JP2810799B2 - コイルばねの製造方法 - Google Patents
コイルばねの製造方法Info
- Publication number
- JP2810799B2 JP2810799B2 JP1357491A JP1357491A JP2810799B2 JP 2810799 B2 JP2810799 B2 JP 2810799B2 JP 1357491 A JP1357491 A JP 1357491A JP 1357491 A JP1357491 A JP 1357491A JP 2810799 B2 JP2810799 B2 JP 2810799B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coil spring
- surface roughness
- wire
- manufacturing
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Springs (AREA)
- Wire Processing (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
用される弁ばね等の高強度高耐疲労ばねの製造方法に関
する。
て、引張強度の高い線材を使用し、コイリング成形し、
熱処理し、ショットピーニングによる残留応力付与処理
し、その後研磨処理して表面最大荒さを低減させる各工
程を実施する方法が知られている。また、特開平2−1
29422号公報には、シリコンクロム清浄鋼線を使用
し、コイリング成形し、熱処理し、ショットピーニング
による残留応力付与処理し、その後研磨処理して表面最
大荒さRmax を5μm以下にして高強度ばねを製造する
方法が記載されている。
ングによる残留応力付与処理を行いその後研磨処理して
表面最大荒さをRmax 5μmとする方法は、ショットピ
ーニングにより表面の凹凸が大きくなるため比較的表面
を厚く研磨しなければならずそのために工数がかさむと
いった問題がある。
耐疲労性の高いコイルばねの製造方法を提供するもので
ある。
める手段および残留応力付与処理時のショットピーニン
グによる表面荒さの増大を抑制する手段として所定の処
理を施したコイリング成形品に窒化処理が有効であるこ
とを見つけ、本発明を完成したものである。すなわち、
本発明のコイルばねの製造方法は、酸化皮膜を有する鉄
鋼線材をコイリング成形し、熱処理し、表面最大荒さR
max 5μm以下となるようにデスケール処理し、窒化処
理し、ショットピーニングによる残留応力付与処理する
ことを特徴とする。
μm以下となるようにデスケール処理した後窒化処理す
ることにより、残留応力付与処理時のショットピーニン
グによるばね表面の荒さの増大が抑制され、研磨処理を
実施しなくても済み、研磨処理に要するコストが掛から
ないため、製造コストが大幅に低減できる。また、窒化
処理によりばね表面は窒化されて硬くなるため表面に傷
が生じにくくそれだけ耐久性が向上する。
る線材は、窒化処理により表面部が窒化されて表面部の
硬度が高くなる鉄鋼材である。特に、高強度ばね用とし
て従来より使用されている合金鋼オイルテンパー線とか
合金鋼硬引線が適している。係る線材は酸化皮膜をもつ
ものである必要がある。酸化皮膜はその後の工程のコイ
リング成形を容易にする作用を成す。
り、硬度を高くするために行うもので、具体的には、合
金鋼オイルテンパー線には例えば420℃30分間の低
温焼鈍処理を実施して、残留応力や歪みの除去を行って
いる。また合金硬引線には焼き入れ焼き戻し処理を実施
してその硬度を高くしている。デスケール処理は、コイ
リング成形され、熱処理されたバネ素材の表面の酸化皮
膜を除去する工程である。酸化皮膜を取り除くことによ
りより均一な窒化処理が可能となる。
の表面最大荒さをRmax 5μm以下にする必要がある。
表面最大荒さをRmax 5μmを越えると、窒化の均一性
が不十分となり、また、表面研磨が必要となる。デスケ
ール処理としては電解研磨、酸洗い(例えば5%程度の
希塩酸に数分浸漬する。)、ショットブラスト、ショッ
トピーニング等で実施できる。ショットブラスト、ショ
ットピーニングでは特にばね素材の表面荒さを増大させ
ないように、比較的弱くブラストされるような条件を選
択する必要がある。例えば、ショットピーニングでは、
比較的柔らかいガラスビーズや砥粒を使用するとか、直
径0.3mm以下の細かいカットワイヤを使用すると
か、直径0.3mm以下のスチールショットを使用する
ことによりばね素材の表面最大荒さをRmax 5μm以下
にすることができる。
ピーニングで実施することにより、酸化皮膜を除去でき
る以外に次の工程の窒化が容易となる。窒化処理は表面
より約0.2mm程度の深さまで窒化し、表面より0.
05から0.1mmまでの表面部の硬度をHv 800か
ら900程度とするものである。窒化処理そのものは従
来と同様に実施することができる。例えば、アンモニア
雰囲気中に420から550℃で2から6時間処理する
ことにより所定の窒化層を形成できる。
理についても、基本的には従来と同じである。残留応力
は可能な限り表面より深く付与するのが好ましい。本発
明の方法では、表面部が最も高く、従来に比べ表面より
深いところまで分布する圧縮応力が付与される。
%は特に明記されていない限り重量%を意味する)、珪
素1.43%、マンガン0.67%、燐0.015%、
硫黄0.006%、クロム1.57%、モリブデン0.
