JP2015133779A - 鉄道車両用電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ電圧を増加させるために昇圧回路を設ける場合でも、機器の小型化、低コスト化を図る。【解決手段】実施形態の鉄道車両用電力変換装置の第1電力変換回路は、直流架線から供給される直流電力が直列リアクトルを介して入力され、昇圧チョッパ回路として機能して、複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−直流電力変換を行い、第1電力回路は、直流架線から供給される直流電力の規定電圧よりも高い電圧に昇圧する。第2電力変換回路は、第1電力変換回路の出力直流電力を複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−交流電力変換を行い対応する交流電動機に出力する。受熱部材は、半導体素子が熱的に結合可能に取り付けられて、受熱する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、鉄道車両用電力変換装置に関する。
近年、社会を取り巻く環境の変化から省エネへの関心が高まっている。鉄道車両用の駆動システムに目を向ければ、従来の誘導電動機(以下、IM)に代わり、原理的に高効率な永久磁石同期電動機(以下、PMSM)を用いた駆動システムへの転換が始まりつつある。
PMSM駆動システムの特徴として、従来用いられてきたIM駆動システムとは異なり、複数のPMSMを駆動する際に必ずPMSMと同数の電力変換回路が必要となることが挙げられる。これは、IMがすべりを制御することで複数のIMを一括で駆動制御できるのに対し、PMSMは個々について電機子磁束と界磁磁束が同期していなければ制御が成立しないことによる。これは鉄道車両向けPMSM駆動システムで考慮されるべき特性と言える。
また、PMSMとIMで同一トルクを出力しようとする場合、PMSMはIMに比べより大きなモータ電流が必要となる傾向がある。これより、IMに比べてPMSMはより大容量の電力変換装置が必要になる。さらに、1つの直流電源から複数の電力変換装置を並列接続してPMSMを駆動するような回路構成の場合、半導体素子のスイッチング動作に伴う電力変換器の直流側に発生する電流リップルも増加するため、直流電圧を安定化させるフィルタコンデンサの容量も多く必要となる。
ところで、従来の1系統の直流電源から複数の電力変換回路を用いて複数のPMSMを駆動するシステムにおいては、PMSM制御の安定性を高めるために直流電源部にコンデンサを接続して直流電圧の安定化を図ってきた。しかし、PMSM出力を増大しようとする場合、電動機電流が大きくなり、電力変換装置の直流側、即ち直流電源側により大きな脈動電流が流れることになり、コンデンサの負担が厳しくなる。
特許第4382571号公報
この様な状況の中、最近では電動機をIMとしたままで高効率化を目指す動きが出てきている。
例えば、電力変換装置の制御方法として中高速域で1パルス(矩形波)制御を行う場合には、直流電源電圧から生成できる最大電圧をモータに印加していたが、さらに高効率化を目指すべく、モータ電圧を増加させるには電源電圧を昇圧する回路を設ける必要があり、昇圧回路の追加によって機器の大型化、高コスト化が避けられなかった。
実施形態の鉄道車両用電力変換装置の第1電力変換回路は、直流架線から供給される直流電力が直列リアクトルを介して入力され、昇圧チョッパ回路として機能して、複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−直流電力変換を行う。このとき、第1電力回路は、直流架線から供給される直流電力の規定電圧よりも高い電圧に昇圧して第2電力変換回路に供給する。
第2電力変換回路は、第1電力変換回路の出力端に、並列コンデンサを介して接続されている。第1電力変換回路の出力直流電力を複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−交流電力変換を行い対応する交流電動機に出力する。
このとき、受熱部材は、第1電力変換回路および第2電力変換回路を構成している半導体素子が熱的に結合可能に取り付けられて、受熱を行う。
図1は、第1実施形態の鉄道車両用電力変換装置の概要構成ブロック図である。 図2は、第1実施形態の第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。 図3は、第1実施形態の変形例における第1電力変換回路及び第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。 図4は、第2実施形態の鉄道車両用電力変換装置の概要構成ブロック図である。 図5は、第2実施形態の第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。 図6は、第3実施形態で用いる三角波比較PWM制御において用いる三角波の位相説明図である。 図7は、フィルタコンデンサへの流入電流の一例の説明図である。 図8は、第3実施形態における電流の周波数スペクトル分布の説明図である。
