JP2014044510A - 異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】診断対象機器の入力データと参照データの乖離度をこれらデータの時間差についても評価して、診断対象機器が異常かどうか判定するともに、異常と判定された原因のパラメータを表示する装置を提供する。
【解決手段】異常診断装置は、診断対象の状態を時系列に表し、時間情報を有する診断用入力データを取得する入力データ取得部101と、時間情報を含み、診断用入力データと比較される参照データを取得する参照データ取得部102と、診断用入力データと参照データとに基づいて、両データの乖離度を算出する乖離度算出部104と、乖離度に基づいて乖離度の時間依存成分を算出する時間依存成分算出部105と、乖離度に基づいて、診断対象が異常か否かを判断する判断部106と、異常と判断されたとき、乖離度と乖離度の時間依存成分とに基づいて、異常と判断された原因を判断する異常原因診断部107とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】異常診断装置は、診断対象の状態を時系列に表し、時間情報を有する診断用入力データを取得する入力データ取得部101と、時間情報を含み、診断用入力データと比較される参照データを取得する参照データ取得部102と、診断用入力データと参照データとに基づいて、両データの乖離度を算出する乖離度算出部104と、乖離度に基づいて乖離度の時間依存成分を算出する時間依存成分算出部105と、乖離度に基づいて、診断対象が異常か否かを判断する判断部106と、異常と判断されたとき、乖離度と乖離度の時間依存成分とに基づいて、異常と判断された原因を判断する異常原因診断部107とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、過渡状態の機器異常を診断する異常診断装置に関する。
機器異常とは、一般に、設備を構成する機器、例えば、原子力発電所におけるポンプが正常に機能を果たしていない状態のことである。正常に機能していない状態の一例として、機器の部品等が破損して機器が停止している状態や、機器が設計された性能を果たしていない状態などが挙げられる。このような機器異常の状態になる原因は、外乱や製造時・施工時・修理時の欠陥、摩耗や材料の劣化などによる経年劣化、運転時の過負荷などが考えられる。
このような機器異常に対して、機器にセンサを取り付け、その稼働データから機器が正常に稼働、すなわち機能しているか否かを判定する技術を異常診断と呼ぶ。異常診断としては、センサ値が一定である、または、所定の範囲内に収まるか否かにより判定する閾値判定の手法が一般に普及している。この手法では、センサ値が徐々に上昇しているなどの異常兆候を知ることが出来るという利点がある。
しかし、センサ値が一定の値になることが期待できないケースがある。例えば、ポンプや原動機などの動き始めや機器が安定する前、動作モードが変化するような場合、例えば、ポンプの設定出力を大幅に上昇または減少させる場合などである。原子力発電所では、通常稼働時には使用しないが、停止時や緊急時に使用するポンプなどが存在しており、これらを定期的に動かして緊急時に正常に動くか否かの動作確認を行うサーベイランスと呼ばれる検査を行う。従来のサーベイランスでは、ポンプ等の機器は、起動の可否と所定の性能が出ているかをチェックするのが目的であり、異常兆候を検知することは主たる目的ではない。
センサ値が一定の値にならないような場合において徴候を検知する方法として、時系列データの定常状態の部分から検知する方法と、過渡状態の部分から検知する方法とがある。本発明は後者を対象とする。過渡状態の時系列データから異常診断する方法としては、MTS(Maharanobis−Taguchi System)法、SBM(Similarity Based Modeling)法、DP(Dynamic Programming)マッチングなどがある。本発明では、検証用データを最小限ですますため、DPマッチング(たとえば非特許文献1参照)など類似度ベースの診断手法を使用することにする。
特許文献1には次のようなプラント診断装置が記載されている。信号入力部から入力した機器の動作状態を表わす信号および論理データベースに格納された論理に基づいて、論理判定部でプラント状態の候補事例群を決定し、時系列波形判断部が信号入力部から入力したプロセス状態を表わす信号の時系列データと、事例データベースに格納された候補事例群の事例データとの距離に基づいて類似度を評価してプラント状態を診断する。このプラント診断装置では、信号入力部から送信される現在の時系列データを入力データとし、事例データベースに格納されてある過去の時系列データを参照データとして、入力データと参照データとの類似度を算出し、類似度を閾値処理により評価し出力することが記載されている。
内田誠一、「DPマッチング概説〜基本と様々な拡張〜」、電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2006年12月、第106巻、第428号、P.31−36
しかしながら、特許文献1のプラント診断装置では、入力データと参照データの類似度は、時間経過に対するデータ変化の類似度で算出しており、さらに入力データと参照データの時間差を変更して最も類似度が高くなる場合の参照データから異常原因を診断している。したがって入力データと参照データの間に時間差が生じることが異常である現象に対しては、これを異常と診断することができない。
請求項1の異常診断装置は、診断対象の状態を時系列に表し、時間情報を有する診断用入力データを取得する入力データ取得部と、時間情報を含み、診断用入力データと比較される参照データを取得する参照データ取得部と、診断用入力データと参照データとに基づいて、両データの乖離度を算出する乖離度算出部と、乖離度に基づいて乖離度の時間依存成分を算出する時間依存成分算出部と、乖離度と乖離度の時間依存成分とに基づいて異常診断処理を実行する異常診断実行処理部とを備えることを特徴とする。
本発明による異常診断装置では、乖離度の時間依存成分を用いて診断するので過渡データに基づいたきめ細かい診断が可能となる。
以下、図1〜18を参照して本発明による異常診断装置の実施形態について説明する。
−第1の実施形態−
本実施形態では、入力時系列データ201と参照時系列データ202の乖離度を元に異常診断を行う異常診断装置100の例を説明する。
−第1の実施形態−
