JP3415107B2 - コンクリート構造物の補強方法及び補強構造体 - Google Patents
コンクリート構造物の補強方法及び補強構造体Info
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Description
び/又は繊維強化プラスチック板等の強化繊維含有材料
による梁、柱、スラブ、壁、煙突、トンネル、ヒューム
管等のコンクリート構造物の補強方法、及びそれに用い
る補強構造体に関する。
のコンクリート構造物等においては、構造部材の経年変
化による劣化のために、設計時の性能を保持できなくな
った構造物や、より優れた性能を必要とされる構造物が
散見されるようになってきた。そのため、これらの構造
物を補強、補修することが行われている。具体的にいえ
ば、耐震性能の向上を目的とした補強や、構造部材の劣
化に対する補修、あるいは構造物の機能性の向上を目的
とした補強などが実施されている。
強技術として、コンクリート構造物の表面に強化繊維シ
ート及び/又は繊維強化プラスチック板等の強化繊維含
有材料を貼り付け、この強化繊維含有材料とコンクリー
ト構造物とを一体化させる補強方法が一般的に採用され
てきており、数多い実績を有している。
構造物では、破断しにくく高い引張強度を有する強化繊
維含有材料とコンクリート構造物とが一体となっている
限り、強化繊維含有材料に基づく高い補強効果を得るこ
とができる。しかしながら、構造物の終局時において
は、強化繊維含有材料が、破断する前に剥離して強化繊
維含有材料とコンクリート構造物との一体性が失われ、
それにより補強効果を失い構造物が破壊することが多
い。
ために、従来は、補強のための強化繊維含有材料に加え
て、この強化繊維含有材料を、コンクリート構造物上
に、さらに別の強化繊維含有材料を用いて固定する方法
や、コンクリート構造物上に、強化繊維含有材料をアン
カー、金属プレート等を用いて固定する方法等が提案さ
れている。しかしながら、これらの方法でも、強化繊維
含有材料の有する強度を最大限に利用した、十分な補強
を簡便に行うことは困難である。
繊維含有材料層によるコンクリート構造物の補強方法に
おいて、強化繊維含有材料層の剥離を防止でき、強化繊
維含有材料層の有する強度を最大限に利用した、十分な
補強を簡便に行う補強方法を提供することにある。
によるコンクリート構造物を補強するにあたり、剥離す
ることなく強度を最大限に発揮し、十分な補強を簡便に
行うのに適合したコンクリート構造物の補強構造体を提
供することにある。
リート構造物の表面上に、緩衝材層を介して、マトリッ
クス樹脂を含む強化繊維含有材料層を設ける工程を含
み、前記緩衝材層の23℃での引張最大荷重時伸びが10〜
200%、23℃での引張強度が0.1〜50N/mm 2 であり、且つ
前記緩衝材層の引張最大荷重時伸びが、前記強化繊維含
有材料層に含まれるマトリックス樹脂より大きいことを
特徴とするコンクリート構造物の補強方法が提供され
る。
るコンクリート構造物を除く、コンクリート構造物を補
強する補強構造体であって、23℃での引張最大荷重時伸
びが10〜200%、23℃での引張強度が0.1〜50N/mm2であ
る緩衝材層と、マトリックス樹脂を有する強化繊維含有
材料層とを備え、該緩衝材層の引張最大荷重時伸びが、
強化繊維含有材料層に含まれるマトリックス樹脂の引張
最大荷重時伸びより大きいことを特徴とするコンクリー
ト構造物の補強構造体が提供される。
ート構造物の表面上に、特定の緩衝材層を介して強化繊
維含有材料層を設ける工程を含む。
脂、熱可塑性樹脂等の樹脂、又はこれらの組み合わせ等
を含有するものを挙げることができる。前記熱硬化性樹
脂としては例えばエポキシ樹脂、メチルメタクリレート
樹脂、メタクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせ等
が使用できる。前記熱可塑性樹脂としてはナイロン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエ
チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はこれらの組み合
わせ等が使用できる。前記緩衝材層の材料として樹脂を
用いる場合、当該樹脂を樹脂単独で硬化させた際の23℃
での引張弾性率が、0.1〜50N/mm2、さらに好ましくは
0.5〜10N/mm2である樹脂を用いることが好ましい。前
記引張弾性率は、JIS K7113に従い測定することができ
る。前記緩衝材層中の前記樹脂の含有割合は、50〜100
