JP2014063732A - 全固体型リチウムイオン電池用正極、その正極を得るために用いる混合体、それらの製造方法、および全固体型リチウムイオン電池 - Google Patents

全固体型リチウムイオン電池用正極、その正極を得るために用いる混合体、それらの製造方法、および全固体型リチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】緻密で、かつ、異相生成度が低い全固体型リチウムイオン電池用正極の製造方法の提供。
【解決手段】リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させた状態で粉砕混合し、得られたスラリーを乾燥して前駆体を得る前駆体調整工程と、前記前駆体を900℃以下で焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、M2を含む焼結助剤と前記仮焼体とを混合し、混合体を得る混合工程と、成型加工を行い、前記混合体を含む成型体を得る成型工程と、前記成型体を焼成してリチウム複合酸化物を主成分とする焼結体を得る焼成工程と、を備える、全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、全固体型リチウムイオン電池用正極、その正極を得るために用いる混合体、それらの製造方法、および全固体型リチウムイオン電池に関する。
リチウム電池は、他の電池に比べて大きなエネルギー密度を持ち、軽く、長時間使用できるという特徴を有し、携帯電話、PHS、小型コンピューター等の携帯機器類用電源、電力貯蔵用電源、電気自動車用電源等として用いるために開発が進められている。
なかでも固体電解質を有し、さらにその他の要素の全てを固体で構成した全固体リチウムイオン電池は、有機溶媒等の電解液を用いるリチウムイオン電池と比べ、安全面に優れ、さらに腐食による電池性能の劣化等の問題も生じ難いため、近年、盛んに研究が行われている。
このような全固体型リチウムイオン電池として、例えば特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
特開2009−140910号公報 特開2010−205739号公報 特開2009−206084号公報
しかしながら、従来の全固体型リチウムイオン電池は、正極における空隙率が高いため、充放電容量等の電池性能が不十分であった。
また、正極の製造過程において、原料を高温で焼成する操作を行えば正極の空隙率は低くなる傾向があるが、一方で異相生成度が高くなるため、充放電容量等の電池性能は改善されないことを本発明者は見出した。
本発明は、上記のような従来の全固体型リチウムイオン電池における正極の問題点を解決するものである。
すなわち、緻密で空隙率が低く、かつ、異相生成度が低い全固体型リチウムイオン電池用正極、その正極を得るために用いる混合体、およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。また、この正極を有する電池性能に優れる全固体型リチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、特定の焼結助剤を用いて特定の方法で製造すると、緻密で空隙率が低く、かつ、異相生成度が低い全固体型リチウムイオン電池用正極が得られ、それを正極として用いた全固体型リチウムイオン電池は性能に優れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(7)である。
(1)リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させた状態で粉砕混合し、得られたスラリーを乾燥して前駆体を得る前駆体調整工程と、
前記前駆体を900℃以下で焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、
2を含む焼結助剤と前記仮焼体とを混合し、混合体を得る混合工程と、
を備え、
さらに成型加工および焼成することで、下記式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とし、全固体リチウムイオン電池用正極の少なくとも一部として用いることができる焼結体を得ることができる、混合体の製造方法。
式(I):Li(x+y)1 (2-y-p)2 p(4-a)
ここでM1はMn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、M2はB、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、1.0≦x≦2.0、0≦y≦0.2、0<p≦1.0、0≦a≦1.0である。
(2)上記(1)に記載の混合体の製造方法に、さらに、
成型加工を行い、前記混合体を含む成型体を得る成型工程と、
前記成型体を焼成して式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とする焼結体を得る焼成工程と、
を備える、全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
(3)前記焼成工程において、空隙率が4.5%以下である焼結体が得られる、上記(2)に記載の全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
(4)前記焼成工程において、粉末X線回折測定を行って得られるXRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])が0.3以下である焼結体が得られる、上記(2)または(3)に記載の全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
(5)上記(1)に記載の製造方法によって得られる混合体。
(6)上記(2)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって得られる全固体リチウムイオン電池用正極。
(7)上記(6)に記載の正極と、負極と、固体電解質とを有する、全固体リチウムイオン電池。
本発明によれば、緻密で空隙率が低く、かつ、異相生成度が低い全固体型リチウムイオン電池用正極、その正極を得るために用いる混合体、およびそれらの製造方法を提供することができる。また、この正極を有する電池性能に優れる全固体型リチウムイオン電池を提供することができる。
実施例1において得たXRDチャートである。
本発明について説明する。
本発明は、リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させた状態で粉砕混合し、得られたスラリーを乾燥して前駆体を得る前駆体調整工程と、前記前駆体を900℃以下で焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、M2を含む焼結助剤と前記仮焼体とを混合し、混合体を得る混合工程と、を備え、さらに成型加工および焼成することで、下記式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とし、全固体リチウムイオン電池用正極の少なくとも一部として用いることができる焼結体を得ることができる、混合体の製造方法である。
式(I):Li(x+y)1 (2-y-p)2 p(4-a)
