JP2019061826A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
(ここで、R1およびR2は炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基または置換アルキル基であり、R1とR2の炭素数の合計が5以下である。)
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、互いに対向する板状の負極20及び板状の正極10と、負極20と正極10との間に隣接して配置される板状のセパレータ18と、を備える積層体30と、リチウムイオンを含む電解質溶液と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出されるリード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出されるリード60とを備える。
本実施形態に係る正極は、正極活物質層と正極集電体から構成されるものである。
正極集電体12は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム又はそれらの合金、ステンレス等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
正極活物質層14は、正極活物質、正極用バインダー、および正極用導電助剤から主に構成されるものである。
正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6 −)のドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、化学式:LiNixCoyMnzMaO2(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物Lia(M)b(PO4)c(ただし、M=VOまたはV、かつ、0.9≦a≦3.3、0.9≦b≦2.2、0.9≦c≦3.3)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物が挙げられる。
正極用バインダーは正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質層14と正極用集電体12とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を用いてもよい。また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン等が挙げられる。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物と、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩とを複合化させたもの等が挙げられる。
正極用導電助剤としては、正極活物質層14の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
本実施形態に係る負極は、負極活物質層と負極集電体から構成されるものであって、上記負極活物質層がケイ素またはケイ素の化合物を含み、多孔度が25%以上38%以下であるものである。
(負極集電体)
負極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、銅等の金属薄板(金属箔)を用いることができる。
負極活物質層24は、負極活物質、負極用バインダー、および負極用導電助剤から主に構成されるものである。
負極活物質は、ケイ素またはケイ素の化合物を含む。例えば、金属シリコン(Si)や酸化シリコン(SiOx)が挙げられ、これらを任意の割合で含んでいても良い。上記負極活物質は充放電に伴って膨張収縮を繰り返すため、活物質に微細なクラックが生じる。本実施形態に係る電解液と組み合わせた際に、この微細なクラックの深部まで電解液が均等に浸透するため、サイクル特性が改善する。特に、ケイ素材料を5質量部以上、40質量部以下含むときに、上記の改善効果が顕著になる。
負極用バインダーとしては特に限定は無く、上記で記載した正極用バインダーと同様のものを用いることができる。
負極用導電助剤としては特に限定は無く、上記で記載した正極用導電助剤と同様のものを用いることができる。
本実施形態に係る電解液は、フッ化炭酸エステルを0.1体積%以上5.0体積%以下と、カルボン酸エステルとを含むものである。また、上記正極活物質層および上記負極活物質層の合計質量に対する電解液の質量は30質量%以上45質量%である。
本実施形態に係る電解液は、上記カルボン酸エステル以外にも一般にリチウムイオン二次電池に用いられている溶媒を用いることが出来る。上記溶媒としては特に限定はなく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート化合物、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート化合物、等を任意の割合で混合して用いることができる。
電解質は、リチウムイオン二次電池の電解質として用いられるリチウム塩であれば特に限定は無く、例えば、LiPF6、LiBF4、リチウムビスオキサレートボラート等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、(CF3SO2)2NLi、(FSO2)2NLi等の有機酸陰イオン塩等を用いることができる。
(正極の作製)
LiVOPO450質量部、Li(Ni0.80Co0.15Al0.05)O235質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF10質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、正極活物質層形成用のスラリーを調整した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミ金属箔の一面に、正極活物質の塗布量が9.0mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、正極を作製した。
ケイ素材料としてSiO20質量部、天然黒鉛70質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させ、負極活物質層形成用のスラリーを調整した。上記スラリーを、厚さ20μmの銅箔の一面に、負極活物質の塗布量が6.0mg/cm2となるように塗布し、100℃で乾燥することで負極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって負極活物質層の多孔度が32%となるように加圧成形し、負極を作製した。
カルボン酸エステルとしてプロピオン酸エチルを用い、体積比でEC:プロピオン酸エチル=30:70の組成比となるように調整し、これに1.0mol/Lの濃度となるようにLiPF6を溶解させた。上記の通り調製した溶液に対し、フッ化炭酸エステルとしてフルオロエチレンカーボネート(FEC)を2.0wt%となるように添加し、電解液を作製した。
上記で作製した正極および負極と、それらの間にポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを挟んでアルミラミネートパックに入れた。このアルミラミネートパックに、上記で作製した電解液を、正極活物質層および負極活物質層の合計質量に対して35質量%となるように注入した後、真空シールし、評価用リチウムイオン二次電池を作製した。なお、実施例2以降では、この電解液量を「注液量」と標記する。
上記で作製した評価用リチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、充電レート1.0C(25℃で定電流充電を行ったときに1時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、放電レート1.0Cの定電流放電で電池電圧が2.8Vとなるまで放電を行った。上記充放電を1サイクルとし、続けて300サイクルの充放電を行い、300サイクル後容量維持率(300サイクル目放電容量/1サイクル目放電容量×100)を求めた。得られた結果を表1に示す。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例4の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例5の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層形成用のスラリーの組成を、ケイ素材料としてSiO4質量部、天然黒鉛86質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部とし、負極を作製した。それ以外は実施例1と同様として、実施例6の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層形成用のスラリーの組成を、ケイ素材料としてSiO5質量部、天然黒鉛85質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部とし、負極を作製した。それ以外は実施例1と同様として、実施例7の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層形成用のスラリーの組成を、ケイ素材料としてSiO40質量部、天然黒鉛50質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部とし、負極を作製した。それ以外は実施例1と同様として、実施例8の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層形成用のスラリーの組成を、ケイ素材料としてSiO41質量部、天然黒鉛49質量部、カーボンブラック5質量部、PVDF5質量部とし、負極を作製した。それ以外は実施例1と同様として、実施例9の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