以下、実施形態の鉄道車両用の電力変換装置について図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の鉄道車両用電力変換装置の概要構成ブロック図である。
鉄道車両用電力変換装置10は、直流架線(直流き電線)11から直流電力が供給されるパンタグラフ12と、線路13を介して接地された車輪14と、の間に、遮断器15及び第1直流電圧検出器16が直列に接続されている。
さらに遮断器15と第1直流電圧検出器16との接続線の間には、フィルタリアクトル(コイル)17の一端側が接続され、フィルタリアクトル17の他端側は、DC/DCコンバータとして機能する第1電力変換回路18の入力端子が接続されている。すなわち、第1電力変換回路18は、フィルタリアクトル17と共働して入力直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路(非絶縁型昇圧チョークコンバータ)UCとして機能している。
第1電力変換回路18の高電位側出力端子と、低電位側出力端子と、の間には、第2直流電圧検出器19、フィルタコンデンサ20及び2レベルの三相出力インバータとして構成された第2電力変換回路21が接続されている。
第2電力変換回路21のU相出力線22Uには、U相交流電流を検出しU相交流電流検出信号IUを出力する第1交流電流検出器23Uが設けられ、W相出力線22Wには、W相交流電流を検出し、W相交流電流検出信号IWを出力する第2交流電流検出器23Wが設けられている。
さらに第2電力変換回路21のU相出力線22U、V相出力線22V及びW相出力線22Wには、4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4が並列に接続されている。
また、鉄道車両用電力変換装置10は、第1直流電圧検出器16が検出した入力直流電圧及び第2直流電圧検出器19が検出した第1電力変換回路18の出力電圧に基づいて,第1電力変換回路18を制御する第1制御部25と、第2直流電圧検出器19が検出した第1電力変換回路18の出力電圧並びに第1交流電流検出器23Uが検出したU相交流電流値および第2交流電流検出器23Wが検出したW相交流電流値に基づいて第2電力変換回路21を制御する第2制御部26と、を備えている。
上記構成において、第1電力変換回路18は、直列接続された2個のスイッチング素子31H及びスイッチング素子31Lと、を備えている。ここで、スイッチング素子31H及びスイッチング素子31Lは、シリコン(Si)と比較して、ワイドバンドギャップの材料であるシリコンカーバイド(SiC:炭化ケイ素)半導体、あるいは、ガリウムナイトライド(GaN:窒化ガリウム)半導体で形成されている。
さらにスイッチング素子31Hには、並列に逆導通ダイオード32Hが接続され、スイッチング素子31Lには、逆導通ダイオード32Lが接続されている。これらの逆導通ダイオード32H、32Lも、シリコン(Si)と比較して、ワイドバンドギャップの材料であるシリコンカーバイド、あるいは、ガリウムナイトライドで形成されている。
一方、第2電力変換回路21は、U相アーム部41U、V相アーム部41V及びW相アーム部41Wが高電位側直流電源ラインPHLと、低電位側直流電源ラインPLLとの間に並列に接続され、U相アーム部41U、V相アーム部41V及びW相アーム部41Wは、それぞれ、U相出力線22U、V相出力線22V及びW相出力線22Wを介して4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4に接続されている。
U相アーム部41Uは、アッパースイッチング素子42UHと、このアッパースイッチング素子42UHに並列に接続された逆導通ダイオード43UHと、を有するU相アッパーアーム部44UUと、ロアスイッチング素子42ULと、このロアスイッチング素子42ULに並列に接続された逆導通ダイオード43ULと、を有するU相ロアアーム部44ULと、を備えている。
V相アーム部41Vは、アッパースイッチング素子42VHと、このアッパースイッチング素子42VHに並列に接続された逆導通ダイオード43VHと、を有するV相アッパーアーム部44VUと、ロアスイッチング素子42VLと、このロアスイッチング素子42VLに並列に接続された逆導通ダイオード43VLと、を有するV相ロアアーム部44VLと、を備えている。
W相アーム部41Wは、アッパースイッチング素子42WHと、このアッパースイッチング素子42WHに並列に接続された逆導通ダイオード43WHと、を有するW相アッパーアーム部44WUと、ロアスイッチング素子42WLと、このロアスイッチング素子42WLに並列に接続された逆導通ダイオード43WLと、を有するW相ロアアーム部44WLと、を備えている。
