JP2019080523A - イーストパイ - Google Patents
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練り込み用油脂組成物A:含まれる油脂の固体脂含量が、5℃で60%以上、15℃で25〜45%、20℃で10〜35%、35℃で3〜15%の練り込み用油脂組成物。
本発明の第2の発明は、穀粉100質量部に対して、イーストが0.1〜5.0質量部配合された第1の発明に記載のイーストパイ用生地である。
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載のイーストパイ用生地を焼成したイーストパイである。
練り込み用油脂組成物A:含まれる油脂の固体脂含量が、5℃で60%以上、15℃で25〜45%、20℃で10〜35%、35℃で3〜15%の練り込み用油脂組成物。
本発明で、イーストパイは、原料にイーストが配合されているパイである。また、本発明で、イーストパイ用生地は、穀粉、練り込み用油脂、イースト、砂糖、食塩、水等の原料を捏ね上げることで得られる折り込み用油脂が折り込まれる前の折り込み前生地又は該折り込まれる前の生地に折り込み用油脂を折り込むことで得られる折り込み後生地である。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地である折り込み前生地、折り込み後生地は、いずれも焼成前の生地である。
また、本発明で練り込み用油脂組成物は、イーストパイの製造で、焼成前の生地に練り込まれる油脂のことである。
また、本発明で、穀粉は、穀物が挽かれて粉状になったもののことである。穀粉の具体例は、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等である。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地に配合される穀粉は、好ましくは小麦粉である。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地に配合される穀粉は、小麦粉を好ましくは50〜100質量%含有し、より好ましくは70〜100質量%含有し、さらに好ましくは90〜100質量%含有する。
イーストパイ用生地に下記練り込み用油脂組成物Aが上記範囲で練り込まれていると、食感がサクサク感、良好な歯切れ、崩壊感を有するイーストパイが得られる。
本発明で油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである(例えば、油脂組成物が油脂a、油脂b、油脂cを含む場合、油脂組成物に含まれる油脂は、油脂aと油脂bと油脂cの混合油になる。)。従って、本発明で油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、乳製品等の含油原料(バター、全脂粉乳等)に含まれる油脂(乳脂等)も含む。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。また、固体脂含量は、以下SFCともいう。
イーストパイ用生地の製造に使用される練り込み用油脂組成物Aに含まれる油脂の固体脂含量が上記範囲であると、食感がサクサク感、良好な歯切れ、崩壊感を有するイーストパイが得られる。
本発明でパーム系油脂は、パーム油及びパーム分別油、パーム硬化油等のパーム油の加工油脂のことである。パーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部、パーム油の極度硬化油等である。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
上記練り込み用油脂組成物Aの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパーム油とパーム油の極度硬化油との混合油である。上記練り込み用油脂組成物Aの製造に使用されるパーム系油脂がパーム油とパーム油の極度硬化油との混合油の場合、パーム油とパーム油の極度硬化油の配合比(パーム油:パーム油の極度硬化油)は、好ましくは90:10〜99:1であり、より好ましくは93:7〜99:1であり、さらに好ましくは95:5〜99:1である。
本発明の実施の形態のイーストパイ用生地の製造に使用される上記練り込み用油脂組成物Aは、好ましくは可塑化される。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地の製造に使用される上記練り込み用油脂組成物Aは、好ましくは可塑性練り込み用油脂組成物である。
イーストパイ用生地に下記折り込み用油脂組成物Bが上記範囲で折り込まれていると、食感がサクサク感、良好な歯切れ、崩壊感をより有するイーストパイが得られる。
なお、本発明で折り込み用油脂組成物は、イーストパイの製造で、焼成前の生地に折り込まれる油脂のことである。折り込み用油脂組成物は、ロールイン用油脂組成物やシートマーガリンと呼ばれることもある。
イーストパイ用生地の製造に使用される折り込み用油脂組成物Bに含まれる油脂の固体脂含量が上記範囲であると、食感がサクサク感、良好な歯切れ、崩壊感をより有するイーストパイが得られる
