JP3298219B2 - 希土類―Fe−Co−Al−V−Ga−B系焼結磁石 - Google Patents

希土類―Fe−Co−Al−V−Ga−B系焼結磁石

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JP3298219B2 JP08256393A JP8256393A JP3298219B2 JP 3298219 B2 JP3298219 B2 JP 3298219B2 JP 08256393 A JP08256393 A JP 08256393A JP 8256393 A JP8256393 A JP 8256393A JP 3298219 B2 JP3298219 B2 JP 3298219B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたエネルギー積お
よび耐熱性および熱処理性を有する希土類−Fe−Co
−Al−V−Ga―B系焼結磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系焼結磁石は、SmCo
5系焼結磁石或いはSm2Co17系焼結磁石と比較して高
いエネルギー積(BH)maxを有することから、種々
の用途に使用されるようになっている。しかしながら、
Nd−Fe−B系焼結磁石は、これらSm−Co系焼結
磁石に比較して熱安定性に劣ることから、その熱安定性
を増すために種々の試みが提案されている。その一例と
して特開昭64−7503号公報には、熱安定性の良好
な永久磁石として一般式: R(Fe1-x-y-zCoxyGazA (但し、Rは希土類元素から選ばれた少なくとも1種で
あり、0≦x≦0.7、0.02≦y≦0.3、0.001
≦z≦0.15、4.0≦A≦7.5である)、及び、 R(Fe1-x-y-zCoxyGazuA (但し、Rは希土類元素から選ばれた少なくとも1種で
あり、MはNb,W,V,Ta及びMoから選ばれた1
種または2種以上の元素であり、0≦x≦0.7、0.0
2≦y≦0.3、0.001≦z≦0.15、u≦0.1、
4.0≦A≦7.5である。)により表されるものが開示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近時永久磁石を用いた
装置のより一層の小型化が要求されており、それにとも
ない優れた熱安定性を有し、かつ高エネルギー積を兼備
する永久磁石の登場が望まれている。前記特開昭64−
7503号に記載の永久磁石は、Gaを添加することに
より保磁力iHcを向上し優れた熱安定性を実現してい
るが、エネルギー積に関しては前記要求を満足すること
ができない。すなわち、実用上、保磁力iHcは12K
Oe以上有することが要求されるが、このレベルの保磁
力を有する磁石のエネルギ−積(BH)maxは40M
GOe以下である。そこで本発明は、前記希土類(Nd
とDy、必要に応じてPrを含む)−Fe−Co−Al
−V−Ga−B系合金組成を選択し、かつ含有するGa
が所定量以上希土類リッチ相に濃縮されることにより、
常温において42MGOe以上の高い最大エネルギー積
(BH)max、12KOe以上実用に耐える保磁力
iHc、および優れた熱処理性を有する希土類−Fe−
Co−Al−V−Ga―B系焼結磁石提供すること
課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題
を解決するためにNd−Fe−B系磁石の組成およびミ
クロ組織を詳細に検討したところ以下の知見を得た。 (1)Nd含有量を少なくすればエネルギ−積(BH)
maxは向上するが、その反面保磁力iHcは低下す
る。 (2)Nd含有量を少なくすることによる保磁力iHc
の低下を補うためにGaを添加することは有効である
が、Gaの保磁力iHc向上効果は一定量の添加で飽和
してしまい前記保磁力iHcの低下を十分に補うことが
できない。 (3)Gaの添加で補えない保磁力iHcの向上にはD
の添加が有効であり、残留磁束密度Brをあまり低下
しない範囲で添加することにより、常温において42M
GOe以上の高いエネルギー積(BH)max、および
12KOe以上の実用に耐える保磁力iHcを有する
が得られる。ここで重要なことは、前記の良好な磁気
特性は含有されるGaが希土類リッチ相中に所定量以上
濃縮されたミクロ組織になる場合に実現されることであ
る。本発明は以上の知見に基づきなされたものであり、
実質的にNdおよびDyまたはNd、DyおよびPrか
らなる希土類元素28〜32wt%(ただしDyは0.
