JP2845528B2 - プロピレンの製造方法 - Google Patents

プロピレンの製造方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、プロピレンの製造方法に関し、特に、イソ
プロパノールの脱水反応により、高純度のプロピレンを
高収率で得ることができる方法に関する。
<従来の技術> オレフィン類の古典的な製造方法として、アルコール
類を硫酸等の強酸の存在下に脱水反応させる方法が知ら
れている。近年、オレフィン類は、主にナフサクラッキ
ングによって製造されているが、オレフィン類の製造原
料の多様化を図ったり、高純度のオレフィン類を得るた
めに、アルコール類の脱水によりオレフィン類を得る方
法、例えば、エタノールを脱水してエチレンを製造する
方法、ターシャリーブタノールを脱水して高純度イソブ
チレンを製造する方法などが各種提案されている。これ
らの方法においては、種々の触媒の利用が検討され、強
酸に比べて取扱が容易で反応器の材質上の制約が少なく
なるという点で、シリカアルミナやイオン交換樹脂等の
固体酸触媒を用いる方法が提案されている。また、脱水
反応は大きな吸熱を伴うため、高温で反応を行う必要が
あり、その反応方法についても種々検討されている。例
えば、エチレンの製造において、断熱型反応器を用いる
方法(特公昭59−19927号)、等温型反応器と断熱型反
応器を組合せて用いる方法(特開昭64−34929号)など
が提案されている。
一方、従来、クメン法によるフェノール製造において
副生するアセトンは、その大部分がメチルメタクリレー
トの合成原料として利用されていた。しかし、近年、メ
チルメタクリレートの製法が他の合成原料を用いる方法
に転換されてきつつあるためこの副生アセトンの余剰対
策として、その有効利用の途が模索されており、そのア
セトンをイソプロパノールに変換した後、これを脱水反
応させてプロピレンを製造する方法が検討されている。
<発明が解決しようとする課題> 前記のとおり、脱水反応に強酸を用いた場合には取扱
が不便であり、反応器の材質が限定されるという短所が
ある。さらに生成したオレフィン類がこれらの強酸の存
在下に反応し、例えば、重合して高分子化合物に変換さ
れたり、異性化してオレフィン以外の別の化合物に変換
されたりするために、結局、目的物であるオレフィン類
の収率が低下するという問題もあり、強酸の使用は好ま
しくない。
一方、固体酸触媒を用いる方法においては、前記の通
り断熱型反応器、等温型反応器と断熱型反応器を組み合
わせて用いる方法などが提案されている。イソプロパノ
ールの脱水反応にこれらの方法を適用した場合、この脱
水反応は大きな吸熱を伴う反応であるために、断熱型反
応器を用いる方法では、予備加熱部において反応混合物
を極度に加熱する必要がある。しかし、イソプロパノー
ルは熱安定性が悪く、400℃以上では熱分解しやすいた
めイソプロパノールが熱分解によりアセトンになり、触
媒中で分解して重質化して収率の低下を招くと共に触媒
の活性を低下させ、さらに高純度のプロピレンが得られ
ない恐れがある。また、イソプロパノール自身が予備加
熱部分でコーキングを起して目詰まりの原因となり反応
に重大な支障を引き起こすことになる。
そこで本発明の目的は、イソプロパノールから高収率
で高純度のプロピレンを製造することができる方法を提
供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明は前記課題を解決するために、γ−アルミナ触
媒を充填してなる高さ1〜30mの固定触媒層を有し、内
径が0.5〜10cmの反応器に、クメン法によりフェノール
を製造する際に副生するアセトンを水素化することによ
り得られるイソプロパノールを含む原料混合物を供給
し、熱媒を用いて触媒層を200〜400℃に均一に加熱し
て、固定床気相反応を行わせることを特徴とするプロピ
レンの製造方法を提供するものである。
本発明の方法で用いられる原料混合物の主成分である
イソプロパノールは、クメン法によるフェノール製造に
おいて副生されるアセトンを適当な方法で水素化して得
られるイソプロパノールを利用するものであり、この点
で、工業的に有利である。
反応器へのイソプロパノールの供給量は、通常、LHSV
で0.1〜10hr-1、好ましくは0.5〜3hr-1程度である。
また、本発明で用いられる原料混合物は、イソプロパ
ノールの他に、イソプロパノールの脱水反応によって生
成したプロピレンを含む反応生成物を反応系内から速や
かに排出させるため、イソプロパノールの脱水反応に不
活性なガス状物質を含有していてもよい。このようなガ
ス状物質としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン
等が挙げられる。またこのガス状物質には反応器に供給
される前は液状物であっても、反応器内の反応条件下に
おいてガス状になる物質が含まれる。このような物質と
しては、例えば、ペンタン、ヘキサンなどが挙げられ
