JP3436182B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射式のエン
ジンを搭載した車両において、エンジンに対する燃料噴
射量の変更により駆動輪トルクを変化させ、これにより
車両の前後振動を抑制する車両の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】燃料直接噴射式エンジンは操作に対する
応答性が良いことが知られているが、その反面、特に手
動変速機や自動変速機のトルクコンバーターを直結した
場合には、加減速の際に車両前後振動(シャクリ振動)
を誘発しやすい。 【0003】例えば、アクセルペダルの加速操作(踏み
込み)による急加速要求に応じて、駆動輪トルクを増大
すべく無段変速機が減速側(変速比増大側)に操作され
た場合、この変速の終了時にシャクリ振動が発生する。
これは、急加速要求に応じて無段変速機が減速側に操作
されると、動力の伝達に関与する回転体の回転数が変化
して、その回転数の変化量(角加速度)と慣性モーメン
トとに応じた慣性トルクが発生する一方、変速が終了し
てそれらの回転体の回転数が目標回転数に安定する際
に、慣性トルクが解放される結果、この慣性トルクによ
って駆動輪トルクが一時的に増大し、動力伝達系統の捩
れ弾性に抗して車体が前後に振動するというものであ
る。 【0004】このシャクリ振動を抑制すべく、例えば本
出願人の提案している特開平11−5460号公報の装
置では、エンジンの出力トルクと無段変速機の変速比と
に基づいて、変速終了時の発生が予想されるシャクリ振
動の半周期を算出すると共に、変速終了時点から当該シ
ャクリ振動の半周期手前の時点を基準とした所定のタイ
ミングでエンジンの出力トルクと無段変速機の変速比と
を制御して、駆動輪トルクをステップ的に増大させるこ
とにより、シャクリ振動を相殺するような逆位相の振動
を発生させ、これによりシャクリ振動を抑制している。 【0005】これは具体的には、図7において区間bで
示すように、変速終了時点Pe1からシャクリ振動の半
周期t0/2だけ手前の時点Ps1より、変速終了時点
Pe1までのt0/2の間、駆動輪トルクが現在の駆動
輪トルクと目標(最終)トルクTとの相加平均値である
中間トルクT/2となり、またPe1の時点から後は目
標トルクTとなるように、エンジンの出力トルクと無段
変速機の変速比とを制御して駆動輪トルクをステップ的
に増加させるというものであり、この構成によれば、変
速終了時点Pe1より半周期手前の時点Ps1から変速
終了時点Pe1までの間(区間b)に慣性トルクの半分
程度が解放され、また変速終了時点Pe1の後に、残余
の慣性トルクがシャクリ振動に対する逆位相の振動とし
て解放され、その慣性トルクがシャクリ振動を相殺する
ように作用するから、これによりシャクリ振動が抑制さ
れる。以下、このようにエンジンや無段変速機を制御し
て駆動輪トルクをステップ的に変化させることによりシ
ャクリ振動を抑制する制御をシャクリ抑制制御という。 【0006】他方、車両の駆動系には動力伝達に関する
非線形要素としてのバックラッシュ(例えば駆動系のギ
ア部やスプライン部の歯面間の隙間)が含まれているた
め、エンジンが、車輪によって従動している被駆動状態
から車輪を駆動している駆動状態へと変化する場合に、
バックラッシュ内での運動で蓄えられた運動エネルギ
が、駆動状態の変化の終了時に衝撃的に伝達され、意図
しない車両前後振動が生ずる。このようなバックラッシ
ュに起因する車両前後振動を抑制するために、図8に示
すように、駆動状態と被駆動状態の切り替わりの際に、
アクセルペダルの操作量に基づいて得られる最終目標ト
ルクの出力に先立って、あらかじめバックラッシュを詰
めるのに必要な小さいトルク(バックラッシュ抑制トル
ク)を短時間だけ出力し、これによりバックラッシュを
詰め、ガタのない状態とした後に、最終目標トルクを出
力するように、駆動輪トルクをステップ的に変化させる
制御を考えることができる。以下、このような制御をバ
