JP3131332U - 軽金属壁板の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存木造住宅建物を主な対象とする制振型耐震補強壁として、薄くて軽量且つせん断荷重の小さな壁板としてせん断降伏荷重を確保すると共に降伏後も安定的な力学挙動となるようにし、補強に当たって建物を出来るだけ壊すことなく簡単に工事が出来るようにする。
【解決手段】本考案の小規模建物用制振型耐震壁板は、周囲四辺に金属帯板が幅を与える面で構成する額縁状の金属枠組み3を配し且つ枠と同厚の紙質体,木質体,ゴム体,各種発泡体5を挿入し、その表裏両面に薄いアルミニウム合金板2を添接して複層軽金属平板1とするもので、全面を一枚の壁板乃至複数枚で構成する壁板として並立する柱6に取付けて、地震力を長辺方向枠組みから平行且つ逆方向に作用するせん断力として受けるようにし、降伏後もせん断耐力が下がることなく安定した力学挙動となるようする。
【選択図】図1

Description

本考案は、小規模建物用制振型耐震壁構造で、主にせん断力を受ける軽金属平板について早期のせん断座屈発生を回避して降伏後の大変形領域に於いてもせん断耐力が低下することのないよう軽金属平板の塑性変形能力を高めることを意図した補強壁構造に関するものである。
本考案の制振型耐震壁構造は、小規模建物を主な対象とするために壁板一枚当たりのせん断耐力を低く抑える必要があり、金属平板の板厚を極めて薄くし且つ材料強度の低いアルミニウム合金等の利用を考えており、こうした剛性,強度の低い金属材料に対しせん断降伏荷重の確保と安定した座屈後挙動が得られるようにすることである。
壁板として要求されるせん断耐力を満たし且つ降伏以降の耐力が安定的に推移するようにした壁板として、金属板に多数の小孔を設けたり複数のスリットを平行に設けたりしたものや、壁板と建物骨組みとの周辺部隙間に変形吸収層を設け制振機能を付与した補強壁構造や、壁板と建物骨組みとの取付け方法を工夫した制振ないし耐震を目的とする補強壁構造等がある。
この他、木造住宅等小規模建物の耐震補強壁として、せん断強度を低く押さえるために軽金属材料を利用したものもあり、アルミニウム発泡体を免震材とする壁板や粘弾性材料から成る制振用板材を挿んでアルミニウム合金の波板を層状に重ねた補強壁等がある。
特開平11−247351 公開特許公報 特開2002−67217 公開特許公報 特開2002−235379 公開特許公報 特開2003−314083 公開特許公報 特開2004−124605 公開特許公報
解決しようとする課題は、平面内にせん断力を受ける金属平板に対して板厚を出来る限り薄くし且つ剛性,強度の低いアルミニウム合金材料を利用出来るようにすることで、早期のせん断座屈発生を回避して降伏後のせん断耐力の低下を防いで塑性変形能力を高め、簡単で有効な補強構造による小規模建物に対する軽量で安価な耐震補強壁を提示することである。
本考案は、主にせん断力を受ける補強壁板に対して周囲四辺に金属帯板が幅を与える面で構成する額縁状の枠組みを設け、その内部略全域に枠と同厚の紙質体,木質体,ゴム体,各種発泡体を配し、その表裏面に軽金属薄板を添接して複層金属平板とするもので、表裏面の薄い軽金属平板がせん断荷重に対し安定した力学挙動となるようにしている。
本考案の補強軽金属壁板は、表裏の金属平板が互いに変形を拘束し合うことにより極めて薄い板厚で且つ剛性の低い軽金属材料に対しても安定した力学的挙動となり、しかも金属平板に特別な加工を必要とせず中小建物の制振ないし耐震補強壁として有効である。加えて周辺枠内部に挿入する材料についても一般的に使用されている剛性,強度の低い材料が使え、本壁板は薄くて軽量であり小規模建物の工事に於ける取り扱いも容易である。
本考案の補強壁構造は、複層軽金属平板とすることで表裏面の薄い金属平板が内部挿入材により面的に座屈補剛されてせん断座屈荷重が高くなり、加えて周辺の額縁状帯板と表裏面の金属板で構成される複層に構成される平板として剛性が大幅に高くなり降伏以降もせん断耐力の安定的な維持が可能となる。
本考案の補強軽金属壁板として図1に代表的な形態の一例を示しているが、矩形金属平板の周囲四辺に金属帯板が幅を与える面で構成する額縁状の金属枠組み3を設け、必要に応じ内部に一本乃至複数本の帯板4を配して小区分化し、さらに前記枠内の空隙部の略全域に紙質体,木質体,ゴム体,各種発泡体5を挿入して中間層を構成し、その表裏両面に薄い軽金属平板2を添接して複層軽金属平板とするものである。
本考案の補強軽金属壁板は既存木造住宅の耐震補強を主な対象と考えており、図1に示すように並列する柱6の見付面にネジ,くぎ等で止めるようにし、天井面と床面との間に収まるようにすることで壁板取付けに際し周辺部の建物部位を壊すことのないよう配慮している。(a)図に示した全面を一枚の壁板1で構成するものと、(b)図に示すように二枚の壁板1を上下に配置する場合とがある。
