JP2772883B2 - クレーンの振れ止め・位置決め制御装置及び制御方法 - Google Patents

クレーンの振れ止め・位置決め制御装置及び制御方法

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JP2772883B2 JP4014282A JP1428292A JP2772883B2 JP 2772883 B2 JP2772883 B2 JP 2772883B2 JP 4014282 A JP4014282 A JP 4014282A JP 1428292 A JP1428292 A JP 1428292A JP 2772883 B2 JP2772883 B2 JP 2772883B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は港湾、製鉄所、各種工場
等の荷役作業に使用するクレーンの制御装置と制御方法
の改良に関するものであり、制御装置や制御方法の複雑
化を招くことなしに、短時間でクレーンの吊り荷の振れ
止めと正確な位置決めとを両立制御できるようにしたク
レーンの振れ止め・位置決め制御装置及び制御方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】クレーンの運転制御に於いては、(イ)
台車を短時間内に目標位置へ正確に到達させると共に、
(ロ)移動中の吊り荷の振れ角及び目標位置へ到達した
際の吊り荷の振れ角を零にするのが最も望ましい制御形
態であり、上述の如き理想的なクレーンの振れ止め・位
置決め制御を達成するために、これ迄に各種の制御方式
が開発されている。
【0003】図15は、従前のクレーンの振れ止め・位
置決め制御の一例を示すものであり、台車が目標位置に
達して停止した際の吊り荷の振れ角を零とすべき加速・
減速・低速運転から成る台車の制御速度パターンPを予
め算出しておき、この制御速度パターンPに追従するよ
うに台車の走行を制御する方法である。しかし、前記従
前のクレーンの振れ止め・位置決め制御方法に於いて
は、吊り荷の振れ角に対して台車の速度制御系が所謂オ
ープンループになっている。そのため、初期振れや突風
・制御遅れ時間・振れ周期の計算誤差等に起因する振れ
が発生した場合でも、これ等を減少させるための補正を
一切加えることができず、所望の振れ止め・位置決め制
御が達成できないと云う欠点がある。
【0004】一方、上述の如き従前の振れ止め・位置決
め制御に於ける問題を解決する一つの方法として、図1
6に示すようなクレーンの運転制御系を構成し、プロセ
ッサーからのアクチエータへ加える制御指令Sの決定を
ファジー推論によって行うことにより、初期振れや突風
等の外乱の存在下でも、高精度なクレーンの振れ止め・
位置決め制御を達成せんとする制御方法が開発されてい
る(特開昭60−218290号等)。即ち、当該制御
方法は、クレーンのダイナミックスをロープ系とトロリ
ー系(台車系)に分けて解析し、ロープ系について、
1 の加速度でT1 時間だけ走行させることにより、T
1 後にロープ系の振れを止める条件を、また台車系に
ついて、u2 の加速度でT2 時間だけ走行させることに
より、T2 後に台車を目標位置に停止させる条件を夫々
論理式の型で求め、更に、実際に設定した加速度入力
u及び時間Tに対する終端時刻に於けるロープ系の誤差
(残留振れ)J1と台車系の誤差(停止位置誤差)J2
を論理式の型で夫々求めると共に、プロセッサーに於い
て、クレーンのセンサー(クレーン位置、速度、ロープ
振れ角等の検出器)からの検出値を用いて前記残留振れ
1 及び停止位置誤差J2 を所定時間ごとに演算する。
そして、この演算した残留振れJ1 及び停止位置誤差J
2 を、現在の状態で制御入力uを指令したときの終端時
刻における評価指標の値の予測値として捉え、この評価
予測値を用いてファジー推論により、アクチエータへ加
える制御指令Sを決定するものである。
【0005】ところで、実際のクレーンに於いて、目標
位置にクレーンを止めようとすれば、減速を行う必要が
ある。しかし、減速を行うと振れが発生することにな
り、この振れを止めるためには加速を必要とする。この
様に、位置決めのための操作と振れ止めのための操作と
は操作方向が異なるうえ、位置決めを行うためには最終
的に減速を行う必要があり、しかも、その減速度の大き
さと減速を行う時間によって移動距離が異なることにな
る。また、オペレータは経験による感覚的な操作を行
い、振れと位置の状態を見ながら加速−減速又は減速−
加速−減速をレバー操作(若しくはボタン操作)で繰り
返し、最後の位置決めと振れ止めは、時間的な推移を見
ながら一瞬の加減動作を行うことにより行っている。つ
まり、振れ止め制御と位置決め制御とを両立させるため
には、操作のタイミングや操作の継続時間を制御指令と
してアクチエータへ加えることが必要となる。
