JP3102020B2 - 演算増幅回路 - Google Patents

演算増幅回路

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、演算増幅回路に関し、特にCMOSアナログ回
路用の演算増幅回路に関する。
〔従来の技術〕
ディジタルアナログ混在LSI等において、DA変換器や
アナログマルチプレクサ等、スイッチドキャパシタ(以
下SCという)回路等のアナログ信号処理回路を内蔵する
場合が多い。
このような場合には、内蔵されている演算増幅器初段
トランジスタ対の相互コンダクタンス(gm)やしきい値
電圧(Vt)のばらつき、あるいは、アナログスイッチか
らのクロックパルスの漏洩に起因するDCオフセット電圧
を無視し得ないことが多く、これを除去する必要がしば
しば生ずる。
アナログ回路の全差動構成は、同相電圧抑圧比(CMR
R)を向上させるためであるが、さらに、使用されてい
るアナログスイッチのP,N各チャンネルトランジスタの
相補性とあわせて、クロックパルス漏洩によるDCオフセ
ット電圧の抑圧には有効な手段である。
しかし、演算増幅回路初段のトランジスタの特性ばら
つきによるDCオフセット電圧を抑圧するには特別の付加
回路が必要である。
このような目的の回路の一つとして、従来から、標本
化相殺方式が用いられている。
これは、2線式ディジタル通信系や時分割多重回路等
における、信号伝送がされない期間、すなわち、非伝送
期間を利用して、オフセット電圧を相殺する方式であ
る。
第3図に、従来のオフセット除去機能を有する演算増
幅回路の例として標本化相殺方式の回路例を示す。
第3図を参照すると、従来のこの種の演算増幅回路
は、アナログ信号処理回路8と、演算増幅器9と、ノー
マルスイッチS5,S8と、標本化スイッチS6,S7,S9と、容
量C3,C4とから構成されていた。
次に、従来の演算増幅回路の動作について説明する。
第3図において、演算増幅器9の−側入力のVS1はア
ナログ信号処理回路8のシステムオフセット電圧、演算
増幅器9の+側入力のVS2は演算増幅器9の入力オフセ
ット電圧である。
非伝送期間に、ノーマルスイッチS5,S8が開き、標本
化スイッチS6,S7,S9が閉じて、容量C3にVS1−VS2、容量
C4に−VS2に相当する電荷が蓄積される。
伝送期間には、ノーマルスイッチS5,S8が閉じ標本化
スイッチS6,S7,S9が開く。
ここで、アナログ信号処理回路8の出力オフセット電
圧をV1とし、容量C3=C4とすると、このときの出力電圧
VOは、VO=−(V1−VS1)となる。すなわち、アナログ
信号処理回路8の出力オフセット電圧V1に含まれている
アナログ信号処理回路8のシステムオフセット電圧VS1
が差引かれ、演算増幅器9の入力オフセット電圧VS2も
相殺されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来の演算増幅回路では、アナログ信号処理
回路のシステムオフセット電圧を一括してサンプリング
し、オフセット電圧フリーのアナログスイッチ付演算増
幅器によって補償している。そのため、アナログ信号処
理回路に高利得の、たとえば、自動利得制御(AGC)増
幅器等を含む場合には、アナログ信号処理回路のシステ
ムオフセット電圧が大きくなりすぎ、演算増幅器の線形
動作領域を越えてしまい、出力電圧が飽和してしまう恐
れがあるという欠点があった。
たとえば、利得40dB程度のAGC増幅器の例では、出力
に約1V以上のオフセット電圧を発生する場合があり、通
常の演算増幅器の許容入力電圧を越えるので、個別のオ
フセット電圧相殺が必要となる欠点があった。
また、標本化オフセット電圧保持用の容量は、比較的
低い入力抵抗の演算増幅器および周辺回路が負荷となる
ので、放電リーク電流が大きく、したがって、長い標本
化周期を設定することは困難であるという欠点があっ
た。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の演算増幅回路は、正相及び補相の入力端子の
各々に入力する正相及び補相の入力信号を増幅する第一
の差動増幅器と、 前記第一の差動増幅器の負荷回路を構成するカレント
ミラー回路と、 補相入力端子に補相入力信号の供給を受け前記カレン
トミラー回路を前記第一の差動増幅器と共通の負荷とす
る第二の差動増幅器と、 共通接続された前記第一及び第二の差動増幅器の正相
出力を反転増幅し出力端子に補相出力信号を出力する出
力回路と、 一端が前記第二の差動増幅器の正相入力端子に接続さ
