JP3002388B2 - 皮剥端子圧着機における電線処理部検査装置 - Google Patents

皮剥端子圧着機における電線処理部検査装置

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JP3002388B2
JP3002388B2 JP6220600A JP22060094A JP3002388B2 JP 3002388 B2 JP3002388 B2 JP 3002388B2 JP 6220600 A JP6220600 A JP 6220600A JP 22060094 A JP22060094 A JP 22060094A JP 3002388 B2 JP3002388 B2 JP 3002388B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電線端部が移送される
往復軌道上で電線の皮剥部と端子圧着部の検査をそれぞ
れ行う皮剥端子圧着機における電線処理部検査装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被覆部が皮剥処理された電線端部
の皮剥部の皮剥状態や、その皮剥部に圧着端子が圧着処
理された端子圧着部の圧着状態を、画像処理によって検
査する場合、一般に、テレビカメラ、2次元CCDカメ
ラ等の撮像手段により皮剥部や端子圧着部が撮像され、
撮像手段によるその画像がモニタ用テレビ受像機に表示
され、画像処理手段によりその画像が処理され、皮剥状
態や圧着状態の良・不良が判断されて、その結果等がプ
リンタやディスプレイに表示されるよう構成されてい
る。
【0003】また、画像処理に必要なプログラムデータ
等の入力が行われるオペレーション用キーボードも適宜
備えられている。
【0004】例えば、この種の検査装置として特開昭6
1ー133844号公報に開示のものがあり、アームの
電線保持部で保持された電線端部の被覆部を皮剥処理部
で皮剥処理し、その後、アームを回動させて皮剥処理さ
れた電線端部の皮剥部を端子圧着処理部に移送し、端子
圧着処理部で圧着端子を圧着処理した後、前記アームを
前述と逆方向に回動させて元の皮剥処理部位置に戻し、
その後、電線を所定方向に所定長さ移送した後、切断
し、以下同様の手順で順次電線の皮剥処理、端子圧着処
理を行うように構成されていた。
【0005】そして、電線が移送される皮剥処理部と端
子圧着処理部間の往復軌道上に、皮剥状態や圧着状態の
検査を行うための検査装置が設けられている。
【0006】この検査装置は往復軌道を挟んで光源とテ
レビカメラおよび電線の撮像タイミングを検出するセン
サが設けられており、皮剥部や端子圧着部が通過する
際、センサにより検出され、センサの検出出力に応答し
て光源が発光されると共に、テレビカメラの撮像により
シルエット画像が画像処理装置に取り込まれ、画像処理
されて皮剥状態や圧着状態の良・不良が判断されるよう
に構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示の検査装置によれば、シルエット画像を取り込
む方式であるため、シルエットの外形情報が取り込まれ
るだけであり、画像の情報量が少なく、シルエット部分
における圧着不備や芯線のはみ出しが検出できないた
め、正確な検査が行えないという欠点があった。
【0008】一方、撮像手段の撮像方向から被検査体を
照明し、反射画像を取り込むことによってより多くの画
像情報を取り込むようにした検査装置も存在するが、静
止状態の被検査体を専用の検査スペースで撮像する構造
であり、照明器具の設置スペースが多く必要とされ、皮
剥処理部と端子圧着処理部間の往復軌道上に組み込み難
いという問題があった。
【0009】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、反射
画像を取り込む方式で、しかもコンパクトな構造の皮剥
端子圧着機における電線処理部検査装置を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の技術的手段は、被覆部が皮剥処理された電線端部を往
復軌道初期位置から往路に沿って端子圧着処理部に移送
し、端子圧着処理後、端子圧着処理部から復路に沿って
初期位置に戻す往復軌道上に電線処理部検査装置が設け
られ、往復軌道上を通過する電線が電線処理部検査装置
