JP2750017B2 - 新規酵素およびその製造方法、並びに光学活性な(r)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の製造方法 - Google Patents

新規酵素およびその製造方法、並びに光学活性な(r)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の製造方法

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JP2750017B2 JP3131964A JP13196491A JP2750017B2 JP 2750017 B2 JP2750017 B2 JP 2750017B2 JP 3131964 A JP3131964 A JP 3131964A JP 13196491 A JP13196491 A JP 13196491A JP 2750017 B2 JP2750017 B2 JP 2750017B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な酵素およびその
製造方法、並びに前記酵素を用いる光学活性な(R)−
2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、酵素的不斉還元反応を利用して、光学活性体を得る
方法が検討されている。例えば、特公昭61−1159
1号公報、特公平1−27717号公報、特開昭62−
286号公報および特開昭63−32480号公報に
は、乳酸菌が生産する数種の脱水素酵素が報告されてい
る。これらの脱水素酵素は、還元型ニコチンアミド・ア
デニン・ジヌクレオチド(以下、NADHという)を補
酵素として、各種の2−オキソカルボン酸を不斉的に還
元し、対応する光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を
生成する。
【0003】また、特開昭63−304979号公報に
は、還元型ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド
・リン酸(以下、NADPHという)を補酵素とし、γ
−置換アセト酢酸エステルから(R)−γ−置換−β−
ヒドロキシ酪酸エステルを生成する酵素として、スポロ
ボロマイセス(Sporobolomyces)属に属する菌株から抽出
した還元酵素が開示されている。
【0004】一方、光学活性な(R)−2−ヒドロキシ
−4−フェニル酪酸は、医薬品などの合成中間体として
有用な化合物である。しかしながら、前記酵素に関し
て、2−オキソ−4−フェニル酪酸を不斉還元し、
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を生成する
活性は知られていない。
【0005】従って、本発明の目的は、2−オキソ−4
−フェニル酪酸を選択的に不斉還元し、光学活性な
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を効率よく
生成する新規酵素とその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】本発明の他の目的は、酵素の作用により、
2−オキソ−4−フェニル酪酸から光学活性な(R)−
2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を効率よく得ること
ができる製造方法を提供することにある。
【0007】
【発明の構成】本発明者らは、2−オキソ−4−フェニ
ル酪酸を不斉還元し、(R)−2−ヒドロキシ−4−フ
ェニル酪酸を生成しうる酵素を探索した結果、ロイコノ
ストック(Leuconostoc)属に属する微生物が、前記目的
を達成しうる酵素を生産することを見いだすと共に、こ
の酵素の理化学的性質を明らかにすることにより、本発
明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、下記(1) 〜(8) に示
す理化学的性質を有する新規酵素を提供する。
【0009】(1) 作用および基質特異性:NADPHの
存在下、2−オキソ−4−フェニル酪酸を不斉還元し、
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を生成する (2) 至適pH:6.0付近(リン酸緩衝液) (3) 安定pH範囲:6〜7(リン酸緩衝液) (4) 至適温度:45℃付近(pH6.0) (5) 熱安定性:40℃以下で安定(pH7.2、処理時
間20分) (6) 2−オキソ−4−フェニル酪酸に対するミハエリス