【0006】ところが、前記特開昭60−218290
号に於いては、ロープ系の残留振れJ1 と台車系の停止
位置誤差J2 との二種類の評価予測値からファジー推論
により制御指令を決定する構成としているため、予測値
を求める物理モデルを精度よく与える必要があり、前記
のような複雑で相反する系のモデル化には、多大の労力
を要すると云う難点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本件発明は、従前のク
レーンの振れ止め・位置決め制御に於ける上述の如き問
題、即ち(イ)予め算定した制御速度パターンに台車の
走行速度を追従させる制御方式にあっては、初期振れや
突風等の外乱による振れを消滅させることが不可能であ
り、振れ止め・位置決め制御の安定性に欠けること、
(ロ)従前のファジー推論によりアクチエータへの制御
指令を決定するようにした制御方式にあっては、精密な
物理モデルを作成するために膨大な労力を必要とするこ
と等の問題を解決せんとするものであり、ファジー推論
を応用した複雑な制御システムを使用することなしに、
多数の振れ止め・位置決め試験の結果から導出した制御
数式を用いて制御の指標に相当する値を算定し、当該算
定値を用いて台車の走行速度を制御することにより、比
較的簡単な制御装置を用いて高精度な振れ止め・位置決
め制御を短時間内に両立できるようにした制御装置及び
制御方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本件装置発明は、クレー
ンの位置、速度、ワイヤロープの振れ角及び振れ角速度
の測定装置と;前記クレーンの速度制御装置と;前記測
定装置からの検出値が入力され、速度制御装置へ制御速
度指令を出力する制御速度指令演算装置とを備えたクレ
ーンの振れ止め・位置決め制御装置に於いて、制御速度
指令演算装置から出力する制御速度パターンとして少な
くとも低速振れ止め・位置決めパターンを設け、この低
速振れ止め・位置決めパターンに於いて、Vr (t) =±
F(|±β−Uf |,|Xl |)なる制御速度指令Vr
(t) (但し、Fは関数を表わす記号,βは減速度(m/
sec2),Uf は低速振れ止め加減速調整量(m/se
c2),Xl は目標点までの残距離(m)、β−Uf >0
のときVr (t) は+、β−Uf<0のときVr (t) は−
とする)を出力するようにしたことを発明の基本構成と
するものである。また、本件方法発明は、クレーンの位
置、速度、ワイヤロープの振れ角及び振れ角速度の検出
値から制御速度指令演算装置に於いて制御速度指令を演
算し、当該制御速度指令をクレーンの速度制御装置へ入
力することにより、クレーンの振れ止め・位置決めを行
うようにしたクレーンの振れ止め・位置決め制御方法に
於いて、制御速度指令演算装置から出力する制御速度パ
ターンとして少なくとも低速振れ止め・位置決めパター
ンを設け、この低速振れ止め・位置決めパターンに於い
て、Vr (t) =±F(|±β−Uf |,|Xl |)なる
制御速度指令Vr (t) (但し、Fは関数を表わす記号,
βは減速度(m/sec2),Uf は低速振れ止め加減速調
整量(m/sec2),Xl は目標点までの残距離(m)、
β−Uf >0のときVr (t) は+、β−Uf <0のとき
r (t) は−とする)を出力するようにしたことを発明
の基本構成とするものである。
【0009】
【作用】クレーンは、制御速度指令演算装置から出力さ
れた加速パターン制御速度Vα(t) により加速され、高
速振れ止め制御速度Vh(t) に達すると、高速振れ止め
パターンに従って運転される。高速振れ止めパターンに
よる運転初期に振れが残ったり、或いは高速振れ止めパ
ターンで高速運転中に振れが発生した場合には、高速振
れ止め加減速調整量演算器からの加減速調整量Uによっ
て、速度制御装置へ入力される高速振れ止めパターン制
御速度Vh(t) が修正され、振れ止めが行われる。クレ
ーンが一定距離走行すると、制御は減速パターンに切換
えられ、減速パターン制御速度Vβ(t) によりクレーン
の減速が行われる。また、クレーンが所定の速度Vl
まで減速されると、低速振れ止め・位置決めパターンに
よる運転に入り、制御速度Vr(t) によって走行速度が
制御される。当該低速振れ止め・位置決めパターンに於
いては、その制御速度Vr(t) が、低速振れ止め加減速
調整量発生器からの低速振れ止め加減速調整量Uf によ
って補正され、当該パターンによる運転中の吊り荷の振
れ止めが行われる。即ち、前記低速振れ止め・位置決め
制御速度Vr(t) は、Vr(t) =±F(|±β−Uf|,
|Xl|)、より望ましくはVr(t) =±(2・|±β−
f|・|Xl|)1/2の型で出力され、Uf による振れ
止め・位置決め制御が、振れ角と周波数に対する角速度
との位相平面図の第2象限若しくは第4象限又は第2象
