JP2015189024A - 造形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料を利用した積層造形法によって製造される造形物の精度および強度を向上でき、また塗料の密着性や塗装の強度を向上できる造形物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る造形物の製造方法は、材料または工程の一部に樹脂材料を利用し、造形物をN個の層に分離した単位層を第1層から第N層まで順番に形成しながら積み重ねることによって造形物を製造する方法であって、1つまたは複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記1つまたは複数の単位層の表面を研磨し、研磨された前記1つまたは複数の単位層の表面に放電処理することを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、造形物の製造方法に関する。
近年、三次元の物体を造形できる3Dプリンターの需要が高まってきている。このような3Dプリンターによる造形方法としては、積層造形法が一般的である。積層造形法は、造形物をN個の層に分離して、第1層から第N層までの各単位層を順番に造形しながら積み重ねていく方法である。
今日、積層造形を行うための様々な方法が研究されており、その一部が実用化されている。これらの方法の中には、材料や工程の一部に樹脂材料を利用するものが存在する。このような樹脂材料を利用した積層造形法の具体例としては、例えば以下の特許文献に開示されているものが挙げられる。
特許文献1および特許文献2には、押出による積層堆積システムを用い、ABS樹脂を押出ヘッドで溶融させ、それを押出すことによって単位層を形成し、その単位層を堆積させることによって3Dオブジェクトを形成する方法が記載されている。
特許文献3および特許文献4には、両親媒性固体ポリマーを含有する造形用スラリーを用いて、3Dオブジェクトを形成する方法が記載されている。
特許文献5および特許文献6には、光硬化性を有する樹脂成分を用いて、インクジェット光造形法により3Dオブジェクトを形成する方法が記載されている。
特表2010−521339号公報 特許第4107686号公報 特開2011−245712号公報 特開2011−245713号公報 特開2012−111226号公報 特開2012−71611号公報
一般に、三次元の物体を造形する際には、高い精度や強度が求められる。しかしながら、流動性を持たせた樹脂材料を用いて三次元の物体を造形すると、樹脂材料のパターニング精度(ダレ、濡れ広がり)や、樹脂を硬化させる際の硬化収縮から、表面に凹凸が生じやすく、精度や強度の確保が困難であった。
また、三次元の物体を造形する際、同一素材(無彩色)で形成したベースとなる造形物の表面に、光沢を付与したり、着色するための塗装を施すことで、造形物に、モデルとなる現実の物体に、より近い質感や外観を付与することが可能となる。しかしながら、作成した三次元造形物の表面に、前述の凹凸がある場合、また造形物を形成する材料に対して、着色用塗料の濡れ性が悪い場合には、塗料が弾かれて均一に塗布することができない、造形物の表面と塗料との間の密着性が低く、塗布した塗料が剥がれやすくなる等の課題があった。なお、従来技術では、ベースとなる造形物の作成自体は、デジタル制御された押
し出し技術、およびインクジェット法等により実施するものの、表面に形成された凹凸の除去、造形物と塗料との密着性改善を目的としたプライマー剤の塗布等は、すべて手作業で行われていた。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、樹脂材料を利用した積層造形法によって製造される造形物の精度および強度を向上でき、また塗料の密着性や塗装の強度を向上できる造形物の製造方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る造形物の製造方法の一態様は、
材料または工程の一部に樹脂材料を利用し、造形物をN個の層に分離した単位層を第1層から第N層まで順番に形成しながら積み重ねることによって造形物を製造する方法であって、
1つまたは複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、
前記1つまたは複数の単位層の表面を研磨し、
研磨された前記1つまたは複数の単位層の表面に放電処理することを特徴とする。
適用例1の造形物の製造方法によれば、1つまたは複数の単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、放電処理によって表面の性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
[適用例2]
適用例1の造形物の製造方法において、
前記1つまたは複数の単位層の表面が、前記1つまたは複数の単位層の上面および/または前記1つまたは複数の単位層の側面であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の造形物の製造方法において、
複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記複数の単位層の側面を研磨し、研磨された前記複数の単位層の側面に放電処理することができる。
適用例3の造形物の製造方法によれば、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨および放電処理することにより、効率良く造形物を製造することができる。また、1つの単位層毎に側面を研磨および放電処理する場合よりも、側面の平滑性が良好となる。これにより、塗料の密着性や塗装の強度もより向上し、造形物の美観もより良好となる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の造形物の製造方法において、
1つの単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記1つの単位層の上面を研磨し、研磨された前記1つの単位層の上面に放電処理することができる。
適用例4の造形物の製造方法によれば、1つの単位層毎に上面を研磨および放電処理することにより、積層界面の強度が向上する。すなわち、研磨によって単位層の上面が平滑となった後、放電処理によって単位層の上面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、表面の重合結合の切断後、次の単位層を付与することで、単位層界面の反応性が高まり、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、放電処理によって単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の造形物の製造方法において、
パウダー状の基材をステージ上に供給した後、前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
前記液体材料を塗布した後、該液体材料を硬化させる前に放電処理することができる。
適用例5の造形物の製造方法によれば、放電処理によって発生したラジカルにより液体材料表面に薄い固化膜が形成されるので、液体材料のピニング効果が期待できる。また、液体材料を硬化させた後に形成される基材の層が均一となりやすい。さらに、前記液体材料が放射線によって硬化する材料である場合には、液体材料表面において酸素による重合阻害を低減することができるため、液体材料表面における反応性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の造形物の製造方法において、
パウダー状の基材を含有するペースト層を形成した後、前記ペースト層上に前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
前記ペースト層を形成した後、前記液体材料を塗布する前に放電処理することができる。
適用例6の造形物の製造方法によれば、ペースト層と液体材料とのぬれ性および浸透性を制御することができる。また、パウダー状の基材と硬化後の液体材料との界面を整えることができる。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の造形物の製造方法において、
パウダー状の基材を含有するペースト層を形成した後、前記ペースト層上に前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
前記ペースト層上に前記液体材料を塗布した後、前記液体材料を硬化させる前に放電処理することができる。
適用例7の造形物の製造方法によれば、放電処理によって発生したラジカルにより液体材料表面に薄い固化膜が形成されるので、液体材料のピニング効果が期待できる。また、液体材料を硬化させた後に形成されるペースト層が均一となりやすい。さらに、前記液体材料が放射線によって硬化する材料である場合には、液体材料表面において酸素による重合阻害を低減することができるため、液体材料表面における反応性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の造形物の製造方法において、
インクジェット方式で前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、前記液体材料にエネルギーを付与して硬化させることによって単位層を形成し、
前記液体材料を塗布した後、前記液体材料を硬化させる前に放電処理することができる。
適用例8の造形物の製造方法によれば、放電処理によって発生したラジカルにより液体材料表面に薄い固化膜が形成されるので、液体材料のピニング効果が期待できる。また、液体材料を硬化させた後に形成されるインク層が均一となりやすい。さらに、前記液体材料が放射線によって硬化する材料である場合には、酸素阻害を低減することができるため、反応性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例の造形物の製造方法において、
前記放電処理が、大気圧プラズマまたはコロナ放電であることができる。
適用例9の造形物の製造方法によれば、プラズマ照射手段に減圧機構を設けることが不要となって装置の小型化が図れることから、プラズマ照射工程をインラインで行うことができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の造形物の製造方法において、
前記放電処理が不活性ガスを含む雰囲気下で行われることができる。
適用例10の造形物の製造方法によれば、用いるガスを放電効率の高いHe、Arを主体とした場合、放電処理の安定化および低温化を図ることができる。その結果、樹脂材料や硬化された単位層への熱ダメージを低減することができる。また、用いるガスをN主体とした場合は、放電処理により表面の重合結合が物理的に切断されやすくなるため、積層される樹脂材料の反応性を高めることができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の造形物の製造方法において、
前記放電処理が酸素を含む雰囲気下で行われることができる。
適用例11の造形物の製造方法によれば、単位層の積層界面を適度に荒らすことによる毛管現象や、積層界面にヒドロキシ基を付与することができるため、単位層の積層界面のぬれ広がりを拡大でき、これを制御することで加工精度も向上する。
[適用例12]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の造形物の製造方法において、
前記放電処理がフッ素を含む雰囲気下で行われることができる。
適用例12の造形物の製造方法によれば、撥液性を付与することができるため、単位層の積層界面のぬれ広がりを縮小でき、これを制御することで加工精度も向上する。
本実施の形態に係る造形物の製造方法の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図。 プラズマ照射機構におけるプラズマ発生部の断面を模式的に示す図。 第1の実施形態においてプラズマ照射機構が単位層にプラズマを照射している様子を模式的に示す平面図。 第1の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャート。 第1の実施形態における材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第1の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図。 第1の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図。 第1の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図。 第1の実施形態における次層の材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第2の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図。 第2の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャート。 第2の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明図。 第2の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第2の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図。 第2の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図。 第2の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図。 第3の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図。 第3の実施形態において使用する三次元造形装置の塗布機構およびエネルギー照射機構を模式的に示す平面図。 第3の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャート。 第3の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明図。 第3の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第3の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図。 第3の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図。 第3の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図。 第4の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図。 第4の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャート。 第4の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明図。 第4の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第4の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図。 第4の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図。 第4の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図。 第5の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図。 第5の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャート。 第5の実施形態における材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図。 第5の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図。 第5の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図。 第5の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本明細書において、方向を以下のように定義する。すなわち、互いに直交する3つの空間軸をX軸、Y軸、Z軸とする。鉛直方向はZ軸方向に沿った方向(Z方向)とし、鉛直下向きの方向を−Z方向、鉛直上向きの方向を+Z方向とする。Z軸に垂直な面を、XY平面とする。
