JP2017029022A - 水中油型乳化脂用乳化材 - Google Patents

水中油型乳化脂用乳化材 Download PDF

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Abstract

【課題】異味がなく経時的な乳化安定性を有する水中油型乳化脂を製造することができる水中油型乳化脂用乳化材を提供すること。
【解決手段】下記の(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする水中油型乳化脂用乳化材。(1)蛋白質と脂質との複合体を含有する。(2)上記蛋白質として乳蛋白質を含有する。(3)上記乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比が、前者:後者で、40:60〜95:5である。(4)上記カゼイン蛋白質としてミセル態カゼイン蛋白質を含有する。(5)上記複合体における上記蛋白質と上記脂質の質量比が、蛋白質100質量部に対し脂質が10〜1000質量部である。
【選択図】なし

Description

本発明は、風味及び乳化安定性が良好な水中油型乳化脂を製造することができる水中油型乳化脂用乳化材に関する。
従来、食品の味や匂い、口当たり、外観、貯蔵安定性などを左右する乳化現象をコントロールする目的から、幅広い食品に対して乳化剤が広く使用されてきた。
しかし近年、消費者の健康志向や食の安心・安全への意識の高まりを受けて、化学合成された食品添加物の使用を可能な限り控え、天然由来の素材で代替する動きが広がっている。とりわけ合成乳化剤は、使用する食品の種類や使用量によっては、食品にエグ味や苦味などの異味を与える場合がある。特に、ホイップクリームに代表される水中油型乳化脂では、外相が水相であることから呈味成分を特に感じやすいため、その影響が顕著であり、合成乳化剤の使用量を控えることが求められる場面が多い。
そのため飲食品、とくに水中油型乳化脂に使用する合成乳化剤の天然由来の素材への置換を目的として、蛋白質と脂質との複合体の使用が検討されてきた。例えば、乳蛋白質とリン脂質を併用する方法(たとえば特許文献1参照)、蛋白質とリゾレシチン、遊離脂肪酸を併用する方法(たとえば特許文献2参照)等が提案されている。
しかし、特許文献1で実際に使用している蛋白質は脱脂粉乳、ホエイ蛋白のみであり、その場合、使用した水中油型乳化脂は経時的な乳化安定性に劣り、特に起泡性水中油型乳化脂(ホイップクリーム)に使用した場合ではホイップ後の経時的な離水を防止できない欠点がある。また特許文献2の方法は遊離脂肪酸による風味と保存性の問題に加え、リゾレシチンの苦味が感じられてしまうという問題があった。このように特許文献1及び特許文献2に記載の方法は水中油型乳化脂用としての幅広い用途に使用することができなかった。
特開平05−236896号公報 特開平05−056751号公報
従って、本発明の目的は、天然素材に由来する原料を用いて、使用した水中油型乳化脂に対して異味を与えずに経時的な乳化安定性を付与できる、水中油型乳化脂用乳化材を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、蛋白質と脂質との複合体を製造するにあたり、カゼイン蛋白質、それも特定の形態のカゼイン蛋白質を、好ましくは特定比で使用することにより、上述の課題を解決可能であることを知見した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、下記の(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする水中油型乳化脂用乳化材を提供するものである。
(1)蛋白質と脂質との複合体を含有する。
(2)上記蛋白質として乳蛋白質を含有する。
(3)上記乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比が、前者:後者で、40:60〜95:5である。
(4)上記カゼイン蛋白質としてミセル態カゼイン蛋白質を含有する。
(5)上記複合体における上記蛋白質と上記脂質の質量比が、蛋白質100質量部に対し脂質が10〜1000質量部である。
また本発明は、上記水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂を提供するものである。
さらに本発明は上記水中油型乳化脂用乳化材の製造方法であって、蛋白質と脂質を含有する水溶液を均質化することを特徴とする水中油型乳化脂用乳化材の製造方法を提供するものである。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂は異味がなく経時的な乳化安定性を有している。そのため、本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、幅広い用途で使用可能である。
以下、本発明の水中油型乳化脂用乳化材について好ましい実施形態に基づき詳述する。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、必須成分として蛋白質と脂質との複合体を含有する。更に、本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、必要に応じ、後述するその他の成分を含有していてもよい。
まず、本発明の水中油型乳化脂用乳化材で使用する、蛋白質と脂質との複合体(以下、単に「複合体」ということがある)の構成成分について述べる。
上記複合体を構成する蛋白質としては、特に限定されず任意の蛋白質を使用することが可能である。例えばホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質等の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、大豆蛋白質、エンドウ豆蛋白質、その他動物性、微生物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で使用することもできる。