ここでM1はMn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、M2はB、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、1.0≦x≦2.0、0≦y≦0.2、0<p≦1.0、0≦a≦1.0である。
このような混合体の製造方法を、以下では「本発明の混合体の製造方法」ともいう。
また、本発明は、本発明の混合体の製造方法に、さらに、成型加工を行い、前記混合体を含む成型体を得る成型工程と、前記成型体を焼成して式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とする焼結体を得る焼成工程と、を備える、全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法である。
このような全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法を、以下では「本発明の正極の製造方法」ともいう。
初めに、本発明の混合体の製造方法が備える各工程について説明する。
<前駆体調整工程>
本発明の混合体の製造方法における前駆体調整工程について説明する。
前駆体調整工程では、初めに、リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させる。
リチウム源としては、リチウム原子を含む無機または有機の化合物(すなわち、リチウム化合物)を用いることができる。例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウムを用いることができる。これらの中でも水酸化リチウムおよび/または炭酸リチウムを用いることが好ましい。有害ガスの生成を抑制できるからである。
1を含む原料としては、Mn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物を用いることができる。元素M1はMnおよび/またはNiを含むことが好ましい。
1を含む原料はマンガン源を含むことが好ましい。
マンガン源としては、マンガン原子を含む無機または有機の化合物(すなわち、マンガン化合物)を用いることができる。例えば、酸化マンガン、炭酸マンガン、炭酸マンガン水和物、水酸化マンガン、オキシ水酸化マンガンを用いることができる。これらの中でも酸化マンガンを用いることが好ましく、MnO2を用いることがより好ましい。工業原料として安価に入手でき、さらに、より充放電容量等の電池性能が高いリチウムイオン電池が得られる傾向があるからである。
1を含む原料としては、例えば、酸化ニッケル、酸化コバルト、マグネシア、ヘマタイト、アルミナ、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、酸化クロムなどを用いることができる。これらの中でもNiを含む化合物を用いることが好ましく、酸化ニッケル(NiO)をより好ましく用いることができる。また、Alを含む化合物を用いることが好ましく、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)をより好ましく用いることができる。
工業原料として入手でき、結晶構造中のMnとの置換が比較的起こりやすく、より充放電容量等の電池性能が高いリチウムイオン電池が得られる傾向があるからである。
上記のようなリチウム源およびM1を含む原料は、少なくとも1以上が固体の原料であることが好ましい。
溶媒に含有させる際に、上記のようなリチウム源およびM1を含む原料の比率は、式(I)で表される組成のリチウム複合酸化物が得られるように調整することが好ましい。
溶媒について説明する。
リチウム源およびM1を含む原料を含有させる溶媒は特に限定されず、例えば従来公知の溶媒、例えば水(純水等)、エタノール、アセトンなどを用いることができるが、水を用いることが好ましい。
また、溶媒中の固形分濃度が、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜35質量%、さらに好ましくは15〜30質量%となるように、リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させる。
前駆体調整工程では、リチウム源およびM1を含む原料を前記溶媒中に含有させ、その状態で粉砕混合する。
粉砕混合の方法は特に限定されないものの、ビーズミル等を用いた湿式微粉砕機を用いた湿式粉砕法が好ましい。
また、この粉砕は、固形分の平均粒子径(D50)が0.50μm以下であるスラリーが得られるまで行うことが好ましい。平均粒子径(D50)が0.50μm以下となるように粉砕混合すると、スラリー中で固形分の分散が均一な状態となり易い。また、得られるリチウムイオン電池における充放電容量等の電池性能が高くなる傾向があるからである。
この平均粒子径は0.40μm以下であることが好ましく、0.30μm以下であることがより好ましい。
また、平均粒子径は0.10μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましい。粉砕で粒径を小さくし過ぎると、以降の工程でのハンドリングが悪くなるからである。
なお、スラリー中の固形分の平均粒子径(D50)は、室温大気中で、スラリーにヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を添加し、超音波分散および撹拌によって分散させ、このスラリーを80〜90%の透過率となるように調節し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて積算粒度分布(体積基準)を測定し、その粒度分布から求めたメジアン径を意味するものとする。
また、この粉砕は、固形分におけるD90の粒子径が3.00μm以下であるスラリーが得られるまで行うことが好ましい。このD90の粒子径は2.00μm以下であることがより好ましく、1.00μm以下であることがさらに好ましい。得られるリチウムイオン電池における充放電容量等の電池性能が高くなる傾向があるからである。
なお、スラリー中の固形分のD90の粒子径は、室温大気中で、スラリーにヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を添加し、超音波分散および撹拌によって分散させ、このスラリーを80〜90%の透過率となるように調節し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて積算粒径分布(体積基準)を測定し、その積算粒度分布が90%となる粒径を意味するものとする。
次に、このようにして得たスラリーを乾燥して前駆体を得る。ここでスラリーの乾燥はバンド乾燥機、棚型乾燥機などを用いた乾燥方法であってよいが、噴霧乾燥であることが好ましい。噴霧乾燥とは、スラリーを噴霧し、霧状とした後または霧状としながら、乾燥することである。所望の条件で噴霧乾燥して、得られる前駆体の粒子径を所望の範囲内に調整することができる。
噴霧乾燥の方法は特に制限されず、例えば、二流体ノズルにスラリーを流入させることによってノズル先端からスラリー成分の液滴を吐出させ、適当な乾燥ガス温度や送風量に調節して飛散した液滴を迅速に乾燥させる方法が挙げられる。このときスラリー流量は好ましくは0.5〜700kg/h、より好ましくは1〜600kg/h、さらに好ましくは3〜550kg/hとする。