1.造形物の製造方法
本実施の形態に係る造形物の製造方法は、材料または工程の一部に樹脂材料を利用し、造形物をN個の層に分離した単位層を第1層から第N層まで順番に形成しながら積み重ねることによって造形物を製造する方法であって、1つまたは複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記1つまたは複数の単位層の表面を研磨し、研磨された前記1つまたは複数の単位層の表面に放電処理することを特徴とする。
まず、三次元の物体を造形するための基本となる工程について説明する。図1は、本実施の形態に係る造形物の製造方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態に係る造形物の製造方法では、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。
三次元データ準備工程(S101)においては、造形工程(S103)において造形の対象となる造形物の三次元CADデータを準備する。
スライスデータ作成工程(S102)においては、準備された三次元CADデータに基づいて、N層分のスライスデータを作成する。スライスデータとは、造形物をXY平面に平行なN−1個の面でスライスしたデータである。
造形工程(S103)は、造形物を構成する(少なくとも樹脂材料を含む)材料を供給するステップと、当該材料を硬化させるステップと、を含む。つまり、造形工程(S103)では、三次元CADデータから作成されたスライスデータに基づいて、材料の供給と硬化を行って第1層を形成した後、第1層の上に、材料の供給と硬化を行って第2層を形成する。この工程を第N層まで繰り返すことによって造形物が完成する。
なお、本発明においては、このような第1〜第N層の各層のことを「単位層」という。また、本発明における「表面」とは、上面および側面のことをいう。
本実施の形態に係る造形物の製造方法では、造形工程(S103)の、1つまたは複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記1つまたは複数の単位層の表面を研磨し、研磨された前記1つまたは複数の単位層の表面に放電処理することを特徴とする。1つまたは複数の単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、放電処理によって表面の性質を変えることで、樹脂材料と他の材料との親和性を高めたり、積層界面の状態を整えたり、樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。
以下、本発明に係る造形物の製造方法について、具体的な実施形態を示して詳細に説明する。
1.1.第1の実施形態
第1の実施形態では、熱溶融積層法を用いた造形物の製造方法について説明する。熱溶融積層法とは、溶融させた樹脂材料を層状に供給して硬化させる工程を繰り返すことによって造形物を製造する方法である。以下、第1の実施形態で使用する樹脂材料、三次元造形装置の構成、第1の実施形態に係る造形物の製造方法の順に説明する。
1.1.1.樹脂材料
使用する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリ乳酸、PC(ポリカーボネート)樹脂、PC/ABSアロイ、PPSF/PPSU樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、およびこれらを改質した樹脂等が挙げられる。
第1の実施形態において使用される樹脂材料は、どのような形状であってもよいが、樹脂材料の供給しやすさの観点から、ワイヤー状に加工されていることが好ましい。樹脂材料は、たとえばコイルのように巻かれた状態で提供される。
1.1.2.装置構成
図2は、第1の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図である。三次元造形装置100は、図2に示すように、三次元物体を造形するためのステージ10と、樹脂材料30を溶融させてステージ10上に射出するノズル20と、を有する。
ステージ10は、三次元物体を造形するための作業面である。ステージ10の上面は、XY平面に平行となっている。ステージ10は、Z軸に沿って高さを調整可能に構成されている。
ノズル20は、樹脂材料30を溶融させてステージ10上に射出するための開口部(図示せず)を有する。ノズル20は、開口部がステージ10に対して略垂直(+Z方向)となるように設けられる。また、ノズル20には、樹脂材料30を溶融させるための加熱機構(図示せず)が設けられている。この加熱機構によって樹脂材料30をガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱することで、樹脂材料30が溶融して所望の流動性を有する樹脂材料30が得られる。これにより、ノズル20から樹脂材料30を供給することが可能となる。
ノズル20は、XY平面に沿って移動する。ノズル20を移動させながら樹脂材料30を所定位置に供給することにより、スライスデータに基づいた所望の形状を有する単位層を形成することができる。本実施形態の三次元造形装置100では、ノズル20がXY平面に沿って移動するが、代わりに、ステージ10がXY平面に沿って移動するようにしても良い。
ステージ10は、−Z方向に移動する。ステージ10は、単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成する前に、−Z方向に単位層の厚さΔd(図10)だけ移動する。これにより、単位層を形成する過程において、ノズル20と造形途中の造形物80とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。本実施形態の三次元造形装置100では、ステージ10が−Z方向に移動するが、代わりに、ノズルが+Z方向に移動しても良い。
樹脂材料30は、図示しない供給機構によって、ノズル20へ供給される。供給機構は、上述したワイヤー状に加工された樹脂材料30をノズル20まで供給する機構である。供給機構は、樹脂材料30をノズル20まで供給できればどのようなものであってもよい
。例えば、樹脂材料30を回転する駆動ローラーと遊動ローラーで固定して、該駆動ローラーに回転力を印加することによって、樹脂材料30を押し出すような機構とすることができる。
三次元造形装置100は、スライスデータに基づいて各機構を制御する制御部40を備える。上述したノズル20、供給機構、及び後述するプラズマ照射機構70は、制御部40によって制御される。制御部40は、供給機構を駆動してノズル20まで樹脂材料30を供給させ、ノズル20をX方向およびY方向動かしながら、ノズル20で溶融させた樹脂材料30をステージ10上に射出させる。制御部40は、後述する所定のタイミングで、プラズマ照射機構70を駆動して、プラズマを照射させる。制御部40は、単位層が形成された後、次の単位層を形成する前に、ステージ10を−Z方向に単位層の厚さΔd(図10)だけ移動させる。こうした操作を繰り返して、単位層を積層していくことにより、三次元CADデータに対応する造形物を製造することが可能となる。
三次元造形装置100は、第1のグラインダー50と、第2のグラインダー60と、を備える。第1のグラインダー50は、単位層の上面を研磨するためのものである。第2のグラインダーは、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するためのものである。本実施形態において、グラインダー50およびグラインダー60は、三次元造形装置100に組み込まれているが、三次元造形装置100から独立したグラインダーを準備しても良い。また、このような独立したグラインダーを、制御部40と接続して、制御部40によって駆動するようにしてもよい。
さらに、三次元造形装置100は、プラズマ照射機構70を備える。プラズマ照射機構70は、単位層の表面にプラズマの照射を行う機構である。プラズマ照射機構70は、例えば、プラズマを発生させる機構を備えたプラズマ発生部71(図3)と、該プラズマ発生部に供給するガスを貯留するガス貯留部(図示せず)と、を備える。本実施形態において、プラズマ照射機構70は、三次元造形装置100に組み込まれているが、三次元造形装置100から独立したプラズマ照射機構を準備しても良い。また、このような独立したプラズマ照射機構を、制御部40と接続して、制御部40によって駆動するようにしてもよい。
図3は、プラズマ照射機構70におけるプラズマ発生部71の断面(ZX平面に沿った断面)を模式的に示す図である。
図3に示すように、プラズマ発生部71は、ガス供給室72を備える。ガス供給室72の一方の端部は、ガス供給口77となっている。ガス供給口77は、図示しないガス供給管によって、図示しないガス貯留部と接続される。ガス供給室72の他方の端部には、プラズマ照射ノズル75が形成される。プラズマ照射ノズル75は、ステージ10と対向するように設けられている(図9参照)。ガス供給室72には、ガス供給口77からプラズマ照射ノズル75に向かってガスが送り込まれる。すなわち、ガス供給室72内には、上流のガス供給口77から、下流のプラズマ照射ノズル75へ向かうガス流が発生する。
ガス供給室72の他方の端部側(プラズマ照射ノズル75に近い位置)には、電極対73が設けられている。電極対73は、−X軸方向側に設けられた第1の電極73aと、+X軸方向側に設けられた第2の電極73bと、によって構成されている。電極73aおよび電極73bは、電源74に接続されている。
電源74によって電極73aおよび電極73bに電圧が印加されると、電極73aと電極73bとの間(放電部分D)に放電が生じる。この状態で、ガス供給室72にガスを供給して、電極73aおよび電極73bとの間にガスを通過させることで、ガスのプラズマ
が生じる。すなわち、ガスの少なくとも一部がプラズマ化する。このようにして発生したプラズマは、プラズマ照射ノズル75から単位層の表面に向かって照射される。放電部分Dは、単位層の表面に接触しない。このような、放電部分Dがプラズマを照射する対象物に接触しないようにプラズマが照射される方式は、リモートジェット方式と呼ばれる。一方、放電部分Dがプラズマを照射する対象物に接触する方式は、ダイレクト方式と呼ばれる。本実施形態及び以下に説明するすべての実施形態の造形装置は、いずれもリモートジェット方式のプラズマ照射機構を備えているが、代わりに、ダイレクト方式のプラズマ照射機構を備えても良い。
プラズマ照射ノズル25と形成された単位層との距離は、発生したプラズマを単位層に照射できる範囲にあれば特に限定されないが、例えば0.5mm以上10mm以下とすることができる。
プラズマを発生させる際の電力量としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、100Wh以上200Wh以下とすることができる。
プラズマを発生させる際の電源74の周波数としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば50kHz以上、2.45GHz以下である。
ガス供給室72に供給するガスは、プラズマ処理の目的、すなわち、プラズマの照射によってどのように、あるいはどの程度、表面を改質したいか、に応じて選択される。1種類のガスからなる単一ガスでもよいし、2種以上のガスを混合して得られる混合ガスでもよい。このようなガスの材料としては、例えば、酸素(O)、空気(少なくとも窒素(N)および酸素(O)を含む)、水蒸気(HO)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、フッ素原子(F)を含むガスや、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、窒素(N)等の不活性ガス等が挙げられる。
不活性ガスを利用して、不活性ガスを含む雰囲気下でプラズマ処理を実施すると、プラズマの供給を安定化させたり、プラズマを低温で発生させたりすることが可能となる。その結果、樹脂材料30への熱ダメージを低減することができる。
酸素を利用して、酸素を含む雰囲気下でプラズマ処理を実施すると、単位層の表面にヒドロキシ基を付与することができる。よって、単位層の表面のぬれ広がりを拡大でき、これを制御することで造形物80の加工精度を高めることができる。
フッ素を利用して、フッ素を含む雰囲気下でプラズマ処理を字視すると、単位層の表面に撥液性を付与することができる。よって、単位層の表面のぬれ広がりを縮小でき、これを制御することで造形物80の加工精度を高めることができる。
ガス供給室72に供給されるガスの流量は、ガス供給室72の容量、ガスの種類、樹脂材料30の種類、造形速度等に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。
さらに、図3のプラズマ照射機構70は、プラズマ照射ノズル75付近の余剰ガスを吸引して、プラズマ照射ノズル75から離れた位置で余剰ガスを排出する排気管76を備えている。図3の例では、排気管76は、ガス供給室72の−X軸方向側に、ガス供給室72に沿って設けられた第1の排気管76aと、ガス供給室72の+X軸方向に、ガス供給室72に沿って設けられた第2の排気管76bと、を備えている。排気管76の一方の端
部には、吸気口78が設けられており、他方の端部には排気口79が設けられている。吸気口78は、プラズマ照射ノズル75の近傍に設けられ、排気口79は、プラズマ照射ノズル75から離れた位置に設けられる。排気管76によって、余剰ガスを吸引、排出しながらプラズマ照射を行うことで、プラズマ照射ノズル75から放射されるプラズマ照射範囲を適正化し、所望の範囲を局地的に処理することが可能となる。排気管76の設置位置は、余剰ガスの吸引と排出を適切に実施できるような位置であればよく、図3に記載された位置に限定されるものではない。
図4は、造形物80を造形している途中に、プラズマ照射機構70が単位層の表面にプラズマを照射する様子を模式的に示す平面図である。プラズマ照射機構70は、板状電極73a、73bの間に、Y軸方向に延びるライン状のプラズマ照射部75を有する。プラズマ照射部75のY軸方向の長さは、ステージ10上で造形される造形物50のY軸方向の全域をカバーできるような長さになっている。また、プラズマ照射機構70は、プラズマ照射部75が造形物50のX軸方向の全域をカバーできるように、X軸方向に走査される。図4の例では、プラズマ照射機構70は、Y軸方向に延びたプラズマ照射部75を備え、X軸方向に走査される。このようなプラズマ照射機構70の代わりに、X軸方向に延びたプラズマ発生部を備え、Y軸方向に走査されるプラズマ照射機構を利用しても良い。また、図4のプラズマ照射機構70は、1列のプラズマ照射機構70を備えているが、プラズマ照射量を増加させるという観点から、複数列のプラズマ照射機構を備えてもよい。また、プラズマ照射機構としては、図4に示したようなライン状のプラズマ照射部75を備え、一方向に走査されるライン型の照射機構と、スポット状のプラズマ照射部を備え、X軸方向とY軸方向の二方向に走査されるシリアル型の照射機構と、の2種類が存在する。本実施形態及び以下に説明するすべての実施形態の造形装置は、いずれもライン型のプラズマ照射機構を備えているが、代わりに、シリアル型のプラズマ照射機構を備えても良い。
