】
本発明に係るインストルメントパネルの取付構造によれば、以下の効果乃至利点が得られる。
【００３０】
インストルメントパネルをボデイに取り付ける際、インストルメントパネルの中央位置に設けた一方の嵌合部の円錐状嵌合面を、ボデイ側のカウルボックスの中央位置に設けた他方の嵌合部の円錐状嵌合面に嵌合させるとともに、インストルメントパネルの両端縁部に設けた一方の嵌合部の上下傾斜面を、カウルボックスの両端縁部に設けた他方の嵌合部の上下傾斜面に嵌合させることにより、インストルメントパネルの中心位置および左右の高さ位置を正確に調整することができる。また、インストルメントパネルをボデイから取り外す際には、円錐状嵌合面の傾斜に沿ってこのインストルメントパネルの離脱方向が所定の角度範囲内で選択できるため、前記インストルメントパネル自体または該インストルメントパネルと一体的に取り出される部品が他の部品に干渉することがない。従って、インストルメントパネルの取り外し作業が容易かつ効率的に遂行される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る取付構造が適用されるパネルユニットとボデイの斜視説明図である。
【図２】前記パネルユニットの分解斜視図である。
【図３】第１の実施例に係る取付構造の一部縦断説明図である。
【図４】図１中、ＩＶ−ＩＶ線断面図である。
【図５】第２の実施例に係る取付構造の一部縦断説明図である。
【図６】第２の実施例に係る取付構造の変形例を示す一部縦断説明図である。
【符号の説明】
１０…パネルユニット １２…取付構造
１４…ボデイ １６…カウルボックス
２０…強度部材 ２２…インストルメントパネル
２４…エアコンユニット ２６…センタダクト
２８…サイドダクト ３０…ダクトユニット
３６…制御ユニット ３８…凹状部
４０…凸状部 ４２、４８…嵌合面
４６…デフロスタダクト ４９…凹状部
５２…凸状部 ５６…突起
７０…取付構造 ７２…凸状部
７４…凹状部 ７６、８０…嵌合面
９０…ガイド部材 ９２…凹状部
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車のボデイにインストルメントパネルを着脱自在に取り付けるためのインストルメントパネルの取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般的に、自動車の組立ラインにおいて、ボデイの室内側には、エアコンディショナ、ＡＢＳ、エンジンＥＣＵ、ＥＡＴ、ピラーパイプ、ダクトおよびインストルメントパネル等の種々の部品が順次取り付けられる。このため、部品の組み付け作業に多数の工程を有してしまい、該組み付け作業が相当に煩雑なものとなっていた。
【０００３】
そこで、予めこの種の部品が一体的に組み付けられたパネルユニットを用意し、このパネルユニットをボデイに取り付けるようにすれば、工程が削減されるとともに、組み付け作業の簡素化および効率的が容易に遂行されるという効果が得られることになる。
【０００４】
ところで、パネルユニットをボデイに取り付ける際には、このパネルユニットを前記ボデイに対して位置決めする必要がある。この種の技術としては、例えば、実開昭５８−８２９３７号公報に開示されているように、インストルメントパネルに設けられたピンを、カウルボックスに装着されたゴムブシュに嵌合させてこのインストルメントパネルの位置決めを行うものや、インストルメントパネルのボスに植設されたピンを、ボデイ側に装着された弾性クリップに嵌合させてこのインストルメントパネルの位置決めを行うもの等が知られている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、上記の従来技術では、いずれの場合でもインストルメントパネルの着脱方向がこのインストルメントパネルに設けられたピンの軸方向と一致している。従って、上記の従来技術をパネルユニットの位置決めに採用しようとすると、このパネルユニットの取り付け作業性を考慮してピンの軸方向を略水平方向に指向させることが望ましい。
【０００６】
しかしながら、パネルユニットの着脱方向が略水平方向（ピンの軸方向）にのみ可能であるため、例えば、メンテナンス時にインストルメントパネルだけを取り外そうとすると、このインストルメントパネルが他の部品と干渉するおそれが多い。従って、インストルメントパネルだけでなく他の部品をボデイから取り外さなければならず、メンテナンス作業全体が煩雑なものになるという問題がある。