質量%、好ましくは59〜98質量%、さらに好ましくは70
〜80質量%とすることができる。
材層形成に際して適切な粘度範囲を維持したりたれを防
止すること等により構造物への塗布作業を良好にするた
めに、本発明の目的を損なわない範囲で適宜充填材、揺
変性付与剤等を含有することもできる。また充填材の添
加により、引張最大荷重時伸びはやや低下するが、緩衝
材層の引張強度や引張弾性率を向上させることもでき
る。
カルシウム、タルク、珪酸、珪酸塩、無機顔料として知
られる鉛白、鉛丹、黄鉛、二酸化チタン、ストロンチウ
ムクロメート、チタニウムイエロー、その他の顔料等が
挙げられる。前記緩衝材層中の前記充填材の含有割合
は、0〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、さらに好ま
しくは10〜20質量%とすることができる。
機系のものがあるが、無機系のものが好ましく、ヒュー
ムドシリカ、層状粘度鉱物、膨潤性マイカ、合成スメク
タイト、ベントナイト、カーボンブラック、ヘクトライ
ト等を使用することができる。
割合は、0〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好
ましくは10〜20質量%とすることができる。
びは、10〜200%、好ましくは10〜100%である。コンク
リート構造物表面に塗布したときに液だれが問題となる
ときがあるが、その場合は引張最大荷重時伸びは小さめ
にすると液だれを解決することができる場合がある。さ
らに、前記緩衝材層は、強化繊維含有材料層に含まれる
マトリックス樹脂又は強化繊維含有材料層の貼り付けに
用いるマトリックス樹脂より大きい引張最大荷重時伸び
を有することが特に好ましい。また、前記緩衝材層の引
張強度は、23℃において、0.1〜50N/mm2である。前記
緩衝材の引張最大荷重時伸び及び引張強度は、JIS K711
3に従い測定することができる。
び及び引張強度、並びに前記緩衝材層が樹脂を含む場合
は当該樹脂の23℃での引張弾性率を上記の範囲内とする
ことにより、強化繊維含有材料層の剥離を防止し、強化
繊維含有材料層の有する強度を最大限に利用することが
できる。
大荷重時伸びが10〜200%、より好ましくは10〜100%、
5℃での引張強度が0.1〜50N/mm2であることが好まし
い。また前記緩衝材層が樹脂を含む場合は、当該樹脂を
単独で硬化させた際の5℃での引張弾性率が0.1〜50N/m
m2、より好ましくは0.5〜10N/mm2であるものが好まし
い。このように低温においても上記材料特性を維持でき
る緩衝材層を用いることにより、寒冷な使用条件下にお
いても良好な補強効果を得ることができる。前記緩衝材
層としては、市販品を用いることができる。例えば、東
邦アーステック社製のEE50、EE50W、EE60等を用いるこ
とができる。
構造物の表面に、直接若しくは必要に応じて設けるプラ
イマー層等の他の層を介して、層として設けることがで
きる。層の厚さは、特に限定されないが、通常100〜200
0μm、好ましくは200〜1000μmの厚さとすることができ
る。
強化繊維含有材料層側の面を物理的あるいは化学的処理
により改質し、強化繊維含有材料層との密着性を向上さ
せることができる。該物理的処理としては研磨、サンド
ペーパー等による目粗し、又は超音波処理等を挙げるこ
とができ、化学的処理としては、表面を一部酸化、官能
基付加させる方法等を挙げることができる。より具体的
には例えばコロナ処理、プラズマ処理、酸化剤処理等を
挙げることができ、これらの処理は、特に前記緩衝材層
の材料がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等であ
る場合に好ましく適用することができる。
状の緩衝材層の原料を、形成しようとする面上に塗布し
た後硬化させる方法、又は(ii)フィルム状等の形状に成
形された前記緩衝材層を貼付する方法等を挙げることが
できる。
場合は、緩衝材層の原料として、硬化させた際に前記特
定の引張最大荷重時伸び及び引張強度を呈するものを用
いる。具体的には例えば、前に列挙した各種の熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂からなるもの、又はこれらに前記充
填材、揺変性付与剤等を加えたものを挙げることができ
る。かかる樹脂としては、熱硬化性樹脂、特に常温硬化
性の熱硬化性樹脂が、作業性が良好であるため好まし
い。また、2液混合型の樹脂も好ましい。
性樹脂を含むものを用いる場合、20℃における可使時間
