JP3313195B2 - アイオノマー包装材料 - Google Patents
アイオノマー包装材料Info
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- Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
性が優れたアイオノマー包装材料に関する。
のナトリウム中和アイオノマーは、透明性、ヒートシー
ル性、ホットタック性、深絞り成形性、耐油性、耐摩耗
性、耐ピンホール性などに優れ、かつ米国のFDAや日
本の食品包装材としての規制に合格しているところか
ら、単一層フィルムとして或いは他の樹脂、金属箔、あ
るいは紙などの複層フィルムとして、肉用真空包装フィ
ルム、液体包装袋、乾燥・粉体食品包装、スナック食
品、ペースト状物の包装用チューブ、ガラス瓶用蓋材、
スキン包装など、広範な包装材用途に使用されている。
アイオノマーは、疎水性のエチレン連鎖に親水性のカル
ボキシル基が側鎖として結合しており、更にカルボキシ
ル基の一部もしくは全部が金属イオンによって中和され
た構造を持つ。このため、プラスチック類の中では、一
般にナイロンとポリエチレンの中間程度の吸湿性を持つ
が、アイオノマーの中でもナトリウムやカリウムなどの
アルカリ金属中和アイオノマーの吸湿性が、マグネシウ
ムなどのアルカリ土類金属や亜鉛などの遷移金属中和ア
イオノマーなどに比較してはるかに大きい。また、酸含
量が高い程、あるいは中和度が高い程、アイオノマーの
吸湿性は高くなる。
ナトリウム中和アイオノマーペレットを高温高湿雰囲気
に放置すると、直ちに吸湿する。吸湿したアイオノマー
樹脂を高温で加工すると、水分が樹脂から脱着されて気
化するので、溶融樹脂中で気泡となる。こうした気泡
は、フィルムにピンホールや膜割れを生ずるために品質
の満足した製品が得られない。
は再乾燥しないと使用できないことが多いが、この乾燥
はペレットの融着温度(35〜60℃)以下で行う必要
があり、除湿空気を用いて2〜3日間の乾燥を必要とす
る。
包装材料に優れたエチレン・(メタ)アクリル酸共重合
体のナトリウム中和アイオノマーにおいて、透明性など
の優れた特性を損なうことなく、効果的に吸湿性を実用
上問題ないレベルまで下げる方法について検討を行っ
た。その結果、後述するエチレン・(メタ)アクリル酸
共重合体の亜鉛中和アイオノマーを適量メルトブレンド
して得られる特定の赤外吸収スペクトルを有するアイオ
ノマー組成物を用いるときに、その目的が達成できるこ
とを見い出した。
透明性に優れたエチレンアイオノマー組成物包装材料を
提供することにある。
び亜鉛をイオン源とし、その原子比がNa/Zn=1/
1〜3/1の範囲にあり、且つ1565cm −1 近傍
に、ナトリウム塩と亜鉛塩の複塩の形成に由来する赤外
吸収ピークを有するエチレン・(メタ)アクリル酸共重
合体のアイオノマー組成物からなる包装材料に関する。
ン源とし、その原子比がNa/Zn=1/1〜3/1の
範囲にあり、且つ1565cm −1 近傍に、ナトリウム
塩と亜鉛塩の複塩の形成に由来する赤外吸収ピークを有
するエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノ
マーにも関する。
和アイオノマーと亜鉛中和アイオノマーとの単なる混合
物とは異なる新規物質である。添付図面の図2を参照さ
れたい。ナトリウム中和アイオノマーは、カルボキシレ
ート基の非対称伸縮振動に帰属される波数1540cm
-1の赤外吸収ピークを示し、一方亜鉛中和アイオノマー
は、波数1585cm-1の赤外吸収ピークを示すが、本
発明に用いる特定組成比のアイオノマーは、これらの吸
収ピークとは全く異なる波数1565cm-1近傍に新し
い赤外吸収スペクトルを有しており、ナトリウム塩と亜
鉛塩との複塩を形成しているものと思われる。
亜鉛塩とが複塩を形成する事実が知られている。例え
ば、 ZnO+2NaOH −−> Na2 ZnO2 +H2 O が古くから知られており、またCH3 COONaと(C
H3 COO)2 Znの酢酸溶液から、 (CH3 COO)2 Zn・(CH3 COO)Na・4C