限及び第4象限の両方に於いて行われることにより、振
れ止めと位置決めの両方が同時に達成される。その結
果、クレーンは目標位置上に短時間内に停止すると共
に、停止時の吊り荷の振れが零となる。
【0010】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図1は、本発明により制御されるクレーンのモデ
ルを示すものであり、図に於いて1はクレーン、1aは
クレーン台車、2は巻上ワイヤロープ、3は吊り荷、l
はロープ長さ、θは振れ角、θ´は振れ角速度、Qは出
発点、Rは目標点、Xmは目標位置値、Xcは検出位置
値、Xは残距離値である。
【0011】また、図2は、本発明により制御されるク
レーン1の制御速度パターンの概要を示すものであり、
図に於いて4は加速パターン、5は高速振れ止めパター
ン、6は減速パターン、7は低速振れ止め・位置決めパ
ターン、Vα(t) は加速パターン制御速度、Vh(t) は
高速振れ止めパターン制御速度、Vβ(t) は減速パター
ン制御速度、Vr(t) は低速振れ止め・位置決めパター
ン制御速度、Vlは低速振れ止め・位置決めパターン制
御の開始速度であり、前記低速振れ止め制御パターン7
の部分が、後述する如く本発明の要部を構成するもので
ある。
【0012】図3は本発明に係るクレーンの振れ止め・
位置決め制御装置の全体構成図を示すものであり、当該
制御装置は、移動残距離演算器8・振れ周期演算器9・
速度パターン発生器10・高速振れ止め加減速調整量演
算器11a・低速振れ止め加減速調整量演算器11b・
高速振れ止め制御速度演算器12・低速振れ止め・位置
決め制御速度演算器13・速度制御パターン切替演算器
14等より成る制御速度指令演算装置17と、前記演算
装置17からの制御速度指令V(t) が入力されるクレー
ンの速度制御装置15と、クレーンの位置、速度、ロー
プ長さ、ロープの振れ角及び振れ角速度の測定装置(図
示省略)等から形成されている。
【0013】前記移動残距離演算器8は目標位置値Xm
と自位置の検出値Xcの差である残距離X=Xm−Xc
演算するものであり、また、振れ周期演算器9はワイヤ
ロープ2の長さlから振れ周期TをT=2π・(l/
g)1/2 として演算する。但しgは重力の加速度であ
る。前記速度パターン発生器10は、クレーン運転開始
時に自位置検出値Xc・目標位置値Xm 及び吊り荷振れ
周期T等から、制御の基本となる前記図2の如き制御速
度パターンを決定すると共に、加速パターン制御速度V
α(t) 、低速振れ止め・位置決めパターンによる制御開
始速度Vl 及び当該パターンによる制御残距離Xl を出
力する。
【0014】前記高速振れ止め加減速調整量演算器11
aは振れ角θ・振れ角速度θ´、ロープ長さlから高速
振れ止めパターン5に於ける振れ止めのための加減速調
整量Uを演算する。尚、当該Uの演算式は、U=−g×
(θ2 +ω2 /θ2 )/2θであり、ωは(g/l)
1/2 で演算される振れ周波数である。同様に、前記低速
振れ止め加減速調整量演算器11bは低速振れ止め・位
置決めパターン7に於ける振れ止めのための加減速調整
量Uf を演算するためのものであり、その演算式は前記
Uの演算式と同じである。
【0015】前記高速振れ止め制御速度演算器12は、
演算器の一周期前の演算制御速度V h-1(t)又は速度検出
値V0(t) 、高速振れ止め加減速調整量U及び演算器の
演算周期Δtから、高速振れ止めパターン5に於ける制
御速度Vh(t) を演算するものであり、Vh(t) =V
h-1(t)又はV0(t) +U・Δtとして演算される。ま
た、前記低速振れ止め・位置決め制御速度演算器13
は、低速振れ止め・位置決めパターン7に於ける減速度
β、振れ止め加減速調整量Uf 、運転残距離値Xから、
低速振れ止め・位置決めパターンに於ける制御速度V
r(t) を演算するものであり、当該Vr(t) は後述する如
く、Vr(t) =Sign・(2・|±β−Uf|・|Xl
|)1/2 として演算される。但し、Signは+又は−
を表す符号である。
【0016】前記速度制御パターン切替演算器14は、
現在の速度検出値V0(t) 、運転残距離X、加速パター
ン制御速度Vα(t) 、吊り荷の振れ周期T及び低速振れ
止め・位置決めパターンの制御距離Xl からクレーン台
車の制御速度指令値V(t) を演算し、これをクレーンの
速度制御装置15へ出力するものである。即ち、当該速
度制御パターン切替演算器14は、先ず加速パターン制
御速度Vα(t) でクレーン台車の運転を開始させ、所定
の加速完了速度に達すれば、制御を高速振れ止めパター
ンに切り換えて、クレーン台車の制御速度V(t) を高速
振れ止め制御速度演算器12からの速度指令値Vh(t)
にする。また、クレーン台車が所定の位置へ到達すれば
減速パターンに切替えて、その制御速度V(t) を減速パ