ここで、アッパースイッチング素子42UH、42VH、42WH、ロアスイッチング素子42UL、42VL、42WL、逆導通ダイオード43UH、43UL、43VH、43VL、43WH、43WLは、シリコン(Si)半導体で構成されている。
上記構成において、各スイッチング素子は、例えば、IGBTとして構成されている。
ここで、1500V直流架線系統の場合、直流架線11の電圧(架線電圧)は、JISあるいはIECの規格により、900V〜1800V(=規定電圧)に収まるように規定されている。
これに対し、本第1実施形態においては、フィルタリアクトル17及び第1電力変換回路18が、昇圧チョッパ回路UCとして機能するに際して、架線系統の規定電圧(すなわち、入力可能な最大電圧)よりも高い電圧を出力するようにされている。
すなわち、昇圧チョッパ回路UCの出力電圧は、上述の例の場合、1800V超の電圧、例えば、第2電力変換回路21を構成するスイッチングトランジスタ(例えば、IGBT)の定格電圧を考慮して2000V(>1800V)とされる。
この結果、第2電力変換回路21が三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4に供給する駆動電力の電圧が高くなるので、同一の駆動電力で駆動する場合の駆動電流を低減することが可能となり、モータ銅損を低減させ、高効率で三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4を駆動することが可能となっている。
図2は、第1実施形態の第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。
第2電力変換回路21は、受熱部材41上にU相アッパーアーム部44UUと、U相ロアアーム部44ULと、V相アッパーアーム部44VUと、V相ロアアーム部44VLと、W相アッパーアーム部44WUと、W相ロアアーム部44WLと、が配置されている。ここで、受熱部材41は、一つの熱伝導性部材で構成しても良いし、複数の熱伝導性部材を熱的に互いに結合して構成しても良い。
受熱部材41の材料としては、アルミニウム、銅等が用いられ、例えば、U相アッパーアーム部44UUと、U相ロアアーム部44ULと、V相アッパーアーム部44VUと、V相ロアアーム部44VLと、W相アッパーアーム部44WUと、W相ロアアーム部44WLと、が配置される熱拡散用のブロック部材と、このブロック部材に直接あるいはヒートパイプを介して熱的に結合された複数のフィン部材と、を備えた構造とされる。
ここで、U相アッパーアーム部44UU、U相ロアアーム部44UL、V相アッパーアーム部44VU、V相ロアアーム部44VL、W相アッパーアーム部44WU及びW相ロアアーム部44WLは、それぞれ一体の半導体素子モジュールとして構成されている。
ところで、図1に示した4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4を1台の第2電力変換回路21で駆動制御しようとする場合、第2電力変換回路21の変換容量を考慮すると、代表的な材料で形成した各半導体素子モジュールの外形寸法は、それぞれ、140mm×190mm程度となる。
したがって、図2の配置の場合の全半導体素子モジュールの占有面積は、およそ1596cm(=140mm×3個×190mm×2個)となる。
次に第1実施形態の動作を説明する。
鉄道車両用電力変換装置10には、直流架線(直流き電線)11から直流電力がパンタグラフ12及び遮断器15を介して供給される。
これにより、第1直流電圧検出器16は、供給された直流電力の電圧を検出して、入力直流電圧値を第1制御部25に出力する。
これと並行して、フィルタリアクトル17にも直流電力が供給され、逆導通ダイオード32Hを介して直流電力がフィルタコンデンサ20に供給され、フィルタコンデンサ20は所定電圧となるまで充電される。
これにより、第2直流電圧検出器19は、フィルタコンデンサ20の電圧を検出し、充電電圧値を第1制御部25及び第2制御部26に出力する。
この結果、第1制御部25は、第1直流電圧検出器16が検出した入力直流電圧及び第2直流電圧検出器19が検出した第1電力変換回路18の出力電圧に基づいて,第1電力変換回路18を制御し、第1電力変換回路18を構成する、直列接続された2個のスイッチング素子31H及びスイッチング素子31Lを交互にオン/オフして入力直流電力(上述の例の場合、900〜1800V)を昇圧(上述の例の場合、2000V)して、第2電力変換回路21に供給する。
このとき、昇圧された直流電力は、フィルタコンデンサ20を介して平滑化されている。
これと並行して、第2制御部26は、第1交流電流検出器23UによりU相交流電流を検出し、第2交流電流検出器23WによりW相交流電流を検出し、4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4のそれぞれのトルクが所定のトルクとなるように、U相アッパーアーム部44UU、U相ロアアーム部44UL、V相アッパーアーム部44VU、V相ロアアーム部44VL、W相アッパーアーム部44WU及びW相ロアアーム部44WLを構成しているスイッチング素子の制御を行い、三相交流電力を4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4に供給する。