本実施形態では、入力時系列データ201と参照時系列データ202の乖離度を元に異常診断を行う異常診断装置100の例を説明する。
図1は、本発明による第1の実施形態の異常診断装置100により診断対象機器1001を診断する異常診断システムの全体構成を示す概略図である。
異常診断システムは、診断対象機器1001の異常診断を行う異常診断装置100と、センサ1002と、制御器1003と、アクチュエータ1004と、ディスプレイ1005と、スピーカ1006とを備えている。センサ1002は診断対象機器1001のある状態を検出値として出力する。制御器1003は検出値を用いて制御指令を算出する。アクチュエータ1004は、制御指令に従い診断対象機器を診断するために、診断対象機器1001に状態変化を与える。
異常診断システムは、診断対象機器1001の異常診断を行う異常診断装置100と、センサ1002と、制御器1003と、アクチュエータ1004と、ディスプレイ1005と、スピーカ1006とを備えている。センサ1002は診断対象機器1001のある状態を検出値として出力する。制御器1003は検出値を用いて制御指令を算出する。アクチュエータ1004は、制御指令に従い診断対象機器を診断するために、診断対象機器1001に状態変化を与える。
センサ1002は、アクチュエータ1004によって状態変化された診断対象機器1001の状態変化に対応した信号を検出する。アクチュエータ1004は、診断対象機器1001とその診断対象の状態変化を生ずるものであり、診断対象機器1001とその診断対象の状態変化により異なる。したがって、この状態変化を検出するセンサ1002も、診断対象機器1001とその診断対象の状態変化を検出するための適切なセンサである。例えば、アクチュエータ1004を弁の開度を調節するアクチュエータとした場合は、そのセンサは弁の開度を検出するセンサとなる。
センサ1002と制御器1003は、検出値および制御指令を通信する信号線を介して異常診断装置100と接続されており、異常診断装置100は、ディスプレイ1005とスピーカー1006へ異常診断結果を表示したり音声として出力したりする。
図2は、本発明による第1の実施形態の異常診断装置100の機能ブロック図である。
異常診断装置100は、入力データ取得部101と、参照データ取得部102と、全体的ずれ算出部103と、乖離度算出部104と、乖離度時間依存抽出部105と、評価部106と、異常原因診断部107とを備える。
なお、ここでは「乖離度」は「非類似度」の意味で用いている。従来の技術での「類似度」の算出では、参照データと入力データの比較において、時間的ずれを合わせているため、時間的ずれを異常と判定しない。本発明では、この時間的ずれも参照データと入力データの「乖離度」の成分であるとして評価している。
異常診断装置100は、入力データ取得部101と、参照データ取得部102と、全体的ずれ算出部103と、乖離度算出部104と、乖離度時間依存抽出部105と、評価部106と、異常原因診断部107とを備える。
なお、ここでは「乖離度」は「非類似度」の意味で用いている。従来の技術での「類似度」の算出では、参照データと入力データの比較において、時間的ずれを合わせているため、時間的ずれを異常と判定しない。本発明では、この時間的ずれも参照データと入力データの「乖離度」の成分であるとして評価している。
異常診断装置100は、各種データを格納するデータ格納部200を備える。データ格納部200には、入力時系列データ格納部201と、参照時系列データ格納部202と、重み表格納部203と、判定閾値格納部204と、パラメータ異常原因対応表格納部205とを有している。なお、以下の説明では、それぞれの格納部に格納したデータに対しても、格納部に付した番号を付けて説明する。たとえば、入力時系列データには、その格納部に付けた番号201を付すこととする。
図1に示す診断対象機器1001に設けられたセンサ1002からの出力は、この出力の時間情報(時刻)とともにリアルタイムに追加されてデータ格納部200に入力時系列データ201として格納される。センサ1002から出力されるセンサ出力データを制御出力データと呼ぶ。診断対象機器1001の状態、例えば弁開度を表す制御出力データには、弁開度をセンサ1002で検出した時刻である時間情報が制御出力データに付加され、このデータが診断用入力データである。
入力データ取得部101は、入力時系列データ201をデータ格納部200から取得する。参照データ取得部102は、参照時系列データ202をデータ格納部200から取得する。後述するように、この参照時系列データ202は、前もって準備された比較用のデータであってよく、あるいは制御器1003からの制御データがリアルタイムに格納されたものであってもよい。
全体的ずれ算出部103は、参照時系列データ202に対して入力時系列データ201(図6参照)をどれだけ平行移動したら乖離度が最小になるかを算出するものである。平行移動した量は、オフセットとむだ時間(後述)として認識される。オフセットとは、乖離度が最小となったときのデータ軸方向の移動距離である。むだ時間とは、乖離度が最小となったときの時間軸方向の移動距離である。
乖離度算出部104は、入力時系列データ201と参照時系列データ202(図7参照)の乖離度を、重み表203(図8参照)の時間重みおよび出力重みを用いてDPマッチング(後述)により算出するものである。
乖離度時間依存抽出部105(図2参照)は、乖離度算出部104によって求められた乖離度から、時間に依存する部分、すなわち乖離度の時間依存成分を抽出するものである。時間に依存する部分を抽出する方法としては、乖離度算出方法がDPマッチングであることを想定すると、DPマッチングした際に計算過程を覚えておき、乖離度時間依存抽出部105において計算過程に従って乖離度の時間依存部分を再計算することによって求まる。
したがって、乖離度算出部104で算出された乖離度は、時間依存成分と時間非依存成分とに分割される。
したがって、乖離度算出部104で算出された乖離度は、時間依存成分と時間非依存成分とに分割される。
評価部106は、判定閾値204(図9参照)の各閾値を用いて、乖離度、オフセット、およびむだ時間がそれぞれの閾値を越えた時に異常または注意警報を出力する。異常原因診断部107は、評価部106において異常警報が出力された場合、乖離度および乖離度の時間依存成分から、パラメータ−異常原因対応表205(図10参照)を用いて、異常原因を出力する。表示出力部108は、出力された警報および異常原因をディスプレイ1005に表示したりスピーカー1006に音声として出力したりする。
