JP2018127131A - 乗物用シート - Google Patents
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Description
シートバック6では、シートパッド6Pが、シートフレーム6F上に配置されてシートカバー6Sで被覆されている(各部材の詳細は適宜後述)。このときシートの意匠性等を考慮して、シートカバー6Sの上部中央を凹状とし、さらに図3に示すように凹状のシートカバー部分(後述の第三表皮ピースSP3)を、シートパッド6Pに設けられている後述の凹部10に配置しておく。この種の構成においては、部品点数の増加を極力回避しつつ、シートカバー6Sの一部を意匠性良く凹状とすることが望まれる。そこで本実施例では、後述する構成(補強材20)にて、部品点数の増加を極力回避しつつ、シートカバー6Sの一部を意匠性良く凹状とすることとした。以下、各構成について詳述する。
シートフレーム6F(図示省略)は、典型的に略アーチ状の枠体であり、剛性に優れる金属や硬質樹脂などの素材にて形成できる。またシートパッド6Pは、図2を参照して、シート外形をなす正面視で略矩形の部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。このシートパッド6Pの前面は、乗員の背凭れが可能な着座面を構成しているとともに、後述の凹部10と、溝部12が設けられている。またシートパッド6Pの上部には、ヘッドレストのシートパッド8Pが一体的に設けられている。そして溝部12は、シートパッド6Pの上部と下部を区分けする溝状の凹み部位である。この溝部12は、正面視で上に凸の略半円形状をなしており、シート幅方向中央に向かうにつれて次第に上方に湾曲している。なお溝部12の底面には図示しない係止部材を配設することができ、この係止部材に、例えば溝部12内に引き込まれたシートカバー部分を係止することができる。
そしてシートパッド6Pの上部には、図2を参照して、正面視で略矩形の凹部10が設けられている。この凹部10は、シート幅方向中央で上下方向に延長する凹み部位であり、後述する凹状のシートカバー部分(第三表皮ピースSP3)を位置決めして配置できる。また凹部10は、図3に示すように横断面視で略U字状をなしており、右端で前方に起立している右内壁10aと、左端で前方に起立している左内壁10bとが設けられている。ここで図3を参照して、凹部10の左右方向の幅寸法W1は、凹状のシートカバー部分の幅寸法に応じて適宜設定することができる。また凹部10の前後方向の深さ寸法D1(詳細後述)は、収納されるべき部材の厚み寸法に応じて適宜設定可能であり、後述する各表皮ピースSP1〜SP3と補強材20の厚み寸法を考慮して決定される。
シートカバー6Sは、図1を参照して、シートの意匠面を構成する面材であり、複数の表皮ピース(第一表皮ピースSP1〜第四表皮ピースSP4等)を縫合することで形成できる(図1では、便宜上、シートカバーの着座面部分の表皮ピースにのみ特定の符号を付す)。ここで各表皮ピースSP1〜SP4等の素材は特に限定しないが、典型的には布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。また各表皮ピースSP1〜SP4等の裏側には、ウレタンラミなどのパッド材や裏基布を一体化することもできる。ここで第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3(いずれも詳細後述)は、シートカバー6Sの着座面上部を構成する部分である。そして第三表皮ピースSP3によって、後述するようにシート幅方向におけるシートカバー6Sの上部中央が凹状とされる。また第四表皮ピースSP4は、シートカバー6Sの着座面下部を構成する部分であり、図2に示すシートパッド6Pの溝部12から下の部分を覆うことができる。この第四表皮ピースSP4は、正面視で略矩形状をなしているとともに、上端側が、図2の溝部12に倣った略半円形状をなして中央に向かうにつれて次第に上方に突出している。