H3 COOH が単離されたという報告もある。
体はより強固なイオン架橋を作り出すために曲げ剛性率
は向上し、またポリエチレン結晶の成長を阻害するため
に透明性も向上する。さらに複塩の形成に伴いイオン凝
集体のイオン基の性質が変わるために吸湿性も変化す
る。
は、ナトリウム中和アイオノマー(比較例1)、亜鉛中
和アイオノマー(比較例5)及び両者の50:50の混
合物から調製した複塩の放置時間と吸湿量との関係がプ
ロットされている。本発明のアイオノマー組成物では、
吸湿性はナトリウム中和アイオノマーより著しく小さく
なっており、亜鉛中和アイオノマーのそれに近い値とな
っている。
加工時における発泡トラブルが著しく軽減される。また
ナトリウム中和アイオノマーの特長に加え、透明性や曲
げ剛性が改善されているので、種々の分野に使用するこ
とができる。
般的にはエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のナト
リウム中和アイオノマーと、エチレン・(メタ)アクリ
ル酸共重合体の亜鉛中和アイオノマーとを、所定割合
で、前記赤外吸収ピークの複塩が形成されるに十分な時
間、溶融混合させることによって得ることができる。
ン・(メタ)アクリル酸共重合体には、他の不飽和単量
体成分、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メ
タ)アクリル酸nーブチルのようなアクリル酸エステル
やメタクリル酸エステル、あるいは酢酸ビニルなどが共
重合されていてもよい。
が88〜99.5モル%、とくに92.5〜99.0モ
ル%、(メタ)アクリル酸が0.5〜10モル%、とく
に1.0〜7.5モル%、その他の不飽和単量体成分が
0〜10モル%、とくに0〜5モル%の割合で共重合さ
れているものが好ましい。かかる共重合体は高温、高圧
下、各重合成分をランダム共重合することによって得る
ことができる。
イオノマーもしくは亜鉛中和アイオノマーは、上記エチ
レン・(メタ)アクリル酸共重合体と、ナトリウムイオ
ンもしくは亜鉛イオンを供給する金属化合物、例えばギ
酸塩、酢酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などと反応さ
せることによって容易に製造することができる。かかる
製造方法についてもすでによく知られている。
て、中和度が10〜90モル%、とくに15〜80モル
%程度のものを使用するのが好ましく、また190℃,
2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01
〜500g/10分、とくに0.1〜100g/10分
程度のものを使用するのが好ましい。
て、ハイミラン1601,1605,1707等、また
亜鉛中和アイオノマーの1例としてハイミラン165
2,1706等(いずれも三井・デュポンポリケミカル
社製)などを市場で入手し得る代表例として挙げること
ができる。
ム中和アイオノマーと亜鉛中和アイオノマーとを、ナト
リウム/亜鉛(原子比)が1/1〜3/1、好ましくは
1.5/1〜2.5/1となるような割合で溶融混合し
て得られる組成物から形成することができる。溶融混合
の条件は、得られる組成物のカルボキシレート基の非対
称伸縮振動に帰属される赤外吸収ピークが、ナトリウム
中和アイオノマー(1540cm-1近傍)や亜鉛中和ア
イオノマー(1585cm-1近傍)と異なる1565c
m-1近傍に有するものとして得られるなら如何なる条件
でもよい。例えばナトリウム中和アイオノマーと亜鉛中
和アイオノマーを、単軸あるいは2軸の押出機で100
〜250℃の温度下で溶融混練する方法が最も簡便な方
法である。
物を得る他の方法は、イオン源となる前述のナトリウム
化合物と亜鉛化合物をあらかじめ所定量混合したのち、
エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体と反応すること
によっても得ることができる。この際、イオン化反応の
原料は、単軸あるいは2軸押出機などで180〜280
