JP2013233984A - 注出口具 - Google Patents

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Abstract

【課題】逆止弁上に残留した残留内容物がこぼれ難い注出口具を提供する。
【解決手段】液体状の内容物を収容する容器に取り付けられる注出口具1は、流路を形成する注出部2と、注出部2から突出形成される取付部3と、注出部2の流路内に配置される逆止弁30とを備えている。逆止弁30は、筒状の基部31と、基部31の開口を閉鎖する閉位置及び基部の開口を開放する開位置の間で回動可能なフラップ部32とを備えている。逆止弁30には液溜まり部34が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けて使用される注出口具に関し、詳しくは、流路を形成する注出部と、注出部から突出形成される容器取付部と、注出部の流路内に配置される逆止弁とを備える注出口具に関する。
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具において、注出口具の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制すべく種々の構成が提案されている。例えば、特許文献1には、流路を形成する注出部内に易破断可能な隔壁を設け、この隔壁によって注出部内の流路を塞く構成の注出口具が開示されている。この特許文献1の注出口具によれば、注出部内に隔壁が存在することによって、注出部の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制することができる。なお、この注出口具は開封時に注出部内の隔壁を破断することにより、注出部の流路が開放されて内容物を注出可能な状態となる。
特開2008−87786号公報
ところで、特許文献1の注出口具は、開封前の保管時においては、隔壁によって注出部の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制することができるが、隔壁を破断して開封した後においては、容器内への外気の流入を抑制することができなくなる。そこで、本発明者らは、開封の有無にかかわらず、容器内への外気流入を抑制することができる注出口具として、注出部の流路内に逆止弁を配置し、注出部から内容物が外部へ注出されるときにのみ流路が開放される構成の注出口具を開発した。
ここで、製造の容易性や製造コスト等の観点から、逆止弁は、全体を弾性変形可能な合成樹脂材料により一体に形成してなり、筒状の基部と、基部の開口を閉鎖する閉位置と開口を開放する開位置との間で回動可能なフラップ部とからなるスイング型の逆止弁を用いることが好ましい。しかしながら、上記スイング型の逆止弁を採用した場合には、液体状の内容物を注出した後、注出口具を傾けた状態から元の状態に戻したときに、逆止弁上に内容物が残留する場合がある。この残留内容物が逆止弁上に多量に存在すると、キャップを閉じる際や容器を僅かに傾けた際に、逆止弁上の残留内容物がこぼれやすくなるという問題が生じる。
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、逆止弁上に残留した内容物がこぼれ難い注出口具を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の注出口具は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けて使用される注出口具であって、流路を形成する注出部と、前記注出部から突出形成される容器取付部と、前記注出部の流路内に配置される逆止弁とを備え、前記逆止弁は、筒状の基部と、前記基部の開口を閉鎖する閉位置と前記基部の開口を開放する開位置との間で回動可能なフラップ部と、前記基部に対して前記フラップ部を回動可能に接続するヒンジ部とを備え、前記逆止弁には、前記逆止弁上に残留した内容物を収容する液溜まり部が設けられている。
フラップ部を有するスイング型の逆止弁を採用する場合、注出部の流路内における逆止弁の上方部分には、フラップ部の回動を許容するための空間が確保される。そして、注出口具を傾けた状態から元の状態に戻す際には、逆止弁上に残る残留内容物は、注出部の流路内における逆止弁の上方に確保された上記空間に収容されることになる。ここで、上記空間の容積に対して残留内容物が過大である場合に、残留内容物のこぼれが生じやすくなる。
上記構成によれば、逆止弁上の残留内容物は、先ず逆止弁に設けられた液溜まり部内に収容され、逆止弁上の上記空間内には、液溜まり部から溢れた残留内容物が収容されることになる。これにより、残留内容物が逆止弁上の上記空間内に多量に収容されることが抑制されて、キャップを閉じる際や容器を僅かに傾けた際にも逆止弁上に残留内容物がこぼれ難くなる。
請求項2に記載の注出口具は、請求項1に記載の発明において、前記基部の上端面に設けられるとともに、前記基部の開口の中心よりもヒンジ部側の部位に設けられていることを特徴とする。
注出口具を傾けた状態から元の状態に戻す際、逆止弁が完全に閉位置に移行するまでの間においては、逆止弁上に存在する内容物は逆止弁の基部とフラップ部との間の隙間(戻り流路)を通って下部側へと戻る。このとき、基部の開口の中心を基準として、ヒンジ部と反対側ほど上記戻り流路が大きく形成されるため、ヒンジ部と反対側の部位の近傍に存在する内容物は下部側へと戻りやすく、戻り流路が形成されないヒンジ部の近傍に存在する内容物は下部側へ戻り難くなる傾向がある。そのため、内容物が上記戻り流路を通って下部側へ戻り難い箇所の近傍に位置する、基部の開口の中心よりもヒンジ部側の部位に対して液溜まり部を設けた場合には、上記戻り流路を通って下部側へ戻ることなく逆止弁上に残る内容物をより確実に液溜まり部内に収容させることができる。