の照明手段により照明されると共に撮像手段により撮像
され、撮像された画像の処理によって電線の皮剥部と端
子圧着部の検査をそれぞれ行う皮剥端子圧着機における
電線処理部検査装置において、前記撮像手段はシャッタ
ースピードが高速な撮像カメラとされ、前記照明手段は
撮像カメラの撮像路両側で、撮像方向とほぼ同じ方向か
ら往復軌道上を通過する電線端部を照明すると共に、該
電線の長手方向とほぼ同一方向に長い対の照明部と、光
源で発光された光を各照明部の照射部にそれぞれ案内す
る光ファイバーとを備え、前記光ファイバーの照明部側
の各端部は、端部方向に漸次扇形に広がる偏平形状に形
成され、その各端面により前記電線の長手方向とほぼ同
一方向に長くなる前記照射部が構成され、電線端部が往
路に沿って移送される際に撮像カメラにより撮像するタ
イミングを検出する往路センサと、電線端部が復路に沿
って移送される際に撮像カメラにより撮像するタイミン
グを検出する復路センサとが撮像カメラの光軸を避けた
位置に備えられてなる点にある。
【0011】
【0012】さらに、前記照明部は光ファイバーによっ
て案内された光の照射部と前記往復軌道間に透過散乱板
を備え、照射部と透過散乱板との間に光の拡散スペース
が備えられる構造であってもよい。
【0013】また、前記照明部は光ファイバーによって
案内された光の照射部と前記往復軌道間に透過散乱板を
備え、照射部から照射される光を透過散乱板に対して直
角に案内すべく、照射部と透過散乱板間にコンデンサー
レンズが備えられる構造であってもよい。
【0014】
【作用】本発明によれば、撮像カメラによる撮像方向と
ほぼ同じ方向から往復軌道上を通過する電線端部を照明
する照明部が撮像カメラの撮像路両側にそれぞれ備えら
れており、また、各照明部は移送されるその電線の長手
方向とほぼ同一方向に長く構成されているため、十分な
輝度が確保でき、ここに、シャッタースピードが高速な
撮像カメラにより移動中の電線端部の反射画像を良好に
取り込むことができ、多くの画像情報が得られ、より正
確な画像情報による検査が行える。
【0015】しかも、光源で発光された光を光ファイバ
ーにより各照明部の照射部に案内する構造としているた
め、照明部をコンパクトに構成でき、狭いスペースにも
容易に組み込むことが可能となり、電線端部の往復軌道
により近接して各照明部を組み込むことができ、この点
からも十分な輝度が確保できると共に皮剥端子圧着機中
に組み込まれる電線処理部検査装置自体のコンパクト化
が図れる。
【0016】
【0017】さらに、照明部は光ファイバーによって案
内された光の照射部と往復軌道間に透過散乱板を備え、
照射部と透過散乱板との間に光の拡散スペースが備えら
れる構造や、照射部から照射される光を透過散乱板に対
して直角に案内すべく、照射部と透過散乱板間にコンデ
ンサーレンズが備えられる構造とすれば、より均一な散
乱光による照明が得られる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
すると、図1ないし図7において、1は皮剥端子圧着機
で、従来同様、順次送給されてくる電線2端部の被覆部
2aを皮剥処理する皮剥処理部3と、皮剥処理された電
線2端部の皮剥部4に圧着端子5を圧着処理する端子圧
着処理部6と、電線2の一端部側を保持し、前記皮剥処
理部3と端子圧着処理部6間で電線2端部を往復移送す
る移送アーム7と、電線2端部の往復軌道P上に配設さ
れた電線処理部検査装置8とを備えている。
【0019】前記皮剥処理部3には、電線2を切断する
ための切断刃や被覆部2aに切り込み状とされるストリ
ップ刃が適宜備えられており、電線2の切断処理や皮剥
処理を行うように制御される。
【0020】前記端子圧着処理部6には、圧着機が備え
られており、連続状に備えられた圧着端子5を一個ずつ
圧着機の圧着位置に供給し、皮剥部4に圧着端子5を圧
着処理するように制御される。
【0021】前記移送アーム7には、電線2を保持・解
除自在に保持する電線クランプ部7aが備えられてお
り、電線クランプ部7aで電線2を保持した状態で支軸
9回りに揺動操作され、往復軌道Pに沿って電線2端部
を高速(例えば、約2000mm/s)で往復移送する
ように制御される。
【0022】前記電線処理部検査装置8は、往復軌道P
に沿って移送される電線2端部を撮像するための撮像手
