JP2014135400A - 発光装置及び波長変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】色ずれや色むらの問題を低減することにより波長変換層における色度の変動を抑制することが可能であり、低コストに製造可能な発光装置を提供する。
【解決手段】LED装置100は、基板1と、基板1に実装されたLED素子2と、基板1のLED素子実装領域外に形成された反射層21を有する本体部10と、本体部10とは別個に形成されLED素子2の光出射側に設けられた波長変換素子30とを有する。波長変換素子30は透明基板31を有し、透明基板3の面上に、蛍光体粒子層32、光散乱層33、透光性セラミック層34の順に形成された積層構造を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は発光装置及び波長変換素子に関する。
近年、LED素子の近傍に蛍光体を配置し、LED素子からの光で蛍光体を励起させて白色光を得る発光装置である白色LED装置が開発されている。このようなLED装置の例には、青色LED素子からの青色光と、青色光を受けて蛍光体が発する黄色の蛍光とを組み合わせて白色光を得るLED装置がある。また、紫外光を出射するLED素子を光源とし、紫外光を受けて蛍光体が発する青色光、緑色光、及び赤色光を混色させて、白色光を得るLED装置もある。
従来のLED装置では、LED素子を実装する基板等が、LED素子の出射光や、蛍光体が発する蛍光を吸収しやすく、光取り出し性が十分でない、との問題があった。そこで、一般的なLED装置には、LED素子の周囲に、光反射率が高いリフレクタが配置されている。このようなリフレクタは、一般的に金属メッキ等から形成されている。
しかしながら、金属メッキからなるリフレクタは、電気の導通を防ぐため、基板全面に形成することができない。そのため、リフレクタが形成されていない領域では、基板に光が吸収されてしまう、という問題があった。
そこで、金属メッキを樹脂層で覆ったリフレクタや(例えば、特許文献1参照。)、白色の樹脂層で、金属メッキを覆ったリフレクタも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−136379号公報 特開2011−23621号公報 特開2000−349347号公報
しかし、リフレクタ近傍では、光が多重散乱するため、リフレクタが樹脂からなる場合や、特許文献1及び2の技術のように、金属メッキからなるリフレクタ表面を樹脂で被覆した場合には、樹脂が熱や光により劣化する。これを原因として、経時で反射層の光反射性が低下したり、電気が導通したりしてしまう、という問題があった。特に、車載用のヘッドライト等、大光量が必要とされる用途において、樹脂が劣化しやすかった。
また、LEDの封止材として、例えば、特許文献3に記載されているようなセラミック前駆体を用いる場合においては、その特性上、数百μm以上の膜厚の作製は困難である。仮に、数百μm以上の膜厚が必要でなかったとしても、均一な蛍光体層を形成しようとすると、厚膜化は必須となるため、クラックが発生してしまう。その結果LED素子から発せられる光が、このクラックにより散乱して色ずれや色むらの原因になりやすかった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、十分な光取出し性を有しつつも、色ずれや色むらの問題を低減することにより波長変換層における色度の変動を抑制することが可能であり、低コストに製造可能な発光装置及び波長変換素子を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、蛍光体を含有した材料でLED装置内を被覆し、蛍光体粒子層をセラミックで固着するという方法により、セラミック層の膜厚を薄くすることができ、さらにクラックの発生を抑制することができた。しかしながら、LED装置は、LED素子の上に蛍光体粒子層を形成した後に装置の性能評価をするため、LED素子と蛍光体粒子層とのうちのいずれかが不良となるとLED装置全体が不良となる。このため、歩留まりが悪いという新たな課題が生じることとなった。そこで、本発明者はさらに研究を進め、本発明を案出するに至った。
即ち、本発明は、以下の発光装置及び波長変換素子に関する。
請求項1に記載の発明は、発光素子と、前記発光素子から出射された光を受けて異なる波長の光を出射する波長変換素子と、反射層とを有し、前記波長変換素子は、蛍光体粒子を含む蛍光体層と有機ケイ素化合物を含むセラミック層とを含む波長変換層を有し、前記反射層は、厚みが5μm以上30μm以下であって、前記発光素子からの出射光及び/または前記蛍光体層が発する蛍光を光取り出し面側に反射させることを特徴とする発光装置である。
また、請求項2に記載の発明は、前記波長変換素子は、光散乱粒子と有機ケイ素化合物の硬化物とを含む光散乱層を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
また、請求項3に記載の発明は、前記光散乱粒子は、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置である。
また、請求項4に記載の発明は、前記光散乱層は、膨潤性粒子を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置である。
また、請求項5に記載の発明は、前記セラミック層は、透光性セラミック層であって、前記発光素子の光出射面と対向して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項6に記載の発明は、前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の少なくとも一方の面上に、前記透明基板側から、前記蛍光体層、前記光散乱層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項7に記載の発明は、前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の少なくとも一方の面上に、前記透明基板側から、前記光散乱層、前記蛍光体層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項8に記載の発明は、前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の一方の面上に前記光散乱層が形成され、他方の面上に前記透明基板側から、前記蛍光体層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項9に記載の発明は、前記波長変換素子は、前記発光素子に対向して設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項10に記載の発明は、前記波長変換素子は、前記発光素子の光出射面に近接または接して設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項11に記載の発明は、キャビティを有する実装基板を有し、前記波長変換素子は前記キャビティを塞ぐようにして設けられていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置である。
また、請求項12に記載の発明は、前記光散乱層は、平均一次粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項13に記載の発明は、前記金属酸化物微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載の発光装置である。
また、請求項14に記載の発明は、前記反射層は、光散乱粒子と有機ケイ素化合物の硬化物とを含んで形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項15に記載の発明は、前記反射層に含まれる前記有機ケイ素化合物は、ポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項16に記載の発明は、前記反射層に含まれる光散乱粒子は、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項14または15に記載の発光装置である。
また、請求項17に記載の発明は、前記反射層は、平均一次粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項18に記載の発明は、前記反射層に含まれる金属酸化物微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項17に記載の発光装置である。
また、請求項19に記載の発明は、前記反射層は、シランカップリング剤を含んで形成されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項20に記載の発明は、前記波長変換素子及び前記反射層は、バインダとなるセラミック材料を含み、前記セラミック材料中に粘土鉱物のイモゴライトを含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項21に記載の発明は、実装基板を有し、前記実装基板上に前記発光素子が設けられていることを特徴とする請求項1〜10及び請求項12〜20のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項22に記載の発明は、前記実装基板はキャビティを有し、前記反射層は前記キャビティの壁面及び/または底面に設けられていることを特徴とする請求項21に記載の発光装置である。
また、請求項23に記載の発明は、前記発光素子はLED素子である請求項1〜22のいずれか1項に記載の発光装置である。
また、請求項24に記載の発明は、蛍光体粒子を含む蛍光体層と有機ケイ素化合物を含むセラミック層とを含む波長変換層を有することを特徴とする波長変換素子である。
本発明における発光装置は、発光素子からの出射光及び/または前記蛍光体層が発する蛍光を、発光装置の光取り出し面側に反射する反射層と、発光素子とは別個に形成された波長変換素子とを備える。この波長変換素子は、蛍光体粒子を含む蛍光体層と有機ケイ素化合物を含むセラミック層とを含む波長変換層を有する。この波長変換素子が、発光素子の光出射側に設けられるため、色ずれや色むらの問題を低減することにより波長変換素子間の色度の変動を抑制することが可能である。また、反射層によって十分な光取出し性を有することができる。さらに、前記LED装置を歩留まりよく生産することができるので、LED装置の生産性を向上させることができる。
実施の形態によるLED装置の一例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の他の例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の他の例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の本体部の一例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の本体部の他の例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の本体部の他の例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の波長変換素子の一例を示す概略断面図である。 実施の形態によるLED装置の製造時に用いられるマスクを示した平面図である。 反射層形成用組成物を塗布するためのスプレー装置の概略を示す概略断面図である。 基板に反射層を形成する工程の一例を示した概略断面図である。 基板に反射層を形成する工程の他の例を示した概略断面図である。 基板に反射層を形成する工程の他の例を示した概略断面図である。 実施例1〜8及び比較例1〜6のLED装置の評価結果を示した表である。 実施例8〜15のLED装置の評価結果を示した表である。
1.LED装置
まず、この実施の形態のLED装置の構成について説明する。説明は、まず、LED装置100の全体構成について行う。
〈1.全体構成〉
この実施の形態の発光装置であるLED装置は、発光素子であるLED素子の出射光等を、光取り出し面側に反射する反射層と、LED素子から出射された光を受けて異なる波長の光を出射する波長変換素子とを有するLED装置に関する。この実施の形態のLED装置100の構造の例を、図1〜図3の概略断面図に示す。
図1〜図3に示すように、LED装置100は、基板1と、基板1に実装されたLED素子2と、基板1のLED素子実装領域外に形成された反射層21を有する本体部10と、本体部10とは別個に形成されLED素子2の光出射面に近接または接して、あるいは光出射側に離れて設けられた波長変換素子30とを有して構成されている。図1及び図2に示すように、このLED装置100の例は、キャビティ(凹部)6を有する基板1を有して構成されている。また、図3に示すように、このLED装置の例は平板状の基板1を有して構成されている。
以下に、LED装置100を、本体部10と波長変換素子30とに分けて詳細に説明する。
〈2.本体部〉
この実施の形態の本体部10の構造の例を図4〜7に示す。図4〜7に示すように、本体部10は、前記のように基板1と、基板1に実装されたLED素子2と、基板1のLED素子実装領域外に形成された反射層21を有して構成されている。
以下に、本体部10の構成の詳細について説明する。この説明は、基板1、LED素子2、反射層21について行うが、本体部10の構成は、これらのものに限定されるものではない。
(1)基板について
本体部10を構成する基板1は、図6に示すように、典型的には平板状であるが、例えば、主面にキャビティ6(凹部)を有していてもよい。キャビティ6の形状は特に制限されるものではないが、例えば、図4及び図5に示すような円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等であってもよい。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、例えば、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
また、基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。この中でも、酸化チタン(TiO)は、結晶形態がルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型の中から適宜選ばれる。
基板1には、通常、メタル部(メタル配線)3が配設される。メタル部3は、例えば、銀等の金属からなり、電極(不図示)とLED素子2とを電気的に接続する役割を果たす。
(2)LED素子について
LED素子2は、基板1に配設されたメタル部3と接続されて、基板1上に固定される。
LED素子2は、例えば、図4に示すように、基板1に配設されたメタル部3と、配線4を介して接続されてもよい。また、図5、6に示すように、基板1に配設されたメタル部3と、突起電極5を介して接続されてもよい。LED素子2が配線4を介してメタル部3に接続される態様をワイヤボンディング型といい、LED素子2が突起電極5を介してメタル部3に接続される態様をフリップチップ型という。
LED素子2が出射する光の波長は特に制限されるものではないが、LED素子2は、例えば、青色光(波長420nm以上485nm以下程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されるものではないが、LED素子2が、例えば、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体でありうる。LED素子2は、例えば、200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、例えば、通常50μm以上200μm以下程度である。図4〜6に示される本体部10には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されていてもよい。
(3)反射層について
反射層21は、有機ケイ素化合物の硬化物と光散乱粒子とを含んで形成される。反射層21は、LED素子2からの出射光及び/または波長変換素子30に含まれる蛍光体粒子層32が発する蛍光を、LED装置100の光取り出し面側に反射する層である。反射層21が配設されることで、LED装置100の光取り出し面から取り出される光量が増加する。
反射層21は、基板1の表面のうち、LED素子2の実装領域以外に形成される。LED素子2の実装領域とは、LED素子2の発光面、及びLED素子2とメタル部3との接続部をいう。つまり、反射層21は、LED素子2からの光の出射、及びLED素子2とメタル部3との接続を阻害しない領域に形成される。反射層21は、例えば、図6に示すように、LED素子2の周辺領域のみに形成されてもよいし、また、例えば、図5に示すように、LED素子2の周辺領域だけでなく、基板1とLED素子2との間にも反射層21が形成されてもよい。反射層21が基板1とLED素子2との間にも形成されると、LED素子2の裏面側に回り込む光を反射層21が反射する。そのため、LED装置100からの光取り出し効率が高まる。
また、図4及び図5に示すように、基板1がキャビティ6を有する場合、キャビティ内壁面6aにも、反射層21が形成されることが好ましい。反射層21がキャビティ内壁面6aに形成されると、例えば、波長変換素子30の表面に水平な方向に進む光を、反射層21で反射させて、取り出すことができる。
反射層21の厚みは、例えば、5μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上20μm以下である。反射層21の厚みが、30μmを超えると、反射層21にクラックが発生しやすくなる。一方で、反射層21の厚みが5μm未満であると、反射層21の光反射性が十分ではなくなり、光取り出し効率が高まらない場合がある。
このLED装置100の反射層21を、後述する材料を適宜選択して、前述のようにして構成すると、無機微粒子からなる光散乱粒子が、セラミックバインダ(有機ケイ素化合物の硬化物)で結着された層となる。そのため、LED素子2からの熱や光を受けても、反射層21が分解し難い。また、硫化水素等と接触しても、反射層21が腐食しない。したがって、本発明のLED装置100では、反射層21の光反射性が長期に亘って変化することがなく、LED装置100の良好な光取り出し性が長期間維持される。
このため、従来のLED装置における反射層において生じていた、LED装置の長期間使用による、樹脂の劣化、もしくは金属メッキの腐食によるLED装置からの光取り出し効率が低下する、との問題を解決することができる。また、同様に生じていた、金属メッキを樹脂層で保護しても、樹脂層が光や熱で劣化するため、金属メッキの腐食を抑制できない、との問題も解決することができる。ここで、金属メッキの変色は、LED装置外部の硫化水素ガス等により起こり、また、樹脂層の劣化は、LED素子からの出射光や熱等により起こる。
以下に反射層21を構成する各材料について詳しく説明する。説明は、[I]有機ケイ素化合物の硬化物及び[II]光散乱粒子、ならびに添加材について行う。また、添加物は、[III]金属酸化物微粒子、[IV]金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物及び[V]粘土鉱物の詳細について行うが、反射層21を構成する材料は、これらのものに限定されるものではない。
[I]有機ケイ素化合物の硬化物(バインダ)
反射層21には、有機ケイ素化合物の硬化物(以下、「バインダ」ともいう)が含まれる。有機ケイ素化合物の硬化物は、反射層21に含まれる粒子等を結着させる作用を有する。有機ケイ素化合物の硬化物は、例えば、(i)ポリシラザンオリゴマーの硬化物であるポリシラザン、並びに(ii)シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの硬化物であるポリシロキサンでありうる。
反射層21に含まれるバインダの量は、反射層21の全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。バインダの量が、5質量%未満であると、膜の強度が十分とならない場合がある。一方、バインダの含有量が40質量%を超えると相対的に光散乱粒子の量が減少する。そのため、反射層21の光反射性が十分とならない場合がある。
以下に、有機ケイ素化合物の硬化物の例について説明する。この説明は、ポリシラザンとポリシロキサンとの詳細について行うが、有機ケイ素化合物の硬化物は、これらのものに限定されるものではない。
(i)ポリシラザン