が好ましくは30分間〜5時間、さらに好ましくは30分間
〜2時間のものが作業性の点で望ましい。また20℃にお
ける塗膜硬化時間が好ましくは1時間〜24時間、さらに
好ましくは1時間〜12時間のものが作業工程の点で望ま
しい。緩衝材層の原料の設計強度発現時間は、20℃にお
いて通常1〜20日、好ましくは1〜7日であることが望ま
しい。緩衝材層の原料の粘度はJIS K6833測定法で20℃
において通常50〜1000000mPa・s、好ましくは5000〜300
000mPa・sであることが、塗布作業上望ましい。
原料をローラー刷毛やゴムベラ、金ゴテ等で、緩衝材層
の厚みが通常100〜2000μm、好ましくは200〜1000μmと
なるように均一に塗布することにより行うことができ
る。
性樹脂を含む場合は、構造物表面に塗布後に熱ロールや
ドライヤー等で硬化温度まで加熱して行うことができる
が、特に常温硬化性の熱硬化性樹脂を含む場合は、単に
常温で、前記設計強度発現時間にわたり放置することに
より硬化させることもできる。
場合は、前記緩衝材層の原料として、熱可塑性樹脂や可
撓性の熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。前記成
形された緩衝材層の厚さは、通常100〜2000μm、特に20
0〜1000μmとすることが好ましい。前記成形された緩衝
材層を貼付する方法としては通常知られた方法を適宜使
用することができ、例えば熱による融着、接着剤による
接着等が使用できる。前記接着剤としては、緩衝材層を
コンクリート強度以上の接着強度で貼着することができ
るものを用いることが好ましく、具体的には例えば、前
記緩衝材層の材料と同一材料系のものを用いることが好
ましい。
有材料層は、強化繊維を含む。前記強化繊維としては、
炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、アラミド繊
維、炭化珪素繊維、又はこれらの組み合わせ等を挙げる
ことができる。特に、軽量で且つ耐食性があることか
ら、炭素繊維が好ましい。前記炭素繊維としては、ピッ
チ系炭素繊維あるいはPAN系炭素繊維あるいはこれらの
組み合わせを用いることができる。該炭素繊維は、高弾
性率のものを要求される場合には通常日本グラファイト
ファイバー社製のXN60などのピッチ系炭素繊維が使用さ
れ、高強度が要求されるときには通常東レ社製T700SC、
T300、東邦レーヨン社製UT500、三菱レーヨン社製TR30
などのポリアクリロニトリル系炭素繊維が使用される。
物、一方向材等として、前記強化繊維含有材料中に設け
ることができる。
には、強化繊維シート及びマトリックス樹脂を含む繊維
強化プラスチック板を用いることができる。前記強化繊
維シートの目付は、通常100〜800g/m2であることが好
ましく、強化繊維糸条の一束当たりのフィラメント数は
1000〜10000本が好ましく、引張強度は2000〜5000N/mm
2、引張弾性率2×105〜1×106N/mm2のものが好まし
い。
例えば、経糸及び緯糸の一方が前記強化繊維であり、他
方が熱可塑性樹脂含有繊維(熱可塑性樹脂からなる繊
維、又は任意の繊維に熱可塑性樹脂や熱可塑性繊維が付
着した繊維)からなる補助糸であり、該経糸と該緯糸と
が前記熱可塑性樹脂含有繊維中の熱可塑性樹脂により固
着されたクロス状のシート、あるいは前記強化繊維を一
方向に並べ、熱可塑性樹脂を含有する網目状の格子を重
ね、これらを前記熱可塑性樹脂含有繊維中の熱可塑性樹
脂により固着したシート等が使用できる。
条が多数本並列して配列しているものを挙げることがで
きる。特に、以下に具体的に説明するものを挙げること
ができる。
維糸条がたて方向に配列し、かつ、補助糸が前記強化繊
維糸条に交錯してよこ方向に配列している強化繊維シー
トを挙げることができる。図4においては、強化繊維糸
条4はたて方向に並行に配列し、よこ方向の補助糸5と交
錯し、一方向性強化繊維織物を形成している。
化繊維糸条が実質的に屈曲せずに糸条群を構成し、該糸
条群の両面側に前記強化繊維糸条と交差するよこ方向補
助糸群が位置し、それらよこ方向補助糸群と、前記強化
繊維糸条群に並行するたて方向補助糸群とが織組織をな
して前記強化繊維糸条群を一体に保持している強化繊維
シートを挙げることもできる。図5においては、実質的
に屈曲を有しない強化繊維糸条4を一方向に互いに並行
且つシート状に引き揃えてなる糸条群イのシート面の両
側によこ糸補助糸5の糸条群ハが位置し、それらよこ糸
補助糸群と、強化繊維糸条群と並行するたて方向補助糸
6の糸条群ロとが織組織をなして糸条群を一体に保持