本発明では、上記蛋白質として乳蛋白質を含有することが必須であり、具体的には、蛋白質中の乳蛋白質の含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。上記蛋白質における乳蛋白質の含有量が40質量%未満であると、得られる水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の経時的な乳化安定性の低下を防止することができない可能性があることに加え、得られる水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の風味が好ましくないものとなってしまうおそれもある。
ここで、本発明では、上記乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比が、前者:後者で、40:60〜95:5であることが必須であり、好ましくは50:50〜95:5、より好ましくは55:45〜95:5であることが好ましい。上記乳蛋白質中のカゼイン蛋白質の比率が40質量%未満であると、得られる水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の経時的な乳化安定性の低下を防止することができない。また、上記乳蛋白質中のカゼイン蛋白質の比率が95質量%超であると、得られる水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の風味が好ましくないものになってしまう。
さらに、本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、上記カゼイン蛋白質としてミセル態カゼイン蛋白質を含有することが必須である。なお、ミセル態カゼイン蛋白質とは、カルシウム‐カゼイン‐リン酸の架橋により構成されるカゼインミセル構造を破壊することなく得られたカゼイン蛋白質である。本発明ではこのミセル態カゼイン蛋白質そのものを使用することもできるが、通常はこのミセル態カゼイン蛋白質を含有する乳蛋白質、あるいはミセル態カゼイン蛋白質を含有する乳製品を使用する。
上記ミセル態カゼイン蛋白質を含有する乳蛋白質としては、ミセルカゼインアイソレート(MCI)、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、トータルミルクプロテイン(TMP)などが挙げられ、上記ミセル態カゼイン蛋白質を含有する乳製品としては脱脂粉乳、全粉乳、バターミルクパウダーなどが挙げられる。本発明では、上述したミセル態カゼイン蛋白質を含有する乳蛋白質の中でも、とりわけ水溶液の粘性が低く、用途・用法に応じて高蛋白含量の水中油型乳化脂用乳化材の処方を設計でき、かつミセル態カゼイン蛋白質を多く含有している点でミセルカゼインアイソレート(MCI)を使用することが好ましい。
なお、本発明では、カゼイン蛋白中の上記ミセル態カゼイン蛋白質の含有量が60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。カゼイン蛋白中のミセル態カゼイン蛋白質の含有量が60質量%未満であると、得られる水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の乳化安定性を損ねてしまうおそれがある。
上記複合体を構成する脂質としては、特に限定されず任意の脂質を使用することが可能である。例えばトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明の効果を一層顕著にするためには、脂質として、モノグリセリド、リン脂質、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルのうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、特に、リン脂質を使用することが風味の面からも機能の面からも特に好ましい。すなわち、本発明に用いる脂質は、一部又は全部がリン脂質であることが特に好ましい。上記脂質におけるリン脂質の含有量は、リン脂質とリン脂質以外の脂質との質量比率が、前者:後者で、30:70〜100:0の範囲が好ましく、60:40〜100:0の範囲がより好ましく、80:20〜100:0の範囲が最も好ましい。これらの脂質は、目的に応じて一種ないし二種以上の脂質として、あるいは一種ないし二種以上の脂質を含有する食品素材の形で使用してもよい。
なお、リン脂質をレシチンの形で使用する場合は、リン脂質と、レシチンに含有されるその他の脂質との質量比率が、前者:後者で、30:70〜100:0の範囲にある任意のレシチンを使用することができ、好ましくは60:40〜100:0のレシチンを、より好ましくは80:20〜100:0のレシチンを使用するとよい。
本発明においては、上記リン脂質の由来は特に限定されるものではなく、大豆由来、ヒマワリ由来、紅花由来、菜種由来、卵黄由来、魚卵由来、乳由来等の動物性、植物性あるいは微生物性のリン脂質を使用することができる。またその場合、抽出物、精製物あるいは酵素処理品等として使用することも可能である。なお、具体的なリン脂質としてはホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等が挙げられ、これらの内の1種または2種以上を使用することができる。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、上記蛋白質と上記脂質との複合体を含有する。
ここで上記複合体における、蛋白質と脂質との質量比は、蛋白質100質量部に対し脂質が10〜1000質量部であることが必須であり、好ましくは蛋白質100質量部に対して10〜115質量部、より好ましくは蛋白質100質量部に対して10〜60質量部であり、さらに好ましくは蛋白質100質量部に対して10〜40質量部である。蛋白質100質量部にたいする脂質の質量比が10質量部より少ないと、水中油型乳化脂用乳化材を使用して得られた水中油型乳化脂の経時的な乳化安定性が大きく低下し、また115質量部よりも多いと、得られる水中油型乳化脂の風味が著しく損われることに加え、下述の製造方法で本発明の水中油型乳化脂用乳化材を製造する際に、予備乳化液の粘度が著しく高くなりゲル状になって製造が困難になってしまう。