なお、上記の閾値の算出方法については後述する。
なお、上記の閾値の算出方法については後述する。
(DPマッチングによる乖離度算出方法)
ここで、本発明による異常診断装置におけるDPマッチングを用いた乖離度の算出方法ならびにその時間依存成分の算出方法について説明する。
ここで、本発明による異常診断装置におけるDPマッチングを用いた乖離度の算出方法ならびにその時間依存成分の算出方法について説明する。
DPマッチングとは、2つの1次元パターンS=(s1 ,s2 ,…,si ,…,sI )とパターンR=(r1 ,r2 ,…,ri ,…,rI )との間において、パターンSの第i要素si とパターンRの第j要素rj との対応付けj=ui (i=1,…,I)があるとき、目的関数Fを最小化するj=uiの組合せを見つける手法である。
第1の実施形態においては、それぞれのパターンの1次元のデータ列s1〜sI、r1〜rIは、それぞれ診断対象機器1001の状態変化を検出するセンサ1002の出力の時系列データに関するデータ列である。
第1の実施形態においては、それぞれのパターンの1次元のデータ列s1〜sI、r1〜rIは、それぞれ診断対象機器1001の状態変化を検出するセンサ1002の出力の時系列データに関するデータ列である。
パターンSとパターンRの距離をdi(ui)=‖si−ri‖とすると、DPマッチング後におけるdi(ui)の総和は、パターンSとパターンRの類似度ととらえることができる。この類似度は、0以上の値をとり、パターンSとパターンRとが一致している場合に0となる。したがって、類似度が低いほど波形の一致度が高いことを示す。
第1の実施の形態においては、上記の2つの1次元パターンS、Rのデータ列は、乖離度の時間成分を分離して評価するため、2つのパターンのデータ列での各データの出力値と検出時刻の差(距離)にそれぞれ重みを設けた重み付き距離を用いる。
このため、2つの1次元パターンS、Rをそれぞれ、S=(s1 ,s2 ,…,si ,…,sI )、R=(r1 ,r2 ,…,rj ,…,rJ )とし、時刻ti,tjでのパターンの乖離度f(i,j)を以下のように表記する。
このため、2つの1次元パターンS、Rをそれぞれ、S=(s1 ,s2 ,…,si ,…,sI )、R=(r1 ,r2 ,…,rj ,…,rJ )とし、時刻ti,tjでのパターンの乖離度f(i,j)を以下のように表記する。
ここで、ts(i)はsjにおける時刻、tr(j)はrjにおける時刻、cuはパターン間の距離に対する重み、csは時間に関する重みを示す。また、式(3)、(4)、(5)は初期値の算出方法を示す。
SとRの重み付き距離の部分和をf(i,j)とすると,式(1)のうち、(a)の示すf(i−1,j−1)に局所距離を足したもの、または(b)の示すf(i−1,j)に局所距離と重み付き距離を足したもの、または(c)の示すf(i,j−1)に局所距離と重み付き距離を足したもののうち、最も小さいものを選択していく。
SとRの重み付き距離の部分和をf(i,j)とすると,式(1)のうち、(a)の示すf(i−1,j−1)に局所距離を足したもの、または(b)の示すf(i−1,j)に局所距離と重み付き距離を足したもの、または(c)の示すf(i,j−1)に局所距離と重み付き距離を足したもののうち、最も小さいものを選択していく。
このようにして求めた重み付き距離の総和f(I,J)を式(2)のようにFとすると,上記のように、FはパターンSとパターンRとの類似度と捉えることができる。あるいは、Fが大きくなると類似度が小さくなるので、Fは2つのパターンの乖離度を表わすと考えることもできる。
なお、時系列データの例を用いた具体的な説明は、図13、14を参照して後述する。
なお、時系列データの例を用いた具体的な説明は、図13、14を参照して後述する。
(重みの設定方法)
式(1)においてcuの項(cu‖si−rj‖)とcsの項(cs{ts(i)−ts(i−1)}、またはcs{tr(j)−tr(j−1)} )はほぼ等しいことが望ましい。たとえばcsの項が極端に大きいと、明らかに(a)のみを選択することになる。またcuの項が 極端に大きいと、csの項の影響が小さくなるため、結果的に(a)のみを選択することになる。
式(1)においてcuの項(cu‖si−rj‖)とcsの項(cs{ts(i)−ts(i−1)}、またはcs{tr(j)−tr(j−1)} )はほぼ等しいことが望ましい。たとえばcsの項が極端に大きいと、明らかに(a)のみを選択することになる。またcuの項が 極端に大きいと、csの項の影響が小さくなるため、結果的に(a)のみを選択することになる。
(b)や(c)を選択してもいいように、siの平均値savrとrjの平均値ravrの差分をσ、siのサンプリング 周期をΔTs、rjのサンプリング周期をΔTr、cuを1とし、重みの比cu:csがsiとrjのサンプリング周期の 平均値と差分σに等しいと仮定すると、cu:cs= 1:cs=1/σ:1/{(ΔTs+ΔTr)/2}、したがって、 cu=1、cs=2σ/(ΔTs+ΔTr)となる。
この重みの決め方はあくまで一例であり、cuおよびcsの値が正の値をとっていればよいものとする。また、時間の違いに感度を持たせたいときにはcsの値を増やしても良い。
図3は、第1の実施形態における異常診断装置全体の処理フローである。処理開始(ステップS301)後、まず入力データ取得部101によって入力時系列データ201を取得する(ステップS302)。次に参照データ取得部102によって参照時系列データ202を取得する(ステップS303)。
全体的ずれ算出部103(図2参照)により、入力データ201に対して適当なオフセットやむだ時間を変化させて加え、全体的ずれ算出部103により乖離度が最小となるオフセット値およびむだ時間を求め、この乖離度が最小となるようなオフセット値およびむだ時間を用いて乖離度算出部104により入力時系列データ201と参照時系列データ202との乖離度を算出する(ステップS304)。
すなわち、全体的ずれ算出部103では、診断用入力データと参照データの乖離度が最小となるように両データを平行移動したときのデータ軸方向の移動量であるオフセットおよび、時間軸方向の移動量であるむだ時間が算出される。
ステップS305で、評価部106は、乖離度、オフセット、むだ時間がそれぞれの閾値を超過したかどうかを判定する。もし閾値を超過した場合、乖離度時間依存抽出部105により乖離度時間依存成分を計算し(ステップS306)、異常原因診断部107は異常原因診断を行い(ステップS307)、表示出力部108はディスプレイ1005やスピーカー1006に対して警報および異常原因を出力する(ステップS308)。