し、一方向性強化繊維織物を形成している。
向性強化繊維織物であるシートを挙げることもできる。
図6においては、たて方向に多数本の強化繊維糸条4が並
行に配列し、よこ方向にも強化繊維糸条7がたて方向の
強化繊維糸条4と直交するように並行に配列した、二方
向性強化繊維織物が形成されている。たて方向の強化繊
維糸条4とよこ方向の強化繊維糸条7とは交互に交錯し、
平組織を形成している。
強化繊維糸条がバインダーで支持体に接着されてなるシ
ートを挙げることもできる。図7においては、たて方向
に多数本の強化繊維糸条4が並行に配列し、これら強化
繊維糸条は、その片側に位置しているメッシュ状の支持
体8とバインダー9によって接着されている。バインダー
の材質としては、特に限定されないが、後述するマトリ
ックス樹脂の材料と同様のものを用いることができる。
バインダーの付着量は、強化繊維重量100重量部に対し
て3〜7重量部とすることができる。
強化繊維糸条4は、補助糸5と、低融点ポリマー等からな
る固着部材10により固着されていてもよい。前記低融点
ポリマーの材質は、特に限定されないが、ナイロン、共
重合ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビ
ニル、ポリウレタン、又はこれらの組み合わせ等を挙げ
ることができる。特に、共重合ナイロンが好ましい。
が好ましい。
次元織物、一方向織物、一方向材等の形態の前記強化繊
維シートにマトリックス樹脂を含む材料を含浸し、加熱
硬化して板状に成形したもの等を挙げることができる。
トリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹
脂、又はこれらの組み合わせ等を使用することができ
る。前記熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、メチルメ
タクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、又はこれらの
組み合わせ等が使用でき、前記熱可塑性樹脂としてはナ
イロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はこれ
らの組み合わせ等が使用できるが、密着性の良好なもの
が望ましい。
含有材料層は、前記緩衝材層を介して前記コンクリート
構造物の表面上に設ける。ここで前記強化繊維含有材料
層は、前記緩衝材層表面に直接設けてもよく、必要に応
じて下塗り層等の他の層を介して設けても良い。また、
本発明の補強方法では、前記強化繊維含有材料層上に、
必要に応じてさらに上塗り層、仕上げ層等の他の層を設
けることができる。具体的には例えば、強化繊維含有材
料層の強化繊維シートの貼付に先立ち下塗り層としてマ
トリックス樹脂を塗布し、強化繊維シートの貼付後に上
塗り層としてマトリックス樹脂を塗布することにより、
強化繊維シートとマトリックス樹脂とが複合した層を形
成し、高い強度を得ることができる。また、強化繊維含
有材料層として繊維強化プラスチック板を用いた場合、
接着剤を用いて緩衝材層表面に繊維強化プラスチック板
を貼付することができる。
定されない。また、前記強化繊維含有材料層としては、
その破断時伸びが好ましくは0.5〜3.0%、特に好ましく
は0.6〜2.0%であるものを用いることができる。
ート構造物としては、特に限定されないが、柱、梁、ス
ラブ、壁、煙突、トンネル、ヒューム管等の各種の構造
物を挙げることができ、既設の建築物のみならず、工場
等で生産するコンクリート部品等、建築物となる前の構
造物をも含む。また、本発明において、補強とは、劣化
していないコンクリート構造物の補強のみならず、劣化
したコンクリート構造物の補修をも含む。
ては、前記コンクリート構造物の表面上に、前記プライ
マー層、前記緩衝材層、前記下塗り層、前記強化繊維含
有材料層、上塗り層、仕上げ層等の各層を、順次形成す
る方法が挙げられる。これら各層のうち、緩衝材層及び
強化繊維含有材料層は必須に形成され、他の層は必要に
応じて形成することができる。これらの各層の形成は、
通常は、コンクリート構造物の表面に近い層から順に形
成することができるが、緩衝材層及び強化繊維含有材料
層を含む複合物を予め形成し、それをコンクリート構造
物の表面に貼りつけることによって行うこともできる。
ート層を用いた場合の本発明の補強方法の例を、図1に
示す施工例を参照して、以下により具体的に説明する。
の表面11に対し、洗浄、研磨処理、及び下地調整材を用
いた段差、欠損部位等の前処理を行う。
ー、サンドブラスト、高圧洗浄、ウエス、有機溶剤等で
