JP2016139378A - 光電池の動作点制御方法、及び、光電池システムとその制御方法 - Google Patents

光電池の動作点制御方法、及び、光電池システムとその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】制御安定性と高速応答性、そして追尾効率性を備えた光電池の動作点制御方法、及び関連する方法、システムを提供することを課題とする。
【解決手段】
光電池の出力電力を、スイッチ式の電力制御器を介して負荷側に出力する光電池システムにおいて、スイッチングの時比率変更幅を2段階の固定値とし、動作点が最大電力点を越えたことに応じて、大きい変更幅から小さい変更幅へと(高速モードから高分解能モードへと)切り替えを行う。さらに、時比率調整の時間間隔を、出力電力の変化量に応じて可変としてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電池の出力電力制御に関する。特に本発明は、スイッチ式の電力制御器を用いて光電池の動作点を最大電力点に向かって制御するための方法及びシステムに関する。
太陽電池等、光電池の出力電力を最大化する方法においては、特許文献1等に示される山登り法が広く知られている。山登り法は、その単純なアルゴリズムにより複雑な演算を必要とせず、廉価なコンピュータで十分に制御が可能である一方、制御デューティを少しずつ変化させながら最大電力点を探索するため、高速応答性に欠ける。山登り法においては追尾効率と応答性がトレードオフの関係にあるが、両者を両立する手法を得るべく様々な研究がなされている。一例として、インクリメンタルコンダクタンス法(非特許文献1)やフィボナッチ探索法を用いた方法(非特許文献2)、太陽電池のダイオード特性を利用したニュートン法(非特許文献3)、太陽電池の特性を予め数式近似する予測法(特許文献2)等がある。また、山登り法にも改良手法が提案されているが(特許文献3,非特許文献4等)、その多くにおいて、最大電力点から制御点が離れているときは探索のステップ幅を大きくし、最大電力点に近付くとステップ幅を小さくする手法が取られている。中でも、特許文献3に示される、太陽電池電圧に対する出力電力の変化量に応じてステップ幅の変化量を可変する手法は優れた方法として知られている。
特開昭57−206929号公報 特開2012−93869号公報 特開平6−83465号公報
Jun Youn Ahn, Jong Hoo Park, B.H.Cho, K.J.Yoo, Analog MPPT for connected single-phase system, KIPE conference, pp.785-788, 2003. Masafumi Miyatake, Tooru Kouno and Motomu Nakano, Maximum Power Point Tracking Control Employing Fibonacci Search Algorithm for Photovoltaic Power Generation System, International Power Electronics Conference (ICPE'01), pp.622-625, Seoul (2001/10). M. Nakahara, M. Iwasa, Fast MPPT Algorithm of Solar Battery, E. E. Report, Vol.16 No.1, 2010, pp.90-95. Veerachary Mummadi, Improved Maximum Power Point Tracking Algorithm For Photovoltaic Sources, IEEE International Conference on Sustainable Energy Technologies (2008), pp. 301-305.
地上のような系統連系を有しない宇宙機には、機器のオンオフ切り替えに伴う負荷トランジェントに対して高速応答性が求められる。多くの宇宙機は太陽電池を電力源とし、余剰電力をバッテリに蓄えることで電力運用されている。負荷電力が小さくバッテリが満充電の場合は、出力電圧を目標値に向かって制御することにより太陽電池の出力を絞る制御(CV:Constant Voltage制御)が行われるが、宇宙機の搭載機器は頻繁にオンオフの切り替えを繰り返しているため、この切り替えに伴って負荷電流がステップ状に変化することにより、太陽電池に接続されたコンバータ等、電力制御器の出力電圧に攪乱(負荷トランジェント)が生じる。この負荷トランジェントの影響を打ち消すべく、太陽電池出力を上げる制御(PPT:Peak Power Tracking制御)が行われる。この時、速やかにPPT制御ができない場合は、バッテリからの放電によって電力を賄うことによりバッテリの寿命を縮めることになるか、あるいは大きなキャパシタバンクが必要となる。そのような問題を避けるべく、ミリ秒オーダーの高速応答性を有したPPT制御の確立が必要である。既存技術では、太陽電池の電気的特性や制御器の入出力特性を考慮し、最大電力点を予測する方法が提案されているが、ミッション期間中の太陽電池特性を総じて的確に予測することは困難であり、制御器の特性パラメータ値の決定も複雑となる。また、特許文献3に示される手法は、演算に割り算を使用するため計算が高負荷になりやすく、ステップ幅が不定であるため、トランジェントに対する安定性が課題である。また、山登り法をベースとする制御では、制御デューティの更新周波数を制御回路の共振周波数以上に上げると動作が不安定になる欠点がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するべく、制御安定性と高速応答性、そして追尾効率性を備えた光電池の動作点制御方法、及び関連する方法、システムを提供することを課題とする。
本発明は、太陽電池等の光電池における出力電力を最大化する方法として、コンバータ等の電力制御器の制御デューティ(時比率)変更幅(ステップ幅)を2段階の固定値とし、ステップ幅を大きくとる高速モードと小さくとる高分解能モードを設定することを提案する。光電池の動作点が最大電力点を越えて移動したことを検出し、モードの切り替えを行う。また本発明は、これらと併せて、制御周波数を電力の変化量に応じて可変とすることを提案する。