ポリシラザンは、一般式(I):(RSiNRで表されるポリシラザンオリゴマーの重合物(硬化物)でありうる。一般式(I)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基、アリール基、ビニル基、またはシクロアルキル基を表すが、R、R、Rのうち少なくとも1つは水素原子であり、好ましくはすべてが水素原子である。nは1〜60の整数を表す。ポリシラザンオリゴマーの分子形状はいかなる形状であってもよく、例えば、直鎖状または環状であってもよい。
ポリシラザンは、前記式(I)で表されるポリシラザンオリゴマーを、必要に応じて反応促進剤、及び溶媒の存在下、加熱、エキシマ光処理、UV光処理すること等で得られる。
(ii)ポリシロキサン
ポリシロキサンは、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、または4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体(硬化物)でありうる。
ポリシロキサンは、例えば、3官能シラン化合物を単独で重合させて重合体としてもよいし、4官能シラン化合物と3官能シラン化合物とを所望のモル比率で予め混合し、ランダムに重合させてもよい。また3官能シラン化合物を単独である程度重合させてオリゴマーとした後、このオリゴマーに4官能シラン化合物のみを重合させる等して、ブロック共重合体としてもよい。
4官能シラン化合物の例には、下記一般式(II)で表される化合物が含まれる。
Si(OR …(II)
前記一般式(II)中、Rはそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
4官能シラン化合物の具体例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランテトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのアルコキシシラン、またはアリールオキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
3官能シラン化合物の例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
Si(OR …(III)
前記一般式(III)中、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、Rは、水素原子またはアルキル基を表す。
3官能シラン化合物の具体例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。
これらの3官能シラン化合物の一般式(III)で表されるRがメチル基であると、反射層21表面の疎水性が低くなる。
ポリシロキサンは、前記シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーを、必要に応じて酸触媒、水、及び溶媒の存在下、加熱処理すること等で得られる。
[II]光散乱粒子
反射層21に含まれる光散乱粒子は、光拡散性の高い粒子であれば、特に限定されるものではないが、例えば、光散乱粒子の全反射率は、80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは90%以上である。全反射率は日立ハイテク社製、日立分光光度計U4100により測定できる。
光散乱粒子の例には、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化チタン(TiO)、窒化ホウ素(BrN)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化アルミニウム(Al)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が含まれる。好ましい光散乱粒子の例には、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上が含まれる。この中でも、酸化チタン(TiO)は、結晶形態がルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型の中から適宜選ばれる。前記に挙げた粒子は、全反射率が大きく、取り扱い易いことを特徴としている。反射層21には、光散乱粒子が1種のみ含まれてもよく、また2種以上が含まれてもよい。
光散乱粒子の平均一次粒径は、例えば、100nmより大きく20μm以下であることが好ましく、100nmより大きく10μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200nmよりも大きく2.5μm以下である。本発明における平均一次粒径とは、レーザー回折式粒度分布計で測定されるD50の値をいう。レーザー回折式粒度分布測定装置の例には、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等がある。
反射層21に含まれる光散乱粒子の量は、例えば、反射層21の全質量に対して60質量%以上95質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。光散乱粒子の量が60質量%未満であると、反射層21の光反射性が十分とならず、光取り出し効率が高まらない場合がある。一方、光散乱粒子の含有量が95質量%を超えると、相対的にバインダの量が少なくなり、反射層21の強度が低くなるおそれがある。
[III]金属酸化物微粒子
反射層21には、金属酸化物微粒子が含まれてもよい。反射層21に金属酸化物微粒子が含まれると、反射層21に含まれる光散乱粒子同士の隙間が埋まるため、反射層21の強度が高まり、反射層21にクラックが生じ難くなる。
金属酸化物微粒子を構成する材料は、特に制限はないが、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、膜強度が高くなるとの観点から、酸化ジルコニウム微粒子が含まれることが好ましい。反射層21には、金属酸化物微粒子が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
金属酸化物微粒子は、表面がシランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されたものであってもよい。金属酸化物微粒子の表面が処理されていると、金属酸化物微粒子が反射層21中に均一に分散されやすくなる。
金属酸化物微粒子の平均一次粒径は5nm以上100nm以下であり、好ましくは5nm以上80nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下である。金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nm以下であると、光散乱粒子同士の隙間に金属酸化物微粒子が入り込みやすくなり、反射層21の膜強度が高まりやすい。また、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が5nm以上であると、凝集を起こさず均一に分散させることが可能となる。また、金属酸化物微粒子は、例えば、前記の平均一次粒径の範囲であれば、光散乱粒子として前記に挙げた材料を用いることもできる。
反射層21に含まれる金属酸化物微粒子の量は、反射層21の全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以上10質量%以下である。金属酸化物微粒子の含有量が0.5質量%未満であると、膜の強度が十分に高まらない。一方、金属酸化物微粒子の含有量が30質量%を超えると、相対的にバインダの量が少なくなり、膜強度が低下するおそれがある。
[IV]金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物
反射層21には、例えば、Si元素以外の2価以上の金属元素の金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物が含まれてもよい。反射層21に金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物が含まれると、反射層21と基板1との密着性が高まる。これは、金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属が、基板1の表面の水酸基と、メタロキサン結合を形成するためであると考えられる。
反射層21に含まれる、金属アルコキシドまたは金属キレート由来の金属元素(Si元素を除く)の量は、反射層21に含まれるSi元素のモル数に対して、例えば、0.5モル%以上20モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1モル%以上10モル%以下である。金属元素の量が、例えば、0.5モル%未満であると、反射層21と基板1との密着性が高まらない。一方、反射層21に含まれる、金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物量が多くなると光散乱粒子の含有量が相対的に減少するため、反射層21の光反射性が低下するおそれがある。金属元素の量、及びSi元素の量は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で算出できる。
金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属元素の種類は、2価以上の金属元素(Siを除く)であれば特に制限されないが、4族または13族の元素であることが好ましい。すなわち、金属アルコキシドまたは金属キレートは、具体的には、下記の一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
Mm+XnYm−n (V)
一般式(V)中、Mは4族または13族の金属元素を表し、mはMの価数(3または4)を表す。Xは加水分解性基を表し、nはX基の数(2以上4以下の整数)を表す。ただし、m≧nである。Yは1価の有機基を表す。
一般式(V)において、Mで表される4族または13族の金属元素は、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、チタンであることが好ましく、ジルコニウムであることが特に好ましい。ジルコニウム元素を含むアルコキシドまたはキレートの硬化物は、一般的なLED素子の発光波長域(例えば、特に青色光(波長420〜485nm))に吸収波長を有さない。そのためジルコニウムのアルコキシドまたはキレートの硬化物に、LED素子2からの光等が吸収され難いといえる。
一般式(V)において、Xで表される加水分解性基は、水で加水分解され、水酸基を生成する基でありうる。加水分解性基の好ましい例には、例えば、炭素数が1〜5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が含まれる。一般式(V)において、Xで表される基は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
Xで表される加水分解性基は、前述のように、例えば、金属元素が基板1の表面の水酸基等とメタロキサン結合を形成する際に、加水分解される。そのため、加水分解後に生成される化合物が中性であり、かつ軽沸となるような基が好ましい。そこで、Xで表される基は、例えば、炭素数1〜5の低級アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基、またはエトキシ基である。
一般式(V)において、Yで表される1価の有機基は、一般的なシランカップリング剤に含まれる1価の有機基でありうる。具体的には、例えば、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは6以下である脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基でありうる。Yで表される有機基は、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、及び脂環芳香族基が連結基を介して結合した基であってもよい。連結基は、例えば、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団であってもよい。
Yで表される有機基は、例えば、置換基を有してもよい。置換基の例には、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機基が含まれる。
一般式(V)で表される、アルミニウム元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトシキド、アルミニウムトリエトキシド等が含まれる。
一般式(V)で表される、ジルコニウム元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が含まれる。
一般式(V)で表されるチタン元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンラクテート、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンアセチルアセトネート等が含まれる。
ただし、前記で例示した金属アルコキシドまたは金属キレートは、入手容易な市販の有機金属アルコキシドまたは金属キレートの一部である。科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表に示される金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物も、本発明に適用し得る。
[V]粘土鉱物
反射層21には、例えば、粘土鉱物が含まれてもよい。粘土鉱物は基本的には限定されるものではなく、従来公知のものから適宜選択することができるが、例えば、組成式:SiO・Al・2HO:(OH)AlSiOHで示されるアルミニウムケイ酸塩化合物などが好ましい。アルミニウムケイ酸塩の例には、イモゴライトと称されるチューブ状のアルミニウムケイ酸塩がある。イモゴライトとは、例えば、外径が2.0nm以上2.5nm以下、内径が1.0nm以上1.5nm以下、長さが20nm以上6μm以下のチューブ状の形態を有する。また、アルミニウムケイ酸塩化合物が繊維状であると、クラック抑制効果が高まるので好ましい。また、反射層21中における粘土鉱物の含有量は、例えば、反射層21の全質量に対して1重量%以上15重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2重量%以上10重量%以下である。この粘土鉱物が、反射層21に含まれることによって、反射層21の結着強度を増加させることができる。
〈2.波長変換素子〉
波長変換素子30は、LED素子2から出射された光を受けて異なる波長の光を出射する素子である。例えば、LED素子2が青色の光を、この青色の光を受けて波長変換素子30が黄色の光を出射し、LED装置からはこれらの光が合成された白色の光が出射される。
波長変換素子30は、本体部10とは別個に形成された後に、本体部10の光出射側に設けられる。波長変換素子30をLED装置100に設ける方法は、基本的には限定されるものではないが、LED素子2に接して設けられる場合には、例えば、図1、図3に示すようにLED素子2の光出射面にバインダなどで直接貼り付けられるなどして設けられる。また、LED素子2とは離れて設けられる場合にあっては、例えば、図2に示すように、キャビティ6を有する基板1の光出射側の端面上に同様に貼り付けられるなどして設けられる。キャビティを塞ぐようにして波長変換素子30が設けられると、LED素子2が収納されているキャビティ6内の部分と波長変換素子30とに囲まれる領域には密閉空間40が形成される。そうすると、LED素子2は密閉空間40に内包され、外気の酸素や湿度による劣化が抑制される。
密閉空間40は、透明基板31の屈折率よりも低い低屈折率層とすることが好ましい。低屈折率層としては、例えば、気体が充填された気体層や空気層、樹脂層とすることが好ましい。気体層としては、例えば窒素等の気体がパージされることが好ましい。低屈折率層を気体層とすることによって、蛍光体粒子層32から透明基板31側へ放射した光がキャビティ6のキャビティ内壁面6aにより全反射されやすく、蛍光体からの出射光の利用効率が高い配置となる。
波長変換素子30は、蛍光体粒子層32と透光性セラミック層34とを有していれば、基本的にはどのように構成されていてもよいが、例えば、透明基板31上に蛍光体粒子層32が形成された積層構造を有することが好ましい。また、例えば、波長変換素子30から拡散して光が出射するように、光散乱層33が透明基板上にさらに設けられた積層構造を有することがより好ましい。また、LED素子2の光出射面上に波長変換素子30を設ける場合などの密着性を向上させるために、透光性セラミック層34が透明基板上に設けられた積層構造を有することがより好ましい。透光性セラミック層34は、波長変換素子30の少なくとも一方の主面を形成する。蛍光体粒子層32と、光散乱層33及び/または透光性セラミック層34との積層体は波長変換層35となる。波長変換層35は、蛍光体粒子層32を少なくとも有していればよく、また、例えば、波長変換層35を構成する各層は複数であってもよい。
この波長変換層35の積層の組み合わせとしては、基本的に限定されるものではないが、例えば、以下のような形態が挙げられる。まず第1に、図7(a)に示すような、透明基板31側から、蛍光体粒子層32、光散乱層33、透光性セラミック層34の順に形成された積層構造が挙げられる。第2に、図7(b)に示すような積層構造が挙げられる。第3に、図7(c)に示すような、透明基板31の一方の面上に光散乱層33が形成され、他方の面上に、蛍光体粒子層32、透光性セラミック層34の順に形成された積層構造が挙げられる。
波長変換素子30は、LED素子2から出射する光が、蛍光体粒子層32に入射するように配置されれば、基本的にはどのように配置されてもよいが、例えば、LED素子2の光出射面と波長変換素子30の光入射面とがたがいに対向して配置されることが好ましい。波長変換素子30の光入射面は、基本的には限定されるものではないが、例えば、透光性セラミック層34であることが好ましい。また、波長変換素子30は、LED素子2に接して設けられていてもよいし、LED素子2と一定間隔をおいて離れて設けられていてもよい。
以下に波長変換素子を構成する各層について詳しく説明する。
(1)透明基板
透明基板は光を透過可能な基板であれば、基本的には限定されるものではないが、例えば、無機材料からなる基板、樹脂材料からなる基板などが挙げられる。無機材料からなる基板としては、具体的には、例えば、ガラス基板が挙げられ、具体的には、例えば、低融点ガラス基板、金属ガラス基板などが挙げられる。樹脂材料からなる基板としては、例えば、アクリル基板、PET基板などが挙げられ、特に耐熱性を有する樹脂基板が好ましい、耐熱性を有する樹脂基板としては、ポリイミド基板、ポリイミドの誘導体からなる基板、ポリアミド基板、ポリアミドの誘導体からなる基板、ポリアミドイミド基板、ポリアミドイミドの誘導体からなる基板などが挙げられる。
また、透明基板31の面上に形成される層は基本的には限定されるものではなく、例えば、前記に挙げた層を適宜選択して形成することができるが、好ましくは、蛍光体粒子層32及び/または光散乱層33が形成される。ここでいう、面とは主面であり、例えば、透明基板31が平板形状を有する場合にあっては、他の面よりも相対的に大きな面積を有する主たる面のことを言う。また、前記の層は透明基板の一の面に形成されてもよいし、複数の面に形成されてもよく、例えば、対向する面などに設けられてもよい。また、一般的に、透明基板31の屈折率は、蛍光体粒子層32の屈折率より小さい。そのため、LED装置100が透明基板31を有すると、例えば。蛍光体粒子層32、透明基板31、大気の順に緩やかに屈折率が低下する。つまり、LED装置100が透明基板31を有すると、各層同士の界面で反射する光の量が少なくなり、LED装置100の光取り出し効率が高まる。
(2)蛍光体粒子層
蛍光体粒子層32は、波長変換素子30に入射した光の波長変換を実際に行う層である。蛍光体粒子層32は、例えば、蛍光体、膨潤性粒子、無機粒子(無機微粒子)、及び溶媒等を含む混合液(蛍光体粒子層形成用組成物)を塗布し、加熱(乾燥)して得られる層である。蛍光体粒子層形成用組成物には、通常、バインダ成分が含まれない。そのため、蛍光体粒子層形成用組成物内で、蛍光体粒子が沈降し難く、蛍光体粒子層表面に均一な濃度で蛍光体粒子を配置することができる。つまり、得られるLED装置の照射光の色度が均一となる。また、複数のLED装置を製造した場合にも、各LED装置の照射光の色度を均一にすることができる。
蛍光体粒子、膨潤性粒子及び無機粒子(無機微粒子)は後述において詳しく説明する。