第一表皮ピースSP1は、図1を参照して、シートカバー6Sの上部右側を形成する部分である。また第二表皮ピースSP2は、第一表皮ピースSP1と左右対称形状をなすようにシートカバー6Sの上部左側を形成する部分である。これら第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2は、いずれも正面視で略矩形状をなしており、下端側が、図2の溝部12に沿うようにシート幅方向中央に向かうにつれて次第に上方に湾曲している。そして第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2は、図3を参照して、これらの縫い代部E1,E2によって後述する第三表皮ピースSP3に縫合されている。第一表皮ピースSP1の第一縫い代部E1は、第一表皮ピースSP1左端で内向きに折り返されている部分である。この第一縫い代部E1は、第一表皮ピースSP1の図1に示す左端部X1を折り返し基点として裏側に回り込むように右方に折り返されている。また第二表皮ピースSP2の第二縫い代部E2は、第二表皮ピースSP2右端で内向きに折り返されている部分である。この第二縫い代部E2は、第二表皮ピースSP2の右端部X2を折り返し基点として裏側に回り込むように左方に折り返されている。
そして第三表皮ピースSP3は、図1を参照して、シートカバー6Sを部分的に凹状とするための部位であり、後述する補強材20が取付けられている。この第三表皮ピースSP3は、図2に示す凹部10に倣って上下方向に長尺な正面視で略矩形をなしており、図4に示す右縁RMと左縁LMが上下方向に延長している。なお第三表皮ピースSP3は、第一表皮ピースSP1等と概ね同一の厚み寸法に設定してもよく、異なる厚み寸法に設定することもできる。例えば本実施例では、凹み状に配置される第三表皮ピースSP3に比して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2が着座状態の乗員に接しやすい位置に配置される。そこで図4を参照して、第一表皮ピースSP1(第二表皮ピースSP2)の厚み寸法T1を第三表皮ピースの厚み寸法T2よりも大きくすることで、シートの着座性を向上させることもできる(なお各図では、便宜上、各表皮ピースを概ね同一の厚み寸法で図示している)。なお各表皮ピースの厚み寸法に差を設ける手法として、表皮ピース自体やパッド材や裏基布の厚み寸法を変える手法を例示でき、典型的にはパッド材の厚み寸法を変える手法を好適に用いることができる。
補強材20は、図1及び図3を参照して、第三表皮ピースSP3と略同形同寸の面材であり、外部に露出しないように第三表皮ピースSP3の裏側に配置されている。この補強材20は、各表皮ピースSP1〜SP4に比して面剛性に優れて厚み方向(各図では前後方向)等に撓み変形しにくい素材で形成されている。そして本実施例においては、補強材20によって第三表皮ピースSP3の剛性を高めることにより、後述する第一表皮ピースSP1の第一縫い代部E1と、第二表皮ピースSP2の第二縫い代部E2を、適切な向きに倒しておくことができる。この種の補強材20の素材として、例えば各表皮ピースSP1〜SP4に比して面剛性に優れる面材を使用することができ、具体的には、各表皮ピースSP1〜SP4よりも厚手の面材や樹脂製の面材を用いることができる。本実施例においては、目付量350g/m2〜450g/m2の不織布やフェルトなどの繊維積層体を、補強材20として用いることができる。なお補強材20の面剛性(撓み変形のしにくさ)は例えば曲げ反発性で表すことができ、この曲げ反発性は、「JIS L−1096.8.22.1 A法」に準拠して測定できる。
図1及び図4を参照して、複数の表皮ピースSP1〜SP4等を縫合してシートカバー6Sを形成する。例えばシートカバー6Sの着座面上部では、第一表皮ピースSP1と、第三表皮ピースSP3と、第二表皮ピースSP2を、この順で右から左に向けて配置しつつ縫合する。このとき第三表皮ピースSP3を、図4に示すように第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の裏側でこれらの間に橋渡し状に配置する。さらに第三表皮ピースSP3の一縁としての右縁RM側に、シート上下に延びる第一縫合線SEW1を介して、第一表皮ピースSP1の第一縫い代部E1を中表状に縫合する。また第三表皮ピースSP3の他縁としての左縁LM側に、シート上下に延びる第二縫合線SEW2を介して、第二表皮ピースSP2の第二縫い代部E2を中表状に縫合する。このように折り返されて厚みを増した各縫い代部E1,E2を第三表皮ピースSP3に縫合することで、シートカバー6Sの一部を好適に凹状とする。そしてシートカバー6S上部の各表皮ピースSP1〜SP3の下端部を、シートカバー6S下部をなす第四表皮ピースSP4の上端部に縫合する。こうしてシートカバー6Sを作成すると同時に、第三表皮ピースSP3によってシートカバー6Sの一部を凹状とする。