具体的に、本発明は、スイッチを有する電力制御器を介して光電池の出力電力を負荷側へと出力する光電池システムを用いて実施される方法であって、スイッチのオンオフ切り替えの時比率を変更することにより、光電池の動作電圧を変化させる段階と、動作電圧の変化により光電池の出力電力が増加した場合には、動作電圧の上記変化と同じ方向へと、減少した場合には異なる方向へと、時比率を再び変更することにより光電池の動作電圧を再び変化させる段階とを備えることにより、光電池の動作電圧を繰り返し変化させ、光電池の動作点を最大電力点に向かって制御するよう構成され、光電池の動作点の最大電力点に向かった制御における時比率の変更幅としては、第一の変更幅と、第一の変更幅よりも小さい第二の変更幅とのいずれかを用い、第一の変更幅を用いた時比率の変更により動作点が最大電力点を越えて移動したと判断された時に、用いる変更幅を第二の変更幅へと切り替えるよう更に構成された、光電池の動作点制御方法を提供する。
上記方法において、時比率の変更を繰り返す時間間隔を、光電池の出力電力の変化量に応じて調整するよう更に構成することができる。
また本発明は、電力制御器から負荷側へと出力される出力電圧の値が所定の設定電圧値以上であることを条件として、又は設定電圧値を超えることを条件として、条件が満たされない場合に上記光電池の動作点制御方法を実施し、光電池の動作点を最大電力点に向かって制御する段階と、条件が満たされる場合において、出力電圧の値が出力電圧目標値を超える場合には出力電圧を降下させ、出力電圧の値が出力電圧目標値を下回る場合には出力電圧を上昇させるよう、時比率を変更することにより、出力電圧を出力電圧目標値に向かって制御する段階とを備えた、光電池システムの制御方法を提供する。
上記光電池システムにおいて、電力制御器としてはDC/DC(直流/直流)コンバータを用いることができる。この場合、DC/DCコンバータに対して負荷側にインバータ回路を更に接続してもよい。
さらに本発明は、光電池と、光電池の出力電力を負荷側へと出力する、スイッチを有する電力制御器とを備え、スイッチのオンオフ切り替えの時比率を変更することにより、光電池の動作電圧を変化させ、動作電圧の変化により光電池の出力電力が増加した場合には、動作電圧の上記変化と同じ方向へと、減少した場合には異なる方向へと、時比率を再び変更することにより光電池の動作電圧を再び変化させることにより、光電池の動作電圧を繰り返し変化させ、光電池の動作点を最大電力点に向かって制御するよう構成され、光電池の動作点の最大電力点に向かった制御における時比率の変更幅としては、第一の変更幅と、第一の変更幅よりも小さい第二の変更幅とのいずれかを用い、第一の変更幅を用いた時比率の変更により動作点が最大電力点を越えて移動したと判断された時に、用いる変更幅を第二の変更幅へと切り替えるよう更に構成された、光電池システムを提供する。
上記システムにおいて、時比率の変更を繰り返す時間間隔を、光電池の出力電力の変化量に応じて調整するよう更に構成することができる。
また本発明は、電力制御器から負荷側へと出力される出力電圧の値が所定の設定電圧値以上であることを条件として、又は設定電圧値を超えることを条件として、条件が満たされない場合に、光電池の動作点の最大電力点に向かった上記制御を実施するよう構成され、条件が満たされる場合において、出力電圧の値が出力電圧目標値を超える場合には出力電圧を降下させ、出力電圧の値が出力電圧目標値を下回る場合には出力電圧を上昇させるよう、時比率を変更することにより、出力電圧を出力電圧目標値に向かって制御するよう更に構成された光電池システムを提供する。
上記光電池システムにおいて、電力制御器としてはDC/DCコンバータを用いることができる。この場合、DC/DCコンバータに対して負荷側にインバータ回路を更に接続してもよい。
本発明により、光電池の動作点制御において追尾効率と高速応答の両立が可能となる。また、制御安定性と高速応答の両立も可能となる。これらの利点を備えた、本発明に従う動作点制御によれば、追尾効率を犠牲にしないミリ秒オーダーでの高速応答が可能となるため、負荷トランジェントが生じた際にバッテリからの放電を防ぎ、バッテリの長寿命化を図ることができる。あるいは、大きなキャパシタバンクが不要となり、光電池システムにおける部品点数の削減並びに小型軽量化を図ることができる。
本発明の一実施形態に従う光電池の動作点制御のために用いることができる、太陽電池、電力制御器、バッテリ、負荷の接続例を示す概略図。 本発明の一実施形態に従う太陽電池システムの回路図。 本発明の一実施形態に従う、太陽電池の動作点制御及び太陽電池システムの制御のためのフローチャート。 高速モードと高分解能モードの切り替えを示す概念図。横軸が太陽電池PVに印加される電圧で、縦軸が太陽電池PVより出力される電力である。 太陽電池の出力電力の変化量に応じた、時比率変更の時間間隔の調整を説明する概念図。 図2の太陽電池システムにおいてDC/DCコンバータの負荷側にインバータ回路を接続したときの回路図。 本発明の一実施形態に従う、太陽電池の動作点制御のためのフローチャート。
以下、本発明による光電池の動作点制御方法、及び、光電池システムとその制御方法を実施するための形態を、図面を用いて説明する。なお、本発明に係る各種の方法、システムの技術的範囲は後述の各実施例において開示される具体的態様に限らず、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
光電池システムの構成
本発明は、太陽電池等の光電池にコンバータ、インバータ等の電力制御器を接続して構成される光電池システム、及び、当該システムに適用可能な各種制御方法を提案する。各要素の代表的な接続例を図1で概念的に示す。