ックラッシュ抑制制御という。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このようなシャクリ抑
制制御やバックラッシュ抑制制御を、エンジンの出力ト
ルクを変化させることで実現することを考えた場合、燃
料噴射量をステップ的に変化させてエンジンの出力トル
クをステップ的に変化させればよいことになる。しか
し、実際には、アクセルペダルの急加速操作又は急減速
操作が行われた場合には、燃料噴射量を急激に変化させ
ても燃料噴射量に見合ったトルクが発生せず、制御を効
果的に実行できないことがあった。 【0008】これを詳細に分析したところ、この現象の
原因は、燃料噴射量をステップ的に変化させても、吸気
管内の大気が弾性を有するため吸気量の変化が燃料噴射
量の急峻な変化に追従できず、その結果、吸気量が一時
的に過小又は過大となって失火が生じることにあること
が判明した。 【0009】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、シャクリ抑制制御やバックラッシ
ュ抑制制御のように駆動輪トルクをステップ的に変化さ
せる制御をエンジンに対する燃料噴射量の変更によって
行うように構成した車両制御装置において、アクセルペ
ダルの急加速又は急減速操作の際の制御を効果的に実行
することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、アクセルペダルの急加速操作または急減速操
作によって生じる、シャクリ振動およびバックラッシュ
に起因する車両前後の振動の少なくとも一方の振動を抑
制するために、燃料噴射量を制御することによりエンジ
ントルクを急峻に変化させる制御を行う車両の制御装置
において、アクセルペダルの操作量に基づきエンジンの
燃料噴射量の目標噴射量を設定する手段と、前記目標噴
射量に基づきエンジンの吸気量を調節するスロットルバ
ルブの目標開度を設定する手段と、を有する車両の制御
装置である。そして、前記の振動抑制のための制御時に
は、前記目標噴射量を設定するための手段は、アクセル
ペダル操作量に対応した仮の目標値である仮目標噴射量
と、前記の振動抑制のためエンジントルクを変化させ、
その後アクセルペダル操作量に対応した実際の目標値で
ある実目標噴射量と、を設定し、前記目標開度を設定す
るための手段は、前記仮目標噴射量に基づき目標開度を
設定し、前記スロットルバルブ開度が実際の燃料噴射量
の変化に先立って変化するよう制御する。 【0011】 【0012】こで、本発明では、スロットル開度が燃
料噴射量の変化に先立って変化するように、それぞれ目
標スロットル開度を設定するので、加速あるいは減速の
操作が急速に行われ通常であれば吸気量の変化の遅れに
起因する失火を生ずるような場合であっても、十分な吸
気量を確保でき、失火が生じるおそれはない。したがっ
て、シャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御のよう
に駆動輪トルクをステップ的に変化させる制御を、常に
円滑かつ効果的に実行することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。図
1には、本発明の実施形態に係る車両の制御装置1の概
略構成が示されている。この実施形態で対象とする車両
は、燃料直接噴射式のエンジン10と走行部の車輪(図
示せず)とを無段変速機16を介して接続してなる車両
である。 【0014】図1において、エンジン10のクランク軸
12は、発進クラッチ14を介してベルト式無段変速機
(Continuously Variable Transmission;以下、CVT
という)16の入力軸18と連結されている。CVT1
6の出力軸20は、図示しないディファレンシャル(差
動歯車装置)等を介して車両の駆動軸と連結されてお
り、これによりエンジン10の回転力が走行部の車輪へ
と伝達される。 【0015】エンジン10には、燃料を燃焼室内に直接
噴射する燃料噴射装置11が設けられている。エンジン
10の吸気管41に設置されたスロットルバルブ49に