図4は、図3の異常原因診断の処理ステップS307の内容のさらに詳細な処理フローを示す。異常原因診断部107(図2参照)は、処理開始(ステップS3071)後、パラメータ−異常原因対応表205(図10参照)から、複数の条件文のうち条件文と一致するものを読み込む(ステップS3072、S3073)。その条件文と、乖離度、オフセット、むだ時間および乖離度時間依存成分と照らし合わせ、もし条件に一致していればその条件に従い異常原因を決定する。もしそうでなければ、条件文を全部読みこんだかどうかをチェックし、読み込んでいなければ次の条件文を読み込む。条件文をすべて読み込み完了した場合は、異常原因が不明であると決定するか、またはデフォルトの異常原因を設定する。
図5は第1の実施形態における異常原因診断部107での原因判断の具体例である。ただし、図5は、原因判断の考え方を分かり易く示したものであり、異常診断処理フローを示すものではない。異常原因診断部107は、パラメータ−異常原因対応表205から、複数の条件文のうち条件文1つを読み込む。全体的なずれ、つまりオフセットおよびむだ時間が閾値を超えていない場合、異常原因診断部107は、乖離度の時間依存部分が閾値を超過しているかどうか判定する。もし閾値を超過していれば異常原因説明文を反応遅れとし、そうでない場合は異常原因説明文を出力過多として処理を終了する。オフセットまたはむだ時間が閾値を超えている場合、他の条件文を読み込み、異常原因を決定する。
図6は第1の実施形態における入力時系列データ201のデータ構成図、図7は第1の実施形態における参照時系列データ202のデータ構成図である。入力時系列データ201および参照時系列データ202はそれぞれ複数のデータ要素から構成されており、データ要素は時刻およびその時間における実データ数値によって構成される。
図8は第1の実施形態における重み表203のデータ構成図である。重み表は時間重みと出力重みにより構成される。時間重みとは、乖離度算出部104により乖離度を計算する際において乖離度の時間に依存する部分への重みであり、出力重みとは乖離度の時間に依存しない部分への重みである。
図9は、第1の実施形態における判定閾値204のデータ構成図である。判定閾値204は、乖離度閾値2041、オフセット閾値2042、むだ時間閾値2043から構成されている。各閾値はそれぞれ異常警報を出力する際の最小値であることを示す。すなわち、図9に示す判定閾値は警報を出力するか否かの判定に用いられる。
図10は、第1の実施形態におけるパラメータ−異常原因対応表205のデータ構成図である。ここではパラメータとして、乖離度、オフセット、むだ時間、乖離度の時間依存成分を用いている。
パラメータ−異常原因対応表205は複数の条件文2051から成り立っている。条件文2051は、乖離度閾値20511、乖離度用不等号20512、オフセット閾値20513、オフセット用不等号20514、むだ時間閾値20515、むだ時間用不等号20516、時間依存部分用閾値20517、時間依存部分用不等号20518、異常原因説明文20519から成り立っている。乖離度などそれぞれのパラメータが全て閾値と不等号の関係で表わされる場合、異常原因説明文20519を異常原因の説明に使用する。
パラメータ−異常原因対応表205は複数の条件文2051から成り立っている。条件文2051は、乖離度閾値20511、乖離度用不等号20512、オフセット閾値20513、オフセット用不等号20514、むだ時間閾値20515、むだ時間用不等号20516、時間依存部分用閾値20517、時間依存部分用不等号20518、異常原因説明文20519から成り立っている。乖離度などそれぞれのパラメータが全て閾値と不等号の関係で表わされる場合、異常原因説明文20519を異常原因の説明に使用する。
なお、図10に示すパラメータ−異常原因対応表205のデータを用いて、評価部106で診断対象が異常であると判断された場合に、その異常である内容の詳細、すなわち上記の各閾値と不等号の条件文により異常と判断されたパラメータが選択されて表示出力部108に表示される。
(閾値の設定方法)
ここで図11を参照して上記の閾値の設定方法について説明する。
まず、あらかじめ正常な場合の時系列データと異常が発生した場合の時系列データをそれぞれ複数セット用意しておく(ステップS502)。次に正常な場合の時系列データの複数セットについて乖離度Fni、オフセットOni、むだ時間Tniを求め(ステップS503)、この複数セットの時系列データでの最大値Fnmax、Onmax、Tnmaxを求める(ステップS504)。
ここで図11を参照して上記の閾値の設定方法について説明する。
まず、あらかじめ正常な場合の時系列データと異常が発生した場合の時系列データをそれぞれ複数セット用意しておく(ステップS502)。次に正常な場合の時系列データの複数セットについて乖離度Fni、オフセットOni、むだ時間Tniを求め(ステップS503)、この複数セットの時系列データでの最大値Fnmax、Onmax、Tnmaxを求める(ステップS504)。
次に、異常な場合の時系列データの複数セットについて乖離度Fai、オフセットOai、むだ時間Taiを求め(ステップS505)、この複数セットの時系列データでの最小値Famin、Oamin、Taminを求める(ステップS506)。
以上で複数の正常および異常な場合の時系列データそれぞれから求めたFnmax、Onmax、TnmaxおよびFamin、Oamin、Taminから、閾値Fth、Oth、Tthを以下の式によって求める(ステップS507)。
Fth=(Fnmax+Famin)/2
Oth=(Onmax+Oamin)/2
Tth=(Tnmax+Tamin)/2
Fth=(Fnmax+Famin)/2
Oth=(Onmax+Oamin)/2
Tth=(Tnmax+Tamin)/2
なお、異常データがない場合は、正常な時系列データに雑音などを加算することにより、疑似異常時系列データを作成して使用する。
図12は、第1の実施形態における異常診断装置100の画面遷移である。(a)に示す初期画面では異常警報表示画面401として注意警報と原因とを表示する。また、サーベイランス回次に対する乖離度のグラフおよび閾値の線も併せて表示する。異常原因の部分または異常回次の部分をクリックすると、(b)に示す異常原因判定用グラフ402を表示する。乖離度算出部104で算出された乖離度の乖離度時間非依存成分、および乖離度の時間依存成分をそれぞれ棒グラフで表示するとともに、閾値の境界線、およびその境界線に沿った異常原因を表示する。