また、微粉化エアー圧力は0.05〜0.5MPaとすることが好ましく、0.05〜0.4MPaすることがより好ましく、0.1〜0.4MPaとすることがさらに好ましい。
飛散した液滴を迅速に乾燥させるように、適当な温度や送風等の処理が施されるが、乾燥塔上部から下部に向かいダウンフローで乾燥ガスを導入することが好ましい。
噴霧乾燥はスプレードライヤーを用いて行うことが好ましい。また、スプレードライヤーの乾燥用熱風の入口温度を好ましくは60〜500℃、より好ましくは150〜450℃、さらに好ましくは200〜400℃、出口温度を好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは100〜160℃とする。
<仮焼工程>
本発明の混合体の製造方法における仮焼工程について説明する。
仮焼工程では、前記前駆体を900℃以下の温度で焼成する。
仮焼工程において前記前駆体を焼成する温度である仮焼温度は900℃以下の温度とする。仮焼温度は850℃以下であることが好ましく、800℃以下であることがより好ましく、750℃以下であることがより好ましく、700℃以下であることがさらに好ましい。
この仮焼温度は400℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。
このような範囲の仮焼温度であると、後の焼成工程によって得られる焼結体の焼結性が向上するからである。また、焼結体の空隙率がより低くなる傾向があるからである。
上記のような仮焼温度で前記前駆体を焼成する時間を仮焼時間とする。
仮焼時間は20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましく、8時間以下であることがより好ましく、7時間以下であることがさらに好ましい。
仮焼時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることがさらに好ましい。
このような範囲の仮焼時間であると、後の焼成工程によって得られる焼結体の焼結性が向上するからである。また、焼結体の空隙率がより低くなる傾向があるからである。
仮焼工程において前駆体を焼成する方法は、酸素含有雰囲気中で行われる方法であれば特に限定されず、例えば従来公知の方法、例えばトンネル炉、マッフル炉、ロータリーキルン等を用いる焼成方法が挙げられる。
<混合工程>
本発明の混合体の製造方法における混合工程について説明する。
混合工程では、B、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であるM2を含む焼結助剤と前記仮焼体とを混合し、混合体を得る。
混合体は、少なくとも一部が固体であることが好ましく、全てが固体であることがより好ましい。
焼結助剤は、B、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であるM2を含むものであり、B、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む化合物(M2を含む化合物)を用いることができる。具体的には、硼化物(ホウ酸、ホウ酸リチウムなど)、隣化物(リン酸など)、塩化物、P25、Sb23、SiO2、V25などが挙げられる。
元素M2はBおよび/またはVを含むことが好ましい。
元素M2がBを含む場合、M2を含む化合物として、ホウ酸(H3BO3)、三酸化二ホウ酸(B23)、ホウ酸リチウム(Li247)を用いることができ、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸リチウム(Li247)を用いることが好ましい。工業原料として安価に入手できるからである。また、元素M2がBを含むと、後に焼成する際の焼結性が高まり、粒子成長が促進され、焼結体中の空隙が減少するため、得られるリチウムイオン電池の充放電容量等の電池性能の向上に寄与するものと、本発明者は推定している。
焼結助剤は、このような化合物の中の複数種類を含むものであってよい。
焼結助剤は粉末状等の固体であってもよいが、ホウ酸溶液やリン酸溶液等の液体であることが好ましい。
このような焼結助剤と前記仮焼体とから混合体を得る方法は特に限定されない。例えば、焼結助剤が液体である場合、この液体の中へ前記仮焼体を浸漬して撹拌した後、これを噴霧乾燥して固体状の混合体を得る方法が挙げられる。噴霧乾燥は前駆体調整工程における噴霧乾燥と同様であってもよい。
また、例えば、前記焼結助剤と前記仮焼体とを含むスラリーを得た後、このスラリーを流動しているボールの表面に付着させ、ボール表面にてスラリーを乾燥させることで、固体状の混合体を得る方法が挙げられる。
焼結助剤と仮焼体との混合比率は特に限定されないが、焼結助剤および仮焼体に含まれるLi、M1元素およびM2元素の合計モル量(Li、Mn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCr、ならびにB、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVの合計モル量)に対するM2元素のモル量(B、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVの合計モル量)の比を0.0001〜0.035とすることが好ましく、0.00015〜0.02とすることがより好ましく、0.00015〜0.01とすることがさらに好ましい。
このように前記焼結助剤と前記仮焼体とを混合して混合体を得ることができるが、混合体はさらに他のものを含んでもよい。例えば導電助剤や成型助剤を含んでもよい。導電助剤としては、例えば従来公知の酸化物系導電助剤が挙げられる。また、成型助剤としては、例えば従来公知のポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などが挙げられる。
このようなその他のものの前記混合体における含有率は30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
混合体の形状等は特に限定されないが、平均粒子径(D50)が30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。また、この平均粒子径(D50)は、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。焼成工程によって得られる焼結体における空隙率がより低くなる傾向があるからである。
なお、混合体の平均粒子径(D50)は、次のような方法で求めるものとする。
混合体がスラリーである場合は、スラリー状の混合体へ、室温大気中にて分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液)を添加し、超音波分散および撹拌によって分散させて、このスラリーの透過率が80〜90%となるように調節した後、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて積算粒度分布(体積基準)を測定し、その粒度分布から求めたメジアン径を、混合体の平均粒子径(D50)とする。