は、これを開閉操作するスロットルアクチュエータ50
が設けられており、また吸気管41には、吸気量を算出
すべく吸気管負圧を検出する吸気管負圧センサ42が設
けられている。吸気管41と排気管43とは、排気ガス
再循環装置39及び排気ガス再循環通路により開閉可能
に連通されている。他方、クランク軸12の近傍にはエ
ンジン回転速度を検知するための回転センサ44が設け
られている。またエンジン10には、図示しないが、水
温センサ及び油温センサが設けられている。 【0016】CVT16の入力軸18及び出力軸20に
は、有効径が可変な可変プーリ22及び24が設けられ
ており、これら可変プーリ22及び24の間には伝動ベ
ルト26が巻き掛けられている。可変プーリ22及び2
4は、入力軸18及び出力軸20にそれぞれ固定された
固定回転体28及び30と、入力軸18及び出力軸20
に軸方向には移動可能でかつ回転方向には相対回転不能
に設けられた可動回転体32及び34とを備えている。
可動回転体32及び34は、これらにそれぞれ取り付け
られた油圧アクチュエータ33,35の作動により軸方
向に移動するように構成されており、これにより固定回
転体28及び30と可動回転体32及び34との間に形
成されたV溝幅が変動し、伝動ベルト26の掛り径が変
更される。CVT16の入力軸18及び出力軸20に
は、これらの回転速度を検出するための回転センサ36
及び38がそれぞれ設けられている。 【0017】CVT16の出力軸20には、図示しない
が、ギアを介してディファレンシャル並びに走行部の車
輪が接続されており、バックラッシュは主にこれらのギ
アやディファレンシャルに存在する。 【0018】他方、アクセルペダル46近傍には、その
開度すなわちアクセルペダル開度を検出するためのアク
セルセンサ48が設けられており、又、運転席に設けら
れたシフトレバー52には、その操作位置すなわちドラ
イブレンジを検出するためのシフトセンサ54が設けら
れている。 【0019】上述した各種のセンサ、すなわち回転セン
サ36,38,44、吸気管負圧センサ42、アクセル
センサ48、シフトセンサ54、及びエンジン10に設
けられた水温センサ並びに油温センサは、他の各種のセ
ンサと共に、マイクロコンピュータを主体としてなる電
子制御装置(以下ECUという)40の入力側に電気的
に接続されている。またECU40の出力側には、各種
のアクチュエータ、すなわち上記燃料噴射装置11、発
進クラッチ14、油圧アクチュエータ33,35、排気
ガス再循環装置39、及びスロットルアクチュエータ5
0等が電気的に接続されている。ECU40は、その入
力側に接続された各種のセンサの検出値に応じて、出力
側に接続された各種のアクチュエータを通じ、燃料噴射
装置11の噴射量、スロットルバルブ49のスロットル
開度、CVT16の変速比、排気ガス再循環装置39の
作動量や発進クラッチ14の作動等を制御するものであ
る。 【0020】このように構成された車両の制御装置1に
おいて行われる以下の制御に共通の事項は、上述したバ
ックラッシュ抑制制御と、上述したシャクリ抑制制御と
が、所定の条件下でそれぞれ行われることである。すな
わち、アクセルペダル46の操作が行われ、エンジン1
0及びCVT16が車輪(車両)側から動力を受ける被
駆動側と車輪(車両)側に動力を伝達する駆動側との間
で変化する場合には、バックラッシュを詰める(ギア部
やスプライン部の歯面の隙間を駆動伝達方向に徐々に狭
めて接触させることにより歯面の衝撃的衝突を回避す
る)作業を行い、また、アクセルペダル46の急加速操
作又は急減速操作が行われた場合には、シャクリ抑制制
御、すなわち、シャクリ振動の半周期t0/2を算出す
ると共に、そのシャクリ振動の半周期t0/2の間、駆
動輪トルクが現在の出力トルクと目標トルクの相加平均
値である中間トルクとなり、t0/2の経過した時点か
らは目標トルクとなるように、エンジン10の出力トル
クを制御して駆動輪トルクをステップ的に変化させるこ
とにより、シャクリ振動を抑制する制御が行われる。 【0021】そして、アクセルペダル46の操作の結
