JP2014082401A - 蛍光光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】励起光によって励起される蛍光体を有する波長変換部材を備えてなる蛍光光源装置であって、前記波長変換部材における励起光受光面に周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記励起光の波長以下であることを特徴とする。前記周期構造の周期は、前記蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであることが好ましい。
【選択図】図2
Description
しかしながら、回転ホイールを備えた波長変換部材を利用した蛍光光源装置においては、回転ホイールを回転駆動するモーターの部品に劣化が生じて故障が生じやすく、また、駆動系自体の構成が複雑である、という問題がある。
しかしながら、このような蛍光光源装置においては、レーザ光がYAG焼結体よりなる蛍光部材に照射されたときに、当該蛍光部材の表面においてレーザ光が後方散乱されるため、レーザ光が蛍光部材の内部に十分に取り込まれず、その結果、高い発光効率が得られない、という問題がある。
前記波長変換部材における励起光受光面に周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記励起光の波長以下であることを特徴とする。
このような蛍光光源装置においては、前記周期構造体層の屈折率は、前記蛍光部材の屈折率以上であることが好ましい。
また、波長変換部材における励起光受光面に形成された周期構造の周期が、蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであることにより、当該蛍光体から放射される蛍光を高い効率で外部に放射することができ、その結果、一層高い発光効率が得られる。
また、蛍光部材上に周期構造体層が形成された波長変換部材を有する蛍光光源装置において、周期構造体層の屈折率が蛍光部材の屈折率以上であることにより、蛍光部材と周期構造層との間の界面において、蛍光が反射することが回避されるので、蛍光部材からの蛍光の発光効率を維持することができる。
図1は、本発明の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す説明図であり、図2は、図1に示す蛍光光源装置における波長変換部材の構成を示す説明用断面図である。
この蛍光光源装置は、図1に示すように、青色領域の光を放射するレーザダイオード10と、このレーザダイオード10に対向して配置された、当該レーザダイオード10から放射されるレーザ光である励起光Lによって励起されて緑色領域の蛍光L1を放射する蛍光体を有する波長変換部材20とを備えてなる。
レーザダイオード10と波長変換部材20との間における当該レーザダイオード10に接近した位置には、レーザダイオード10から入射された励起光Lを平行光線として出射するコリメータレンズ15が配置されている。また、コリメータレンズ15と波長変換部材20との間には、レーザダイオード10からの励起光Lを透過すると共に波長変換部材20からの蛍光L1を反射するダイクロイックミラー16が、コリメータレンズ15の光軸に対して例えば45°の角度で傾斜した姿勢で配置されている。
図1では、1つのレーザダイオード10の光を用いているが、レーザダイオード10が複数あり、波長変換部材20の前に集光レンズを配置させ、集光光を波長変換部材20に照射する形態であってもよい。また、励起光はレーザダイオード10による光に限るものではなく、波長変換部材20における蛍光体を励起することができるものであれば、LEDによる光を集光したものでもよく、更には、水銀、キセノン等が封入されたランプからの光であってもよい。尚、ランプやLEDのように放射波長に幅を持つ光源を利用した場合には、励起光の波長は主たる放射波長の領域である。ただし、本発明においては、これに限定されるものではない。
また、蛍光部材22を構成する多結晶の蛍光体は、例えば以下のようにして得ることができる。先ず、母材、賦活材および焼成助剤などの原材料をボールミルなどによって粉砕処理することによって、サブミクロン以下の原材料微粒子を得る。次いで、この原材料微粒子を例えばスリップキャスト法によって焼結する。その後、得られた焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施すことによって、気孔率が例えば0.5%以下の多結晶の蛍光体が得られる。