57%、バナジウム0.26%、残部鉄とからなる合金
鋼をオイルテンパーして、引張強度σB=209kgf/mm
2 の合金鋼オイルテンパー線としたものを使用した。
コイル中心径21.2mm、総巻数6.5巻、有効巻数
4.5巻、自由高さ50mm、ばね定数2.445kgf/mm
2 のコイルばねに成形した。次にこのコイルばねを50
0℃で30分間熱処理し低温焼鈍をおこなった。その
後、直径0.2mmのスチールボールを使用し、10分間
のマイクロショットピーニングを実施して表面の酸化皮
膜を除去した。この状態でのコイルの表面荒さはRmax
2.5μmであった。
6時間のガス窒化を行いコイル表面に窒化層を形成し
た。その後、コイルの端面を切削して仕上げ処理し、続
いて直径0.8mmのカットワイヤを使用し、60分間の
ショットピーニングを実施してコイル表面に圧縮残留応
力を付与した。そして最後に250℃30分間の低温焼
鈍を実施し、異常に大きな内部歪みを除去し、弾性限界
の低下を抑制した。これにより本実施例のコイルばねを
得た。
μmであった。また、このコイルばねの5x107 回の
疲れ強さは60±57kgf/mm2 であった。なお、比較の
ために、同じ合金鋼オイルテンパー線を使用し、次に示
す比較例1、比較例2および比較例3の3種類のコイル
ばねを作った。比較例1のコイルばねは、実施例1の酸
化皮膜除去のためのマイクロショットピーニング処理お
よび窒化処理を省略したものである。これら酸化皮膜除
去および窒化処理以外は実施例1と同じにして比較例1
のコイルばねを得た。この比較例1のコイルばねの表面
荒さはRmax 10μm、このコイルばねの5x107 回
の疲れ強さは60±48kgf/mm2 であった。比較例1の
コイルばねは酸化皮膜除去処理と窒化処理を実施せずか
つ残留応力付与のためのショットピーニングの後に表面
平滑化のための処理を施していない。このためこの比較
例1のコイルばねは製造工程が簡単で製造コストが低い
というメリットがあるが、その反面、比較例1のコイル
ばねの表面荒さは実施例1のコイルばねの表面荒さより
大きく、かつ比較例1のコイルばねの疲れ強さは実施例
1のコイルばねの疲れ強さよりはるかに低い。
ルばねを最後に電解研磨してその表面荒さをRmax 3.
5μmとしたものである。すなわち比較例2のコイルば
ねは、酸化皮膜除去処理および窒化処理を実施せずかつ
電解研磨で最後にコイルばねの表面を平滑にした以外は
実施例1と同じにして作ったものである。このコイルば
ねの5x107 回の疲れ強さは60±51kgf/mm2 であ
った。この比較例2のコイルばねは、表面平滑化処理を
実施しているため疲れ強さが向上しているが5x107
回の疲れ強さはまだ60±51kgf/mm2 と低い。これは
窒化処理を実施していないことおよび表面平滑化処理に
より残留圧縮応力層の一部が研磨除去されたために起因
すると考えられる。
皮膜除去のためのマイクロショットピーニングに代え
て、直径0.8mmのカットワイヤを使用した30分間の
ショットピーニングを実施し、その他の工程は実施例1
とまったく同じにしてコイルばねを得たものである。こ
のコイルばねの表面荒さはRmax 8μmであり、5x1
07 回の疲れ強さは60±52kgf/mm2 であった。ま
た、このコイルばねの酸化皮膜除去工程後の表面荒さは
Rmax 9.0μmであった。この比較例3のコイルばね
は、酸化皮膜除去工程における表面荒さが荒いため最終
製品のコイルばねの表面荒さも荒い。このため疲れ強さ
も低い。
ばねとの比較から理解できるように、酸化皮膜除去工程
における表面荒さが最終製品の表面荒さと密接に関連
し、酸化皮膜除去工程における表面荒さを低く抑えかつ
窒化処理を実施することにより、最終製品のコイルバネ
の表面荒さを低くできかつ疲れ強さを高くすることがで
きる。
σB =135kgf/mm2の合金鋼硬引線としたものを線材
として使用した。この線材を用いたことおよびコイリン
グ後の低温焼鈍に代えて930℃×7分加熱した後空冷
で焼入れし、さらに450℃×20分の焼戻しを行った
以外は実施例1の工程と全く同じ工程を実施し、本実施
例のコイルばねを得た。
3.2μmであり、5x107 回の疲れ強さは60±5
6kgf/mm2 であった。また、このコイルばねの酸化皮膜
除去工程後の表面荒さはRmax 3.0μmであった。本
実施例の場合も、酸化皮膜除去工程での表面荒さを低く
しているため、最終製品のコイルばねの表面荒さをRma
x 3.2μmと低くでき、かつ、疲れ強さを高くするこ
とができた。
化皮膜除去工程後の表面荒さRmax 5μm以下と低く
し、かつその後に窒化処理を実施している。このため表
面残留応力付与工程のショットピーニング工程でもコイ
ルばね表面の表面荒さを比較的低くでき、コイルばね表
面を平滑にする表面研磨工程を必要としないで高い疲労
強度をもつコイルばねを製造することもできる。このた
め製造工程を短く、かつ、製造コストを大幅に低下させ
ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化皮膜を有する鉄鋼線材をコイリング
成形し、熱処理し、表面最大荒さRmax 5μm以下とな
るようにデスケール処理し、窒化処理し、ショットピー
ニングによる残留応力付与処理することを特徴とするコ
イルばねの製造方法。 - 【請求項2】 鉄鋼線材は合金鋼オイルテンパー線であ
り、熱処理は低温焼鈍処理である請求項1のコイルばね
の製造方法。 - 【請求項3】 鉄鋼線材は合金鋼硬引線であり、熱処理
は焼き入れ焼き戻し処理である請求項1のコイルばねの
製造方法。 - 【請求項4】 デスケール処理はショットピーニングに