定数Km値:0.29mM (7) 分子量:46000(ゲル濾過法) (8) 阻害剤:塩化水銀およびパラクロロ水銀安息香酸 また、本発明は、ロイコノストック(Leuconostoc)属に
属する微生物を培養し、該培養物から、前記理化学的性
質を有する酵素を採取する新規酵素の製造方法を提供す
る。
【0010】さらに、本発明は、NADPHの存在下、
前記酵素を、2−オキソ−4−フェニル酪酸に作用させ
て不斉還元する、光学活性な(R)−2−ヒドロキシ−
4−フェニル酪酸の製造方法をも提供する。
【0011】本発明の新規酵素の起源は、特に限定され
るものではなく、前記理化学的性質を有する酵素を生産
しうる微生物であればよい。好ましい微生物は、例えば
乳酸菌、特にロイコノストック(Leuconostoc)属に属す
る微生物である。これらの微生物の中で好ましい菌株
は、ロイコノストック・デキストラニカム(Leuconostoc
dextranicum)ATCC27310である。
【0012】前記ATCC番号が付された微生物は、ア
メリカン タイプ カルチャー コレクション(Americ
an Type Culture Collection、ATCC)発行の「Cata
logue of Bacteria Phages rDNA Vectors,第16版(1
985)」に記載されており、該ATCCから入手でき
る。
【0013】さらに、これらの微生物は、前記理化学的
性質を有する酵素を生産する限り、野生株、変異株、又
は細胞融合もしくは遺伝子操作法などの遺伝的手法によ
り誘導される組み換え株などのいずれの菌株でも好適に
用いることができる。
【0014】なお、酵素の理化学的性質は、測定上不可
避的な誤差を含んでいる。従って、例示すれば、本発明
の酵素には、下記の理化学的性質を有する酵素も含まれ
る。
【0015】(2) 至適pH:5.5〜6.5程度、 (3) 安定なpH範囲:5.5〜7.5程度、 (4) 至適温度:40〜50℃程度、 (6) 2−オキソ−4−フェニル酪酸に対するミハエリス
定数Km値:0.2〜0.5mM程度 (7) 分子量:40000〜50000程度 前記酵素は、前記(1) 〜(8) の理化学的性質に加えて、
(9) NADPHの存在下、アセトアルデヒド、n−ブチ
ルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−オキソヘキサン
酸、2−オキソオクタン酸などのケトン類を還元し、こ
れらに対応する等モルのアルコールを生成する作用を有
するのが好ましい。
【0016】前記酵素は、NADHではなく、補酵素と
してのNADPHの存在下、2−オキソ−4−フェニル
酪酸を選択的に不斉還元する。
【0017】本発明の酵素は、前記微生物を培地で培養
し、培養菌体から抽出精製することにより得ることがで
きる。
【0018】培地は、微生物が増殖し得るものであれば
特に制限されない。培地の炭素源としては、上記微生物
が利用可能であればいずれも使用でき、例えば、グルコ
ース、フルクトース、シュクロース、デキストリン、デ
ンプンなどの糖類;ソルビトール、エタノール、グリセ
ロールなどのアルコール類;フマル酸、クエン酸、酢
酸、プロピオン酸などの有機酸類及びその塩類;パラフ
ィンなどの炭化水素類;これらの混合物などが使用でき
る。窒素源としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸のアン
モニウム塩;フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニ
ウムなどの有機酸のアンモニウム塩;肉エキス、酵母エ
キス、麦芽エキス、ペプトン、コーンスティープリカ
ー、カゼイン加水分解物、尿素などの無機又は有機含窒
素化合物;これらの混合物を使用できる。また、培地に
は、前記成分以外に、通常の培養に用いられる栄養源、
例えば、無機塩、微量金属塩、ビタミン類などを適宜、
混合して用いることができる。さらに、必要に応じて、
微生物の増殖を促進する因子、培地のpH保持に有効な
物質、本発明の目的化合物の生成能力を高める因子、例
えば、2−オキソ−4−フェニル酪酸なども添加でき
る。
【0019】微生物の培養は、生育に適した条件下、例
えば、培地のpH3.0〜9.5、好ましくは4〜8、
培養温度20〜45℃、好ましくは25〜37℃の条件
で行なうことができる。微生物の培養は、嫌気的又は好
気的条件下で行なうことができる。培養時間は、例え
ば、5〜120時間、好ましくは12〜72時間程度で
ある。
【0020】本発明の酵素は、培養した微生物菌体から
抽出し精製することにより得ることができる。例えば、
培養物を遠心分離に供して菌体を回収し、超音波破砕
や、機械的破砕法と遠心分離法とを組合わせる方法など
により無細胞抽出液を得る。次いで、抽出液を、例え
ば、ストレプトマイシン硫酸処理、硫酸アンモニウム分