果、エンジン10及びCVT16が被駆動側と駆動側と
の間で変化し、かつ、アクセルペダル46の単位時間あ
たりの操作量が大である場合には、まずバックラッシュ
抑制制御を行ってバックラッシュのない状態としたのち
に、これに続いてシャクリ抑制制御が行われるものであ
る。 【0022】また、このようなバックラッシュ抑制制御
とシャクリ抑制制御との制御ルーチンにおいては、各制
御が実行されている間、各制御が実行中であることを示
すバックラッシュ抑制制御実行フラグ及びシャクリ抑制
制御実行フラグがそれぞれセットされ(図4及び図6参
照)、これらのフラグは、以下の各実施形態に示される
目標スロットル開度算出サブルーチンにおいて参照され
る。 【0023】参考形態 参考形態に おける特徴的事項は、目標スロットル開度の
算出のためのサブルーチンにあり、特に、スロットル開
度の変化率が燃料噴射量に基づく開度変化率より大きく
なるように目標スロットル開度を設定する手段として、
バックラッシュ抑制制御やシャクリ抑制制御の実行中に
は、燃料噴射量に応じて算出される基本目標スロットル
開度TrtBに対し、バックラッシュ抑制時加算開度又
はシャクリ抑制時加算開度を加算又は減算するところで
ある。 【0024】これを図2に従って説明すると、まずステ
ップS101において、現在の燃料噴射量、エンジン回
転数、並びに現在選択されている燃焼形態を示す数値が
ECU40に読み込まれ、所定のマップに示された関数
Fに基づいて、基本スロットル開度TrtBが決定され
る。 【0025】ここで、燃料噴射量はアクセルペダル開度
及びエンジン回転数に基づいて求められるものである。
また燃焼形態とは、エンジン10の燃焼室内における混
合気の燃焼状態の種類であり、燃焼サイクルにおける燃
料噴射のタイミングを異にすることにより各種の燃焼形
態が使い分けられている。具体的には、軽負荷時(低回
転時)においては、点火栓近傍に濃い混合気を偏在さ
せ、いわゆる成層燃焼を行うべく、エンジン10の圧縮
行程後期で燃料噴射が行われ、また高負荷時(高回転
時)には、混合気を燃焼室内に均等に分布させ、いわゆ
る均質燃焼を行うべく、エンジン10の吸気行程で燃料
噴射が行われている。さらに、両者の中間の場合には、
点火栓近傍に濃い混合気を、また燃焼室内の他の領域に
は薄く均等な混合気をそれぞれ分布させ、いわゆる弱成
層燃焼を行うべく、吸気行程と圧縮行程後期の両時点で
燃料噴射が行われている。そしてステップS101で読
み込まれる燃焼形態とは、これらのうち現在選択されて
いる燃焼形態の種類をいうものである。なお、本実施形
態において燃焼形態を考慮して制御量を決定するのは、
燃焼形態によって必要とされる吸気量が異なるからであ
る。 【0026】次に、ステップS102において、上述し
たバックラッシュ抑制制御実行フラグが参照され、バッ
クラッシュ抑制制御が実行中か否かが判定される。また
ステップS103では、上述したシャクリ抑制制御実行
フラグが参照され、シャクリ抑制制御が実行中か否かが
判定される。バックラッシュ抑制制御とシャクリ抑制制
御がいずれも実行されていない通常の走行時には、これ
らステップS102及びS103ではいずれも否定判定
され、ステップS104に移行して、上記ステップS1
01で決定された基本スロットル開度TrtBが、目標
スロットル開度として採用される。したがって、このよ
うな通常の走行時には、エンジン10に対する現在の燃
料噴射量に応じたスロットル開度及びタイミングで、ス
ロットルバルブ49が制御される。 【0027】他方、バックラッシュ抑制制御が実行中で
ある場合には、ステップS102において肯定判定され
ステップS105に移行する。ステップS105では、
上記ステップS101で燃料噴射量に応じて決定された
基本目標スロットル開度TrtBに対し、バックラッシ
ュ抑制時加算開度を加算又は減算し、加算又は減算され
た値が目標スロットル開度として採用される。なお、こ
こでは燃料噴射量が増加中の場合には加算が、また燃料
噴射量が減少中の場合には減算が行われる。このバック