ターン制御速度Vβ(t) とすると共に、クレーン台車の
運転の運転残距離Xが低速振れ止め・位置決めパターン
による制御距離Xl になれば、減速度βを演算して、制
御速度演算器13へ出力する。更に、制御を低速振れ止
め・位置決めパターンに切替え、制御速度V(t) を低速
振れ止め・位置決め制御速度演算器13からの速度指令
値Vr(t) に切替える。
【0017】次に、本発明によるクレーンの運転制御方
法を具体的に説明する。図2を参照して、先ず、加速パ
ターン4に於いては、台車は予め算定された加速パター
ン制御速度Vα(t) で運転され、加速完了時点で振れが
発生しないように加速される。具体的には、従前と同様
に、加速時間を吊り荷の振れ周期に合わせることによ
り、加速完了時点で振れが生じないようにしている。
尚、クレーンの運転に於いては、所謂吊り荷の地切り時
に生ずる初期振れや突風等による外乱振れが不可避であ
り、また、巻上ワイヤロープの掛け方が複雑であるた
め、吊り荷の振れ周期Tも理論値とは若干異なったもの
になる。従って、現実には、加速開始時に初期振れ等が
ある場合には、この振れが加速完了時点で拡大されない
ことを目安にして、クレーン台車の加速が行われてい
る。
【0018】高速振れ止めパターン5に於いては、前記
高速振れ止め加減速調整量演算器11aからの高速振れ
止め加減速調整量Uにより、制御速度Vh(t) が補正さ
れ、これによって高速振れ止めパターンによる運転中の
振れ止めが行われる。即ち、加速パターンの完了時点で
初期振れや外乱に起因する振れが存在する場合には、こ
れ等の振れを解消すべく前記高速振れ止め加減速調整量
Uが、一周期前の制御速度指令値Vh-1(t)又は現在の速
度検出値V0(t) に次式に示す演算式によって付加さ
れ、得られた制御速度Vh(t) でもってクレーンの運転
が行われる。 Vh(t) =Vh-1(t)又はV0(t) +U・Δt 但し、Δtは演算器の制御周期である。
【0019】図4は、前記振れ止めのための加減速の説
明図であり、吊り荷3は(イ)→(ロ)→(ハ)→
(ニ)の順序で振れ、且つクレーン台車が右方向へ速度
Vで動いている場合を示す。図4の状態に於いて、吊り
荷3の振れを止めようとする場合には、吊り荷の振れが
(イ)の状態の際にはクレーン台車に大きな加速度α1
を、また(ロ)の状態の際には程良い減速度α2 を、
(ハ)の状態の際には、大きな減速度α3 を、(ニ)の
状態の際には程良い加速度α4 を、夫々クレーン台車に
加えればよい。
【0020】図5〜図8は、前記図4に示す如くクレー
ン台車に加減速度α1 〜α4 (即ち高速振れ止め加減速
調整量U1 〜U4 )を加えた場合の振れ止め効果を説明
する位相平面図である。尚、図に於いて、縦軸はθ´/
ω、横軸は振れ角度θ、(1)・(2)・(3)・
(4)は振れ象限を示すものである。また、Aは加減速
調整量が無い場合の振れ円、Bは付加した加減速調整量
による振れ円、Hは各象限で前記の振れ止め加減速調整
量を加えた時の振れの最終軌跡である。更にθは振れ
角、θ´は振れ角速度、ωは周波数(g/l)1/2 、g
は重力の加速度、lはロープ長さである。即ち。図5
は、振れ象限(1)に於いてクレーン台車に大きな振れ
止め用の加速度U1 を加えた場合を示すものであり、矢
印Hに示す如く、吊り荷の振れが減少する。同様に、図
6は振れ象限(4)に於いて程良い振れ止め用の減速度
4を、図7は振れ象限(3)に於いて大きな振れ止め
用の減速度U3 を、図8は振れ象限(2)に於いて程良
い振れ止め用の加速度U2 を夫々加えた場合を示すもの
である。尚、前記振れ象限(1)及び振れ象限(3)に
於ける高速振れ止め加減速調整量U1・U3の値は必ずし
も固定値でなくても良く、制御にマッチングする値であ
ればよい。
【0021】高速振れ止めパターン5に沿って所定距離
だけ進行すると、クレーン台車は減速パターン6により
得られる減速パターン制御速度Vβ(t) で運転制御さ
れ、減速完了時点で振れが発生しないように減速され
る。具体的には、減速時間を振れ周期Tに合わせること
により、減速完了時点で振れが生じないようにしてい
る。
【0022】減速パターン6による運転により、クレー
ン台車の速度が所定の速度Vlにまで減速されると、低
速振れ止め・位置決めパターン7によりクレーン台車の
走行が制御される。又、減速パターン6の完了時に初期
振れや外乱等に起因する振れが残っている場合や、低速
振れ止め・位置決めパターン7による運転中に突風等に
よる振れが発生した場合には、低速振れ止め・位置決め
加減速調整量演算器11bにより算出された振れ止め加
減速調整量Uf によって、低速振れ止め・位置決め制御
速度Vr(t) が調整され、これによって吊り荷の振れ止
めと位置決めの両立制御が行われる。
【0023】前述した如く、クレーンを目標位置に止め
る位置決め制御と、目標位置に停止した際の振れを止め
