JP3194134U - 装束 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、上記した死装束としての白無垢、ドレス、モーニングコート等を総称して、あるいは、各個別の衣装を、単に装束ということがある。
特許文献2には、遺体への着付けが容易なモーニングコートが記載されている。このモーニングコートは、左右に分割した後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を縫い合わせることなく開放し、かつ、両袖部のそれぞれの内側縫い目を開放して着付けするようにしたものである。この際、シャツは、モーニングコートと同様に後身頃は左右に開放され、シャツ自体は、モーニングコートに縫い付けることが望ましいとされている。このシャツが縫い付けられたモーニングコートを、遺体に被せる状態で着衣させることで、遺体への着付けを容易にするという効果を達成している。
特許文献3には、遺体への着付けが容易なドレスが記載されている。このドレスは、左右に分離された後身頃を備え、遺体を覆うようにしてドレスを広げてのせ、左右の後身頃の内側に設けられた面ファスナー対を接着するようにして着付けするものである。
特許文献1に記載の白無垢においては、分割した右パーツと左パーツの正面側は面ファスナーで接着されるが、背面側は、接着手段が無く、着付けした後、着崩れをおこし見栄えが悪くなる可能性が高い。
上記特許文献2に記載のモーニングコートにおいては、左右に分割した後身頃の縫い合わせ目となる後ろ中心縫い目を開放しているので、遺体に着付けした後、着崩れをおこし見栄えが悪くなる可能性が高い。なお、特許文献2には、シャツをモーニングコートと分離させて着衣させてもよいことが記載されているが、具体的なシャツの構成については記載されていない。
上記特許文献3に記載のドレスにおいては、遺体を数回に亘って動かさねばならず、着付け作業に時間が掛かり、また、ドレスそのものを調整するため、例えば、ドレスに局部的に皺、捩れ、膨らみ等が発生し、見栄えが悪くなる可能性が高い。
したがって、本考案の目的は、着付けが容易に行え、見栄えの良い装束を提供することにある。
なお、本考案の装束は、着衣者の希望で、生前の着衣者の体型に合わせて仕立てられているが、病気による体重増減、手術による身体の一部切除等のため、葬儀の際、遺体への着付けにおいては、補正用の部材を用いて、装束を見栄え良くするための補正が必要なことも想定されている。
本考案の第1の実施の形態の装束は、和装の装束であり、以下、「着物」という。本考案の着物は、補正着1、上衣10、下衣20、帯30、薄衣40を基本的な構成とする。
まず、補正着1について説明する。
図1は補正着1の正面図、図2は補正着1の背面図、図3は補正の説明図である。補正着1は、前身頃2と、右後身頃3aと、左後身頃3bと、右襟4aと、左襟4bとを備え、前身頃2は、矩形状の生地を身体の首部に対応する部分が略V字状に裁断されて形成されている。この略V字状のラインを被うようにして、右襟4aと左襟4bが形成されている。襟の合わせは、左前に形成されている。つまり、右襟4aと左襟4bとの交差部は、左襟4bが、右襟4aの内側になるように形成されている。これは、葬儀の際は生前と逆の合わせにする、つまり、男女に限らず、生前に着装する着物は、襟の合わせが右前であり、葬儀の際は、襟の合わせが左前であるという古来からの風習に沿ったものである。なお、右、または、右側とは、右襟側を意味し、左、または、左側とは、左襟側を意味する。他の実施の形態においても同様である。
前身頃2と、右後身頃3aおよび左後身頃3bとの境界は、肩山(不図示)である。右襟4a、左襟4bは、前身頃2には縫着されているが、右後身頃3aおよび左後身頃3bには逢着されない。このため、右襟4a、左襟4bの肩山より上部は、身体の首に着装されて、上端部は留め具5a,5bで係着され、また、右後身頃3aは身体の右肩部に、左後身頃3bは身体の左肩部に、それぞれ着装される。
図4は、上衣10の正面図、図5は、上衣10の背面図、図6は、下衣20の展開図である。本考案の着物は、一般的な着物を身体の腰部近傍で上衣10と下衣20とに上下に分離し、さらに、上衣10を右パーツ11aと左パーツ11bとに左右に分離した構成となっている。
上衣10の右パーツ11aは、一般的な着物と同様に、右前袖12a、右前身頃13a、右衽14a、右後身頃15a、右前襟16a、右後襟17a等を備え、左パーツ11bは、同様に、左前袖12b、左前身頃13b、左衽14b、左後身頃15b、左前襟16b、左後襟17b等を備えており、左右対照の構成となっている。なお、右後襟17a、左後襟17bは、いずれか一方の長さを他方よりも長く形成してもよい。
