JP2577558B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

口腔用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、口腔用組成物に関し、さらに詳しくは、フ
ッ化物から選ばれた一種又は二種以上に、ピリドキシン
及びその誘導体からなる群より選ばれた一種又は二種以
上を配合することにより、う蝕予防効果を従来より一種
高めた口腔用組成物に関する。
[従来の技術] う蝕予防におけるフッ化物の効果は広く認められると
ころである。う蝕は、口腔内常在菌{主にストレプトコ
ッカス・ミュータンス(strepto−coccus mutans)}が
ショ糖等の糖類を分解して産生する乳酸等の有機酸によ
り歯質が脱灰される現象である。エナメル質の主構成成
分はハイドロキシアパタイトであるが、フッ化物イオン
はハイドロキシアパタイトの結晶格子中に容易に取り込
まれその結晶性を向上させる。その結果、歯質は強化さ
れ、口腔内常在菌の産生する有機酸によってもエナメル
質は容易には脱灰されなくなり、う蝕が予防される。ま
たフッ化物イオンは、健常なエナメル質よりも多少脱灰
の進行した初期う蝕病巣にはさらによく取りこまれやす
く、再石灰化を促進してう蝕の進行を抑制するとも言わ
れている。
現在う蝕予防のために、フッ化ナトリウム、モノフル
オロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物が、
上水道へのフッ化物添加、フッ化物歯面塗布法、フッ化
物洗口法、フッ化物添加歯磨剤などの方法で使用されて
いる。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、う蝕が今だ広く蔓延している現在、従
来のフッ化物のみではう蝕予防効果は必ずしも満足すべ
きものではなく、より一層のう蝕予防効果が待ち望まれ
ているのが現状である。
本発明者等は、上記事情に鑑み、より一層のう蝕予防
効果を追求して鋭意研究した結果、従来のフッ化物にピ
リドキシン及びその誘導体からなる群より選ばれた一種
又は二種以上を添加すると、フッ化物イオンがハイドロ
キシアパタイトにより効率的に取り込まれるようにな
り、フッ化物の歯質強化作用が増強されることを見出
し、本発明を完成するに至った。
[問題点を解決するための手段] すなわち本発明は、フッ化物から選ばれた一種または
二種以上と、ピリドキシンおよびその誘導体からなる群
より選ばれた一種または二種以上を含有してなり、フッ
化物から選ばれた一種又は二種以上に対し、ピリドキシ
ン及びその誘導体からなる群より選ばれた一種又は二種
以上を1/50〜10倍量(モル比)の割合で配合することを
特徴とする口腔用組成物を提供するものである。
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明に使用するフッ化物は、生物界にごく普遍的に
存在する元素であるフッ素(F)を含有する化合物で、
フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、
フッ化セシウム、フッ化ジルコニウム、フッ化アンモニ
ウム、フッ化第一錫、モノフルオロリン酸ナトリウム、
モノフルオロリン酸カリウム、フッ化チタンナトリウ
ム、フッ化チタンカリウム等の無機フッ化物、ヘキシル
アミンハイドロフロライド、ラウリルアミンハイドロフ
ロライド、セチルアミンハイドロフロライド、グリシン
ハイドロフロライド、リジンハイドロフロライド、アラ
ニンハイドロフロライド、フルオロシラン等の有機フッ
化物の一種又は二種以上が使用されるが、口腔内で適用
する点でフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ア
ンモニウム、フッ化第一錫、モノフルオロリン酸ナトリ
ウム、モノフルオロリン酸カリウムが好ましい。
これらフッ化物の配合量は、口腔用組成物中に全フッ
素濃度として50〜10000ppm(μg/g、以下同様)、好ま
しくは200〜10000ppmである。50ppm未満ではピリドキシ
ン及びその誘導体からなる群より選ばれた一種又は二種
以上を添加した際の増強効果は期待できず、10000ppmを
越えると効果はそれほど増加しなくなり不経済である。
なお、歯磨剤を製造する場合であれば、全フッ素濃度は
1000ppm以下とすることが望ましい。
本発明に使用するピリドキシンは下記式で表わされる
物質である。
一般にビタミンB6と言われ、抗皮膚炎性因子、微生物
の成長促進因子とされているが、フッ化物との併用によ
る作用については何も知られていない。
ピリドキシンの誘導体としては、4位がアルデヒド基
のピリドキサール、また4位がエチルアミン基のピリド
キサミン、及びそれらのリン酸エステル、及び塩酸塩な
どの各種塩類があげられる。特に塩酸ピリドキシンが好
ましい。
本発明の口腔用組成物においては、上記したピリドキ
シン及びその誘導体からなる群より一種又は二種以上が
適宜選択され使用される。
配合量はフッ化物に対してモル比で1/50〜10倍量、好
ましくは1/20〜5倍量、さらに好ましくは、1/10〜3倍
量である。1/50倍未満では併用するフッ化物の作用の増
強効果は期待できず、10倍量を越えると効果はそれほど
増加しなくなり不経済である。
本発明の口腔用組成物には上記の必須成分に加えて口
腔用組成物のタイプに応じて、第二リン酸カルシウム・
二水和物及び無水物、第一リン酸カルシウム、第三リン
酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウ
ム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、非晶質シリカ、結晶質シリカ、無水アルカリ金属ケ
イ酸塩錯塩等のシリカ系研摩剤、ケイ酸アルミニウム、
不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウ
ム、不溶性ポリリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ
酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂等
の研磨剤、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、エチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、マルチ
トール、ラクチトール等の湿潤剤、カルボキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナ
トリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ポリ
アクリル酸ナトリウム、アラビアガム、キサンタンガ
ム、トラガカントガム、カラヤガム、ポリビニルアルコ
ール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリド
ン等の増粘剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫
酸ナトリウム等の炭素数が8〜18のアルキル硫酸エステ
ルの水溶性塩、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウ
ム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、高級
脂肪酸モノグリセリド硫酸ナトリウム等の脂肪酸基の炭
素数が10〜18である水溶性の高級脂肪酸モノグリセリド
硫酸塩、α−オレフィンスルフェート、パラフィンスル
フェート、N−メチル−N−パルミトイルタウライドの
ナトリウム塩、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウ
ム、N−ラウロイル−β−アラニンナトリウム塩等のア
ニオン性活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂
肪酸アルカノールアミド、ショ糖モノ及びジラウレート
等のショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、ラクトー
ス脂肪酸エステル、ラクチトール脂肪酸エステル、マル
チトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性活性
剤、更にカチオン性活性剤、両性活性剤等の界面活性
剤、高級アルコール、ワックス類等の油分、低級アルコ
ール、サッカリンナトリウム、ステピオサイド、ネオヘ
スペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラ
ルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド等の甘味
剤、ペパーミント、スペアミント、フェンネルオイル等
の精油、1−メントール、カルボン、オイゲノール、ア
ネトール等の香料素材等の香料、色素、防腐防黴剤、抗
剤化剤、水等や、デキストラナーセ、プロテアーゼ、リ
ティクエンザイム、ムタナーゼ、ムタステイン、ソルビ
ン酸、アレキシジン、β−グリチルレチン酸、ヒノキチ
オール、ジヒドロコレステリン、エピジヒドロコレステ
リン、アルキルグリシン、アルキルジアミノエチルグリ
シン塩、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、トラネ
キサム酸、アズレン、その他のビタミン類、水溶性第一
又は第二リン酸塩、セチルピリジニウムクロライド等の
第四級アンモニウム化合物、塩化ナトリウム、生薬抽出
物等の有効成分など、通常口腔用組成物に用いられる成
分を配合することができる。
また、本発明の口腔用組成物の剤型も任意であり、練
歯磨、粉歯磨、潤製歯磨、水歯磨等の歯磨、口腔用パス
タ、マウスウォッシュなどの口腔洗浄剤、洗口剤、局所
塗布剤、口中清涼剤、チューインガム、デンタルフロ
ス、トローチなどの含嗽剤等に用いる事ができる。
本発明の口腔用組成物のpHは必ずしも制限されない
が、pH3〜10、より好ましくはpH4〜9、特にpH5〜7と
することが好ましい。
[発明の効果] 実施例1 所定量のフッ化ナトリウム及び塩酸ピリドキシンを加
え、希塩酸又は希水酸化ナトリウムでpH4.5に調整した
組成物を作製した。これら組成物中に合成ハイドロキシ
アパタイト粉末を37℃において5分間浸漬し、続いて石
灰化溶液に37℃にて60分間浸漬した後、フィルターにて
濾過し乾燥した。このように処理された合成ハイドロキ
シアパタイト粉末について、微量拡散法により粉末中フ
ッ素濃度を測定し、また酢酸緩衝液中に37℃にて60分間
浸漬して溶出カルシウム量を測定し、下記式により脱灰
抑制率を計算して耐酸性を評価した。
結果は第1表に示した。
上記の結果より、フッ化ナトリウムに塩酸ピリドキシ
ンを併用するとフッ化ナトリウム単独より合成ハイドロ
キシアパタイトのフッ素取り込み量と耐酸性が著しく増
加し、塩酸ピリドキシンにフッ化ナトリウムの効果の増
強作用が認められた。