蛍光体粒子層32に含まれる蛍光体粒子は、粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる反面、有機金属化合物との界面に生じる隙間が大きくなって形成された蛍光体粒子層32の膜強度が低下する。したがって、発光効率と有機金属化合物との界面に生じる隙間の大きさを考慮し、蛍光体としては好ましくは平均一次粒径が1μm以上50μm以下のものを用いる。蛍光体の平均一次粒径は、たとえばコールターカウンター法によって測定することができる。
蛍光体粒子層32の厚みは、例えば、5μm以上200μm以下であることが好ましい。蛍光体粒子層32の厚みの下限値については限定されるものではないが、蛍光体粒子より蛍光体粒子層32の厚みが厚いと、水分の浸透防止効果を得ることができ蛍光体粒子の劣化を抑制することができる。蛍光体粒子層32の厚みの上限値を200μmとするのは、当該厚みがこの値を超えると蛍光体粒子層32にクラックが発生する可能性があるため、これを防止するという趣旨である。また、当該厚みがこの値を超えると蛍光体粒子層32中の蛍光体粒子の濃度が過剰に低くなるので、蛍光体粒子の濃度が均一にならなくなる。
蛍光体粒子層32は、波長変換層35が上述したような積層構造を構成するように適宜、積層して形成される。LED素子2からの出射された光が蛍光体粒子層32に入射すると、蛍光体粒子層32は、LED素子2が発する光(励起光)を受けて、蛍光を発する。そして、この蛍光と励起光とが混ざることで、LED装置100の光取り出し部から出射される光が所望の光となる。例えば、LED素子2が出射する光が青色であり、蛍光体粒子層32に含まれる蛍光体が発する蛍光が黄色であると、LED装置100の光取り出し部から出射される光は白色となる。
(3)光散乱層
光散乱層33は、有機ケイ素化合物の硬化物と光散乱粒子とを含んで形成される。光散乱層33は、LED素子2からの出射光及び/または波長変換素子30に含まれる蛍光体粒子層32が発する蛍光を、透過時に拡散させて波長変換素子30の光出射面側に出射する層である。この光散乱層33が波長変換素子30に加わることによって、波長変換素子30から出射される光の配向特性がよくなり、波長変換素子30から出射される光の色度ばらつきが減る。
光散乱層33は、反射層21を構成する材料として前記に挙げたものと同様な材料(金属酸化物微粒子、金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物など)によって構成することができるが、LED装置100の光取り出し面側に光を出射するために、反射層21よりも光透過率(可視光透過率)が高くなるように構成されることが好ましい。このような構成は、例えば、光散乱層33内の光散乱粒子の含有量が、光散乱層33の全質量に対して0.5重量%以上50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上45重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以上40重量%以下である。光散乱粒子の濃度が50重量%を超えると、LED素子2や蛍光体粒子層32から出射された光が光散乱層33で反射してLED装置内に戻され、出射効率が低くなる。光散乱粒子の濃度が0.5%以下ではLED素子2や蛍光体粒子層32から出射された光を散乱する効果が低く、LED装置内の色度均一性を向上させることができない。
光散乱粒子は、反射層に用いるものとして前記に挙げたものを適宜選択することができるが、例えば、光散乱粒子の平均一次粒径は、100nmより大きく20μm以下であることが好ましく、100nmより大きく10μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200nmよりも大きく2.5μm以下である。
また、光散乱層33は、前記に挙げた金属酸化物微粒子を含まれてもよい。光散乱層33に含まれる金属酸化物微粒子の含有量は、例えば、光散乱層33の全質量に対して、0.5重量%以上30重量%以下の範囲であることが好ましい。また、この金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、例えば、5nm以上100nm以下であり、好ましくは5nm以上80nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下である。
また、光散乱層33は、前記に挙げた金属アルコキシドまたは金属キレートが含まれてもよい。光散乱層33に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレートの含有量は、例えば、光散乱層33の全質量に対して、0.5重量%以上15重量%以下の範囲であることが好ましい。
また、光散乱層33は、前記に挙げた粘土鉱物が含まれてもよい。粘土鉱物は、基本的には限定されるものではなく、従来公知のものから適宜選択することができるが、例えば、組成式:SiO・Al・2HO:(OH)AlSiOHで示されるアルミニウムケイ酸塩化合物などが好ましい。アルミニウムケイ酸塩の例には、イモゴライトと称されるチューブ状のアルミニウムケイ酸塩がある。イモゴライトとは、例えば、外径が2.0nm以上2.5nm以下、内径が1.0nm以上1.5nm以下、長さが20nm以上6μm以下のチューブ状の形態を有する。また、アルミニウムケイ酸塩化合物が繊維状であると、クラック抑制効果が高まるので好ましい。また、光散乱層33中における粘土鉱物の含有量は、例えば、1重量%以上15重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2重量%以上10重量%以下である。この粘土鉱物が、光散乱層33に含まれることによって、光散乱層33の結着強度を増加させることができる。
(4)透光性セラミック層
透光性セラミック層34は、波長変換素子30の少なくとも一方の面の全体を覆うようにして設けられる。透光性セラミック層34は、例えば、波長変換素子30の封止層(保護層)として機能する。透光性セラミック層34が設けられることによって、蛍光体粒子層32、光散乱層33を保護することができ、例えば、蛍光体粒子層32へ侵入する水分などを遮断することができる。透光性セラミック層34は、例えば、波長変換素子30がLED素子2の光出射面に接して設けられる場合には、LED素子2と波長変換素子30との接合層としても機能する。このとき、透光性セラミック層34は、本体部10との接合の際に用いられるバインダと電気的に親和性の高いものであることが好ましい。
透光性セラミック層34の厚みは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上2μm以下である。透光性セラミック層34の厚みが0.5μm未満であると、前述の接合層としての機能が十分とならない場合がある。一方、透光性セラミック層34の厚みが10μmを超えると、透光性セラミック層34にクラックが生じやすく、この場合も腐食抑制効果が十分に得られないおそれがある。透光性セラミック層34の厚みとは、LED素子2の発光面上に形成された透光性セラミック層34の最大厚みを意味する。透光性セラミック層34の厚みは、レーザホロゲージで測定される。
2.LED装置の製造方法
次に、本発明のLED装置の製造方法について説明する。まず、LED装置100の本体部10の製造方法について説明する。LED装置100は、本体部10と波長変換素子30とをそれぞれ別個に製造し、これらを一体に接合することで製造される。ここで、まず本体部10の製造方法について説明する。
〈1.本体部の作製〉
ここで、まず本体部10の製造方法について図面を参照しながら説明する。
本体部10の製造方法には、例えば、LED素子2を実装してから、反射層21を形成する(1)第1の態様と、LED素子2を実装する前に、反射層21を形成する(2)第2の態様と、が含まれる。
(1)第1の態様
LED素子2を実装してから、反射層21を形成する場合の本体部10の製造方法は、基本的には限定されるものではないが、例えば、以下の2工程を含んで形成することができる。
(A)基板にLED素子を実装する工程
(B)基板上に反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる工程
このようにして製造された本体部10に、別個に製造された波長変換素子30が接合される。
本態様では、基板1にLED素子2を実装してから、反射層21を形成する。そのため、LED素子2の発光面上に反射層形成用組成物が付着しないように、反射層形成用組成物を塗布する。このとき、LED素子の発光面だけでなく、基板1のメタル部領域も避けて、反射層形成用組成物を塗布してもよい。
(A)の工程
基板1に配設されたメタル部3,3’と、LED素子2とを接続し、基板1上にLED素子2を固定する。LED素子2とメタル部3とは、例えば、図4に示されるように、配線4を介して接続してもよく、図5に示されるように、突起電極5を介して接続してもよい。
(B)の工程
(A)の工程で実装されたLED素子2の発光面やメタル部3,3’の表面に反射層形成用組成物が付着しないように、反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる。反射層形成用組成物の塗布・硬化方法には、例えば、以下の2つの方法がある。
(i)LED素子2の発光面やメタル部3,3’を保護しながら、基板1上に反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(ii)LED素子2の発光面やメタル部3,3’を保護せずに、所望の領域にのみ反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(i)の方法では、反射層を形成しない領域;つまりLED素子2の発光面やメタル部3,3’等を保護する。保護方法は、特に制限されず;例えば図8に示されるように、板状マスク41でLED素子2の発光面やメタル部3,3’を覆ってもよい。またLED素子2やメタル部3,3’を覆うように、基板1上にキャップを配置してもよい。
マスク等で所望の領域を保護した後、基板1上に反射層形成用組成物を塗布する。反射層形成用組成物を塗布する手段は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、スプレー塗布法でありうる。塗布手段がスプレー塗布であると、薄い厚みで反射層21を形成可能である。また基板1がキャビティ6を有する場合に、そのキャビティ内壁面6aに反射層形成用組成物を塗布しやすい。
基板1に反射層形成用組成物を塗布した後、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる。反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる際の温度は、例えば、20℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは25℃以上150℃以下である。温度が20℃未満であると、溶媒が十分に揮発しない可能性がある。一方、温度が200℃を超えると、LED素子2に悪影響を及ぼす可能性がある。また、乾燥・硬化時間は、製造効率の面から、例えば、0.1分以上30分以下であることが好ましく、より好ましくは0.1分以上15分以下である。有機ケイ素化合物がポリシラザンオリゴマーである場合には、波長170nm以上230nm以下の範囲のUV放射線(例えばエキシマ光)を塗膜に照射して硬化させた後に、さらに加熱硬化を行うことで、より緻密な膜が形成される。反射層形成用組成物の硬化後、板状マスク41やキャップを除去する。
(ii)の方法では、LED素子2の発光面やメタル部3,3’を保護せずに、所望の領域にのみ反射層形成用組成物を塗布する。反射層形成用組成物の塗布手段は、特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、インクジェット塗布法でありうる。そして、反射層形成用組成物の塗布後、(i)の方法と同様に、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる。
前記いずれの方法においても基板1に塗布する反射層形成用組成物には、前述の有機ケイ素化合物、光散乱粒子、金属酸化物微粒子、金属アルコキシドまたは金属キレート、溶媒等が含まれる。
反射層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、ポリシラザンオリゴマーである場合、反射層形成用組成物におけるポリシラザンオリゴマーの濃度は高い方が好ましい。ただし、これらの濃度が高すぎると反射層形成用組成物の保存安定性が低下する。そのため、ポリシラザンオリゴマーの量は、例えば、反射層形成用組成物の全質量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
また、反射層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーである場合、反射層形成用組成物に含まれるシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの量も、例えば、反射層形成用組成物の全質量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。なお、シラン化合物のオリゴマーの調製方法については、後述する。
反射層形成用組成物に含まれる光散乱粒子の量は、例えば、反射層形成用組成物の固形分全質量に対して、例えば、60質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上90質量%以下である。光散乱粒子の量が60質量%未満であると、得られる反射層21の光反射性が不十分となる場合がある。一方、光散乱粒子の量が95質量%を超えると、得られる反射層21において、バインダ量が相対的に少なくなり、反射層21の強度が低くなる場合がある。
反射層形成用組成物に含まれる金属酸化物微粒子の量は、例えば、反射層形成用組成物の固形分全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上10質量%以下である。金属酸化物微粒子の量が30質量%を超えると、得られる反射層21において、バインダ量が相対的に少なくなり、反射層21の強度が低くなる場合がある。
反射層形成用組成物に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレートの量は、例えば、反射層形成用組成物の固形分全質量に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下である。金属アルコキシドまたは金属キレートの量が1質量%未満であると、得られる反射層21と基板1との密着性が高まり難い。一方、金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物の量が30質量%を超えると、得られる反射層21において、相対的にバインダ成分の量が低下し、強度が低下する場合がある。
反射層形成用組成物に含まれる溶媒は、有機ケイ素化合物を溶解または分散可能なものであれば特に制限はない。溶媒は、例えば、水との相溶性に優れた水性溶剤であってもよく、また、水との相溶性が低い非水性溶剤であってもよい。
反射層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、ポリシラザンオリゴマーである場合、溶媒は例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エーテル類、エステル類でありうる。具体的には、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルフルオライド、クロロホルム、四塩化炭素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル等が挙げられる。
一方、反射層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーである場合、溶媒は特に制限はないが、例えば、アルコール類が好ましく、特に多価アルコールが好ましい。反射層形成用組成物にアルコールが含まれると、反射層形成用組成物の粘度が高まり、光散乱粒子の沈殿を抑制できる。多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が含まれ、特にエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、または1,4−ブタンジオールであることが好ましい。
反射層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がいずれである場合においても、反射層形成用組成物に含まれる溶媒は、沸点が250℃以下であることが好ましい。溶媒の沸点が高すぎると、溶媒の蒸発が遅くなる。
反射層形成用組成物に含まれる溶媒の含有量は、反射層形成用組成物の全質量に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
反射層形成用組成物には、有機ケイ素化合物(特にポリシラザンオリゴマー)と共に、反応促進剤が含まれてもよい。反応促進剤は、酸または塩基のいずれであってもよい。反応促進剤の例には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリエチルアミン等のアミン;塩酸、シュウ酸、フマル酸、スルホン酸、及び酢酸等の酸;ニッケル、鉄、パラジウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウムを含む金属カルボン酸塩等が含まれる。反応促進剤は、金属カルボン酸塩であることが、特に好ましい。反応促進剤の添加量は、ポリシラザンオリゴマーの質量に対して0.01mol%以上5mol%以下であることが好ましい。
また、反射層形成用組成物には、例えば、粘土鉱物が含まれてもよい。粘土鉱物はバインダである有機ケイ素化合物にあらかじめ混合してもよいし、反射層形成用組成物を調製したあとに添加してもよい。粘土鉱物は基本的には限定されるものではなく、従来公知のものから適宜選択することができるが、例えば、組成式:SiO・Al・2HO:(OH)AlSiOHで示されるアルミニウムケイ酸塩化合物などが挙げられる。アルミニウムケイ酸塩の例には、イモゴライトと称されるチューブ状のアルミニウムケイ酸塩がある。イモゴライトとは、例えば、外径が2.0nm以上2.5nm以下、内径が1.0nm以上1.5nm以下、長さが20nm以上6μm以下のチューブ状の形態を有する。また、アルミニウムケイ酸塩化合物が繊維状であると、クラック抑制効果が高まるので好ましい。また、反射層形成用組成物中における含有量は、固形分全質量に対して、0.5重量%以上15重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以上10重量%以下である。この粘土鉱物を含んだ反射層形成用組成物で反射層21を形成することによって反射層21の膜強度を向上させることができる。
図9に、反射層形成用組成物を塗布するためのスプレー装置の概略を示す。図9に示すスプレー塗布装置200において、反射層形成用組成物は、塗布液タンク210に供給される。この塗布液タンク210内の反射層形成用組成物は、圧力をかけられて、連結管230を通じてヘッド240に供給される。ヘッド240に供給された反射層形成用組成物は、ノズル250から吐出されて、基板1上に塗布される。ノズル250からの反射層形成用組成物の吐出は、例えば、コンプレッサーなどによる風圧によって行われる。ノズル250の先端に開閉自在な開口部を設けて、この開口部を開閉操作して、吐出作業のオン・オフを制御する構成としてもよい。
前記スプレー装置による反射層形成用組成物の塗布時には、下記[1]〜[6]の操作や条件設定などを行うことが好ましい。
[1]ノズル250の先端部を基板1の直上に配置して反射層形成用組成物を基板1の真上から噴射する。基板1がキャビティ6を有する場合には、斜め上方から反射層形成用組成物を噴射し、噴射後の反射層形成用組成物をキャビティ内壁面6aに付着させてもよい。また、反射層形成用組成物の噴射は、基板1とノズル250とを相対的に移動させながら行ってもよい。
[2]反射層形成用組成物の噴射量を、組成物の粘度や、反射層21の厚みに応じて制御する。同一の条件で塗布をする限り、噴射量を一定とし、単位面積当たりの塗布量を一定とする。反射層形成用組成物の噴射量の経時的なバラツキは10%以内とし、好ましくは1%以内とする。反射層形成用組成物の噴射量は、基板1に対するノズル250の相対移動速度と、ノズル250からの噴射圧力などで調整する。一般的には、反射層形成用組成物の粘度が高い場合に、ノズル250の相対移動速度を遅くして、かつ噴射圧力を高く設定する。ノズルの相対移動速度は通常は約30mm/s以上200mm/s以下であり;噴射圧力は通常は約0.01MPa以上0.2MPa以下である。