4〜3wt%)、Co6wt%以下(0を含まず)、A
l0.5wt%以下(0を含まず)、B0.9〜1.3w
t%、V0.05〜2.0wt%、Ga0.02〜0.5w
t%、酸素500ppm〜5000ppm、残部Feお
よび不可避的不純物からなり、常温において保磁力iH
cが12kOe以上、最大エネルギー積(BH)max
が42MGOe以上であり、熱処理性に優れた希土類
Fe−Co−Al−V−Ga―B系焼結磁石であって、
希土類リッチ相中の平均Ga量が前記焼結磁石の全Ga
含有量の2倍以上であることを特徴とする希土類−Fe
Co−Al−V−Ga―B系焼結磁石である。
【0005】以下に本発明の焼結磁石の成分限定理由を
記載する。NdおよびDyまたはNd、DyおよびPr
本発明においてNdおよびDyまたはNd、Dyおよび
Prは28〜32wt%の範囲(ただしDyは0.4〜
3wt%)で含有される。後述の実施例に示されるよう
に、Nd量が少ないほど(BH)max、残留磁束密度
Brの向上に有効であるが、保磁力iHcを低下させ
る。本発明は保磁力iHcを向上するためにDyを添加
する。このDyは、キュリー点Tcを上昇させるととも
に異方性磁場(HA)を増大して保磁力iHcの向上に
寄与する。しかし、含有量が多くなると、残留磁束密度
Brが低下し最大エネルギー積(BH)maxも低下さ
せる。したがってDyの含有量は0.4〜3.0wt%の
範囲とする。Dyの最も望ましい量は、0.7〜1.5w
t%である。Ndの含有量が少なくなるとインゴット中
にα−Feが発生することにより(BH)maxの増大
は期待しにくく、一方多くなるとNdリッチ相が増大す
ることにより(BH)maxが低下する。以上よりNd
およびDy、またはNd、DyおよびPrの合計量を2
8〜32wt%とする。なお、Ndの一部を他の希土類
元素(Dy、Prを除く)で置換することもできる。
【0006】本発明においてCoは、残留磁束密度Br
を殆ど低下させることなく磁石合金自身の耐食性を改善
するとともに、耐食コーティングであるNiメッキの密
着性を向上することにより耐食性を向上させる効果があ
る。また、主相(Nd2Fe14B)中のFe がCoに置
換されることによりキューリー点Tcを上昇させる効果
もある。しかしながらCoの置換量を多くすると、焼結
時の異常粒成長を原因とする粗大結晶粒が発生し、保磁
力iHc及びヒステリシスカーブの角型性が低下する。
したがってCo含有量は6.0wt%以下とする。
【0007】本発明においてCoとAlとを適量添加す
ることにより第2次熱処理温度の許容範囲を広げること
ができる。希土類−Fe−B系焼結磁石にCoのみ
加した場合、第2次熱処理温度の変動に対する磁気特性
の変動が大きくなる。所定量のCoを含有するとともに
Alを0.5wt%以下(0を含まず)含有すると、
2次熱処理温度が変動しても磁気特性の変動を小さく抑
えられて安定した品質のものを生産することができる。
Alの含有量が0.5wt%超では残留磁束密度Brの
低下が顕著になる。したがって、Alの含有量は0.5
wt%以下(0 を含まず)がよい
【0008】Bは、希土類−Fe−B系磁石において必
須の元素である。Bが0.9wt%未満の場合には高保
磁力が得られず、一方、1.3wt%を越えると、Bに
富む非磁性相が増加し、残留磁束密度Brが低下する。
そのため、0.9〜1.3wt%とする。好ましいBの含
有量は0.95〜1.1wt%である。
【0009】Gaは、残留磁束密度Brを殆ど低下させ
ず、保磁力iHcを向上する効果がある。Ga含有量が
0.02wt%未満の場合は保磁力iHc向上効果が十
分でない。Ga含有量が0.5wt%を超えると、保磁
力iHc向上の効果が飽和するとともに残留磁束密度B
rが低下し、所望の高エネルギー積が得られない。よっ
て、Ga含有量は0.02〜0.5wt%とする。Gaの
望ましい範囲は、0.03〜0.2wt%である。Gaは
磁石体中のNdに富むNdリッチ相中に存在することに
よりその効果が発揮され、特に、Ndリッチ相中の平均
Ga量が全Ga添加量の2倍以上である場合にその効果
が著しい。なお、Ndリッチ相中のGa量は焼結条件、
熱処理条件によって変動する。
【0010】本発明の焼結磁石は、上記成分の他に0.
