JP2017178599A - エレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法 - Google Patents

エレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法 Download PDF

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隆行 渡邉
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Abstract

【課題】エレベーターの運転効率を向上させることができるエレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法の提供。
【解決手段】本発明の監視センター4は、各エレベーター2の地震感知器21による地震警報の発報台数を演算する発報台数演算部414Aと、発報台数演算部414Aによって演算された地震警報の発報台数に基づいて、地震感知器21の誤動作の有無を判定する誤動作判定部414Bと、誤動作判定部414Bによって地震感知器21が誤動作したと判定されたとき、動作した地震感知器21を有するエレベーター2に対して、地震管制運転の実行を停止させる解除指令を送信する解除指令送信部414C,414Eと、解除指令送信部414C,414Eによる解除指令の送信に伴って、地震感知器21に誤動作が生じた旨の故障情報を外部へ送信する故障情報送信部414D,414Eとを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、地震発生時に地震管制運転を行うエレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法に関する。
一般に、地震発生時の対策として、エレベーターには地震感知器が設置されている。この種のエレベーターは、地震感知器が地震発生時に所定の大きさ(例えば、gal値等の震度)以上の揺れを感知すると、走行中の乗りかごを最寄階に停止させてエレベーターの運転を休止する地震管制運転を行うことにより、乗りかご内の利用者を救出し、エレベーターにおける閉じ込め等の発生を未然に防止している。
このように、地震感知器が動作して地震管制運転が行われると、エレベーターの保守点検を行う作業者が現地へ向かい、エレベーターの運転の安全を確認した上で、エレベーターを地震管制運転から通常運転に復旧させるようにしている。しかし、その地震が広範囲に及ぶ場合には、休止状態となるエレベーターの台数が増えるので、全てのエレベーターの運転復旧に対して、多大な時間を費やすという問題があった。
そこで、所定地域内の地震感知器の作動数、又は地震感知器の作動数の全地震感知器に対する割合が一定値以下であるかを判定し、一定値以下と判定すると、作動した地震感知器に対応するエレベーターの地震管制運転を解除するようにしたエレベーターの地震監視装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−46953号公報
特許文献1に開示された従来技術は、所定地域内の複数の建物に設置された各エレベーターの地震感知器の作動数又は作動数の割合によって、地震管制運転を指令又は解除することにより、各エレベーターの地震感知器のうち誤動作したものがあっても、確実な地震管制運転を実行することが可能となるものの、その誤動作した地震感知器の故障の対応については十分に考慮されていない。
したがって、仮に地震感知器が故障した状態で放置された場合には、地震が発生する度に、地震感知器が誤動作して地震管制運転が不必要に行われることにより、利用者がエレベーターを利用できない時間、いわゆる、不稼働時間が発生し易くなるので、エレベーターの運転効率が低下することが懸念されている。
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、エレベーターの運転効率を向上させることができるエレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のエレベーターの地震管制運転システムは、所定地域内の複数の建物にそれぞれ設置された複数のエレベーターと、通信回線を介して前記各エレベーターと遠隔的に接続される監視センターとを備え、前記各エレベーターは、昇降路内を昇降する乗りかごと、所定の大きさ以上の揺れを感知したときに動作し、地震警報を前記監視センターへ発報する地震感知器とを有し、前記地震感知器の動作により、前記乗りかごを最寄階に停止させて前記エレベーターの運転を休止する地震管制運転を行うエレベーターの地震管制運転システムにおいて、前記監視センターは、前記各エレベーターの前記地震感知器による前記地震警報の発報台数を演算する発報台数演算部と、前記発報台数演算部によって演算された前記地震警報の発報台数に基づいて、前記地震感知器の誤動作の有無を判定する誤動作判定部と、前記誤動作判定部によって前記地震感知器が誤動作したと判定されたとき、動作した前記地震感知器を有する前記エレベーターに対して、前記地震管制運転の実行を停止させる解除指令を送信する解除指令送信部と、前記解除指令送信部による前記解除指令の送信に伴って、前記地震感知器に誤動作が生じた旨の故障情報を外部へ送信する故障情報送信部とを有することを特徴としている。