混合体が固体である場合は、この混合体をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置の試料投入口へ投入し、さらに分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液)を添加した後、超音波分散および撹拌によって分散させて、このスラリーの透過率が80〜90%となるように調節した後、この装置を用いて積算粒度分布(体積基準)を測定し、その粒度分布から求めたメジアン径を、混合体の平均粒子径(D50)とする。
このような前駆体調整工程、仮焼工程および混合工程を備える本発明の混合体の製造方法によって得られる混合体は、さらに、成型加工および焼成すると、後述する式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とし、全固体リチウムイオン電池用正極の少なくとも一部として用いることができる焼結体を得ることができる。
次に、本発明の正極の製造方法が備える各工程について説明する。
本発明の正極の製造方法は、本発明の混合体の製造方法が備える前駆体調整工程、仮焼工程および混合工程に加え、さらに成型工程および焼成工程を備える。
<成型工程>
本発明の正極の製造方法における成型工程について説明する。
成型工程では、前記混合体を含む成型体を得る。
成型工程では、前記混合体を成型加工して成型体を得ることができるが、前記混合体に、導電助剤および/または結着剤を添加したものを成型加工して成型体を得ることが好ましい。
ここで、導電助剤として、例えば従来公知の酸化物系導電助剤が挙げられる。
また、結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などが挙げられる。
前記成型体における前記混合体以外のもの(導電助剤や結着剤など)の含有率は30質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
例えば、プレス成型等の従来公知の成型加工を行って、前記混合体を板状やシート状の形に成型して、成型体を得ることができる。前記混合体を板状やシート状の形に成型すると、これを焼成することで正極とすることができる。
<焼成工程>
本発明の正極の製造方法における焼成工程について説明する。
焼成工程では、上記のような成型工程によって得られた成型体を焼成して焼結体を得る。
成型体を焼成する温度である焼成温度は従来公知の温度とすることができる。例えば、600〜1400℃の焼成温度にて焼成することができる。
この焼成温度は750℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがより好ましく、900℃以上であることがより好ましく、950℃以上であることがさらに好ましい。
また、焼成温度は1200℃以下であることが好ましく、1150℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることがより好ましく、1050℃以下であることがさらに好ましい。
焼成温度が高すぎると、結晶構造中から酸素が離脱する可能性があり、その場合、電池性能が低下する傾向があるからである。逆に低すぎると焼結が不十分となり空隙が多い電極となりやすく、この場合も電池性能が低下する傾向がある。
上記のような焼成温度で前記成型体を焼成する時間を焼成時間とする。
焼成時間は20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましく、8時間以下であることがより好ましく、7時間以下であることがさらに好ましい。
焼成時間が長すぎると、結晶構造中から酸素が離脱したり、粒子間の焼結により酸素欠損したりする可能性があり、その場合、電池性能が低下する傾向があるからである。
焼成時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、5時間以上であることがさらに好ましい。
一次粒子の成長(径の増大)が促進され、電極中の空隙が減少し、電池特性が向上する傾向があるからである。短すぎると焼結が不十分となり空隙が多い電極となりやすく、この場合は電池性能が低下する傾向がある。
焼成工程において前記成型体を焼成する方法は、酸素含有雰囲気中で行われる方法であれば特に限定されず、例えば従来公知の方法、例えばトンネル炉、マッフル炉、ロータリーキルン等を用いる焼成方法が挙げられる。
このような焼成工程によって、空隙率が、好ましくは4.5%以下である前記焼結体を得ることができる。空隙率が低く、さらに異相生成度が低いため、この焼結体を正極として用いてなる全固体型リチウムイオン電池は電池性能が優れるものである。
焼結体の空隙率は、4.5%以下であることが好ましく、4.4%以下であることがより好ましく、4.3%以下であることがさらに好ましい。また、0%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1.0%以上であることがさらに好ましい。
このような空隙率であると、この焼結体を正極として用いてなる全固体型リチウムイオン電池の電池性能はより優れるものであるからである。
焼結体の空隙率は、次のように測定して得た値を意味するものとする。
初めに、焼結体1gをるつぼに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、冷却した試料のうちの0.7gをセルに採取し、細孔分布測定装置PM−33GT1LP(QUANTA CROME製)を使用して水銀を細孔内へ圧入し、その時加えた圧力と押し込まれた(侵入した)水銀容積の関係から細孔容積を測定する。また、加えられた圧力と、その圧力で水銀が侵入可能な細孔径の関係から細孔分布を求める。測定は、最高圧力32273psi(細孔直径5.4nm)まで行い、解析に用いる水銀の表面張力はσ=473dynes/cm、接触角はθ=130°とする。そして、細孔径5.4nm〜2000nmまでの細孔容積(g/cm3)を、焼結体の重さ(g)、厚み(cm)、直径(cm)より算出した焼結体の体積密度(g/cm3)で割った値を空隙率とする。
前記焼結体は、式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とする。
このようなリチウム複合酸化物を、以下では「本発明の複合酸化物」ともいう。
焼結体は式(I)で表されるリチウム複合酸化物(すなわち本発明の複合酸化物)を主成分とするが、例えば本発明の複合酸化物がスピネル型リチウム複合酸化物の場合、前記焼結体を粉末X線回折測定に供した際に、スピネル構造(空間群Fd−3m、晶系Cubic)に帰属される回折パターンが得られ、かつ、前記焼結体を正極として用いて、リチウム金属の電位(Va)に対して0<Va≦5.5ボルトの範囲で充放電可能な全固体リチウムイオン電池が得られる。このような場合、前記焼結体は、式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分としているものとする。
また、本発明の複合酸化物はスピネル型リチウム複合酸化物以外であってもよいが、スピネル型リチウム複合酸化物を含むことが好ましい。
さらに、前記焼結体は、粉末X線回折測定を行って得られるXRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])が0.3以下であることが好ましい。ここでピーク強度は、ベースラインからの強度を意味するものとする。