実施例2 所定量のフッ化物及び塩酸ピリドキシンを加えた組成
物を作製した。これら組成物中に、表面を200μm研摩
除去してエナメル質面を露出した牛歯を37℃にて5分間
浸漬し、続いて石灰化溶液に37℃にて60分間浸漬した後
水道水で洗浄して乾燥した。このように処理された牛歯
について、酸生検出法によりエナメル質中フッ素濃度を
測定し、またシルバーストン(Silverstone)の方法に
基いて作製した酸性ゼラチンゲル{レオン・エム・シル
バーストン(Leon M.Silverstone);カリエス・リサー
チ(Caries Res.)1:261−274,1967}中に4週、8週及
び15週間浸漬し、その後マイクロラジオグラフィーによ
り脱灰の様子を観察して、下記のようにスコア付けをし
て耐酸性を評価した。
◎ 脱灰が殆ど抑制されている ○ 脱灰ある程度が抑制されている △ かなり脱灰されている × 脱灰抑制効果なし 結果は第2表に示した。
上記の結果より、フッ化ナトリウムに塩酸ピリドキシ
ンを併用するとフッ化ナトリウム単独より牛歯エナメル
質の著しいフッ素取り込みの増加と脱灰の顕著な抑制が
観察され、塩酸ピリドキシンにフッ化ナトリウムの効果
の増強作用が認められた。
実施例1、2より判断されるように、本発明の口腔用
組成物はフッ化物にピリドキシン及びその誘導体からな
る群より一種又は二種以上を併用することにより、従来
のフッ化物のう蝕予防効果が増強された極めて有用な口
腔用組成物である。
[実施例] つぎに実施例および比較例をあげて、本発明を具体的
に明らかにする。本発明はこれに限定されるものではな
い。配合量はいずれも重量%である。
実施例1 練歯磨 第二リン酸カルシウム・2水和物 40.0 グリセリン 10.0 ソルビトール 10.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.76 塩酸ピリドキシン 1.0 精製水 残部 上記組成のものを通常の製造法により製造して練歯磨
を得た。
比較例1 練歯磨 実施例1から塩酸ピリドキシンを除いた以外は全て実
施例1と同様にして比較例1を得た。
比較例2 練歯磨 実施例1からモノフルオロリン酸ナトリウム及び塩酸
ピリドキシンを除いた以外は全て実施例と同様にして比
較例2を得た。
実施例1、比較例1及び比較例2の練歯磨をそれぞれ
蒸留水で1/10に希釈し、その中にヒト抜去歯のエナメル
質粉末を37℃にて60分間浸漬し、十分に洗浄後フィルタ
ーにて濾過し乾燥した。このように処理されたヒトエナ
メル質粉末について、微量拡散法により粉末中フッ素濃
度を測定し、また酢酸緩衝液中に37℃にて60分間浸漬し
て溶出カルシウム量を測定し、下記式により脱灰抑制率
を計算して耐酸性を評価した。
結果は第3表に示した。
上記結果から明らかなように、本発明の練歯磨は比較
品の練歯磨に比べて極めて高いフッ素の取り込み効果と
脱灰抑制効果が認められた。
実施例2 練歯磨 無水ケイ酸 20.0 ソルビトール 50.0 カラギーナン 0.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.8 サッカリンナトリウム 0.08 パラオキシ安息香酸メチル 0.2 香料 0.9 フッ化ナトリウム 0.2 塩酸ピリドキシン 0.2 精製水 残 実施例3 練歯磨 ソルビトール 20.0 無水ケイ酸 50.0 ポリアクリル酸ナトリウム 0.7 ラウリル硫酸ナトリウム 1.8 トリエタノールアミン 0.5 サッカリンナトリウム 0.1 パラオキシ安息香酸ナトリウム 0.2 香料 0.9 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.76 塩酸ピリドキシン 0.2 アラントイン 1.0 精製水 残部 実施例4 マウスウォッシュ エチルアルコール 10.0 サッカリンナトリウム 0.05 香料 0.8 ポリオキシエチレン(20モル) ソルビタンラウリン酸エステル 1.0 フッ化ナトリウム 0.02 塩酸ピリドキシン 0.02 精製水 残部 実施例5 洗口剤 フッ化ナトリウム 0.05 塩酸ピリドキシン 0.02 リン酸二ナトリウム 0.3 リン酸一ナトリウム 0.7 香料 0.5 サッカリンナトリウム 0.02 精製水 残部 実施例6 局所塗布剤 フッ化ナトリウム 2.0 塩酸ピリドキシン 1.0 香料 0.5 サッカリンナトリウム 0.02 精製水 残部 実施例7 口中清涼剤(スプレータイプ) エチルアルコール 40.0 サッカリンナトリウム 0.1 ソルビトール 10.0 香料 1.0 ポリオキシエチレン(60モル) 硬化ヒマシ油 0.7 塩酸クロルヘキシジン 0.05 フッ化ナトリウム 0.05 塩酸ピリドキシン 0.5 精製水 残部 実施例8 チューインガム ガムベース 25.0 炭酸カルシウム 2.0 香料 1.0 銅クロロフィル 0.05 フッ化ナトリウム 0.2 塩酸ピリドキシン 1.0 ソルビトール 残部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ化物から選ばれた一種または二種以上
    と、ピリドキシンおよびその誘導体からなる群より選ば
    れた一種または二種以上を含有してなり、フッ化物から
    選ばれた一種又は二種以上に対し、ピリドキシン及びそ
    の誘導体からなる群より選ばれた一種又は二種以上を1/
    50〜10倍量(モル比)の割合で配合することを特徴とす
    る口腔用組成物。
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