段としてのテレビカメラ、2次元CCDカメラ等の撮像
カメラ11と、往復軌道Pに沿って移送される電線2端
部を照明するための照明手段12と、往復軌道Pに沿っ
て移送される電線2端部の撮像タイミングを検出する検
出手段13とを備える。
【0023】前記撮像カメラ11はシャッタースピード
が高速(例えば、1/30000Sec程度)な超高速
シャッター機能を有するカメラが採用されており、皮剥
端子圧着機1の機台側に取付けブラケット14を介して
角度調整可能に所定角度に取付けられている。そして、
撮像カメラ11はカメラ本体15、エクステンションチ
ューブ16、レンズ部17を備える。
【0024】前記照明手段12は、図4および図5に示
される如く、撮像カメラ11による撮像路19両側に位
置して配置されると共に、撮像カメラ11の撮像方向と
ほぼ同じ方向から往復軌道P上を通過する電線2端部を
照明する対の照明部20と、別途位置に配置されたハロ
ゲン球等の光源を具備するランプハウス21と、前記光
源で発光された光を各照明部20に案内する石英やプラ
スチック等からなる光ファイバー22とを備える。
【0025】光ファイバー22の照明部20側の各端部
は、端部方向に漸次扇形に広がる扁平形状に形成されて
おり、その端面の照射部23は通過する電線2の長手方
向とほぼ同一方向に長くなるように直方体状のファイバ
ーアレイホルダ24に保持されている。そして、このフ
ァイバーアレイホルダ24が照明ホルダ25に取付け固
定されている。
【0026】即ち、照明ホルダ25は中央に撮像カメラ
11の光軸Lに沿った矩形状の孔部から構成される前記
撮像路19が備えられ、該撮像路19の両側に同様矩形
状の照明部装着孔部26がそれぞれ備えられている。そ
して、各照明部装着孔部26の上部側より各ファイバー
アレイホルダ24が嵌入状とされ、照明ホルダ25側に
それぞれネジ止め等により取付け固定されている。
【0027】また、光ファイバー22の前記各照射部2
3と適宜間隔を有して離隔した照明部装着孔部26下端
側には磨りガラスやアクリル板等からなる透過散乱板2
7がネジ止め等により取付け固定されている。そして、
照射部23と透過散乱板27間で囲まれたスペースが光
ファイバー22によって案内された光の拡散スペース2
8として構成されている。
【0028】そして、この照明ホルダ25が皮剥端子圧
着機1の機台側に取付けブラケット29を介して所定の
姿勢に取付けられている。
【0029】前記検出手段13は、電線2端部が往復軌
道Pの往路に沿って移送される際に撮像カメラ11によ
り撮像するタイミングを検出する往路センサ31と、電
線2端部が往復軌道Pの復路に沿って移送される際に撮
像カメラ11により撮像するタイミングを検出する復路
センサ32とをそれぞれ備え、各センサ31、32は撮
像カメラ11の光軸Lを避けた位置にセンサ取付けブラ
ケット33を介して取付けられている。
【0030】各センサ31、32は細線状の投光器と受
光器とから構成されており、図2ないし図4に示される
如く、往復軌道Pを挟んで前記光軸L方向に離隔して投
光器と受光器がそれぞれ配設されている。
【0031】また、往路センサ31の検出位置Qは、図
6に示される如く、皮剥された電線2端部における被覆
部2a端部の通過位置に対応して配置され、復路センサ
32の検出位置Rは、図7に示される如く、圧着端子5
の芯線部2bを圧着する芯線圧着部としての芯線バレル
部5aの中間部分の通過位置に対応して配置されてい
る。そして、図6および図7における仮想線によって囲
まれた範囲は撮像カメラ11によって撮像される撮像範
囲を示している。
【0032】なお、各照明部20に対向するセンサ取付
けブラケット33下部の対向面部には副照明手段として
の乱反射板34が全面にわたって装着されており、往復
軌道Pに沿って通過する電線2端部を反対方向から照明
すべく構成されている。また、撮像カメラ11の光軸L
は、図5に示される如く、確認性の観点から撮像位置を
通過する電線2の長手方向に直行する方向より電線2端
部の端面側に若干傾斜されている。
【0033】本発明の実施例は以上のように構成されて
おり、図示省略の電線供給部から移送アーム7の電線ク
ランプ部7aに供給された電線2の端部は電線クランプ
部7aで保持され、皮剥処理部3で被覆部2aが皮剥処
理される。
【0034】この皮剥処理が完了すると、次に移送アー