本発明のエレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法によれば、エレベーターの運転効率を向上させることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本実施形態に係るエレベーターの地震管制運転システムの運用形態を示す図である。 図1に示すエレベーターの構成を示す全体図である。 図1に示す監視センターに設置された情報処理端末の主な機能を示す機能ブロック図である。 本実施形態に係るエレベーターの地震管制運転システムにおける制御処理のうちS401〜S412までの処理を示すフローチャートである。 本実施形態に係るエレベーターの地震管制運転システムにおける制御処理のうちS413〜S421までの処理を示すフローチャートである。
以下、本発明に係るエレベーターの地震管制運転システム及び地震管制運転方法を実施するための形態を図に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係るエレベーターの地震管制運転システムの運用形態を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る地震管制運転システムは、所定地域1内の複数の建物、例えば、ビルA、ビルB、・・・、ビルY、ビルZに設けられた複数のエレベーター2と、公衆回線網(通信回線)3を介して各エレベーター2と遠隔的に接続される監視センター4とを備えている。
また、本実施形態に係る地震管制運転システムは、所定地域1に属する各エレベーター2を担当し、これらの各エレベーター2の保守点検を定期的に行う営業所5と、この営業所5に所属する複数の作業員(本実施例では、3名の作業員)6が携帯する複数の携帯端末(本実施例では、3台の携帯端末)61とを備えている。
図2は本実施形態に係るエレベーター2の構成を示す全体図である。なお、本実施形態では、ビルAにおけるエレベーター2の構成を一例として説明するが、他のビルB〜ビルZにおける各エレベーター2の構成についても同様であるため、重複する説明を省略する。
図2に示すように、エレベーター2は、ビルAに形成された昇降路11と、ビルAの昇降路11内を昇降する乗りかご12と、一端が乗りかご12に取り付けられた主ロープ13と、この主ロープ13の他端が取り付けられ、昇降路11内に吊り下げられた釣合い錘14とを備えている。
また、エレベーター2は、昇降路11の上方に位置する機械室15に設けられ、乗りかご12及び釣合い錘14を駆動する巻上機16と、この巻上機16の近傍に配置されたそらせ車17と、ビルAの乗り場18側に開閉可能に設けられ、乗りかご12のドア(図示せず)と連動して出入口を開閉する乗り場側のドア19とを備えている。
さらに、エレベーター2は、巻上機16と同様に機械室15に設けられ、所定の大きさ(例えば、gal値等の震度)以上の揺れを感知したときに動作し、地震警報を後述の制御装置22及び監視センター4へ自動的に発報する地震感知器21と、この地震感知器21に通信接続され、エレベーター2の運転を制御する前述の制御装置22と、乗りかご12の天井に取り付けられ、乗りかご12の室内を撮影するカメラ23とを備えている。
巻上機16は、主ロープ13が巻き掛けられた駆動シーブ161と、この駆動シーブ161を回転させるモータ162と、駆動シーブ161の回転を制動するブレーキ装置(図示せず)とを有し、これらのモータ162及びブレーキ装置は、制御装置22に電気的に接続されている。したがって、巻上機16は、制御装置22からの制御信号を受けてモータ162及びブレーキ装置を作動させることにより、乗りかご12を釣合い錘14に対して相対的に昇降させるようにしている。
制御装置22は、図示されないが、乗りかご12の昇降動作やドア19の開閉動作を行うための各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによる演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、及び外部の装置との間で各種の情報や信号の入出力を行う入出力インターフェースを含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとから構成されている。