る。
このガス状物質をイソプロパノールと混合して反応器
に供給する場合、その使用量は通常、イソプロパノール
1モルに対して0.05〜10モルの範囲が好ましい。ガス状
物質の使用量が多すぎると、反応生成物であるプロピレ
ンと水の混合物から多量の不活性ガスを分離させ反応器
に循環する必要が生じ、分離コストおよび循環に要する
コストが高くなるなどの経済的な不利益を生じる。
本発明で固定触媒層に用いられる触媒は、イソプロパ
ノールを脱水反応させる固体触媒であり、γ−アルミナ
触媒である。
使用される触媒の形態は、固定触媒層を形成できるも
のであればよく、特に限定されない。例えば、タブレッ
ト型、リング型、球状型、円柱状押し出し型、三つ葉状
押し出し型、顆粒型等が挙げられ、触媒強度が大きく、
反応管への均一な充填が可能であるという点で、球状
型、タブレット型、押し出し型が好ましい。
この触媒を反応器に充填して形成される固定触媒層の
高さは、後記のとおり、反応器の内径が細いほど望まし
いことから、触媒容積を大きくし、触媒量を確保するた
めに、1〜30mであり、好ましくは2〜20mである。
本発明の方法で用いられる反応器は、外部から熱媒を
用いて均一に加熱できる構造のものであればよく、特に
制限されない。例えば、反応管の外側に配設したジャケ
ットに熱媒を通す方式、熱媒を満たした恒温槽中に反応
管を浸漬する方式等の外部加熱方式:反応管内部に熱媒
を通したり、内部をヒーターで加熱する方式等の内部加
熱方式;外部加熱と内部加熱を組合せた複合加熱方式な
どが挙げられる。
また、この反応器は、反応器と一体または別体に構成
される予備加熱部を有していてもよい。
この反応器の内径は、加熱の熱効率の点からは、細い
ものが望ましいが、生産性と触媒の充填効率の点で、0.
5〜10cmであり、特に2〜8cmが好ましい。
また、この反応器は、前記内径を有する単独の反応管
からなるものであっても、複数の反応管を並列に接続し
て構成されるものでもよい。反応器が複数の反応管で構
成される場合、共通の熱媒で加熱してもよいし、それぞ
れの反応管を個別に加熱してもよい。
熱媒による加熱の温度は、200〜400℃であり、特に原
料イソプロパノールとしてアセトンを水素化して得られ
たものを使用する場合には、微量の不純物が含有されて
いるため、350℃以下にするのが好ましい。
また、反応器が予備加熱部と一体になった構造の場合
には、予備加熱部における加熱温度は、反応器の加熱温
度と同じにすればよい。また、予備加熱部が反応器と別
体に構成される場合も予備加熱部の温度はイソプロパノ
ールの分解を抑制するために350℃以下にすることが好
ましい。
加熱に用いられる熱媒は、反応器を均一に加熱できる
ものであればよく、特に制限されない。例えば溶融塩、
ホットオイル、電気ヒーター、スチーム、火炎等が挙げ
られる。ホットオイルとしては、例えば、ダウサムA、
モービルサーム600、日赤ハイサーム#10、サームエス3
00、サームエス600などが挙げられる。また、溶融塩と
しては、例えば、Neo SK−SALT(綜研化学(株)製)な
どが挙げられる。
反応器における圧力は、反応系内が気相状態になる圧
力であればよく、減圧、常圧、加圧のいずれでもよく、
特に限定されないが、十分な反応速度が得られる点で25
atm以下にするのが好ましい。
反応は、連続式で行われる。
反応混合物の流通方向は、上昇流、下向流のいずれで
もよい。
<実施例> 以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。
(実施例1) 外部に予熱装置を接続した、内径38.4mm、長さ4800mm
のSUS316製の加熱ジャケット付縦型管状反応器の中間部
に、粒径3mmφの球状γ−アルミナ触媒5000mlを充填し
て高さ4300mmの触媒層を形成した。予熱装置の温度を19
0℃に調節し、加熱ジャケットに320℃のNeo SK−SALT
(綜研化学(株)製)を流通させて、反応器全体を均一
に320℃に加熱し、内圧18kg/cm2Gとした。イソプロパノ
ールを予熱装置に通して190℃に予熱した後、5000ml/hr
(LHSV 1.0hr-1)の流速で反応器頂部から供給して反
応させた。反応器底部から排出される気液混合物を液状
反応混合物とガス状生成物に分離させた。反応器頂部か
らイソプロパノールの供給を開始した後、8時間経過し
た時点での、反応器底部から排出されてくる気液混合物
中の液状反応混合物、ガス状生成物の量は、1時間当り
の平均で1180g/hr、1610/hrであった。このときの触
媒層入口の温度は186℃、触媒層出口の温度は311℃であ
った。
得られた液状反応混合物およびガス状生成物をガスク
ロマトグラフィによって分析し、イソプロパノール脱水
反応の反応成績を求めた。その結果、イソプロパノール
の転化率99.3mol%、プロピレン選択率99.5mol%であ
り、副生成物であるアセトンの選択率0.1mol%、またジ