光電池の典型例である太陽電池は、一例において、シリコン(Si)半導体にリン(P)をドープしてなるn型半導体と、シリコン半導体にホウ素(B)をドープしてなるp型半導体とを接合させて、n型半導体側とp型半導体側の両面にそれぞれ電極を取り付けることにより作製される。太陽電池は典型的に、動作電圧(印加される電圧)が上昇するに応じて出力電流が減少する電流電圧特性を有しており、後述の図4のグラフに示すとおり、ある電圧Vmpにおいて最大電力で動作する(この動作点を最大電力点と呼ぶ。)。大きな電力を出力させるためには、上述のように作製される太陽電池(セル)を直並列に多数接続した太陽電池パネルとして使用することが多い。ただし本発明においては、シリコン半導体をベースとした上述の太陽電池以外の任意の太陽電池、又はセレン光電池等、任意の光電池を用いることができる。
本実施例においては、電力制御器を介して太陽電池の出力電力を負荷側へと出力する太陽電池システムにおいて、バッテリの過電圧を防ぐ等の目的で電力制御器の出力側バス電圧を目標値へと制御するCV制御(基本的には太陽電池からの出力電流を絞っていく、すなわち太陽電池の電圧を大きくしていく制御となる。)と、出力側バス電圧が負荷トランジェントの影響等により降下した時に、バッテリからの放電を防ぐ等の目的で太陽電池の出力電力の最大化を図るPPT制御とを実施することにより、負荷側の機器におけるオンオフ切り替え等によりシステム内に乱れが発生する状況であっても安定動作を可能とするためのシステム、方法が開示される。
図1における各要素の接続態様を、図2の回路図でより具体的に示す。図2の回路においては、入力側キャパシタC1,MOSFET(metal−oxide−semiconductor field−effect transistor)等のスイッチS1,S2,インダクタL1,出力側キャパシタC2からなる同期整流型DC/DCコンバータの入力側に太陽電池PVを接続して太陽電池システムを構成し、当該システムの出力側に負荷Loadが接続されている。太陽電池システムと負荷Loadの間には、直並列接続されたキャパシタ鎖からなるキャパシタバンクCB、及び二次電池等を直列接続してなるバッテリBが接続されている。また、同期整流型DC/DCコンバータにおける入力側バス電圧(キャパシタC1の電圧であり、太陽電池PVの動作電圧)、太陽電池PVを流れる電流、同期整流型DC/DCコンバータにおける出力側バス電圧(キャパシタC2の電圧)を測定するために電圧計や電流計がそれぞれ接続されており、これらによる測定値を表わすアナログ信号はA/D(アナログ/デジタル)コンバータによりデジタル信号へと変換されて演算回路に入力される。演算回路においては、各種測定値を用いて後述のとおり各種の条件判断や演算が行われて、スイッチS1,S2に対して設定すべき時比率(スイッチング周期に対するオン期間の割合)が決定される。決定された時比率を表わす信号はドライブ回路へと入力され、ドライブ回路からの命令信号により、スイッチS1,S2は決定された時比率でオンオフ切り替えを繰り返す。なお、A/Dコンバータ、演算回路、ドライブ回路は図2に示すとおり別個の機器、回路として構成されてもよいし、あるいはこれら全ての機能を担う単独の処理装置として構成されてもよい。これらによって実現される判断、演算等の機能を、任意の数の機器、回路に任意に分担させることが可能である。またA/Dコンバータによって測定値のアナログ信号をデジタル化することも必須ではなく、アナログ制御により上記判断、演算等の機能を備えてもよい。
本実施例においては、スイッチS1のオン期間中にはスイッチS2がオフとされ、スイッチS1のオフ期間中にはスイッチS2がオンとなるよう、両スイッチS1,S2はドライブ回路により制御される。したがって、演算回路により決定されるスイッチS1の時比率をD(0≦D≦1)とすればスイッチS2の時比率は1−Dである。
同期整流型DC/DCコンバータの動作において、まずスイッチS1がオン、スイッチS2がオフである期間には、入力側バス電圧の大きさをVinとし、出力側バス電圧の大きさをVoutとすれば、インダクタL1には(Vin−Vout)の電圧が印加される(インダクタL1に入力側から出力側へと電流を流す極性の電圧を正とする。)。スイッチングの周期をTとすれば、スイッチS1のオン期間は上記時比率Dを用いてDTと表わされるので、当該オン期間中にインダクタL1において生じる磁束の増加分は(Vin−Vout)DTと表わされる。
次に、スイッチS1がオフ、スイッチS2がオンである期間において、インダクタL1には、スイッチS1のオン期間とは逆の極性で大きさがVoutの電圧が印加される。スイッチS1のオフ期間は(1−D)Tと表わされるので、当該オフ期間中にインダクタL1において生じる磁束の減少分はVout(1−D)Tと表わされる。同期整流型DC/DCコンバータが定常状態で動作するならば、上記磁束の増加分と減少分が釣り合うため(Vin−Vout)DT=Vout(1−D)Tが成立し、入出力電圧比Vout/Vin=Dが得られる。すなわち、同期整流型DC/DCコンバータは降圧型DC/DCコンバータと同様に動作する。ただし、電力制御器としては、降圧型、昇圧型、昇降圧型等、任意のコンバータや、実施例2で用いるインバータを初めとする任意のインバータの他、スイッチにより動作する任意の電力制御器を用いてよい。本実施例においては、時比率Dを介して上記入出力電圧比Vout/Vinを変更することにより、出力側バス電圧や太陽電池PVの動作点を制御する。
光電池システムの動作
図2の太陽電池システムを用いて、当該システム、及び太陽電池PVの動作点を制御するためのフローチャートを図3に示す。
まず初期設定(ステップS301)として、時比率Dの初期値、CV制御とPPT制御のいずれを実施するかの判断に用いられる所定の設定電圧値、CV制御における出力側バス電圧の目標値であるCV電圧値、CVモードにおける時比率Dの変更幅、PPT制御において後述の高速モードと高分解能モードのそれぞれで用いられる時比率Dの変更幅(2つの異なる変更幅dD1,dD2とする。ただしdD1>dD2)、後述の各種計算に用いられる数値等が演算回路内のメモリに記憶されるとともに、後述の処理で用いられる各種フラグがOFFとして当該メモリに記憶される。その後、任意のタイミングで(典型的には太陽電池システムの運用開始時に外部からの命令信号を受けた各種機器、回路が動作を開始する等して)処理はステップS302以降へ進む。フローチャートから明らかなとおり、ステップS302から進んだ処理がステップS311又はステップS320へと至り、その後ステップS302へと戻るループ処理が行われる。