そして、これらのハードウェアとソフトウェアが協働することで、制御装置22としての機能が実現される。本実施形態においては、制御装置22は、地震感知器21の動作により、乗りかご12を最寄階に停止させてドア19を開いた後、エレベーター2の運転を休止する地震管制運転を行う機能を有している。この制御装置22の機能によって乗りかご12内の利用者を救出し、利用者が乗りかご12内に閉じ込められるのを回避することができる。
一方、制御装置22は、昇降路11内に配設されたテールコード24、中継器25、及び通信ケーブル26を介して乗りかご12の機器に電気的に接続されている。テールコード24は、一端が乗りかご12の下部に接続され、他端が中継器25に接続されており、昇降路11内においてU字状に垂下されている。中継器25は、昇降路11の壁面に固定されており、乗りかご12の各機器と制御装置22との間で行われる通信を中継する装置である。
図1において、監視センター4には、公衆回線網3を介してエレベーター2の制御装置22と通信接続され、地震発生時にエレベーター2の運転復旧を支援するのに用いられるPC(Personal Computer)等の情報処理端末41が設置されている。監視センター4の監視員(図示せず)は、この情報処理端末41を用いて現地の状況を確認し、必要に応じて営業所5に連絡することにより、営業所5に所属する作業員6が現地で発生した地震感知器21の故障に対する点検・修理作業や、地震管制運転から通常運転に切り換えるためのエレベーター2の復旧作業を実施する。
情報処理端末41は、エレベーター2の制御装置22と同様に、図示されないが、CPU、ROMやHDD等の記憶装置、RAM、及び入出力インターフェース413(図3参照)の他、情報処理端末41に情報を入力するためのキーボードやマウス等の入力部411(図3参照)、及び各種の情報を表示するディスプレイやモニタ等の表示部412(図3参照)を含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとからそれぞれ構成されている。
このような情報処理端末41の構成において、ROMやHDD等の記憶装置に格納されたプログラム等がRAMに読み出され、CPUの制御に従って動作することにより、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、情報処理端末41の各機能を実現する機能ブロックが構成される。なお、情報処理端末41の各機能を示す具体的な構成については、後で詳細に述べる。
営業所5は、監視センター4の情報処理端末41と通信接続され、音声による通話やメール等を用いた連絡が可能な連絡装置51を有している。営業所5で待機する営業所員は、この連絡装置51を使用することにより、地震感知器21に誤動作が生じた旨の故障情報の連絡を受けたり、携帯端末61を携帯する作業員6に対して、地震感知器21の故障に対する点検・修理作業やエレベーター2の復旧作業の指示を行ったりする。
作業員6の携帯端末61は、営業所5の連絡装置51と通信接続され、例えば、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末から構成されている。これらの連絡装置51及び携帯端末61は、監視センター4の情報処理端末41と同様に、図示されないが、CPU、ROMやHDD等の記憶装置、RAM、入出力インターフェース、入力部、及び表示部を含むハードウェアと、記憶装置に記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとからそれぞれ構成されている。
次に、地震発生時におけるエレベーター2の運転復旧を支援するための監視センター4の情報処理端末41の機能構成について、図3を参照しながら詳細に説明する。図3は監視センター4に設置された情報処理端末41の主な機能を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、情報処理端末41は、上述した入力部411、表示部412、及び入出力インターフェース413に加えて、処理部414を含んで構成されている。この処理部414は、発報台数演算部414A、誤動作判定部414B、指令生成部414C、故障情報生成部414D、及び入出力制御部414Eを含んで構成されている。
入力部411は、指令生成部414Cによって生成された解除指令の送信を入出力制御部414Eに実行させるための入力を受け付ける。表示部412は、入出力制御部414Eの制御に従って、エレベーター2が通常運転を行っているのか、あるいは地震管制運転を行っているのかを示す運転情報、地震感知器21による地震警報、及び地震感知器21の故障情報等を表示することにより、監視センター4の監視員が現地の状況を確認するための視覚的ユーザインターフェースとして機能する。