図2は、本補強軽金属壁板の力学的性能を確認するための説明図で、大きさ1,620mmx900mmの壁板を左右枠組みに平行且つ上下逆方向にせん断力が加わるものとしている。(a)図は周辺枠組みだけで構成するものであり上下短辺方向枠材の面外への変形が拘束されないため左右の帯板と同じ75mmx8mmとその倍である150mmx8mmの二例と、(b)図は枠組み内部に更に75mmx8mmの帯板を二枚を略等間隔に配置した場合である。
図3は、前記の複層軽金属平板について、壁一枚当たりのせん断耐力Qを10〜15kNとする必要から表裏面の薄板は0.3mm厚の1050−O材とし,周辺枠材を6063−T6材としている。(a)図の例では内部充填材のヤング係数E=3kN/cm2としての解析結果が○印,●印となり短辺枠の幅により耐力差があり、又(b)図の内部補強材がある場合の解析結果が□印,■印となって平板を小区分化することにより充填材のヤング係数E=0.5kN/cm2と低くなっても安定している。
図4は、前記解析結果についてせん断降伏以降の大変形領域での壁板の面外への曲げ変形の成長を示したもので、(a)図の短辺方向枠材の幅の影響はほとんどなく、(b)図の中間部位に補強材を配置したものは前者と比較して変形の成長は遅く且つ小さくなり充填材の剛性が低くなってもその補剛効果はある。これら面外変形の成長を遅らせることは地震による正負交番に加わるせん断力下での復元力特性の安定化に極めて重要である。
図5は、軽金属平板1二枚を一枚の壁板とするものと、1/2の高さである平板一枚単独で使用する場合を検討したもので、両者は略同じせん断耐力となるよう考えている。(a)図に示す二枚の壁板は周辺部帯板3が75mmx8mmで表裏面平板は0.2mm厚さ、(b)図の大きさ1/2の壁板を単独に用い且つ前者とせん断耐力と同じにするために,一つは枠材3を同じとして表裏面板厚を0.6mmとし他は枠材3を90mmx8mmとし表裏面板厚を0.5mmとしている。
図6は、天井面と床面との間に収まる壁板として810mmx900mmの二枚で構成し且つa−a位置の複数箇所で接合した場合の結果が□印であり、大きさ1/2の壁板で枠幅が広い場合を●印で,枠幅を同じとした場合を○印で示しているが、前者の二枚を上下に配置した壁板も後者の単独で使われる場合もせん断降伏に伴う挙動には大きな差異く、注意すべきは本壁板が取り付けられる相手側の建物柱材への影響である。なお、本解析例の材料は前記例題と同じものとしている。
図7は、木造住宅等小規模建物の耐震補強壁に要求されるせん断耐力は極めて低く、純アルミニウム金属に近いラウンドハウス型非線形性の応力ー歪み関係である非調質アルミニウム合金が最適なものと考えられる。図12はアルミニウム合金材料の応力−歪み関係を構造材料であるアルミニウム合金との比較のなかで示していが、各材料の弾性ヤング係数は略E=6000〜7500kN/cm2の範囲にあり、図中実線で強調したものは本解析で選択した材料であり実際にも推奨される組合せである。
せん断力を受ける薄い軽金属平板による本発明の補強壁構造は、矩形平板の周囲四辺に帯板を額縁状に配置し且つその内部に紙質体,木質体,ゴム体,各種発泡体を配し、その表裏両面に軽金属平板を添接して複層軽金属平板とするもので、表裏の薄い軽金属平板は敢えて特別の加工を施したり特殊な金属素材である必要はなく又前記中間層を構成する材料は一般的に多用されておりその調達も容易且つ安価なものである。
本考案の補強構造によれば極めて薄く且つ剛性,強度の低い軽金属平板に対してせん断座屈荷重を上げることができ、周辺部額縁状枠組みを設けるだけの簡単な構成により降伏以降の大変形領域に於いてもせん断耐力の低下を回避できるため、小規模建物に対する制振乃至耐震の構造壁として有効であって幅広く利用されるものである。
本考案の制振型軽金属壁板は、耐震補強工事において建物の天井面と床面との間で並立する柱面に取りつけることを考えており、これにより補強箇所の周辺部を壊すことなく工事が可能となり、建物への止め付け箇所が視野に入り工事後の検査確認が容易であり安全性の確保に最適である。又、壁板を複数枚で構成すれば壁板の製作から運搬更に施工に至るまでの扱いが容易であり、既存木造建物の耐震補強に最適と考えられる。
本考案の軽金属壁板の構造詳細と建物への取付け方を示した図である。 本軽金属壁板の周辺枠組みとせん断加力の説明図である。(実施例1) 本壁板の周辺部枠材と内部補強材の効果を検証した解析結果図である。 繰返し履歴挙動の安定化に関わる壁板の面外変形の解析結果図である。 複数枚で構成する本壁板のせん断加力の説明図である。(実施例2) 複数枚で構成する本壁板を検証するための解析結果図である。 本軽金属壁板を構成するアルミニウム合金素材の応力−歪み関係図である。
符号の説明
1 せん断力を受ける複層金属平板
2 表裏両面を構成する金属平板
3 帯板等で構成する周辺枠組み
4 帯板等で構成する内部補強材
5 中間層内部に挿入する平板要素
6 木造建物の柱・梁構造軸組み