したがって、4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4にそれぞれ供給されて印加される交流電力の電圧は高圧化され、同時に4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4にそれぞれ供給される電流は低下することとなる。
この結果、三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4における銅損を低減して、鉄道車両の駆動系全体の高効率化を実現できる。
この場合において、上述したように、U相アッパーアーム部44UU、U相ロアアーム部44UL、V相アッパーアーム部44VU、V相ロアアーム部44VL、W相アッパーアーム部44WU及びW相ロアアーム部44WLは、それぞれ一体の半導体素子モジュールとして構成され、受熱部材41上に配置されているので、実装エリアの狭小化を図ることができ、ひいては、鉄道車両用電力変換装置の小型化及び低コスト化を促進することができる。
[1.1]第1実施形態の変形例
図3は、第1実施形態の変形例における第1電力変換回路及び第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。
受熱部材41上には、第1電力変換回路18を構成するスイッチング素子31H、スイッチング素子31L、逆導通ダイオード32H及び逆導通ダイオード32Lが配置されている。さらに受熱部材41上には、第2電力変換回路21は、U相アッパーアーム部44UUと、U相ロアアーム部44ULと、V相アッパーアーム部44VUと、V相ロアアーム部44VLと、W相アッパーアーム部44WUと、W相ロアアーム部44WLと、が配置されている。
この場合においても、受熱部材41は、一つの熱伝導性部材で構成しても良いし、複数の熱伝導性部材を熱的に互いに結合して構成しても良い。
ところで、図1に示した4個の三相交流モータ24−1〜三相交流モータ24−4を1台の第1電力変換回路18及び1台の第2電力変換回路21で駆動制御しようとする場合、第1電力変換回路18及び第2電力変換回路21の変換容量を考慮すると、代表的な材料で形成した各半導体素子モジュールの外形寸法は、それぞれ、140mm×190mm程度となる。
したがって、図3の配置の場合の全半導体素子モジュールの占有面積は、およそ2128cm(=140mm×4個×190mm×2個)となり、第1実施形態と同様の面積で装置を構成することが可能となる。
[2]第2実施形態
図4は、第2実施形態の鉄道車両用電力変換装置の概要構成ブロック図である。
本第2に実施形態と第1実施形態とが異なる第1の点は、故障時の冗長性や三相交流モータ(電動機)の制御性能を向上するために、図3に示すように、1台の三相交流モータに一つの第2電力変換回路を割り当てるために、2レベルの三相出力インバータとして構成された第2電力変換回路21に代えて、第1電力変換回路に第2電力変換回路21と同一の構成の4系統の第2電力変換回路21a〜21dが並列に接続され、第2電力変換回路21aが三相交流電力を三相交流モータ24−1に供給し、第2電力変換回路21bが三相交流電力を三相交流モータ24−2に供給し、第2電力変換回路21cが三相交流電力を三相交流モータ24−3に供給し、第2電力変換回路21dが三相交流電力を三相交流モータ24−4に供給するように構成した点である。
ここで、第2電力変換回路21aのU相出力線22Uaには、U相交流電流を検出しU相交流電流検出信号IUaを出力する第1交流電流検出器23Uaが設けられ、W相出力線22Waには、W相交流電流を検出し、W相交流電流検出信号IWaを出力する第2交流電流検出器23Waが設けられている。
同様に第2電力変換回路21bのU相出力線22Ubには、U相交流電流を検出しU相交流電流検出信号IUbを出力する第1交流電流検出器23Ubが設けられ、W相出力線22Wbには、W相交流電流を検出し、W相交流電流検出信号IWbを出力する第2交流電流検出器23Wbが設けられている。
また第2電力変換回路21cのU相出力線22Ucには、U相交流電流を検出しU相交流電流検出信号IUcを出力する第1交流電流検出器23Ucが設けられ、W相出力線22Wcには、W相交流電流を検出し、W相交流電流検出信号IWcを出力する第2交流電流検出器23Wcが設けられている。
また第2電力変換回路21dのU相出力線22Udには、U相交流電流を検出しU相交流電流検出信号IUdを出力する第1交流電流検出器23Udが設けられ、W相出力線22Wdには、W相交流電流を検出し、W相交流電流検出信号IWdを出力する第2交流電流検出器23Wdが設けられている。