画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティーク
ロマトグラフィー、溶出液による溶出、ゲル濾過法、限
外濾過法などの通常の精製方法を一種又は二種以上組合
せて精製することにより、酵素を得ることができる。
【0021】以下に、2−オキソ−4−フェニル酪酸か
ら光学活性な(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪
酸を製造する方法について説明する。
【0022】本発明の方法において、前記理化学的性質
を有する酵素により、基質である2−オキソ−4−フェ
ニル酪酸を不斉還元し、(R)−2−ヒドロキシ−4−
フェニル酪酸を生成させるためには、基質と共に補酵素
NADPHが必要である。
【0023】不斉還元反応は、前記酵素の活性が安定に
発現する条件下、基質、酵素、NADPHを適当な比率
で混合して反応すればよい。反応系のpHは、例えば、
5〜9、好ましくは6〜8程度である。また、反応温度
は、例えば、10〜60℃、好ましくは20〜40℃程
度である。反応は、撹拌下又は静置下、1〜120時間
程度行うことができる。
【0024】基質の濃度は、目的とする光学活性体の生
成量および光学純度が低下しない限り特に制限されない
が、例えば、0.1〜10重量%程度が好ましい。ま
た、基質と、酵素との比率、補酵素と酵素との比率は、
目的とする光学活性体の生成量および光学純度が低下し
ない範囲で選択できる。
【0025】また、反応に際して、補酵素を反応系にリ
サイクルするリサイクル系を構築することにより、
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸をさらに効
率的に製造できる。補酵素のリサイクル系は、反応液か
ら補助酵素を分離する分離手段、リサイクルラインなど
を組合せる慣用の方法により構築できる。
【0026】さらに、本発明の酵素は、慣用の方法、例
えば、吸着、包括、共有結合、イオン結合、架橋結合な
どの方法により、種々の固定化担体に固定化することに
より固定化酵素として使用することも可能である。担体
の種類は特に制限されず、例えばポリアクリルアミド、
セルロース系材料、スチレン系ポリマー、DEAE−セ
ファデックス、イオン交換樹脂、コラーゲン、アルブミ
ン、カラギーナン、アルギン酸、寒天などであってもよ
い。
【0027】生成した光学活性な(R)−2−ヒドロキ
シ−4−フェニル酪酸は、慣用の分離精製手段により回
収できる。例えば、反応液を、膜分離、有機溶媒による
抽出、カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂によ
る分離、減圧濃縮、再結晶などの通常の精製方法に供す
ることにより、前記光学活性体を容易に得ることができ
る。なお、光学活性(R)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニル酪酸の光学純度は、例えば、光学異性体分離カラム
を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
り測定できる。
【0028】
【発明の効果】本発明の新規な酵素は、2−オキソ−4
−フェニル酪酸を選択的に不斉還元し、光学活性な
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を効率よく
生成する。
【0029】本発明の酵素の製造方法によれば、前記の
如き優れた性質を有する酵素を得ることができる。
【0030】さらに、本発明の製造方法では、前記酵素
の作用により、2−オキソ−4−フェニル酪酸から光学
活性な(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸を効
率よく製造できる。
【0031】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0032】なお、酵素活性は、次のような標準活性測
定法により測定した。
【0033】10μMの2−オキソ−4−フェニル酪
酸、0.1μMのNADPH、100μMのリン酸カリ
ウム緩衝液(pH6.0)及び適量の酵素液を含む全容
1mlの反応系を構成し、37℃で、340nmにおけ
るNADPHの吸光度の減少を分光光度計にて追跡し、
酵素活性を求めた。なお、上記条件下で、1分間に、1
μMのNADPHが酸化される酵素量を、酵素活性1単
位(U)とした。
【0034】また、比活性は、蛋白質1mg当たりの単
位(U)数として算出した。なお、蛋白量は、牛血清ア
ルブミンを標準物質として用い、ローリイ(Lowry )法
により測定した。