ラッシュ抑制時加算開度は、エンジン回転数に応じて異
なる値が用いられ、図3(a)に示すとおり、エンジン
回転数が高いほど大きい値が用いられる。このバックラ
ッシュ抑制時加算開度はこのような設定のほか、燃料噴
射量に応じて変更する設定としてもよい。 【0028】また、シャクリ抑制制御が実行中である場
合には、ステップS103において肯定判定されてステ
ップS106に移行する。ステップS106では、上記
ステップS101で燃料噴射量に応じて算出された基本
目標スロットル開度TrtBに対し、シャクリ抑制時加
算開度を加算又は減算し、加算又は減算された値が目標
スロットル開度として採用される。なお、ここでは燃料
噴射量が増加中の場合には加算が、また燃料噴射量が減
少中の場合には減算が行われる。このシャクリ抑制時加
算開度は、エンジン回転数に応じて異なる値が用いら
れ、図3(b)に示すとおり、エンジン回転数が高いほ
ど大きい値が用いられる。このシャクリ抑制時加算開度
はこのような設定のほか、スロットルペダル開度に応じ
て変更する設定としてもよい。 【0029】最後に、このようにして算出された目標ス
ロットル開度にスロットル開度が一致するように、スロ
ットルアクチュエータ50に対しECU40から制御出
力が行われ、スロットルバルブ49が制御される。ま
た、燃料噴射装置11に対しECU40から制御出力が
行われ、燃料噴射が行われる。 【0030】その結果、加速時におけるスロットル開度
は図4の実線jで示すとおりとなり、その作動タイミン
グ自体は点線kで示される基本スロットル開度TrtB
の変化タイミングと同時ではあるが、バックラッシュ抑
制時加算開度及びシャクリ抑制時加算開度がそれぞれ加
算されているため、その変化率は燃料噴射量に基づく開
度である基本スロットル開度TrtBの開度変化率(点
線k)より大きくなり、この基本スロットル開度Trt
Bの変化に対し早い時点から、スロットル開度(実線
j)は比較的大きい値となる。その結果、吸気量は、点
線mで示される従来の場合に比して、実線nのように迅
速に増加することとなる。したがって、実施形態1で
は、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であれ
ば吸気量の変化の遅れに起因する失火を生ずるような場
合であっても、十分な吸気量を確保でき、失火が生じる
おそれはなく、駆動輪トルクをステップ的に変化させる
制御であるシャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御
を、常に円滑かつ効果的に実行することができる。 【0031】実施形態 そもそも、この種のシャクリ抑制制御が行われる車両に
おいては、アクセルペダルの操作速度及び操作量を読み
込んだ後に目標噴射量のステップ的変化のパターンを決
定する必要上、アクセルペダルの操作開始から燃料噴射
量の変化が開始されるまでには一定の遅れ時間がある。
しかして、実施形態における特徴的事項は、バックラッ
シュ抑制制御とシャクリ抑制制御がいずれも実行されて
いない通常の走行時には、エンジン10に対する現在の
燃料噴射量に応じたスロットル開度及びタイミングでス
ロットルバルブ49を制御する一方、バックラッシュ抑
制制御又はシャクリ抑制制御の実行中には、目標噴射量
を一定の遅れをもってステップ的に変化させるのに対し
て、スロットル開度にはそのような遅れをもたせること
なく、アクセルペダル開度及びエンジン回転数から直接
に求められる基本目標トルクの変化に対応した値及びタ
イミングでスロットル開度を制御するところである。 【0032】これを図5に従って説明すると、まずステ
ップS201において、上述したバックラッシュ抑制制
御実行フラグが参照され、バックラッシュ抑制制御が実
行中か否かが判定される。またステップS202では、
上述したシャクリ抑制制御実行フラグが参照され、シャ
クリ抑制制御が実行中か否かが判定される。 【0033】バックラッシュ抑制制御とシャクリ抑制制
御がいずれも実行されていない通常の走行時には、これ