[3]必要に応じて、ノズル250の温度を調整し、反射層形成用組成物の噴射時の粘度を調整する。
[4]必要に応じて、基板1の温度調整をする。基板1の温度調整機構は、基板1を載置する移動台(図示せず)に設置することができる。基板1の温度を30℃以上100℃以下とすると、反射層形成用組成物中の有機溶媒を早く揮発させることができ、反射層形成用組成物が基板1から液だれすることを抑制できる。
[5]スプレー塗布装置200の環境雰囲気(温度・湿度)を一定とし、反射層形成用組成物の噴射を安定させる。特に、反射層形成用組成物が、ポリシラザンオリゴマーを含む場合、ポリシラザンオリゴマーが吸湿して反射層形成用組成物自体が固化するおそれがある。そのため、反射層形成用組成物を噴射する際の湿度を低くすることが好ましい。
[6]反射層形成用組成物の噴射・塗布作業中に、ノズル250をクリーニングしてもよい。この場合、スプレー塗布装置200の近傍に、洗浄液を貯留したクリーニングタンクを設置する。反射層形成用組成物の噴射の休止中等に、ノズル250の先端部をクリーニングタンク中に浸漬させ、ノズル250の先端部の乾燥を防ぐ。また、噴射・塗布作業の休止中には、反射層形成用組成物が硬化してノズル250の噴射孔がつまる恐れがある。そのため、ノズル250をクリーニングタンク中に浸漬させるか、噴射・塗布作業の開始時にノズル250をクリーニングすることが好ましい。
透明基板31とノズル250との距離を大きくするほど混合物を均一に塗布することが可能であるが、蛍光体粒子層32の膜強度が低下する傾向もあるため、透明基板31とノズル250との距離を、好ましくは3cm以上30cm以下の範囲とする。
透明基板31とノズル250との距離については、使用するコンプレッサーの圧力を考慮して前記の範囲で調整可能である。本実施形態では、たとえば、ノズル250の噴出口の圧力を0.14MPaとなるように、使用するコンプレッサーの圧力を調整することができる。
以上のような塗布手法においては、反射層形成用組成物の粘度を10cp以上に調整することにより、塗布厚を均一にすることができる。
反射層形成用組成物の粘度を10cp以上1000cp以下に調整すれば、前記のようなスプレーコートでの塗布も可能となり、均一な塗布厚での塗布が可能となる。
なお、反射層形成用組成物の粘度が1000cpを超えると、塗布後において、反射層形成用組成物の凹凸やアプリケーターの移動痕(スジ)などが残ってしまい、反射層形成用組成物の塗布厚の均一性が低減する可能性があることから、反射層形成用組成物の粘度は好ましくは1000cp以下とする。
次に、シラン化合物のオリゴマーの調製方法について説明する。
反射層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマー(ポリシロキサンオリゴマー)は、以下の方法で調製できる。シラン化合物のモノマーを、酸触媒、水、有機溶媒の存在下で加水分解し、縮合反応させる。シラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量は、反応条件(特に反応時間)等で調整する。
反射層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量は、好ましくは1000以上3000以下であり、より好ましくは1200以上2700以下であり、さらに好ましくは1500以上2000以下である。反射層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量が1000未満であると、反射層形成用組成物の粘度が低くなり、反射層形成時に、液はじき等が生じやすくなる。一方、反射層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量が3000を超えると、反射層形成用組成物の粘度が高くなり、均一な膜形成が困難となる場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。
シラン化合物のオリゴマー調製用の酸触媒は、シラン化合物の加水分解時に触媒として作用するものであればよく、有機酸または無機酸のいずれであってもよい。無機酸の例には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が含まれ、リン酸及び硝酸が特に好ましい。また、有機酸の例には、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、及びn−酪酸など、カルボン酸残基を有する化合物;有機スルホン酸、及び有機スルホン酸のエステル化物(有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル)など、硫黄含有酸残基を有する化合物が含まれる。
シラン化合物のオリゴマー調製用の酸触媒は、下記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸であることが特に好ましい。
−SOH …(IV)
前記一般式(IV)において、Rで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状の飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基である。環状の炭化水素基の例には、フェニル基、ナフチル基、またはアントリル基等の芳香族炭化水素基が含まれ、好ましくはフェニル基である。また、一般式(IV)においてRで表される炭化水素基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、直鎖状、分岐鎖状、または環状の、炭素数1〜20の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;フッ素原子等のハロゲン原子;スルホン酸基;カルボキシル基;水酸基;アミノ基;シアノ基等が含まれる。
前記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸は、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホン酸であることが好ましい。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する酸触媒の量は、例えば、オリゴマー調製液全量に対して、1質量ppm以上1000質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは、5質量ppm以上800質量ppm以下である。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する水の量によって、得られるポリシロキサンの膜質が変化する。したがって、目的とする膜質に応じて、オリゴマー調製時の水添加率を調整することが好ましい。水添加率とは、オリゴマー調製液に含まれるシラン化合物のアルコキシ基またはアリールオキシ基のモル数に対する、添加する水分子のモル数の割合(%)である。水添加率は、50%以上200%以下であることが好ましく、より好ましくは75%以上180%以下である。水添加率を、50%以上とすることで、反射層の膜質が安定する。また200%以下とすることで反射層形成用組成物の保存安定性が良好となる。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等の一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、あるいはこれらのモノアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;等が含まれる。これらは1種単独で添加してもよく、また2種以上を添加してもよい。
(2)第2の態様
LED素子2を実装する前に、基板1に反射層21を形成する場合の本体部10の製造方法は、基本的には限定されるものではないが、例えば、以下の2工程を含んで形成することができる。
(A)基板の所望の領域に、反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる工程
(B)基板にLED素子を実装する工程
本態様では、基板1上に反射層21を形成してから、LED素子2を実装する。そのため、メタル部3とLED素子2との接続領域には、反射層形成用組成物が付着しないように、反射層形成用組成物を塗布する。このとき、メタル部3,3’の全領域に反射層形成用組成物が付着しないように、反射層形成用組成物を塗布してもよい。
(A)の工程
基板1の所望の領域のみに反射層21を形成する方法には、例えば、以下の3つの方法がある。
(i)メタル部3,3’の一部領域、もしくは全領域を保護しながら、基板1上に反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(ii)メタル部3,3’を保護せずに、所望の領域にのみ反射層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(iii)金型を用いて、所望の領域にのみ反射層形成用組成物を付着させ、硬化させる
方法
(i)の方法では、反射層21を形成しない領域;つまりメタル部3,3’の一部領域、もしくはメタル部3,3’の全領域を保護する。保護方法は特に制限されず、例えば、図4に示されるような本体部10においては、保護する領域(図4では、メタル部3とLED素子2との接続領域の上部)に板状マスク41を配置してもよい。また、基板1上にメタル部3,3’の一部または全部を保護するキャップを配置してもよい。さらに、メタル部3,3’上にレジストマスクを形成してもよい。
レジストマスクの形成方法を図10(a)及び(b)に示す。まず、メタル部3,3’を有する基板1上にレジスト材料51を塗布する(図10(a))。その後、反射層を形成する部分のレジスト材料51を除去して、反射層21を形成しない領域を保護するレジストマスク51’を得る(図10(b))。
レジスト材料51の塗布方法は特に制限されず、例えばスプレー塗布法やディスペンサー塗布法等でありうる。また基板1が平板状であれば、レジスト材料51の塗布をスクリーン印刷で行ってもよい。またレジスト材料51は特に制限されず、例えば一般的なナフトキノンジアジド化合物等のポジ型感光性材料やビスアジド化合物等のネガ型感光性材料等でありうる。一方、レジストの硬化方法は、レジスト材料の種類に応じて適宜選択され、特定波長の光の照射や、加熱処理等でありうる。レジスト材料の除去方法は、レジスト現像液等で溶解除去する方法等でありうる。
レジストマスク51’の形成方法は、前記方法に限定されない。例えばディスペンサー塗布法やインクジェット法で、所望の領域にのみレジスト材料51を付着させて、レジストマスク51’を形成してもよい。また、レジストマスクを形成しない領域に板状マスク41やキャップ等を配置してから、レジスト材料51を塗布してレジストマスク51’を形成してもよい。
また、レジスト材料の代わりに、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用い、マスクを形成してもよい。この場合、水溶性樹脂を、反射層21を形成しない部分に水溶性樹脂を塗布して乾燥させる。水溶性樹脂の塗布方法は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、インクジェット法等でありうる。また基板1が平板状であれば、スクリーン印刷法でもありうる。
レジストマスク51’等で所望の領域を保護した後、例えば図10(c)に示すように、基板1上に反射層形成用組成物を塗布する。反射層形成用組成物の塗布手段は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、スプレー塗布法でありうる。塗布手段がスプレー塗布であると、薄い厚みで反射層21を形成可能である。また基板1がキャビティ6を有する場合に、そのキャビティ内壁面6aに反射層形成用組成物を塗布しやすい。反射層形成用組成物の組成は、第1の態様と同様でありうる。
基板1に反射層形成用組成物を塗布した後、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる。反射層形成用組成物の乾燥・硬化方法は第1の態様と同様でありうる。反射層形成用組成物の硬化後、マスクやキャップを除去することで、所望の領域のみに反射層21が形成される(図10(d))。マスクやキャップの除去方法は、その種類に応じて適宜選択される。例えば、板状マスク41やキャップは、これを除去すればよい。一方、レジストマスク51’は、エッチングにより除去すればよい。エッチング方法は一般的なドライエッチング法、またはウェットエッチング法等でありうる。また、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂は、水で溶解除去する方法等でありうる。
(ii)の方法では、反射層21を形成しない領域を保護せずに反射層形成用組成物を塗布する。反射層形成用組成物の塗布手段は、ディスペンサー塗布法や、インクジェット塗布法でありうる。基板1が平板状であれば、反射層形成用組成物の塗布を、スクリーン印刷法で行ってもよい。そして、反射層形成用組成物の塗布後、(i)の方法と同様に、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる。
(iii)の方法では、金型を用いて所望の領域にのみ反射層形成用組成物を付着させ、硬化させる。具体的には、反射層21の形状を有する金型61を準備し、これを基板1上に配置する(図11(a))。そして、金型61内に反射層形成用組成物を注入し、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させた後(図11(b))、金型61を取り外す(図11(c))。なお、金型61の取り外し後、必要に応じて、反射層21の不要部分を削り、反射層21の形状を整えてもよい。反射層形成用組成物の乾燥・硬化温度や乾燥・硬化時間は(i)の方法と同様でありうる。
また、基板1のメタル部3,3’が基板1表面から突起している場合には、図12に示されるように、平板状の金型62を用いてもよい。具体的には、平板状の金型62を準備してメタル部3,3’上に配置する。そして、金型61と基板との間に反射層形成用組成物を注入し、反射層形成用組成物を乾燥・硬化させる。その後、金型61を取り外すことで所望の反射層21が得られる。
金型61及び62は耐溶剤性及び耐熱性を有するものであれば特に制限されず、樹脂、金属、セラミック、ゴム等、いずれの材質からなるものであってもよい。金型61には、離型剤が塗布されていることが好ましい。離型剤は、シリコーン系離型剤やフッ素化合物離型剤等でありうる。
(B)の工程
(A)の工程で形成された反射層21上に、LED素子2を配置する。このとき、反射層21が形成されていない領域のメタル部3と、LED素子2とを接続し、固定する。LED素子2とメタル部3とは、図1に示されるように、配線4を介して接続してもよく、図2に示されるように、突起電極5を介して接続してもよい。
〈2.波長変換素子の作製〉
次に、波長変換素子30の製造方法について説明する。
波長変換素子30としては、各層の積層順によって以下のように複数の態様が挙げられる。
透明基板31側から、蛍光体粒子層32、光散乱層33、透光性セラミック層34の順で積層して形成し波長変換素子30を製造する(1)第1の態様。
透明基板31側から、光散乱層33、蛍光体粒子層32、透光性セラミック層34の順で積層して形成し波長変換素子30を製造する(2)第2の態様。
透光性セラミック層34をまず形成し、そこに蛍光体粒子層32、光散乱層33の順で積層して形成し、最後に透明基板31で封止して波長変換素子30を製造する(3)第3の態様。
透明基板31の一方の側に光散乱層33を形成し、他方に蛍光体粒子層32、透光性セラミック層34を積層して形成して波長変換素子30を製造する(4)第4の態様。
(1)第1の態様
I.蛍光体粒子層の作製
まず、蛍光体粒子層32の製造方法について説明する。
蛍光体粒子層32は、(i)蛍光体、(ii)無機微粒子、(iii)膨潤性粒子、及び(iv)溶媒を含む混合液(蛍光体粒子層形成用組成物)を調製、塗布することで形成される。これらの材料について以下に詳しく説明する。
(i)蛍光体粒子について
蛍光体粒子層形成用組成物に含まれる蛍光体粒子は、LED素子が出射する光により励起されて、LED素子が出射する光とは異なる波長の蛍光を発するものであればよい。例えば、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体等がある。YAG蛍光体は、青色LEDチップ3が出射する青色光(波長420nm以上485nm以下)を受けて、黄色の蛍光(波長550nm以上650nm以下)を発する。
蛍光体粒子は、例えば、1)所定の組成を有する混合原料に、フラックス(フッ化アンモニウム等のフッ化物)を適量混合して加圧し、これを成形体とする。2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中で1350℃以上1450℃以下の温度範囲で、2〜5時間焼成し、焼結体とすることで得られる。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Ga等の酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得る。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体であってもよい。
このような蛍光体としては、(A1)又は(A2)の工程と(B)の工程とを経て形成された焼結体が好ましく使用される。
(A1)Y、Gd、Ce、Sm、Al、La及びGaの酸化物、又は高温で容易に酸化物になる化合物を、化学量論比で十分に混合して混合原料を得る。
(A2)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学量論比で酸に溶解した溶解液を蓚酸で共沈したものを焼成して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して混合原料を得る。
(B)(A1),(A2)の各工程で得られた混合原料のいずれか一方に対し、フラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して加圧し、成形体を得る。その後、成形体を坩堝に詰め、空気中1350℃以上1450℃以下の温度範囲で2〜5時間焼成して、蛍光体の発光特性を持った焼結体を得ることができる。
蛍光体粒子の平均一次粒径は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子どうしの間に生じる隙間が大きくなる。これにより、得られる蛍光体粒子層の強度が低下する場合がある。蛍光体粒子の平均一次粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
蛍光体粒子層形成用組成物に含まれる蛍光体粒子の量は、蛍光体粒子層形成用組成物の固形分全質量に対して10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上97質量%以下である。蛍光体粒子の濃度が10質量%未満であると、蛍光体粒子層から得られる蛍光の量が少なくなり、LED装置からの光が所望の色度とならない場合がある。一方、蛍光体粒子の量が97質量%を超えると、相対的に膨潤性粒子の量や、無機微粒子の量が少なくなり、膜の強度が低下する場合がある。
(ii)無機微粒子について
蛍光体粒子層形成用組成物中には、無機微粒子が含まれる。蛍光体粒子層形成用組成物中に無機微粒子が含まれると、蛍光体粒子層形成用組成物の粘度が高まる。また得られる蛍光体粒子層において、蛍光体粒子と膨潤性粒子との界面に生じる隙間が無機微粒子によって埋まり、蛍光体粒子層の膜強度が高まる。
無機微粒子の例には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の酸化物微粒子等が含まれる。無機微粒子の表面は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されていてもよい。表面処理によって、無機微粒子と、セラミックバインダとの密着性が高まる。また、無機微粒子は、比表面積の大きい多孔質の無機微粒子でありうる。
無機微粒子の粒径分布は特に制限はない。広範囲に分布していてもよく、比較的狭い範囲に分布していてもよい。なお、無機微粒子の粒径は、平均一次粒径が0.001μm以上50μm以下であることが好ましく、蛍光体粒子の一次粒径より小さいことがより好ましい。また、無機微粒子の粒径は、蛍光体粒子層の厚さより小さい範囲であることが好ましい。蛍光体粒子層の表面平滑性が高まる。無機微粒子の平均一次粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定される。