なお、本発明における複合体とは、単に蛋白質と脂質を含有するのではなく、蛋白質と脂質との間に働く強い親和力により形成される高次構造を持つものである。
このような複合体を含有する本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、例えば、水に、蛋白質及び脂質が上記の質量比となるように、蛋白質や蛋白質を含有する食品素材及び脂質や脂質を含有する食品素材を添加し、さらに必要により上記その他の成分を添加して蛋白質と脂質とを含有する水溶液を得、得られた水溶液を均質化とすることによって得ることができる。この際、蛋白質や蛋白質を含有する食品素材及び脂質や脂質を含有する食品素材を、得られる水中油型乳化脂用乳化材が上記の要件(1)〜(5)を満たすように適切に設定する。均質化する際の乳化型は、水中油型であっても油中水型であってもよいが、好ましくは水中油型乳化である。また、均質化の前又は後に加熱殺菌することが好ましい。ただし、均質化の後に加熱殺菌する場合は、加熱殺後に再度均質化してもよい。
上記均質化に用いる装置としては、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等があげられる。この均質化処理は、2段式ホモゲナイザーを用いて、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行なえば良い。
また、上記加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の60〜160℃の加熱処理を行なえば良い。
なお、上記操作の後、必要に応じて冷却してもよい。冷却方法は、例えば、ボーテーター、コンビネーター、パーフェクター等の急冷可塑化機にて急冷可塑化処理を行う方法でも良く、チューブラー式、掻取式等の熱交換機によって冷却する方法でも良い。別の方法として、適当な容器に充填した後に、水浴、氷浴、冷蔵庫、冷凍庫等で冷却する方法も挙げられる。
また、上記操作の後、必要に応じて濃縮、乾燥などの操作を行ってもよい。
なお、上記その他の成分としては、例えば、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カシアガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリデキストロース等のゲル化剤や安定剤、食塩、岩塩等の塩味剤、無機塩、有機酸塩、無機酸、有機酸、直鎖デキストリン・分枝デキストリン・環状デキストリン・難消化性デキストリン等のデキストリン類、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖、ゲンチオリゴ糖等の糖類、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、甘草、羅漢果、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩、ジヒドロカルコン、ソーマチン、モネリン等の甘味料、アルコール、プロピレングリコール、着香料、苦味料・調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤、酵素、賦形剤、固結防止剤、分散剤、光沢剤、ビタミン剤などを配合してもよい。
ただし、本発明では、上記その他の成分の添加量は、優れた水中油型乳化活性を得ることができ、そのため得られる水中油型乳化脂の乳化安定性が高いこと、及び、下述の好ましい性状とすることが容易である点で、蛋白質と脂質の合計量の60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、最も好ましくは10質量%以下とする。
なお、本発明の水中油型乳化脂用乳化材は、上記複合体を少なくとも含有するものであるが、その含有量は、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中の30〜100質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましく、45〜90質量%であることが最も好ましい。
なお、上記蛋白質として、蛋白質を含有する食品素材を使用した場合、また、脂質として、脂質を含有する食品素材を使用した場合は、本発明の水中油型乳化脂用乳化材における上記複合体含量は、それぞれの食品素材に含まれる純蛋白質含量と純脂質含量を用いて算出するものとする。
本発明の水中油型乳化脂用乳化材の形態としては、特に制限されず、固形、顆粒状、粉末状、ペースト状、流動状、液状のいずれの形態であってもよいが、飲食品製造時に飲食品に均質に分散させるのが容易である点で流動状又は液状であることが好ましい。
また、本発明の水中油型乳化脂用乳化材が流動状又は液状の形態である場合の、水中油型乳化脂用乳化材における固形分含有量は、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。なお、水中油型乳化脂用乳化材における固形分含有量の上限値については、保存性、飲食品に添加した際の分散性などの面から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
次に、本発明の水中油型乳化脂について説明する。
本発明の水中油型乳化脂は、上記水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂であり、食用油脂、水、必要に応じてその他の成分を含有するものである。
本発明の水中油型乳化脂における上記水中油型乳化脂用乳化材の含有量は、固形分として好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜4質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