図12(b)の棒グラフは次のような原因を示している。すなわち、乖離度の時間依存成分が閾値を超えている場合は、反応の遅れによる異常である。乖離度の時間依存成分が閾値を超えていない場合は、出力過多である。このように、異常原因診断部107は、乖離度の時間依存成分と時間非依存成分を別々に表示する。換言すると、異常原因診断部107は、乖離度の時間依存成分が乖離度全体に占める割合を算出し、乖離度が大きい原因、すなわち類似度が低下する原因が、時間系の異常であるか、出力系の異常であるかを診断することができる。
図12(b)の乖離度時間依存成分の棒グラフをクリックすると、(c)に示す時間依存部表示画面403へ遷移する。時間依存部表示画面403はサーベイランス回次に対する乖離度時間依存成分のグラフおよび閾値の線を表示する。異常原因判定用グラフ402のうち乖離度時間非依存部の棒グラフをクリックすると、(d)に示す時間依存部表示画面404へ遷移する。時間依存部表示画面404はサーベイランス回次に対する乖離度時間依存成分のグラフおよび閾値の線を表示する。
図13は、第1の実施形態において乖離度時間非依存部が大きいときの入力時系列データ201(図6参照)と参照時系列データ202(図7参照)を示すグラフである。縦軸は入力時系列データ201の示すパターンSと参照時系列データ202の示すパターンRにおけるsiとrjの値を、横軸はsiにおける時刻ts(i)およびrjにおける時刻tr(j)を、それぞれ示す。
図13に示す時系列データを用いて、上記式(1)〜(5)による乖離度Fの算出演算がどのように行われるか説明する。DPマッチングでは、siとrjが最も最短距離をとるようなiとjのデータ値の組合せを求め、その組合せにしたがってsiとrjの距離の和を求めて乖離度とする。
たとえば、たとえば時刻t5(i)、t5(j)乖離度f(2,2)は、
cu‖s2−r2‖+f(1,1)…(a)
cu‖s2−r2‖+cs{tr(2)−tr(1)}+f(2,1)…(c)
cu‖s2−r2‖+cs{ts(2)−ts(1)}+f(1,2)…(b)
の3つの乖離度のうち、最も小さいものが選択される。
f(i,j)≧0であり、
f(2,1)=f(1,1)+cu‖s2−r1‖+cs{tr(2)−tr(1)}、
f(1,2)=f(1,1)+cs{ts(2)−ts(1)}+cu‖s1−r2‖
であるため、(a)が最小となる。このように求めた結果、s1とr1、s2とr2、・・・という具合に(a)を選択し続けると最短距離が求まる。ここでs3とr3の値は他の組合せに比べて距離が大きいものの、j=iということで時間的にシフトを行っていないため、乖離度時間非依存部が大きいものとして計算する。
たとえば、たとえば時刻t5(i)、t5(j)乖離度f(2,2)は、
cu‖s2−r2‖+f(1,1)…(a)
cu‖s2−r2‖+cs{tr(2)−tr(1)}+f(2,1)…(c)
cu‖s2−r2‖+cs{ts(2)−ts(1)}+f(1,2)…(b)
の3つの乖離度のうち、最も小さいものが選択される。
f(i,j)≧0であり、
f(2,1)=f(1,1)+cu‖s2−r1‖+cs{tr(2)−tr(1)}、
f(1,2)=f(1,1)+cs{ts(2)−ts(1)}+cu‖s1−r2‖
であるため、(a)が最小となる。このように求めた結果、s1とr1、s2とr2、・・・という具合に(a)を選択し続けると最短距離が求まる。ここでs3とr3の値は他の組合せに比べて距離が大きいものの、j=iということで時間的にシフトを行っていないため、乖離度時間非依存部が大きいものとして計算する。
図14は、第1実施形態において乖離度時間依存成分が大きい場合の入力時系列データ201と参照時系列データ202の例を示すグラフである。縦軸は入力時系列データ201の示すパターンSと参照時系列データ202の示すパターンRにおけるsiとrjの値を、横軸はsiにおける時刻ts(i)およびrjにおける時刻tr(j)を、それぞれ示す。本グラフではi=6,5の場合については式(1)の(a)を選択し続けると最短距離が求まる。しかし、i=4のときは
cu‖s4−r4‖+f(3,3)…(a)
cu‖s4−r4‖+cs{ts(4)−ts(3)}+f(3,4)…(b)、
cu‖s4−r4‖+cs{tr(4)−tr(3)}+f(4,3)…(c)
の3つの乖離度のうち、最も小さいものが選択される。この例では、(a)か(c)を選択することになるが、
f(3,3)にはcu‖s3−r3‖が含まれており、
cu‖s4−r3‖+cs{tr(4)−tr(3)}の含まれているf(4,3)より大きい。そのため(c)を選択する。
cu‖s4−r4‖+f(3,3)…(a)
cu‖s4−r4‖+cs{ts(4)−ts(3)}+f(3,4)…(b)、
cu‖s4−r4‖+cs{tr(4)−tr(3)}+f(4,3)…(c)
の3つの乖離度のうち、最も小さいものが選択される。この例では、(a)か(c)を選択することになるが、
f(3,3)にはcu‖s3−r3‖が含まれており、
cu‖s4−r3‖+cs{tr(4)−tr(3)}の含まれているf(4,3)より大きい。そのため(c)を選択する。
このように(c)を選択した場合には、時間依存成分cs{tr(4)−tr(3)}を加算した値が乖離度として算出される。一方、f(2,2)からf(3,2)を計算するときにも時間依存成分cs{ts(3)−ts(2)}を加算した値が乖離度として算出される。
以上説明した第1の実施形態の異常診断装置100によれば次のような作用効果を奏することができる。
(1)診断対象機器1001の状態を時系列に表し時間情報を有するセンサ出力データが診断用入力データとして使用される。この診断用入力データは参照データと比較され、乖離度算出部104で両データの乖離度が算出される。算出された乖離度に基づいて、乖離度時間依存抽出部105で乖離度の時間依存成分が算出される。算出された乖離度および乖離度の時間依存成分に基づいて、評価部106と異常原因診断部107とにより異常診断処理を実行するようにした。乖離度の時間依存成分を用いて診断するので過渡データに基づいたきめ細かい診断が可能となる。