ここで第三表皮ピースSP3に対する補強材20の取付け手法は、上述の構成のほか各種の構成を取り得る。例えば本変形例では、図5を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2と第三表皮ピースSP3の縫合前に、第三表皮ピースSP3に補強材20を取付けることができる。例えば第三表皮ピースSP3の裏側に補強材20を重ねた状態で、第三表皮ピースSP3と補強材20の右末端側を第三縫合線SEW3で縫合し、第四表皮ピースSP4と補強材20の左末端側を第三縫合線SEW3で縫合する。そして第三表皮ピースSP3の右縁RMに、第一縫合線SEW1を介して第一縫い代部E1を中表状に縫合し、このとき第一縫合線SEW1を、第三縫合線SEW3の左側に形成する。また第三表皮ピースSP3の左縁LMに、第二縫合線SEW2を介して第二縫い代部E2を中表状に縫合し、このとき第二縫合線SEW2を、第四縫合線SEW4の右側に形成する。そして第一表皮ピースSP1〜第三表皮ピースSP3を図5に示す面状に展開することで、第三縫合線SEW3(第四縫合線SEW4)を、対応する表皮ピースSP1(SP2)の裏側に配置して外部に露出しない構成とすることができる。本変形例では、第三表皮ピースSP3に補強材20を予め取付けておくことで、シートカバー6S形成時におけるこれらの位置決め作業を省略することができる。また補強材20を、第一縫合線SEW1〜第四縫合線SEW4によって、比較的強固に第三表皮ピースSP3に取付けておくことができる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6S シートカバー
10 凹部
12 溝部
20 補強材
SP1 第一表皮ピース
SP2 第二表皮ピース
SP3 第三表皮ピース
SP4 第四表皮ピース
E1 第一表皮ピースの第一縫い代部
E2 第二表皮ピースの第二縫い代部
RM 第三表皮ピースの右縁(本発明の一縁)
LM 第三表皮ピースの左縁(本発明の他縁)
X1 第一表皮ピースの左端部
X2 第二表皮ピースの右端部
SEW1 第一縫合線
SEW2 第二縫合線
Claims (4)
- 乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、前記シートパッドを被覆してシートの意匠面を構成するシートカバーとを備え、
前記シートカバーの少なくとも一部が、第一表皮ピースと、第二表皮ピースと、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースの間に橋渡された第三表皮ピースとで形成され、
前記第三表皮ピースが、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースに比して前記シートパッド側に配置されているとともに、前記第三表皮ピースの一縁側に、前記第一表皮ピースの折り返された第一縫い代部が縫合され、前記第三表皮ピースの一縁と反対の他縁側に、前記第二表皮ピースの折り返された第二縫い代部が縫合されている乗物用シートにおいて、
前記第三表皮ピースの裏側に、前記シートカバーよりも撓み変形しにくい面状の補強材が取付けられているとともに、前記補強材が取付けられている前記第三表皮ピースによって、折り返された状態の前記第一縫い代部と前記第二縫い代部が対応する表皮ピースの裏側に向けて押圧されている乗物用シート。 - 前記補強材が、前記シートパッドの凹部に係止されて配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記補強材が取付けられている前記第三表皮ピースが、前記凹部内に押し込まれて配置されている請求項2に記載の乗物用シート。
- 前記第一縫い代部と前記第二縫い代部が、前記補強材とともに前記凹部内に配置されている請求項3に記載の乗物用シート。
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