本実施形態の三次元造形装置100において、プラズマ照射機構70は、大気圧下でプラズマを発生させて照射する、いわゆる大気圧プラズマ照射機構である。以下に説明するすべての実施形態の造形装置においても同様である。本実施形態及び以下に説明するすべての実施形態の製造装置において、大気圧プラズマ照射機構に変えて、減圧下や真空下でプラズマを発生させて照射する、いわゆる減圧プラズマ照射機構や、真空プラズマ照射機構を採用しても良い。減圧プラズマ処理は減圧雰囲気下で、真空プラズマ処理は真空雰囲気下で行われる。よって、減圧または真空プラズマ照射機構を採用する場合は、プラズマの照射を行う際に、少なくとも造形途中の造形物80を収容するためのチャンバーと、このチャンバー内を減圧する減圧装置と、を別途設ける必要がある。よって、減圧プラズマ照射機構や、真空プラズマ照射機構を採用した場合は、造形装置が大型化し易い。一方、大気圧プラズマ照射機構を採用すれば、チャンバーや減圧装置を設けることが不要であり、装置の小型化が図れるという利点がある。また、材料の供給、単位層の形成、プラズマの照射といった、造形物を製造するための一連の工程を、1台の製造装置でまとめて実施できるという利点がある。
1.1.3.造形物の製造方法
図5は、第1の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャートである。図6は、第1の実施形態における材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図である。図7は、第1の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図である。図8は、第1の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図である。図9は、第1の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図である。図10は、第1の実施形態における次層の材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図である。
第1の実施形態に係る造形物の製造方法は、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。三次元データ準備工程(S101)およびスライスデータ作成工程(S102)は、上述した通りなので説明を省略する。
造形工程(S103)は、例えば図5に示すように、材料供給ステップ(S111)と、単位層形成ステップ(S112)と、側面処理の要否を判断するステップ(S113)と、上面および側面の研磨ステップ(S114)と、上面および側面のプラズマ照射ステップ(S115)と、上面の研磨ステップ(S116)と、上面のプラズマ照射ステップ(S117)と、次層の有無を判断するステップ(S118)と、移動ステップ(S119)と、を有している。これらのステップを繰り返し実施することによって、造形物を完成させることができる。ステップを繰り返す回数は、スライスデータの数に対応する。
材料供給ステップ(S111)においては、溶融された樹脂材料30を、ステージ10に供給する。より詳細に説明すると、まず、図6に示すように、供給機構を駆動させてワイヤー状の樹脂材料30をノズル20の上端に供給する。次に、ノズル20の内部に設けられた加熱機構により、樹脂材料30をガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱して溶融する。この溶融された樹脂材料30を、ノズル20の下端にある開口部からステージ10の上面に向かって供給する。ここで「供給」とは、歯磨き粉をチューブから出して歯ブラシの上に置くように、溶融された樹脂材料30をゆっくりとステージ10の上面に置いていくことをいう。
単位層形成ステップ(S112)においては、溶融された樹脂材料30によって、単位層を形成する。より詳細に説明すると、図6に示すように、第1の移送機構を駆動させて、ノズル20またはステージ10をXY方向に動かしながら、溶融された樹脂材料30で一筆書きをするような要領で単位層を形成していく。この際、ノズル20は、スライスデータに対応した所望の形状となるように溶融された樹脂材料30を供給していく。樹脂材料30は、熱可塑性樹脂であるため、ガラス転移温度以下の温度になると自然に固化するが、冷却することによって固化する速度を速めてもよい。このようにすることで、単位層が形成される。なお、図6に示すように、このときのZ軸方向におけるステージ10の上面からノズル20の開口部までの距離をd1とする。
側面処理の要否を判断するステップ(S113)においては、1つまたは複数の単位層の側面を研磨する必要があるか否かを判断する。通常は、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨する。このようにすることで、効率良く造形物を製造することができ、また、1つの単位層毎に側面を研磨する場合よりも側面の平滑性が良好となる。なお、これに限らず、単位層毎に側面を研磨してもよいことは言うまでもない。
側面処理の要否を判断するステップ(S113)では、たとえば、目的とする造形物の形状が格子状のように複雑な形状である場合には、段差が生じる単位層を積層する前に、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するように判断される。また、逆テーパー状のような形状である場合には、5〜10層が積層された後に、側面を研磨するように判断される。
一方、単位層の上面については、1つの単位層毎に研磨することが好ましい。このようにすることで、単位層の上面が平滑となった後に、次の単位層が形成されるので、積層界面間の強度が向上すると共に、加工精度も向上する。
側面処理の要否を判断するステップ(S113)において、単位層の側面を研磨する必
要があると判断した場合は、図7および図8に示すように、上面および側面の研磨ステップ(S114)を行う。
一方、側面処理の要否を判断するステップ(S113)において、単位層の側面を研磨する必要がないと判断した場合は、図7に示すように、上面の研磨ステップ(S116)を行う。
図7に示したように、本実施形態では、上面の研磨には、第1のグラインダー50を使用している。第1のグラインダー50による研磨方法としては、たとえば(1)先細形状のドリルで複数回走査する方法、(2)底面が円形状で、半径が大きい回転子で複数回走査する方法、(3)ロータリー状の歯を持つ幅広ローターで一回走査する方法等が挙げられるが、これらに限定されず、表面研磨に用いられる任意の方法を採用することができる。
また、図8に示したように、側面の研磨には、第2のグラインダー60を使用している。第2のグラインダー60による研磨方法としては、(1)先細形状のドリルで角度を変えながら走査する方法、(2)先細形状のドリルをロボットに持たせて走査する方法等が挙げられるが、これらに限定されず、表面研磨に用いられる任意の手段を採用することができる。
図7および図8に示したように、本実施形態では、上面の研磨と側面の研磨に、異なるグラインダーを使用しているが、上面および側面の両方を研磨できる機能を備えた1つのグラインダーを利用してもよい。
上面および側面の研磨ステップ(S114)において、上面と側面の研磨は同時に実施してもよいし、上面の研磨を終えた後に側面の研磨を実施してもよいし、側面の研磨を終えた後に上面の研磨を実施してもよい。
プラズマ照射ステップ(S115,117)においては、図9に示すように、プラズマ照射機構70を用いて、研磨した領域に対してプラズマを照射する。上面と側面の研磨ステップ(S114)の後のプラズマ照射ステップ(S115)においては、研磨した上面と側面に対してプラズマの照射を行う。また、上面の研磨ステップ(S116)の後のプラズマ照射ステップ(S117)においては、研磨した上面に対してプラズマの照射を行う。プラズマ照射機構70によって、単位層の表面にプラズマ処理を施すことによって、単位層の表面の状態や性質を変化させることができる。たとえば、プラズマ処理によって、単位層の表面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、単位層の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された単位層上に、次の単位層を構成する樹脂材料を付与することで、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、目的に応じたガス種を選択し、放電処理を行うことで、単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。上面と側面の両方にプラズマを照射する場合、これらを同時に実施してもよいし、上面のプラズマ照射を終えた後に側面のプラズマ照射を実施してもよいし、側面のプラズマ照射を終えた後に上面のプラズマ照射を実施してもよい。なお、上面のプラズマ照射と側面のプラズマ照射を順番に実施する場合には、上面用のプラズマ照射機構と、側面用のプラズマ照射機構と、を別々に設けてもよい。
なお、放電処理の一例としてプラズマ処理(プラズマの照射)について説明したが、プラズマ照射機構に代えてコロナ放電機構としてもよい。すなわち、放電処理は、プラズマ処理(プラズマの照射)に限られず、コロナ放電処理であっても良い。コロナ放電機構としては、特開2010−241999号公報、特開2005−235448号公報、特開
2003−300029号公報に開示されているコロナ放電機構を使用することができる。具体的には、上述のリモートジェット方式と同様の機構を有しており、たとえばガス流路の中央部と外周辺部とに内外一対の放電電極が配置され、該ガス流路にガスを導入するとともに、一対の放電電極に高電圧を印加することによりコロナ放電を生成し、そのコロナ放電により生成されるガス流を吹き付ける方式等が挙げられる。以下に説明するすべての実施形態においても同様である。
次層の有無を判断するステップ(S118)においては、単位層の形成が終了した時点で、次の単位層を形成する必要があるか否かを判断する。次の単位層を形成する必要がない場合には、三次元の造形物が完成する。
次の単位層を形成する必要がある場合には、次の移動ステップ(S119)を実行する。移動ステップ(S119)においては、図10に示すように、ステージ10を単位層の厚さの分(Δd)だけ−Z方向に移動させる。ステージ10を−Z方向に移動させる代わりに、ノズル20を単位層の厚さの分(Δd)だけ+Z方向に移動させるようにしても良い。移動ステップ(S119)を実行することにより、Z軸方向におけるステージ10の上面からノズル20の開口部までの距離d2がd1+Δdとなる。これにより、単位層を形成する過程において、ノズル20と造形途中の造形物80とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
また、移動ステップ(S119)において、ノズル20が単位層の厚さの分(Δd)だけ+Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構70についても単位層の厚さの分(Δd)だけ+Z方向に移動させる。一方、ステージ10が単位層の厚さの分(Δd)だけ−Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構70はZ軸方向には移動させない。このようにすることで、単位層を形成する過程において、プラズマ照射機構70と造形途中の造形物80とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の三次元造形装置100は、グラインダー50及び60と、プラズマ照射機構70とを備えている。また、本実施形態の造形方法は、研磨ステップ(S114,S116)と、その後に実施されるプラズマ照射ステップ(S115,S117)と、を含んでいる。研磨ステップ(S114,S116)において、単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、プラズマ照射ステップ(S115,S117)における放電処理によって表面の状態や性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
1.2.第2実施形態
第2の実施形態では、パウダー硬化積層法を用いた造形物の製造方法について説明する。パウダー硬化積層法とは、パウダー状の樹脂を層状に供給して部分的に硬化させる工程を繰り返すことによって造形物を製造する方法である。以下、第2の実施形態で使用する樹脂材料、三次元造形装置の構成、第2の実施形態に係る造形物の製造方法の順に説明する。
1.2.1.樹脂材料
使用する樹脂材料としては、公知の材料を用いることができる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィン系樹脂、アクリル樹脂、結晶性透明樹脂等が挙げられる。
第2の実施形態において使用される樹脂材料は、パウダー状であればよい。樹脂材料の体積平均粒子径は、粒子に流動性を持たせる観点から、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜120μm、特に好ましくは10〜100μmである。体積平均粒子径は、日機装株式会社製の型式「マイクロトラックMT3300」を用いて測定することができる。
1.2.2.装置構成
図11は、第2の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図である。三次元造形装置200は、図11に示すように、三次元物体を造形するための加工部110と、材料となるパウダー状の樹脂材料(以下、「樹脂パウダー」ともいう。)を供給するための供給部120と、を有する。
加工部110は、図11に示すように、柱状の第1のスペース112と、ステージ113と、を備える。第1のスペース112を幾何学的な柱として捉えた場合、この柱は、XY平面に沿った上面および底面と、Z軸方向に沿った側面と、を有する。第1のスペース112は、+Z方向の端部に、XY平面に平行な開口部111を有する。ステージ113は、三次元物体を造形するための作業面である。ステージ113は、第1のスペース112の−Z方向側に設けられる。ステージ113の上面は、XY平面に平行である。ステージ113は、第1のスペース112内を−Z方向に移動可能に構成されている。
供給部120は、柱状の第2のスペース122と、ピストン123と、を備える。第2のスペース122を幾何学的な柱として捉えた場合、この柱は、XY平面に沿った上面および底面と、Z軸方向に沿った側面と、を有する。第2のスペース122は、+Z方向の端部に、XY平面に平行な開口部121を有する。ピストン123は、第2のスペース122の−Z方向側に設けられる。ピストン123の上面は、XY平面に平行である。ピストン123は、第2のスペース122内を+Z方向に移動可能に構成されている。材料となる樹脂材料パウダーは、開口部121とピストン123の上面との間に収容される。ピストン123は、所定のタイミングで、樹脂パウダーを+Z方向に押し上げる。押し上げられた樹脂パウダーは、第2のスペース122からわずかに+Z方向に露出する。