このようなピーク強度比は、0.1以下であることがより好ましく、0.05以下であることがさらに好ましい。また、0以上であることが好ましく、0.001以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。
このようなピーク強度比であると、この焼結体を正極として用いてなる全固体型リチウムイオン電池の電池性能が、より優れるものであるからである。
ピーク強度比は、初めに、焼結体について、従来公知の粉末X線回折装置(Cu−Kα線を使用)を用いて粉末X線回折測定を行い、XRDチャートを得た後、得られたXRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]と、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]とを読み取り、求めるものとする。
また、異相成分とは、空間群Fd−3m、晶系Cubicとは異なる成分を意味するものとする。異相成分としては、例えば空間群R-3m、晶系Trigonalをとる酸化ニッケル(NiO)やニッケル酸リチウムおよびそのMnで置換された類縁体が挙げられる。
<本発明の複合酸化物>
本発明の複合酸化物について説明する。
本発明の複合酸化物には、スピネル型リチウム複合酸化物、層状岩塩型リチウム複合酸化物および逆スピネル型リチウム複合酸化物が含まれ得る。
本発明の複合酸化物は、これらの中の複数種類のリチウム複合酸化物を含むものであってよい。
本発明の複合酸化物は、スピネル型リチウム複合酸化物であることが好ましい。
スピネル型リチウム複合酸化物とは、立方晶系の構造を備え、空間群Fd−3mの対称性を有するものである。理想的な構造では、アニオンであるO(酸素)が立方最密充填し、その隙間にカチオンが充填されていると考えられる。
また、従来、作動電位が5Vレベルと高い5V型または5V級と呼ばれる場合がある置換型のスピネル型リチウム複合酸化物も、本発明の複合酸化物に含まれるものとする。
層状岩塩型リチウム複合酸化物とは、α−NaFeO2型(空間群R−3m)とも呼ばれる、酸化物イオンが六方晶構造をとり、立方最密充填となっていると考えられるものである。層状岩塩型リチウム複合酸化物として、具体的には、LiNi0.5Co0.2Mn0.32、LiMn0.5Ni0.52、LiMn1/3Ni1/3Co1/32、Li4/32/32(ここでMは本発明の複合酸化物におけるM1およびM2からなる群から選ばれる少なくとも1つ。)が例示される。
また、LiCoO2やLiNiO2をベースとする固溶体化合物も、本発明の複合酸化物に含まれるものする。この固溶体化合物には、LiNi0.5Mn0.52、LiNi1/3Mn1/3Co1/32等が含まれる。LiNi0.5Mn0.52、LiNi1/3Mn1/3Co1/32の固溶体化合物は、空間群R−3mとも呼ばれる酸化物イオンが六方晶構造をとり、立方最密充填となっていると考えられる。また、固溶体化合物として、γLi4/32/32・(1−γ)LiMO2(0<γ<1。ここでMは本発明の複合酸化物におけるM1およびM2からなる群から選ばれる少なくとも1つ。)の態様のものが含まれるとする。
逆スピネル型リチウム複合酸化物とは、空間群Fd−3mをとり、LiAMB4(ここでMは遷移元素)の一般式において、Aが四面体サイト、M(遷移元素)とリチウムがランダムに八面体サイトを占める構造を備えるものである。
式(I)について説明する。
式(I)においてxは、1.0≦x≦2.0の範囲であるが、1.0≦x≦1.2であることが好ましく、1.0≦x≦1.1であることがより好ましく、x=1.0であることがさらに好ましい。xが1.0に近いほどリチウム複合酸化物はスピネル型に近い。xが2.0に近いほどリチウム複合酸化物は層状岩塩型に近い。
式(I)においてyは、0≦y≦0.2の範囲であるが、0≦y≦0.15であることが好ましく、0≦y≦0.1であることがより好ましい。
yは、M1と置換しているLi量を意味する。本発明の複合酸化物はM1の一部がLiと置換していることが好ましい。すなわち、リチウムイオン電池の正極活物質として用いられるリチウム複合酸化物の組成式におけるLiの原子数(組成比)の理論値より過剰のLiが含まれていることが好ましい。この場合、過剰のLiの一部または全部に見合う分だけM1量を少なくすることにより、Liの少なくとも一部がM1と置換した構造をとる。
Liの置換量(y)が多くなると、電池の充放電容量は若干低下するものの、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向がある。しかしながら、yが0.2より大きくなっても常温よりも高温でのサイクル特性は大きくは向上し難い傾向がある。また、Li総量(x+y)が1.0未満になると不純物となる異相が生成され、電池の充放電性能が低下する傾向がある。
式(I)において、M1はMn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、Mnおよび/またはNiを含むことが好ましい。
1の存在量である2−y−pは0よりも大きい。2−y−pの下限は0.66であることが好ましく、下限は0.8であることがより好ましい。2−y−pが小さすぎると容量が保持でき難いからである。
また、2−y−pの上限は2.0であるが、上限は1.95であることが好ましく、上限は1.90であることがより好ましい。2−y−pが大きすぎるとサイクル特性が劣化するからである。
1がMnを含む場合、式(I)は次のような式(I−1)と表すことができる。
式(I−1):Li(x+y)Mn(2-y-p-r)11 r2 p(4-a)
式(I−1)においてM11はM1におけるMn以外の元素、すなわち、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、rはM11の置換量を意味し、0≦r≦2.0である。
また、0<2−y−p−rとする。2−y−p−rの好ましい上限と好ましい下限については、前述の2−y−pの場合と同様である。
11の置換量であるr(M11として複数種類の元素を含む場合は、それらの合計)は好ましくは0≦r≦1.0、より好ましくは0.01≦r≦0.6、さらに好ましくは0.05≦r≦0.5である。正極活物質として用いたときに、一定の放電容量を確保し、常温よりも高温でのサイクル特性を維持することができるからである。なお、M11の置換量が多くなり過ぎると、正極活物質として用いたときの電池の常温よりも高温でのサイクル特性は向上するものの、電池の放電容量が低下してしまう場合がある。
式(I)において、元素M2はB、P、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素である。これらの中で好ましい元素はBおよび/またはVである。
2の置換量であるp(M2として複数種類の元素を含む場合は、それらの合計)は0<p≦1.0であり、上限は0.1であることが好ましく、0.05であることがより好ましい。正極活物質として用いたときに、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向があるからである。置換量pが高すぎると正極活物質として用いたときのリチウムイオン電池の放電容量が低下する傾向がある。
式(I)において、aはO(酸素)の欠損量を示している。