入出力インターフェース413は、監視センター4がエレベーター2及び営業所5と通信するためのインターフェースである。処理部414は、入出力インターフェース413を介して受信したエレベーター2の運転情報や地震感知器21による地震警報に応じて、エレベーター2の運転を遠隔的に制御する処理を行う。
発報台数演算部414Aは、入出力制御部414Eから地震感知器21によって発報された地震警報を受け取り、所定地域1に属する各エレベーター2の地震感知器21による地震警報の発報台数、すなわち、地震感知器21からの地震警報の受信数Nを演算する。誤動作判定部414Bは、発報台数演算部414Aによって演算された地震警報の発報台数Nに基づいて、地震感知器21の誤動作の有無を判定する。
具体的には、誤動作判定部414Bは、例えば、所定地域1における全ての地震感知器21の設置台数Nsumに対して、発報台数演算部414Aによって演算された地震警報の発報台数Nの割合(以下、地震警報の発報率と称する)Rを演算する(R=N/Nsum)。なお、所定地域1における地震感知器21の設置台数の総数Nsumは、ROMやHDD等の記憶装置に予め記憶されている。
また、誤動作判定部414Bは、演算した地震警報の発報率Rが予め設定された閾値R1以下であるとき(R≦R1)、地震感知器21が誤動作したと判定し、演算した地震警報の発報率Rが予め設定された閾値R1よりも大きいとき(R>R1)、地震感知器21が誤動作していないと判定する。
指令生成部414Cは、誤動作判定部414Bによって地震感知器21が誤動作したと判定されたとき、エレベーター2の地震管制運転の実行を停止させる解除指令を生成する。また、指令生成部414Cは、入出力制御部414Eによって地震管制運転の解除指令が送信された後、再度の地震感知器21の動作に対して、誤動作判定部414Bによって地震感知器21が誤動作していないと判定されたとき、地震管制運転の解除指令を無効とする無効指令を生成する。
故障情報生成部414Dは、誤動作判定部414Bによって地震感知器21が誤動作したと判定されたとき、上述の地震感知器21の故障情報を生成する。入出力制御部414Eは、入出力インターフェース413を介して入力される情報を取得して処理部414に渡すと共に、処理部414から受け取った情報を、入出力インターフェース413を介してエレベーター2や営業所5へ送信する。
具体的には、入出力制御部414Eは、指令生成部414Cによって地震管制運転の解除指令が生成された後、その解除指令を動作した地震感知器21を有するエレベーター2へ送信する。さらに、入出力制御部414Eは、地震管制運転の解除指令の送信に伴って、故障情報生成部414Dによって生成された故障情報を外部の営業所5の連絡装置51へ送信する。
したがって、本実施形態においては、指令生成部414C及び入出力制御部414Eが解除指令送信部として機能すると共に、故障情報生成部414D及び入出力制御部414Eが故障情報送信部として機能する。入出力制御部414Eが取得する情報としては、上述のエレベーター2の運転情報や地震感知器21による地震警報等が含まれる。また、入出力制御部414Eは、これらのエレベーター2の運転情報や地震感知器21による地震警報等を表示部412に表示する制御を行う。
次に、本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムの制御処理について、図4、図5のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
図4に示すように、まずは、監視センター4において、情報処理端末41の入出力制御部414Eは、所定地域1のビルA〜ビルZに設置された各エレベーター2の地震感知器21の中から地震警報を受信すると(ステップ(以下、Sと記す)401)、受信した地震警報を発報台数演算部414Aへ転送する。なお、地震感知器21が動作したエレベーター2では、制御装置22が当該エレベーター2の運転を通常運転から地震管制運転に切り換えることにより、地震管制運転が開始される。
次に、監視センター4において、発報台数演算部414Aは、入出力制御部414Eから地震警報を受け取る(S401)と、所定地域1に属する各エレベーター2の地震感知器21による地震警報の発報台数Nを演算し(S402)、その演算結果を誤動作判定部414Bへ送信する。続いて、誤動作判定部414Bは、発報台数演算部414Aの演算結果を受信すると、記憶装置に予め記憶された所定地域1における地震感知器21の設置台数の総数Nsumを参照し、地震警報の発報率Rを演算する(S403)。