蛍光体粒子層形成用組成物に含まれる無機微粒子の量は、蛍光体粒子層形成用組成物の固形分全量に対して0.5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上65質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上60質量%以下である。無機微粒子の濃度が0.5質量%未満であると、得られる蛍光体粒子層の強度が低くなるおそれがある。また、蛍光体粒子層形成用組成物の塗布時のハンドリング性が悪化する。一方、無機微粒子の量が70質量%を超えると、相対的に蛍光体粒子の量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。さらに、無機微粒子によって光が散乱しやすくなり、LED装置からの光取り出し効率が低下する。
なお、蛍光体粒子層形成用組成物中の無機微粒子の割合が増えるほど、粘度が増加するわけではない。粘度は蛍光体粒子層形成用組成物中の溶媒量、蛍光体粒子の含有量等、その他の成分との含有比率で定まる。
(iii)膨潤性粒子について
蛍光体粒子層形成用組成物中には、膨潤性粒子が含まれる。蛍光体粒子層形成用組成物に膨潤性粒子が含まれると、蛍光体粒子層形成用組成物の粘度が高まり、蛍光体粒子の沈降が抑制される。さらに、得られる蛍光体粒子層の強度が高まる。膨潤性粒子の例には、層状ケイ酸塩鉱物、イモゴライト、アロフェン等が含まれる。層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、またはスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、特に膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましい。膨潤性粒子である層状ケイ酸塩鉱物微粒子は、蛍光体含有液中においてカードハウス構造を形成するため、蛍光体粒子層用組成物に少量含まれるだけで、粘度が高まる。また、層状ケイ酸塩鉱物微粒子は平板状を呈するため、蛍光体粒子層の膜強度が高まる。
層状ケイ酸塩鉱物の具体例には、天然または合成の、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト等のスメクタイト属粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物及びバーミキュラライトやカオリナイト、またはこれらの混合物が含まれる。
膨潤性粒子の市販品の例には、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製サポナイト類似物質)、ベンゲル(ホージュン(株)販売の天然ベントナイト)、クニビアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)等が含まれる。
膨潤性粒子は、表面アンモニウム塩等で修飾(表面処理)されたものであってもよい。膨潤性粒子の表面が修飾されていると、蛍光体粒子層用組成物における膨潤性粒子の相溶性が良好になる。
蛍光体粒子層用組成物に含まれる膨潤性粒子の量は、蛍光体粒子層用組成物の固形分全質量に対して0.3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましく0.5質量%以上15質量%以下である。膨潤性粒子の濃度が0.5質量%未満であると、蛍光体粒子層用組成物の粘度が十分に高まらず、さらに得られる蛍光体粒子層の強度が低下しやすい。一方、膨潤性粒子の濃度が20質量%を超えると、相対的に蛍光体粒子の量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。
なお、蛍光体粒子層用組成物中の膨潤性粒子の割合が増えれば増えるほど、粘度が増加するわけではない。粘度は蛍光体粒子層用組成物中の溶媒量、蛍光体粒子量等、その他の成分との含有比率で定まる。
(iv)溶媒について
蛍光体粒子層形成用組成物には、溶媒が含まれる。溶媒の例には、水、水との相溶性に優れた有機溶媒、水との相溶性が低い有機溶媒が含まれる。水との相溶性に優れた有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類が挙げられる。
溶媒に水が含まれると、膨潤性粒子が膨潤し、蛍光体粒子層形成用組成物の粘度が高まる。ただし、水に不純物が含まれると、膨潤性粒子の膨潤を阻害するおそれがある。そこで、膨潤性粒子を膨潤させる場合には、添加する水を純水とする。
また、溶媒には、エチレングリコールや、プロピレングリコール等、沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれることも好ましい。沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれると、蛍光体粒子層形成用組成物の保存安定性が向上し、蛍光体粒子層形成用組成物をスプレー塗布装置200から安定して塗布できる。一方、蛍光体粒子層形成用組成物の乾燥性の観点から、溶媒の沸点は250℃以下であることが好ましい。
(v)蛍光体粒子形成用組成物の調製・塗布、及び硬化
蛍光体粒子層形成用組成物は、蛍光体粒子、無機微粒子、膨潤性粒子、及び溶媒を混合・攪拌して調製する。撹拌は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行う。蛍光体含有液の25℃での粘度は10cP以上1000cP以下であることが好ましく、12cP以上800cP以下であることがより好ましく、20cP以上600cP以下であることがさらに好ましい。粘度は、溶媒の量や、膨潤性粒子の量、無機微粒子の量等で調整する。粘度の測定は、振動式粘度計で行う。
増粘処理(方法)としては、例えば、下記[1]〜[2]の2つを挙げることができる。[1]〜[2]の方法は単独で使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよい。
なお、増粘することができればいかなる手法を用いることも可能であり、これらに限定されるわけではない。
[1]無機微粒子を添加する方法
この方法では、前記蛍光体粒子層形成用組成物中に「無機微粒子」を添加する。
無機微粒子は、蛍光体粒子層形成用組成物の粘性を増加させる増粘効果だけでなく、有機金属化合物と蛍光体との界面に生じる隙間を埋める充填効果、及び加熱後の蛍光体粒子層32の膜強度を向上させる膜酸化効果も有する。
本発明に用いられる無機微粒子としては酸化ケイ素,酸化チタン,酸化亜鉛などの酸化物粒子や、フッ化マグネシウムなどのフッ化物粒子などが挙げられる。特に、有機金属化合物としてポリシロキサンなどの含ケイ素有機化合物を用いる場合、形成される蛍光体粒子層32に対する安定性の観点から、無機微粒子としては酸化ケイ素の酸化物粒子を用いることが好ましい。
蛍光体粒子層32中における無機微粒子の含有量は、好ましくは0.5重量%以上50重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以上40重量%以下である。
無機微粒子の含有量が0.5重量%未満になると、上述したそれぞれの効果が十分に得られない。一方、無機微粒子の含有量が50重量%を超えると、加熱後の蛍光体粒子層32の強度が低下する。
上述したそれぞれの効果を考慮して、無機微粒子は平均粒径が0.001μm以上50μm以下のものを用いることが好ましく、0.001μm以上1μm以下の範囲のものがより好ましい。無機微粒子の平均粒径は、たとえばコールターカウンター法によって測定することができる。
[2]膨潤性粒子を用いる方法
この方法では、前記蛍光体粒子層形成用組成物中に「膨潤性粒子」を添加する。蛍光体粒子層形成用組成物に膨潤性粒子が含まれると、蛍光体粒子層形成用組成物の粘度が高まり、蛍光体粒子の沈降が抑制される。さらに、得られる蛍光体粒子層の強度が高まる。膨潤性粒子の例には、層状ケイ酸塩鉱物、イモゴライト、アロフェン等が含まれる。層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、またはスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、特に膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましい。膨潤性粒子である層状ケイ酸塩鉱物微粒子は、蛍光体含有液中においてカードハウス構造を形成するため、蛍光体粒子層形成用組成物に少量含まれるだけで、粘度が高まる。また、層状ケイ酸塩鉱物微粒子は平板状を呈するため、蛍光体粒子層の膜強度が高まる。
層状ケイ酸塩鉱物の具体例には、天然または合成の、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト等のスメクタイト属粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物及びバーミキュラライトやカオリナイト、またはこれらの混合物が含まれる。この中でも、雲母構造,カオリナイト構造,スメクタイト構造などの構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましく、膨潤性に富むスメクタイト構造が特に好ましい。これは、蛍光体粒子層形成用組成物中に水を添加することで、スメクタイト構造の層間に水が進入して膨潤したカードハウス構造をとるため、蛍光体粒子層形成用組成物の粘性を大幅に増加させる効果があるためである。また、前記の粘土鉱物が蛍光体粒子層32に添加されることで、上述したように、蛍光体粒子層32の結着強度を向上させることができる。
膨潤性粒子の市販品の例には、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製サポナイト類似物質)、ベンゲル(ホージュン(株)販売の天然ベントナイト)、クニビアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)等が含まれる。
膨潤性粒子は、表面アンモニウム塩等で修飾(表面処理)されたものであってもよい。
膨潤性粒子の表面が修飾されていると、蛍光体粒子層形成用組成物における膨潤性粒子の相溶性が良好になる。
蛍光体粒子層形成用組成物に含まれる膨潤性粒子の量は、蛍光体粒子層形成用組成物の固形分全質量に対して0.3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましく0.5質量%以上15質量%以下である。膨潤性粒子の濃度が0.5質量%未満であると、蛍光体粒子層形成用組成物の粘度が十分に高まらず、さらに得られる蛍光体粒子層の強度が低下しやすい。一方、膨潤性粒子の濃度が20質量%を超えると、相対的に蛍光体粒子の量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。なお、蛍光体粒子層形成用組成物中の膨潤性粒子の割合が増えれば増えるほど、粘度が増加するわけではない。粘度は蛍光体粒子層形成用組成物中の溶媒量、蛍光体粒子量等、その他の成分との含有比率で定まる。特に、層状ケイ酸塩鉱物の蛍光体粒子層32中における含有量は、好ましくは0.5重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。層状ケイ酸塩鉱物の含有量が0.5重量%未満になると、蛍光体粒子層形成用組成物の粘性を増加させる効果が十分に得られない。一方、層状ケイ酸塩鉱物の含有量が20重量%を超えると、加熱後の蛍光体粒子層32の強度が低下する。
前記[1],[2]のように増粘剤を添加する場合は、蛍光体粒子層32の膜強度の観点から焼成後に生成される蛍光体粒子層32が5重量%以上60重量%以下になるように、増粘剤と蛍光体粒子の混合量を調整する必要がある。
その後、粘度調整後の蛍光体粒子層形成用組成物を、透明基板31に塗布し一定の温度・時間で乾燥させ、必要に応じて焼成し、蛍光体粒子層32を形成する。
蛍光体粒子層形成用組成物を透明基板31に塗布する場合には、いかなる塗布手法をも用いることができ、たとえば、下記1)〜3)の塗布手法を好適に用いることができる。
1)アプリケーター(ブレード)
公知のアプリケーターを用いて蛍光体粒子層形成用組成物を透明基板31に塗布することができる。たとえば、具体的なアプリケーターとしては、小平製作所製ベーカーアプリケーターを使用することができる。
アプリケーターを使用する場合、好ましくはアプリケーターの移動速度を0.1m/分以上3.0m/分以下の範囲内とする。
2)スピンコーター
公知のスピンコーターを用いて蛍光体粒子層形成用組成物を透明基板31に塗布することができる。たとえば、具体的なスピンコーターとしては、ミカサ株式会社製スピンコーターMSA100を使用することができる。
スピンコーターを使用する場合、好ましくは回転速度を1000rpm以上3000rpm以下と、回転時間を5秒以上20秒以下の範囲内とする。
3)スプレー塗布装置
この混合物は、上述したスプレー塗布装置200を用いて、上述した反射層形成用組成物を基板1に塗布する場合と同様に、蛍光体粒子層形成用組成物を透明基板31に塗布することができる。前記スプレー装置による蛍光体粒子層用混合物の塗布時の操作や条件設定には、反射層形成用組成物の塗布時に挙げた前記[1]〜[6]の操作や条件設定と同様に行うことが好ましい。また、スプレー塗布装置200を用いて蛍光体粒子層形成用組成物を透明基板31に塗布する場合には、例えば、透明基板31を移動可能な台座(図示せず)に載置して、塗布時のこの台座を移動させることが好ましい。この方法は、基板1に反射層形成用組成物を塗布する場合と同様にして行うことができる。
蛍光体粒子層形成用組成物の塗布後に蛍光体粒子層形成用組成物中の溶媒を乾燥させることが好ましい。蛍光体粒子層形成用組成物中の溶媒を乾燥させる際の温度は、通常20℃以上200℃以下であり、好ましくは25℃以上150℃以下である。20℃未満であると、十分に乾燥できない可能性がある。
II.光散乱層の作製
次に、光散乱層33の製造方法について説明する。
まず、溶媒と、有機ケイ素化合物、光散乱粒子と混合し所定の混合物である光散乱層形成用組成物を調製する。光散乱層形成用組成物には、必要に応じて、金属酸化物微粒子、金属アルコキシドまたは金属キレートなどが含まれていてもよい。これらの材料は、例えば、上述した反射層形成用組成物の調製において挙げた材料を適宜選択して用いることができる。
光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、ポリシラザンオリゴマーである場合、光散乱層形成用組成物におけるポリシラザンオリゴマーの濃度は、多いことが好ましいが、ポリシラザンオリゴマーの濃度が高いと、光散乱層形成用組成物の保存安定性が低くなる場合がある。そこで、ポリシラザンオリゴマーの量は、光散乱層形成用組成物の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
また、光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーである場合、光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの量も、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。なお、シラン化合物のオリゴマーの調製方法については、反射層形成用組成物の調製時と同様に行うことができる。
光散乱層形成用組成物に含まれる光散乱粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して、0.5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上30質量%以下である。光散乱粒子の量が0.5質量%未満であると、得られる光散乱層33の光散乱性が不十分となる場合がある。一方、光散乱粒子の量が40質量%を超えると、得られる光散乱層33の光透過性が不十分となる場合がある。
光散乱層形成用組成物に含まれる金属酸化物微粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上25質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
光散乱層形成用組成物に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレートの量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下である。(金属アルコキシドまたは金属キレートの量が1質量%未満であると、得られる光散乱層33と透明基板31との密着性が高まり難い。一方、金属アルコキシドまたは金属キレートの量が30質量%を超えると、得られる光散乱層33において、相対的にバインダ成分の量が低下し、強度が低下する場合がある。)
また、光散乱層形成用組成物の増粘処理(方法)としては、例えば、蛍光体粒子層形成用組成物の増粘処理(方法)として前記に挙げた[1]〜[2]を適宜選択することができる。例えば、[1]の方法を選択する場合においては、光散乱層形成用組成物に含まれる無機微粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上20質量%以下である。また、[2]の方法を選択する場合においては、光散乱層形成用組成物に含まれる膨潤性粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上20質量%以下である。
また、光散乱層形成用組成物には、例えば、粘土鉱物が含まれてもよい。粘土鉱物はバインダである有機ケイ素化合物にあらかじめ混合してもよいし、光散乱層形成用組成物を調製したあとに添加してもよい。粘土鉱物は基本的には限定されるものではなく、従来公知のものから適宜選択することができるが、例えば、組成式:SiO・Al・2HO:(OH)AlSiOHで示されるアルミニウムケイ酸塩化合物などが挙げられる。アルミニウムケイ酸塩の例には、イモゴライトと称されるチューブ状のアルミニウムケイ酸塩がある。イモゴライトとは、例えば、外径が2.0nm以上2.5nm以下、内径が1.0nm以上1.5nm以下、長さが20nm以上6μm以下のチューブ状の形態を有する。また、アルミニウムケイ酸塩化合物が繊維状であると、クラック抑制効果が高まるので好ましい。また、光散乱層形成用組成物中における含有量は、固形分全質量に対して、0.5重量%以上15重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以上10重量%以下である。この粘土鉱物を含んだ光散乱層形成用組成物で反射層21を形成することによって光散乱層21の膜強度を向上させることができる。
得られた光散乱層形成用組成物を、必要に応じて、粘度調製するなどした後に、前工程で得られた蛍光体粒子層32上に塗布する。粘度調製方法、塗布方法は、上述した蛍光体粒子層組成物の粘度調整方法、塗布方法と同様にして行うことができる。
III.透光性セラミック層の作製
次に、透光性セラミック層の製造方法について説明する。
まずは、(i)透光性セラミック材料、(ii)溶媒を混合し所定の混合物である透光性セラミック層組成物を調製する。セラミック層組成物には、必要に応じて、(iii)無機微粒子、2価以上の金属(Siを除く)の(iv)有機金属化合物等が含まれる。これらの材料について以下に詳しく説明する。
(i)透光性セラミック材料について
透光性セラミック材料は、ゾル−ゲル反応によって透光性セラミック(好ましくはガラスセラミック)となる化合物でありうる。透光性セラミック材料の例には、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、ポリシラザンオリゴマー等が含まれ、反応性が良好であるとの観点から、金属アルコキシドが好ましい。
金属アルコキシドは、各種金属のアルコキシドでありうるが、得られる透光性セラミックの安定性、及び製造容易性の観点から、アルコキシシランやアリールオキシシランであることが好ましい。
透光性セラミック材料であるアルコキシシランやアリールオキシシランは、テトラエトキシシランのような単分子化合物(モノマー)であってもよいが、有機ポリシロキサン化合物(オリゴマー)であることが好ましい。有機ポリシロキサン化合物は、シラン化合物が鎖状または環状にシロキサン結合した化合物である。有機ポリシロキサン化合物の調製方法は、後述する。
有機ポリシロキサン化合物の質量平均分子量は、好ましくは1000以上3000以下であり、より好ましくは1200以上2700以下であり、さらに好ましくは1500以上2000以下である。有機ポリシロキサン化合物の質量平均分子量が1000未満であると、透光性セラミック層形成用組成物の粘度が低くなり、透光性セラミック層形成用組成物がLEDチップ上ではじかれるおそれがある。一方、質量平均分子量が3000を超えると、透光性セラミック層形成用組成物の粘度が高くなり、透光性セラミック層形成用組成物の塗布が困難となる場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。