取り除く方法等を用いることができる。
度と同等以上の圧縮強度を有する樹脂、例えばパテ状エ
ポキシ樹脂、エポキシ樹脂モルタル等を用いることがで
きる。これらの樹脂等を段差、欠損部位等に充填するこ
とにより、前処理を行うことができる。また、前処理工
程においては、出隅、入隅のR仕上げを併せて施すこと
が好ましい。
後、必要に応じて強化繊維含有材料層の貼付位置等の参
照とするための墨出しを行うことができる。
イマーを塗布し、乾燥させ、プライマー層12を形成する
工程を行う。
緩衝材層との接着性が良好なもの、例えば溶剤型エポキ
シ樹脂あるいは無溶剤型エポキシ樹脂等を使用すること
ができる。前記プライマーの混合粘度は、20℃において
通常1〜10000mPa・s、好ましくは10〜5000mPa・sであるこ
とが、作業性の点で好ましい。
は、通常−10℃〜50℃であることが好ましい。前記プラ
イマーの塗布量は、通常0.01〜1kg/m2、好ましくは0.1
〜0.5kg/m2であることが望ましい。
において通常1〜24時間、好ましくは1〜12時間であるこ
とが望ましい。
てパテ材等の不陸調整材を塗布し、層表面の不陸を調整
した後、その上に緩衝材層13を、上に述べた方法等によ
り形成する。この際、パテ材等の不陸調製材を塗布する
代わりに、緩衝材層を、層表面の不陸を調整するように
形成することもできる。この場合、必要に応じて、緩衝
材層に、不陸調整材の成分を含有させて用いることがで
きる。さらに必要に応じて緩衝材層表面を物理的あるい
は化学的処理により改質し、次に、必要に応じて下塗り
層14としてのマトリックス樹脂材料等を塗布する工程を
行う。
化性樹脂、常温硬化性樹脂、又はこれらの組み合わせ等
を含むものを使用することができるが、作業性の点で常
温硬化性樹脂を含むものが好ましい。前記熱硬化性樹脂
としてはエポキシ樹脂、メチルメタクリレート樹脂、メ
タクリレート樹脂、又はこれらの組み合わせ等が使用で
き、前記熱可塑性樹脂としてはナイロン樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、又はこれらの組み合わせ等が使用
できるが、緩衝材との密着性の良好なものが望ましい。
加えて、塗布に際して適切な粘度範囲を維持したりたれ
を防止するために、本発明の目的を損なわない範囲で適
宜充填材、揺変性付与剤等を含有することもできる。
カルシウム、タルク、珪酸、珪酸塩、無機顔料として知
られる鉛白、鉛丹、黄鉛、二酸化チタン、ストロンチウ
ムクロメート、チタニウムイエロー、その他の顔料等が
挙げられる。
機系のものがあるが、無機系のものが好ましく、ヒュー
ムドシリカ、層状粘度鉱物、膨潤性マイカ、合成スメク
タイト、ベントナイト、カーボンブラック、ヘクトライ
ト等を使用することができる。
及び/又は揺変性付与剤の含有割合は、1〜20質量%で
あることが好ましい。
硬化性樹脂を含むものを用いる場合、20℃における可使
時間が好ましくは30分間〜5時間、さらに好ましくは30
分間〜2時間のものが作業性の点で望ましい。また20℃
における塗膜硬化時間が好ましくは1時間〜24時間、さ
らに好ましくは1時間〜12時間のものが作業工程の点で
望ましい。
時間は20℃において通常1〜20日、好ましくは1〜7日で
あることが望ましい。また、粘度は20℃において通常10
〜100000mPa・s、好ましくは100〜50000mPa・sであること
が、含浸性及び脱泡性がよいため望ましい。
料を塗布する工程は、前記マトリックス樹脂材料をロー
ラー刷毛やゴムベラ等で、塗布量が通常0.1〜2kg/m2、
好ましくは0.2〜1kg/m2の範囲となるように均一に塗布
することにより行うことができる。
を貼り付ける工程を行う。本工程は、下塗り層14の塗布
直後に強化繊維シートを前記墨出し位置に沿って貼り付
け、好ましくはシートの表面を強化繊維方向に、さらに
好ましくはシートの中心部から端部に強化繊維方向に沿
ってゴムベラ、熱ロール、脱泡ロール等でしごき、マト
リックス樹脂を強化繊維の中に含浸させ、且つ強化繊維
中の空気を追い出し平滑に仕上げることにより行うこと
ができる。
際、シートの長さが長すぎると作業が困難であるため、
強化繊維シートを適度の長さに切断し、継ぎ重ねて貼り
付けることができる。この場合、強度を確保するため
に、継ぎ重ね部分は、強度を確保する方向に100mm以上
重なるよう貼り付けることが好ましい。
してのマトリックス樹脂等を塗布する工程を行う。本工
程は、前記下塗り工程で使用したものと同様のマトリッ
クス樹脂等を用い、ローラー刷毛やゴムベラ等で通常0.