三次元造形装置200は、加工部110の第1のスペース112の開口部111と供給部120の第2のスペース122の開口部121とを接続する接続面130と、樹脂パウダーを供給部120から加工部110へ供給するための供給機構140と、を有する。
接続面130は、加工部110の開口部111と供給部120の開口部121とを接続する面である。接続面130は、XY平面に平行に設けられている。接続面130は、材料となる樹脂パウダーを、供給部120から加工部110へ移送するための供給路として機能する。
供給機構140は、樹脂パウダーを供給部120から加工部110へ送り込む機構である。供給機構140は、通常、平面視における供給部120から見て接続面130とは反対面131上に設置されている。面131は、XY平面に平行に設けられている。本実施形態において、供給機構140は、Y方向に沿った円柱形状を有するローラーである。ローラーは、接続面130と接触しつつ回転しながら、XY平面に平行に移動する。ローラーが供給部120側から加工部110側へ移動することによって、供給部120の第2のスペース122から+Z軸方向に露出した樹脂パウダーが、加工部110の第1のスペース112に送り込まれる。ローラーは、樹脂パウダーを加工部110の第1のスペース112に送り込んだ後、元の位置に戻る。供給機構140は、樹脂パウダーを供給部120から加工部110へ送り込む機能が備わっていればよいため、たとえばスキージーのよう
に回転を伴わないものに置き換えてもよい。
三次元造形装置200は、加工部110に送り込まれた樹脂パウダーに選択的にエネルギーを照射するエネルギー照射機構150を有する。
エネルギー照射機構150は、光または熱などのエネルギーを発生させるエネルギー源151と、エネルギー源151から供給されたエネルギーを加工部110の開口部111に向けて照射するミラー152と、を有する。エネルギー源151は、たとえばレーザー、紫外線光源、ヒーターなどによって構成される。ミラー152は、エネルギーの照射角度を調節する機構が設けられており、エネルギーを±X方向と±Y方向に走査する。ミラー152は、スライスデータに基づいた所望の形状となるようにエネルギーの照射角度が調節されて、樹脂パウダーを部分的に硬化させる。硬化の手段としては、たとえば樹脂パウダーの重合反応を利用する方法や、樹脂パウダーを溶融させた後、冷却して硬化させる方法などが挙げられる。
ミラー152は、一方向に走査するラインヘッドや二方向に走査するシリアルヘッドに置き換えてもよい。ラインヘッドやシリアルヘッドは、XY平面に沿って移動する。ラインヘッドやシリアルヘッドは、加工部110の開口部111に供給された樹脂パウダーに移動しながらエネルギーを照射する。樹脂パウダーに十分なエネルギーを付与できるのであれば、面照射タイプのエネルギー照射手段を使用してもよい。
三次元造形装置200は、スライスデータに基づいて各機構を制御する制御部160を有する。上述した加工部110、供給部120、供給機構140、及び後述する第1のグラインダー170、第2のグラインダー180、およびプラズマ照射機構190は、制御部160によって制御される。制御部160は、供給部120のピストン123を所定のタイミングで押し上げて、樹脂パウダーを+Z方向にわずかに露出させる。また、制御部160は、供給機構140を駆動して、樹脂パウダーを加工部110の第1のスペース112に送り込ませる。また、制御部160は、スライスデータに基づいた所望の形状となるように、エネルギー源150から供給されたエネルギーを加工部110の開口部111に向けて照射させる。制御部160は、後述する所定のタイミングで、第1のグラインダー170および第2のグラインダー180を駆動して、単位層の上面や側面を研磨させる。制御部160は、後述する所定のステップで、プラズマ照射機構190を駆動して、プラズマを照射させる。制御部160は、単位層が形成された後、次の単位層を形成する前に、加工部110のステージ113を−Z軸方向に単位層の厚さの分だけ移動させる。こうした操作を繰り返して、単位層を積層していくことにより、三次元CADデータに対応する造形物を製造することが可能となる。
さらに、三次元造形装置200は、第1のグラインダー170、第2のグラインダー180、およびプラズマ照射機構190を備える。第1のグラインダー170は、単位層の上面を研磨するためのものである。第2のグラインダー180は、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するためのものである。プラズマ照射機構190は、XY平面に沿って移動しながら単位層の積層界面にプラズマ照射する機構である。第1のグラインダー170、第2のグラインダー180、およびプラズマ照射機構190の構造等については、それぞれ、変形例も含め、第1の実施形態で説明した第1のグラインダー50、第2のグラインダー60、およびプラズマ照射機構70と同様であるため、説明を省略する。本実施形態において、第1のグラインダー170、第2のグラインダー180、およびプラズマ照射機構190は三次元造形装置200に組み込まれているが、三次元造形装置200から独立したグラインダーやプラズマ照射機構を、制御部160と接続して、制御部160によって駆動するようにしてもよい。
1.2.3.造形物の製造方法
図12は、第2の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャートである。図13は、第2の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明図である。図14は、第2の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図である。図15は、第2の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図である。図16は、第2の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図である。図17は、第2の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図である。
第2の実施形態に係る造形物の製造方法は、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。三次元データ準備工程(S101)およびスライスデータ作成工程(S102)は、上述した通りなので説明を省略する。
造形工程(S103)は、例えば図12に示すように、材料供給ステップ(S121)と、単位層形成ステップ(S122)と、側面処理の要否を判断するステップ(S123)と、上面および側面の研磨ステップ(S124)と、上面および側面のプラズマ照射ステップ(S125)と、上面の研磨ステップ(S126)と、上面のプラズマ照射ステップ(S127)と、次層の有無を判断するステップ(S128)と、移動ステップ(S129)と、を有している。これらのステップを繰り返し実施することによって、造形物を完成させることができる。ステップを繰り返す回数は、スライスデータの数に対応する。
材料供給ステップ(S121)においては、樹脂材料(樹脂パウダー192)をステージ113に供給する。まず、図13に示すように、供給部120のピストン123を+Z方向に上昇させる。すると、開口部121から樹脂パウダー192が露出する。この開口部121から露出した樹脂パウダー192を、供給機構140を駆動させて押し出すようにして加工部110へ移送する。第1層目を形成するとき、加工部110のステージ113は、接続面130よりもわずかに−Z方向側の位置にある。よって、加工部110のステージ113上に、樹脂パウダーが所定の厚さで堆積する。
単位層形成ステップ(S122)においては、樹脂材料(樹脂パウダー192)にエネルギーを照射することによって、単位層を形成する。具体的には、図14に示すように、ミラー152によってエネルギーの照射角度を調節しながら、ステージ113上に堆積した樹脂パウダー192の層に向かって選択的にエネルギーを照射する。このようにして、樹脂パウダー192の一部が硬化することにより、単位層が形成される。
側面処理の要否を判断するステップ(S123)においては、1つまたは複数の単位層の側面を研磨する必要があるか否かを判断する。通常は、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨する。このようにすることで、効率良く造形物を製造することができ、また、1つの単位層毎に側面を研磨する場合よりも側面の平滑性が良好となる。なお、これに限らず、単位層毎に側面を研磨してもよいことは言うまでもない。
側面処理の要否を判断するステップ(S123)では、たとえば、目的とする造形物の形状が格子状のように複雑な形状である場合には、段差が生じる単位層を積層する前に、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するように判断される。また、逆テーパー状のような形状である場合には、5〜10層が積層された後に、側面を研磨するように判断される。
一方、単位層の上面については、1つの単位層毎に研磨することが好ましい。このようにすることで、単位層の上面が平滑となった後に、次の単位層が形成されるので、積層界
面間の強度が向上すると共に、加工精度も向上する。
側面処理の要否を判断するステップ(S123)において、単位層の側面を研磨する必要があると判断した場合は、図15および図16に示すように、上面および側面の研磨ステップ(S124)を行う。
一方、側面処理の要否を判断するステップ(S123)において、単位層の側面を研磨する必要がないと判断した場合は、図15に示すように、上面の研磨ステップ(S126)を行う。
図15および図16に示したように、本実施形態では、上面の研磨には第1のグラインダー170を、側面の研磨には第2のグラインダー180を使用している。第1のグラインダー170および第2のグラインダー180による研磨方法の具体例や、これらの機能については、上述の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。第2のグラインダー180は、樹脂パウダー192を少し潜るようにして造形物の側面を研磨する。この際、第2のグラインダー180によって造形物の周辺にある材料の層に凹凸が発生し、層が乱れる可能性があるが、次の材料が供給されると、その乱れは解消する。上面および側面の研磨ステップ(S124)において、造形物の上面と側面の研磨は同時に実施してもよいし、上面の研磨を終えた後に側面の研磨を実施してもよいし、側面の研磨を終えた後に上面の研磨を実施してもよい。
プラズマ照射ステップ(S125,S127)においては、図17に示すように、プラズマ照射機構190を用いて、研磨した領域に対してプラズマ照射する。上面と側面の研磨ステップ(S124)の後のプラズマ照射ステップ(S125)においては、研磨した上面と側面に対してプラズマの照射を行う。また、上面の研磨ステップ(S126)の後のプラズマ照射ステップ(S127)においては、研磨した上面に対してプラズマの照射を行う。プラズマ照射機構190によって、単位層の表面にプラズマ処理を施すことによって、単位層の表面の状態や性質を変化させることができる。たとえば、プラズマ処理によって、単位層の表面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、単位層の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された単位層上に、次の単位層を構成する樹脂材料を付与することで、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、目的に応じたガス種を選択し、放電処理を行うことで、単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。上面と側面の両方にプラズマを照射する場合、これらを同時に実施してもよいし、上面のプラズマ照射を終えた後に側面のプラズマ照射を実施してもよいし、側面のプラズマ照射を終えた後に上面のプラズマ照射を実施してもよい。なお、上面のプラズマ照射と側面のプラズマ照射を順番に実施する場合には、上面用のプラズマ照射機構と、側面用のプラズマ照射機構と、を別々に設けてもよい。
次層の有無を判断するステップ(S128)においては、単位層の形成が終了した時点で、次の単位層を形成する必要があるか否かを判断する。次の単位層を形成する必要がない場合には、三次元の造形物が完成する。
次の単位層を形成する必要がある場合には、次の移動ステップ(S129)を実行する。移動ステップ(S129)においては、ステージ113を単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動させる。ステージ113を−Z方向に移動させた後、次の材料供給ステップ(S121)を実行して樹脂パウダー192を供給すると、前回の材料供給ステップ(S121)によってステージ113上に堆積した樹脂パウダー層の上、および、前回の単位層形成ステップ(S122)によって形成された単位層の上に、樹脂パウダーが堆積する。この樹脂パウダーに対して、単位層形成ステップ(S122)を実行することで、次の単位
層が形成される。
第2の実施形態では、プラズマ照射機構190はZ軸方向には移動させない。このようにすることで、単位層を形成する過程において、プラズマ照射機構190と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の三次元造形装置200は、グラインダー170及び180と、プラズマ照射機構190とを備えている。また、本実施形態の造形方法は、研磨ステップ(S124,S126)と、その後に実施されるプラズマ照射ステップ(S125,S127)と、を含んでいる。研磨ステップ(S124,S126)において、単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、プラズマ照射ステップ(S125,S127)における放電処理によって表面の状態や性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
1.3.第3実施形態
第3の実施形態では、パウダー固着積層法を用いた造形物の製造方法について説明する。パウダー固着積層法とは、石膏、セラミック、澱粉、金属などのパウダー状の基材を層状に供給した後、これらの基材同士を結着させる液体材料(以下、「結着剤」ともいう。)を部分的に塗布し、該液体材料にエネルギーを付与して硬化させる工程を繰り返すことによって造形物を製造する方法である。液体材料は、樹脂材料である。以下、第3の実施形態で使用する原材料、三次元造形装置の構成、第3の実施形態に係る造形物の製造方法、変形例の順に説明する。
1.3.1.原材料
使用する基材としては、公知のものを用いることができ、たとえば石膏、セラミック、金属などのパウダーを用いることができる。基材となるパウダーの体積平均粒子径は、粒子に流動性を持たせる観点から、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜120μm、特に好ましくは10〜100μmである。体積平均粒子径は、日機装株式会社製の型式「マイクロトラックMT3300」を用いて測定することができる。
結着剤としては、パウダー状の基材を結着させることができる液状のものであれば特に制限されないが、紫外光によって重合が開始する硬化液が好適である。また、空気中の水分(あるいは酸素など)に触れると速やかに重合を開始する硬化液などの液体材料を使用することもできる。
1.3.2.装置構成