れ、他の一端が共通電源端子に接続されている容量素子
と、 予め定めた標本化周期毎に、前記第一の差動増幅器の
前記正相及び補相の入力端子の各々を前記共通電源端子
に接続する第一のスイッチ手段と、 前記標本化周期毎に、前記容量素子を前記出力端子に
接続する第二のスイッチ手段とを有するものである。
〔実施例〕
次に、本発明について図面を参照して説明する。
第1図は、本発明の第一の実施例を示す回路図であ
る。
第1図において、本発明の演算増幅回路は、正相の入
力端子TI,TIIからの入力信号にそれぞれ接続されたNチ
ャンネルMOSトランジスタ対N1,N2と共通ソース電流源N3
からなる入力差動増幅器1と、入力差動増幅器1のPチ
ャンネルMOSトランジスタP1,P2からなるカレントミラー
回路負荷2と、NチャンネルMOSトランジスタ対N4,N5と
共通ソース電流源N6からなる直流帰還差動増幅器3と、
PチャンネルMOSトランジスタP3とNチャンネルMOSトラ
ンジスタN7からなる出力回路6と、直流帰還差動増幅器
3の補相入力端子に接続されているオフセットホールド
容量C1と、スイッチ手段S1,S2,S3から構成されている。
次に、本実施例の動作について説明する。
まず、標本化(非伝送)期間に、スイッチS1,S2が閉
じて、入力差動増幅器1の入力端子であるNチャンネル
MOSトランジスタN1,N2のゲートが共通電位に接続、すな
わち、接地される。同時に、スイッチS3が閉じて、オフ
セットホールド容量C1を出力オフセット電圧まで充電す
る。
ここで、本演算増幅回路の外部帰還回路は、出力段に
対する負荷効果が無視できるよう出力段の出力抵抗より
も十分大きい抵抗の回路であるとする。
次に、オフセットキャンセル期間にスイッチS1,S2,S3
が開く。これにより、入力および直流帰還の二つの差動
増幅器1,3は共通のカレントミラー回路負荷を持つの
で、オフセットホールド容量C1のホールド電圧から、入
力差動増幅器1への電圧センス電流帰還形の直流負帰還
が構成される。
ここで、入力差動増幅器1の出力電流と出力端子TOの
出力電圧との間のトランスレンジスタンスをAとし、直
流差動増幅器3の相互コンダクタンスをBとすると、出
力端子TOに表れるオフセット電圧、すなわち、入力換算
オフセット電圧VOFは次式で示される。
VOF=AIOI/(1+AB) ……(1) ここで、IOIは入力差動増幅器1のオフセット電流を
示す。
通常、AB≫1であるから、(1)式は次のように近似
できる。
VOF={AIOI/(1+AB)}IOI/B≒IOI/B ……(2) ここで、入力差動増幅器1の相互コンダクタンスをC
とし、かつ、B=Cであるとすれば、入力換算オフセッ
ト電圧VOFは次式で示される。
VOF≒IOI/B=IOI/C ……(3) したがって、出力オフセット電圧を数mV程度に抑圧す
ることができる。
さらに、オフセット電圧標本化動作の周期は、オフセ
ットホールド容量C1のリーク分による誤差が無視できる
範囲内で長周期に設定できる。
また、たとえ直流帰還差動増幅器3にオフセット電圧
が発生しても、標本化期間にはこれを含めた出力オフセ
ット電圧が出力端子TOに出力されるため、帰還量の初期
値が変るだけであるので、オフセット除去動作には影響
しない。
次に、本発明の第二の実施例について説明する。
第2図は、本発明の第二の実施例を示す回路図であ
る。
第2図において、本発明の演算増幅回路は、第1図と
同様の入力差動増幅器1と、カレントミラー回路負荷2
と、直流帰還用差動増幅器3と、出力回路6と、オフセ
ットホールド容量C1と、スイッチ手段S1,S2,S3に加え
て、以下のものから構成されている。
すなわち、直流帰還差動増幅器3のコモンモード帰還
回路(CMFB)4と、出力回路7と、出力回路6,7のCMFB5
と、第2のオフセットホールド容量C2と、そのスイッチ
手段4である。
本実施例は、第1の実施例の直流負帰還回路によるオ
フセット電圧除去を、全差動構成の演算増幅回路に適用
したものである。
したがって、本実施例は、第一の実施例と同様にオフ
セット電圧を除去できる他に、さらに、スイッチドキャ
パシタ回路等に発生するクロックパルスの漏洩に起因す
るオフセット電圧も、差動出力段にてキャンセルされる
という利点がある。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実
施例に限られることなく種々の変形が可能である。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、演算増幅回路にオフセ