る振れ止め制御とを同時に満足するような数式上の解
は、一般には存在しない。このため、本発明に於いて
は、非線型の対象に対する近似解の一つと判断される
式、即ち実際のクレーンの操作を規則に置き換えて制御
しようとする場合の制御規則の指標となるような数式を
求め、当該数式によって低速位置決め・振れ止めパター
ン7に於ける制御速度Vr(t) を演算し、これをクレー
ンの速度制御装置15へ出力するようにしている。
【0024】今、クレーン台車の速度をV、減速度を
β、時間をt、目的地までの距離をXとすると、V=β
・tであり、X=α・t2 /2となる。この2式からt
を消去すると、V=(2・β・X)1/2 となる。この式
は時間tに関係が無く、減速度βが一定のとき、距離と
共に速度を小さくすることを表している。つまり、ある
速度Vで移動しているとき、目的の位置までの距離に応
じて速度を制御する場合に利用し得るものである。
【0025】而して、上記の減速度βは位置決めのため
の減速度であるが、本発明に於いては、この部分に振れ
止めのための加減速度調整量Uf を付加して前記βの部
分をβ−Uf に置き換えると共に、振れ止め・位置決め
パターンの制御速度Vr (t)に特定の符号付けをした下
記の(1)式により、低速振れ止め・位置決め制御速度
r(t) を演算するものである。 Vr(t) = Sign・(2・|±β−Uf|・|Xl|)1/2 …(1) 但し、ここで、βは減速度であってβ=Vl 2 /2|Xl
|(m/sec2)、Vlは低速振れ止め・位置決めパター
ン制御の開始速度(m/sec )、Xl はその制御残距離
(m)、Uf は低速振れ止め・位置決めパターンに於け
る振れ止め加減速調整量(m/sec2)である。尚、前記
βは逐次演算をするようにしてもよいし、制御状態に応
じて適宜に選定した値であってもよい。また、Sign
は+又は−の符号であり、Xm −Xc =X>0であって
(正転時)且つβ−Uf >0の時は+(即ち、Vr(t)
=正)に、β−Uf <0の時は(即ちVr(t) =負)に
符号付けされ、また、X<0であって(逆転時)且つ−
β+Uf>0の時は+に、−β+Uf <0の時は−に符
号付けされる。尚、β−Uf =0の時はVr(t) =0と
なる。更に、当該制御速度Vr(t) に於いて、Vr(t) >
0時はクレーン台車が正転方向へ、またVr(t) <0の
時は逆転方向へ夫々移動することを意味する。
【0026】前記低速振れ止め・位置決めパターン7に
於ける振れ止め加減速調整量Uf は、図9の位相平面図
を基にして演算される。即ち、図に於いてAは現在の位
相平面上の位置、BはC点の加速度を加えた際の吊り荷
の動き、Cは振れを止めるために必要な加速度(C点の
座標はθ軸上の線分OC=CAとして求める)である。
また、前記Cは、C=Uf /gであるから、振れ止め加
減速調整量Ufは、Uf=−g×[θ2+(θ1/ω)2
/2θとして求められる。但し、θは振れ角、θ´は振
れ角速度、ωは周波数=(g/l)1/2 、gは重力加速
度=9.8m/sec2、lはロープ長さmである。尚、実
際の低速振れ止め・位置決めパターン制御では、前記図
9の第1象限(1)及び第3象限(3)に於ける振れ止
めの加減速度Uf は、位置決めに対して非常に大きな悪
影響を及ぼすため、Uf =0(即ち、Uf による制御を
行わない)の状態としている。
【0027】表1及び表2は、本発明による低速振れ止
め・位置決めパターンに於ける正転時と逆転時の制御マ
トリックスを示すものであり、また、図10及び図11
は加減速β及び低速振れ止め加減速調整量Uf の符号付
けを示すものである。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】次に、クレーンの正転時を示す表1から本
発明の基礎を為す前記制御速度Vr(t) を見ると、振れ
が第1象限から第4象限へ切換わる際には加速方向
(即ち、振れを大きくする方向)の、第4象限から第
3象限への切換時は減速方向(即ち、振れを小さくす
る方向)の、第3象限から第2象限への切換時は加
速方向の各速度制御指令が夫々出力される特性となって
いる。
【0031】また、位置決めの観点から見ると、前記制
御速度Vr(t) の(1)式は振れ止めの場合と同様に第
1象限、第3象限での低速振れ止め加減速調整量Uf
出力をゼロとしているため、位置決めに適した制御と適
さない制御とが交互に行われている。シミュレーション
で見る限り、制御出力中の位置決めに適した出力の回数
は約84%程度となっている。尚、前述したように前記
(1)式で示した制御速度Vr(t) の式が、位置決め制
御と振れ止め制御の両方を同時に満足し得る解の一つで
あると云うことについては、未だ十分に説明ができてい
ないが、後述するシミューレーションテストの結果から
も明らかなように、比較的短時間(即ち、振れ周期Tの