ここで、上衣10の着付けにおいて、前述した左前になるように、左前襟16bが右前襟16aの内側に合わされるように着付けされる。また、右パーツ11aと左パーツ11bとを結合する際に、右後身頃15aの背中線側の端縁部と左後身頃15bの背中線側の端縁部が重ね合わされて結合される。なお、背中線とは、身体の背部の中心を通る線のことである。また、内側とは、身体に接する側、外側とは、その反対側を意味する。他の実施の形態においても同様である。
下衣20は、矩形の一枚の生地からなり、右側から、右衽21a、右前身頃22a、後身頃23、左前身頃22b、左衽21bで構成されている。右衽21aは上衣10の右衽14aに対応し、右前身頃22aは上衣10の右前身頃13aに対応し、後身頃23は上衣10の右後身頃15aと左後身頃15bに対応し、左前身頃22bは上衣10の左前身頃13bに対応し、左衽21bは上衣10の左衽14bに対応している。右衽21aの右端縁部に、留め具24aとして面ファスナーが所定間隔で複数個縫着されている。また、左前身頃22bの留め具24aに対応する位置に、留め具24bとして面ファスナーが所定間隔で複数個縫着されている。
なお、上衣10について説明したように、留め具24a,24bとしての面ファスナーは、アジャスト機能を備えるように構成してもよい。
なお、着物の帯30は、下衣20と同様に、矩形の一枚の生地からなり、右側端縁部に留め具として面ファスナーが所定間隔で複数個縫着され、また、左側の前記留め具に対応する位置に留め具として面ファスナーが所定間隔で複数個縫着される。留め具は、身体の左脇部に位置するように、生前に採寸される。
図7は薄衣40の正面図、図8は薄衣40の背面図である。
薄衣40は、補正着1と上衣10と下衣20と帯30が全て着付けされた後に、着装される。薄衣40の着丈は、上衣10と下衣20を着付けした際の着丈と同等または長めに仕立てられる。生地となるオーガンジーは、薄手の平織りであり、軽く透けており、上品な透け感と適度の張り感を持ち、固い風合いと光沢を有する生地である。
薄衣40は、上衣10と同様にように、右パーツ41aと左パーツ41bとに左右に分離された構成となっている。左右パーツ41a,41bは、それぞれ、左右前袖42a,42b、左右前身頃43a,43b、左右後身頃44a,44b、左右前襟45a,45b、左右後襟46a,46bを備えており、これらは左右対照の構成となっている。一般的な羽織と同様に、衽は設けられていない。なお、「左右パーツ41a,41b」という表現は、「左パーツ41b,右パーツ41a」を意味するものとする。他の構成についても同様である。
ここで、右パーツ41aと左パーツ41bとを結合した際に左前になるように、左前襟45bが右前襟45aの内側に合わされるように着付けされる。そして、右後身頃44aの背中線側の端縁部が左後身頃44bの背中線側の端縁部の内側に重ね合わせられ、右後襟46aの背中線側の端縁部が左後襟46bの背中線側の端縁部の内側に重ね合わせられて、結合される。
留め具の生地への付け方は、留め具が生地から外れないように付けることができれば、縫着、貼着、その他いずれの付け方でもよい。
本実施の形態1では、上衣10の裾部よりも上方で帯30を締めることで、上衣10を折り曲げずに、お端折り部37が形成されるように仕立てられている。男性用の着物の場合は、帯の位置を下げ、お端折り部37が形成されないように仕立てられる。
なお、実施の形態1では、履物38a,38bについては、特に説明していないが、足袋、草履等、必要に応じ適宜用いれば良い。
本考案の第2の実施の形態の装束は、男性用の洋装の装束であり、以下、「タキシード」という。本考案のタキシードは、シャツ50、上着60、スラックス70を基本的な構成とする。本考案のシャツ50は、本体50aと袖部50bとに分離されている。図10は、本体50aの正面側展開図であり、図11は、本体50aの背面側展開図であり、図12は、袖部50bの正面図である。
図示するように、本体50aは、ウィングカラーの襟51、前立て52、前身頃53、右後身頃54a、左後身頃54b、ベスト55を備えている。前身頃53と左右後身頃54a,54bとの境界にはそれぞれ肩線が設けられている。前身頃53には、前立て52が縫着され、襟元のボタンおよびベストのボタンも本体50aに縫着されている。ベスト55は、略V字状の裾部を除いて、前身頃53に縫着される。これは、スラックス70とシャツ50を着付けした際に、ベスト55の略V字状の裾部が、スラックス70の上部を被う構成にするためである。