ム7が支軸9回りに揺動操作され、ここに、往復軌道P
初期位置から電線2端部の皮剥部4が往路に沿って移送
される。この移送途中において、往路センサ31が電線
2端部を検出するとタイマーが作動し、皮剥部4が光軸
L位置を通過する際に撮像カメラ11のシャッターが切
れるように制御されている。
【0035】その後、電線2端部が端子圧着処理部6に
到着すると、皮剥部4に圧着端子5が圧着処理される。
この圧着処理が完了すると、次に移送アーム7が支軸9
回りに揺動操作され、ここに、端子圧着処理部6位置か
ら電線2端部の端子圧着部36が復路に沿って移送され
る。この移送途中において、復路センサ32が電線2端
部を検出するとタイマーが作動し、端子圧着部36が光
軸L位置を通過する際に撮像カメラ11のシャッターが
切れるように制御されている。
【0036】その後、初期の皮剥処理部3位置に到着す
ると、電線2を所定方向に所定長さ移送した後、切断
し、以下同様に順次電線2の皮剥処理、端子圧着処理が
繰り返されると共に、電線2端部の移送時において皮剥
部4や端子圧着部36が撮像され、従来と同様にして画
像処理され、皮剥状態や圧着状態の良・不良が判断され
る。
【0037】以上のように、本実施例によれば、撮像カ
メラ11による撮像方向とほぼ同じ方向から往復軌道P
上を通過する電線2端部を照明する照明部20が撮像カ
メラ11の撮像路19両側にそれぞれ備えられており、
また、各照明部20は移送されるその電線2の長手方向
とほぼ同一方向に長く構成されているため、十分な輝度
が確保でき、ここに、シャッタースピードが高速な撮像
カメラ11により、高速移動中の電線2端部の反射画像
を良好に取り込むことができ、多くの画像情報が得ら
れ、より正確な画像情報による検査が行え、検査の信頼
性が向上する。
【0038】しかも、別途空きスペース位置に配置され
るランプハウス21内の光源で発光された光を、光ファ
イバー22により各照明部20の照射部23に案内する
構造としているため、照明部20自体をコンパクトに構
成でき、皮剥端子圧着機1における狭いスペースにも容
易に組み込むことが可能となり、電線2端部の往復軌道
Pにより近接して各照明部20を組み込むことができ、
この点からも十分な輝度が確保できると共に皮剥端子圧
着機1に組み込まれる電線処理部検査装置8自体のコン
パクト化が図れる。
【0039】
【0040】また、電線2端部が電線クランプ部7aに
よって片持ち状に保持された状態で高速移送されるた
め、往路においては皮剥部4先端側が若干移送方向後方
側に傾斜状となり、復路においては電線2端部に圧着端
子5が圧着されているため、端部側がより重くなり、端
子圧着部36先端側が前述と反対の移送方向後方側によ
り多く傾斜状となるが、それぞれ専用の往路センサ31
および復路センサ32が具備されているため、撮像カメ
ラ11による撮像タイミングが良好に得られ、画像の取
り込みが安定する。
【0041】さらに、照射部23と透過散乱板27との
間に光の拡散スペース28が備えられているため、往復
軌道P上を通過する電線2端部に対するより均一な散乱
光による高輝度の照明を得ることができる。また、単に
拡散スペース28を確保した構造であるため、コスト低
減も図れる。
【0042】図8は別の実施例を示しており、往路セン
サ31および復路センサ32の投光器および受光器が往
復軌道Pと光軸Lとの交差する位置を横切る方向に対向
配置した構造とされている。この場合、前述のタイマー
制御が不要となり、往路センサ31や復路センサ32が
電線2端部を検出すると同時に撮像カメラ11のシャッ
ターが切られる。
【0043】また、図9および図10に示される如く、
照射部23と透過散乱板27間に適宜コンデンサーレン
ズ38を組み込んで、照射部23から照射される光を透
過散乱板27に対して直角に案内するように構成しても
よい。この場合、より一層、均一な散乱光による高輝度
の照明を得ることができる。
【0044】なお、各照明部20を照明ホルダ25の各
照明部装着孔部26に取付ける構造を示しているが、各
照明部20を別個独立して皮剥端子圧着機1の機台側に
取付ける構造であってもよい。
【0045】次に、撮像された反射画像の処理につい
て、復路における端子圧着部36の画像を参照して説明
する。
【0046】例えば、復路における端子圧着部36の画
像は図11に示す如くであり、図11中のハッチングを