約2倍の時間)で位置決めと振れ止めの両制御を行ない
得ることが実証されており、極めて高い実用的効用を具
備するものである。
【0032】図12、図13及び図14は、本発明の低
速振れ止め・位置決めパターン制御を適用した場合のシ
ミューレーション試験の結果を示すものである。尚、シ
ミューレーション試験の共通条件及び設定条件値は下記
の通りである。 ・加減速度 :位置決め、振れ止め共に+
0.3〜−0.3(m/sec2 ) ・クレーン初期速度Vl :クレーン制御全体の中の低
定速部分からのシミュレートのため、全速走行(50m
/sec )の10%速度(=0.083m/sec)を初期速
度とした。 ・ロープ長l :6m。故に周期は4.92s
ec 。 ・減速度β :初期速度を1周期で止める
ことを想定し、0.0169m/sec2 (=0.083m
/sec /4.92sec )とした。 ・初期振れ角 :実機での低定速区間の実験
時に、振れ角センサの取付位置での振れ幅が約20mm
程度(図2)であったため、θ=0.024rad(=
tan-1(20/835))とした。 ・目標位置X :クレーンの初期速度から1
周期で止めた場合の移動距離0.204m(=0.083
×4.92/2.0)とした。 ・機械系の遅れ :実機による実験の結果よ
り、設定速度に対して実速度が約0.2sec 遅れている
ことがデータより読み取ることができた。このため、実
際はトルクの与え方等により遅れが多少異なるが、簡略
化して全体に0.2sec の一次遅れを想定して行った。 ・加減速調整量Uf :±0.25m/sec2 (リミ
ット値) 尚、上記説明に於いて、Xは目的地までの距離、Vr(t)
は制御速度、β−Uf はクレーン加減速度、Uf は振れ
止め加減速調整量、βは位置決め減速度、θは振れ角、
θ/ωは振れ角速度/周波数である。
【0033】シミュレーション試験の結果からも明らか
なように(図12のθ)、振れ周期T=4.91sec
[2×3.14×(6/9.8)1/2sec ]の約2周期分
の時間(9sec )で、精度よく振れ止めが出来ると共
に、位置決めも行えている(図12のX)。また、前記
シミュレーション試験の場合とほぼ同条件で、実機を用
いたクレーンの振れ止め・位置決め制御試験を行った
が、当該実機を用いた試験でも、約8〜9秒間内に振れ
止めと位置決めの両方を円滑に達成できることが確認さ
れた。
【発明の効果】本発明に於いては、クレーンの制御速度
パターンの最終段階である振れ止め・位置決めパターン
に於ける制御速度の指令値Vr(t) を、減速度βを振れ
止め加減速調整量Uf で補正することを内容とする多数
の振れ止め・位置決め制御試験の結果より見出された演
算式を用いて決定する構成としている。その結果、吊り
荷に初期振れや外乱による振れが発生した場合でも、従
前のクレーンの制御速度パターンとは異なって振れを短
時間内で有効に押さえることが出来ると共に、精度のよ
い位置決めを行なえる。また、本発明では、ファジー推
論により制御速度の指令値を決定する従前の制御方式に
比較して、精密な物理モデルが不要であり、装置の小形
化や製造コストの高騰を招くことなしに精度のよいクレ
ーンの振れ止めと位置決めの両制御ができるうえ、振れ
止め加減速調整量Ufや低速振れ止め・位置決めパター
ンの制御速度Vr(t) の決定にファジー推論を適用する
ようにした場合でも、制御規則数が比較的少なくなり、
制御装置の小形化と製造コストの引き下げを計り得る。
本発明は上述の通り、定格速度の約10%程度の速度で
低速振れ止め・位置決め制御パターンに入る場合には、
振れ周期Tの約2周期(8〜9秒間)の短時間内に振れ
止めと位置決めの両方が達成できると云う優れた実用的
効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーンのモデル説明図である。
【図2】本発明によるクレーンの振れ止め・位置決め両
立制御に於ける速度パターン図である。
【図3】本発明に係るクレーンの振れ止め・位置決め制
御装置のブロック構成図である。
【図4】クレーン台車の加速度の調整による吊り荷の振
れ止めの作用説明図である。
【図5】振れ象限(1)に於ける振れ止め加減速調整量
Uによる振れ止め作用の説明図である。
【図6】振れ象限(4)に於ける振れ止め加減速調整量
Uによる振れ止め作用の説明図である。
【図7】振れ象限(3)に於ける振れ止め加減速調整量
Uによる振れ止め作用の説明図である。
【図8】振れ象限(2)に於ける振れ止め加減速調整量
Uによる振れ止め作用の説明図である。
【図9】低速又は高速振れ止め・位置決めパターン制御
に於ける振れ止め加減速調整量Uf又はUの演算説明図
である。
【図10】低速振れ止め・位置決めパターン制御に於け
る減速度βの符号付けの説明図である。
【図11】低速振れ止め・位置決めパターン制御に於け