℃の温度下に溶融混練するのが良い。又副生する水、炭
酸ガス等を除くためにベント式押出機を用いるのが好ま
しい。
成物において、亜鉛に対するナトリウムの割合が前記範
囲より大きくなると吸湿性の改善が充分でなく、またそ
の割合が前記範囲より小さくなると、ナトリウム中和ア
イオノマーの有する優れた包装材料特性が失われるので
好ましくない。
しては、10〜90モル%、とくに15〜80モル%の
ものが好適であり、また加工性、機械的特性を考慮する
と、190℃,2160g荷重におけるメルトフローレ
ートが0.01〜500g/10分、とくに0.1〜1
00g/10分のものが好ましい。
は、目的に応じ任意の添加剤、例えば酸化防止剤、耐候
安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、無機充填剤など
を配合することができる。
なる包装材料は、フィルム、シート、チューブ、中空容
器などの各種形状で使用できる。これらの用途によって
異なるが、アイオノマー組成物層の厚みは、例えば5〜
500μmの範囲とすることができる。
で、インフレーション法あるいはTダイキャスト法によ
り包装品を成形することができる。このような包装品は
1軸又は2軸に延伸したり、あるいは深絞り加工を行う
ことができる。また、このような包装品の一方の面に、
他の層が形成されていてもよい。このような層として、
ポリオレフィン、エチレン・ビニルアルコール共重合
体、ポリ塩化ビニリデン、金属箔、あるいは紙などを例
示することができる。このような層は勿論、単層でも複
層であってもよい。
する。なお、実施例、比較例に原料として用いたエチレ
ン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマーの組成、
ならびに各種評価試験方法は次の通りである。
重合体アイオノマーの組成 エチレン・(メタ)アクリル酸ランダム共重合体アイオ
ノマーの組成を表1に示す。
10分間に流出するポリマーの重量をMFRとして測定
した。
間の条件で作成した3mm厚プレスシートより試験片
(10cm×2cm×3mm)を打ち抜き、23℃、5
0%相対湿度に放置したときの試験片重量を15日毎に
90日間測定した。更に、吸湿した試験片を180℃真
空乾燥器で20分間乾燥した時の重量減少を水分の脱着
によるものと見なし吸湿量を算出した。吸湿量の報告値
は5試験片の測定結果の平均値である。
の条件で作成した3mm厚プレスシートの曇度(ヘイ
ズ)を、スガ試験機社製曇度計モデルHGM−2Kを用
いて測定した。測定値の低いほど曇度が少なく透明性が
良いことを示す。
の条件で作成した3mm厚プレスシートより試験片(1
0cm×1cm×3mm)を打ち抜き、防湿アルミ袋に
密封して2〜3週間23℃でエージングしたのち、AS
TMD−747に従って東洋精機社製スティフネステス
ターを用いて測定した。曲げ剛性率の報告値は5試験片
の測定結果の平均値である。
0分間の条件で厚さ約50μmのフィルムを作成し、室
温で、デジラボ社製FT・1R モデルFTS−40を
用いて、分解能2cm-1、積算回数64回で赤外スペク
トルを測定した。
東洋精機社製ラボプラストミル モデルR-100を用い
て、ローター回転数60rpm、樹脂温度200℃で1
0分間溶融混練してアイオノマー組成物を調整した。比
較例1,2,5,6,7の非ブレンド物も、熱履歴を一
定とするために同一処理を行った。
性、グロス、及び曲げ剛性率を評価した。結果を表2の
下段に示す。表2において、実施例1〜5はエチレン・
(メタ)アクリル酸共重合体のナトリウム中和アイオノ
マーにエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の亜鉛中
和アイオノマーをブレンドした組成物であり、ナトリウ
ムイオンと亜鉛イオンの配合比は本発明の範囲内1/1
〜3/1(モル/モル)にある。
非ブレンド物よりも良い値を示し、かつ実施例1〜5の
曲げ剛性率は全て原料である非ブレンド物よりも高い値
を示した(実施例1に対して比較例1と5、実施例2〜
4に対して比較例2と5、実施例5に対して比較例6と