施した部分が鏡面反射部分であり、樹脂バレル部5bと
芯線バレル部5aとの間の芯線部2b部分においても鏡
面反射が得られ、これら鏡面反射部分のみを抽出すると
図12に示すようになる。
【0047】このとき、圧着端子5の圧着時の応力解放
のために通常芯線バレル部5aの両端部にベルマウスが
形成されるが、このベルマウスによって芯線バレル部5
aにおける鏡面反射部分の端部と芯線部2bとの境界が
鮮明となる。
【0048】次に、画像処理手段による画像処理の基準
点の導出について説明すると、本願出願人の既出願に係
る特願平3−268771号の出願明細書及び添付図面
において詳述するいわゆるランレングス符号化法による
処理を行っており、1本の走査線に沿った白、黒情報の
変化から対象物たる圧着端子5の形状等を導出すること
を基本としている。
【0049】即ち、画像処理上必要な基準点の検出を行
うために、図13に示すような芯線バレル部5aの鏡面
反射部分の画像中央部に重畳して直線からなるウィンド
W1、W2がそれぞれ設定され、両ウィンドW1、W2
と鏡面反射部分の境界線との交点a、b、c、dが導出
され、点a、bを結ぶ線分abの傾きから鏡面反射部分
の傾きが求められ、図14に示される如く、その後、線
分acの中点又は線分acの任意の中間点より延びかつ
線分abで与えられる傾きでウィンドW3が設定され、
ウィンドW3上の輝度の変化点Aが導出され、この点A
が画像処理に必要な基準点のひとつとなり、以下同様に
して図12に示す他の基準点B、C、D、E、F、G、
Hが導出される。
【0050】ところで実際には、バレル部5a、5bの
円筒成形が完全でなく、又鏡面も完全でないことに起因
して鏡面反射部分の形状が幾何学的に不安定であるた
め、図13、図14に示すような1回の処理で基準点を
求めるのは不可能であることから、2〜3回の処理によ
って基準点が求められる。
【0051】つまり、図14に示す線分abに基づく傾
きの誤差によって、図15に示すようにウィンドW3が
設定された場合に基準点A′は鏡面反射部分の端部に位
置しないため、図16に示すように、導出された点A′
から数画素移動した位置にウィンドW1、W2が再設定
されて同様の動作が繰り返され、ウィンドW3上の輝度
の変化点が導出される。
【0052】このように、ウィンドW3の設定及び輝度
の変化点の導出を2〜3回繰り返すことによって、精度
よく基準点A(図14参照)が導出される。
【0053】そして、上記した手順により画像処理に必
要な基準点A〜Hが導出されると、これらの基準点A〜
Hを基準にして圧着端子5の形状、寸法、傾き等が求め
られ、樹脂バレル部5bと芯線バレル部5aとの間にお
ける被覆部2aの端部位置、芯線バレル部5aと先端接
続部との間における芯線部2bの突出長さ等から、圧着
端子5の圧着状態良否の判定が行われる。
【0054】また、このように基準点A〜Hが正確に導
出されることから、圧着端子5の姿勢が全く同一姿勢で
ある必要がなく、ここに、検査対象となる圧着端子5の
配置はある程度ラフでもよく、撮像カメラ11の撮像範
囲内に入れば、安定した画像が得られる。
【0055】ところで、上記した照明手段12による照
明下において、青色の電線2に圧着された圧着端子5の
画像の受光強度の面積ヒストグラムは例えば図17
(a)に示すようになり、ここで横軸は256階調で表
した輝度レベル、縦軸は面積(画素数)を示し、輝度レ
ベルの高い領域Sは圧着端子5の両バレル部5a、5b
による鏡面反射領域に相当し、中間の領域Tは電線2の
被覆部2aの樹脂領域に相当し、輝度レベルの低い領域
Uは圧着端子5の非鏡面反射領域に相当し、このように
面積ヒストグラムにおいて鏡面反射領域Sと樹脂領域T
との間及び樹脂領域Tと非鏡面反射領域Uとの間に谷が
存在する。
【0056】また、圧着端子5のないいわゆる背景画像
の受光強度の面積ヒストグラムは図17(b)に示すよ
うになり、上記した樹脂領域Tに相当する背景領域T′
にピークが存在する。このとき、背景領域T′が図17
(a)における鏡面反射領域Sと非鏡面反射領域Uとの
中間に位置するように、乱反射板34を選択する。
【0057】そして、図17(a)と図17(b)の面
積ヒストグラムを合成すると図17(c)に示すように
なり、図17(a)の説明と同様、鏡面反射領域S、背
景領域T′,非鏡面反射領域Uにおいてピークが存在