ステップS302においては、同期整流型DC/DCコンバータが或る時比率D(ステップS302が初めて実施される場合には、ステップS301で与えられた初期値)で動作している状態で、図2に示される各電圧計、電流計により電圧や電流が測定されて、測定値を示すアナログ信号がA/Dコンバータでデジタル信号へと変換された上で演算回路に入力される。演算回路には、各電圧計、電流計が測定した出力側バス電圧値、太陽電池PVからの出力電流値、太陽電池PVの動作電圧値が入力され、太陽電池PVの電流値と電圧値を用いた乗算により、当該演算回路において太陽電池の出力電力値が計算されて当該演算回路のメモリに記憶される。また、ステップS302の処理が2回目以降に行われる場合は、前回計算された太陽電池の出力電力値と今回計算された太陽電池の出力電力値の差が演算回路において計算され、そのメモリに記憶される。
次にステップS303において、出力側バス電圧値と上記設定電圧値の大小関係が演算回路により判定される。ステップS304に示すとおり、測定された出力側バス電圧値が設定電圧値よりも大きい場合、処理はステップS305以降のCV制御へと進み(CVモード)、出力側バス電圧値が設定電圧値以下である場合、処理はステップS313以降のPPT制御へと進む(PPTモード)。ただし、出力側バス電圧値が設定電圧値に等しい場合にはCV制御に進むこととしてもよい。
まずステップS305以降のCV制御について説明する。ステップS306において、出力側バス電圧値と上記CV電圧値の大小関係が演算回路により判定される。出力側バス電圧値の方が大きい場合には、出力側バス電圧を降下させるべく、ステップS301で与えられたCVモードにおける時比率Dの変更幅だけスイッチS1の時比率Dを下げるべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS307)。出力側バス電圧値がCV電圧値よりも小さい場合には、出力側バス電圧を上昇させるべく、上記CVモードにおける時比率Dの変更幅だけスイッチS1の時比率Dを上げるべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS312)。なお、出力側バス電圧値がCV電圧値と等しい場合は、時比率の変更をスキップして後述のステップS309まで進んでもよいし、あるいは分岐を単純にする目的でステップS307かS312に進むこととしてもよい。
ステップS308において、実際に時比率Dを変更する動作(PWM:Pulse Width Modulation,パルス幅変調出力)が行われる。具体的に、ステップS307においてスイッチS1の時比率を下げるべきであると決定された場合は、演算回路が、現時点の時比率から上記CVモードにおける時比率Dの変更幅だけ下げた時比率Dの値(ゼロ以下となる場合は、所定の下限値で置き換える。この下限値も、ステップS301の初期設定で演算回路のメモリに記憶される。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更されて、出力側バス電圧が降下する。
一方、ステップS312においてスイッチS1の時比率を上げるべきであると決定された場合は、ステップS308において、演算回路が、現時点の時比率から上記CVモードにおける時比率Dの変更幅だけ上げた時比率Dの値(1以上となる場合は、所定の上限値で置き換える。この上限値も、ステップS301の初期設定で演算回路のメモリに記憶される。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更されて、出力側バス電圧が上昇する。
次にステップS309において、太陽電池システムの動作がCVモードにあることを示すCVフラグがオンとされて演算回路のメモリに記憶される。また後述のとおり太陽電池システムの動作がPPTモードにあることを示すPPTフラグや、更に高分解能モードにあることを示す高分解能フラグがオフにリセットされて演算回路のメモリに記憶される(ステップS310)。その後、所定の待機時間が経過するのを待った上で(ステップS311。この待機時間も、ステップS301の初期設定で演算回路のメモリに記憶される。)、処理はステップS302に戻り、各種データ計測以降の処理が再び行われる(各電圧計、電流計からはA/Dコンバータを介して電圧、電流の測定値が演算回路へと絶えず短い時間間隔で入力されており、上記待機時間が経過するごとに、演算回路において上述の計算、判定処理が開始されるとしてもよい。)。
次に、上述のステップS304において出力側バス電圧値が設定電圧値以下である場合に実施されるPPT制御について説明する。ステップS314において、演算回路により高分解能フラグがオフであるかどうかが判定される。初めてステップS313以降の処理が実施される場合やCVモードから移行した場合、高分解能フラグはオフであるため、処理はステップS315以降に進む。動作が後述の高分解能モードに既に入っている場合、高分解能フラグはオンであるため処理はステップS321以降に進む。
まずステップS315以降の処理について説明する。ステップS315において、今回行うべき時比率の変更が、前回の時比率の変更と同方向であるか否か(太陽電池の動作電圧の変更方向が同方向であるか否か)が演算回路により判定される。具体的には、前回のループ処理においてステップS302で計算された太陽電池PVの出力電力値と、今回のループ処理においてステップS302で計算された太陽電池PVの出力電力値との差(ステップS302にて演算回路のメモリに記憶されている。)をチェックし、今回の出力電力値が大きかった場合(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が増加した場合)には、今回行うべき時比率の変更は前回と同方向であると判断され、前回の出力電力値が大きかった場合(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が減少した場合)には、今回行うべき時比率の変更は前回と異なる方向であると判断される。同方向であると判断された場合、処理はステップS316以降へと進み(高速モード)、異なる方向であると判断された場合、処理はステップS321以降へと進む(高分解能モード)。なお、前回と今回との出力電力値が等しい場合には、時比率の変更をスキップして後述のステップS320まで進んでもよいし、あるいは分岐を単純にする目的でステップS316かS321に進むこととしてもよい。また、ステップS315の判定を初めて行う場合は、ステップS316以降の高速モードに進むものとする。