そして、第2制御部26Aは、第2直流電圧検出器19が検出した第1電力変換回路18の出力電圧並びにU相交流電流検出信号IUa、W相交流電流検出信号IWa、U相交流電流検出信号IUb、W相交流電流検出信号IWb、U相交流電流検出信号IUc、W相交流電流検出信号IWc、U相交流電流検出信号IUd及びW相交流電流検出信号IWdに基づいて第2電力変換回路21a〜21dを制御する。
上記構成によれば、第2電力変換回路として冗長構成を採用しているので、第2電力変換回路21a〜21dのいずれか一つが故障したような場合であっても、他の第2電力変換回路により補うことが可能となる。
図5は、第2実施形態の第2電力変換回路を構成している半導体素子の実装状態の説明図である。
また、第2の点は、4系統の第2電力変換回路21a〜21dを構成している半導体素子を熱的に結合した受熱部材51上に全て配置した点である。
受熱部材51には、第2電力変換回路21aに対応する第1U相アーム部44Ua、第1V相アーム部44Va及び第1W相アーム部44Waと、第2電力変換回路21bに対応する第2U相アーム部44Ub、第2V相アーム部44Vb及び第2W相アーム部44Wbと、第2電力変換回路21cに対応する第3U相アーム部44Uc、第3V相アーム部44Vc及び第3W相アーム部44Wcと、第2電力変換回路21dに対応する第4U相アーム部44Ud、第4V相アーム部44Vd及び第4W相アーム部44Wdと、が配置されている。
この場合においても、第1実施形態の受熱部材41と同様に、受熱部材51は、一つの熱伝導性部材で構成しても良いし、複数の熱伝導性部材を熱的に互いに結合して構成しても良い。
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、冗長性が向上し、鉄道用車両(の駆動系)の信頼性が向上するとともに、制御性の向上が図れる。
[3]第3実施形態
以上の各実施形態においては、第1制御部25と第2制御部26(26A)とは、独立して動作していた。
図6は、第3実施形態で用いる三角波比較PWM制御において用いる三角波の位相説明図である。
本第3実施形態は、第1制御部25と第2制御部26(26A)において、PWM制御を行わせるに際し、互いに通信を行わせることで同期して動作させるとともに、図6(a)に示すように、同一の周波数及び振幅を有し、位相差が90°である三角波を搬送波として用いるように構成している点で異なっている。
ここで、第1制御部25は、DC/DCコンバータを制御し、第2制御部26(26A)は、DC/ACコンバータを制御しているため、図6(a)においては、搬送波の位相差=0°でスイッチがオンする(信号波のレベルが搬送波のレベルを超える)ような搬送波位相を0°として定義している。
なお、図6(b)は、三角波を搬送波として用いているが、位相差設定が無い場合における第1制御部25と第2制御部26(26A)のそれぞれにおける搬送波の状態を表す図である。
図7は、フィルタコンデンサへの流入電流の一例の説明図である。
上記構成によれば、図7に示すように、第1制御部25と第2制御部26(26A)において、位相差が90°である三角波を搬送波として用いた場合のフィルタコンデンサ20の入出力電流を、第1制御部25と第2制御部26(26A)において、位相差が0°である三角波を搬送波として用いた場合(比較例)のフィルタコンデンサ20の入出力電流(最大電流時)と比較して大幅に低減できる。
より詳細には、第1制御部25及び第2制御部26(26A)のそれぞれに対応する搬送波に図6(a)に示したように位相差を設定(=位相差90°)することで、昇圧チョッパ回路UCとインバータ回路のスイッチングタイミングがずれることとなる。この結果、昇圧チョッパ回路UCに流出入する電流を打ち消しあって、フィルタコンデンサ20への流入電流は、搬送波として図6(b)に示したように位相差を設定していない場合に相当するフィルタコンデンサ20への流入電流に対し、一部間引かれたような電流波形になっている。
図8は、第3実施形態における電流の周波数スペクトル分布の説明図である。
ここで、図8(a)は、1制御部25及び第2制御部26(26A)のそれぞれに対応する搬送波に図6(a)に示したように位相差を設定する(=位相差90°)場合の電流の周波数スペクトル分布を示し、図8(b)は、1制御部25及び第2制御部26(26A)のそれぞれに対応する搬送波に図6(b)に示したように位相差を設定しない(=位相差90°)場合の電流の周波数スペクトル分布を示している。
このとき、図8(a)及び図8(b)を比較すると、第1制御部25及び第2制御部26(26A)のそれぞれに対応する搬送波に図6(a)に示したように位相差を設定した場合には、1500Hz付近の周波数を有する電流成分が低下していることがわかる。
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、フィルタコンデンサ20の発熱を抑制し、直流架線11に流れ出す高調波を抑制して、誘導障害などの影響を低減できる。
[4]実施形態の変形例