図12に示すように、袖部50bは、右袖58aと左袖58bとを備えており、左右袖58a,58bは対象に形成され、それぞれの袖口にはカフリンクスが設けられたカフスが形成されている。カフリンクスは、一般的にはカフスボタンとも称され、カフスの形式(シングルカフス、ダブルカフス、コンパチブルカフス等々。)に合わせたものが選択される。カフリンクスは、予めカフスに縫着さられていてもよいし、カフスら着脱自在でもよい。また、袖部50bには、剣ボロ、袖ダーツが設けられている。
タキシードを遺体に着付けした際には、シャツ50の袖部50bの肩側の端部は、タキシードの上着60の袖部に被われており外部からは見えないので、袖部50bの長さは遺体の腕の手首から肘まで位の長さであればよく、また、袖部50bの肩側の端部59はゴム紐を用いて伸縮自在に加工されており、遺体の腕に袖部50bを着付けした際に、ズレないように装着される構成となっている。
図13は上着60の正面図、図14は、上着60の背面図を示す。タキシードの上着60は、上記の着物と同様、右パーツ61aと左パーツ61bとに分離されている。右パーツ61aは、右袖62a、右前身頃63a、右後身頃64a、右襟65aを備えている。右襟65aは、右台襟66a、右上襟、ピークド・ラペルから構成されている。右前身頃63aには、ダーツ、腰ポケット、ボタンホールが設けられている。左前身頃63bには、ダーツ、腰ポケット、胸ポケット、ポケットチーフ、フラワーホールが設けられ、前記ボタンホールと対応する位置に拝み合わせボタンが設けられている。
左右後身頃64a,64bの背中線側の端縁部には、背中線に沿って、留め具68b,68aとしての面ファスナーが所定間隔でお互いの対応する位置に縫着されている。
図15はスラックス70の正面図、図16はスラックス70の背面図である。スラックス70の正面部には、ウェストベルト、サイドポケット、フライ(比翼)部71、プリーツ(タック)、クリースが設けられている。フライ部71の留め具72a,72bは、一般的なジッパー、ボタンでもよく、本実施の形態では、面ファスナーが用いられている。なお、フライの比翼あきは、左側に設けられる。つまり、左前である。
背面部には、ウェストベルト、ヒップポケットが設けられている。そして、本考案のスラックス70では、ヒップ側の股上が左右に分離されて、この左右に分離された端縁部には、留め具73a,73bとしての面ファスナーがお互いの対応する位置に縫着されている。
なお、上着60の腰ポケットやスラックス70のサイドポケットの袋布等は、保冷用部材を収納するために用いても良いし、これらのポケットは、単に外観だけを形成するようにしても良い。
本考案の第3の実施の形態の装束は、洋装の女性用のドレスである。本実施形態3のドレスは、肌着80、胴衣110、上衣120を基本的な構成とする。
まず、肌着80について説明する。
図18は、肌着80の展開図であり、内側を示している。肌着80は、右前身頃81a、左前身頃81b、後身頃82、スカート83を備えている。スカート83のウェスト部83aは、ゴム紐を用い、伸縮可能に形成されている。これは、着付けした際の補正が容易に行えるためである。また、後身頃82、右前身頃81a、左前身頃81bにそれぞれ設けられた見返し101,102,103には、図示のように、補正用部材、保冷用部材等を挿着しても良い。
左右前身頃81a,81b、後身頃82、スカート83のそれぞれには、着付けした後の着崩れを防止するために留め具84〜100としての面ファスナーが縫着されている。ここで、図18において、左右前身頃81a,81b、後身頃82、スカート83の内側に設けられている留め具を内留め具といい、外側に設けられている留め具を外留め具という。また、内留め具と外留め具が設けられているものを両留め具という。
スカート83の内留め具98,100は、後身頃82の外留め具93,95に係着され、スカート83の両留め具99の内留め具は、後身頃82の外留め具94に係着される。次に、右前身頃81aの両留め具84,86,87の3つの内留め具は、後身頃82の外留め具92,97,96に係着され、右前身頃81aの両留め具85の内留め具は、スカート83の両留め具99の外留め具に係着される。最後に左前身頃81bの内留め具88〜91は、右前身頃81aの両留め具84〜87の外留め具に係着される。
図19は、後身頃82、スカート83、右前身頃81a、左前身頃81bの順に全て結合した状態の正面図である。留め具や結合部は見えず、見栄えの良い肌着80を提供することができる。なお、後身頃82およびスカート83の裾丈を短くして、男性用肌着として用いることもできる。