(1)診断対象機器1001の状態を時系列に表し時間情報を有するセンサ出力データが診断用入力データとして使用される。この診断用入力データは参照データと比較され、乖離度算出部104で両データの乖離度が算出される。算出された乖離度に基づいて、乖離度時間依存抽出部105で乖離度の時間依存成分が算出される。算出された乖離度および乖離度の時間依存成分に基づいて、評価部106と異常原因診断部107とにより異常診断処理を実行するようにした。乖離度の時間依存成分を用いて診断するので過渡データに基づいたきめ細かい診断が可能となる。
(2)評価部106が乖離度に基づいて異常と判断したとき、異常原因診断部107により、乖離度の時間依存成分を用いて異常原因の特定が行われる。したがって、過渡データに基づく異常診断において異常の原因を特定できる。
(3)全体的ずれ算出部103により、診断用入力データと参照データの乖離度が最小となるように両データを平行移動したときのデータ軸方向の移動量であるオフセットおよび、時間軸方向の移動量であるむだ時間が算出される。異常原因診断部107により、乖離度、乖離度時間依存成分、オフセット、およびむだ時間に基づいて、異常と判断された原因が判断される。したがって、過渡データに基づく異常診断において異常の原因を詳細に特定できる。
(4)異常原因診断部107は、乖離度の時間依存成分が乖離度全体に占める割合を算出し、乖離度が大きい原因、すなわち類似度が低下する原因が、時間系の異常であるか、出力系の異常であるかを診断することができ、きめ細かい診断が可能である。
−第2の実施形態−
本実施形態の異常診断装置100(図1参照)は、センサ1002からの制御出力と制御器1003からの制御指令との乖離度を基に異常診断を行う。
本実施形態の異常診断装置100(図1参照)は、センサ1002からの制御出力と制御器1003からの制御指令との乖離度を基に異常診断を行う。
図15は、第2の実施形態における異常診断装置100の機能ブロック図である。
図2の異常診断装置100において、センサ1002からの制御出力データを制御出力取得部1011が直接リアルタイムに取得し、時間情報(データ取得時間)を含む入力時系列データ201、すなわち診断用入力データとして用いる。また、制御器1003からの制御指令データを制御指令取得部1021が直接リアルタイムに取得し、時間情報を含む参照時系列データ102として用いる。
図2の異常診断装置100において、センサ1002からの制御出力データを制御出力取得部1011が直接リアルタイムに取得し、時間情報(データ取得時間)を含む入力時系列データ201、すなわち診断用入力データとして用いる。また、制御器1003からの制御指令データを制御指令取得部1021が直接リアルタイムに取得し、時間情報を含む参照時系列データ102として用いる。
第2の実施形態では、上記のリアルタイムに入力される制御指令データとこれに対応した診断対象からの制御出力データとの比較において、対象診断機器が正常な状態でのこれら2つのデータの関係(制御量あるいは振幅、および時間差)が、前もって分かっていることを想定している。したがって、対象診断機器が正常な場合においては、制御指令データと制御出力データのそれぞれの振幅および時間の差を調整して、全体的ずれ算出部103や乖離度算出部104での演算を行う。
これらの演算は、所定の数のデータ数を比較するように、新たにデータが入力されたら、古いデータを削除するようにしてもよい。あるいは第1の実施形態のように、全て格納してもよい。したがって、図15には省略されているが、少なくとも所定の数のデータを制御出力データ、すなわち入力時系列データ101および制御指令データ、すなわち参照時系列データ102に対して保持するデータ格納部が制御出力取得部1011および制御指令取得部1021に設けられている。
したがって、第1の実施形態のように、このデータ格納部をデータ格納部200に設けてもよい。この場合は、図15の全体的ずれ算出部103および乖離度算出部104の演算に用いられるデータは、データ格納部に一旦あるいは一時的に格納されたデータが用いられる。
以上説明した第2の実施形態の異常診断装置100によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。また、制御器1003からの制御指令データを参照データとし、センサ1002からの制御出力データと参照データとの間の乖離度を算出するようにしたので、リアルタイムで異常診断を行うことができる。
−第3の実施形態−
図16は、第3の実施形態における異常診断装置100の機能ブロック図であり、蓄積された過去の入力データから参照データを作成する場合の構成を示す。
図2の異常診断装置100において、参照データ取得部102は、入力データ取得部101から得られた入力時系列データ201を蓄積する過去データ蓄積部1022と、過去データ蓄積部1022内の過去データを用いて参照時系列データ1023を作成する参照データ作成部1023から成り立っている。参照時系列データ作成部1023は、過去データのうち参照データに相応しいものを模範データとのDPマッチングなどにより選別し、選別された過去データの移動平均をとることで参照データとする。
図16は、第3の実施形態における異常診断装置100の機能ブロック図であり、蓄積された過去の入力データから参照データを作成する場合の構成を示す。
図2の異常診断装置100において、参照データ取得部102は、入力データ取得部101から得られた入力時系列データ201を蓄積する過去データ蓄積部1022と、過去データ蓄積部1022内の過去データを用いて参照時系列データ1023を作成する参照データ作成部1023から成り立っている。参照時系列データ作成部1023は、過去データのうち参照データに相応しいものを模範データとのDPマッチングなどにより選別し、選別された過去データの移動平均をとることで参照データとする。
なお、図16では、入力時系列データ201は、データ格納部200の外にあるように記載しているが、上記の第2の実施形態で説明したように、診断対象機器からの制御出力であってもよく、第1の実施形態で説明したように、データ格納部200に格納された制御出力データであってもよい。
(参照データの抽出例)
図17は、参照データとして用いる過去データのうち、信号変化速度が大きく、また増減を繰り返すような場合の信号例(S)を示す。信号列(S)は、データSSTART〜SENDの過去データである。
従来の異常診断装置では、状態変化が発生する前(例えばBの部分)と、発生後の安定した状態(例えばCの部分)のみのデータを閾値として保持していたため、図17に示すように、状態が変化している途中(過渡状態)での変化に基づいて異常か否かの判定ができなかった。あるいは、変化途中での異常の判断ができなかった。