そして、誤動作判定部414Bは、演算した地震警報の発報率Rが閾値R1以下であるか否かを確認する(S404)。このとき、誤動作判定部414Bは、地震警報の発報率Rが閾値R1よりも大きいことを確認すると(S404/NO)、地震感知器21が誤動作していないと判定する(S405)。
この判定によって、地震が発生したことが把握されるので、監視センター4は、エレベーター2の運転を地震管制運転のまま維持する(S406)。これにより、エレベーター2においては、乗りかご12が最寄階まで走行してドア19が開くことにより、利用者を乗りかご12から乗り場18へ下ろした後、エレベーター2の運転が休止する(S407)。
次に、監視センター4の監視員は、地震管制運転によってエレベーター2の運転が休止したことを営業所5の営業所員へ連絡し、連絡を受け取った営業所員は、連絡装置51を用いて担当の作業員6にエレベーター2の復旧作業を指示する(S408)。そして、作業員6は、営業所5からの指示に従って、エレベーター2の復旧作業を実施し、本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムの制御処理を終了する。
一方、S404において、誤動作判定部414Bは、地震警報の発報率Rが閾値R1以下であることを確認すると(S404/YES)、地震感知器21が誤動作したと判定する(S409)。次に、監視センター4の監視員は、情報処理端末41の表示部412に映し出された乗りかご12の室内の映像から利用者の状況を確認した後、入力部411を介してエレベーター2の地震管制運転の解除を要求すると、情報処理端末41の指令生成部414Cが、地震管制運転の解除指令を生成し、生成した地震管制運転の解除指令を入出力制御部414Eへ送信する。
そして、入出力制御部414Eは、指令生成部414Cから地震管制運転の解除指令を受信すると、地震感知器21が動作したエレベーター2の制御装置22に対して、地震管制運転の解除指令を送信し(S410)、エレベーター2の運転を地震管制運転から通常運転に切り換えて一時的に復旧させる。このように、監視センター4の監視員がエレベーター2側の利用者の状況を把握した上で、入力部411によって実行中の地震管制運転を手動で解除することにより、エレベーター2の運転の急な切り換えに伴って利用者が混乱する事態を回避することができる。
また、S410の処理に続いて、故障情報生成部414Dが、地震感知器21の故障情報を生成し、生成した地震感知器21の故障情報を入出力制御部414Eへ送信する。その後、入出力制御部414Eは、故障情報生成部414Dから地震感知器21の故障情報を受信すると、この地震感知器21の故障情報を営業所5の連絡装置51へ送信する(S411)。
営業所5の営業所員は、地震感知器21の故障情報の連絡を受け取ると、連絡装置51を用いて担当の作業員6に当該地震感知器21の点検・修理作業を指示する(S412)。これにより、作業員6は、営業所5からの指示に従って、地震感知器21の点検・修理作業を実施する。
次に、図5に示すように、監視センター4において、入出力制御部414Eは、所定地域1のビルA〜ビルZに設置された各エレベーター2の地震感知器21の中から地震警報を再び受信したか否かを確認する(S413)。このとき、入出力制御部414Eは、地震警報を受信していないことを確認すると(S413/NO)、本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムの制御処理を終了する。
一方、S413において、入出力制御部414Eは、地震警報を受信したことを確認すると(S413/YES)、受信した地震警報を発報台数演算部414Aへ転送する。次に、発報台数演算部414Aは、入出力制御部414Eから地震警報を受け取ると、所定地域1に属する各エレベーター2の地震感知器21による地震警報の発報台数Nを演算し(S414)、その演算結果を誤動作判定部414Bへ送信する。
続いて、誤動作判定部414Bは、発報台数演算部414Aの演算結果を受信すると、記憶装置に予め記憶された所定地域1における地震感知器21の設置台数の総数Nsumを参照し、地震警報の発報率Rを演算する(S415)。そして、誤動作判定部414Bは、演算した地震警報の発報率Rが閾値R1よりも大きいか否かを確認する(S416)。このとき、誤動作判定部414Bは、地震警報の発報率Rが閾値R1以下であることを確認すると(S416/NO)、S409からの処理が繰り返される。
S416において、誤動作判定部414Bは、地震警報の発報率Rが閾値R1よりも大きいことを確認すると(S416/YES)、地震感知器21が誤作動していないと判定する(S417)。この判定によって、地震が発生したことが把握されるので、指令生成部414Cは、地震管制運転の解除指令に対する無効指令を生成し、生成した無効指令を入出力制御部414Eへ送信する。