図18は、第3の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図である。図19は、第3の実施形態において使用する三次元造形装置の塗布機構およびエネルギー照射機構を模式的に示す平面図である。三次元造形装置300は、図18に示すように、三次元物体を造形するための加工部210と、材料となるパウダー状の基材(以下、単に「基材」ともいう。)を供給するための供給部220と、を有する。
加工部210は、図18に示すように、柱状の第1のスペース212と、ステージ213と、を備える。第1のスペース212を幾何学的な柱として捉えた場合、この柱は、XY平面に沿った上面および底面と、Z軸方向に沿った側面と、を有する。第1のスペース212は、+Z方向の端部に、XY平面に平行な開口部211を有する。ステージ213
は、三次元物体を造形するための作業面である。ステージ213は、第1のスペース212の−Z方向側に設けられる。ステージ213の上面は、XY平面に平行である。ステージ213は、第1のスペース212内を、−Z方向に移動可能に構成されている。
供給部220は、柱状の第2のスペース222と、ピストン223と、を備える。第2のスペース222を幾何学的な柱として捉えた場合、この柱は、XY平面に沿った上面および底面と、Z軸方向に沿った側面と、を有する。第2のスペース222は、+Z方向の端部に、XY平面に平行な開口部221を有する。ピストン223は、第2のスペース222の−Z軸方向側に設けられる。ピストン223の上面は、XY平面に平行である。ピストン223は、第2のスペース222内を、+Z方向に移動可能に構成されている。材料となる基材は、開口部221とピストン223の上面との間に収容される。ピストン223は、所定のタイミングで、基材を+Z方向に押し上げる。押し上げられた基材は、第2のスペース222からわずかに+Z方向に露出する。
三次元製造装置300は、加工部210の第1のスペース212の開口部211と供給部220の第2のスペース222の開口部221とを接続する接続面230と、基材を供給部220から加工部210へ供給するための供給機構240と、を有する。
接続面230は、加工部210の第1のスペース212の開口部211と供給部220の第2のスペース222の開口部221とを接続する面である。接続面230は、XY平面に平行に設けられている。接続面230は、材料となる基材を、供給部220から加工部210へ移送するための供給路として機能する。
供給機構240は、供給部220から加工部210へ基材を送り込む機構である。供給機構240は、通常、平面視における供給部220から見て接続面230とは反対面231上に設置されている。面231は、XY平面に平行に設けられている。本実施形態に置いて、供給機構240は、Y方向に沿った円柱形状を有するローラーである。ローラーは、接続面230と接触しつつ回転しながら、XY平面に平行に移動する。ローラーが供給部220側から加工部210側へ移動することによって、供給部220の第2のスペース222から+Z軸方向に露出した基材が、加工部210の第1のスペース212に送り込まれる。ローラーは、基材を加工部210の第1のスペース212に送り込んだ後、元の位置に戻る。供給機構240は、供給部220から加工部210へ基材を送り込む機能が備わっていればよいため、たとえばスキージーのように回転を伴わないものに置き換えてもよい。
三次元造形装置300は、加工部210に送り込まれた基材に選択的に結着剤(液体材料)を塗布するための塗布機構250と、塗布された結着剤にエネルギーを照射するエネルギー照射機構252と、を有する。
塗布機構250は、加工部210に送り込まれた基材に選択的に結着剤を塗布するための機構である。塗布機構250は、XY平面に沿って移動する。塗布機構250は、加工部210の開口部211に供給された基材に対して、移動しながら選択的に結着剤を塗布する。塗布機構250は、たとえばインクジェットヘッドによって構成することが可能である。
エネルギー照射機構252は、塗布機構250によって塗布された結着剤にエネルギーを照射して硬化させる機構である。エネルギー照射機構252は、XY平面に沿って移動する。エネルギー照射機構252は、紫外線などの光源や、ヒーターなどの熱源によって構成される。硬化の手段としては、たとえば樹脂材料の重合反応を利用する方法などが挙げられる。エネルギー照射機構252は、X方向およびY方向のいずれか一方向に走査す
るラインヘッドでもよいし、X方向およびY方向の二方向に走査するシリアルヘッドでもよい。結着剤に十分なエネルギーを付与できるのであれば、面照射タイプのエネルギー照射手段を使用してもよい。なお、図18の例では、塗布機構250とエネルギー照射機構252とを一体化したものが記載されているが、塗布機構250とエネルギー照射機構252とを一体化せずに別々の構成としても構わない。
図19は、第3の実施形態において使用する三次元造形装置の塗布機構およびエネルギー照射機構を模式的に示す平面図である。図18の例では、塗布機構250とエネルギー照射機構252とが一体化されているが、図19に示すようにY方向に沿ったラインヘッドとなっており、塗布機構250およびエネルギー照射機構252がY方向に列をなしてそれぞれ配置されている。塗布機構250は、−X側に設けられている。塗布機構250は、結着剤を塗布するためのノズルがY方向に列をなして複数設けられている。エネルギー照射機構252は、+X側に設けられている。エネルギー照射機構252は、エネルギーを照射するための光源(たとえばLED)や熱源を照射する手段がY方向に列をなして複数設けられている。
三次元造形装置300は、スライスデータに基づいて各機構を制御する制御部260を有する。上述した加工部210、供給部220、供給機構240、及び後述する第1のグラインダー270、第2のグラインダー280、ならびにプラズマ照射機構290は、制御部260によって制御される。制御部260は、供給部220のピストン223を所定のタイミングで押し上げて、基材を+Z方向にわずかに露出させる。また、制御部260は、供給機構240を駆動して、基材を加工部210の第1のスペース212に送り込ませる。また、制御部260は、スライスデータに基づいた所望の形状となるように、スライスデータに基づいた所望の形状となるように塗布機構250から結着剤を塗布させ、エネルギー源250から供給されたエネルギーを加工部210の開口部211に向けて照射させる。制御部260は、後述する所定のタイミングで、第1のグラインダー270および第2のグラインダー280を駆動して、単位層の上面や側面を研磨させる。制御部260は、後述する所定のステップで、プラズマ照射機構290を駆動して、プラズマを照射させる。制御部260は、単位層が形成された後、次の単位層を形成する前に、加工部210のステージ213を−Z軸方向に単位層の厚さの分だけ移動させる。こうした操作を繰り返して、単位層を積層していくことにより、三次元CADデータに対応する造形物を製造することが可能となる。
さらに、三次元造形装置300は、第1のグラインダー270、第2のグラインダー280、およびプラズマ照射機構290を備える。第1のグラインダー270は、単位層の上面を研磨するためのものである。第2のグラインダー280は、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するためのものである。プラズマ照射機構290は、XY平面に沿って移動しながら単位層の積層界面にプラズマ照射する機構である。第1のグラインダー270、第2のグラインダー280、およびプラズマ照射機構290の構造等については、それぞれ、変形例も含め、第1の実施形態で説明した第1のグラインダー50、第2のグラインダー60、およびプラズマ照射機構70と同様であるため、説明を省略する。本実施形態において、第1のグラインダー270、第2のグラインダー280、およびプラズマ照射機構290は三次元造形装置300に組み込まれているが、三次元造形装置300から独立したグラインダーやプラズマ照射機構を、制御部260と接続して、制御部260によってこれらを駆動するようにしてもよい。
1.3.3.造形物の製造方法
図20は、第3の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャートである。図21は、第3の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明図である。図22は、第3の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図であ
る。図23は、第3の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図である。図24は、第3の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図である。図25は、第3の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図である。
第3の実施形態に係る造形物の製造方法は、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。三次元データ準備工程(S101)およびスライスデータ作成工程(S102)は、上述した通りなので説明を省略する。
造形工程(S103)は、例えば図20に示すように、材料供給ステップ(S131)と、結着剤塗布ステップ(S132)と、プラズマ照射ステップ(S133)と、エネルギー照射ステップ(S134)と、側面処理の要否を判断するステップ(S135)と、上面および側面の研磨ステップ(S136)と、上面および側面のプラズマ照射ステップ(S137)と、上面の研磨ステップ(S138)と、上面のプラズマ照射ステップ(S139)と、次層の有無を判断するステップ(S140)と、移動ステップ(S141)と、を有している。これらのステップを繰り返し実施することによって、造形物を完成させることができる。ステップを繰り返す回数は、スライスデータの数に対応する。
材料供給ステップ(S131)においては、基材292をステージ213に供給する。図21に示すように、供給部220のピストン223を+Z方向に上昇させると、開口部221から基材292が露出する。この開口部221から露出した基材292を、ローラー240を駆動させて押し出すようにして加工部210へ移送する。第1層目を形成するとき、加工部210のステージ213は、接続面230よりもわずかに−Z方向側の位置にある。よって、加工部210のステージ213上に、基材が所定の厚さで堆積する。
結着剤塗布ステップ(S132)においては、ステージ上に供給された基材292に対して選択的に結着剤(樹脂材料)を塗布する。具体的には、図22に示すように、塗布機構250をXY平面に沿って動かしながら、ステージ213上に堆積した基材292の層に向かって選択的に結着剤を塗布する。
プラズマ照射ステップ(S133)においては、図25に示すように、プラズマ照射機構290を用いてプラズマを照射する。プラズマ照射ステップS133は、単位層を形成している途中において実施される。具体的には、結着剤塗布ステップ(S132)の後、エネルギー照射ステップ(S134)の前のタイミング、すなわち、結着剤を塗布した後、これを硬化させる前のタイミングで実施される。
このようなタイミングでプラズマ照射ステップ(S133)を実施することによって、放電処理によって発生したラジカルにより液体材料表面に薄い固化膜が形成されるので、液体材料のピニング効果が期待できる。また、液体材料を硬化させた後に形成されるペースト層が均一となりやすい。さらに、結着剤が放射線によって硬化する材料である場合には、結着剤を塗布した後、この結着剤を硬化させる前に放電処理を行うことで、結着剤表面において酸素による重合阻害を低減することができるため、結着剤の放射線による硬化性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。なお、プラズマ照射ステップS133は、省略しても良い。
エネルギー照射ステップ(S134)においては、図22に示すように、結着剤を塗布した後、エネルギー照射機構252によってエネルギーを照射する。このようにして、結着剤が硬化することにより、単位層が形成される。
側面処理の要否を判断するステップ(S135)においては、1つまたは複数の単位層
の側面を研磨する必要があるか否かを判断する。通常は、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨する。このようにすることで、効率良く造形物を製造することができ、また、1つの単位層毎に側面を研磨する場合よりも側面の平滑性が良好となる。なお、これに限らず、単位層毎に側面を研磨してもよいことは言うまでもない。
側面処理の要否を判断するステップ(S135)では、たとえば、目的とする造形物の形状が格子状のように複雑な形状である場合には、段差が生じる単位層を積層する前に、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するように判断される。また、逆テーパー状のような形状である場合には、5〜10層が積層された後に、側面を研磨するように判断される。
一方、単位層の上面については、1つの単位層毎に研磨することが好ましい。このようにすることで、単位層の上面が平滑となった後に、次の単位層が形成されるので、積層界面間の強度が向上すると共に、加工精度も向上する。
側面処理の要否を判断するステップ(S135)において、単位層の側面を研磨する必要があると判断した場合は、図23および図24に示すように、上面および側面の研磨ステップ(S136)を行う。
一方、側面処理の要否を判断するステップ(S135)において、単位層の側面を研磨する必要がないと判断した場合は、図23に示すように、上面の研磨ステップ(S136)を行う。
図23および図24に示したように、本実施形態では、上面の研磨には第1のグラインダー270を、側面の研磨には第2のグラインダー280を使用している。第1のグラインダー270および第2のグラインダー280による研磨方法の具体例や、これらの機能については、上述の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。第2のグラインダー280は、基材292を少し潜るようにして造形物の側面を研磨する。この際、第2のグラインダー280によって造形物の周辺にある材料の層に凹凸が発生し、層が乱れる可能性があるが、次の材料が供給されると、その乱れは解消する。上面および側面の研磨ステップ(S136)において、造形物の上面と側面の研磨は、これらを同時に実施してもよいし、上面の研磨を終えた後に側面の研磨を実施してもよいし、側面の研磨を終えた後に上面の研磨を実施してもよい。
プラズマ照射ステップ(S137,S139)においては、図25に示すように、プラズマ照射機構290を用いて、プラズマ照射する。上面と側面の研磨ステップ(S136)の後のプラズマ照射ステップ(S137)においては、研磨した上面と側面に対してプラズマの照射を行う。また、上面の研磨ステップ(S138)の後のプラズマ照射ステップ(S139)においては、研磨した上面に対してプラズマの照射を行う。プラズマ照射機構290によって、単位層の表面にプラズマ処理を施すことによって、単位層の表面の状態や性質を変化させることができる。たとえば、プラズマ処理によって、単位層の表面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、単位層の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された単位層上に、次の単位層を構成する樹脂材料を付与することで、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、目的に応じたガス種を選択し、放電処理を行うことで、単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。上面と側面の両方にプラズマを照射する場合、これらを同時に実施してもよいし、上面のプラズマ照射を終えた後に側面のプラズマ照射を実施してもよいし、側面のプラズマ照射を終えた後に上面のプラズマ照射を実施してもよい。なお、上面のプラズマ照射と側面のプラズマ照