本発明において、周期構造の周期とは、周期構造において互いに隣接する凸部間の距離(nm)を意味する。
このように、周期構造23の周期dが励起光Lの波長以下とされることによって、蛍光部材22の表面において励起光Lが反射することを防止または抑制することができる。このような作用が生じるのは、以下の理由による。
図3は、励起光Lが蛍光部材22の表面に垂直な方向に入射した場合において、当該励起光Lが伝播する媒体の屈折率の変化をマクロ的に示した図であり、(a)は蛍光部材22の一部を拡大して示す断面図であり、(b)は蛍光部材の表面に対して垂直な方向における位置と屈折率とのマクロ的な関係を示すグラフである。この図3に示すように、励起光Lが、空気(屈折率が1)中から蛍光部材22(屈折率がN1 )の表面に照射されたときに、周期構造23を構成する錐状の凸部23aのテーパ面に対して傾斜した方向から入射されるので、マクロ的に見ると、励起光Lが伝播する媒体の屈折率は、蛍光部材22の表面に垂直な方向に向かって1からN1 に緩やかに変化することとなる。従って、蛍光部材22の表面に、屈折率が急激に変化する界面が実質的にないため、蛍光部材22の表面において励起光Lが反射することを防止または抑制することができる。
一方、周期構造23の周期dが励起光Lの波長を超える場合には、傾斜面を屈折率の異なる2つの媒体の境界面とみなすようになるため、その屈折率差に従った反射光が生じてしまう。
この条件を満足することにより、蛍光部材22を構成する蛍光体から放射される蛍光L1を高い効率で当該蛍光部材22の表面から外部に放射することができる。具体的に説明すると、図4に示すように、蛍光部材22内で生じた蛍光L1の蛍光部材22の表面(蛍光部材22と空気との界面)に対する入射角θIが臨界角未満である場合には、蛍光部材22の表面を透過する透過光L2として無反射で蛍光部材22の表面から外部に取り出される。また、蛍光L1の蛍光部材22の表面に対する入射角θIが臨界角以上である場合には、例えば蛍光部材22の表面が平坦面であるときには、蛍光L1は、蛍光部材22の表面において全反射して反射光L3として蛍光部材22の内部に向かうため、蛍光部材22の表面から外部に取り出すことができない。しかしながら、蛍光部材22の表面に上記の条件を満足する周期dを有する周期構造23が形成されることにより、蛍光L1は、蛍光部材22の表面において周期構造23によって回折が生じることとなる。その結果、−1次回折光L4として蛍光部材22の表面から出射角θm(θm<θI)で出射されて外部に取り出される。
尚、本実施形態の励起光としてはレーザダイオード10から放射されるレーザ光を用いたが、励起光はレーザダイオード10の光に限るものではなく、波長変換部材を励起できるものであれば、良い。例えば、LEDの光を集光したものでもよく、更には、水銀や、キセノンガス等が封入された放電ランプ等からの光であってもよい。
また、当該周期構造23の周期dが、蛍光部材22を構成する蛍光体L1から放射される蛍光L1の回折が発生する範囲の大きさとされる。これにより、当該蛍光体から放射される蛍光L1を高い効率で外部に取り出すことができ、その結果として、一層高い発光効率が得られる。
この蛍光光源装置における波長変換部材20は、図5に示すように、矩形の基板21と、この基板21の表面上に設けられた矩形の板状の蛍光部材22と、この蛍光部材22上に形成された、表面に周期構造26が形成された周期構造体層25とを有する。この例の波長変換部材20においては、周期構造体層25の表面(図5において上面)が励起光受光面とされている。周期構造体層25の表面に形成された周期構造26は、裏面から表面に向かう方向に従って小径となる錐状の凸部26aが周期的に配列されてなるものである。また、蛍光部材22の裏面(図5において下面)および側面の各々には、例えば銀よりなる光反射膜24が形成されている。また、基板21の裏面には、例えば放熱用フィン(図示省略)が配置されている。基板21および蛍光部材22の構成は、当該蛍光部材22の表面に周期構造が直接形成されていないことを除き、図1に示す蛍光光源装置と同様である。
また、周期構造23の周期dは、蛍光部材22を構成する蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであることが好ましい。このような条件を満足することにより、蛍光部材22を構成する蛍光体から放射される蛍光を高い効率で周期構造層25の表面から外部に取り出すことができる。
また、周期構造体層25の周期構造26における周期dに対する凸部26aの高さhの比(h/d)は、図1に示す蛍光光源装置の波長変換部材20における周期構造23と同様である。