05〜2kg/m2、好ましくは0.1〜1kg/m2の塗布量により
均一に塗布することによって行うことができる。
れ等が発生したら直ちに修正することが好ましい。ま
た、汚れの付着、降雨等からの保護を十分に行うことが
好ましい。
塗り層上に、ウレタン樹脂あるいはフッ素樹脂等の耐候
性塗料又はポリマーセメント系材料を塗布し保護層17を
形成することによって行うことができる。
強化繊維シートのみを設けたが、本発明の補強方法で
は、2層以上の強化繊維シートを設けることもできる。2
層以上の強化繊維シートは、前記下塗り工程、強化繊維
シートの貼り付け工程、及び上塗り工程を必要な回数だ
け繰り返すことにより設けることができる。
強化プラスチック板を用いた場合の本発明の補強方法の
例を、図3に示す施工例を参照して説明する。
に応じて、コンクリート構造物の表面31の前処理、墨出
し、プライマー層32の形成、層表面の不陸の調整等を行
った後、緩衝材層33を形成し、必要に応じて緩衝材層表
面の改質及び下塗り層(図示せず)の塗布を行った後、
接着剤を用い、前記緩衝材層33の面上に前記繊維強化プ
ラスチック板35を貼り付け、さらにその上に仕上げ層
(保護層)37を形成することにより、本発明の補強方法を
行うことができる。
めの接着剤としては、緩衝材層と繊維強化プラスチック
板との接着強度が十分にコンクリートの引張強度以上に
なるような接着剤を用いることが好ましい。
化性樹脂等の樹脂を含むものを使用することができる
が、作業性の点で常温硬化性樹脂を含むものが好まし
い。前記熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、メチルメ
タクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、又はこれらの
組み合わせ等が使用でき、前記熱可塑性樹脂としてはナ
イロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はこれ
らの組み合わせ等が使用できる。前記接着剤は、前記樹
脂に加えて、塗布に際して適切な粘度範囲を維持したり
たれを防止するために、本発明の目的を損なわない範囲
で適宜充填材、揺変性付与剤等を含有することもでき
る。
カルシウム、タルク、珪酸、珪酸塩、無機顔料として知
られる鉛白、鉛丹、黄鉛、二酸化チタン、ストロンチウ
ムクロメート、チタニウムイエロー、その他の顔料等が
挙げられる。
機系のものがあるが、無機系のものが好ましく、ヒュー
ムドシリカ、層状粘度鉱物、膨潤性マイカ、合成スメク
タイト、ベントナイト、カーボンブラック、ヘクトライ
ト等を使用することができる。
性付与剤の含有割合は、1〜20質量%であることが好ま
しい。
むものを用いる場合、20℃における可使時間が好ましく
は30分間〜5時間、さらに好ましくは30分間〜2時間のも
のが作業性の点で望ましい。また20℃における塗膜硬化
時間が好ましくは1時間〜24時間、さらに好ましくは1時
間〜12時間のものが作業工程の点で望ましい。
で、塗布量が通常0.05〜3kg/m2、好ましくは0.2〜2kg
/m2の範囲になるよう均一に塗布することができる。
繊維強化プラスチック板のみを設けたが、本発明の補強
方法では、2層以上の繊維強化プラスチック板を設ける
こともできる。2層以上の繊維強化プラスチック板は、
前記接着剤により繊維強化プラスチック板を貼り付ける
工程を必要な回数だけ繰り返すことにより設けることが