図17は、参照データとして用いる過去データのうち、信号変化速度が大きく、また増減を繰り返すような場合の信号例(S)を示す。信号列(S)は、データSSTART〜SENDの過去データである。
従来の異常診断装置では、状態変化が発生する前(例えばBの部分)と、発生後の安定した状態(例えばCの部分)のみのデータを閾値として保持していたため、図17に示すように、状態が変化している途中(過渡状態)での変化に基づいて異常か否かの判定ができなかった。あるいは、変化途中での異常の判断ができなかった。
第3の実施形態による異常診断装置では、図17の信号列(S)のような既に測定してある信号データから、図18に示すような処理フローにより、過渡状態の診断対象信号の異常を正確に検出するための参照データを作成する。
図18の処理フローは、過去データのうち過渡状態と思われる時間範囲内のデータSSTART〜SEND、すなわち、データD1〜DIを抽出し、この時間範囲内の過去データの中で、過渡状態を表すデータの時間範囲を特定して参照データとするものである。
ステップS601でフラグFSに0をセットする。ステップS602でデータD1〜DIを読み込む。ステップS603で変数iに1をセットし、変数jにmをセットし、変数kに1をセットする。変数iは、データに付ける番号であり、1〜Iの範囲の値をとる。この処理フローでは、過去データから参照データを作成する際に1〜Iのデータに対してm個のデータ群をk回ピックアップし、k回、分散を演算する。したがって、mは、各分散演算に使用するデータ数、kは分散回数である。
ステップ604でデータD(k-1)j+1〜Dkjをピックアップし、ステップS605でそれらのデータの分散を求める。
ステップ604でデータD(k-1)j+1〜Dkjをピックアップし、ステップS605でそれらのデータの分散を求める。
例えば2巡目(k=2)では、ステップ604でデータDm+1〜D2mがピックアップされる。この2巡目において、ステップS606で分散が所定値以上であると判定されると、ステップS607でフラグFSが0か否かを判断する。フラグFSが0であれば、分散がはじめて所定値以上となったので、ステップS608において、先頭のデータDm+1よりもn個前のサンプルデータDm+1-nに対応する時刻tm+1-nを参照データ取得開始時刻tsとして記憶し、ステップS609でフラグFSに1をセットする。これを一般式で示すと、データD(k-1)j+1からn個前のサンプルデータD(k-1)j+1-nに対応する時刻t(k-1)j+1-nを参照データ取得開始時刻tsとして記憶する。
次いで、ステップS610で変数iにkj+1をセットし、変数kにk+1をセットする。ステップS611で変数iがIか否かを判定し、ステップS611が否定されるとステップS604に進む。
たとえば3巡目(k=3)のステップS604においては、データD2m+1〜D3mのデータがピックアップされる。ステップS605でそれらのデータの分散を求める。分散が所定値以上であればステップS607に進むが、2巡目のステップS609においてフラグFSが1に設定されているので、ステップS607は否定されてステップS610に進む。ステップS610で変数iにkj+1をセットし、変数kにk+1をセットしてステップS611に進み、変数iがIに等しいか判定し、否定されるとステップS604に進み、同様な処理を繰り返す。
ここで、ステップS606において、たとえば4巡目(k=4)のデータD3m+1〜D4mのm個のサンプルデータについての分散が所定値未満であると判定されると、ステップS621において、フラグFSが0か否かを判定する。既にステップS609を実行しているときは、フラグFSが1であり、ステップS621からステップS622に進む。ステップS622では、データD4mからp個後のサンプルデータD4m+pに対応する時刻t4m+pを参照データ取得終了時刻teとして記憶する。これを一般式で示すと、データDkjからp個後のサンプルデータDkj+pに対応する時刻tkj+pを参照データ取得終了時刻teとして記憶する。
ステップS623において、データD1〜DIのうち、時刻ts〜teに該当するデータDs〜Deを参照データとして取得する。
ステップS623において、データD1〜DIのうち、時刻ts〜teに該当するデータDs〜Deを参照データとして取得する。
以上の処理フローにより、図17のデータSSTART〜SENDの過去データから、開始時刻ts〜終了時刻teまでの参照データDs〜Deが抽出される。図17において、Bの開始前のサンプル数がn個、Cの終了後のサンプル数がp個となる。そして、開始時刻ts〜終了時刻teまでの参照データと診断用時系列データが比較されて乖離度が演算される。
なお、ステップS611において、変数iがIであると判定されると、ステップS631において参照データの取得に失敗したエラー表示を行い処理を終了する。これは以下の理由で参照データの取得に失敗したからである。
すなわち、たとえば1巡目のm個のデータの分散が所定値以上となり、ステップS608で参照データ取得開始時刻tsが記憶されたとき、その後のデータに対する分散が所定値未満とならないままデータDIまでデータが読み込まれたときは、参照データ取得終了時刻が記憶できず、参照データを生成できないからである。あるいは、Di〜DIのデータ列中に分散が所定値以上となる信号パターンが存在しないときは、ステップS606が否定され、ステップS621が肯定される処理がデータDIまで実行されて参照データ取得開始時刻tsが得られないため、エラー表示を行う。
すなわち、たとえば1巡目のm個のデータの分散が所定値以上となり、ステップS608で参照データ取得開始時刻tsが記憶されたとき、その後のデータに対する分散が所定値未満とならないままデータDIまでデータが読み込まれたときは、参照データ取得終了時刻が記憶できず、参照データを生成できないからである。あるいは、Di〜DIのデータ列中に分散が所定値以上となる信号パターンが存在しないときは、ステップS606が否定され、ステップS621が肯定される処理がデータDIまで実行されて参照データ取得開始時刻tsが得られないため、エラー表示を行う。
以上説明した第3の実施形態の異常診断装置100によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。また、過去データ蓄積部1022内の過去の入力時系列データを用いて、参照データ作成部1023により参照データが作成される。したがって、参照データを特別に準備する必要がない。