る振れ止め加減速調整量Ufの符号付け説明図である。
【図12】シミュレーションテストの結果を示す線図で
ある。
【図13】シミュレーションテストに於けるθとθ´の
関係を示す線図である。
【図14】シミュレーションテストに於けるXとθ´の
関係を示す線図である。
【図15】従前のクレーンのパターン速度制御方法の一
例を示すものである。
【図16】従前のクレーンの振れ止め・位置決め制御の
他の例を示すものである。
【符号の説明】
1はクレーン 1aはクレーン台車 1bは振れ角検出器 2はワイヤロープ 3は吊り荷 4は加速パターン 5は高速振れ止めパターン 6は減速パターン 7は低速振れ止め・位置決めパターン 8は移動残距離演算器 9は振れ周期演算器 10は速度パターン発生器 11aは高速振れ止め加減速調整量演算器 11bは低速振れ止め加減速調整量演算器 12は高速振れ止め制御速度演算器 13は低速振れ止め・位置決め制御速度演算器 14は速度制御パターン切替演算器 15は速度制御装置 16は駆動装置 17は制御速度指令演算装置 18は測定装置 lはロープ長さ θは振れ角 θ´は振れ角速度 Qは出発点 Rは目標点 Xmは目標位置値 Xcは自位置検出値 Xは残距離値 V(t)は現在の台車制御速度 Vα(t)は加速パターン制御速度 Vh(t)は高速振れ止めパターン制御速度 Vh-1(t)は一周期前の高速振れ止めパターン制御速度 Vβ(t)は減速パターン制御速度 Vr(t)は低速振れ止め・位置決めパターン制御速度 Vlは低速振れ止め・位置決めパターンによる制御開始
速度 V0(t)は現在速度の検出値 Tは振れ周期 Xlは低速振れ止め・位置決めパターンによる制御残距
離 Xbは減速パターンによる制御距離 Uは高速振れ止めパターンに於ける振れ止め加減速調整
量 Ufは低速振れ止め・位置決めパターンに於ける振れ止
め加減速調整量 Δtは演算器の演算周期 βは低速振れ止め・位置決めパターンに於ける減速度 ωは振れ周波数 Aは高速加減速調整量Uが無い場合の振れ円 Bは付加した加減速調整量Uによる振れ Hは振れの最終軌跡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 康文 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川鉄鉄構工業株式会社内 (72)発明者 伊藤 潤 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 右田 博久 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 乳井 直樹 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−56395(JP,A) 特開 昭62−157186(JP,A) 特開 昭60−218290(JP,A) 特開 平2−132099(JP,A) 特開 平2−132097(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B66C 13/22

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレーンの位置、速度、ワイヤロープの
    振れ角及び振れ角速度の測定装置と;前記クレーンの速
    度制御装置と;前記測定装置からの検出値が入力され、
    速度制御装置へ制御速度指令を出力する制御速度指令演
    算装置とを備えたクレーンの振れ止め・位置決め制御装
    置に於いて、制御速度指令演算装置から出力する制御速
    度パターンとして少なくとも低速振れ止め・位置決めパ
    ターンを設け、この低速振れ止め・位置決めパターンに
    於いて、Vr (t) =±F(|±β−Uf |,|Xl |)
    なる制御速度指令Vr (t) (但し、Fは関数を表わす記
    号,βは減速度(m/sec2),Uf は低速振れ止め加減
    速調整量(m/sec2),Xl は目標点までの残距離
    (m)、β−Uf >0のときVr (t) は+、β−Uf
    0のときVr (t) は−とする)を出力する構成としたク
    レーンの振れ止め・位置決め制御装置。
  2. 【請求項2】 低速振れ止め・位置決めパターンに於い
    て、Vr (t) =±(2・|±β−Uf |・|Xl |)
    1/2 なる制御速度指令Vr (t) (但し、βは減速度(m
    /sec2),Uf は低速振れ止め加減速調整量(m/se
    c2),Xl は目標点までの残距離(m)、β−Uf >0
    のときVr (t) は+、β−Uf <0のときVr (t) は−
    とする)を出力する構成とした請求項1に記載のクレー
    ンの振れ止め・位置決め制御装置。
  3. 【請求項3】 制御速度指令演算装置から出力する制御