05〜2.0wt%のVを含有する。Vは周期率表第V
a族に族する金属元素でこれを添加することで焼結時に
結晶粒が粗大化することを抑制する効果がある。この効
果により、保磁力iHcが向上し、ヒステリシスカーブ
の角型性が良好になる。また、着磁性の良好なNd−F
e−B系磁石は優れた耐熱性を有するが、焼結体の結晶
粒を微細にすると着磁性が向上する。よって、Vは耐熱
性向上に有効な元素である。Vの含有量が0.05wt
%未満の場合、粗大粒を抑制する効果が不十分である。
一方、Vの含有量が2.0wt%を超える場合には、V
もしくはV−Feの非磁性ホウ化物が多く発生し、残留
磁束密度Br及びキュリー点Tcが著しく低下し好まし
くない。よって、Vの含有量は0.05〜2.0wt%と
する。好ましくは、0.1〜1.0wt%である。
【0011】本発明においては、酸素含有量を500p
pm〜5000ppmとする。酸素が500ppmより
少ない場合には磁石粉、及びその圧密体が発火しやすく
工業生産上危険がある。一方、5000ppmより多い
場合には酸素がNd、DyまたはNd、DyおよびPr
と酸化物を形成することにより磁性に有効に作用するN
d、DyまたはNd、DyおよびPrの量が減少し、高
保磁力及び高エネルギー積の磁石を得るのが困難にな
る。
【0012】本発明の焼結磁石は、次のようにして製造
することができる。即ち、一定の成分組成を有するイン
ゴットを真空溶解で製作し、次にこのインゴットを粗粉
砕することにより粒径500μm程度の粗粉を得る。こ
の粗粉をジェットミルを用い、不活性ガス雰囲気で微粉
砕し平均粒径3.0〜6.0μm(F.S.S.S.)の微粉
を得る。次にこの微粉を配向磁場15kOe、成形圧力
1.5ton/cm2の条件下で磁場中プレス成形後、1
000〜1150℃の温度範囲で焼結する。
【0013】焼結後の熱処理は、次のように行なうこと
ができる。成形体を焼結して得た焼結体をいったん室温
まで冷却する。焼結後の冷却速度は最終製品の保磁力i
Hcに殆ど影響を与えない。次いで、800〜1000
℃の温度に加熱し、0.2〜5時間保持する。これを第
1次熱処理とする。加熱温度が800℃未満または10
00℃を超える場合、充分な高保磁力が得られない。加
熱保持の後で0.3〜50℃/分の冷却速度で室温ない
し600℃の温度まで冷却する。冷却速度が50℃/分
を超える場合は、時効のために必要な平衡相が得られ
ず、充分な高保磁力が得られない。また、0.3℃/分
未満の冷却速度は熱処理に時間を要し、工業生産上経済
的でない。好ましくは、0.6〜2.0℃/分の冷却速度
が選ばれる。冷却終了温度は室温が望ましいが、多少保
磁力iHcを犠牲にすれば600℃までとし、その温度
以下は急冷してもよい。好ましくは、常温〜400℃の
温度まで冷却する。
【0014】熱処理は更に500〜650℃の温度で
0.2〜3時間行う。これを第2次熱処理とする。組成
によって異なるが、好ましくは540〜640℃での熱
処理が有効である。熱処理温度が500℃未満の場合及
び650℃より高い場合は、高保磁力が得られても不可
逆減磁率の低下がおきる。熱処理後は第1次熱処理と同
様、0.3〜400℃/分の冷却速度で冷却する。冷却
は水中、シリコンオイル中、アルゴン気流中等で行うこ
とができる。冷却速度が400℃/分を越える場合、急
冷により試料に亀裂が入り、工業的に価値のある永久磁
石材料が得られない。また、0.3℃/分未満の場合、
冷却過程で保磁力iHcに好ましくない相が出現する。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 (実施例1) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 Nda−Dyb−B1.04−V0.59−GaC−Co0.20−A
0.35−Febal. (wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この微粉は平均粒径4.0μm(F.S.S.S.)で
あり、含有酸素量が5300ppmであった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。この成形体は実質的に真空
の条件で1080℃×3hrの焼結を行い、得られた焼
結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次いで530
℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体の
密度は7.55〜7.58g/cc、また含有酸素量は1
100〜4000ppmであった。これら試料につい
て、常温磁気特性を測定し、図1、図2及び図3に示す
ような結果を得た。図1はDy=1.0wt%、Ga=
0.06wt%としてNd量と磁気特性の関係を示した
グラフである。Nd量の増加にともなって保磁力iHc
は向上するが、逆に残留磁束密度Brは低下する傾向に
ある。図2はDy=1.0wt%、Nd=29wt%と
してGa量と磁気特性の関係を示したグラフである。G
a量の増加に伴い保磁力iHcは向上するが、0.08
wt%程度でその効果は飽和する。また、この間におけ
る残留磁束密度Brの低下はわずかである。図3はNd
=29wt%、Ga=0.06wt%としてDy量と磁