上記折り込み用油脂組成物Bの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパーム油である。
なお、本発明で液状油は、20℃で液状の油脂である。上記折り込み用油脂組成物Bの製造に使用される液状油は、好ましくは大豆油、菜種油であり、より好ましくは大豆油である。
また、本発明で乳脂は、バター、全脂粉乳等の含油原料に含まれる乳脂も含む。
なお、本発明でラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂である。ラウリン系油脂は、例えば、ヤシ油、パーム核油、これらを分別して得られるパーム核オレイン、パーム核ステアリン等の分別油、これらをエステル交換した油脂、及びこれらの硬化油(例えば、パーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度
上記ランダムエステル交換油Cの製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核オレイン、パーム核オレインの極度硬化油である。
上記ランダムエステル交換油Cの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパームステアリン(ヨウ素価5〜40、好ましくは15〜35)、パームステアリンの極度硬化油である。
上記ランダムエステル交換油Cのランダムエステル交換反応を行う時のラウリン系油脂とパーム系油脂の配合比(ラウリン系油脂:パーム系油脂)は、好ましくは質量比35:65〜65:35であり、より好ましくは質量比40:60〜60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55〜55:45である。
上記ランダムエステル交換油Cのランダムエステル交換反応を行う時のエステル交換反応の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができる。ランダムエステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
上記ランダムエステル交換油Cの製造では、ヨウ素価を上記範囲とするために、エステル交換反応前又はエステル交換反応後に水素添加することもできる。上記ランダムエステル交換油Cの製造で水素添加する場合の水素添加の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態のイーストパイ用生地の製造に使用される上記折り込み用油脂組成物Bは、好ましくは可塑化され、成形される。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地の製造に使用される上記折り込み用油脂組成物Bは、好ましくは可塑性折り込み用油脂組成物である。
クロワッサン用生地、デニッシュ用生地の製造では、ミキシング後に行われる発酵とは別に、成形された生地が発酵させられる。しかし、通常、イーストパイ用生地は、成形された生地を発酵させずに製造する。本発明の実施の形態のイーストパイ用生地は、好ましくは成形された生地を発酵させずに製造する。なお、成形された生地の発酵は、ホイロや最終発酵とも呼ばれる。
本発明の実施の形態のイーストパイ用生地の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは190〜240℃であり、加熱時間が好ましくは5〜30分間である。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
パーム核オレイン(ラウリン酸含量:41質量%)50質量部とパームステアリン(ヨウ素価:32)50質量部とを混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行った後、ヨウ素価が2以下になるまで水素添加を行うことにより、ランダムエステル交換油C1(ヨウ素価2以下)を得た。
パーム油(ヨウ素価:51)60質量部とパーム核油(ラウリン酸含有量:47.1質量%)40質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、ランダムエステル交換油c1(ヨウ素価:39)を得た。
97質量部のパーム油(ヨウ素価:51)と3質量部のパーム油の極度硬化油を混合した。得られた混合油に、窒素ガスを注入した後、急冷練り合わせすることで、練り込み用油脂組成物A1(5℃のSFC:64.2%、15℃のSFC:35.0%、20℃のSFC:22.4%、35℃のSFC:8.5%)を得た。
4質量部のランダムエステル交換油C1と96質量部のランダムエステル交換油c1を混合した。得られた混合油に、窒素ガスを注入した後、急冷練り合わせすることで、練り込み用油脂組成物a1(5℃のSFC:56.1%、15℃のSFC:35.6%、20℃のSFC:25.2%、35℃のSFC:1.4%)を得た。
30質量部のパーム油と16質量部のランダムエステル交換油C1と20質量部の大豆油(20℃で液状の油脂)と34質量部のパームスーパーオレイン(ヨウ素価65)を混合した。得られた混合油に、窒素ガスを注入した後、急冷練り合わせすることで、練り込み用油脂組成物a1(5℃のSFC:36.7%、15℃のSFC:19.6%、20℃のSFC:14.9%、35℃のSFC:3.5%)を得た。