    速度パターンを、加速パターンと高速振れ止めパターン
    と減速パターンと低速振れ止め・位置決めパターンとか
    ら成る制御速度パターンとするようにした請求項1又は
    請求項2に記載のクレーンの振れ止め・位置決め制御装
    置。
  4. 【請求項4】 クレーンの位置、速度、ワイヤロープの
    振れ角及び振れ角速度の検出値から制御速度指令演算装
    置に於いて制御速度指令を演算し、当該制御速度指令を
    クレーンの速度制御装置へ入力することにより、クレー
    ンの振れ止め・位置決めを行うようにしたクレーンの振
    れ止め・位置決め制御方法に於いて、制御速度指令演算
    装置から出力する制御速度パターンとして少なくとも低
    速振れ止め・位置決めパターンを設け、この低速振れ止
    め・位置決めパターンに於いて、Vr (t) =±F(|±
    β−Uf |,|Xl |)なる制御速度指令Vr (t)(但
    し、Fは関数を表わす記号,βは減速度(m/sec2),
    f は低速振れ止め加減速調整量(m/sec2),Xl
    目標点までの残距離(m)、β−Uf >0のときV
    r (t) は+、β−Uf <0のときVr (t) は−とする)
    を出力する構成としたクレーンの振れ止め・位置決め制
    御方法。
  5. 【請求項5】 低速振れ止め・位置決めパターンに於い
    て、Vr (t) =±(2・|±β−Uf |・|Xl |)
    1/2 なる制御速度指令Vr (t) (但し、βは減速度(m
    /sec2),Uf は低速振れ止め加減速調整量(m/se
    c2),Xl は目標点までの残距離(m)、β−Uf >0
    のときVr (t) は+、β−Uf <0のときVr (t) は−
    とする)を出力する構成とした請求項4に記載のクレー
    ンの振れ止め・位置決め制御方法。
  6. 【請求項6】 制御速度指令演算装置から出力する制御
    速度パターンを、加速パターンと高速振れ止めパターン
    と減速パターンと低速振れ止め・位置決めパターンとか
    ら成る制御速度パターンとするようにした請求項4又は
    請求項5に記載のクレーンの振れ止め・位置決め制御方
    法。
  7. 【請求項7】 低速振れ止め加減速調整量Uf による補
    正をした制御速度指令Vr (t) を、振れ角と周波数に対
    する振れ角速度との位相平面図上の第2象限又は第4象
    限に於いて出力する構成とした請求項4又は請求項5に
    記載のクレーンの振れ止め・位置決め制御方法。
  8. 【請求項8】 低速振れ止め加減速調整量Uf による補
    正をした制御速度指令Vr (t) を、振れ角と周波数に対
    する振れ角速度との位相平面図上の第2象限及び第4象
    限に於いて出力する構成とした請求項4又は請求項5に
    記載のクレーンの振れ止め・位置決め制御方法。
  9. 【請求項9】 クレーンの位置、速度、ワイヤロープの
    振れ角及び振れ角速度の検出値から制御速度指令演算装
    置に於いて制御速度指令を演算し、当該制御速度指令を
    クレーンの速度制御装置へ入力することにより、クレー
    ンの振れ止め・位置決めを行うようにしたクレーンの振
    れ止め・位置決め制御方法に於いて、前記制御速度指令
    演算装置から出力する制御速度パターンを、加速パター
    ンと高速振れ止めパターンと減速パターンと低速振れ止
    め・位置決めパターンとから成る制御速度パターンとす
    ると共に、前記高速振れ止めパターンに於いてVh(t)
    =V0(t)又はVh-1(t)+U・Δtなる制御速度指令Vh
    (t) (但し、V0(t)は検出速度(m/sec),Vh-1 は演
    算器の一周期前の制御速度(m/sec),Uは高速振れ止
    め加減速調整量(m/sec2),Δtは演算器の演算周期
    (sec))を出力する構成としたクレーンの振れ止め・位
    置決め制御方法。
  10. 【請求項10】 高速振れ止め加減速調整量Uによる補
    正をした制御速度指令Vh (t) を、振れ角と周波数に対
    する振れ角速度との位相平面上の第2象限又は第4象限
    に於いて出力する構成とした請求項9に記載のクレーン
    の振れ止め・位置決め制御方法。
  11. 【請求項11】 高速振れ止め加減速調整量Uによる補
    正をした制御速度指令Vh (t) を、振れ角と周波数に対
    する振れ角速度との位相平面上の第2象限及び第4象限
    に於いて出力する構成とした請求項9に記載のクレーン
    の振れ止め・位置決め制御方法。
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