そして、入出力制御部414Eは、指令生成部414Cから無効指令を受信すると、S410において地震管制運転の解除指令を送信したエレベーター2の制御装置22に対して、無効指令を送信し(S418)、エレベーター2の運転を通常運転から地震管制運転に切り換えて地震管制運転を再開させる(S419)。
このS419の処理の結果、エレベーター2においては、乗りかご12が最寄階まで走行してドア19が開くことにより、利用者を乗りかご12から乗り場18へ下ろした後、エレベーター2の運転が休止する(S420)。したがって、本実施形態においては、指令生成部414C及び入出力制御部414Eが無効指令送信部として機能する。
次に、監視センター4の監視員は、地震管制運転によってエレベーター2の運転が休止したことを営業所5の営業所員へ連絡し、連絡を受け取った営業所員は、連絡装置51を用いて担当の作業員6にエレベーター2の復旧作業を指示する(S421)。そして、作業員6は、営業所5からの指示に従って、エレベーター2の復旧作業を実施し、本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムの制御処理を終了する。
なお、本実施形態においては、S402、S414の処理が発報台数演算ステップ、S403、S404、S415、S416の処理が誤動作判定ステップ、S410の処理が解除指令送信ステップ、S411の処理が故障情報送信ステップ、S418の処理が無効指令送信ステップにそれぞれ対応する。なお、S410の処理とS411の処理については、互いに入れ替えることが可能である。
このように構成した本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムによれば、監視センター4が地震感知器21から地震警報を受信すると、誤動作判定部414Bは、所定地域1における地震感知器21の発報率Rを演算し、この発報率Rと所定の閾値R1とを比較することにより、地震感知器21が誤動作したと判定した場合に、入出力制御部414Eが、地震管制運転の解除指令をエレベーター2へ送信すると共に、地震感知器21の故障情報を営業所5へ送信するようにしている。
そのため、営業所5の営業所員は、地震感知器21の点検・修理作業の指示を早い段階で担当の作業員6に出すことができるので、地震感知器21の故障に対して適切な対応を図ることが可能となる。したがって、地震感知器21が故障した状態で放置されることがないので、地震発生時における地震感知器21の誤動作の再発を防止し、地震管制運転が不必要に行われるのを抑制することができる。これにより、エレベーター2の不稼働時間の発生を減少させることができるので、エレベーター2の運転効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るエレベーター2の地震管制運転システムでは、地震が発生した際に、例えば、地震の初期微動で地震感知器21が誤動作し、監視センター4によってエレベーター2の地震管制運転が解除された後であっても、エレベーター2がその初期微動に続く本震による強い揺れを受けた場合には、監視センター4から受信した無効指令に従って、地震管制運転を速やかに再開することができる。これにより、エレベーター2の運転復旧を円滑に実施できるので、エレベーター2の運転が休止してから復旧するまでの時間を短縮することができる。
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
また、本実施形態では、監視センター4の監視員が、情報処理端末41の表示部412に映し出された乗りかご12の室内の映像から利用者の状況を確認した場合について説明したが、本発明はこの場合に限らず、監視員は、例えば、乗りかご12内に予め設置された非常用の通話機(図示せず)を通じて利用者の状況を確認してもよい。
また、監視センター4の監視員は、利用者の状況を確認した後、入力部411を用いてエレベーター2の地震管制運転を手動で解除した場合について説明したが、本発明はこの場合に限らず、利用者の状況が確認されていれば、エレベーター2の地震管制運転を自動で解除するように構成してもよい。
本実施形態では、地震感知器21が機械室15に設けられている場合について述べたが、地震感知器21が昇降路11内に設けられている機械室が設置されていない機械室なしエレベーターでも同様である。
1…所定地域、2…エレベーター、3…公衆回線網(通信回線)、4…監視センター、5…営業所、6…作業員、11…昇降路、12…乗りかご、21…地震感知器、22…制御装置、23…カメラ、41…情報処理端末、51…連絡装置、61…携帯端末