Claims (2)

  1. 小規模建物用制振型耐震壁として、周囲四辺に金属帯板が幅を与える面で構成する額縁状の枠組みを設け更に必要に応じ前記枠組み内部にも一本乃至複数本の帯板補強材を配置し、その表裏両面にラウンドハウス型非線形の応力―歪み関係であり且つ引張り強さが10kN乃至それ以下であるアルミニウム合金の薄板を添接する複層金属平板で、前記枠組み内部の略全面に枠と同厚の紙質体,木質体,ゴム体,各種発泡体を配して表裏軽金属平板が変形を拘束し合うようにし、降伏後の大変形領域に於いてせん断耐力が低下することなく維持し得るようにした複層軽金属平板。
  2. 小規模建物用制振型耐震壁板として略1,800mmx900mm乃至それ以下を標準的な大きさとする全面を一枚の壁板と乃至複数に分割し層状に配して接触部位で連続的又は断続的に接合し一体とする壁板と,前記大きさの略1/2せいとする壁板の請求項1に記載する複層軽金属平板で、建物への取付けは並列する柱とすることで長辺方向の両側枠組みから平行且つ逆方向に作用するせん断力を受けるようにし、工事に際し上下の天井や床を壊すことなく且つ補強後の確認検査を容易にした制振型耐震補強壁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011247027A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Panahome Corp 制振装置及びそれを用いた間仕切り壁

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