式(I)においてaは0≦a≦1.0を満たし、a=0であることが好ましい。
酸素欠損量が小さいと(すなわちaが小さいと)充放電試験における3.2V以下容量が小さくなる傾向がある。酸素欠損量が小さいと結晶構造が安定し、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向がある。
本発明の複合酸化物はスピネル型リチウム複合酸化物であることが好ましい。この場合、本発明の複合酸化物は下記式(I−2)で表されるものであることが好ましい。
式(I−2):Li(1+y)1 (2-y-p)2 p(4-a)
式(I−2)は、式(I)におけるxが1の場合に相当する。
また、本発明の複合酸化物はMnを含むスピネル型リチウム複合酸化物であることが好ましい。この場合、本発明の複合酸化物は下記式(I−3)で表されるものであることが好ましい。
式(I−3):Li(1+y)Mn(2-y-p-r)11 r2 p(4-a)
式(I−3)は、式(I−1)におけるxが1の場合に相当する。
式(I−3)におけるM11およびrは、式(I−1)におけるM11およびrと同様である。また、式(I−1)の場合と同様に、0<2−y−p−rとする。2−y−p−rの好ましい上限と好ましい下限については、前述の2−y−pの場合と同様である。
本発明の複合酸化物が層状岩塩型リチウム複合酸化物である場合、本発明の複合酸化物は下記式(I−4)で表されるものであることが好ましい。
式(I−4):Li(2+y)1 (2-y-p)2 p(4-a)
式(I−4)は、式(I)におけるxが2の場合に相当する。
式(I−4)は、下記式(I−5)と表すことができる。
式(I−5):Li(1+z)1 (1-z-q)2 q(2-b)
ここで0≦z≦0.34、0<q≦1.0、0≦b≦1.0である。
式(I−5)においてzは、0≦z≦0.34の範囲であるが、0<z≦(1/3)であることがより好ましく、0.05≦z≦0.15であることがより好ましい。
zは、M1と置換しているLi量を意味する。本発明の複合酸化物が式(I−5)で表される場合、M1の一部がLiと置換していることが好ましい。すなわち、リチウムイオン電池の正極活物質として用いられるリチウム複合酸化物の組成式におけるLiの原子数(組成比)の理論値より過剰のLiが含まれていることが好ましい。この場合、過剰のLiの一部または全部に見合う分だけM1量を少なくすることにより、Liの少なくとも一部がM1と置換した構造をとる。
Liの置換量(z)が多くなると、電池の充放電容量は若干低下するものの、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向がある。しかしながら、zが0.34より大きくなっても常温よりも高温でのサイクル特性は大きくは向上し難い傾向がある。また、Li総量(1+z)が1.0未満になると不純物となる異相が生成され、電池の充放電性能が低下する傾向がある。
式(I−5)において、M1の存在量である1−z−qは0よりも大きい。1−z−qの下限は0.5であることが好ましく、0.66であることがより好ましい。1−z−qが小さすぎると容量が保持できないからである。
式(I−5)において、M2の置換量であるq(M2として複数種類の元素を含む場合は、それらの合計)は0<q≦1であり、上限は0.1であることが好ましく、0.05であることがより好ましい。正極活物質として用いたときに、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向があるからである。置換量qが高すぎると正極活物質として用いたときのリチウムイオン電池の放電容量が低下する傾向がある。
式(I−5)において、bはO(酸素)の欠損量を示している。
式(I−5)においてbは0≦b≦1.0を満たし、b=0であることが好ましい。
酸素欠損量が小さいと(すなわちbが小さいと)充放電試験における3.2V以下容量が小さくなる傾向がある。酸素欠損量が小さいと結晶構造が安定し、常温よりも高温でのサイクル特性が向上する傾向がある。
このような本発明の正極の製造方法によって製造された焼結体は、必要に応じて集電体と接合して、全固体リチウムイオン電池用正極として用いることができる。
集電体は特に限定されず、例えば従来公知のネット状、シート状、フィルム状のものを用いることができる。
また、本発明の正極の製造方法によって製造された焼結体を用いた正極と、負極と、固体電解質とを有する、全固体リチウムイオン電池を、以下では「本発明の電池」ともいう。
<本発明の電池>
本発明の電池について説明する。
本発明の電池は、正極として本発明の正極の製造方法によって得られた焼結体を用いた正極を用いること以外は、通常の全固体型リチウムイオン電池と同様の構成であってよく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などであってよい。すなわち、正極、負極および固体電解質を主たる電池構成要素とし、これら要素が、例えば電池缶内に封入されている。正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体として作用し、充電時には、リチウムイオンが負極中に吸蔵され、放電時には負極から離脱する。
負極は特に限定されず、例えば従来公知の負極と同様の態様であってよい。例えば、負極活物質としては、リチウムやリチウム−アルミニウムで代表されるリチウム合金や酸化物を用いることができる。
負極は、負極活物質がリチウム、リチウム合金、または酸化物の場合は、そのまま用いるか、あるいは集電体に圧着することによって製造することができる。
固体電解質としては、例えばリチウムイオンを含む酸化物系急冷ガラス、硫化物ベースのオキシスルフィド系超イオン伝導ガラスなどのガラス系固体電解質、ポリエーテルなどの高分子に、Li塩が溶解・分散した高分子固体電解質などが挙げられる。
また高分子固体電解質は、溶媒成分を含むゲル状であってもよい。
また、固体電解質として、ポリマー電解質を用いることができる。すなわち、本発明において、固体電解質は従来公知のポリマー電解質を含む概念とする。
ポリマー電解質としては、例えば、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子化合物を用いることができる。このマトリクス高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂などを単独、もしくは混合して用いることができる。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
ポリマー電解質の作製は特に限定されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および溶媒を混合し、加熱して溶融・溶解する方法が挙げられる。また、混合用有機溶媒に、高分子化合物、リチウム塩、および溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および溶媒を混合し、紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ポリマー電解質中の溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。このような割合であると、導電率が高く、機械的強度が強く、フィルム化しやすい。