以上説明した第1〜第3の実施形態を次のように変形して実施することができる。
(1)評価部106は、乖離度、オフセット、およびむだ時間のいずれかひとつに基づいて診断対象が異常か否かを判断するようにしたが、乖離度だけを用いて異常を判断してもよい。オフセットだけ、むだ時間だけで異常を判断してもよい。
(2)異常原因診断部107は、乖離度、乖離度時間依存成分、オフセット、およびむだ時間に基づいて、異常と判断された原因を判断するようにしたが、乖離度と乖離度の時間依存成分とに基づいて異常と判断された原因を判断するようにしてもよい。
(1)評価部106は、乖離度、オフセット、およびむだ時間のいずれかひとつに基づいて診断対象が異常か否かを判断するようにしたが、乖離度だけを用いて異常を判断してもよい。オフセットだけ、むだ時間だけで異常を判断してもよい。
(2)異常原因診断部107は、乖離度、乖離度時間依存成分、オフセット、およびむだ時間に基づいて、異常と判断された原因を判断するようにしたが、乖離度と乖離度の時間依存成分とに基づいて異常と判断された原因を判断するようにしてもよい。
(3)以上では、DPマッチング法により診断用入力データと参照データの、類似度、すなわち乖離度を算出したが、MTS(Maharanobis−Taguchi System)法、SBM(Similarity Based Modeling)法など、周知の類似度算出のアルゴリズムにより異常診断を行ってもよい。
以上の説明は本発明の実施形態および変形実施の例であり、本発明はこれらの実施形態や変形実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の特徴を損なわずに様々な変形実施が可能である。
100…異常診断装置
101…入力データ取得部
102…参照データ取得部
103…全体的ずれ算出部
104…乖離度算出部
105…乖離度時間依存抽出部
106…評価部
107…異常原因診断部
108…表示出力部
200…データ格納部
201…入力時系列データ
202…参照時系列データ
203…重み表
204…判定閾値
2041…乖離度閾値
2042…オフセット閾値
2043…むだ時間閾値
205…パラメータ−異常原因対応表
2051…条件文
20511…乖離度閾値
20512…乖離度用不等号
20513…オフセット閾値
20514…オフセット用不等号
20515…むだ時間閾値
20516…むだ時間用不等号
20517…時間依存部分用閾値
20518…時間依存部分用不等号
20519…異常原因説明文
401…異常警報表示画面
402…異常原因判定用グラフ
403…時間依存部表示画面
404…時間非依存部表示画面
1001…診断対象機器
1002…センサ
1003…制御器
1004…アクチュエータ
1005…ディスプレイ
1006…スピーカー
101…入力データ取得部
102…参照データ取得部
103…全体的ずれ算出部
104…乖離度算出部
105…乖離度時間依存抽出部
106…評価部
107…異常原因診断部
108…表示出力部
200…データ格納部
201…入力時系列データ
202…参照時系列データ
203…重み表
204…判定閾値
2041…乖離度閾値
2042…オフセット閾値
2043…むだ時間閾値
205…パラメータ−異常原因対応表
2051…条件文
20511…乖離度閾値
20512…乖離度用不等号
20513…オフセット閾値
20514…オフセット用不等号
20515…むだ時間閾値
20516…むだ時間用不等号
20517…時間依存部分用閾値
20518…時間依存部分用不等号
20519…異常原因説明文
401…異常警報表示画面
402…異常原因判定用グラフ
403…時間依存部表示画面
404…時間非依存部表示画面
1001…診断対象機器
1002…センサ
1003…制御器
1004…アクチュエータ
1005…ディスプレイ
1006…スピーカー
Claims (6)
- 診断対象の状態を時系列に表し、時間情報を有する診断用入力データを取得する入力データ取得部と、
時間情報を含み、前記診断用入力データと比較される参照データを取得する参照データ取得部と、
前記診断用入力データと前記参照データとに基づいて、両データの乖離度を算出する乖離度算出部と、
前記乖離度に基づいて前記乖離度の時間依存成分を算出する時間依存成分算出部と、
前記乖離度と前記乖離度の時間依存成分とに基づいて異常診断処理を実行する異常診断実行処理部とを備えることを特徴とする異常診断装置。 - 請求項1に記載の異常診断装置において、
前記異常診断実行処理部は、
前記乖離度に基づいて、前記診断対象が異常か否かを判断する判断部と、
前記異常と判断されたとき、前記乖離度と前記乖離度の時間依存成分とに基づいて、異常と判断された原因を判断する異常原因診断部とを備えることを特徴とする異常診断装置。 - 請求項1に記載の異常診断装置において、
前記診断用入力データと前記参照データの乖離度が最小となるように両データを平行移動したときのデータ軸方向の移動量であるオフセットおよび、時間軸方向の移動量であるむだ時間を算出する全体的ずれ算出部をさらに備え、
前記異常診断実行処理部は、
前記乖離度、前記オフセット、および前記むだ時間のいずれかひとつに基づいて、前記診断対象が異常か否かを判断する判断部と、
前記異常と判断されたとき、前記乖離度、前記乖離度時間依存成分、前記オフセット、および前記むだ時間に基づいて、異常と判断された原因を判断する異常原因診断部とを備えることを特徴とする異常診断装置。 - 請求項1に記載の異常診断装置において、
前記診断用入力データは、前記診断対象に制御指令を与えたときに検出される制御出力に関する時系列データであり、
前記参照データは、前記診断対象に与える制御指令の時系列データであることを特徴とする異常診断装置。 - 請求項1に記載の異常診断装置において、
前記参照データ取得部は、前記診断用入力データを過去データとして蓄積する過去データ蓄積部と、前記過去データから前記参照データを作成する参照データ作成部とを備えることを特徴とする異常診断装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の異常診断装置において、
前記乖離度算出部の演算は、DPマッチングを用いることを特徴とする異常診断装置。
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