らステップS201及びS202ではいずれも否定判定
され、ステップS203に移行して、エンジン10に対
する現在の燃料噴射量(すなわち実噴射量)、エンジン
回転数、並びに現在選択されている燃焼形態を示す数値
が読み込まれると共に、所定のマップに示された関数F
に基づいて、目標スロットル開度が決定される。その結
果、このような通常の走行時には、エンジン10に対す
る燃料噴射量の変化に対応したスロットル開度及びタイ
ミングで、スロットルバルブ49が制御される。なお、
ステップS203で読み込まれる燃焼形態とは、上記
考形態で説明したのと同様、現在選択されている燃焼状
態の種類をいうものであり、燃焼形態を考慮して制御量
を決定するのは燃焼形態によって必要とされる吸気量が
異なるからである。 【0034】他方、バックラッシュ抑制制御が実行中で
ある場合、並びにシャクリ抑制制御が実行中である場合
には、ステップS201又はS202において肯定判定
されてステップS204に移行する。ステップS204
では、基本目標トルク及びエンジン回転数が読み込まれ
ると共に、所定のマップに示された関数Gに基づいて、
基本目標トルク相当噴射量Qtが決定される。この基本
目標トルク相当噴射量Qtは、運転者により操作された
アクセルペダル開度及び現在のエンジン回転数に対応し
た値として目標スロットル開度の算出に用いられる仮の
値であり、この基本目標トルク相当噴射量Qtがエンジ
ン10の燃料噴射量として実際に出力されるわけではな
い。 【0035】次にステップS205において、先にステ
ップS204で算出された基本目標トルク相当噴射量Q
t、及びエンジン回転数並びに燃焼形態の値を用いて、
所定のマップに示された関数Fに基づき、目標スロット
ル開度が決定される。その結果、図6に示すように、燃
料噴射量の増大量の比較的大きいシャクリ抑制制御が、
アクセルペダルの操作開始時点からバックラッシュ抑制
制御期間にほぼ等しい時間だけ遅れをもって開始される
のに対し、スロットル開度は実線pで示すとおり、アク
セルペダルの操作開始時点とほぼ同時に増大を開始する
こととなり、点線qで示される基本スロットル開度Tr
tBの変化に対し早いタイミングで大きい値となる。 【0036】その結果、吸気量は、従来であれば点線r
で示されるように燃料噴射量の変化と同一のタイミング
で変化を開始すべきところ、実線sで示されるように、
従来の吸気量(点線r)より早く増加することとなる。
このように、実施形態では、スロットル開度が燃料噴射
量の変化に先立って変化するので、加速あるいは減速の
操作が急速に行われ通常であれば吸気量の変化の遅れに
起因する失火を生ずるような場合であっても、十分な吸
気量を確保でき、失火が生じるおそれはない。このた
め、実施形態では、上記参考形態と同様に、駆動輪トル
クをステップ的に変化させる制御であるシャクリ抑制制
御やバックラッシュ抑制制御を、常に円滑かつ効果的に
実行することができる。 【0037】なお、上記参考形態では、バックラッシュ
抑制制御やシャクリ抑制制御の実行中には、燃料噴射量
に応じて決定される基本目標スロットル開度TrtBに
対し、バックラッシュ抑制時加算開度又はシャクリ抑制
時加算開度を加算又は減算する構成としたため、バック
ラッシュ抑制時加算開度又はシャクリ抑制時加算開度の
値を任意に設定できる点で、設計上の自由度が高いとい
える。これに対し、実施形態では、燃料噴射量の算出を
待つことなくスロットル開度をアクセルペダルの操作開
始時点から直ちに変化させることができるため、操作に
対する応答性がよいという利点がある。 【0038】なお、上述の参考形態、実施形態では、一
回のアクセルペダル操作に対し一回のシャクリ抑制制御
を行う装置に本発明を適用する例について説明したが、
本発明は、一回のアクセルペダル操作に対し複数回のシ
ャクリ抑制制御を段階的に行う装置について適用するこ
とも可能である。 【0039】また、上述の参考形態、実施形態では、シ
ャクリ抑制制御とバックラッシュ抑制制御の両者を行う
装置に本発明を適用する例について説明したが、本発明
は燃料噴射装置を制御してエンジンに対する燃料噴射量