透光性セラミック材料が有機ポリシロキサン化合物である場合、透光性セラミック層形成用組成物に含まれる有機ポリシロキサン化合物の量は、透光性セラミック層形成用組成物全質量に対して1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。有機ポリシロキサン化合物の量が1質量%未満であると、透光性セラミック層形成用組成物の粘度が低くなり過ぎる場合がある。一方、有機ポリシロキサン化合物の量が40質量%を超えると、透光性セラミック層形成用組成物の粘度が過剰に高くなり、透光性セラミック層形成用組成物の塗布が困難となる場合がある。
透光性セラミック材料の他の好ましい例に、ポリシラザンオリゴマーがある。ポリシラザンオリゴマーは、一般式(I):(R1R2SiNR3)nで表される化合物である。一般式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、またはシクロアルキル基を表す。ただし、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つは水素原子であり、好ましくはすべてが水素原子である。一般式(I)中、nは1〜60の整数を表す。ポリシラザンオリゴマーの分子形状はいかなる形状であってもよく、例えば、直鎖状または環状であってもよい。
透光性セラミック材料がポリシラザンオリゴマーである場合、透光性セラミック層形成用組成物に含まれるポリシラザンオリゴマーの量は多いことが好ましいが、ポリシラザンオリゴマーの濃度が高いと、透光性セラミック層形成用組成物の保存安定性が低くなる場合がある。そこで、ポリシラザンオリゴマーの量は、透光性セラミック層形成用組成物全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
(ii)溶媒について
透光性セラミック層形成用組成物には、溶媒が含まれる。溶媒は、前述の透光性セラミック材料を溶解、もしくは均一に分散可能なものであればよい。溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等の一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、あるいはこれらのモノアセテート類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;等が含まれる。透光性セラミック層形成用組成物中には、溶媒が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
溶媒には、水が含まれることが好ましい。水の量は、透光性セラミック層形成用組成物全質量に対して、3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。透光性セラミック材料が有機ポリシロキサン化合物である場合、水の含有量が有機ポリシロキサン化合物100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であることが好ましく、80質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。透光性セラミック層形成用組成物に含まれる水の量が少な過ぎると、透光性セラミック層の成膜時に有機ポリシロキサン化合物を十分に加水分解できない場合がある。一方、透光性セラミック層形成用組成物に含まれる水の量が過剰であると、透光性セラミック層形成用組成物の保存中に加水分解等が生じ、透光性セラミック層形成用組成物がゲル化するおそれがある。
溶媒には、沸点が150℃以上である有機溶媒(例えばエチレングリコールや、プロピレングリコール等)が含まれることも好ましい。沸点が150℃以上の有機溶媒を含む透光性セラミック層形成用組成物の保存安定性は高い。また、塗布装置内で溶媒が揮発し難いため、透光性セラミック層形成用組成物を塗布装置から安定して塗布できる。
一方、透光性セラミック層形成用組成物に含まれる溶媒の沸点は250℃以下であることが好ましい。溶媒の沸点が250℃を超えると、透光性セラミック層形成用組成物の乾燥に時間がかかる。
(iii)無機微粒子について
透光性セラミック層形成用組成物には、無機微粒子が含まれてもよい。透光性セラミック層形成用組成物に無機微粒子が含まれると、透光性セラミック層形成用組成物を硬化させる際、膜に生じる応力が緩和され、透光性セラミック層にクラックが発生し難くなる。
無機微粒子の種類は特に制限されないが、無機微粒子の屈折率が、透光性セラミック材料(ポリシロキサンやポリシラザン等)の屈折率より高いことが好ましい。屈折率の高い無機微粒子が含まれると、得られる透光性セラミック層の屈折率が高まる。一般的にLED素子(LEDチップ)の屈折率は、透光性セラミック材料と比較してかなり高い。そこで、透光性セラミック層の屈折率が高まると、LED素子と透光性セラミック層との屈折率差が小さくなり、LED素子と透光性セラミック層との界面での光の反射が少なくなる。つまり、LED装置の光取り出し効率が高まる。
無機微粒子は、多孔質状の粒子であることが好ましく、その比表面積が200m/g以上であることが好ましい。無機微粒子が多孔質であると、多孔質の空隙部に溶媒が入り込み、透光性セラミック層形成用組成物の粘度が高まる。ただし、透光性セラミック層形成用組成物の粘度は、単に無機微粒子の量によって定まるものではなく、無機微粒子と溶媒との比率や、その他の成分の量等によっても変化する。
無機微粒子の平均一次粒径は、5nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以上80nm以下、さらに好ましくは5nm以上50nm以下である。無機微粒子の平均一次粒径が、このような範囲であると、前述のクラック抑制効果、屈折率向上効果が得られやすい。無機微粒子の平均一次粒径は、コールターカウンター法で測定される。
無機微粒子の例には、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛等が含まれる。これらの中でも、屈折率が高いことから、無機微粒子は酸化ジルコニウム微粒子であることが好ましい。透光性セラミック層形成用組成物には、無機微粒子が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
無機微粒子は、表面がシランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されたものであってもよい。表面処理された無機微粒子は、透光性セラミック層形成用組成物に均一に分散されやすい。
透光層用組成物中の無機微粒子の量は、透光性セラミック層形成用組成物の固形分全量に対して10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上30質量%以下である。無機微粒子の量が少なすぎると、前述のクラック抑制効果が高まらず、屈折率向上効果も十分とならない。一方で、無機微粒子の量が多すぎると、相対的に透光性セラミック材料(バインダ)の量が減少し、透光性セラミック層の強度が低下するおそれがある。
(iv)有機金属化合物について
透光性セラミック層形成用組成物には、2価以上の金属(Siを除く)の有機金属化合物が含まれてもよい。有機金属化合物は、Si元素以外の2価以上の金属元素の金属アルコキシドまたは金属キレートでありうる。金属アルコキシドまたは金属キレートは、透光性セラミック層成膜時に、透光性セラミック材料や、LED素子、蛍光体粒子層の表面に存在する水酸基と、メタロキサン結合を形成する。当該メタロキサン結合は非常に強固である。そのため、透光性セラミック層形成用組成物に金属アルコキシドまたは金属キレートが含まれると、透光層及びLED素子、並びに透光層及び蛍光体粒子層の密着性が高まる。
一方、金属アルコキシドまたは金属キレートの一部は、透光性セラミック層内で、メタロキサン結合からなるナノサイズのクラスタを形成する。このクラスタは、金属腐食性の高い硫化水素ガスを腐食性の低い二酸化硫黄ガスに変化させる光触媒として機能する。そのため、透光性セラミック層形成用組成物に、金属アルコキシドまたは金属キレートが含まれると、LED装置の硫化耐性も高まる。
金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属元素は、Si元素以外の4族または13族の金属元素であることが好ましく、以下の一般式(II)で表される化合物が好ましい。
+Xm−n (II)
一般式(II)中、Mは4族または13族の金属元素を表し、mはMの価数(3または4)を表す。Xは加水分解性基を表し、nはX基の数(2以上4以下の整数)を表す。ただし、m≧nである。Yは1価の有機基を表す。
一般式(II)において、Mで表される4族または13族の金属元素は、アルミニウム、ジルコニウム、チタンであることが好ましく、ジルコニウムであることが特に好ましい。ジルコニウムのアルコキシドまたはキレートの硬化物は、一般的なLEDチップの発光波長域(特に青色光(波長420nm以上485nm以下)に吸収波長を有さない。つまり、ジルコニウムのアルコキシドまたはキレートの硬化物には、LEDチップの出射光が吸収され難い。
一般式(II)において、Xで表される加水分解性基は、水で加水分解され、水酸基を生成する基でありうる。加水分解性基の好ましい例には、炭素数が1〜5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が含まれる。一般式(II)において、Xで表される基は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
Xで表される加水分解性基は、加水分解されて遊離する。そのため加水分解後に生成される化合物が中性であり、かつ軽沸である基が好ましい。そこで、Xで表される基は、炭素数1〜5の低級アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基、またはエトキシ基である。
一般式(II)において、Yで表される1価の有機基は、一般的なシランカップリング剤に含まれる1価の有機基でありうる。具体的には、炭素数が1以上1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは6以下である脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基でありうる。Yで表される有機基は、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、及び脂環芳香族基が連結基を介して結合した基であってもよい。連結基は、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団であってもよい。
Yで表される有機基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機基が含まれる。
一般式(II)で表されるアルミニウムの金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトシキド、アルミニウムトリエトキシド等が含まれる。
一般式(II)で表されるジルコニウムの金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が含まれる。
一般式(II)で表されるチタン元素の金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンラクテート、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンアセチルアセトネート等が含まれる。
ただし、前記で例示した金属アルコキシドまたは金属キレートは、入手容易な市販の有機金属アルコキシドまたは金属キレートの一部である。科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表に示される金属アルコキシドまたは金属キレートも、本発明に適用できる。
透光性セラミック層形成用組成物に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレート(有機金属化合物)の量は、透光性セラミック材料100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは8質量部以上40質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上15質量部以下である。金属アルコキシドまたは金属キレートの量が5質量部未満であると、前述の密着性向上効果等が得られない。一方で、金属アルコキシドまたは金属キレートの量が100質量部を超えると、透光性セラミック層形成用組成物の保存性が低下する。
(v)反応促進剤について
透光性セラミック層形成用組成物には、反応促進剤が含まれていてもよい。反応促進剤は、透光性セラミック材料が、ポリシラザンオリゴマーである場合に含まれることが特に好ましい。反応促進剤は、酸または塩基などでありうる。反応促進剤の具体例には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリエチルアミン等の塩基;塩酸、シュウ酸、フマル酸、スルホン酸、及び酢酸等の酸;ニッケル、鉄、パラジウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウムを含む金属のカルボン酸塩などが含まれるが、これに限られない。反応促進剤は金属カルボン酸塩であることが特に好ましい。反応促進剤の量は、ポリシラザンオリゴマーの質量に対して0.01mol%以上5mol%以下であることが好ましい。
(vi)透光性セラミック層形成用組成物の塗布及び乾燥について
透光性セラミック層形成用組成物を、前工程で得られた光散乱層33の面上に塗布する。
透光性セラミック層形成用組成物の塗布方法は、特に制限されないが、例えば、上述した蛍光体粒子層形成用組成物の塗布と同様に行うことができる。具体的には、例えば、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布などでありうるが、スプレー塗布によれば、厚みの薄い透光性セラミック層を成膜できる。
透光性セラミック層形成用組成物の塗布後、塗膜を100℃以上、好ましくは150℃以上300℃以下に加熱し、透光性セラミック層形成用組成物を乾燥・硬化させる。透光性セラミック材料が、有機ポリシロキサン化合物である場合、加熱温度が100℃未満であると、脱水縮合時に生じる有機成分等を十分に除去できず、透光性セラミック層の耐光性等が低下する可能性がある。
一方、透光性セラミック材料がポリシラザンオリゴマーである場合には、170nm以上230nm以下の範囲の波長成分を含むUV放射線(例えばエキシマ光)を塗膜に照射して硬化させた後、さらに加熱硬化を行うことが好ましい。透光性セラミック層が緻密な膜となり、LED装置の耐湿性が高まりやすい。
(vii)有機ポリシロキサン化合物の調製方法
透光性セラミック材料である有機ポリシロキサン化合物は、アルコキシシラン化合物、またはアリールオキシシラン化合物を重合して得られる。アルコキシシラン化合物またはアリールオキシシラン化合物は、例えば以下の一般式(III)で表される。
Si(OR)4−n (III)
一般式(III)中、nはアルコキシ基またはアリールオキシ基(OR)の数を表し、2以上4以下の整数である。また、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
前記一般式(III)式中、Yは、水素原子、または1価の有機基を表す。Yで表される1価の有機基の具体例には、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは6以下の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基が含まれる。これらの1価の有機基は、肪族基、脂環族基、芳香族基、及び脂環芳香族基が連結基を介して結合した基であってもよい。連結基は、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団であってもよい。また、Yで表される1価の有機基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機官能基等が含まれる。
一般式(III)において、Yで表される基は、特にメチル基であることが好ましい。Yがメチル基であると、透光性セラミック層の耐光性及び耐熱性が良好になる。
前記一般式(III)で表されるアルコキシシランまたはアリールオキシシランには、以下の4官能のシラン化合物、3官能のシラン化合物、2官能のシラン化合物が含まれる。4官能のシラン化合物、3官能のシラン化合物は、前記に挙げたものを適宜選択することができる。
2官能のシラン化合物の具体例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
有機ポリシロキサン化合物は、前記シラン化合物を、酸触媒、水、有機溶媒の存在下で加水分解し、縮合反応させる方法で調製できる。有機ポリシロキサン化合物の質量平均分子量は、反応条件(特に反応時間)等で、調整可能である。
この際、4官能シラン化合物と、3官能シラン化合物や2官能シラン化合物とを所望のモル比率で予め混合し、ランダムに重合させてもよい。また3官能シラン化合物または2官能シラン化合物を単独である程度重合させてオリゴマーとした後、このオリゴマーに4官能シラン化合物のみを重合させる等して、ブロック共重合体としてもよい。
有機ポリシロキサン化合物の調製用の酸触媒は、下記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸であることが特に好ましい。
R8−SOH …(IV)
前記一般式(IV)において、R8で表される炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状の飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基である。環状の炭化水素基の例には、フェニル基、ナフチル基、またはアントリル基等の芳香族炭化水素基が含まれ、好ましくはフェニル基である。また、一般式(IV)においてR8で表される炭化水素基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、直鎖状、分岐鎖状、または環状の、炭素数1〜20の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;フッ素原子等のハロゲン原子;スルホン酸基;カルボキシル基;水酸基;アミノ基;シアノ基等が含まれる。
前記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸は、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホン酸であることが好ましい。
有機ポリシロキサン化合物の調製時に添加する酸触媒の量は、有機ポリシロキサン化合物調製液全量に対して1質量ppm以上1000質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは5質量ppm以上800質量ppm以下である。
有機ポリシロキサン化合物調製時に添加する水の量によって、最終的に得られるポリシロキサンの膜質が変化する。したがって、目的とする膜質に応じて、有機ポリシロキサン化合物調製時の水添加率を調整することが好ましい。水添加率とは、有機ポリシロキサン化合物調製液に含まれるシラン化合物のアルコキシ基またはアリールオキシ基のモル数に対する、添加する水分子のモル数の割合(%)である。水添加率は、50%以上200%以下であることが好ましく、より好ましくは75%以上180%以下である。水添加率を、50%以上とすることで、透光性セラミック層の膜質が安定する。また200%以下とすることで透光性セラミック層形成用組成物の保存安定性が良好となる。
有機ポリシロキサン化合物調製時に添加する溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等の一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、あるいはこれらのモノアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;等が含まれる。これらは1種単独で添加してもよく、また2種以上を添加してもよい。
(2)第2の態様
この第2の態様においては、透明基板31側から、光散乱層33、蛍光体粒子層32、透光性セラミック層34の順で積層して形成し波長変換素子30を製造する。光散乱層33、蛍光体粒子層32及び透光性セラミック層34の組成及び製造方法としては前記第1の態様から適宜選択して行うことができる。