高速モードにおいては、前回と同じ方向に高速で太陽電池PVの動作電圧を変化させるべく、前回行った時比率の変更と同じ方向に、高速モードの時比率変更幅dD1だけ時比率Dを変更すべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS317)。高速モードの動作を初めて行う場合は、図4に示すとおり、CVモード動作点(出力側バス電圧が上述の設定電圧値をとるときの、太陽電池PVの動作電圧に対応)が最大電力点の電圧Vmpよりも高電圧側にあるものとして(理論計算、計算機シミュレーション、あるいは事前の測定により推定されるVmpよりも高い電圧が太陽電池PVに印加される状態の出力側バス電圧値として、設定電圧値を与えておく。本実施例においては典型的に、CVモードは負荷側が電流を必要としていない状態で、PPTモードは負荷側が電流を必要としている状態なので、電流IについてはI(PPTモード)>I(CVモード)となり、太陽電池の特性から電圧VについてはV(CVモード)>V(PPTモード)となる。)、太陽電池PVの動作電圧を降下させる方向にdD1だけ時比率Dを変更すべき(時比率Dを上げるべき)であるとの決定が演算回路によりなされる。ステップS318において、実際に時比率Dを変更する動作(PWM出力)が行われる。具体的には、演算回路が、現時点の時比率から上記のとおりdD1だけ変更した時比率Dの値(ゼロ以下、又は1以上となる場合は、それぞれ演算回路のメモリに記憶された下限値又は上限値で置き換える。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更される。次にステップS319において、太陽電池システムの動作がPPTモードにあることを示すPPTフラグがオンとされて演算回路のメモリに記憶される。
一方、ステップS315の判定により、前回とは異なる方向に時比率を変更するべきであると判断された場合(高速モードで行われた前回の時比率変更により太陽電池PVの出力電力が減少した場合。演算回路はこの場合、太陽電池PVの動作点が高速モード動作により最大電力点を越えて移動したと判断する。)、PPT制御は高速モードから高分解能モードに切り替えられる(ステップS321)。これにより、時比率Dの変更幅はdD1からdD2へと切り替えられる。ステップS314において高分解能フラグがオンであった場合(PPT制御が既に高分解能モードに入っている場合)も、引き続きステップS321以降で高分解能モードの動作が続行される。
高分解能モードにおいては、前回と同じ方向又は異なる方向へと、太陽電池PVの動作電圧を高分解能で変化させるべく、前回行った時比率の変更と同じ方向又は異なる方向に、高分解能モードの時比率変更幅dD2だけ時比率Dを変更すべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS322)。具体的に、ステップS315の判定を経由してステップS322に至った場合には、前回行った時比率の変更と異なる方向に時比率Dを変更すべきとの判断が演算回路によりなされ、ステップS314で高分解能フラグがオンであったとしてステップS322に至った場合(高分解能モードでの2回目以降の動作)には、ステップS315と同様に、前回のループ処理中にステップS302で計算された太陽電池PVの出力電力値に比べて今回のループ処理中にステップS302で計算された太陽電池PVの出力電力値が大きければ(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が増加した場合)前回と同方向に、前回の出力電力値が大きければ(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が減少した場合)前回と異なる方向に、時比率Dを変更すべき(ただし変更幅はdD2である。)であると演算回路が決定する(ステップS315と同様に、前回と今回との出力電力値が等しい場合には、時比率の変更をスキップして後述のステップS320まで進んでもよいし、あるいは前回と同方向又は異なる方向に時比率Dを変更すべきと予め定めておいてもよい。)。ステップS323において、実際に時比率Dを変更する動作(PWM出力)が行われる。具体的には、演算回路が、現時点の時比率から上記のとおりdD2だけ変更した時比率Dの値(ゼロ以下、又は1以上となる場合は、それぞれ演算回路のメモリに記憶された下限値又は上限値で置き換える。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更される。次にステップS324において、太陽電池システムの動作が高分解能モードにあることを示す高分解能フラグがオンとされて演算回路のメモリに記憶される。
高速モード又は高分解能モードで上述の動作が実施された後(あるいは上述のとおり、時比率変更がスキップされた後)、待機時間が経過するのを待ったうえで(ステップS320)、処理はステップS302に戻る(各電圧計、電流計からはA/Dコンバータを介して電圧、電流の測定値が演算回路へと絶えず短い時間間隔で入力されており、上記待機時間が経過するごとに、演算回路において上述の計算、判定処理が開始されるとしてもよい。)。ここにおいて、PPT制御動作中にステップS320で用いられる上記待機時間は固定値でなくともよく、一例においては、演算回路のメモリに記憶されている、前回計算された太陽電池PVの出力電力値と今回計算された太陽電池PVの出力電力値の差に応じて変更される。一例として、適切な定数A,kを用いて待機時間をA−k|ΔP|と定義し、出力電力の差の絶対値が大きいほど係数k>0によって待機時間が短くなる(初めてPPT制御動作を行った時は、出力電力の差であるΔPをゼロとして、待機時間は初期値Aとする。また待機時間には、適宜上限値と下限値を設定する。後述の周波数についても同様。)よう調整してもよいし、あるいは、ループ処理の繰り返し周波数として、出力電力の差の絶対値に応じて大きくなる周波数を導入してもよい(図5)。待機時間、あるいは周波数の更新は一定回数のループ処理毎に行ってもよい。例えば、ループ処理を所定回数繰り返すごとに、(1)直近の当該所定回数のループ処理で、ステップS302において計算された太陽電池PVの出力電力の平均値と、(2)それよりも前の当該所定回数のループ処理で同様に計算された出力電力の平均値と、の差をΔPとして、上述のとおり待機時間や周波数を調整してもよい。