できる。本発明の補強構造体は、前記のコンクリート構
造物等のコンクリート構造物を補強する補強構造体であ
って、23℃での引張最大荷重時伸びが10〜200%、23℃
での引張強度が0.1〜50N/mm2である緩衝材層と、強化
繊維含有材料層とを備える。ここで、緩衝材層として
は、上に述べた緩衝材層を用いることができる。また強
化繊維含有材料層としては、前記強化繊維含有材料層を
用いることができる。
物の表面上に特定の緩衝材層を介して強化繊維含有材料
層を設けるので、コンクリート構造物と強化繊維含有材
料層とを安定に一体化させ、強化繊維含有材料層の剥離
を防止でき、強化繊維含有材料層の有する強度を最大限
に利用した、十分な補強を簡便に行うことができる。従
って、柱、梁、スラブ、壁、煙突、トンネル、ヒューム
管等の既存のコンクリート構造物の補強、補修等に適用
でき、構造物の終局強度やエネルギー吸収性能を向上さ
せることができる。
強度を最大限に発揮し、十分な補強を簡便に行うことが
できる。
発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
の供試体に、緩衝材層及び強化繊維シート層を用いた本
発明の補強方法を適用し、その補強効果を試験した。
00mm、高さ200mmの寸法を有し、主筋22としてD13のSD29
5鋼棒を4本有し、帯筋23としてD6のSD295鋼棒を150mm間
隔で有する梁21を使用した。この供試体の底面24の、長
さ1740mm(中央部)、幅全面にわたり、エポキシ系のプラ
イマーを塗布しプライマー層(図示せず)を形成した後、
エポキシ系の緩衝材(エポキシ樹脂、商品名トーホーダ
イトEE50、株式会社東邦アーステック製、硬化時におけ
る23℃での引張最大荷重時伸び95%(JIS K7113により測
定)、引張強度1.4N/mm2(JIS K7113により測定)、5℃に
おける引張最大荷重時伸び65%、引張強度6.5N/mm2)を
膜厚が500μmとなるように塗布し緩衝材層25を形成し、
さらに強化繊維シート26(商品名:HT300、日石三菱(株)
製)を、1層強化繊維の方向が主筋方向となるよう、エポ
キシ系の常温硬化樹脂により接着させて貼り付けた。
上養生した後、図2に示す通り支点27を当て、支点間距
離1800mm、載荷点間距離300mmの4点単調載荷を負荷し、
静的載荷試験を実施した。測定された破壊荷重、最大変
位及び強化繊維シートの最大ひずみ、並びに破壊時に観
察された強化繊維シートの破壊形態を表1に示す。ま
た、強化繊維シートのひずみ分布(供試体の中央からの
距離とひずみとの関係)を、さまざまな荷重を負荷した
時点において測定した。結果を図8に示す。さらに、負
荷した荷重と変位との関係を図9に示す。
の供試体に、緩衝材層及び繊維強化プラスチック板を用
いた本発明の補強方法を適用し、その補強効果を試験し
た。
一の梁を用いた。また、繊維強化プラスチック板として
は、TUプレートTYPE-S(商品名、日石三菱株式会社製)を
用いた。
部)、幅全面にわたり、実施例1で用いたものと同一のエ
ポキシ系プライマーを塗布しプライマー層を形成した
後、エポキシ系の緩衝材(エポキシ樹脂、商品名「トー
ホーダイトEE50」、株式会社東邦アーステック製、硬化
時における23℃での引張最大荷重時伸び95%(JIS K7113
により測定)、引張強度1.4N/mm2(JIS K7113により測
定)、5℃における引張最大荷重時伸び65%、引張強度6.