本発明の電池の製造方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で製造することができる。例えば、本発明の正極の製造方法によって製造した板状または膜状の焼結体を用いた正極と、予め板状または膜状に成形した負極および固体電解質を積層し、外装材で覆って得ることができる。外装材としては、例えば、ニッケルメッキした鉄、ステンレススチール、アルミニウム、金属箔を樹脂フィルムで挟み込んだ構成の金属樹脂複合フィルム等が挙げられる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
リチウム源としてLiOH・H2O(関東化学社製、純度:57.8質量%)、ニッケル源としてNiO(関東化学社製、ニッケル純度:77.1質量%、平均粒子径:9.4μm)、マンガン源として電解二酸化マンガン(γ−MnO2、関東化学社製、マンガン純度:60.78質量%、平均粒子径:28.0μm)を用意した。そして、それぞれの原料を、Li:Ni:Mnのモル比が1.00:0.50:1.50となるように秤量した。
次に、これらの秤量した原料を混合し、ここへ固形分濃度が33.3質量%となるように純水を加えた後、湿式粉砕機(アシザワファインテック社製:スターミルラボスターLMZ−06)を用いて粉砕し、スラリーを得た。ここで、スラリー中の固形分の平均粒子径(メジアン径)が0.40μm以下になるまで粉砕した。粉砕においては600mlのベッセルを用いた。
なお、スラリー中の固形分の平均粒子径(メジアン径)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所:LA−950v2)を用いて求めた。具体的には室温大気中で、スラリーにヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を添加し、超音波分散および撹拌によって分散させ、87.5〜88.5%の透過率となるように調節した後、積算粒度分布(体積基準)を測定して求めた。
次に、粉砕後のスラリーに純水を加え、固形分濃度を20質量%に調整した後、ノズル型スプレードライヤー(大川原化工機社製:L−8型スプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥を行った。ここで乾燥ガスとして空気を用いた。また、サイクロン差圧が0.7〜0.8kPaとなるよう調整し、乾燥ガスの入口温度は220℃に調整した。スラリー流量は3kg/h、微粒化エアー圧力は0.1MPaとした。
このような噴霧乾燥を行うことで、粒子状の前駆体[1]を得た。
次に、得られた前駆体[1]を700℃で6時間、空気中にて焼成することで、仮焼体[1]を得た。
得られた仮焼体[1]の平均粒子径を測定したところ、9.0μmであった。
ここで仮焼体[1]の平均粒子径は、仮焼体[1]を純水に分散させた後、前述のスラリー中の固形分の平均粒子径(メジアン径)を測定する場合と同様の方法によって測定した。
また、仮焼体[1]について、粉末X線回折測定を実施した。試料水平型多目的X線回折装置(株式会社リガク製「UltimaIV」を使用し、測定にはCu−Kα線を用いた。その結果、得られた仮焼体[1]は、スピネル型リチウム複合酸化物であることを確認した。
次に、焼結助剤としてH3BO3(関東化学社製、純度:99.9質量%)を溶解したホウ酸水溶液を用意した。そして、このホウ酸水溶液へ仮焼体[1]を添加して混合し、混合液を得た。ここで混合液を構成するホウ酸水溶液および仮焼体[1]に含まれるLi、Ni、MnおよびBのモル比がLi+Ni+Mn+B:B=3.00:0.03となるようにした。
次に、混合液について、ノズル型スプレードライヤー(大川原化工機社製:L−8型スプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥を行った。噴霧乾燥の条件は、前述の粉砕後のスラリーから粒子状の前駆体を得る場合と同一とした。
このような噴霧乾燥を行って得られたものを、以下では混合体[1]とする。
得られた混合体[1]の平均粒子径を測定したところ、8.8μmであった。
ここで混合体[1]の平均粒子径は、混合体[1]を純水に分散させた後、前述の仮焼体の平均粒子径(メジアン径)を測定する場合と同様の方法によって測定した。
また、混合体[1]について、粉末X線回折測定を実施した。試料水平型多目的X線回折装置(株式会社リガク製「UltimaIV」を使用し、測定にはCu−Kα線を用いた。その結果、得られた混合体[1]は、スピネル型リチウム複合酸化物であることを確認した。
次に、混合体[1]1gを、15kN/cm2の圧力で、φ25mm/t1.1mmの円形状薄板に成型して成型体[1]を得た。
そして、成型体[1]を、1000℃で6時間、空気中にて焼成して焼結体[1]を得た。
得られた焼結体[1]について、細孔容積測定、粉末X線回折測定を実施した。
焼結体[1]の細孔容積測定は次のようにして行った。
初めに、焼結体1gをるつぼに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却した。次に、冷却した試料のうちの0.7gをセルに採取し、細孔分布測定装置PM−33GT1LP(QUANTA CROME製)を使用して水銀を細孔内へ圧入し、その時加えた圧力と押し込まれた(侵入した)水銀容積の関係から細孔容積を測定した。また、加えられた圧力と、その圧力で水銀が侵入可能な細孔径の関係から細孔分布を求めた。測定は、最高圧力32273psi(細孔直径5.4nm)まで行い、解析に用いた水銀の表面張力はσ=473dynes/cm、接触角はθ=130°とした。そして、細孔径5.4nm〜2000nmまでの細孔容積(g/cm3)を、焼結体の重さ(g)、厚み(cm)、直径(cm)より算出した焼結体の体積密度(g/cm3)で割った値を空隙率とした。
このような方法で焼結体[1]の細孔容積を測定したところ、空隙率は4.3%であった。
焼結体[1]の粉末X線回折測定には、試料水平型多目的X線回折装置(株式会社リガク製「UltimaIV」を使用し、測定にはCu−Kα線を用いた。
得られたXRDチャートを図1に示す。
この結果、XRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])は0.031であった。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で仮焼体を得た。ここで得られた仮焼体を仮焼体[2]とする。
そして、得られた仮焼体[2]の平均粒子径を測定したところ、9.0μmであった。また、仮焼体[2]について、粉末X線回折測定を実施したところスピネル型リチウム複合酸化物であることを確認した。
次に、実施例1で用いた焼結助剤を、ホウ酸からホウ酸リチウム(関東化学社製、純度:99.9質量%)へ変更すること以外は実施例1と同じ方法で混合体[2]を得た。得られた混合体[2]の平均粒子径を測定したところ、8.8μmであった。また、混合体[2]について、粉末X線回折測定を実施したところスピネル型リチウム複合酸化物であることを確認した。
また、その後、焼結体[2]を実施例1と同様の方法で得た。
得られた焼結体[2]について、実施例1と同様に細孔容積測定、粉末X線回折測定を行った。
その結果、焼結体[2]の空隙率は2.8%であった。