ット電圧キャンセルのための直流負帰還差動増幅器を内
蔵して、オフセット電圧標本化動作とオフセット電圧キ
ャンセル動作とを切替えることにより、オフセット電圧
を除去できるという効果がある。
さらに、オフセット電圧標本化動作の周期は、オフセ
ットホールド容量のリーク分による誤差が無視できる範
囲内で長周期に設定でき、したがって、信号処理のため
の標本化周期とは独立に設定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第一の実施例を示す回路図、第2図は
本発明の第二の実施例を示す回路図、第3図は従来の演
算増幅回路の一例を示す回路図である。 1……入力差動増幅器、2……カレントミラー回路負
荷、3……直流帰還差動増幅器、4,5コモンモード帰還
回路(CMFB)、6,7……出力回路、8……アナログ信号
処理回路、9……演算増幅器、C1〜C4……容量、S1〜S9
……スイッチ手段。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正相及び補相の入力端子の各々に入力する
    正相及び補相の入力信号を増幅する第一の差動増幅器
    と、 前記第一の差動増幅器の負荷回路を構成するカレントミ
    ラー回路と、 補相入力端子に補相入力信号の供給を受け前記カレント
    ミラー回路を前記第一の差動増幅器と共通の負荷とする
    第二の差動増幅器と、 共通接続された前記第一及び第二の差動増幅器の正相出
    力を反転増幅し出力端子に補相出力信号を出力する出力
    回路と、 一端が前記第二の差動増幅器の正相入力端子に接続さ
    れ、他の一端が共通電源端子に接続されている容量素子
    と、 予め定めた標本化周期毎に、前記第一の差動増幅器の前
    記正相及び補相入力端子の各々を前記共通電源端子に接
    続する第一のスイッチ手段と、 前記標本化周期毎に、前記容量素子を前記出力端子に接
    続する第二のスイッチ手段とを有することを特徴とする
    演算増幅回路。
  2. 【請求項2】正相及び補相の入力端子の各々に入力する
    正相及び補相の入力信号を増幅する第一の差動増幅器
    と、 ソースを電源端子にゲートとドレインとを共通接続して
    ドレインを前記第一の差動増幅器の補相出力端子に接続
    した第一のトランジスタとソースを電源端子にゲートを
    前記第1のトランジスタのゲートにドレインを前記第一
    の差動増幅器の正相出力端子にそれぞれ接続した第二の
    トランジスタとから成り前記第一の差動増幅器の負荷回
    路を構成するカレントミラー回路と、 前記カレントミラー回路を前記第一の差動増幅器と共通
    の負荷とする第二の差動増幅器と、 制御端子を有する第一の電流源から動作電流の供給を受
    け共通接続された前記第一及び第二の差動増幅器の補相
    出力を反転増幅し正相出力端子に正相出力信号を出力す
    る第一の出力回路と、 前記第一の電流源の制御端子と共通接続した制御端子を
    有する第二の電流源から動作電流の供給を受け共通接続
    された前記第一及び第二の差動増幅器の正相出力を反転
    増幅し補相出力端子に補相出力信号を出力する第二の出
    力回路と、 一端が前記第二の差動増幅器の正相入力端子に接続さ
    れ、他の一端が共通電源端子に接続されている第一の容
    量素子と、 一端が前記第二の差動増幅器の補相入力端子に接続さ
    れ、他の一端が共通電源端子に接続されている第二の容
    量素子と、 予め定めた標本化周期毎に、前記第一の差動増幅器の前
    記正相及び補相の入力端子の各々を前記共通電源端子に
    接続する第一のスイッチ手段と、 前記第二の差動増幅器の正相及び補相出力のコモンモー
    ド成分を前記カレントミラー回路の前記第一,第二のト
    ランジスタのゲート共通接続点に帰還する第一のコモン
    モード帰還回路と、 前記正相及び補相出力端子からの正相及び補相出力信号
    のコモンモード成分を前記第一及び第二の電流源の制御
    端子に帰還する第二のコモンモード帰還回路と、 予め定めた標本化周期毎に、前記第一及び第二の容量素
    子の各々を前記補相出力端子及び正相出力端子の各々に
    接続する第二のスイッチ手段とを有する全差動構成であ
    ることを特徴とする演算増幅回路。
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