射を順番に実施する場合には、上面用のプラズマ照射機構と、側面用のプラズマ照射機構と、を別々に設けてもよい。
次層の有無を判断するステップ(S140)においては、単位層の形成が終了した時点で、次の単位層を形成する必要があるか否かを判断する。次の単位層を形成する必要がない場合には、三次元の造形物が完成する。
次の単位層を形成する必要がある場合には、次の移動ステップ(S141)を実行する。移動ステップ(S141)においては、ステージ213を単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動させる。ステージ213を−Z方向に移動させた後、次の材料供給ステップ(S131)を実行して基材292を供給すると、前回の材料供給ステップ(S131)によってステージ213上に堆積した基材層の上、および、前回の単位層形成ステップによって形成された単位層の上に、基材292が堆積する。この基材に対して、S132〜S140を実行することで、次の単位層が形成される。
第3の実施形態では、プラズマ照射機構290はZ軸方向には移動させない。このようにすることで、単位層を形成する過程において、プラズマ照射機構290と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の三次元造形装置300は、グラインダー270及び280と、プラズマ照射機構290とを備えている。また、本実施形態の造形方法は、研磨ステップ(S136,S138)と、その後に実施されるプラズマ照射ステップ(S137,S139)と、を含んでいる。研磨ステップ(S136,S138)において、単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、プラズマ照射ステップ(S137,S139)における放電処理によって表面の状態や性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
1.3.4.変形例
図18等に示した三次元造形装置300では、塗布機構250とエネルギー照射機構252とが一体化されていたが、それぞれを別々に構成しても良い。また、塗布機構250とエネルギー照射機構252とプラズマ照射機構290とをすべて一体化しても良い。また、塗布機構250とプラズマ照射機構290とを一体化したり、プラズマ照射機構290とエネルギー照射機構252とを一体化したりしても良い。また、これらの機構を構成するヘッドは、X方向およびY方向のいずれか一方向に走査するラインヘッドでもよいし、X方向およびY方向の二方向に走査するシリアルヘッドでもよい。
1.4.第4の実施形態
第4の実施形態では、ペースト法を用いた造形物の製造方法について説明する。ペースト法とは、造形物の主要構成材料となるパウダー状の基材が飛散しないように、該基材を両親媒性固体ポリマーなどと混合してペースト状にして供給した後、ペースト内の基材同士を結着させる液体材料(結着剤ともいう)を部分的に塗布し、該液体材料にエネルギーを付与して硬化させる工程を繰り返すことによって造形物を製造する方法である。ペーストは樹脂材料を含む。結着剤は樹脂材料である。以下、第4の実施形態で使用する原材料、三次元造形装置の構成、第4の実施形態に係る造形物の製造方法の順に説明する。
1.4.1.原材料
使用するパウダー状の基材としては、公知のものを用いることができ、たとえばアクリル樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、アクリルシリコーン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ポリエチレンアクリル酸共重合樹脂粉末、澱粉等の有機粒子;石膏、セラミック、金属、シリカ等の無機粒子を用いることができる。これらの有機粒子および無機粒子は、真球状のものでもよいし、多孔質であってもよい。
粘性を付与するための両親媒性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム等が挙げられる。
基材、両親媒性ポリマー、水系媒体、必要に応じて消泡剤などの添加剤をニーダー等の混練機で混練することにより造形用のペーストを調製することができる。
ペーストを結着させる液体材料としては、ペーストを硬化させることができる液状のものであれば特に制限されないが、紫外光によって重合が開始する硬化液が好適である。また、空気中の水分(あるいは酸素など)に触れると速やかに重合を開始する硬化液などの液体材料を使用することもできる。
1.4.2.装置構成
図26は、第4の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図である。三次元造形装置400は、図26に示すように、三次元物体を造形するための加工部310と、材料となるペーストを加工部310に供給するための供給機構320と、を有する。
加工部310は、図26に示すように、柱状のスペース312と、ステージ313と、を備える。スペース312を幾何学的な柱として捉えた場合、この柱は、XY平面に沿った上面および底面と、Z軸方向に沿った側面と、を有する。スペース312は、+Z方向の端部に、XY平面に平行な開口部311を有する。ステージ313は、三次元物体を造形するための作業面である。ステージ313は、スペース312の−Z方向側に設けられる。ステージ313の上面は、XY平面に平行である。ステージ313は、スペース312内を、−Z方向に移動可能に構成されている。
供給機構320は、材料となるペーストを加工部310に供給するためのノズル322と、ペースト貯留部324と、を備える。ノズル322は、ステージ313に対して略垂直(+Z方向)に設けられている。また、供給機構320には、ステージ313上に塗布されたペーストの厚みを平坦化する平坦化機構323を設けてもよい。平坦化機構323は、ノズル322の先端に設けられたスキージーによって構成されている。平坦化機構323は、ノズル322の−X方向側に設けられている。後に説明する図28に示すように、ペーストは、供給機構320を+X方向に移動させながら、ノズル322から加工部310上に送り出される。平坦化機構323は、供給機構320の移動に伴って、加工部310上に出されたペーストの表面をなでながら移動する。平坦化機構323がペーストの表面をなでながら移動することによって、ペーストの厚みが平坦化される。平坦化機構323は、ローラーによって構成されてもよい。平坦化機構323は、ノズル322とは別に設けてもよい。
また、供給機構320の移動と平坦化機構323によって、ステージ313上に厚みが均一なペースト層を形成する代わりに、ステージ313を回転させながらその中心にペーストを供給するスピンコート法を利用しても良い。
三次元造形装置400は、加工部310に送り込まれたペーストに選択的に液体材料を
塗布するための塗布機構330と、塗布された液体材料にエネルギーを照射するエネルギー照射機構340と、を有する。
塗布機構330は、加工部310に送り込まれたペースト層に選択的に液体材料を塗布するための機構である。塗布機構330については、第3の実施形態で説明した塗布機構250と同様の構成を採用できる。塗布機構330は、XY平面に沿って移動する。塗布機構330は、加工部310の開口部311に供給されたペースト層に対して、移動しながら選択的に液体材料を塗布する。塗布機構330は、たとえばインクジェットヘッドによって構成することが可能である。
エネルギー照射機構340は、塗布機構330によって塗布された液体材料にエネルギーを照射して硬化させる機構である。エネルギー照射機構340については、第3の実施形態で説明したエネルギー照射機構252と同様の構成を採用できる。エネルギー照射機構340は、XY平面に沿って移動する。エネルギー照射機構340は、紫外線などの光源や、ヒーターなどの熱源によって構成される。硬化の手段としては、たとえば樹脂材料の重合反応を利用する方法などが挙げられる。図26の例では、塗布機構330とエネルギー照射機構340とを一体化したものが記載されているが、塗布機構330とエネルギー照射機構340とを一体化せずに別々の構成としても構わない。
三次元造形装置400は、スライスデータに基づいて各機構を制御する制御部350を有する。上述した供給機構320、加工部310、塗布機構330、エネルギー照射機構340、及び後述する第1のグラインダー370、第2のグラインダー380、ならびにプラズマ照射機構390は、制御部350によって制御される。制御部350は、供給機構320を駆動させてペーストをステージ313上に供給させる。また、制御部350は、スライスデータに基づいた所望の形状となるように塗布機構330から液体材料を塗布させ、エネルギー照射機構340からエネルギーを加工部310の開口部311に向けて照射させる。制御部350は、後述する所定のタイミングで、第1のグラインダー370および第2のグラインダー380を駆動して、単位層の上面や側面を研磨させる。制御部350は、後述する所定のタイミングで、プラズマ照射機構390を駆動して、プラズマを照射させる。制御部350は、単位層が形成された後、次の単位層を形成する前に、ステージ313を−Z方向に単位層の厚さの分だけ移動させる。こうした操作を繰り返して、単位層を積層していくことにより、三次元CADデータに対応する造形物を製造することが可能となる。
さらに、三次元造形装置400は、第1のグラインダー370、第2のグラインダー380、およびプラズマ照射機構390を備える。第1のグラインダー370は、単位層の上面を研磨するためのものである。第2のグラインダー380は、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するためのものである。プラズマ照射機構390は、XY平面に沿って移動しながら、ペースト層の表面、液体材料の表面、または単位層の積層界面に、プラズマ照射する機構である。第1のグラインダー370、第2のグラインダー380、およびプラズマ照射機構390の構造等については、変形例も含め、第1の実施形態で説明した第1のグラインダー50、第2のグラインダー60、およびプラズマ照射機構70と同様であるため、説明を省略する。本実施形態において、第1のグラインダー370、第2のグラインダー380、およびプラズマ照射機構390は三次元造形装置400に組み込まれているが、三次元造形装置400から独立したグラインダーやプラズマ照射機構を、制御部350と接続して、制御部350によってこれらを駆動するようにしてもよい。
1.4.3.造形物の製造方法
図27は、第4の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャートである。図28は、第4の実施形態における材料供給工程を模式的に示す説明
図である。図29は、第4の実施形態における単位層形成工程を模式的に示す説明図である。図30は、第4の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図である。図31は、第4の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図である。図32は、第4の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図である。
第4の実施形態に係る造形物の製造方法は、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。三次元データ準備工程(S101)およびスライスデータ作成工程(S102)は、上述した通りなので説明を省略する。
造形工程(S103)は、例えば図27に示すように、材料供給ステップ(S151)と、プラズマ照射ステップ(S152、S154)と、液体材料塗布ステップ(S153)と、エネルギー照射ステップ(S155)と、側面処理の要否を判断するステップ(S156)と、上面および側面の研磨ステップ(S157)と、上面および側面のプラズマ照射ステップ(S158)と、上面の研磨ステップ(S159)と、上面のプラズマ照射ステップ(S160)と、次層の有無を判断するステップ(S161)と、移動ステップ(S162)と、洗浄ステップ(S163)と、を有している。これらのステップを繰り返し実施することによって、造形物を完成させることができる。ステップを繰り返す回数は、スライスデータの数に対応する。
材料供給ステップ(S151)においては、図28に示すように、ノズル322の先端からステージ313の上面に向かってペースト392を供給する。ここで、「供給」とは、ノズル322を+X方向に動かしながら、歯磨き粉をチューブから出して歯ブラシの上に置くように、ペースト392をゆっくりとステージ313の上面に置いていくことをいう。本実施形態において、供給機構320は、Y方向に延びるライン型のノズル322を備えており、このノズル322を+X方向に動かしながらペースト392を供給することによって、XY平面上に四角形のペースト層を形成している。ノズル322は、シリアル型であっても良い。シリアル型のノズルの場合は、ノズルを+X方向と+Y方向に動かしながら、一筆書きをするような要領でノズル322の先端からペースト392を供給する。また、材料供給ステップ(S151)において、平坦化機構323は、供給機構320の移動に伴って、加工部310上に出されたペーストの表面をなでながら移動する。平坦化機構323は、ペーストの表面をなでながら移動することによって、ペーストの厚みを平坦化する。本実施形態では、ペースト392を供給しながらペースト層の平坦化を行っているが、ペースト392をステージ313上に供給し終えた後に、ペースト層の平坦化を実施しても良い。
プラズマ照射ステップ(S152)においては、図32に示すように、プラズマ照射機構390を用いてプラズマ照射する。プラズマ照射ステップ(S152)において、目的に応じたガス種を選択して放電処理を行うことで、ペースト層と液体材料とのぬれ性および浸透性を制御することができる。また、ペースト層と硬化後の液体材料との界面を整えることができる。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。なお、プラズマ照射ステップS152は、省略しても良い。
液体材料塗布ステップ(S153)においては、ステージ313上に供給されたペースト370に対して選択的に液体材料を塗布する。具体的には、図29に示すように、塗布機構330をXY平面に沿って動かしながら、ステージ313上に堆積したペースト392の層に向かって選択的に液体材料を塗布する。
プラズマ照射ステップ(S154)においては、図32に示すように、プラズマ照射機構390を用いてプラズマを照射する。プラズマ照射ステップS155は、単位層を形成
している途中において実施される。具体的には、液体材料塗布ステップ(S153)の後、エネルギー照射ステップ(S155)の前のタイミング、すなわち、液体材料を塗布した後、これを硬化させる前のタイミングで実施される。
このようなタイミングでプラズマ照射ステップ(S155)を実施することによって、放電処理によって発生したラジカルにより液体材料表面に薄い固化膜が形成されるので、液体材料のピニング効果が期待できる。また、液体材料を硬化させた後に形成されるペースト層が均一となりやすい。さらに、結着剤が放射線によって硬化する材料である場合には、結着剤を塗布した後、この結着剤を硬化させる前に放電処理を行うことで、結着剤表面において酸素による重合阻害を低減することができるため、結着剤の放射線による硬化性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。なお、プラズマ照射ステップS155は、省略しても良い。