また、周期構造層25を構成する材料として、屈折率が蛍光部材22の屈折率より高いものを用いることにより、周期dが小さい周期構造26を形成することが可能となる。従って、周期構造26を構成する凸部26aとしてアスペクト比が大きくても高さが小さいものを設計することができるので、周期構造26の形成が容易となる。例えば、ナノプリント法を利用する場合には、モールド(テンプレート)の作製やインプリント作業を容易に行うことができる。このとき、当該周期構造26が形成されている波長変換部材20における蛍光体を励起するエネルギーは、約5W/mm2 以上の励起密度を持つため、周期構造層25を構成する材料は無機材料であることが望ましい。
また、周期構造体層25の厚みは、例えば0.1〜1.0μmである。
また、波長変換部材20における周期構造層25の表面に形成された周期構造26の周期dは、蛍光部材22を構成する蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさである。これにより、当該蛍光体から放射される蛍光を高い効率で外部に取り出すことができ、その結果として、一層高い発光効率が得られる。
また、周期構造層25を構成する材料として、屈折率が蛍光部材22の屈折率以上のものが用いられている。これにより、蛍光部材22と周期構造層25との間の界面において、蛍光が反射することが回避されるので、蛍光部材22からの蛍光の発光効率を維持することができる。
図5に示す構成に従い、下記の仕様の波長変換部材Aを作製した。
[基板(21)]
材質:アルミ基板,寸法:25mm(縦)×25mm(横)×1mm(厚み)
[蛍光部材(22)]
材質:LuAG 屈折率=1.83,励起波長=445nm、蛍光波長=535nm),寸法:1.7mm(縦)×3.0mm(横)×130μm(厚み)
[光反射膜(24)]
材質:銀,厚み:110nm
[周期構造体層(25)]
材質:窒化珪素 屈折率=2.0),寸法:1.7mm(縦)×3.0mm(横)×500nm(厚み)
[周期構造(26)]
凸部(26a)の形状:円錐状,周期(d)=268nm,凸部(26a)の高さ(h)=500nm(周期(d)に対する凸部(26a)の高さ(h)の比(h/d)=2.0)
例えば、図1および図5に示す蛍光光源装置において、波長変換部材における周期構造23,26は、裏面から表面に向かう方向に従って小径となる凸部23a,26aを有するものであれば、錐状のものに限定されず、例えば図6(a)〜(c)に示す形状のものであってもよい。ここで、図6(a)は、半円状の23aを並べた形状である。また、図6(b)は、(a)の形状を裏面側に逆転した形状である。更に、図6(c)は、半円状の凸部と半円状の凹部を順次組み合わせた形状である。
また、蛍光光源装置全体の構造は、図1に示すものに限定されず、種々の構成を採用することができる。
15 コリメータレンズ
16 ダイクロイックミラー
20 波長変換部材
21 基板
22 蛍光部材
23 周期構造
23a 凸部
24 光反射膜
25 周期構造体層
26 周期構造
26a 凸部
L 励起光
L1 蛍光
L2 透過光
L3 反射光
L4 −1次回折光
Claims (5)
- 励起光によって励起される蛍光体を有する波長変換部材を備えてなる蛍光光源装置であって、
前記波長変換部材における励起光受光面に周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記励起光の波長以下であることを特徴とする蛍光光源装置。 - 前記周期構造の周期は、前記蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
- 前記波長変換部材は、表面に周期構造を有する、蛍光体が含有されてなる蛍光部材を備えてなり、当該蛍光部材の表面が前記励起光受光面とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光光源装置。
- 前記波長変換部材は、蛍光体が含有されてなる蛍光部材と、この蛍光部材上に形成された、表面に周期構造を有する周期構造体層とを備えてなり、当該周期構造体層の表面が前記励起光受光面とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光光源装置。
- 前記周期構造体層の屈折率は、前記蛍光部材の屈折率以上であることを特徴とする請求項4に記載の蛍光光源装置。
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