を所定期間だけ中間噴射量とし、前記所定期間の経過時
点から目標噴射量とするようにステップ的に変化させる
車両の制御装置であれば他の構成の装置についても適用
でき、例えばシャクリ抑制制御のみを行う装置や、バッ
クラッシュ抑制制御のみを行う装置について本発明を適
用することも可能であって、このような構成も本発明の
範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明実施形態に係る車両の制御装置を示
す構成ブロック図である。 【図2】 参考形態における目標スロットル開度の算出
行程を示すフローチャートである。 【図3】 参考形態におけるバックラッシュ抑制時加算
開度及びシャクリ抑制時加算開度を示すグラフである。 【図4】 参考形態の制御を示すタイミングチャートで
ある。 【図5】 実施形態における目標スロットル開度の算出
行程を示すフローチャートである。 【図6】 実施形態の制御を示すタイミングチャートで
ある。 【図7】 本発明による改良前のシャクリ抑制制御を示
すタイミングチャートである。 【図8】 本発明による改良前のバックラッシュ抑制制
御を示すタイミングチャートである。 【符号の説明】 1 車両の制御装置、10 エンジン、11 燃料噴射
装置、14 発進クラッチ、16 無段変速機(CV
T)、40 ECU、48 アクセルセンサ、49 ス
ロットルバルブ、50 スロットルアクチュエータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 11/10 F02D 11/10 F 29/00 29/00 C 41/02 301 41/02 301F 41/10 320 41/10 320 41/12 320 41/12 320 43/00 301 43/00 301H 301K (56)参考文献 特開 平9−195839(JP,A) 特開 平10−184417(JP,A) 特開 平11−22511(JP,A) 特開 平3−111649(JP,A) 特開 平9−303171(JP,A) 特開 平8−144805(JP,A) 特開 平3−67039(JP,A) 特開 平3−189354(JP,A) 特開 平2−169829(JP,A) 特開 昭58−138236(JP,A) 特開 昭60−30436(JP,A) 実開 昭62−183044(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 9/00 - 11/10 F02D 41/00 - 41/40 F02D 43/00 - 43/04 F02D 45/00 B60K 41/00 - 41/28

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アクセルペダルの急加速操作または急減
    速操作によって生じる、シャクリ振動およびバックラッ
    シュに起因する車両前後の振動の少なくとも一方の振動
    を抑制するために、燃料噴射量を制御することによりエ
    ンジントルクを急峻に変化させる制御を行う車両の制御
    装置において、 アクセルペダルの操作量に基づきエンジンの燃料噴射量
    の目標噴射量を設定する手段と、 前記目標噴射量に基づきエンジンの吸気量を調節するス
    ロットルバルブの目標開度を設定する手段と、 を有し、 前記の振動抑制のための制御時には、 前記目標噴射量を設定するための手段は、アクセルペダ
    ル操作量に対応した仮の目標値である仮目標噴射量と、
    前記の振動抑制のためエンジントルクを変化させ、その
    後アクセルペダル操作量に対応した実際の目標値である
    実目標噴射量と、を設定し、 前記目標開度を設定するための手段は、前記仮目標噴射
    量に基づき目標開度を設定し、 前記スロットルバルブ開度が実際の燃料噴射量の変化に
    先立って変化するよう制御する、車両の制御装置。
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