エネルギー照射ステップ(S155)においては、図29に示すように、液体材料を塗布した後、エネルギー照射機構340によってエネルギーを照射する。このようにして、液体材料が硬化することにより、単位層が形成される。
側面処理の要否を判断するステップ(S156)においては、1つまたは複数の単位層の側面を研磨する必要があるか否かを判断する。通常は、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨する。このようにすることで、効率良く造形物を製造することができ、また、1つの単位層毎に側面を研磨する場合よりも側面の平滑性が良好となる。なお、これに限らず、単位層毎に側面を研磨してもよいことは言うまでもない。
側面処理の要否を判断するステップ(S156)では、たとえば、目的とする造形物の形状が格子状のように複雑な形状である場合には、段差が生じる単位層を積層する前に、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するように判断される。また、逆テーパー状のような形状である場合には、5〜10層が積層された後に、側面を研磨するように判断される。
一方、単位層の上面については、1つの単位層毎に研磨することが好ましい。このようにすることで、単位層の上面が平滑となった後に、次の単位層が形成されるので、積層界面間の強度が向上すると共に、加工精度も向上する。
側面処理の要否を判断するステップ(S156)において、単位層の側面を研磨する必要があると判断した場合は、図30および図31に示すように、上面および側面の研磨ステップ(S157)を行う。
一方、側面処理の要否を判断するステップ(S156)において、単位層の側面を研磨する必要がないと判断した場合は、図30に示すように、上面の研磨ステップ(S159)を行う。
図30および図31に示したように、本実施形態では、上面の研磨には第1のグラインダー370を、側面の研磨には第2のグラインダー380を使用している。第1のグラインダー370および第2のグラインダー380による研磨方法の具体例や、これらの機能については、上述の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。第2のグラインダー380は、ペースト392を少し潜るようにして造形物の側面を研磨する。この際、第2のグラインダー380によって造形物の周辺にある材料の層に凹凸が発生し、ペースト層が乱れる可能性があるが、次の材料が供給されると、その乱れは解消する。上面および側面の研磨ステップ(S157)において、造形物の上面と側面の研磨は、これらを同
時に実施してもよいし、上面の研磨を終えた後に側面の研磨を実施してもよいし、側面の研磨を終えた後に上面の研磨を実施してもよい。
プラズマ照射ステップ(S158,S160)においては、図32に示すように、プラズマ照射機構390を用いて、プラズマを照射する。上面と側面の研磨ステップ(S157)の後のプラズマ照射ステップ(S158)においては、研磨した上面と側面に対してプラズマの照射を行う。また、上面の研磨ステップ(S159)の後のプラズマ照射ステップ(S160)においては、研磨した上面に対してプラズマの照射を行う。プラズマ照射機構390によって、単位層の表面にプラズマ処理を施すことによって、単位層の表面の状態や性質を変化させることができる。たとえば、プラズマ処理によって、単位層の表面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、単位層の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された単位層上に、次の単位層を構成する樹脂材料を付与することで、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、目的に応じたガス種を選択し、放電処理を行うことで、単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。上面と側面の両方にプラズマを照射する場合、これらを同時に実施してもよいし、上面のプラズマ照射を終えた後に側面のプラズマ照射を実施してもよいし、側面のプラズマ照射を終えた後に上面のプラズマ照射を実施してもよい。なお、上面のプラズマ照射と側面のプラズマ照射を順番に実施する場合には、上面用のプラズマ照射機構と、側面用のプラズマ照射機構と、を別々に設けてもよい。
次層の有無を判断するステップ(S161)においては、単位層の形成が終了した時点で、次の単位層を形成する必要があるか否かを判断する。
次の単位層を形成する必要がある場合には、次の移動ステップ(S162)を実行する。移動ステップ(S162)においては、ステージ313を単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動させる。ステージ313を−Z方向に移動させる代わりに、ノズル322を単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動させるようにしても良い。移動ステップ(S162)を実行することにより、単位層を形成する過程において、ノズル322と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
また、移動ステップ(S162)において、ノズル322が単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構390についても単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動させる。一方、ステージ313が単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構390はZ軸方向には移動させない。このようにすることで、単位層を形成する過程において、プラズマ照射機構390と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
次の単位層を形成する必要がない場合には、洗浄ステップS163を実施する。洗浄ステップ(S163)においては、液体材料によって固められなかったペーストを洗い流す。洗浄ステップ(S163)は、たとえば水洗によって行うことができる。これにより、目的とする造形物が得られる。
以上説明したように、本実施形態の三次元造形装置400は、グラインダー370及び380と、プラズマ照射機構390とを備えている。また、本実施形態の造形方法は、研磨ステップ(S157,S159)と、その後に実施されるプラズマ照射ステップ(S158,S160)と、を含んでいる。研磨ステップ(S157,S159)において、単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、プラズマ照射ステップ(S158,S160)における放電処理によって表面の状態や性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着
性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
図26等に示した三次元造形装置400では、塗布機構330とエネルギー照射機構340とが一体化されていたが、それぞれを別々に構成しても良い。また、塗布機構330とエネルギー照射機構340とプラズマ照射機構390とをすべて一体化しても良い。また、塗布機構330とプラズマ照射機構390とを一体化したり、プラズマ照射機構390とエネルギー照射機構340とを一体化したりしても良い。また、これらの機構を構成するヘッドは、X方向およびY方向のいずれか一方向に走査するラインヘッドでもよいし、X方向およびY方向の二方向に走査するシリアルヘッドでもよい。エネルギー照射機構340に関しては、液体材料に十分なエネルギーを付与できるのであれば、面照射タイプのエネルギー照射手段を使用してもよい。
1.5.第5の実施形態
第5の実施形態では、インクジェット法を用いた造形物の製造方法について説明する。インクジェット法とは、光や熱などのエネルギーによって硬化する材料を含むインクを、インクジェットヘッドからステージ上に所定の形状となるように吐出し、これを硬化させる工程を積み重ねることによって造形物を製造する方法である。以下、第5の実施形態で使用するインク、三次元造形装置の構成、第5の実施形態に係る造形物の製造方法の順に説明する。
1.5.1.インク
使用するインクとしては、光や熱などのエネルギーによって硬化する公知の樹脂材料を含むインクを用いることができる。具体的には、単官能エチレン性不飽和単量体や多官能エチレン性不飽和単量体などの重合性化合物と、重合開始剤と、を少なくとも含み、必要に応じて重合禁止剤、界面活性剤、着色剤(顔料等)、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤(金属粉、シリカ等)等を含むインクが挙げられる。
1.5.2.装置構成
図33は、第5の実施形態において使用する三次元造形装置の概略を模式的に示す説明図である。三次元造形装置500は、図33に示すように、三次元物体を造形するためのステージ410を有する。
ステージ410は、図33に示すように、三次元物体を造形するための作業面である。ステージ410の上面は、XY平面に平行である。ステージ410は、−Z方向に移動可能に構成されている。
三次元造形装置500は、インクをステージ410上に射出するインクジェットヘッド420と、射出されたインクにエネルギーを照射するエネルギー照射機構430を有する。
インクジェットヘッド420は、ステージ410上の所定の位置にインクを射出する。インクジェットヘッド420のノズルからインクを射出させる方式としては、以下のものが挙げられる。すなわち、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号を偏向電極に与えて記録する方式又はインクの液滴を偏向することなく記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を
吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。インクは、スライスデータに対応した形状で、ステージ410上に供給される。
インクをスライスデータに対応した形状に供給するために、インクジェットヘッド420とステージ410は、次のいずれかの態様で構成される。
(1)インクジェットヘッド420は、X方向およびY方向の両方に移動可能に構成する。ステージ410は、X方向およびY方向において固定された構成とする。
(2)インクジェットヘッド420は、X方向に移動可能で、Y方向において固定された構成とする。ステージ410は、Y方向に移動可能で、X方向において固定された構成とする。
(3)ステージ410は、X方向およびY方向の両方に移動可能に構成する。インクジェットヘッド420は、X方向およびY方向において固定された構成とする。
(4)インクジェットヘッド420は、X方向の全体をカバー可能なライン状のヘッドを利用する。このライン状のヘッドをY方向に移動可能に構成する。ステージ410は、X方向およびY方向において固定された構成とする。
(5)インクジェットヘッド420は、X方向の全体をカバー可能なライン状のヘッドを利用する。このライン状のヘッドは、X方向およびY方向において固定された構成とする。ステージ410は、Y方向に移動可能に構成する。
本実施形態の三次元造形装置500は、上記(1)の構成を採用している。
インクジェットヘッド420には、ステージ410上に射出されたインク層の厚みを平坦化する平坦化機構を一体的に設けてもよい。この平坦化機構は、インクジェットヘッド420とは別途設けてもよい。平坦化機構としては、たとえばスキージーのようなワイピング機能を有するものが挙げられる。なお、ステージ410上に射出されたインク層の厚みの均一性が高い場合には、平坦化機構を設ける必要はない。
エネルギー照射機構430は、射出されたインクにエネルギーを照射して硬化させる機構である。エネルギー照射機構430は、XY平面に沿って移動する。エネルギー照射機構430は、紫外線などの光源や、ヒーターなどの熱源によって構成される。硬化の手段としては、たとえば樹脂材料の重合反応を利用する方法などが挙げられる。なお、図33等には、インクジェットヘッド420とエネルギー照射機構430とを一体化したものが記載されているが、塗布機構420とエネルギー照射機構430とを一体化せずに別々の構成としても構わない。
三次元造形装置500は、スライスデータに基づいて各機構を制御する制御部440を有する。上述したステージ410、インクジェットヘッド420、エネルギー照射機構430、及び後述する第1のグラインダー450、第2のグラインダー460、およびプラズマ照射機構470は、制御部440によって制御される。制御部440は、スライスデータに基づいた所望の形状となるようにインクジェットヘッド420を駆動させてインクをステージ410上に射出させる。また、制御部440は、エネルギー照射機構430からエネルギーをステージ410上のインク層に向けて照射させる。制御部440は、後述する所定のタイミングで、第1のグラインダー450および第2のグラインダー460を駆動して、単位層の上面や側面を研磨させる。制御部440は、後述する所定のタイミングで、プラズマ照射機構470を駆動して、プラズマを照射させる。制御部440は、単位層が形成された後、次の単位層を形成する前に、ステージ410を−Z方向に単位層の厚さの分だけ移動させる。こうした操作を繰り返して、単位層を積層していくことにより、三次元CADデータに対応する造形物を製造することが可能となる。
さらに、三次元造形装置500は、第1のグラインダー450、第2のグラインダー460、およびプラズマ照射機構470を備える。第1のグラインダー450は、単位層の上面を研磨するためのものである。第2のグラインダー460は、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するためのものである。プラズマ照射機構470は、XY平面に沿って移動しながら、インクの表面や、単位層の積層界面に、プラズマを照射する機構である。第1のグラインダー450、第2のグラインダー460、およびプラズマ照射機構470の構造等については、それぞれ、変形例も含め、第1の実施形態で説明した第1のグラインダー50、第2のグラインダー60、およびプラズマ照射機構70と同様であるため、説明を省略する。本実施形態において、第1のグラインダー450、第2のグラインダー460、およびプラズマ照射機構470は三次元造形装置500に組み込まれているが、三次元造形装置500から独立したグラインダーやプラズマ照射機構を、制御部440と接続して、制御部440によってこれを駆動するようにしてもよい。
1.5.3.造形物の製造方法
図34は、第5の実施形態に係る造形物の製造方法における造形工程の一例を示すフローチャートである。図35は、第5の実施形態における材料供給工程および単位層形成工程を模式的に示す説明図である。図36は、第5の実施形態における上面研磨工程を模式的に示す説明図である。図37は、第5の実施形態における側面研磨工程を模式的に示す説明図である。図38は、第5の実施形態におけるプラズマ照射工程を模式的に示す説明図である。
第5の実施形態に係る造形物の製造方法は、図1に示すように、三次元データ準備工程(S101)と、スライスデータ作成工程(S102)と、造形工程(S103)と、を有している。三次元データ準備工程(S101)およびスライスデータ作成工程(S102)は、上述した通りなので説明を省略する。