以上のとおり、出力側バス電圧を目標値に向かって制御するCVモードの動作と、太陽電池PVの出力電力の最大化を図るPPTモードの動作を選択的に繰り返すことにより、太陽電池システムの動作が制御される。特に、PPTモードにおいて上述のとおり高速モードと高分解能モードを選択的に実施して時比率の変更幅を可変とすることにより、負荷トランジェントに対する高速応答と高精度な最大電力追尾が可能である。さらに、上述のとおり時比率更新の時間間隔を、太陽電池の出力電力の変化量に応じて可変とする。すなわち、図5に概念的に示すとおり、電力の変化量が大きいときは更新周期を短くし、電力の変化量が小さいときは更新周期を長くする。このように時間間隔を可変とすることにより、最大電力点での制御安定を確保しつつ、トランジェント発生時は高速応答を優先し、制御回路の共振周波数に依存しない制御が可能となる。なお、PPTモードにおいて待機時間や繰り返し周波数を太陽電池の出力電力変化量に応じて可変とすることは必須ではなく、例えば高速モードと高分解能モードで待機時間の固定値を2種類用意し、上述のモード切り替え時に待機時間も切り替えるという構成も可能であるし、あるいはステップS320で用いられる待機時間を固定値としても構わない。それら固定値、上記定数A,k等も、ステップS301において演算回路のメモリに記憶される。
電力制御器の別の一例として、同期整流型DC/DCコンバータに対して負荷Load側にインバータ回路を接続したときの回路図を図6に示す(キャパシタバンク、バッテリは不図示。これらを、出力側キャパシタC2とインバータ回路との間に図2と同様に接続してもよい。)。インバータ回路部は、MOSFET等のスイッチS3〜S6、及び平滑化等のためのインダクタL2から構成される。動作時においては、図2の回路構成時と同様にスイッチS1,S2が時比率D,1−Dでオンオフ切り替えを繰り返すことにより出力側バス電圧(直流電圧)がインバータ回路部へと出力されるとともに、インバータ回路部において、スイッチS3,S6がオンでスイッチS4,S5がオフの状態と、スイッチS3,S6がオフでスイッチS4,S5がオンの状態との切り替えを繰り返すことにより、負荷Loadに対して交流電圧が出力される(スイッチS3,S4,S5,S6も、スイッチS1,S2と同様にドライブ回路によって切り替えが制御される。当該ドライブ回路は不図示。)。図6の光電池システムは、図2の光電池システムと同様に図3のフローチャートに従って制御可能である。同様の制御によりCVモードにおいては出力側バス電圧(図6の場合も、キャパシタC2の電圧に等しい)を目標値であるCV電圧値に向かって制御しつつ、負荷トランジェント等の影響により出力側バス電圧が設定電圧値を越えて(又は設定電圧値以下に)降下した場合には、PPTモードに移行して太陽電池PVの動作点を最大電力点に向かい制御することができる。
図3のフローチャートにおいては、出力側バス電圧値と設定電圧値との大小関係に応じてCVモードとPPTモードに処理を分岐させていたが、図2,図6等の回路構成を備えた光電池システムを用いて行われる本発明の制御方法は、常にPPTモードで行われることとしてもよい。この時のフローチャートは、図3のフローチャートからCVモードに関する処理を除いたものとなる(図7)。
まず初期設定(ステップS701)として、時比率Dの初期値、PPT制御において高速モードと高分解能モードのそれぞれで用いられる時比率Dの変更幅(2つの異なる変更幅dD1,dD2とする。ただしdD1>dD2)、後述の各種計算に用いられる数値等が演算回路内のメモリに記憶されるとともに、後述の処理で用いられる各種フラグがOFFとして当該メモリに記憶される。その後、任意のタイミングで(典型的には太陽電池システムの運用開始時に外部からの命令信号を受けた各種機器、回路が動作を開始する等して)処理はステップS702以降へ進む。フローチャートから明らかなとおり、ステップS702から進んだ処理がステップS709へと至り、その後ステップS702へと戻るループ処理が行われる。
ステップS702においては、同期整流型DC/DCコンバータが或る時比率D(ステップS702が初めて実施される場合には、ステップS701で与えられた初期値)で動作している状態で、図2,図6に示される各電圧計、電流計により電圧や電流が測定されて、測定値を示すアナログ信号がA/Dコンバータでデジタル信号へと変換された上で演算回路に入力される。演算回路には、各電圧計、電流計が測定した太陽電池PVからの出力電流値、太陽電池PVの動作電圧値が入力され(CV制御を行わない場合、出力側バス電圧の測定は不要である。)、太陽電池PVの電流値と電圧値を用いた乗算により、当該演算回路において太陽電池の出力電力値が計算されて当該演算回路のメモリに記憶される。また、ステップS702の処理が2回目以降に行われる場合は、前回計算された太陽電池の出力電力値と今回計算された太陽電池の出力電力値の差が演算回路において計算され、そのメモリに記憶される。
次にステップS703において、処理はPPT制御へと進む。図3のフローチャートのように、出力側バス電圧値と上記設定電圧値の大小関係を演算回路が判定する必要はない。
ステップS704において、演算回路により高分解能フラグがオフであるかどうかが判定される。初めてステップS704以降の処理が実施される場合、高分解能フラグはオフであるため、処理はステップS705以降に進む。動作が後述の高分解能モードに既に入っている場合、高分解能フラグはオンであるため処理はステップS710以降に進む。