【０００７】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、種々の部品が一体的に組み付けられたパネルユニットを、ボデイに対して容易かつ高精度に位置決めすることができるとともに、所望の部品のみを前記ボデイから簡単に取り外すことが可能なインストルメントパネルの取付構造を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、インストルメントパネル、ダクトおよびエアコンディショナ等の部品が補強部材を介して一体的に組み付けられたパネルユニットを、ボデイに取り付けるためのインストルメントパネルの取付構造であって、
前記インストルメントパネルの上部に組み付けられたデフロスタダクトの前記インストルメントパネルにおける中央位置と、前記インストルメントパネルの両端縁部とに一方の嵌合部を設け、
前記インストルメントパネルの前記中央位置に対応する前記ボデイ側のカウルボックスの中央位置と、前記インストルメントパネルの前記両端縁部に対応する前記カウルボックスの両端縁部とに他方の嵌合部を設け、
前記デフロスタダクトおよび前記カウルボックスの前記中央位置に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する離脱方向を所定の角度範囲内で選択可能にするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した円錐状嵌合面として形成し、
前記インストルメントパネルおよび前記カウルボックスの前記両端縁部に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する前記両端縁部の高さ方向を位置決めするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した上下傾斜面として形成することを特徴とする。
【０００９】
【作用】
上記の本発明に係るインストルメントパネルの取付構造では、インストルメントパネルをボデイに取り付ける際、インストルメントパネルの中央位置に設けた一方の嵌合部の円錐状嵌合面を、ボデイ側のカウルボックスの中央位置に設けた他方の嵌合部の円錐状嵌合面に嵌合させるとともに、インストルメントパネルの両端縁部に設けた一方の嵌合部の上下傾斜面を、カウルボックスの両端縁部に設けた他方の嵌合部の上下傾斜面に嵌合させることにより、インストルメントパネルの中心位置および左右の高さ位置が正確に調整される。
また、インストルメントパネルをボデイから取り外す際には、円錐状嵌合面の傾斜に沿ってこのインストルメントパネルの離脱方向を所定の角度範囲内で選択することができる。このため、インストルメントパネルは、他の部品に干渉することがなく、容易に取り外される。
【００１０】
【実施例】
本発明に係るインストルメントパネルの取付構造について実施例を挙げ、添付の図面を参照して以下に説明する。
【００１１】
図１および図２において、参照数字１０は、本実施例に係るインストルメントパネルの取付構造が採用されたパネルユニットを示し、このパネルユニット１０が、第１の実施例に係る取付構造１２を介して自動車のボデイ１４の室内側に対応するカウルボックス１６に取り付けられる。
【００１２】
図２に示すように、パネルユニット１０は、ピラーパイプ１８およびワイヤハーネス（図示せず）が一体化された強度部材２０を備え、この強度部材２０には、部品であるインストルメントパネル２２とエアコンユニット２４とセンタダクト２６と一対のサイドダクト２８およびデフロスタダクト４６等を有したダクトユニット３０とボックス３１とステアリングユニット３２とＳＲＳユニット３４とエンジンＥＣＵ、ＡＢＳ、ＥＡＴおよびＴＣＳを集中配置した制御ユニット３６等が予め一体的に組み付けられる。
【００１３】
図１および図３に示すように、取付構造１２は、パネルユニット１０側に設けられる凹状部（嵌合部）３８と、ボデイ１４側に設けられ前記凹状部３８に嵌合する凸状部（嵌合部）４０とを備える。凹状部３８は、インストルメントパネル２２の長手方向略中央位置に対応してデフロスタダクト４６のカウルボックス１６側の端部に形成されており、内方に向かって縮径する円錐状嵌合面４２を有する（図３参照）。この嵌合面４２には、スポンジゴム製のクッション部材４４が固着される。凸状部４０は、ボデイ１４を構成するカウルボックス１６に形成されており、パネルユニット１０側に突出する円錐状嵌合面４８を有する。
【００１４】