411…入力部、412…表示部、413…入出力インターフェース、414…処理部、414A…発報台数演算部、414B…誤動作判定部、414C…指令生成部(解除指令送信部)(無効指令送信部)、414D…故障情報生成部(故障情報送信部)、414E…入出力制御部(解除指令送信部)(故障情報送信部)(無効指令送信部)

Claims (6)

  1. 所定地域内の複数の建物にそれぞれ設置された複数のエレベーターと、通信回線を介して前記各エレベーターと遠隔的に接続される監視センターとを備え、
    前記各エレベーターは、昇降路内を昇降する乗りかごと、所定の大きさ以上の揺れを感知したときに動作し、地震警報を前記監視センターへ発報する地震感知器とを有し、
    前記地震感知器の動作により、前記乗りかごを最寄階に停止させて前記エレベーターの運転を休止する地震管制運転を行うエレベーターの地震管制運転システムにおいて、
    前記監視センターは、
    前記各エレベーターの前記地震感知器による前記地震警報の発報台数を演算する発報台数演算部と、
    前記発報台数演算部によって演算された前記地震警報の発報台数に基づいて、前記地震感知器の誤動作の有無を判定する誤動作判定部と、
    前記誤動作判定部によって前記地震感知器が誤動作したと判定されたとき、動作した前記地震感知器を有する前記エレベーターに対して、前記地震管制運転の実行を停止させる解除指令を送信する解除指令送信部と、
    前記解除指令送信部による前記解除指令の送信に伴って、前記地震感知器に誤動作が生じた旨の故障情報を外部へ送信する故障情報送信部とを有することを特徴とするエレベーターの地震管制運転システム。
  2. 請求項1に記載のエレベーターの地震管制運転システムにおいて、
    前記監視センターは、
    前記解除指令送信部によって前記解除指令が送信された後、再度の前記地震感知器の動作に対して、前記誤動作判定部によって前記地震感知器が誤動作していないと判定されたとき、前記解除指令を受信した前記エレベーターに対して、前記解除指令を無効とする無効指令を送信する無効指令送信部を有することを特徴とするエレベーターの地震管制運転システム。
  3. 請求項1又は2に記載のエレベーターの地震管制運転システムにおいて、
    前記監視センターは、前記解除指令の送信を前記解除指令送信部に実行させるための入力を受け付ける入力部を有し、
    前記解除指令送信部は、前記誤動作判定部によって前記地震感知器が誤動作したと判定された後、前記入力部が受け付けた入力に応じて、前記解除指令を送信することを特徴とするエレベーターの地震管制運転システム。
  4. 所定地域内の複数の建物にそれぞれ設置された複数のエレベーターと、通信回線を介して前記各エレベーターと遠隔的に接続される監視センターとを備え、
    前記各エレベーターは、昇降路内を昇降する乗りかごと、所定の大きさ以上の揺れを感知したときに動作し、地震警報を前記監視センターへ発報する地震感知器とを有する地震管制運転システムに適用され、
    前記地震感知器の動作により、前記乗りかごを最寄階に停止させて前記乗りかごの運転を休止する地震管制運転を行うエレベーターの地震管制運転方法において、
    前記各エレベーターの前記地震感知器による前記地震警報の発報台数を演算する発報台数演算ステップと、
    前記発報台数演算ステップで演算された前記地震警報の発報台数に基づいて、前記地震感知器の誤動作の有無を判定する誤動作判定ステップと、
    前記誤動作判定ステップで前記地震感知器が誤動作したと判定されたとき、動作した前記地震感知器を有する前記エレベーターに対して、前記監視センターから前記地震管制運転の実行を停止させる解除指令を送信する解除指令送信ステップと、
    前記解除指令送信ステップにおける前記解除指令の送信に伴って、前記地震感知器に誤動作が生じた旨の故障情報を外部へ送信する故障情報送信ステップとを備えたことを特徴とするエレベーターの地震管制運転方法。
  5. 請求項4に記載のエレベーターの地震管制運転方法において、
    前記解除指令送信ステップで前記解除指令が送信された後、再度の前記地震感知器の動作に対して、前記誤動作判定ステップで前記地震感知器が誤動作していないと判定されたとき、前記解除指令を受信した前記エレベーターに対して、前記解除指令を無効とする無効指令を送信する無効指令送信ステップを備えたことを特徴とするエレベーターの地震管制運転方法。
  6. 請求項4又は5に記載のエレベーターの地震管制運転方法において、
    前記解除指令送信ステップは、前記誤動作判定ステップで前記地震感知器が誤動作したと判定された後、前記監視センターに設けられた入力部が受け付けた入力に応じて、前記解除指令を送信することを特徴とするエレベーターの地震管制運転方法。
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