し、領域S、T′間及び領域T′、U間において谷が存
在する。
【0058】従って、例えば青色の電線2の場合には代
表的な圧着端子5の面積ヒストグラムを予め求めてお
き、その面積ヒストグラムの谷部分となる鏡面反射領域
Sと背景領域T′との間、及び背景領域T′と非鏡面反
射領域Uとの間にそれぞれ2値化レベルを設定すること
ができる。
【0059】一方、電線2が白色及び黒色の場合の受光
強度の面積ヒストグラムはそれぞれ図18(a)、
(b)に示すようになり、白色電線の場合、青色電線の
場合(図17(a)参照)に比べて樹脂領域Tにおける
ピークが鏡面反射領域S側にシフトし、両領域S、T間
に小さな谷が存在し、黒色電線の場合、青色電線の場合
に比べ、樹脂領域Tにおけるピークが非鏡面反射領域U
側にシフトして樹脂領域Tと非鏡面反射領域Uとが区別
できないようになるが、白色電線の場合、照明強度が撮
像カメラ11のレンズの絞り等の調整により、鏡面反射
領域Sと樹脂領域Tとの間にも2値化レベルを設定する
ことができ、樹脂領域Tと非鏡面反射領域Uとの間の2
値化レベルと共に2種類の異なる2値化レベルの設定が
可能になり、黒色電線の場合には、樹脂領域Tおよび非
鏡面反射領域Uと鏡面反射領域Sとの間に広範囲にわた
る谷が明確に存在するため、この谷部分に2値化レベル
を確実に1個設定できる。
【0060】従って、白色の電線2の場合には、代表的
な圧着端子5の面積ヒストグラムを予め求めることによ
り、その面積ヒストグラムに基づいて青色電線の場合と
同様に2個の2値化レベルを設定できる。但し、黒色電
線の場合には面積ヒストグラムから明確に設定できる2
値化レベルは1個であるが、必要に応じて輝度レベルの
低い領域に他の種々の面積ヒストグラムに基づきもう1
個の2値化レベルを容易に設定することができる。
【0061】ところで、このように照明部20と乱反射
板34により互いに反対方向から圧着端子2を照明し、
得られる圧着端子画像の受光強度の面積ヒストグラムに
基づいて2個の異なる2値化レベルを設定すると、芯線
部2bのはみ出しのうち特に側方へのはみ出しの検出を
確実に行うことが可能になる。
【0062】即ち、例えば図19に示すように1本の芯
線Mが芯線バレル部5a上にはみ出した状態で圧着が行
われた場合、図19(a)中のX−X′線における拡大
断面図である図20に示すように、はみ出した芯線Mに
よって各照明部20による光は矢印の如く反射され、こ
の反射は芯線バレル部5aの鏡面反射部分に対して部分
的な乱反射をもたらすため、1個の2値化レベルによる
2値化処理によって芯線Mの芯線バレル部5a上へのは
み出しを明確に検出でき、従って、芯線バレル部5aの
鏡面反射部分に部分的な乱反射があることによって芯線
Mの芯線バレル部5a上へのはみ出しを検出できること
になる。なお、図19(b)は図19(a)を平面図と
したときの正面図に相当する。
【0063】また、芯線Mが図21に示すように圧着端
子5の側方にはみ出している場合に、圧着端子5を各照
明部20および乱反射板34により双方向から照明して
圧着端子5の画像を得、まず図22に示すように圧着端
子5の画像上、芯線バレル部5aの両側に矩形のウィン
ドWa、Wbを設定すると共に、樹脂バレル部5bの両
側に同様に矩形のウィンドWc、Wdを設定し、これら
各ウィンドWa〜Wdにおける受光感度の面積ヒストグ
ラムは、芯線Mのはみ出しがないとすると図23に示す
ようになり、背景領域T′にのみピークが存在して他の
領域S、Uには何も現れないものとなる。
【0064】ところが、芯線Mの圧着端子5の側方への
はみ出しがあると、いずれかのウィンドWa〜Wdの面
積ヒストグラムにおいて、背景領域T′のピーク以外に
領域Sまたは領域Uにもピークが発生するため、領域
S、T′間、領域T′、U間にそれぞれ設定した2値化
レベルに基づき各ウィンドWa〜Wdの各画素の輝度を
2値化処理し、領域S、T′間の高い方の2値化レベル
より高い輝度の画素、或いは領域T′、U間の低い方の
2値化レベルより低い輝度の画素が存在するか否かを検
出することによって、はみ出し芯線の向きがいずれであ
っても、芯線Mの圧着端子5の側方へのはみ出しを検出
することができる。
【0065】そして、画像処理の結果、図24(a)、
(b)に示すように、圧着端子5の樹脂バレル部5bと
芯線バレル部5aとの間に電線2の被覆部2aが適当な
長さだけ突出した状態で樹脂バレル部5bが被覆部2a