図３に示すように、嵌合面４２、４８は、凹状部３８と凸状部４０が嵌合した際に互いに摺接してパネルユニット１０の位置決めを行うものであり、このパネルユニット１０の離脱方向、すなわち、インストルメントパネル２２の離脱方向（矢印Ａ方向）を所定の角度範囲α°内で選択可能にすべくその傾斜角度が設定されている。
【００１５】
図１に示すように、カウルボックス１６の両端縁部には、凹状部４９が設けられるとともに、各凹状部４９の内壁面には、上下方向に互いに所定の角度だけ傾斜する傾斜面５０ａ、５０ｂが形成される（図４参照）。インストルメントパネル２２の長手方向両端縁部には、それぞれの凹状部４９に嵌合自在な一対の凸状部５２が設けられ、各凸状部５２は、傾斜面５０ａ、５０ｂに対応した傾斜面５４ａ、５４ｂを有する。
【００１６】
図３に示すように、ダクトユニット３０を構成するサイドダクト２８、センタダクト２６およびデフロスタダクト４６は、エアコンユニット２４に形成された突起５６等に圧入（いんろう）結合されている。
【００１７】
次に、このように構成される取付構造１２の動作について説明する。
【００１８】
まず、図２に示すように、強度部材２０に対し、インストルメントパネル２２とエアコンユニット２４とダクトユニット３０とボックス３１とステアリングユニット３２とＳＲＳユニット３４と制御ユニット３６等が一体的に組み付けられ、パネルユニット１０が予め構成される。
【００１９】
その際、ダクトユニット３０を構成するサイドダクト２８およびセンタダクト２６が、エアコンユニット２４に形成された突起５６に圧入されている。このため、エアコンユニット２４とダクトユニット３０を気密にかつ確実に結合することができるという効果が得られる。また、種々の部品が強度部材２０を介して組み付けられるため、インストルメントパネル２２に直接他の部品が装着されるものに比べ、このインストルメントパネル２２自体の形状が簡素化する。
【００２０】
次いで、パネルユニット１０が、ボデイ１４に組み付けられる。すなわち、パネルユニット１０は、矢印Ａとは逆方向に移動されることにより、ダクトユニット３０に設けられた凹状部３８にカウルボックス１６に設けられた凸状部４０が嵌合する。一方、パネルユニット１０の凸状部５２がカウルボックス１６の凹状部４９に嵌合する。これにより、パネルユニット１０は、ボデイ１４に対して所定の位置に正確に位置決めされ、図示しないねじ等を介して前記パネルユニット１０が前記ボデイ１４に固着される。
【００２１】
この場合、本実施例では、取付構造１２を構成する凹状部３８の嵌合面４２と凸状部４０の嵌合面４８が互いに摺接するとともに、この嵌合面４２、４８が円錐状を有している。このため、凹状部３８に凸状部４０が嵌合することにより、パネルユニット１０の中心位置の位置決め作業が確実に遂行されることになる。さらに、パネルユニット１０の両端側に設けられた凸状部５２がカウルボックス１６の両端側に設けられた凹状部４９に嵌合することにより、前記パネルユニット１０の左右の高さ位置を正確に調整することができる。従って、パネルユニット１０は、ボデイ１４に対して上下左右の位置を正確に維持して高精度に組み付けられることが可能になるという利点がある。
【００２２】
ところで、例えば、メンテナンス時において、インストルメントパネル２２を単独でまたはダクトユニット３０と一体的にボデイ１４から取り外す必要が生ずる場合がある。その際、本実施例では、図３に示すように、取付構造１２を構成する嵌合面４２、４８が傾斜することにより、パネルユニット１０の離脱方向（矢印Ａ方向）が、所定の角度範囲α°内で選択可能となる。
【００２３】
これにより、インストルメントパネル２２を、斜め上方に向かって取り出すことができ（図３中、矢印Ａ１ 参照）、例えば、このインストルメントパネル２２と一体的に取り出されるダクトユニット３０が、取り出されない他の部品に干渉することがない。従って、インストルメントパネル２２の離脱方向を角度範囲α°内で任意に選択するだけで、このインストルメントパネル２２の取り外し作業が容易かつ効率的に遂行され、メンテナンス等における作業性が一挙に向上するという効果が得られる。
【００２４】
さらに、本実施例では、デフロスタダクト４６に直接凹状部３８が設けられるとともに、カウルボックス１６に直接凸状部４０が形成されている。このため、寸法精度を容易に向上させることができ、しかも部品点数を有効に削減することが可能になるという利点がある。
【００２５】
次に、第２の実施例に係る取付構造７０について、図５を参照しながら説明する。なお、第１の実施例と同様の構成要素には、同一の参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