また、XRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])は、0.105であった。
これより焼結体[2]中の空隙は少なく、異相生成もほとんどないといえる。
<比較例1>
実施例1で行ったホウ酸水溶液を用いた処理を行わないで、焼結体[11]を製造した。
具体的には、実施例1における仮焼体[1]1gを、15kN/cm2の圧力で、φ25mm/t1.2mmの円形状薄板に成型して成型体[11]を得た。
そして、成型体[11]を、1000℃で6時間、空気中にて焼成して焼結体[11]を得た。
得られた焼結体[11]について、実施例1における焼結体[1]について行った方法と同様の方法で、細孔容積測定、粉末X線回折測定を実施した。
焼結体[11]の細孔容積測定を行ったところ、焼結体の空隙率は8.0%であった。
焼結体[11]の粉末X線回折測定を行ったところ、XRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])はゼロであった。
これより焼結体[11]は、異相生成はないが、空隙が多いことがわかった。
<比較例2>
実施例1では前駆体[1]を焼成して仮焼体[1]を得たが、比較例1ではこの操作を行わなかった。すなわち、前駆体[1]をホウ酸水溶液を添加して混合して得た混合液を用いて噴霧乾燥を行い、混合体[12]を得た。ここで混合液を構成するホウ酸水溶液および前駆体[1]に含まれるLi、Ni、MnおよびBのモル比は、実施例1と同様に、Li+Ni+Mn+B:B=3.00:0.03となるようにした。また、噴霧乾燥の条件も実施例1と同様とした。
そして、実施例1において混合体[1]から焼結体[1]を得る方法と同様の方法によって、混合体[12]から焼結体[12]を得た。
得られた焼結体[12]の細孔容積測定を行ったところ、空隙率は7.7%であった。
XRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])は0.030であった。
これより焼結体[12]は、異相生成はほぼないが、空隙が多いことがわかった。
<比較例3>
実施例1と同様に、リチウム源としてLiOH・H2O(関東化学社製、純度:57.8質量%)、ニッケル源としてNiO(関東化学社製、ニッケル純度:77.1質量%、平均粒子径:9.4μm)、マンガン源として電解二酸化マンガン(γ−MnO2、関東化学社製、マンガン純度:60.78質量%、平均粒子径:28.0μm)を用意した。そして、さらにH3BO3(関東化学社製、純度:99.9質量%)を用意し、それぞれの原料を、Li:Ni:Mn:Bのモル比が1.00:0.50:1.50であって、Li+Ni+Mn+B:B=3.00:0.01となるように秤量した。
このように秤量した原料を混合し、ここへ固形分濃度が33.3質量%となるように純水を加えた後、実施例1と同じ湿式粉砕機スラリーを得た。ここで、スラリー中の固形分の平均粒子径(メジアン径)が0.40μm以下になるまで粉砕した。粉砕においては600mlのベッセルを用いた。
次に、粉砕後のスラリーに純水を加え、固形分濃度を20質量%に調整した後、実施例1と同様のノズル型スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥を行った。用いた乾燥ガスや噴霧乾燥の条件は、実施例1と同様とした。
このような噴霧乾燥を行うことで、粒子状の前駆体[13]を得た。
次に、得られた前駆体[13]を700℃で6時間、空気中にて焼成することで、リチウム複合酸化物を得た。
ここで得られたリチウム複合酸化物を、以下では混合体[13]とする。
次に、混合体[13]1gを、15kN/cm2の圧力で、φ25mm/t1.1mmの円形状薄板に成型して成型体[13]を得た。
そして、成型体[13]を、1000℃で6時間、空気中にて焼成して焼結体[13]を得た。
得られた焼結体[13]の細孔容積測定を行ったところ、空隙率は3.1%であった。
また、XRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])は0.600であった。
これより焼結体[13]は、空隙は少ないものの、異相生成は著しく多いことがわかった。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2および比較例3において求めた焼結体の空隙率およびピーク強度比を、第1表にまとめる。
Figure 2014063732

Claims (7)

  1. リチウム源およびM1を含む原料を溶媒に含有させた状態で粉砕混合し、得られたスラリーを乾燥して前駆体を得る前駆体調整工程と、
    前記前駆体を900℃以下で焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、
    2を含む焼結助剤と前記仮焼体とを混合し、混合体を得る混合工程と、
    を備え、
    さらに成型加工および焼成することで、下記式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とし、全固体リチウムイオン電池用正極の少なくとも一部として用いることができる焼結体を得ることができる、混合体の製造方法。
    式(I):Li(x+y)1 (2-y-p)2 p(4-a)
    ここでM1はMn、Ni、Co、Mg、Fe、AlおよびCrからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、M2はB、P、Cl、Pb、Sb、SiおよびVからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素であり、1.0≦x≦2.0、0≦y≦0.2、0<p≦1.0、0≦a≦1.0である。
  2. 請求項1に記載の混合体の製造方法に、さらに、
    成型加工を行い、前記混合体を含む成型体を得る成型工程と、
    前記成型体を焼成して式(I)で表されるリチウム複合酸化物を主成分とする焼結体を得る焼成工程と、
    を備える、全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
  3. 前記焼成工程において、空隙率が4.5%以下である焼結体が得られる、請求項2に記載の全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
  4. 前記焼成工程において、粉末X線回折測定を行って得られるXRDチャートの2θ=18.0〜19.0°に現れるスピネル型リチウム複合酸化物のピーク強度[α]に対する、2θ=36.6〜37.2°に現れる異相成分のピーク強度[β]の比(ピーク強度[β]/ピーク強度[α])が0.3以下である焼結体が得られる、請求項2または3に記載の全固体リチウムイオン電池用正極の製造方法。
  5. 請求項1に記載の製造方法によって得られる混合体。
  6. 請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られる全固体リチウムイオン電池用正極。
  7. 請求項6に記載の正極と、負極と、固体電解質とを有する、全固体リチウムイオン電池。
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