【0035】実施例1(酵素の精製) グルコース8%、酵母エキス1%、硫酸マンガン10p
pm、炭酸カルシウム2%より成る組成の培地18Lを
30L容のジャーファーメンターに入れ、加熱殺菌した
後、前記と同様な培地で予め培養したロイコノストック
・デキストラニカムIFO27310の培養液500m
lを植菌した。30℃で、200rpm、気相通気の条
件下、18時間培養した。
【0036】得られた培養液を遠心分離に供し集菌した
後、生理的食塩水にて洗浄した。得られた湿菌体200
gに10mMリン酸緩衝液(pH7.2)(0.02%
の2−メルカプトエタノールを含む)200mlを加
え、菌体を超音波破砕した。この破砕液を10000
G、10分間遠心分離し、上澄液180mlを得た。
【0037】この粗抽出液を上記と同じ緩衝液で平衡化
したDEAE−セルロースのカラム(10×20cm)
に負荷した。このカラムを前記と同じ緩衝液1Lで洗浄
した後、KCl濃度を順次上げるステップワイズ法で目
的酵素を溶出したところ、0.2M濃度のところで、溶
出した。
【0038】この活性画分を限外濾過法で濃縮した後、
前記と同様にして、DEAE−トヨパール650Mのカ
ラム(4×30cm)に負荷し、同様な方法で溶出した
ところ、KCl濃度0.15Mのところで目的酵素が溶
出した。
【0039】この活性画分を前記と同様に濃縮した後、
0.2MのKClを含む前記と同様の緩衝液で平衡化し
たセルロファインGCL−2000のカラム(2×10
0cm)を用いてゲル濾過を行なった。活性画分を前記
と同様に濃縮し、常法に従ってポリアクリルアミドゲル
電気泳動法により、純度を調べたところ、単一のバンド
として検出され、酵素標品の均一性が確認された。
【0040】精製過程を表1に纏めて示す。
【0041】
【表1】 実施例2(基質特異性) 標準活性測定法に準拠し、実施例1で得られた酵素標品
を用い、表2に記載の各種の基質について反応速度を調
べた。2−オキソ−4−フェニル酪酸に対する活性を1
00とし、得られた結果を、表2に相対活性として示
す。
【0042】なお、この反応において、NADPHをN
ADHで代替できない。
【0043】
【表2】 実施例3(至適pH) 実施例1で得られた酵素標品の至適pHを次のようにし
て調べた。すなわち、標準活性測定法に準拠し、緩衝液
の種類及びpHを変化させて、酵素標品の活性を測定し
た。なお、pH調整に際して、pH5〜8の範囲では2
00mMリン酸緩衝液を用い、pH7〜9の範囲では2
00mMトリス−塩酸緩衝液を用いた。
【0044】リン酸緩衝液(pH6.0)で測定した活
性を100とし、得られた結果を、図1に相対活性とし
て示す。
【0045】図1より、リン酸緩衝液において、酵素標
品の至適pHは6付近である。
【0046】実施例4(pH安定性) 実施例1で得られた酵素標品のpH安定性を次のように
して調べた。すなわち、pHの異なる緩衝液2mlに酵
素標品0.5mlを添加し、20℃で20分間処理し
た。なお、pH5〜7では200mMリン酸緩衝液、p
H7〜9では200mMトリス−塩酸緩衝液を用いた。
次いで、処理液0.1mlをサンプリングし、1Mリン
酸緩衝液(pH7.0)0.5mlを添加し、酵素を含
む液0.05mlを用い、標準活性測定法により、残存
活性を測定した。
【0047】リン酸緩衝液(pH6.0)で処理した場
合の残存活性を100とし、結果を、図2に相対活性と
して示す。
【0048】図2より、酵素標品は、リン酸緩衝液にお
いてpH6〜7で安定である。
【0049】実施例5(至適温度) 実施例1で得られた酵素標品の至適温度を、次のように
して調べた。すなわち、標準活性測定法に準拠して、反
応温度を変化させ、反応速度を測定した。そして、反応
温度45℃での反応速度を100とし、得られた結果を
図3に相対反応速度として示す。
【0050】図3より、酵素標品の至適温度は45℃付
近である。
【0051】実施例6(熱安定性) 実施例1で得られた酵素標品の熱安定性を、次のように
して調べた。すなわち、酵素標品に200mMリン酸緩
衝液(pH7.2)を添加し、pHを7.2に調整した
後、異なる温度条件下で20分間処理し、処理液の残存
活性を、標準活性測定法により測定した。そして、20
℃での活性を100とし、結果を図4に残存活性(%)
として示す。
【0052】図4より、酵素標品は40℃以下では安定
である。
【0053】実施例7(2−オキソ−4−フェニル酪酸
に対するKm値) 実施例1で得られた酵素標品を用い、2−オキソ−4−
フェニル酪酸の濃度を変化させ、標準活性測定法によ
り、活性を測定し、Km値を求めたところ、0.29m
Mであった。
【0054】実施例8(阻害剤) 実施例1で得られた酵素標品に対する各種の阻害剤の影
響を、次のようにして調べた。すなわち、標準活性法に