本発明の水中油型乳化脂で用いる食用油脂としては、特に限定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ(キャノーラ)油、ハイエルシンナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。
これらのうち、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、これらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を用いるのが好ましい。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の水中油型乳化脂の油分含量は、特に制限はないが、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜45質量%である。なお、この油分含量には、上記食用油脂の含有量に加え、下記のその他の成分に含まれる油分含量も含めて算出するものとする。
本発明の水中油型乳化脂の水の含有量は、特に制限はないが、好ましくは30〜99質量%、さらに好ましくは40〜90質量%である。なお、この水分含量には、水の使用量に加え、下記のその他の成分に含まれる水分含量も含めて算出するものとする。
また、本発明の水中油型乳化脂は、必要により、乳化剤、安定剤、タンパク質、糖類や糖アルコール、甘味料、乳や乳製品、卵製品、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等のその他の成分を配合してもよい。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記乳化剤の含有量は、上記本発明の水中油型乳化脂用乳化材を使用することから従来の使用量よりも低減することが可能であるため、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記安定剤の含有量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
上記糖類としては、特に限定されないが、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記糖類の含有量は、本発明の水中油型乳化脂中、好ましくは0〜30質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。
上記乳や乳製品としては、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、バター、クリーム、チーズ、クリームチーズ、冷凍変成したクリームチーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、カゼインカルイウム、ホエープロテインコンセントレート、トータルミルクプロテインなどが挙げられる。
上記卵製品としては、全卵、卵黄、卵白、加塩卵黄、加糖卵黄、酵素処理卵黄、粉末全卵、粉末卵黄、粉末卵白、卵白分解物などが挙げられる。
次に、水中油型乳化脂の好ましい製造方法について説明する。
先ず、上記本発明の水中油型乳化脂用乳化材、水及び必要に応じてその他の水溶性成分を含む水相と、食用油脂及び必要に応じてその他の油溶性成分を含む油相をそれぞれ個別に調製し、該水相と該油相とを混合乳化し、水中油型に乳化することにより、本発明の水中油型乳化脂を得ることができる。
得られた水中油型乳化脂を、必要に応じ、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要に応じ、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
このようにして得られた本発明の水中油型乳化脂は、主としてホイップ用クリーム、洋菓子用素材、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、それ以外でも、たとえば、ホワイトソース、グラタンなどの調理加工用クリーム、パン、クッキー、ケーキなどのベーカリー製品練り込み用クリーム、ハム、ソーセージなどの畜肉加工食品用クリーム、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料、チーズ様食品、フラワーペースト、フィリングクリーム、スプレッド、等に広く使用することができる。
次に本発明の水中油型乳化脂用乳化材の実施例、及び当該水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂の実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳述するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
<水中油型乳化脂用乳化材の製造>
〔実施例1〕
ミセルカゼインアイソレート(MCI)(蛋白質含量78.4質量%、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比=90:10)7.8質量部と、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)(蛋白質含量76.0質量%、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比=0:100)4.1質量部を、60℃に加温した水84.8質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)を3.3質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、本発明の水中油型乳化脂用乳化材Aを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Aの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔実施例2〕