胴衣110は、身体の胸元から足元にかけて着装される。
図20は胴衣の前身頃111aの背面図であり、前身頃111aの内側、つまり、身体に接する側を示す。図21は、胴衣の後身頃111bの背面図であり、後身頃111bの外側、つまり、背面側からみた様子を示している。
後身頃111bには、左右の肩ひも117が逢着され、肩ひも117の先端近傍にはそれぞれ留め具116bとしてスナップボタンが設けられ、この留め具116bは、前身頃111aに設けられた留め具116aに係着される。これにより、後身頃111bの肩ひも117は、前身頃111aに結合される。
このように胴衣110を構成することで、図23に示すように、胴衣110を正面側からみた際に、結合部が全て隠れるため、見栄えの良いドレスを提供することができる。
ドレスの上衣120,130は、身体の上半身部に着装され、周知のオーバーブラウス風の外観を呈するものである。図24〜図27に2種類の上衣を示す。
図24は、第1の上衣120の正面図である。第1の上衣120は、背中線に沿って、右パーツ121aと左パーツ121bとに左右に分離されている。左右パーツ121a,121bのそれぞれの背中線側の端縁部には、背中線に沿って、留め具123a,1223bとしてのスナップボタンが所定の間隔で複数個縫着されている。右袖122aと左袖122bとは、それぞれ、筒袖に形成されている。
このように第1の上衣120を構成したことで、容易に着付けすることができ、着崩れすることなく見栄えの良い第1の上衣120を提供することができる。
第2の上衣130を着付けする際は、前パーツ131の左右パーツ133a,133bの留め具135を、後パーツ132の留め具137に係着する、つまり、左右パーツ133a,133bの外周端縁部で後パーツ132の外周端縁部を被装するように結合するので、前パーツ131と後パーツ132との結合部が見えにくくなる。
なお、上衣として、ショールの外観を呈するものを用いてもよい。その際には、分離された袖部を用いるとよい。また、上衣は、生地がオーガンジーで、襟、胸元、裾、袖口には、フリルを設け、ヘムはメロウ加工するとよい。
例えば、着物は、肌襦袢、長襦袢、羽織等に適用でき、タキシードは、燕尾服、モーニング、スーツ等に適用でき、ドレスは、種々の形態のドレスに適用できる。また、留め具は、スナップボタン、面ファスナーに限らず、必要に応じて、ボタン、ホック、線ファスナー等の係脱自在の留め具を用いることができる。留め具の個数、形状、大きさ、間隔は、必要に応じて適宜設ければ良い。
また、本考案の装束の生地の素材は、例えば、綿、ポリエステル、シルク等のように、可燃性であるだけでなく、火葬設備・遺体への損傷がなく、不公害性のものを使用する。
なお、本考案の肌着は、死装束としてだけではなく、病気、怪我等で身体の動作が不自由で介護を必要とする患者用の肌着としても適用可能である。この際、死装束とならないよう、右前、左前の構成は、適宜変更する必要がある。
Claims (3)
- 第1のパーツと、第2のパーツとに分離して形成され、
前記第1のパーツの端縁部の所定の位置に、第1の留め具が設けられ、
前記第2のパーツの端縁部の前記第1の留め具に対応する位置に、第2の留め具が設けられ、
前記第1の留め具と前記第2の留め具とは、係脱自在に構成され、
前記第1の留め具と前記第2の留め具とを係着することにより、前記第1のパーツと前記第2のパーツとを結合可能に構成され、
たことを特徴とする装束。 - 前記第1のパーツと、前記第2のパーツとは、背中線方向に沿って前後に分離され、
前記第1のパーツは、前身頃を備え、
前記第2のパーツは、後身頃を備え、
前記第1の留め具は、前記第1のパーツの内側に設けられ、
前記第2の留め具は、前記第2のパーツの外側に設けられ、
たことを特徴とする請求項1に記載の装束。 - 前記第1のパーツと、前記第2のパーツとは、背中線方向に沿って左右に分離され、
前記第1のパーツは、右襟、右後身頃、右前身頃、右袖を備え、
前記第2のパーツは、左襟、左後身頃、左前身頃、左袖を備え、
たことを特徴とする請求項1に記載の装束。
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Cited By (1)
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JP2017210708A (ja) * | 2016-05-18 | 2017-11-30 | 早苗 淺倉 | 簡易着付け式着物 |
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