を把持し、芯線バレル部5aと先端接続部5cとの間に
芯線部2bが若干突出した状態で芯線バレル部5aが芯
線部2bを把持していれば、圧着端子5の圧着状態は良
と判定される。
【0066】また、画像処理の結果、図25(a)、
(b)に示すように、圧着端子5の樹脂バレル部5bと
芯線バレル部5aとの間に電線2の被覆部2aが突出し
ておらず、樹脂バレル部5bにより皮剥ぎ端における被
覆部2aの端部が把持されている場合には、いわゆる樹
脂部圧着不良と判定される。
【0067】さらに、画像処理の結果、図26(a)、
(b)に示すように、圧着端子5の芯線バレル部5aに
より皮剥ぎ端における被覆部2aの端部が把持され、樹
脂バレル部5bと芯線バレル部5aとの間に芯線部2b
が見えない場合には、いわゆる樹脂かみ不良と判定され
る。
【0068】その他、画像処理の結果、上記した芯線は
み出し不良、樹脂バレル部5bが開いているいわゆる押
え不良、芯線部2bの先端が芯線バレル部5aから突出
していない芯線切れ不良等も検出され、検出された各不
良に対する適切な措置がとられる。
【0069】なお、復路における端子圧着部36の画像
処理について説明したが、往路における皮剥部4の画像
処理についても同様に行えばよい。
【0070】また、撮影された反射画像による処理につ
いては、その他の画像処理方法等により良・不良を判定
する方式であってもよい。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明の皮剥端子圧着機
における電線処理部検査装置によれば、撮像手段はシャ
ッタースピードが高速な撮像カメラとされ、照明手段は
撮像カメラの撮像路両側で、撮像方向とほぼ同じ方向か
ら往復軌道上を通過する電線端部を照明すると共に、該
電線の長手方向とほぼ同一方向に長い対の照明部と、光
源で発光された光を各照明部の照射部にそれぞれ案内す
る光ファイバーとを備え、前記光ファイバーの照明部側
の各端部は、端部方向に漸次扇形に広がる偏平形状に形
成され、その各端面により前記電線の長手方向とほぼ同
一方向に長くなる前記照射部が構成され、電線端部が往
路に沿って移送される際に撮像カメラにより撮像するタ
イミングを検出する往路センサと、電線端部が復路に沿
って移送される際に撮像カメラにより撮像するタイミン
グを検出する復路センサとが撮像カメラの光軸を避けた
位置に備えられてなるものであり、十分な輝度が確保で
きて、移動中の電線端部の反射画像を良好に取り込むこ
とができ、多くの画像情報が得られ、より正確な画像情
報による検査が可能となるという利点がある。
【0072】また、照明部をコンパクトに構成でき、狭
いスペースにも容易に組み込むことが可能となり、電線
端部の往復軌道により近接して各照明部を組み込むこと
ができ、この点からも十分な輝度が確保できると共に皮
剥端子圧着機中に組み込まれる電線処理部検査装置自体
のコンパクトが図れるという利点がある。
【0073】
【0074】また、照明部は光ファイバーによって案内
された光の照射部と往復軌道間に透過散乱板を備え、照
射部と透過散乱板との間に光の拡散スペースが備えられ
る構造や、照射部から照射される光を透過散乱板に対し
て直角に案内すべく、照射部と透過散乱板間にコンデン
サーレンズが備えられる構造とすれば、より均一な散乱
光による照明が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における皮剥端子圧着機の要部
概略図である。
【図2】同電線処理部検査装置の概略図である。
【図3】図2のIIIーIII線矢視図である。
【図4】照明手段の説明図である。
【図5】図4の右側面図である。
【図6】往路における撮像画像の説明図である。
【図7】復路における撮像画像の説明図である。
【図8】別の実施例の説明図である。
【図9】別の実施例の説明図である。
【図10】別の実施例の説明図である。
【図11】実施例の復路における画像の説明図である。
【図12】同実施例の画像処理の説明図である。
【図13】同実施例の画像処理の説明図である。
【図14】同実施例の画像処理の説明図である。
【図15】同実施例の画像処理の説明図である。
【図16】同実施例の画像処理の説明図である。
【図17】同実施例の画像処理の説明図である。
【図18】同実施例の画像処理の説明図である。