まずステップS705以降の処理について説明する。ステップS705において、今回行うべき時比率の変更が、前回の時比率の変更と同方向であるか否か(太陽電池の動作電圧の変更方向が同方向であるか否か)が演算回路により判定される。具体的には、前回のループ処理においてステップS702で計算された太陽電池PVの出力電力値と、今回のループ処理においてステップS702で計算された太陽電池PVの出力電力値との差(ステップS702にて演算回路のメモリに記憶されている。)をチェックし、今回の出力電力値が大きかった場合(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が増加した場合)には、今回行うべき時比率の変更は前回と同方向であると判断され、前回の出力電力値が大きかった場合(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が減少した場合)には、今回行うべき時比率の変更は前回と異なる方向であると判断される。同方向であると判断された場合、処理はステップS706以降へと進み(高速モード)、異なる方向であると判断された場合、処理はステップS710以降へと進む(高分解能モード)。なお、前回と今回との出力電力値が等しい場合には、時比率の変更をスキップして後述のステップS709まで進んでもよいし、あるいは分岐を単純にする目的でステップS706かS710に進むこととしてもよい。また、ステップS705の判定を初めて行う場合は、ステップS706以降の高速モードに進むものとする。
高速モードにおいては、前回と同じ方向に高速で太陽電池PVの動作電圧を変化させるべく、前回行った時比率の変更と同じ方向に、高速モードの時比率変更幅dD1だけ時比率Dを変更すべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS707)。高速モードの動作を初めて行う場合は、初期の動作点(ステップS701で演算回路のメモリに記憶された時比率Dの初期値に対応)が最大電力点の電圧Vmpよりも高電圧側にあるものとして(理論計算、計算機シミュレーション、あるいは事前の測定により推定されるVmpよりも太陽電池PVの動作電圧が高い電圧となるよう、時比率Dの初期値を与えておく。)、太陽電池PVの動作電圧を降下させる方向にdD1だけ時比率Dを変更すべき(時比率Dを上げるべき)であるとの決定が演算回路によりなされる。ステップS708において、実際に時比率Dを変更する動作(PWM出力)が行われる。具体的には、演算回路が、現時点の時比率から上記のとおりdD1だけ変更した時比率Dの値(ゼロ以下、又は1以上となる場合は、それぞれ演算回路のメモリに記憶された下限値又は上限値で置き換える。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更される。
一方、ステップS705の判定により、前回とは異なる方向に時比率を変更するべきであると判断された場合(高速モードで行われた前回の時比率変更により太陽電池PVの出力電力が減少した場合。演算回路はこの場合、太陽電池PVの動作点が高速モード動作により最大電力点を越えて移動したと判断する。)、PPT制御は高速モードから高分解能モードに切り替えられる(ステップS710)。これにより、時比率Dの変更幅はdD1からdD2へと切り替えられる。ステップS704において高分解能フラグがオンであった場合(PPT制御が既に高分解能モードに入っている場合)も、引き続きステップS710以降で高分解能モードの動作が続行される。
高分解能モードにおいては、前回と同じ方向又は異なる方向へと、太陽電池PVの動作電圧を高分解能で変化させるべく、前回行った時比率の変更と同じ方向又は異なる方向に、高分解能モードの時比率変更幅dD2だけ時比率Dを変更すべきであるとの決定が演算回路によりなされる(ステップS711)。具体的に、ステップS705の判定を経由してステップS711に至った場合には、前回行った時比率の変更と異なる方向に時比率Dを変更すべきとの判断が演算回路によりなされ、ステップS704で高分解能フラグがオンであったとしてステップS711に至った場合(高分解能モードでの2回目以降の動作)には、ステップS705と同様に、前回のループ処理中にステップS702で計算された太陽電池PVの出力電力値に比べて今回のループ処理中にステップS702で計算された太陽電池PVの出力電力値が大きければ(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が増加した場合)前回と同方向に、前回の出力電力値が大きければ(前回の時比率変更による電圧の変化によって出力電力が減少した場合)前回と異なる方向に、時比率Dを変更すべき(ただし変更幅はdD2である。)であると演算回路が決定する(ステップS705と同様に、前回と今回との出力電力値が等しい場合には、時比率の変更をスキップして後述のステップS709まで進んでもよいし、あるいは前回と同方向又は異なる方向に時比率Dを変更すべきと予め定めておいてもよい。)。ステップS712において、実際に時比率Dを変更する動作(PWM出力)が行われる。具体的には、演算回路が、現時点の時比率から上記のとおりdD2だけ変更した時比率Dの値(ゼロ以下、又は1以上となる場合は、それぞれ演算回路のメモリに記憶された下限値又は上限値で置き換える。)を新たな時比率Dの値と決定し、新たな時比率Dの値を表わす信号をドライブ回路に送信する。ドライブ回路は、スイッチS1が新たな時比率Dでオンオフ切り替えを行い、スイッチS2が(1−「新たな時比率D」)でオンオフ切り替えを行うよう、スイッチS1,S2に命令信号を出力する。これにより同期整流型DC/DCコンバータの動作状態が変更される。次にステップS713において、太陽電池システムの動作が高分解能モードにあることを示す高分解能フラグがオンとされて演算回路のメモリに記憶される。