(3)第3の態様
この第3の態様においては、透光性セラミック層34をまず作製し、そこに蛍光体粒子層32、光散乱層33の順で積層して形成し、最後に透明基板31で封止して波長変換素子30を製造する。光散乱層33、蛍光体粒子層32及び透光性セラミック層34の組成及び製造方法としては前記第1の態様から適宜選択して行うことができる。透光性セラミック層34の作製は、具体的には、例えば、基板上に、前記に挙げた製造方法を適宜選択して透光性セラミック層を形成し、その後この基板を除去する方法が挙げられる。得られた透光性セラミック層34の上に、蛍光体粒子層形成用組成物を塗布し蛍光体粒子層32を形成する。さらにその蛍光体粒子層32上に光散乱層形成用組成物を塗布し光散乱層33を形成する、光散乱層形成用組成物が乾燥する前に透明基板31で封止する。こうして波長変換素子30が完成する。ここで、例えば、光散乱層形成用組成物に(i)透明樹脂を含んで構成、または、光散乱層形成用組成物の有機ケイ素化合物の代わりに透明樹脂を含んで構成させ、この透明樹脂を通常の塗布では硬化し難いものを選ぶと、この透明樹脂が蛍光体粒子層内部に入り込み、蛍光体粒子層内の空隙がこの透明樹脂で充填される。これにより、透光性セラミック層と蛍光体粒子層との屈折率差、及び蛍光体粒子層と光散乱層との屈折率差を十分に小さくでき、これらの層の界面で反射する光の量を抑制できる。つまり、LED装置100から、光を多く取り出すことができる。以下に透明樹脂の詳細について説明する。
(i)透明樹脂について
光散乱層形成用組成物に含まれる透明樹脂は、可視光に対して透明な硬化性樹脂等でありうる。透明樹脂の例には、エポキシ変性シリコーン樹脂、アルキッド変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂等のシリコーン樹脂;エポキシ樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ウレタン樹脂等の透明樹脂等が含まれる。特にフェニルシリコーン樹脂であることが好ましい。透明樹脂がフェニルシリコーン樹脂であると、LED装置の耐湿性が高まる。
光散乱層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれてもよい。溶媒の種類は、透明樹脂の種類や光散乱層形成用組成物の粘度に応じて適宜選択される。光散乱層形成用組成物に混合される透明樹脂層用組成物の粘度は、1000cP以上3000cP以下であることが好ましく、1200cP以上2500cP以下であることがより好ましい。透明樹脂層用組成物の粘度が、3000cPを超えると、透明樹脂層用組成物が、蛍光体粒子層の空隙内に入り込みにくく、蛍光体粒子層に空隙が残る場合がある。粘度は、溶媒の量等で調整する。粘度の測定は、振動式粘度計で行う。
(4)第4の態様
この第4の態様においては、透明基板31の一方の側に光散乱層33を形成し、他方に蛍光体粒子層32、透光性セラミック層34を積層して形成して波長変換素子30を製造する。光散乱層33、蛍光体粒子層32及び透光性セラミック層34の組成及び製造方法としては前記第1の態様から適宜選択して行うことができる。
III.本体部と波長変換素子との接合
本体部10と波長変換素子30との接合は、従来公知の透明バインダで接合することができるが、例えば、透光性セラミック層34と電気的に親和性の高いものが用いられることが好ましい。また、LED素子2の光出射面に、波長変換素子30が設けられる場合には、例えば、LED素子2の光出射面と電気的に親和性の高いものが用いられることが好ましい。また、基板1の光出射側の端面に、波長変換素子30が設けられる場合には、例えば、基板1の光出射側の端面と電気的に親和性の高いものが用いられることが好ましい。
上述したように、この実施の形態によるLED装置100の製造方法によれば、本体部10と波長変換素子30とをそれぞれ別個に形成した後に、一体に接合してLED装置100を製造したので、本体部10の性能評価と、波長変換素子30の性能評価とをそれぞれ別個に行うことができる。これにより、本体部10の性能評価と波長変換素子30の性能評価を行った後に接合してLED装置100を完成させるので、本体部10と波長変換素子30とを連続した工程で一体に形成していた従来のLED装置よりも、完成品の歩留まりが良くなり、製造コストを低くすることができる。また、波長変換素子30をあらかじめ作製しておき、接合する本体部10の形状に応じて、適宜切り出して使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けるものではない。
〈実施例〉
LED装置を製造する前に以下の(1)〜(4)に示すものを準備した。
(1)パッケージの準備
図1に示されるような、キャビティを有する基板を準備した。基板は、ポリフタル酸アミド(PPA)樹脂からなるものとした。基板は、3.2mm×2.8mm×1.8mmの直方体に、開口径2.4mm、壁面角度45°、深さ0.85mmの円錐台状のキャビティが形成されたものとした。この基板に、LED素子を実装した。LED素子の外形は、305μm×330μm×100μmとした。また、LED素子のピーク波長は、475nmとした。
(2)蛍光体粒子の調製
蛍光体原料として、Y 7.41g、Gd 4.01g、CeO 0.63g、及びAl 7.77gを十分に混合した。さらにフッ化アンモニウム(フラックス)を適量混合し、混合物をアルミニウム製の坩堝に充填した。混合物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気下、1350℃以上1450℃以下の温度範囲で2〜5時間焼成し、焼成物((Y0.72Gd0.24Al12:Ce0.04)を得た。
得られた焼成物を粉砕、洗浄、分離、及び乾燥し、体積平均粒径が1μm程度である黄色蛍光体粒子を得た。得られた黄色蛍光体粒子に波長465nmの励起光を照射し、黄色蛍光体粒子が発する光の波長を測定した。その結果、黄色蛍光体粒子は、おおよそ波長570nmにピーク波長を有していた。
(3)ポリシロキサンオリゴマー溶液の調製
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業株式会社製)60.0g、メタノール40.0g、アセトン 40.0 g を混合、撹拌した。そこに、水5 4 . 6 g 、6 0 %硝酸4 . 7 μ L を加え、さらに3 時間撹拌した。その後、2 6 ℃ で2 日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン化合物の固形分値が14質量%となるようにイソプロピルアルコールで希釈し、ポリシロキサンオリゴマー溶液を得た。
(4)ガラス基板
各実施例及び比較例で用いるガラス基板は、横50mm、縦20mm、厚さ1mmの直方体で薄板のものを用いた。
(5)サンプルの作製
[実施例1]
ポリシラザンオリゴマー(ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製NN120−20質量%、ジブチルエーテル80質量%))7.0g中に、酸化チタン5.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)を混合して反射層形成用組成物を調製した。
次に。スプレー装置の移動台上に、(1)において準備したパッケージを載置した。パッケージ内のLED素子の発光面を、図9に示されるような板状マスク41で保護しながら、基板に反射層形成用組成物をスプレー塗布した。このとき、反射層形成用組成物の吐出圧力は、0.1MPaとした。また、ノズルが基板の一端から他端まで一往復するように、ノズルを移動させた。ノズルの移動速度は100mm/sとした。反射層形成用組成物を塗布したパッケージを、150℃で1時間加熱して焼成させることで、キャビティの壁面及び底面に反射層を形成した。この場合のキャビティの壁面とは、キャビティの内壁を意味する。
次に、前述において用意した蛍光体粒子1gと、膨潤性粒子である合成雲母(MK−100、コープケミカル社製)0.05gと、無機微粒子であるRX300(平均一次粒径が7nmであるシリル化処理無水ケイ酸;日本アエロジル社製)0.05gと、溶媒であるプロピレングリコール1g、IPA0.5gとを混合し、蛍光体粒子層形成用組成物を調製した。この蛍光体粒子層形成用組成物を、スプレー塗布装置を用いて、スプレー圧0.2MPa、移動台の移動速度55mm/sにてガラス基板表面に噴霧し、150℃で15分間乾燥させ、蛍光体粒子層を形成した。次に、前述のポリシロキサンオリゴマー溶液をスプレー塗布装置を用いて、蛍光体粒子層上に焼成後クラックの発生しない最大膜厚となるよう噴霧し、150℃で1時間加熱して焼成させることで、蛍光体粒子層の蛍光体を固着させるとともにセラミック層を作製し、波長変換素子を得た。なお、最大膜厚となるように噴霧するには、スプレー圧や移動台の移動速度を適宜調整する。
そして、この波長変換素子を1mm角に切断し、LED素子上に貼着することにより、実施例1のLED装置を作製した。
[実施例2]
前述のポリシロキサンオリゴマー溶液24.0gに、硫酸バリウム12.0g(堺化学工業 BF−10、粒径600nm)、及び1,3−ブタンジオール1gを混合して、反射層用組成物を調製した。この反射層用組成物を、実施例1と同様の条件にて基板上に塗布し、反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例2のLED装置を作製した。
[実施例3]
(3)において準備したポリシロキサンオリゴマー溶液24.0gに、酸化チタン12.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)、及び1,3−ブタンジオール1gを混合して反射層用組成物を調製した。この反射層用組成物を、実施例1と同様に基板上に塗布した。このとき、反射層形成用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を160mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例3のLED装置を作製した。
[実施例4]
反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を100mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例3と同様の方法にて、実施例4のLED装置を作製した。
[実施例5]
反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を70mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例3と同様の方法にて、実施例5のLED装置を作製した。
[実施例6]
(3)において準備したポリシロキサンオリゴマー溶液24.0gに、平均一次粒径が5nmである酸化ジルコニウム(ZrO)の分散液(30質量%メタノール溶液 堺化学株式会社製)2.0g、酸化チタン12.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)、及び1,3−ブタンジオール1gを混合して反射層用組成物を調製した。この反射層用組成物を、実施例1と同様に基板上に塗布した。このとき、反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を100mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例6のLED装置を作製した。
[実施例7]
(3)において準備したポリシロキサンオリゴマー溶液24.0gに、平均一次粒径が5nmである酸化ジルコニウム(ZrO)の分散液(30質量%メタノール溶液 堺化学株式会社製)2.0g、酸化チタン12.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)、イソシアネート系シランカップリング剤(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;KBE−9007、信越化学工業株式会社製)0.16g、及び1,3−ブタンジオール1gを混合して反射層用組成物を調製した。この反射層用組成物を、実施例1と同様に基板上に塗布した。このとき、反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を100mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例7のLED装置を作製した。
[実施例8]
(3)において準備したポリシロキサンオリゴマー溶液24.0gに、平均一次粒径が5nmである酸化ジルコニウム(ZrO)の分散液(30質量%メタノール溶液 堺化学株式会社製)2.0g、酸化チタン12.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)、イソシアネート系シランカップリング剤(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;KBE−9007、信越化学工業株式会社製)0.16g、粘土鉱物のイモゴライトを1.6g、及び1,3−ブタンジオール1gを混合して反射層用組成物を調製した。この反射層用組成物を、実施例1と同様に基板上に塗布した。このとき、反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を100mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例8のLED装置を作製した。
[実施例9]
実施例8と同様の方法にて、反射層を形成した。
続いて、実施例1と同様の方法にて、ガラス基板上に蛍光体粒子層形成用組成物を塗布し、蛍光体粒子層を形成した。また、(3)で準備したポリシロキサンオリゴマー溶液1gと、イソプロピルアルコール0.3g、光散乱粒子としての酸化チタン0.01g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)無機微粒子としての酸化チタン0.015gとを混合して、光散乱層形成用組成物を調製した。この光散乱層形成用組成物を蛍光体粒子層上に塗布した。このとき、光散乱層形成用組成物の吐出圧力は0.05MPa、ノズルの移動速度は150mm/sとした。その後、150℃で1時間加熱・焼成し、光散乱層を形成した。更に、前述のポリシロキサンオリゴマー分散液1gと、イソプロピルアルコール0.3gを混合して、透光性セラミック層形成用組成物を調製した。光散乱層上に、この透光性セラミック層形成用組成物を、光散乱層塗布と同条件にて塗布、加熱・焼成し、透光性セラミック層を形成し、波長変換素子を得た。そして、この波長変換素子を1mm角に切断し、透光性セラミック層とLED素子の光出射面とが対向するようにしてLED素子上に貼着することにより、実施例9のLED装置を作製した。
[実施例10]
(3)で準備したポリシロキサンオリゴマー溶液1gと、酸化チタン0.01g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)イソプロピルアルコール0.3g、膨潤性粒子としてのスメクタイト(ルーセンタイトSWN、コープケミカル社製)を0.01g、無機微粒子としてのSiO粒子(RX300、平均一次粒径が7nmであるシリル化処理無水ケイ酸;日本アエロジル社製)を0.01g、混合して、光散乱層形成用組成物を調製した以外は、実施例9と同様にして実施例10のLED装置を作製した。
[実施例11]
実施例10と同様にして光散乱層形成用組成物を調製し、ガラス基板の面上に光散乱層形成用組成物を塗布し、光散乱層を形成した。次に、この光散乱層上に蛍光体粒子層形成用組成物を塗布して蛍光体粒子層を積層して形成した。次に、この蛍光体粒子層上に透光性セラミック層形成用組成物を塗布して透光性セラミック層を積層して形成し、波長変換素子を、図7(b)に示すような構成とした。それ以外のことは実施例9と同様にして実施例11のLED装置を作製した。
[実施例12]
実施例10と同様にして光散乱層形成用組成物を調製し、ガラス基板の一方の主面上に光散乱層形成用組成物を塗布し、光散乱層を形成した。次に、このガラス基板の他方の主面上に、蛍光体粒子層形成用組成物を塗布して蛍光体粒子層を積層して形成した。次に、この蛍光体粒子層上に透光性セラミック層形成用組成物を塗布して透光性セラミック層を積層して形成し、波長変換素子を、図7(c)に示すような構成とした。それ以外のことは実施例9と同様にして実施例12のLED装置を作製した。
[実施例13]
ガラス基板の面上に蛍光体粒子層形成用組成物を塗布して蛍光体粒子層を形成した。次に、この蛍光体粒子層上に透光性セラミック層形成用組成物を塗布して透光性セラミック層を積層して形成した。次に、この透光性セラミック層に光散乱層形成用組成物を塗布し、光散乱層を積層して形成した。それ以外のことは実施例9と同様にして実施例13のLED装置を作製した。
[実施例14]
(3)で準備したポリシロキサンオリゴマー溶液1gと、イソプロピルアルコール0.3g、酸化チタン0.01g、膨潤性粒子としてのスメクタイト(ルーセンタイトSWN)0.01g、無機微粒子としてのSiO粒子(RX300)0.01g、酸化ジルコニウム(ZrO)分散液(30質量%メタノール溶液 堺化学株式会社製)0.06gとを混合して光散乱層形成用組成物を調製した以外は、実施例9と同様の方法にて、実施例14のLED装置を作製した。
[実施例15]
粘土鉱物のイモゴライト0.02gをさらに混合して、光散乱層形成用組成物を調製した以外は、実施例14と同様にして実施例15のLED装置を作製した。
[比較例1]
シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、KER2600)と、黄色蛍光体(根本特殊化学製、YAG 450C205(体積平均粒径 粒径D50 20.5μm))とを混合し、蛍光体粒子層形成用組成物を調製した。蛍光体粒子層形成用組成物における黄色蛍光体の濃度は、5質量%とした。
(1)において準備したパッケージに、蛍光体粒子層形成用組成物を、LED素子を覆うようにしてディスペンサーによりポッティングし、150℃で2時間静置して蛍光体粒子層を形成し、比較例1のLED装置を作製した。
[比較例2]
一液型のカチオン硬化型エポキシ樹脂(ファインポリマーズ社製、EpiFine)1g、酸化チタン(石原産業製 タイベークR−820)1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.25g、及び酸化ケイ素(日本アエロジル社製 アエロジル380)0.05gを混合し、反射層形成用組成物を調製した。
次に。スプレー装置の移動台上に、前述のパッケージを載置した。パッケージ内のLED素子の発光面を、図9に示される板状マスク41で保護しながら、基板に反射層形成用組成物をスプレー塗布した。このとき、反射層形成用組成物の吐出圧力は、0.15MPaとした。また、ノズルが基板の一端から他端まで一往復するように、ノズルを移動させた。ノズルの移動速度は70mm/sとした。反射層形成用組成物を塗布したパッケージを、40℃で1時間、100℃で1時間、さらに150℃で1時間静置し、エポキシ樹脂を硬化させた。その後、蛍光体粒子層形成用組成物をパッケージ内にディスペンサーにより、ポッティングし、比較例1と同様に波長変換層を形成し、比較例2のLED装置を作製した。
[比較例3]
ポリシラザンオリゴマー(ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製NN120−20質量%、ジブチルエーテル80質量%))7.0g中に、酸化チタン5.0g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)を混合して反射層形成用組成物を調製した。この反射層形成用組成物を、比較例2と同様に、基板上に塗布した。このとき、反射層形成用組成物の吐出圧力は、0.1MPaとした。また、ノズルの移動速度は100mm/sとした。その後、150℃で1時間加熱して、反射層を形成した。反射層を形成したパッケージに、波長変換層形成用組成物をディスペンサーにより、ポッティングし、比較例1と同様に波長変換層を形成し、比較例3のLED装置を作製した。
[比較例4]
比較例3と同様に反射層形成用組成物を調製し、同様の条件にて基板上に塗布し、反射層を形成した。また、ポリシラザンオリゴマー(ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製NN120−20質量%、ジブチルエーテル80質量%))5.0gに、黄色蛍光体(根本特殊化学製、YAG 450C205(体積平均粒径 粒径D50 20.5μm))0.11gを混合し、波長変換層形成用組成物とした。反射層を形成したパッケージに、波長変換層形成用組成物をディスペンサーにより、ポッティングし、比較例1と同様に波長変換層を形成し、比較例4のLED装置を作製した。