【図19】同実施例の動作説明図である。
【図20】同実施例の動作説明図である。
【図21】同実施例の動作説明図である。
【図22】同実施例の画像処理の説明図である。
【図23】同実施例の画像処理の説明図である。
【図24】同実施例の動作説明図である。
【図25】同実施例の動作説明図である。
【図26】同実施例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 皮剥端子圧着機 2 電線 2a 被覆部 2b 芯線部 3 皮剥処理部 4 皮剥部 5 圧着端子 6 端子圧着処理部 8 電線処理部検査装置 11 撮像カメラ 12 照明手段 13 検出手段 19 撮像路 20 照明部 21 ランプハウス 22 光ファイバー 23 照射部 27 透過散乱板 28 拡散スペース 31 往路センサ 32 復路センサ 36 端子圧着部 38 コンデンサーレンズ
フロントページの続き (72)発明者 高橋 常悦 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (72)発明者 阿部 清秀 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式 会社明電舎内 (56)参考文献 特開 昭61−133844(JP,A) 特開 昭61−133845(JP,A) 特開 平5−79824(JP,A) 特開 平5−196435(JP,A) 特開 平5−249043(JP,A) 特開 平5−272939(JP,A) 特開 平6−213817(JP,A) 特開 平8−88071(JP,A) 実公 昭49−3355(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/84 - 21/88 H01R 43/00 H01R 43/048

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆部が皮剥処理された電線端部を往復
    軌道初期位置から往路に沿って端子圧着処理部に移送
    し、端子圧着処理後、端子圧着処理部から復路に沿って
    初期位置に戻す往復軌道上に電線処理部検査装置が設け
    られ、往復軌道上を通過する電線が電線処理部検査装置
    の照明手段により照明されると共に撮像手段により撮像
    され、撮像された画像の処理によって電線の皮剥部と端
    子圧着部の検査をそれぞれ行う皮剥端子圧着機における
    電線処理部検査装置において、 前記撮像手段はシャッタースピードが高速な撮像カメラ
    とされ、前記照明手段は撮像カメラの撮像路両側で、撮
    像方向とほぼ同じ方向から往復軌道上を通過する電線端
    部を照明すると共に、該電線の長手方向とほぼ同一方向
    に長い対の照明部と、光源で発光された光を各照明部の
    照射部にそれぞれ案内する光ファイバーとを備え、前記
    光ファイバーの照明部側の各端部は、端部方向に漸次扇
    形に広がる偏平形状に形成され、その各端面により前記
    電線の長手方向とほぼ同一方向に長くなる前記照射部が
    構成され、電線端部が往路に沿って移送される際に撮像
    カメラにより撮像するタイミングを検出する往路センサ
    と、電線端部が復路に沿って移送される際に撮像カメラ
    により撮像するタイミングを検出する復路センサとが撮
    像カメラの光軸を避けた位置に備えられてなることを特
    徴とする皮剥端子圧着機における電線処理部検査装置。
  2. 【請求項2】 前記照明部は光ファイバーによって案内
    された光の照射部と前記往復軌道間に透過散乱板を備
    え、照射部と透過散乱板との間に光の拡散スペースが備
    えられてなることを特徴とする請求項1記載の皮剥端子
    圧着機における電線処理部検査装置。
  3. 【請求項3】 前記照明部は光ファイバーによって案内
    された光の照射部と前記往復軌道間に透過散乱板を備
    え、照射部から照射される光を透過散乱板に対して直角
    に案内すべく、照射部と透過散乱板間にコンデンサーレ
    ンズが備えられてなることを特徴とする請求項1記載の
    皮剥端子圧着機における電線処理部検査装置。
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