イソプロピルエーテルの選択率0.06mol%であった。ま
た、ガス状生成物中のプロピレンの純度は99.8mol%で
あった。
(実施例2) 実施例1と同じ構成の反応器において、予熱装置の温
度を300℃、加熱部の温度を330℃および内圧を18kg/cm2
Gに調節した。イソプロパノールを予熱装置に通して300
℃に予熱した後、7500ml/hr(LHSV 1.5hr-1)の流速で
反応器頂部から供給して反応させた。反応器底部から排
出される気液混合物を液状反応混合物とガス状生成物に
分離させた。反応器頂部からイソプロパノールの供給開
始後8時間経過した時点での触媒層入口の温度は300
℃、触媒層出口の温度は319℃であった。このとき、得
られる液状反応混合物およびガス状生成物をガスクロマ
トグラフィによって分析し、イソプロパノール脱水反応
の反応成績を求めた。その結果、イソプロパノールの転
化率99.3mol%、プロピレンの選択率99.7mol%であり、
副生成物であるアセトンの選択率0.07mol%、ジイソプ
ロピルエーテルの選択率0.09mol%であった。
(実施例3) 実施例1と同じ構成の反応器において、予熱装置の温
度を300℃、加熱ジャケット部に流通させる熱媒の温度
を330℃に、および内圧を18kg/cm2Gに調節した。クメン
法によるフェノール製造工程で副生したアセトンを水素
化して得られたイソプロパノール(純度:97.3%)を、
予熱装置に通して予熱した後、7500ml/hr(LHSV 1.5hr
-1)の流速で反応器頂部から供給して反応させた。反応
器底部から排出される気液混合物を液状反応混合物とガ
ス状生成物に分離させた。反応器頂部からイソプロパノ
ールの供給開始後8時間経過した時点での触媒層入口の
温度は300℃、触媒層出口の温度は319℃であった。この
とき、得られる液状反応混合物およびガス状生成物をガ
スクロマトグラフィによって分析し、イソプロパノール
脱水反応の反応成績を求めた。その結果、イソプロパノ
ールの転化率99.2mol%、プロピレンの選択率99.6mol%
であり、副生成物であるアセトンの選択率0.03mol%、
ジイソプロピルエーテルの選択率0.02mol%であった。
(比較例1) 予熱装置を接続した、内径25.4mm、長さ4000mmのSUS3
16製の縦型管状反応器のほぼ中間部に、粒径3mmの球状
γ−アルミナ1500mlを充填して高さ1300mmの触媒層を形
成した。予熱装置の温度を250℃に調節し、電気炉によ
り触媒層が410℃になるように加熱し内圧18kg/cm2Gとし
た。イソプロパノールを予熱装置に通して予熱した後、
1500ml/hr(LHSV 1hr-1)の流速で反応器頂部から供給
して反応させた。反応器底部から排出される気液混合物
を液状反応混合物とガス状生成物に分離させた。反応器
頂部からイソプロパノールの供給開始後8時間経過した
時点での触媒層入口の温度は282℃、触媒層出口の温度
は390℃であった。このとき、得られる液状反応混合物
およびガス状生成物をガスクロマトグラフィによって分
析し、イソプロパノール脱水反応の反応成績を求めた。
その結果、イソプロパノールの転化率99.6mol%、プロ
ピレンの選択率90.6mol%であり、また副生物としてア
セトンが4.3mol%生成していた。また、液状反応混合物
中には、反応器中で生起した重合反応の生成物である黄
色の油分が2.8重量%含有されていた。得られたガス状
生成物中のプロピレンの含有率は97.5mol%であった。
<発明の効果> 本発明の方法によれば、イソプロパノールを脱水して
高収率、高効率で高純度のプロピレンを製造することが
できる。また、クメン法によるフェノール製造工程にお
いて副生するアセトンを水素化して得られるイソプロパ
ノールを利用すれば、この副生アセトンを有効利用する
方途が得られ、好都合である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安原 充樹 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−231932(JP,A) 特公 昭39−30263(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 11/06 C07C 1/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】γ−アルミナ触媒を充填してなる高さ1〜
    30mの固定触媒層を有し、内径が0.5〜10cmの反応器に、
    クメン法によりフェノールを製造する際に副生するアセ
    トンを水素化することにより得られるイソプロパノール
    を含む原料混合物を供給し、熱媒を用いて触媒層を200
    〜400℃に均一に加熱して、固定床気相反応を行わせる
    ことを特徴とするプロピレンの製造方法。
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