以上の説明においては、交流電流検出器は二相(U相及びW相)のみ設置しているが、三相全てに電流検出器を設置するようにしてもよい。
なお、本実施形態の第1制御部あるいは第2制御部をマイクロコンピュータで構成することも可能である。
この場合において、マイクロコンピュータで実行される制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるようにしてもよい。
本実施形態のマイクロコンピュータで実行される制御プログラムは、は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施形態のマイクロコンピュータで実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のマイクロコンピュータで実行される制御プログラムは、をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 鉄道車両用電力変換装置
11 直流架線
12 パンタグラフ
13 線路
14 車輪
15 遮断器
16 第1直流電圧検出器
17 フィルタリアクトル
18 第1電力変換回路
19 第2直流電圧検出器
20 フィルタコンデンサ
21、21a〜21d 第2電力変換回路
23U、23Ua〜23Ud 第1交流電流検出器
23W、23Wa〜23Wd 第2交流電流検出器
24−1〜24−4 三相交流モータ
25 第1制御部
26、26A 第2制御部
31H スイッチング素子
31L スイッチング素子
32H 逆導通ダイオード
32L 逆導通ダイオード
41 受熱部材、51 受熱部材
41U U相アーム部
41V V相アーム部
41W W相アーム部
42UH アッパースイッチング素子
42UL ロアスイッチング素子
42VH アッパースイッチング素子
42VL ロアスイッチング素子
42WH アッパースイッチング素子
42WL ロアスイッチング素子
43UH、43UL、43VH、43VL、43WH、43WL 逆導通ダイオード
UC 昇圧チョッパ回路

Claims (8)

  1. 直流架線から供給される直流電力が直列リアクトルを介して入力され、複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−直流電力変換を行う昇圧チョッパ回路として機能する第1電力変換回路と、
    前記第1電力変換回路の出力端に、並列コンデンサを介して接続され、前記第1電力変換回路の出力直流電力を複数の半導体素子のスイッチング動作により直流−交流電力変換を行い対応する交流電動機に出力する第2電力変換回路と、
    前記第1電力変換回路および前記第2電力変換回路を構成している前記半導体素子が熱的に結合可能に取り付けられた受熱部材と、を備え、
    前記第1の電力回路は、前記直流架線から供給される直流電力の規定電圧よりも高い電圧に昇圧して前記第2電力変換回路に供給する、
    鉄道車両用電力変換装置。
  2. 前記受熱部材の前記半導体素子の載置面を、同一平面上に配置した、
    請求項1記載の鉄道車両用電力変換装置。
  3. 前記受熱部材は、互いに熱的に結合された複数の受熱部材により構成されている、
    請求項1又は請求項2記載の鉄道車両用電力変換装置。
  4. 前記第2電力変換回路及び対応する交流電動機は、前記第1電力変換回路に複数系統設けられている、
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鉄道車両用電力変換装置。
  5. 前記第1電力変換回路を構成する半導体素子は、SiC半導体素子またはGaN半導体素子として形成されている、
    請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鉄道車両用電力変換装置。
  6. 前記第1電力変換回路は、直列接続された2個のトランジスタと、前記トランジスタとは電流方向が逆であり、前記トランジスタにそれぞれ並列に接続された2個のダイオードと、
    を備えている、
    請求項5記載の鉄道車両用電力変換装置。
  7. 前記第2電力変換回路を構成する半導体素子は、SiC半導体素子またはGaN半導体素子として形成されている、
    請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鉄道車両用電力変換装置。
  8. 前記第1電力変換回路のPWM制御を行う第1制御部と、
    前記第2電力変換回路のPWM制御を行う第2制御部と、を備え、
    前記第1制御部と第2制御部とは、同一の周波数及び振幅を有し、位相差が90°である三角波を搬送波として用いている、
    請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の鉄道車両用電力変換装置。
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