よる反応系に、表7に示す阻害剤を添加し、酵素と共に
30℃で5分間インキュベートした後、NADPHを添
加して反応を開始し、活性を測定した。そして、阻害剤
を添加しない場合の活性を100とし、得られた活性
を、表3に相対活性として示す。
【0055】
【表3】 表3より、酵素標品の活性は、塩化水銀およびパラクロ
ロ水銀安息香酸で阻害される。
【0056】実施例9(分子量) 実施例1で得られた酵素標品の分子量を、HPLC法に
よるゲル濾過法により測定した。すなわち、アサヒパッ
ク(Asahipak)GS−520(0.75×60cm)
(旭化成(株)製)をカラムとして用い、常法により、
HPLC法で分子量を求めたところ、46000であっ
た。
【0057】実施例10((R)−2−ヒドロキシ−4
−フェニル酪酸の製造) 2−オキソ−4−フェニル酪酸100mgを、20ml
の水に溶解し、1NのNaOHにてpH6とした。この
溶液にNADPH500mgを添加し溶解した後、10
0mMリン酸緩衝液(pH6.0)20mlを添加し
た。次いで、実施例1と同様にして得られた酵素の溶液
5ml(200U)を添加し、30℃で24時間反応し
た。
【0058】反応液を、1N硫酸にてpH2.5とし、
塩化ナトリウムを飽和になるまで溶解させ、反応生成物
を酢酸エチル50mlにて2回抽出した。有機層を合わ
せて、溶媒を留去し、粗結晶80mgを得た。この粗結
晶をトルエンで再結晶し、結晶68mg(収率68%)
を得た。
【0059】mp:113.5℃ [α]D =−8.5(c=1,エタノール) 得られた結晶を少量の水に溶解し、光学分割カラムを用
いる高速液体クロマトグラフィー(カラム:ダイセル化
学工業(株)製、キラルセルOB、溶媒:n−ヘキサン
/2−プロパノール=19:1)に供し、絶対配置及び
光学純度を測定したところ、生成物と(R)−2−ヒド
ロキシ−4−フェニル酪酸とのリテンションタイムが完
全に一致し、生成物の光学純度も100%e.e.であ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3における酵素標品の至適pHを示すた
めのグラフである。
【図2】実施例4における酵素標品の安定なpH範囲を
示すためのグラフである。
【図3】実施例5における酵素標品の至適温度を示すた
めのグラフである。
【図4】実施例6における酵素標品の安定な温度範囲を
示すためのグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/04 C12P 7/52 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1) 〜(8) の理化学的性質を有する
    新規酵素。 (1) 作用および基質特異性:還元型ニコチンアミド・ア
    デニン・ジヌクレオチド・リン酸の存在下、2−オキソ
    −4−フェニル酪酸を不斉還元し、(R)−2−ヒドロ
    キシ−4−フェニル酪酸を生成する (2) 至適pH:6.0付近(リン酸緩衝液) (3) 安定pH範囲:6〜7(リン酸緩衝液) (4) 至適温度:45℃付近(pH6.0) (5) 熱安定性:40℃以下で安定(pH7.2、処理時
    間20分) (6) 2−オキソ−4−フェニル酪酸に対するミハエリス
    定数Km値:0.29mM (7) 分子量:46000(ゲル濾過法) (8) 阻害剤:塩化水銀およびパラクロロ水銀安息香酸
  2. 【請求項2】 還元型ニコチンアミド・アデニン・ジヌ
    クレオチド・リン酸の存在下、アルデヒド類及びケトン
    類を還元し、これらに対応する等モルのアルコールを生
    成する請求項1記載の新規酵素。
  3. 【請求項3】 ロイコノストック(Leuconostoc)属に属
    する微生物を培養し、該培養物から、請求項1記載の酵
    素を採取する、新規酵素の製造方法。
  4. 【請求項4】 還元型ニコチンアミド・アデニン・ジヌ
    クレオチド・リン酸の存在下、請求項1記載の酵素を、
    2−オキソ−4−フェニル酪酸に作用させて不斉還元す
    る、光学活性な(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
    酪酸の製造方法。
JP3131964A 1991-05-07 1991-05-07 新規酵素およびその製造方法、並びに光学活性な(r)−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸の製造方法 Expired - Fee Related JP2750017B2 (ja)

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