【００２６】
この取付構造７０は、上記の取付構造１２とは反対に、デフロスタダクト４６に設けられる凸状部（嵌合部）７２と、カウルボックス１６に設けられる凹状部（嵌合部）７４とを備える。凸状部７２は、カウルボックス１６側に突出する円錐状嵌合面７６を有し、この嵌合面７６にスポンジゴム製のクッション部材７８が固着される。凹状部７４は、内方に向かって縮径する円錐状嵌合面８０を有する。
【００２７】
従って、第２の実施例では、インストルメントパネル２２の離脱方向（矢印Ａ方向）を所定の角度範囲α°内で選択することが可能となり、第１の実施例と同様の効果が得られる。
【００２８】
また、図６に示すように、カウルボックス１６に直接凹状部７４を設けることなく、このカウルボックス１６にガイド部材９０が固着されるとともに、このガイド部材９０に前記凹状部７４に相当する凹状部９２を形成してもよい。
【００２９】
【発明の効果】
本発明に係るインストルメントパネルの取付構造によれば、以下の効果乃至利点が得られる。
【００３０】
インストルメントパネルをボデイに取り付ける際、インストルメントパネルの中央位置に設けた一方の嵌合部の円錐状嵌合面を、ボデイ側のカウルボックスの中央位置に設けた他方の嵌合部の円錐状嵌合面に嵌合させるとともに、インストルメントパネルの両端縁部に設けた一方の嵌合部の上下傾斜面を、カウルボックスの両端縁部に設けた他方の嵌合部の上下傾斜面に嵌合させることにより、インストルメントパネルの中心位置および左右の高さ位置を正確に調整することができる。また、インストルメントパネルをボデイから取り外す際には、円錐状嵌合面の傾斜に沿ってこのインストルメントパネルの離脱方向が所定の角度範囲内で選択できるため、前記インストルメントパネル自体または該インストルメントパネルと一体的に取り出される部品が他の部品に干渉することがない。従って、インストルメントパネルの取り外し作業が容易かつ効率的に遂行される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る取付構造が適用されるパネルユニットとボデイの斜視説明図である。
【図２】前記パネルユニットの分解斜視図である。
【図３】第１の実施例に係る取付構造の一部縦断説明図である。
【図４】図１中、ＩＶ−ＩＶ線断面図である。
【図５】第２の実施例に係る取付構造の一部縦断説明図である。
【図６】第２の実施例に係る取付構造の変形例を示す一部縦断説明図である。
【符号の説明】
１０…パネルユニット １２…取付構造
１４…ボデイ １６…カウルボックス
２０…強度部材 ２２…インストルメントパネル
２４…エアコンユニット ２６…センタダクト
２８…サイドダクト ３０…ダクトユニット
３６…制御ユニット ３８…凹状部
４０…凸状部 ４２、４８…嵌合面
４６…デフロスタダクト ４９…凹状部
５２…凸状部 ５６…突起
７０…取付構造 ７２…凸状部
７４…凹状部 ７６、８０…嵌合面
９０…ガイド部材 ９２…凹状部
Claims (1)
- インストルメントパネル、ダクトおよびエアコンディショナ等の部品が補強部材を介して一体的に組み付けられたパネルユニットを、ボデイに取り付けるためのインストルメントパネルの取付構造であって、
前記インストルメントパネルの上部に組み付けられたデフロスタダクトの前記インストルメントパネルにおける中央位置と、前記インストルメントパネルの両端縁部とに一方の嵌合部を設け、
前記インストルメントパネルの前記中央位置に対応する前記ボデイ側のカウルボックスの中央位置と、前記インストルメントパネルの前記両端縁部に対応する前記カウルボックスの両端縁部とに他方の嵌合部を設け、
前記デフロスタダクトおよび前記カウルボックスの前記中央位置に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する離脱方向を所定の角度範囲内で選択可能にするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した円錐状嵌合面として形成し、
前記インストルメントパネルおよび前記カウルボックスの前記両端縁部に設けられる前記一方の嵌合部および前記他方の嵌合部は、前記インストルメントパネルの前記ボデイに対する前記両端縁部の高さ方向を位置決めするべく、嵌合面を凹状部および凸状部からなる対応した上下傾斜面として形成することを特徴とするインストルメントパネルの取付構造。
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