21.26質量部のパーム油(ヨウ素価51)と35.60質量部の大豆油(20℃で液状の油脂)と29.01質量部のランダムエステル交換油C1と0.45質量部の香料と0.00135質量部の着色料を混合することで、油相を調製した。0.3質量部の食塩と3.37質量部の水と10.0質量部のバターを混合することで、水相を調製した。調製した油相に、調製した水相を混合し、乳化させることで、乳化物(油中水型乳化物)を得た。当該乳化物を、急冷練り合わせし、シート状(縦300mm×横200mm×厚さ10mm)に押し出し成形することで、折り込み用油脂組成物B1(5℃のSFC:44.9%、15℃のSFC:21.3%、20℃のSFC:13.6%、35℃のSFC:0%、折り込み用油脂組成物中の油脂含有量:94.28質量%、折り込み用油脂組成物中の水分含有量:4.97質量%、油脂中のパーム系油脂含有量:22.55質量%、油脂中の液状油含有量:37.77質量%、油脂中のランダムエステル交換油C含有量:30.77質量%、油脂中の乳脂含有量:8.91質量%)を得た。
表1〜2の配合で原料を捏上温度20℃になるようにミキシングした後、発酵(温度:室温、時間:30分間)させることで、折り込み前生地を製造した。該折り込み前生地を−2℃で一晩置いた(リタード)後、該折り込み前生地に、表1〜2の配合で折り込み用油脂組成物B1を包み込み、4つ折りに折り込んだ後、4つ折りに折り込み、さらに4つ折りに折り込むことでイーストパイ用生地(折り数:64、厚さ:2.5mm)を製造した。該イーストパイ用生地を45g(6.5cm×13cm)に成形した後、冷凍(温度:−40℃、時間:30分間)した。冷凍したイーストパイ用生地を解凍(温度:20℃、湿度:75%、時間:60分間)し、解凍したイーストパイ用生地にリンゴジャムを30g絞った後、オーブンで焼成(上火温度:210℃、上火温度:220℃、時間:20分間)することでイーストパイを製造した。
イーストパイを10名の専門パネルが食し、サクサク感、歯切れ、崩壊感を下記評価基準に従って点数を付けた。10名の専門パネルの平均点を算出し、下記評価基準に従って評価した。評価結果は、平均点の評価が◎又は○の場合、食感がサクサク感、良好な歯切れ、崩壊感を有していると判断した。結果を表1〜2に示した。
なお、イーストパイの食感を評価した専門パネルは、イーストパイ等のベーカリー食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、イーストパイ等のベーカリー食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
3点:噛むとサクサク感を感じられ、生地がこぼれ落ちる。
2点:サクサク感はあるが、生地はこぼれない程度である。
1点:サクサク感が感じらない。
0点:サクサク感は全くなく、しんなりしている。
<平均点>
◎:2.5点以上
○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
3点:噛み込んだ時に、全く抵抗感を感じない。
2点:噛み込んだ時に、若干の抵抗感はあるが、通常の力で噛み切れる。
1点:噛み込んだ時に、抵抗感があり、噛み切るのに力を要する。
0点:噛み込んだ時に、強い抵抗感があり、噛み切れない。
<平均点>
◎:2.5点以上
○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
3点:口の中で瞬間的にホロホロと融け出す。
2点:ホロホロ感は感じられるが、若干口残り感がある。
1点:ホロホロ感が少なく、口残り感がある。
0点:ホロホロ感は全くなく、口残り感が強い。
<平均点>
◎:2.5点以上
○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.5点未満
一方、比較例のイーストパイは、サクサク感、良好な歯切れ、崩壊感のいずれか又は全てが満足いかなかった。
Claims (3)
- 穀粉100質量部に対して、下記練り込み用油脂組成物Aが7〜25質量部練り込まれたイーストパイ用生地。
練り込み用油脂組成物A:含まれる油脂の固体脂含量が、5℃で60%以上、15℃で25〜45%、20℃で10〜35%、35℃で3〜15%の練り込み用油脂組成物。 - 穀粉100質量部に対して、イーストが0.1〜5.0質量部配合された請求項1に記載のイーストパイ用生地。
- 請求項1又は請求項2に記載のイーストパイ用生地を焼成したイーストパイ。
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JP7530732B2 (ja) | 2020-03-31 | 2024-08-08 | 株式会社Adeka | 油中水型乳化物、層状ベーカリー生地およびその生地の製造方法、層状ベーカリー食品、ならびに、その食品の浮きおよび内層の改良方法 |
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