気特性の関係を示したグラフである。Dy量の増加に伴
い保磁力iHcは向上するが、残留磁束密度Brの低下
が顕著となり、最大エネルギ−積(BH)maxも劣化
する。以上図1〜図3から、優れた最大エネルギ−積
(BH)maxおよび保磁力iHcを兼備するために
は、Nd量を最適化するとともに、DyおよびGaを適
量複合添加する必要があることがわかる。
【0016】(実施例2) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 組成 : Nd29.5−Dy1.2−B1.03−V0.35−Ga
0.06 −Co0.30−Al0.33−Febal.(wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この際不活性ガス中に微量の酸素を混入せしめるこ
とにより、種々の酸素量の微粉を得た。なお、微粉は平
均粒径4.0μm(F.S.S.S.)であった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。この成形体は実質的に真空
の条件で1080℃×3hrの焼結を行い、得られた焼
結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次いで530
℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体の
密度は7.55〜7.58g/cc、また含有酸素量は1
000〜5800ppmであった。これら試料について
常温磁気特性を測定した。結果を図4に示すが、含有酸
素量が5000ppmを越えると保磁力iHcの減少が
著しくなるため、酸素量は1000〜5000ppmと
する。図5に含有酸素量が5400ppmと2000p
pmと異なる2つの焼結体のNdおよび酸素のEPMA
(電子線マイクロアナライザ)の線分析の結果を示す。
含有酸素量の多い焼結体はほとんどのNdのピークと酸
素のピークが重なっており、多量のNd酸化物が形成さ
れているものと考えられる。一方、含有酸素量の少ない
焼結体は、Ndのピークと酸素のピークの重なりも観察
されるが、単独で存在するNdのピークもかなり観察さ
れる。すなわち、含有酸素量が多い焼結体はNdが磁気
特性に寄与しない酸化物として多く存在するのに対し、
含有酸素量が少ない焼結体は磁気特性に有効に寄与する
Ndが多く存在するのである。なお、図5中○が施され
た部分がNdが酸素と独立して存在するピークである。
【0017】(実施例3) ジジムメタル(Nd70wt%−Pr30wt%)、金
属Dy、Fe、Co、ferro−B、ferro−
V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真空溶解して
重量10kgのインゴットを作製した。このインゴット
の成分分析を行なうと重量比で以下のような組成であっ
た。 組成 : (Nd+Pr)28.5−Dy0.6−B1.05−Vx
−Ga0.05 −Co2.25−Al0.35−Febal.(wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この際不活性ガス中に微量の酸素を混入せしめるこ
とにより、種々の酸素量の微粉を得た。なお、微粉は平
均粒径4.0μm(F.S.S.S.)であった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。この成形体は実質的に真空
の条件で1080℃×3hrの焼結を行い、得られた焼
結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次いで530
℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体の
密度は7.55〜7.58g/cc、また含有酸素量は2
600〜4400ppmであった。これら試料につい
て、常温磁気特性、および平均粒径を測定し、図6に示
すような結果を得た。図6に示されるようにVを含有さ
せることにより焼結時の結晶粒成長を抑制でき、その結
果焼結体平均粒径を小さくできる。また、この効果によ
り保磁力iHcの向上を期待できる。2.0wt%以上
の含有によっても平均粒径の減少をさほど期待出来ず、
また最大エネルギ−積(BH)maxの低下も大きくな
るので0.1〜2.0wt%の添加が適量である。
【0018】(実施例4) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 Nd27.5−Dy0.8−B1.00−V0.34−Ga0.20 −Coy−Alz−Febal. y=0 z=0 y=1.57 z=0 y=1.60 z=0.35 (wt%) 各々のインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉
砕機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500
μm以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェッ
トミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を
得た。この微粉は平均粒径3.8μm(F.S.S.S.)