高速モード又は高分解能モードで上述の動作が実施された後(あるいは上述のとおり、時比率変更がスキップされた後)、待機時間が経過するのを待ったうえで(ステップS709)、処理はステップS702に戻る(各電圧計、電流計からはA/Dコンバータを介して電圧、電流の測定値が演算回路へと絶えず短い時間間隔で入力されており、上記待機時間が経過するごとに、演算回路において上述の計算、判定処理が開始されるとしてもよい。)。ここにおいて、PPT制御動作中にステップS709で用いられる上記待機時間は固定値でなくともよく、一例においては、演算回路のメモリに記憶されている、前回計算された太陽電池の出力電力値と今回計算された太陽電池の出力電力値の差に応じて変更される。一例として、適切な定数A,kを用いて待機時間をA−k|ΔP|と定義し、出力電力の差の絶対値が大きいほど係数k>0によって待機時間が短くなる(初めてPPT制御動作を行った時は、出力電力の差であるΔPをゼロとして、待機時間は初期値Aとする。また待機時間には、適宜上限値と下限値を設定する。後述の周波数についても同様。)よう調整してもよいし、あるいは、ループ処理の繰り返し周波数として、出力電力の差の絶対値に応じて大きくなる周波数を導入してもよい(図5)。待機時間、あるいは周波数の更新は一定回数のループ処理毎に行ってもよい。例えば、ループ処理を所定回数繰り返すごとに、(1)直近の当該所定回数のループ処理で、ステップS702において計算された太陽電池PVの出力電力の平均値と、(2)それよりも前の当該所定回数のループ処理で同様に計算された出力電力の平均値と、の差をΔPとして、上述のとおり待機時間や周波数を調整してもよい。あるいはステップS709で用いられる待機時間を固定値としても構わない。
なお、本発明の制御方法が図3,図7のフローチャートに含まれる全てのステップを含む必要はなく、実施態様に応じて適宜修正して構わない。
本発明は、太陽電池を具備する宇宙機全般を初めとして、光電池の動作点制御が行われる任意の方法、システム等に利用することができる。一例として、太陽電池を搭載した自動車等の移動体等、系統連系のない電力システムに利用することができる。
PV 太陽電池
1,C2 キャパシタ
1〜S6 スイッチ
1,L2 インダクタ
CB キャパシタバンク
B バッテリ
Load 負荷

Claims (10)

  1. スイッチを有する電力制御器を介して光電池の出力電力を負荷側へと出力する光電池システムを用いて実施される方法であって、
    前記スイッチのオンオフ切り替えの時比率を変更することにより、前記光電池の動作電圧を変化させる段階と、
    前記動作電圧の変化により前記光電池の出力電力が増加した場合には、該動作電圧の該変化と同じ方向へと、減少した場合には異なる方向へと、前記時比率を再び変更することにより該光電池の動作電圧を再び変化させる段階と
    を備えることにより、前記光電池の動作電圧を繰り返し変化させ、該光電池の動作点を最大電力点に向かって制御するよう構成され、
    前記光電池の動作点の前記最大電力点に向かった前記制御における前記時比率の変更幅としては、第一の変更幅と、該第一の変更幅よりも小さい第二の変更幅とのいずれかを用い、該第一の変更幅を用いた該時比率の変更により前記動作点が前記最大電力点を越えて移動したと判断された時に、用いる変更幅を該第二の変更幅へと切り替える
    よう更に構成された、光電池の動作点制御方法。
  2. 前記時比率の変更を繰り返す時間間隔を、前記光電池の出力電力の変化量に応じて調整するよう更に構成された、請求項1に記載の方法。
  3. 前記電力制御器から前記負荷側へと出力される出力電圧の値が所定の設定電圧値以上であることを条件として、又は該設定電圧値を超えることを条件として、該条件が満たされない場合に請求項1又は2に記載の方法を実施し、前記光電池の動作点を前記最大電力点に向かって制御する段階と、
    前記条件が満たされる場合において、前記出力電圧の値が出力電圧目標値を超える場合には該出力電圧を降下させ、該出力電圧の値が該出力電圧目標値を下回る場合には該出力電圧を上昇させるよう、前記時比率を変更することにより、該出力電圧を該出力電圧目標値に向かって制御する段階と
    を備えた、光電池システムの制御方法。
  4. 前記光電池システムにおいて、前記電力制御器としてDC/DCコンバータが用いられる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記光電池システムにおいて、前記DC/DCコンバータに対して前記負荷側にインバータ回路が更に接続される、請求項4に記載の方法。
  6. 光電池と、
    前記光電池の出力電力を負荷側へと出力する、スイッチを有する電力制御器と
    を備え、
    前記スイッチのオンオフ切り替えの時比率を変更することにより、前記光電池の動作電圧を変化させ、
    前記動作電圧の変化により前記光電池の出力電力が増加した場合には、該動作電圧の該変化と同じ方向へと、減少した場合には異なる方向へと、前記時比率を再び変更することにより該光電池の動作電圧を再び変化させる
    ことにより、前記光電池の動作電圧を繰り返し変化させ、該光電池の動作点を最大電力点に向かって制御するよう構成され、
    前記光電池の動作点の前記最大電力点に向かった前記制御における前記時比率の変更幅としては、第一の変更幅と、該第一の変更幅よりも小さい第二の変更幅とのいずれかを用い、該第一の変更幅を用いた該時比率の変更により前記動作点が前記最大電力点を越えて移動したと判断された時に、用いる変更幅を該第二の変更幅へと切り替える
    よう更に構成された、光電池システム。
  7. 前記時比率の変更を繰り返す時間間隔を、前記光電池の出力電力の変化量に応じて調整するよう更に構成された、請求項6に記載の光電池システム。
  8. 前記電力制御器から前記負荷側へと出力される出力電圧の値が所定の設定電圧値以上であることを条件として、又は該設定電圧値を超えることを条件として、該条件が満たされない場合に、前記光電池の動作点の前記最大電力点に向かった前記制御を実施するよう構成され、
    前記条件が満たされる場合において、前記出力電圧の値が出力電圧目標値を超える場合には該出力電圧を降下させ、該出力電圧の値が該出力電圧目標値を下回る場合には該出力電圧を上昇させるよう、前記時比率を変更することにより、該出力電圧を該出力電圧目標値に向かって制御する
    よう更に構成された、請求項6又は7に記載の光電池システム。
  9. 前記電力制御器はDC/DCコンバータである、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光電池システム。
  10. 前記DC/DCコンバータに対して前記負荷側に接続されたインバータ回路を更に備える、請求項9に記載の光電池システム。
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