造形工程(S103)は、例えば図34に示すように、インク塗布ステップ(S171)と、プラズマ照射ステップ(S172)と、エネルギー照射ステップ(S173)と、側面処理の要否を判断するステップ(S174)と、上面および側面の研磨ステップ(S175)と、上面および側面のプラズマ照射ステップ(S176)と、上面の研磨ステップ(S177)と、上面のプラズマ照射ステップ(S178)と、次層の有無を判断するステップ(S179)と、移動ステップ(S180)と、を有している。これらのステップを繰り返し実施することによって、造形物を完成させることができる。ステップを繰り返す回数は、スライスデータの数に対応する。
インク塗布ステップ(S171)においては、図35に示すように、インクジェットヘッド420からステージ410の上面に向かってインクを射出する。具体的には、インクジェットヘッド420および/またはステージ410をXY平面に沿って動かしながら、インクをスライスデータに対応した形状に射出する。
プラズマ照射ステップ(S172)においては、図38に示すように、プラズマ照射機構470を用いてプラズマを照射する。プラズマ照射ステップS172は、単位層を形成している途中において実施される。具体的には、インク塗布ステップ(S171)の後、エネルギー照射ステップ(S173)の前のタイミング、すなわち、インクを塗布した後、これを硬化させる前のタイミングで実施される。
このようなタイミングでプラズマ照射ステップ(S172)を実施することによって、放電処理によって発生したラジカルによりインク表面に薄い固化膜が形成されるので、インクのピニング効果が期待できる。また、インクを硬化させた後に、次の単位層を形成す
るために形成されるインク層が均一となりやすい。さらに、インクが放射線によって硬化する材料である場合には、インクを塗布した後、このインクを硬化させる前に放電処理を行うことで、酸素による重合阻害を低減することができるため、結着剤の放射線による硬化性が向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。なお、プラズマ照射ステップS172は、省略しても良い。
エネルギー照射ステップ(S173)においては、図35に示すように、インクを射出した後、エネルギー照射機構430によってエネルギーを照射する。このようにして、インク層が硬化することにより、単位層が形成される。本実施形態において、エネルギー照射機構430が一体的に設けられたインクジェットヘッド420は、シリアル型のヘッド420であり、X方向とY方向に移動しながら単位層を形成する。ヘッド420は、X方向またはY方向のうち一方向のみに移動しながら単位層を形成するライン型のヘッドであっても良い。
側面処理の要否を判断するステップ(S174)においては、1つまたは複数の単位層の側面を研磨する必要があるか否かを判断する。通常は、複数の単位層(たとえば5〜10層)が積層された後に、その側面を研磨する。このようにすることで、効率良く造形物を製造することができると共に、1つの単位層毎に側面を研磨する場合よりも側面の平滑性が良好となる。なお、これに限らず、単位層毎に側面を研磨してもよいことは言うまでもない。
側面処理の要否を判断するステップ(S174)では、たとえば、目的とする造形物の形状が格子状のように複雑な形状である場合には、段差が生じる単位層を積層する前に、1つまたは複数の単位層の側面を研磨するように判断される。また、逆テーパー状のような形状である場合には、5〜10層が積層された後に、側面を研磨するように判断される。
一方、単位層の上面については、1つの単位層毎に研磨することが好ましい。このようにすることで、単位層の上面が平滑となった後に、次の単位層が形成されるので、積層界面間の強度が向上すると共に、加工精度も向上する。
側面処理の要否を判断するステップ(S174)において、単位層の側面を研磨する必要があると判断した場合は、図36および図37に示すように、上面および側面の研磨ステップ(S175)を行う。
一方、側面処理の要否を判断するステップ(S174)において、単位層の側面を研磨する必要がないと判断した場合は、図36に示すように、上面の研磨ステップ(S177)を行う。
図36および図37に示したように、本実施形態では、上面の研磨に第1のグラインダー450を、側面の研磨には第2のグラインダー460を使用している。第1のグラインダー450および第2のグラインダー460による研磨方法の具体例や、これらの機能については、上述の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。上面および側面の研磨ステップ(S175)において、造形物の上面と側面の研磨は、これらを同時に実施してもよいし、上面の研磨を終えた後に側面の研磨を実施してもよいし、側面の研磨を終えた後に上面の研磨を実施してもよい。
プラズマ照射ステップ(S176,S178)においては、図38に示すように、プラズマ照射機構470を用いて、プラズマ照射する。上面と側面の研磨ステップ(S175)の後のプラズマ照射ステップ(S176)においては、研磨した上面と側面に対してプ
ラズマの照射を行う。また、上面の研磨ステップ(S177)の後のプラズマ照射ステップ(S178)においては、研磨した上面に対してプラズマの照射を行う。プラズマ照射機構470によって、単位層の表面にプラズマ処理を施すことによって、単位層の表面の状態や性質を変化させることができる。たとえば、プラズマ処理によって、単位層の表面を適度に荒らすことによるアンカー効果や、単位層の表面の重合結合を切断する効果が得られる。このように、表面が改質された単位層上に、次の単位層を構成する樹脂材料を付与することで、単位層間の界面強度(密着性)が向上する。また、目的に応じたガス種を選択し、放電処理を行うことで、単位層の積層界面のぬれ性を制御することができ、加工精度も向上する。その結果、造形物の精度や強度を向上させることができる。上面と側面の両方にプラズマを照射する場合、これらを同時に実施してもよいし、上面のプラズマ照射を終えた後に側面のプラズマ照射を実施してもよいし、側面のプラズマ照射を終えた後に上面のプラズマ照射を実施してもよい。なお、上面のプラズマ照射と側面のプラズマ照射を順番に実施する場合には、上面用のプラズマ照射機構と、側面用のプラズマ照射機構と、を別々に設けてもよい。
次層の有無を判断するステップ(S179)においては、単位層の形成が終了した時点で、次の単位層を形成する必要があるか否かを判断する。次の単位層を形成する必要がない場合には、三次元の造形物が完成する。
次の単位層を形成する必要がある場合には、次の移動ステップ(S180)を実行する。移動ステップ(S180)においては、ステージ410を単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動させる。ステージ410を−Z方向に移動させる代わりに、インクジェットヘッド420を単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動させるようにしても良い。移動ステップ(S180)を実行することにより、単位層を形成する過程において、インクジェットヘッド420と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
また、移動ステップ(S180)において、インクジェットヘッド420が単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構470についても単位層の厚さの分だけ+Z方向に移動させる。一方、ステージ410が単位層の厚さの分だけ−Z方向に移動する場合には、プラズマ照射機構470はZ軸方向には移動させない。このようにすることで、単位層を形成する過程において、プラズマ照射機構470と造形途中の造形物とのZ軸方向に対する距離を常に一定とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の三次元造形装置500は、グラインダー450及び460と、プラズマ照射機構470とを備えている。また、本実施形態の造形方法は、研磨ステップ(S175,S177)と、その後に実施されるプラズマ照射ステップ(S176,S178)と、を含んでいる。研磨ステップ(S175,S177)において、単位層の表面を研磨することによって、表面を平滑にした後、プラズマ照射ステップ(S176,S178)における放電処理によって表面の状態や性質を変えることで、樹脂材料と他の材料の親和性を高めたり、積層界面における樹脂材料同士の結合性、反応性、密着性などを高めたりすることができる。その結果、造形物の寸法精度、表面の平坦性、強度を向上させることができる。また、造形物の表面における塗料の密着性や塗装の強度も向上するため、造形物の美観を向上させることもできる。さらに、造形物の表面と塗料との密着性を向上させるためのプライマー処理等が不要となる。
1.5.4.変形例
上述した第5の実施形態のインク塗布ステップ(S171)において、単位層を形成するためのインクに加え、サポート層を形成するためのインクを射出するようにしてもよい。
上層を構成する単位層と、下層を構成する単位層の形状が異なっており、上層を構成する単位層の一部に下層によって支持されない部分がある場合には、そのような部分をサポート層によって支持する必要がある。このような場合には、インク塗布ステップ(S171)において、インクジェットヘッド420から、単位層を形成するためのインクと、サポート層を形成するためのインクとを射出して、単位層およびサポート層を形成すれば良い。
サポート層を形成するためのサポート材としては、光や熱などのエネルギーによって硬化する公知の樹脂材料を含むインクを用いることができるが、水や特定の溶媒への溶解性に優れたインクであることが好ましい。サポート層は、造形物が完成した後は不要となるため、水や特定の溶媒(造形物を構成する材料は溶かすことができず、サポート層を構成する材料のみを溶かすことができる溶媒)で洗浄することによって、簡単に除去できる材料が好ましい。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…ステージ、20…ノズル、30…樹脂材料、40…制御部、50…第1のグラインダー、60…第2のグラインダー、70…プラズマ照射機構、71…プラズマ発生部、72…ガス供給室、73…電極対、73a,73b…電極、74…電源、75…プラズマ照射ノズル、76(76a,76b)…排気管、77…ガス供給口、78…吸気口、79…排気口、80…造形物、100…三次元造形装置、110…加工部、111…開口部、112…第1のスペース、113…ステージ、120…供給部、121…開口部、122…第2のスペース、123…ピストン、130…接続面、131…反対面、140…供給機構、150…エネルギー照射機構、151…エネルギー源、152…ミラー、160…制御部、170…第1のグラインダー、180…第2のグラインダー、190…プラズマ照射機構、192…樹脂パウダー、200…三次元造形装置、210…加工部、211…開口部、212…第1のスペース、213…ステージ、220…供給部、221…開口部、222…第2のスペース、230…接続面、231…反対面、240…供給機構、250…塗布機構、252…エネルギー照射機構、260…制御部、270…第1のグラインダー、280…第2のグラインダー、290…プラズマ照射機構、292…基材、300…三次元造形装置、310…加工部、311…開口部、312…スペース、313…ステージ、320…供給機構、322…ノズル、323…平坦化機構、324…ペースト貯留部、330…塗布機構、340…エネルギー照射機構、350…制御部、370…第1のグラインダー、380…第2のグラインダー、390…プラズマ照射機構、392…ペースト、400…三次元造形装置、410…ステージ、420…インクジェットヘッド、430…エネルギー照射機構、440…制御部、450…第1のグラインダー、460…第2のグラインダー、470…プラズマ照射機構、500…三次元造形装置、D…放電部分

Claims (12)

  1. 材料または工程の一部に樹脂材料を利用し、造形物をN個の層に分離した単位層を第1層から第N層まで順番に形成しながら積み重ねることによって造形物を製造する方法であって、
    1つまたは複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、
    前記1つまたは複数の単位層の表面を研磨し、
    研磨された前記1つまたは複数の単位層の表面に放電処理することを特徴とする、造形物の製造方法。
  2. 前記1つまたは複数の単位層の表面が、前記1つまたは複数の単位層の上面および/または前記1つまたは複数の単位層の側面である、請求項1に記載の造形物の製造方法。
  3. 複数の単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記複数の単位層の側面を研磨し、研磨された前記複数の単位層の側面に放電処理することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の造形物の製造方法。
  4. 1つの単位層を形成し終えた後、次の単位層を形成し始める前に、前記1つの単位層の上面を研磨し、研磨された前記1つの単位層の上面に放電処理することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  5. パウダー状の基材をステージ上に供給した後、前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
    前記液体材料を塗布した後、該液体材料を硬化させる前に放電処理することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  6. パウダー状の基材を含有するペースト層を形成した後、前記ペースト層上に前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
    前記ペースト層を形成した後、前記液体材料を塗布する前に放電処理することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  7. パウダー状の基材を含有するペースト層を形成した後、前記ペースト層上に前記基材同士を結着させるための前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、該液体材料を硬化させることによって前記単位層を形成し、
    前記ペースト層上に前記液体材料を塗布した後、前記液体材料を硬化させる前に放電処理することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  8. インクジェット方式で前記樹脂材料を含有する液体材料を塗布し、前記液体材料にエネルギーを付与して硬化させることによって単位層を形成し、
    前記液体材料を塗布した後、前記液体材料を硬化させる前に放電処理することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  9. 前記放電処理が、大気圧プラズマまたはコロナ放電である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  10. 前記放電処理が不活性ガスを含む雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  11. 前記放電処理が酸素を含む雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  12. 前記放電処理がフッ素を含む雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
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