カゼインカルシウム(蛋白質含量90.3質量%、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比=100:0)4.86質量部、ミセルカゼインアイソレート(MCI)1.57質量部、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)4.71質量部を、60℃に加温した水85.56質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)を3.3質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、本発明の水中油型乳化脂用乳化材Bを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Bの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔実施例3〕
カゼインカルシウム3.63質量部、ミセルカゼインアイソレート(MCI)3.15質量部、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)4.54質量部を、60℃に加温した水85.38質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)を3.3質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、本発明の水中油型乳化脂用乳化材Cを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Cの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔実施例4〕
実施例1で使用した粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)に代えて大豆レシチン(脂質含量93.8質量%、リン脂質含量60質量%、脂質中のリン脂質含量64%)を実施例1のリン脂質量合わせで添加した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明の水中油型乳化脂用乳化材Dを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Dの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔実施例5〕
実施例1で使用した粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)に代えて卵黄レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量30質量%)を実施例1のリン脂質量合わせで添加した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、本発明の水中油型乳化脂用乳化材Eを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Eの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔比較例1〕
カゼインカルシウム10.2質量部を、60℃に加温した水86.51質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)を3.3質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、ホエイ蛋白質及びミセル態カゼイン蛋白質を含有しない比較例の水中油型乳化脂用乳化材Fを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Fの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔比較例2〕
ホエイプロテインコンセントレート(WPC)12.1質量部を、60℃に加温した水84.6質量部に加え、スリーワンモーターを使用して撹拌して十分に分散させた。ここに粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)を3.3質量部添加し、よく撹拌して十分に分散・乳化させ、予備乳化液を得た。この予備乳化液をバルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で139℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、カゼイン蛋白質を含有しない比較例の水中油型乳化脂用乳化材Gを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Gの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
〔比較例3〕
粉末状大豆レシチン(脂質含量100質量%、リン脂質含量90質量%)3.3質量部を無添加に、水84.8質量部を88.1質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合及び製法で、複合体における蛋白質と脂質との質量比が、蛋白質100質量部に対し脂質が10質量部未満である、比較例の水中油型乳化脂用乳化材Hを得た。得られた水中油型乳化脂用乳化材Hの、水中油型乳化脂用乳化材中の複合体の含有量、水中油型乳化脂用乳化材の固形分中における複合体含量、蛋白質中の乳蛋白質の含有量、乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比、カゼイン蛋白質中のミセル態カゼインの含有量、複合体における蛋白質と脂質との質量比については〔表1〕に記載した。
<水中油型乳化脂(ホイップクリーム)の製造>
〔実施例6〜10、及び、比較例5〜8〕