であり、含有酸素量は4200〜5300ppmであっ
た。次に、この微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧
力1.5ton/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、
30×20×15の成形体を作製した。この成形体は実
質的に真空の条件で1100℃×2hrの焼結を行い、
得られた焼結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次
いで500〜600℃×2hrの第2次熱処理を施し
た。得られた焼結体の密度は7.56〜7.59g/c
c、また含有酸素量は2100〜3300ppmであっ
た。これら試料について常温磁気特性を測定し、図7に
示されるような結果を得た。図7に示されるように、C
oを単独で添加したもの(△)は磁気特性がCo及びA
l無添加のもの(○)と比較して第2次熱処理温度依存
性が大きくなる。すなわち、第2次熱処理温度が変動し
た場合のiHcの低下が顕著である。つぎに、Co及び
Alを複合添加したもの(□)はCoを単独で添加した
もの(△)に比べて同一の第2次熱処理温度に対してi
Hcを高められるとともに第2次熱処理温度が変動した
場合のiHcが緩やかであることがわかる。このように
AlおよびCoを複合添加することは有用である。
【0019】次に前記(Co無添加)、(Co添
加)、(Co,Al添加)の組成を有する磁石にNi
メッキを施して、その密着性を評価した。Niメッキ
は、ワット浴による電解メッキで膜厚10μmとした。
メッキ処理後水洗いして100℃で5分間乾燥後メッキ
密着性試験を行った。結果は下記の通りであり、Co添
加材が優れたメッキ密着性を有することがわかる。 材 質 密着強度(Kgf/cm2) (Co無添加) 150 (Co添加) 660 (Co,Al添加) 685
【0020】(実施例5) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 Nd28.5−Dy0.80−B1.20−V1.05−Gac −Co0.15−Al0.32−Febal. (wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この微粉は平均粒径4.0μm(F.S.S.S.)で
あり、含有酸素量が4300ppmであった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。 この成形体は実質的に真
空の条件で1070℃×3hrの焼結を行い、得られた
焼結体に930℃×2hrの第1次熱処理、次いで52
0℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体
の密度は7.54〜7.57g/cc、また含有酸素量は
1000〜3200ppmであった。これら試料につい
て、試料全体のGa含有量、Ndリッチ相中のGa量と
保磁力iHcの関係を調査した。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例6) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 Nd28.0−Dy1.0−B1.03−V0.67−Ga0.1 −Co0.21−Al0.35−Febal. (wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この微粉は平均粒径4.0μm(F.S.S.S.)で
あり、含有酸素量が4800ppmであった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。この成形体は実質的に真空
の条件で1080℃×3hrの焼結を行い、得られた焼
結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次いで530
℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体の
密度は7.55〜7.58g/cc、また含有酸素量は1
000〜3600ppmであった。これら試料につい
て、Ndリッチ相中の平均Ga量と保磁力iHcおよび
Hkの関係を調査した。結果を表2に示すが、Ndリッ
相中の平均Ga量が全体のGa含有量の1.7倍以下
では保磁力iHcが11.7 KOe以下であり12KO
eには達していないことがわかる。
【0023】
【表2】
【0024】(実施例7) 金属Nd、金属Dy、Fe、Co、ferro−B、f
erro−V、金属Gaを所定の重量秤量し、これを真
空溶解して重量10kgのインゴットを作製した。この