評価用リチウムイオン二次電池の作製において、注液量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例10の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
評価用リチウムイオン二次電池の作製において、注液量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例11の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
評価用リチウムイオン二次電池の作製において、注液量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例12の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例13の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例14の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例15の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例16の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例17の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例18の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例19の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例20の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例21の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例22の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例23の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例24の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例25の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例23と同様として、実施例26の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例23と同様として、実施例27の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例23と同様として、実施例28の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、電解液の組成比を表1に示した通りに変更した以外は実施例23と同様として、実施例29の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例30の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例31の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、カルボン酸エステルを表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例32の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、ケイ素材料を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例33の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、ケイ素材料を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、実施例34の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルとしてジフルオロカーボネート(DFEC)を使用した以外は実施例1と同様として、実施例35の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例35と同様として、実施例36の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例35と同様として、実施例37の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例1の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例2の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
評価用リチウムイオン二次電池の作製において、注液量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例3の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
評価用リチウムイオン二次電池の作製において、注液量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例4の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様として、比較例5の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例6の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の作製において、ケイ素材料および負極活物質層の多孔度を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例7の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
電解液の作製において、フッ化炭酸エステルの構造および添加量を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様として、比較例8の評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (6)
- 正極活物質層と正極集電体から成る正極と、負極活物質層と負極集電体から成る負極と、前記正極と前記負極の間に位置するセパレータと、電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記負極活物質層がケイ素またはケイ素の化合物を含み、前記負極活物質層の多孔度が25%以上38%以下であって、
前記電解液がフッ化炭酸エステルを0.1体積%以上5.0体積%以下と、カルボン酸エステルとを含み、
前記正極活物質層および前記負極活物質層の合計質量に対する前記電解液の質量が30質量%以上45質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記負極活物質層の多孔度が30%以上35%以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記カルボン酸エステルが、プロピオン酸エステルまたは酢酸エステルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記カルボン酸エステルが、前記電解液中に50体積%以上90体積%以下含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極がLiVOPO4を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
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