7)。また、実施例1の吸湿性の評価試験結果を比較例
1,5の結果と合わせて図1に示す。
と比較例5の50重量部の配合物であるが、吸湿性は亜
鉛中和アイオノマーである比較例5の吸湿性とほとんど
変わらず、ナトリウム中和アイオノマーである比較例1
の吸湿性が著しく改善されていることは明瞭である。図
2に示すように、ナトリウムイオンと亜鉛イオンの配合
比が1/1〜3/1(モル/モル)の時に、カルボキシ
レート基の非対称伸縮振動に新しい吸収ピークが現われ
る。
なイオン架橋を作り出すために曲げ剛性率は向上し、ま
たポリエチレン結晶の成長を阻害するために透明性も向
上する。さらに複塩の形成に伴いイオン凝集体のイオン
基の性質が変わるために吸湿性も変化する。このように
エチレンアイオノマーの固体構造の変化から物性の変化
を極めて合理的に説明することができる。尚、本発明の
範囲を逸脱する比較例4,5の赤外チャートには、複塩
の形成を示す新しい赤外ピークは観測されない。
験 表2上段に示した実施例1の配合処方(重量部)によ
り、単軸押出機(スクリュー径30mm,L/D=3
2)を用いて樹脂温度200℃、押出速度3kg/hで
混練し造粒した。このペレット、ならびに比較例1のペ
レットを20℃で水に24時間浸漬したのち、除湿空気
を用いて乾燥し、乾燥時間を調整することで水分含量の
異なる試料を作成した。
0mm)を装備した単軸押出機(スクリュー径30m
m,L/D=30)を使用して、巻取速度3m/min
で引き取り、折幅200mm、厚み50μmのフィルム
を作成した。この際、樹脂温度を180から230℃ま
で変化させて、インフレダイスから出る樹脂に発泡が見
られるかどうかを目視で判定した。結果を図3に示す。
エチレンアイオノマーは、一般に樹脂温度180〜20
0℃でフィルム成形されるが、図3から明らかなよう
に、水分濃度が0.2wt%以下では発泡が起こらな
い。実施例1の23℃,50%相対温度における平衡水
分濃度は0.2wt%であるので、実施例1の吸湿性は
実用上問題ないレベルまで低減されていることは明白で
ある
マー組成物は、実施例や図面で示すようにナトリウム中
和アイオノマーや亜鉛中和アイオノマーのカルボキシレ
ート基の非対称伸縮振動に帰属される赤外吸収ピークと
異なる吸収スペクトルを有している。また前述した物性
改善の事実と考え合せ、またナトリウム化合物と亜鉛化
合物の低分子化合物同志の反応に基づく複塩形成の事実
から見て、上記アイオノマー組成物は複塩を形成してい
るものと想定される。
料は、吸湿性はナトリウム中和アイオノマーより著しく
小さくなっており、加工時における発泡トラブルが著し
く軽減される。またナトリウム中和アイオノマーの特長
に加え、透明性や曲げ剛性が改善されているので、種々
の分野に使用することができる。
相対温度でエージングしたときの、エージング時間と吸
湿量の関係を示した図表である。
ンと亜鉛イオンの配合比と、赤外スペクトルにおけるカ
ルボキシレート基の非対称伸縮振動吸収の変化を示した
図表である。
ン法により加工成型した際の、発泡現象と水分、加工温
度の関係を示した図表である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ナトリウム及び亜鉛をイオン源とし、そ
の原子比がNa/Zn=1/1〜3/1の範囲にあり、
且つ1565cm −1 近傍に、ナトリウム塩と亜鉛塩の
複塩の形成に由来する赤外吸収ピークを有するエチレン
・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー組成物か
らなる包装材料。 - 【請求項2】 ナトリウム及び亜鉛をイオン源とし、そ
の原子比がNa/Zn=1/1〜3/1の範囲にあり、
且つ1565cm −1 近傍に、ナトリウム塩と亜鉛塩の
複塩の形成に由来する赤外吸収ピークを有するエチレン
・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー。
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