5N/mm2)を膜厚が500μmとなるように塗布し緩衝材層を
形成し、さらに前記繊維強化プラスチック板を1枚、強
化繊維の方向が主筋方向となるよう、実施例1と同一の
エポキシ系の常温硬化樹脂により接着させて貼り付け
た。
週間以上養生した後、図2に示す通り支点間距離1800m
m、載荷点間距離300mmの4点単調載荷を負荷し、静的載
荷試験を実施した。測定された破壊荷重、最大変位及び
強化繊維シートの最大ひずみ、並びに破壊時に観察され
た強化繊維シートの破壊形態を表1に示す。
例1と同様に操作し、静的載荷試験を実施した。結果を
表1及び図9に示す。
って、何ら補強を施さなかったものについて、実施例1
と同様の静的載荷試験を行った。結果を表2及び図9に示
す。
1と同様に供試体の補強を行い、静的載荷試験を行っ
た。結果を表2、図9及び図10に示す。
(23℃での引張最大荷重時伸び5%(JIS K7113により測
定)、引張強度40N/mm2(JIS K7113により測定))を形成
した以外は実施例1と同様に供試体の補強を行い、静的
載荷試験を行った。結果を表2に示す。
「トーホーダイトEE50W」、株式会社東邦アーステック
製、硬化時における23℃での引張最大荷重時伸び56%(J
IS K7113により測定)、引張強度1.2N/mm2(JIS K7113に
より測定)5℃における引張最大荷重時伸び55%、引張強
度5N/mm2)を使用した他は、実施例1と同様に操作し、
供試体に本発明の補強方法を適用し、静的載荷試験を実
施した。測定された破壊荷重、最大変位及び強化繊維シ
ートの最大ひずみ、並びに破壊時に観察された強化繊維
シートの破壊形態を表1に示す。
本発明の補強方法の施工例を模式的に示す断面図であ
る。
の適用及び補強効果の試験における載荷の態様を説明す
る模式図である。図2Aは、供試体を側面から見た立面図
であり、図2Bは、供試体を長さ方向に垂直な面に沿って
切断した断面図である。図2中において、長さを示す数
値の単位は全てmmである。
設けた本発明の補強方法の施工例を模式的に示す断面図
である。
例を示す斜視図である。
別の例を示す斜視図である。
さらに別の例を示す斜視図である。
さらに別の例を示す斜視図である。
の測定結果を示すグラフである。
る荷重と変位との関係を示すグラフである。
布の測定結果を示すグラフである。
Claims (13)
- 【請求項1】 コンクリート構造物の表面上に、緩衝材
層を介して、マトリックス樹脂を含む強化繊維含有材料
層を設ける工程を含み、前記緩衝材層の23℃での引張最
大荷重時伸びが10〜200%、23℃での引張強度が0.1〜50
N/mm 2 であり、且つ前記緩衝材層の引張最大荷重時伸び
が、前記強化繊維含有材料層に含まれるマトリックス樹
脂より大きいことを特徴とするコンクリート構造物の補
強方法。 - 【請求項2】 前記緩衝材層の5℃での引張最大荷重時
伸びが10〜200%、5℃での引張強度が0.1〜50N/mm 2 で
あることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造
物の補強方法。 - 【請求項3】 前記緩衝材層が樹脂50〜100質量%及び
充填材0〜50質量%を含み、前記樹脂が、硬化させた際
の23℃での引張弾性率が0.1〜50N/mm2である樹脂であ
ることを特徴とする、請求項1又は2記載のコンクリート
構造物の補強方法。 - 【請求項4】 前記緩衝材層が樹脂50〜100質量%及び
充填材0〜50質量%を含み、前記樹脂が、硬化させた際
の5℃での引張弾性率が0.1〜50N/mm2の樹脂であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコンクリ
ート構造物の補強方法。 - 【請求項5】 前記緩衝材層の厚さが100〜2000μmで
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
補強方法。 - 【請求項6】 前記強化繊維含有材料層が、多数本並行
して配列した強化繊維糸条を備えることを特徴とする請
求項1〜5のいずれか1項記載の補強方法。 - 【請求項7】 前記強化繊維糸条がたて方向に配列し、
かつ、補助糸が前記強化繊維糸条に交錯してよこ方向に
配列している請求項6記載の補強方法。 - 【請求項8】 前記強化繊維糸条が実質的に屈曲せずに
糸条群を構成し、該糸条群の両面側に前記強化繊維糸条
と交差するよこ方向補助糸群が位置し、それらよこ方向
補助糸群と、前記強化繊維糸条群に並行するたて方向補
助糸群とが織組織をなして前記強化繊維糸条群を一体に
保持している請求項6記載の補強方法。 - 【請求項9】 前記強化繊維含有材料層が、二方向性強
化繊維織物を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の補強
方法。 - 【請求項10】 前記強化繊維含有材料層が、強化繊維
糸条をバインダーで支持体に接着したシートを含む請求
項1〜5のいずれか1項記載の補強方法。 - 【請求項11】 前記強化繊維糸条とよこ方向補助糸と
の交点が固着部材により接着されている請求項7又は8記
載の補強方法。 - 【請求項12】 補助糸がガラス繊維である請求項7又
は8に記載の補強方法。 - 【請求項13】 湾曲面を内壁に有するコンクリート構
造物を除く、コンクリート構造物を補強する補強構造体
であって、23℃での引張最大荷重時伸びが10〜200%、2
3℃での引張強度が0.1〜50N/mm2である緩衝材層と、マ
トリックス樹脂を有する強化繊維含有材料層とを備え、
該緩衝材層の引張最大荷重時伸びが、強化繊維含有材料
層に含まれるマトリックス樹脂の引張最大荷重時伸びよ
り大きいことを特徴とするコンクリート構造物の補強構
造体。
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