インゴットの成分分析を行なうと重量比で以下のような
組成であった。 Nd27.5−Dy2.0−B1.1/1.4−V1.6−Ga0.08 −Co0.22−Al0.30−Febal. (wt%) このインゴットをハンマーで解砕した後、さらに粗粉砕
機を用い不活性ガス雰囲気中での粗粉砕を行い500μ
m以下の粒度の粗粉を得た。この粗粉を同じくジェット
ミルを用い不活性ガス雰囲気中で微粉砕をして微粉を得
た。この微粉は平均粒径4.0μm(F.S.S.S.)で
あり、含有酸素量が4800ppmであった。次に、こ
の微粉を配向磁場強度15kOe、成形圧力1.5to
n/cm2の条件下で磁場中プレス成形し、20×20
×15の成形体を作製した。この成形体は実質的に真空
の条件で1080℃×3hrの焼結を行い、得られた焼
結体に900℃×2hrの第1次熱処理、次いで530
℃×2hrの第2次熱処理を施した。得られた焼結体の
密度は7.55〜7.58g/cc、また含有酸素量は1
000〜3600ppmであった。これら試料につい
て、Bリッチ相の体積%と残留磁束密度Br、最大エネ
ルギ−積(BH)maxの関係を調査した。結果を表3
に示すが、Bリッチ相が増加するにつれ残留磁束密度B
r、最大エネルギ−積(BH)maxが減少し、2.4
体積%となると最大エネルギ−積(BH)maxが42
MGOe未満となる。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば
有のミクロ組織を有し、常温において42MGOe以上
の高い最大エネルギー積(BH)max、12KOe以
実用に耐える保磁力iHc、および優れた熱処理性
を有する希土類−Fe−Co−Al−V−Ga―B系
磁石を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の焼結磁石のNd含有量と最大エネル
ギ−積(BH)max、残留磁束密度Brおよび保磁力
iHcとの相関の一例を示グラフである
【図2】 本発明の焼結磁石のGa含有量と最大エネル
ギ−積(BH)max、残留磁束密度Brおよび保磁力
iHcとの相関の一例を示グラフである
【図3】 本発明の焼結磁石のDy含有量と最大エネル
ギ−積(BH)max、残留磁束密度Brおよび保磁力
iHcとの相関の一例を示グラフである
【図4】 本発明の焼結磁石の酸素含有量と最大エネル
ギ−積(BH)max、残留磁束密度Brおよび保磁力
iHcとの相関の一例を示グラフである
【図5】 含有酸素量が5600ppmと2000pp
mと異なる2つの焼結体のNdおよび酸素のEPMA
(電子線マイクロアナライザ)の線分析の結果を示すグ
ラフである
【図6】 本発明の焼結磁石のV含有量焼結体平均結
晶粒径との相関の一例を示グラフである
【図7】 本発明の焼結磁石における保磁力iHcと第
2次熱処理温度との相関に及ぼすCo及びAlの複合
の効果の一例をグラフである
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−7503(JP,A) 特開 平5−47529(JP,A) 特開 昭63−18603(JP,A) 特開 平1−304713(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/032 - 1/08 C22C 33/02,38/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にNdおよびDyまたはNd、Dy
    およびPrからなる希土類元素28〜32wt%(ただ
    しDyは0.4〜3wt%)、Co6wt%以下(0を
    含まず)、Al0.5wt%以下(0を含まず)、B0.
    9〜1.3wt%、V0.05〜2.0wt%、Ga0.0
    2〜0.5wt%、酸素500ppm〜5000pp
    m、残部Feおよび不可避的不純物からなり、常温にお
    いて保磁力iHcが12kOe以上、最大エネルギー積
    (BH)maxが42MGOe以上であり、熱処理性に
    優れた希土類−Fe−Co−Al−V−Ga―B系焼結
    磁石であって、希土類リッチ相中の平均Ga量が前記焼
    結磁石の全Ga含有量の2倍以上であることを特徴とす
    希土類−Fe−Co−Al−V−Ga―B系焼結
    石。
  2. 【請求項2】Bリッチ相が2vol.%以下である請求
    項1に記載の記載の希土類−Fe−Co−Al−V−G
    a―B系焼結磁石。
  3. 【請求項3】表面にNiメッキを被覆した請求項1また
    は請求項2に記載の希土類−Fe−Co−Al−V−G
    a―B系焼結磁石。
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