よってなされる請求項1のコイルばねの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1357491A JP2810799B2 (ja) | 1991-02-04 | 1991-02-04 | コイルばねの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1357491A JP2810799B2 (ja) | 1991-02-04 | 1991-02-04 | コイルばねの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05339763A JPH05339763A (ja) | 1993-12-21 |
JP2810799B2 true JP2810799B2 (ja) | 1998-10-15 |
Family
ID=11836941
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1357491A Expired - Fee Related JP2810799B2 (ja) | 1991-02-04 | 1991-02-04 | コイルばねの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2810799B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3173756B2 (ja) * | 1994-07-28 | 2001-06-04 | 株式会社東郷製作所 | コイルばねの製造方法 |
US6224686B1 (en) * | 1998-02-27 | 2001-05-01 | Chuo Hatsujo Kabushiki Kaisha | High-strength valve spring and it's manufacturing method |
GB2352202B (en) * | 1999-02-19 | 2003-05-28 | Suncall Corp | Spring with excellent fatigue endurance property and surface treatment method for producing the spring |
JP5540433B2 (ja) * | 2010-11-29 | 2014-07-02 | 住友電工スチールワイヤー株式会社 | 耐へたり性と耐久性に優れたバネ及びその製造方法 |
-
1991
- 1991-02-04 JP JP1357491A patent/JP2810799B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05339763A (ja) | 1993-12-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2994508B2 (ja) | コイルばねの製造方法 | |
US7699943B2 (en) | Method for manufacturing high-strength spring | |
JP3173756B2 (ja) | コイルばねの製造方法 | |
US6346157B1 (en) | Manufacturing method of suspension spring for car | |
JPH05148537A (ja) | コイルばねの製造方法 | |
US6017641A (en) | Coil spring resistive to delayed fracture and manufacturing method of the same | |
JP2810799B2 (ja) | コイルばねの製造方法 | |
JP2682645B2 (ja) | オイルテンパー硬引鋼線ばね及びその製造方法 | |
US6027577A (en) | Manufacturing method of valve spring superior in durability | |
JPH06240408A (ja) | ばね用鋼線及びその製造方法 | |
JPH07214216A (ja) | 高強度ばねの製造方法 | |
JP3634418B2 (ja) | コイルばねの製造方法及び高靭性・高抗張力コイルばね | |
JPH05156351A (ja) | オイルテンパー線によるコイルばねの製造方法 | |
US5683521A (en) | Method for manufacturing spring having high nitrided properties | |
JP3780381B2 (ja) | 高強度コイルばねおよびその製造方法 | |
JP2511663B2 (ja) | コイルスプリングの製造方法 | |
JPH05179348A (ja) | 熱間コイリングによるコイルばねの製造方法 | |
JP2708279B2 (ja) | 高強度ばねの製造方法 | |
JP3301088B2 (ja) | 耐疲労性に優れたばね | |
JP3045795B2 (ja) | 高強度ばね及びその製造に用いるばね用オイルテンパー線 | |
JPH0641631A (ja) | ばねの強化方法 | |
JPH05331597A (ja) | 高疲労強度コイルばね | |
JPH06158158A (ja) | コイルばねの製造方法 | |
JP2009270150A (ja) | コイルばねの製造方法 | |
JPS58193323A (ja) | 高強度ばねの製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19980707 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070731 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080731 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100731 Year of fee payment: 12 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |