JP2697365B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非水電解液二次電池に
関し、特に電解液を改良した非水電解液二次電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リチウム,リチウム合金またはリチウム
化合物を負極とする非水電解質二次電池は高電圧で高エ
ネルギー密度となることが期待され、多くの研究が行わ
れている。
【0003】特に、これら電池の正極活物質としてMn
2やTiS2がよく検討されている。これらの正極活物
質はLiに対する電位が3V程度であるが、最近、Li
Mn 24およびLiCoO2さらにはLiNiO2がLi
に対して4V以上の電位を示す正極活物質として注目さ
れている。
【0004】すなわち、電池の高エネルギー密度を得る
手段として容量の拡大とともに電池電圧を高める努力が
なされている。
【0005】このうち、LiCoO2は、その放電容量
が大きく、優れた充放電サイクル特性を有する可能性が
あることから正極活物質として有望と考えられている。
【0006】さらに、二次電池として重要な必要特性の
1つである充放電サイクル特性を向上するため、LiC
oO2へのMn,Ni,Cr,Feなどの添加も試みら
れ、充放電サイクル特性の一層の向上が図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の正極活物質を用
いることにより放電容量が大きく充放電サイクル特性に
優れた非水電解液二次電池を実現できるが、充電電圧が
4Vを越えるため、充電後の電池の高温保存特性が不充
分であるという問題があった。非水電解液二次電池の高
温保存については電池内部の微量水分や電解液溶媒の分
解が原因となり、電池内部抵抗の増大や充放電容量の低
下という問題を引き起こす。特に電池電圧が高くなるほ
どこれらの現象は顕著になり、また、高温保存時におい
てより著しいものとなる。
【0008】電池内部へ持ち込まれる水分については、
電解液の蒸留処理を始めとする精製および正極活物質の
乾燥処理などにより電池内部への水分の持込みを抑える
努力がなされている。しかし、充放電を繰り返し行う必
要のある二次電池の場合、特に、充電電圧が4Vを越え
る場合にはこれら水分の除去などの前処理だけでは良好
な高温保存特性を得ることができない。
【0009】正極活物質と電解液溶媒との反応やこの反
応により生成した物質と負極活物質との反応が起こりや
すくなり、電池の性能低下が生じると考えられる。
【0010】本発明はこのような課題を解決するもの
で、高温保存特性を向上した非水電解液二次電池を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
本発明の非水電解質二次電池は、充電放電に対し可逆性
を有する正極と負極と、リチウム塩を含有する非水電解
液を有し、前記非水電解液に無水安息香酸、無水フタル
酸、無水マレイン酸を添加したものを用いる。
【0012】また、正極中の活物質がLiCoO2,L
iMn24,LiNiO2から選ばれる少なくとも1つ
であることが望ましい。
【0013】
【0014】無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイ
ン酸の添加量0.002モル濃度から1.0モル濃度
であることが望ましい。
【0015】
【作用】この構成により、本発明の非水電解液二次電池
は、酸無水物はカルボン酸の無水酸であり、酸化アシル
に相当する。
【0016】低級のものは液体,高級のものは固体とな
るが、いずれも水あるいはアルカリと反応しやすく、酸
あるいはその塩となる。
【0017】このため、非水電解液二次電池内部におけ
る酸無水物の働きは明確ではないが、その作用として
は、酸無水物の水あるいはアルカリとの高い反応性を挙
げることができる。
【0018】たとえば、無水安息香酸は水あるいはアル
カリを作用させれば安息香酸またはその塩となる。した
がって、有機電解液中に微量に存在する水分に対しての
作用も強いことが推定され、その結果、有機電解液中の
水分を提言させていることが考えられる。
【0019】また、アルカリとの反応性の観点からは本
発明における正極活物質に混在する可能性のあるLiO
Hなどのアルカリへの作用を考えることができる。
【0020】この結果、正極中に酸無水物を含有させる
ことにより、電池内部の水あるいは残留アルカリを減少
させることが可能で、水あるいは残留アルカリが原因と
考えられる高温保存による電池性能の低下を軽減できる
ものと思われる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例の非水電解液二次電池
について図面を基にして説明する。ここでは、正極活物
質として、LiCoO2を取り上げて説明する。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】電池の製造を次のようにして行う正極活
物質としてLiCoO 2 100gに導電剤としてアセ
チレンブラック3.0gを混合し、さらに、結着剤とし
てのポリ4弗化エチレン樹脂4.0gを混合して正極合
剤とした。正極合剤0.1グラムを直径17.5mmに
1トン/cm 2 でプレス成型して、正極とした。製造し
た電池の断面図を図1に示す。成型した正極1をケース
2に置く。正極1の上にセパレータ3としての多孔性ポ
リプロピレンフィルムを置いた。負極として直径17.
5mm厚さ0.3mmのリチウム板4を、ポリプロピレ
ン製ガスケット6を付けた封口板5に圧着した。非水電
解液として、プロピレンカーボネート溶液に無水安息香
酸を0.001〜2.0モル/lとなるように添加し、
これに1モル/lの過塩素酸リチウムを溶解した。検討
した無水安息香酸の添加濃度は0.001〜2.0モル
/lの範囲で14種類とし、各添加濃度は表1に示し
た。このようにして得た非水電解液をセパレータ上およ
び負極上に加えた。その後電池を封口した。比較のた
め,無水安息香酸を添加しない非水電解液について上記
と同様な方法で電池を製造した。すなわち、非水電解液
として、プロピレンカーボネート溶液に1モル/lの過
塩素酸リチウムを溶解したものを用いた。電池の高温保
存試験を次の方法で行う。すなわち、上記の方法で得ら
れた電池について、20℃において1mAの定電流で
4.2ボルトまで充電し、3ボルトまで放電し、この充
電放電を10サイクル行なった後、11サイクル目の充
電が終わった後、60℃で4週間保存した。保存後20
℃に戻し、同じ条件で放電した。ここで、容量維持率は
次のように定義した。 容量維持率=100×11サイクル目の放電電気量/1
0サイクル目の放電電気量 また、保存終了後に充電を行い、その後の放電容量を評
価した。ここで、容量回復率を次のように定義した。 容量回復率=100×12サイクル目の放電電気量/1
0サイクル目の放電電気量 上記各電池の60℃4週間保存にともなう電池内部抵抗
の変化を図2に示す。ここで、内部抵抗は電池電圧をバ
イアス電圧とし、1.0kHzにおいて振幅100mV
の条件で20℃において測定した。無水安息香酸を添加
しない電池では、保存直後から急激な電池内部抵抗の増
加が認められ、4週間後には30Ω以上になる。一方、
本発明の電池においては、電池内部抵抗の増加は小さい
ものである。
【0035】また、(表)には、各電池の4週間後の
容量維持率、容量回復率を示す。
【0036】
【表1】
【0037】無水安息香酸を添加しない電池では、60
℃4週間保存にともない非常に大きな容量低下を示す
が、実施例の電池、中でも無水安息香酸の添加濃度が
0.002〜1.0モル/lの範囲では、容量維持率は
75%以上であり、容量回復率は80%以上であった。
このように非水電解液への無水安息香酸の添加は高温保
存にともなう容量低下を抑制する効果がある。
【0038】また、無水フタル酸、無水マレイン酸を用
いた場合にも同様の結果を得た
【0039】
【0040】以上のように、非水電解質電池において、
非水電解質中に無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレ
イン酸を添加することにより、高温保存特性に優れた非
水電解質二次電池を得ることができる。
【0041】本実施例においては、正極活物質としてL
iCoO2について説明したが、他の4V級正極活物質
であるLiMn24およびLiNiO2についても同様
な効果があることは言うまでもない。これは、実施例で
の酸無水物の添加が、電池内部の水またはアルカリの低
減をもたらしていると推定されることから容易に理解で
きる。
【0042】さらに、これらの酸無水物を混合して添加
した場合にも同様の効果が認められる。
【0043】以上の実施例では、酸無水物を添加する電
解液として1モル/lの過塩素酸リチウムを溶解したプ
ロピレンカーボネート溶液を用いた場合の結果である
が、電解液としてこれ以外に、溶質として6フッ化燐酸
リチウムやトリフロロメタンスルフォン酸リチウム,ホ
ウフッ化リチウム、溶媒としてプロピレンカーボネー
ト,エチレンカーボネートなどのカーボネート類、ガン
マーブチロラクトン,酢酸メチルなどのエステル類を用
いた電解液が良好であった。しかしながら、ジメトキシ
エタンやテトラヒドロフランなどのエーテル類を使用し
た場合には、高温保存特性は悪く、電解液中に酸無水物
を添加することによる高温保存特性の向上は認められな
かった。実施例では正極は4V以上の電圧となるため、
エーテル類は酸化されるためと考えている。
【0044】
【発明の効果】以上のように、非水電解質電池におい
て、非水電解液中に無水安息香酸、無水フタル酸、無水
マレイン酸を添加することにより高温保存特性に優れ
非水電解液二次電池を得ることができ、産業上の意義
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の電池の縦断面図である。
【図2】本発明の実施例1の電池の60℃保存にともな
う電池内部抵抗の変化を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 豊口 ▲吉▼徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−132067(JP,A) 特開 平1−134872(JP,A) 特開 昭63−121260(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充電放電に対し可逆性を有する正極と負
    極と、リチウム塩を含有する非水電解液とからなり、前
    記非水電解液に無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレ
    イン酸を添加したことを特徴とする非水電解液二次電
    池。
  2. 【請求項2】 正極中の活物質がLiCoO2、LiM
    24、LiNiO2から選ばれる少なくとも1つであ
    ことを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電
    池。
  3. 【請求項3】 無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレ
    イン酸の添加量が0.002モル濃度から1.0モル濃
    度であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二
    次電池。
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