[比較例5]
反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を180mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例5のLED装置を作製した。
[比較例6]
反射層用組成物の吐出圧力を0.1MPa、ノズルの移動速度を50mm/sとして反射層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例6のLED装置を作製した。
(6)サンプルの性能評価方法
実施例1〜8と比較例1〜6において作製したLED装置について、それぞれ(i)反射層の厚み、(ii)LED装置の全光束値、(iii)耐久性試験後の全光束値、劣化率、(iv)反射層の膜強度、(v)反射層の密着性、(vi)LED装置の色度むら、(vii)LED装置の色度ばらつきをそれぞれ測定した。また、実施例8〜15において作製したLED装置について、(viii)光散乱層の膜強度、LED装置の全光束値、LED装置の色度むら、LED装置の色度ばらつきをそれぞれ同様に測定した。各測定の測定方法を以下に示す。
(i)膜厚測定
各LED装置の作製途中で、反射層の膜厚をレーザホロゲージ(ミツトヨ社製)で測定した。
(ii)LED装置の全光束値の評価
各LED装置の全光束値を、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)にて測定した。評価は、反射層を形成しない場合(比較例1)のLED装置の測定結果を100とし、相対的に評価した。
(iii)耐久性試験後の全光束値測定及び劣化率の評価
実施例及び比較例で作製したLED装置について、100℃の高温槽中で各LED装置を20mAの電流値で発光させた。1000時間発光後、各LED装置について、全光束値を測定した。耐久性試験前後の全光束値を比較し、劣化率を算出した。劣化率は、(1−(耐久性試験後の全光束の相対値/耐久性試験前の全光束の相対値))×100)とした。劣化率が15%以上である場合に、LED装置の劣化が生じたと判断した。また、劣化率が10%以上15%未満である場合、LED装置の劣化が殆どなく、実害性は無いが、わずかに反射層にクラック等が発生したと判断した。また、劣化率が10%未満であれば、LED装置の劣化がなく、反射層にクラックも生じなかった、と判断した。
(iv)反射層の膜強度の評価
各LED装置を180℃の高温槽中で100時間放置した後、反射層膜表面のクラック発生の有無をSEM(VE7800,Keyence社製)、拡大倍率1000倍にて確認した。評価は、以下の基準で行った。
「◎」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂がない、実用上好ましい。
「○」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が1本以上5本未満あるが、実用上問題ない。
「△」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が5本以上10本未満あるが、実用上問題ない。
「×」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が10本以上あり、実用上好ましくない。
(v)反射層の密着性の評価
LED装置の基板と同様の耐熱性樹脂からなる平板状の基板を用意し、この基板上に各実施例及び比較例で調製した反射層形成用組成物を塗布、焼成し、反射層を形成した。
セロハン粘着テープ(ニチバン製)により、セロテープ(登録商標)密着性試験を実施し、下記基準にて評価した。
「○」・・・反射層の剥離なし。

「△」・・・反射層端部に一部剥離あるが、剥離部の面積は全体の10%以下である。

「×」・・・反射層中心部に剥離あり、剥離部の面積が全体の10%以上である。
(vi)LED装置から発せられる光の色度むらの評価
各実施例及び比較例のLED装置を、それぞれ5つずつ準備した。各LED装置から出射される光の色度を、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)で測定した。色度はCIE表色系のx値とy値を測定した。x+y+z=1の関係から得られるz座標は省略した。
各実施例及び比較例の5サンプルの色度(x値及びy値)について、それぞれ標準偏差を求めた。評価は、x値とy値の標準偏差の平均値で行った。基準を下記に示す。
「○」・・・標準偏差の平均値が0.02以下であり、実用上問題なし(色の均一性が求められる用途にも適用可能)。
「×」・・・標準偏差の平均値が0.02より大きく、実用上好ましくない。
(vii)LED装置から発せられる光の色度ばらつきの評価
各LED装置の発光素子内の色度ばらつきを2次元色彩輝度計(CA−2000、コニカミノルタオプティクス社製)により測定した。発光素子内の平均色度のx値が0.33のLED基板を使い、LED装置から発せられる光の色度ばらつきの標準偏差を下記基準で評価した。
「◎」・・・標準偏差が0.02以下で、実用上好ましい。
「○」・・・標準偏差が0.02より大きく、0.03以下で、実用上問題なし。
「×」・・・標準偏差が0.03より大きく、実用上好ましくない。
(viii)光散乱層の膜強度の評価
各波長変換素子を180℃の恒温槽中で100時間放置した後、膜表面をSEM(VE7800,Keyence社製)、拡大倍率1000倍にて観察し、膜表面におけるクラック発生の有無を確認した。評価は、以下の基準で行った。
「◎」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂がない。
「○」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が1本以上5本未満あるが、実用上問題ない。
「△」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が5本以上10本未満あるが、実用上問題ない。
「×」・・・膜表面に長さ3μm以上の亀裂が10本以上あり、実用上好ましくない。
(6)サンプルの性能評価結果1
図13は、実施例1〜8と比較例1〜6において作製したLED装置について、それぞれ反射層の厚み、LED装置の全光束値、耐久性試験後の全光束値、劣化率、反射層の膜強度、反射層の密着性、LED装置の色度むら、LED装置の色度ばらつきをそれぞれ測定した結果を示す表である。図13に示された測定結果に基づいて以下のように評価した。
(i)LED装置の全光束値について
反射層が同一の膜厚であるLDE装置においては、酸化チタンとポリシロキサンとで反射層を形成した実施例4のLED装置が良好な全光束値を示した。また、反射層を同様な組成で製造し、膜厚を変化させると、膜厚の小さい実施例3のLED装置は全光束値が小さくなり、膜厚の大きな実施例5のLED装置は全光束値が大きくなった。この結果により、反射層の膜厚が大きくなれば、LED装置の全光束値が向上することが示された。この実施例においては、反射層の膜厚が15μm以上30μm以下である時に全光束値が高い値を示した。比較例6のように反射層の膜厚をさらに大きく35μmとすれば、全光束値はさらに高い値を示すが、膜厚が大きすぎるため反射層にクラックが生じやすくなる。
(ii)耐久性試験後の全光束値及び劣化率について
酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムとを有して反射層を形成した実施例6〜8のLED装置は、光拡散粒子とバインダのみで反射層を形成した実施例1〜5のLED装置に対して全光束値の劣化率がおよそ半分となった。これによって、金属酸化物微粒子を有して反射層を構成するとLED装置の全光束値の劣化を抑えることができることが示された。
(iii)反射層の膜強度について
酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムとを有して反射層を形成した実施例6〜8のLED装置は、光拡散粒子とバインダのみで反射層を形成した実施例1〜5のLED装置に対して反射層は良好な膜強度を有することが示された。特に、酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムに加えてイモゴライトを有して形成された反射層は極めて良好な膜強度を有することが示された。
(iv)反射層の密着性について
イソシアネート化合物を有して反射層を形成した実施例7及び8のLED装置は、イソシアネート化合物を有さないで反射層を形成した実施例1〜6のLED装置よりも、良好に反射層が密着していることが示された。これは、ガラス基板のOH基とイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO基)とが共有結合することにより密着性が向上したものと考えられる。
(v)LED装置から発せられる光の色度むらと色度ばらつきについて
波長変換素子を別体として設け、波長変換素子の波長変換層をガラス基板側から蛍光体粒子層と、透光性セラミック層とを順に形成した積層体とし、透光性セラミック層から光が入射すようにした実施例1〜8のLED装置から発せられる光の色度むらと色度ばらつきは、LED素子上に直接、波長変換層を形成した比較例1〜4のLED装置に対して良好な結果が得られた。この結果より、LED素子に直接波長変換層を設けるよりも、波長変換素子を別体として設け、波長変換素子の波長変換層をガラス基板側から蛍光体粒子層と、透光性セラミック層とを順に形成した積層体とし、透光性セラミック層から光が入射すようにするとLED装置から発せられる光の色度むらと色度ばらつきとを有効に抑えることができることが示された。
(vi)まとめ
以上の評価結果から、実施例7及び8のLED装置が前記の性能評価において良好な結果を示した。そのなかでも反射層の膜強度に関しては、特に実施例8のLED装置が極めて良好な結果を示した。これらのことにより、反射層を、酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムとを有して形成し、波長変換素子を別体として設け、波長変換素子の波長変換層をガラス基板側から蛍光体粒子層と、透光性セラミック層とを順に形成した積層体とし、透光性セラミック層から光が入射すようにすると良好な性能を有するLED装置が得られることが示された。さらに、このLED装置の反射層を酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムとイモゴライトを有して形成すると、他の性能を維持しつつも、反射層膜の強度を極めて高くすることができることが示された。
(7)サンプルの性能評価結果2
図14は、評価結果1において最も良好な結果が得られた実施例8のLED装置を比較対象として、さらに光散乱層を有して波長変換層が形成された実施例9〜15のLED装置について、LED装置の全光束値、LED装置の色度むら、LED装置の色度ばらつき、光散乱層の密着度をそれぞれ測定した結果を示す表である。図14に示された測定結果に基づいて以下のように評価した。
(i)LED装置の全光束値について
波長変換素子の層構造が同一の実施例9,10,14及び15においてLED装置の全光束値を比較すると、酸化ジルコニウムを有して光散乱層を形成した実施例14及び15のLED装置の全光束値は、酸化ジルコニウムを有さないで光散乱層を形成した実施例9及び10のLED装置よりも2%向上した。また、膨潤性粒子と無機微粒子とを有さないで光散乱層を形成し、波長変換素子を、ガラス基板側から、蛍光体粒子層、透光性セラミック層、光散乱層の順で形成した積層構造とし、光散乱層から光が入射するように設けた実施例13のLED装置の全光束値は、実施例8のLED装置と比較して5%程度低下した。これは、LED素子の光出射面と光散乱層との屈折率差が、LED素子の光出射面と透光性セラミック層との屈折率差よりも大きいことが原因の一つとして考えられる。この結果から、波長変換層の光散乱層を、酸化チタンとポリシロキサンと酸化ジルコニウムと膨潤性粒子と無機微粒子とを有して形成するとLED装置から発せられる光の全光束値が向上することが示された。また、波長変換素子を、セラミック層を最外層とした積層構造で構成し、このセラミック層をLED素子の光出射面と対向するようにして波長変換素子を設けると、LED装置から発せられる光の全光束値が向上することが示された。
(ii)LED装置から発せられる光の色度むらについて
波長変換層における光散乱層の有無による、LED装置の色度むらの変化は見られなかった。また、波長変換層の層構造の変化による、LED装置から発せされる光の色度むらの変化は見られなかった。
(iii)LED装置から発せられる光の色度ばらつきについて
波長変換素子を、光散乱層を有して構成した実施例9のLED装置は、波長変換素子を光散乱層を有さないで構成した実施例8のLED装置と比較して、LED装置から発せられる光の色度ばらつきが有効に抑えられることが示された。さらに、この光散乱層を酸化チタンとポリシロキサンと膨潤性粒子と無機微粒子とを有して形成した実施例10〜12,14及び15のLED装置も同様に、LED装置から発せられる光の色度ばらつきが有効に抑えられることが示された。この結果より、波長変換素子を、光散乱層を有して構成するとLED装置から発せられる光の色度ばらつきが有効に抑えられることが示された。また、波長変換素子を、セラミック層を最外層とした積層構造で構成し、このセラミック層をLED素子の光出射面と対向するようにして波長変換素子を設けると、LED装置から発せられる光の色度ばらつきが有効に抑えられることが示された。
(iv)光散乱層の膜強度について
波長変換素子を光散乱層を有して構成し、この光散乱層を、酸化ジルコニウムを有して形成した実施例14の光散乱層は、光散乱層を酸化ジルコニウムを有さないで構成した実施例9〜13の光散乱層に対して、膜強度が向上することが示された。また、実施例14の光散乱層をさらにイモゴライトを有して形成した実施例15の光散乱層は、実施例14の光散乱層に対して、膜強度がさらに向上することが示された。この結果より、光散乱層を酸化チタンとポリシロキサンと膨潤性粒子と無機微粒子と酸化ジルコニウムとを有して形成すると光散乱層の膜強度が向上することが示され、光散乱層を酸化チタンとポリシロキサンと膨潤性粒子と無機微粒子と酸化ジルコニウムとイモゴライトとを有して形成すると光散乱層の膜強度が著しく向上することが示された。
(v)まとめ
以上の評価結果から、実施例14及び15のLED装置が前記の性能評価において特に良好な結果を示した。そのなかでも光散乱層の膜強度に関しては、特に実施例15が極めて良好な結果を示した。これらのことにより、前記(6)の性能評価において良好な性能が示された実施例8のLED装置の波長変換素子をさらに光散乱層を有して構成し、ガラス基板側から、蛍光体粒子層と、光散乱層と、透光性セラミック層とを順に積層し、さらに、光散乱層を光散乱層を酸化チタンとポリシロキサンと膨潤性粒子と無機微粒子と酸化ジルコニウムとを有して形成すると、良好な性能を有する波長変換素子及びこれを有するLED装置を得ることができることが示された。また、該LED装置の光散乱層を、イモゴライトをさらに有して形成すると、光散乱層の膜強度がさらに向上した波長変換素子及びこれを有するLED装置を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 基板
2 LED素子
3 メタル部
4 配線
5 突起電極
6 キャビティ
6a キャビティ内壁面
21 反射層
30 波長変換素子
31 透明電極
32 蛍光体粒子層
33 光散乱層
34 透光性セラミック層

Claims (24)

  1. 発光素子と、
    前記発光素子から出射された光を受けて異なる波長の光を出射する波長変換素子と、
    反射層とを有し、
    前記波長変換素子は、蛍光体粒子を含む蛍光体層と有機ケイ素化合物を含むセラミック層とを含む波長変換層を有し、
    前記反射層は、厚みが5μm以上30μm以下であって、前記発光素子からの出射光及び/または前記蛍光体層が発する蛍光を光取り出し面側に反射させることを特徴とする発光装置。
  2. 前記波長変換素子は、光散乱粒子と有機ケイ素化合物の硬化物とを含む光散乱層を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記光散乱粒子は、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記光散乱層は、膨潤性粒子を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置。
  5. 前記セラミック層は、透光性セラミック層であって、前記発光素子の光出射面と対向して設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の少なくとも一方の面上に、前記透明基板側から、前記蛍光体層、前記光散乱層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の少なくとも一方の面上に、前記透明基板側から、前記光散乱層、前記蛍光体層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  8. 前記波長変換素子は、透明基板を有し、前記透明基板の一方の面上に前記光散乱層が形成され、他方の面上に、前記透明基板側から、前記蛍光体層、前記セラミック層の順に形成された積層構造を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  9. 前記波長変換素子は、前記発光素子に対向して設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光装置。
  10. 前記波長変換素子は、前記発光素子の光出射面に近接または接して設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光装置。
  11. キャビティを有する実装基板を有し、前記波長変換素子は前記キャビティを塞ぐようにして設けられていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
  12. 前記光散乱層は、平均一次粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載の発光装置。
  13. 前記金属酸化物微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載の発光装置。
  14. 前記反射層は、光散乱粒子と有機ケイ素化合物の硬化物とを含んで形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の発光装置。
  15. 前記反射層に含まれる前記有機ケイ素化合物は、ポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の発光装置。
  16. 前記反射層に含まれる光散乱粒子は、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項14または15に記載の発光装置。
  17. 前記反射層は、平均一次粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の発光装置。
  18. 前記反射層に含まれる金属酸化物微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項17に記載の発光装置。
  19. 前記反射層は、シランカップリング剤を含んで形成されることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の発光装置。
  20. 前記波長変換素子及び前記反射層は、バインダとなるセラミック材料を含み、前記セラミック材料中に粘土鉱物のイモゴライトを含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の発光装置。
  21. 実装基板を有し、前記実装基板上に前記発光素子が設けられていることを特徴とする請求項1〜10及び請求項12〜20のいずれか1項に記載の発光装置。
  22. 前記実装基板はキャビティを有し、前記反射層は前記キャビティの壁面及び/または底面に設けられていることを特徴とする請求項21に記載の発光装置。
  23. 前記発光素子はLED素子である請求項1〜22のいずれか1項に記載の発光装置。
  24. 蛍光体粒子を含む蛍光体層と有機ケイ素化合物を含むセラミック層とを含む波長変換層を有することを特徴とする波長変換素子。
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