〔表2〕の油相成分に記載された原料を混合し、65℃に加温し、溶解・分散させ油相とした。一方、〔表2〕の水相成分に記載された原料を混合し、65℃に加温し、溶解・分散させ水相とした。上記水相と上記油相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、バルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌器(アルファラバル社製UHT殺菌器)で140℃・4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化を行い、5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明及び比較例の水中油型乳化脂(ホイップクリーム)A〜Iを得た。なお、〔表2〕中の数値は質量部である。
得られた水中油型乳化脂(ホイップクリーム)A〜Iの乳化安定性(ボテ)について、下記の評価1に記載の方法で評価を行ない、その結果について〔表3〕に記載した。また、該水中油型乳化脂(ホイップクリーム)をホイップして得られたホイップドクリームについて、下記の評価2〜5に記載の方法で評価を行ない、それらの結果について〔表3〕に記載した。
なお、〔表2〕に記載の食用油脂は以下の通りである。
<パーム分別中部油>
ヨウ素価52のパーム油を2段分別して得られた中融点画分(融点33℃)。
<パーム核分別硬部油>
パーム核油を20〜25℃で分別して得られた高融点部(即ち溶融していない固形部分)(融点32℃)。
<エステル交換油脂I>
ヨウ素価65のパーム分別軟部油を、化学触媒を用いてランダムエステル交換したエステル交換油脂(融点28℃)。
<エステル交換油脂II>
パーム核油及びパーム極度硬化油を80:20(前者:後者)の質量比率で混合した油脂を、化学触媒を用いてランダムエステル交換したエステル交換油脂(融点43℃)。
<評価1(乳化安定性)>
得られた水中油型乳化脂(ホイップクリーム)を20℃で1時間調温した後、振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させた。水中油型乳化脂(ホイップクリーム)が流動性を失うまでの振動回数が10000回以上のものを◎、5000回以上〜10000回未満のものを○、5000回未満のものを×とした。
<評価2(口溶け)>
得られた水中油型乳化脂(ホイップクリーム)100質量部にグラニュー糖7.5質量部を添加し、卓上ミキサーを使用して、オーバーランが140〜150%になるまでホイップし、ホイップドクリームとした。このホイップドクリームを口に含んだときの溶け易さを、15人のパネラーにて官能試験した。評価は、「口溶け性が良好なもの」、「口溶け性が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」、の3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が26点以上のものを◎、23〜25点のものを○、20〜22点のものを△、15〜19点のものを×、14点以下のものを××とした。
<評価3(風味)>
上記ホイップドクリームについて、口に含んだときの風味を、15人のパネラーにて官能試験した。「風味が良好なもの」、「風味が不良なもの」、及び「どちらともいえないもの」の3段階で評価し、「風味が良好なもの」に2点、「どちらともいえないもの」に1点、「風味が不良なもの」に0点を与え、合計点が26点以上のものを◎、23〜25点のものを○、20〜22点のものを△、15〜19点のものを×、14点以下のものを××とした。
<評価4(シマリ)>
上記ホイップドクリームについて、絞り袋で星型口金を用いて造花した際のシマリの程度について、下記の3段階評価を行なった。
◎:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花は滑らかな表面で先端もきちんとツノがある状態であった。
○:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花はやや表面が荒れたが、きちんとツノがある状態であった。
×:絞り袋からの絞り出しが経時的に抵抗があるものとなり、得られた造花も徐々に表面が荒れツノの先端が切れた状態のものとなった。
<評価5(離水)>
上記ホイップドクリームについて、絞り袋で星型口金を用いて造花した際の20℃の恒温槽中で24時間放置した場合の離水の程度について、下記の4段階評価を行なった。
◎:離水も軟化も見られなかった。
○:やや離水が見られるが軟化せず原型を留めた。
△:離水と共に軟化も認められたが原型を留めた。
×:流動状となり、原型を留めなかった。

Claims (5)

  1. 下記の(1)〜(5)の全てを満たすことを特徴とする水中油型乳化脂用乳化材。
    (1)蛋白質と脂質との複合体を含有する。
    (2)上記蛋白質として乳蛋白質を含有する。
    (3)上記乳蛋白質中におけるカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との質量比が、前者:後者で、40:60〜95:5である。
    (4)上記カゼイン蛋白質としてミセル態カゼイン蛋白質を含有する。
    (5)上記複合体における上記蛋白質と上記脂質の質量比が、蛋白質100質量部に対し脂質が10〜1000質量部である。
  2. 上記カゼイン蛋白質中のミセル態カゼイン蛋白質の含有量が60〜100質量%であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化脂用乳化材。
  3. 上記脂質の一部又は全部がリン脂質であることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型乳化脂用乳化材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型乳化脂用乳化材を使用した水中油型乳化脂。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水中油型乳化脂用乳化材の製造方法であって、蛋白質と脂質とを含有する水溶液を均質化することを特徴とする水中油型乳化脂用乳化材の製造方法。
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