本発明の注出口具によれば、逆止弁上に残留した内容物がこぼれることを抑制することができる。
(a)は注出口具の斜視図、(b)は注出口具の断面図。 注出下部の下面図。 (a)は逆止弁の斜視図、(b)は逆止弁の断面図、(c)は逆止弁の上面図、(d)は別例の逆止弁の上面図。 (a)は脱落防止部材の斜視図、(b)は脱落防止部材の断面図。 (a)は開封処理後の注出口具の断面図、(b)は逆止弁周辺の部分拡大図。 ガスバリアフィルムの貼り付け方法(接着工程及び切出工程)の説明図。 (a)〜(c)はガスバリアフィルムの貼り付け方法(折曲工程)の説明図。 (a)は別例の逆止弁の斜視図、(b)は同逆止弁の断面図。 (a)は別例の逆止弁の斜視図、(b)は同逆止弁の断面図。
以下、本発明の注出口具を図面に基づいて説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、注出口具1は、内部に流路を形成する注出部2を備えている。この注出部2は注出下部10と注出上部20の2つの部材を上下に組み合わせることによって構成されている。
注出部2の下側部分を構成する注出下部10は、上端側が開放されるとともに、下端側が閉塞壁11によって塞がれた有底円筒状に形成されている。図1及び図2に示すように、注出下部10の外周面(側面)の下部位置には、注出口具1を包装袋の開口部分に取り付けるための取付部3(容器取付部)が突設されている。取付部3は注出下部10から側方に突出する略菱形板状の取付上壁3aと同取付上壁3aの周縁に沿って垂下される取付側壁3bとから形成され、その内部は中空状になっている。そして、中空状の取付部3内には、取付部3の先端から注出下部10の外周面へ延びる補強部3cが設けられている。また、注出下部10の外周面の中央位置には環状のフランジ12が設けられるとともに、同外周面の上部位置には、注出上部20に対する係合部位としての雄螺子13が設けられている。
図1(b)及び図2に示すように、注出下部10の下端を塞ぐ閉塞壁11には、閉塞壁11の上面(内面)側から溝を形成することによって薄肉状に形成される破断誘導部11aが設けられている。破断誘導部11aは、一部が膨出した略円形状(水滴形状)をなす環状に形成されている。そして、破断誘導部11aにおける膨出した部分の内側位置には、引張部14が設けられている。引張部14は閉塞壁11から上方に延びる軸体14bと、軸体14bの上端に形成されるリング状の把持部14aとから構成されている。引張部14の高さ、即ち把持部14aの高さ位置は、注出下部10の上端と略同位置又はそれよりも上方位置となるように設定されている。
図1(b)に示すように、注出部2の上側部分を構成する注出上部20は、下端側が開放されるとともに、上端側が上壁21によって塞がれた有蓋円筒状に形成されている。注出上部20の上壁21は、その外周側部分に平面部22が形成されるとともに、その中央部分に、上方に向かって膨出するドーム状の膨出部23が形成されている。そして、膨出部23の頂点となる中央位置には略円筒状の注出口24が設けられている。注出口24の内周面は先端から基端に向かって縮径する逆テーパ状に形成されている。そして、注出口24の先端部分は、周方向に高さが異なる傾斜状に形成されるとともに、外側に向かって広がる形状に形成されている。また、膨出部23における注出口24の周囲には、液ダレを防止するための環状の周壁25が立設されている。
注出上部20の内周面には注出下部10に対する係合部位としての雌螺子26が設けられている。また、上壁21の下面(内面)の外周側には、注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出下部10の内周面に接して同内周面を支持する挟持壁27が立設されている。挟持壁27は注出下部10と同一中心の環状をなす環状壁であり、注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出下部10の内周面と把持部14aとの間に収容されるように、その形成位置が設定されている。
また、上壁21における膨出部23の下面(内面)には、注出口24を中心とする環状の支持壁28が立設されている。支持壁28と挟持壁27とは同一中心の環状をなし、支持壁28は挟持壁27の内側に位置している。また、注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、支持壁28は注出下部10に設けられる引張部14の把持部14aの内側に収容されるように、その形成位置が設定されている。
支持壁28の内周面には第1段部28a及び第2段部28bが形成され、支持壁28は両段部において内周面が先端側に向かって段階的に拡径する形状となっている。そして、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間に位置する領域には逆止弁30が取り付けられるとともに、第2段部28bと先端部との間に位置する領域には、逆止弁30の脱落を防止するための脱落防止部材40が取り付けられている。また、支持壁28の内周面における第2段部28bと先端部との間の部位には、脱落防止部材40と係合する係合溝が設けられている。
図3に示すように、逆止弁30は、内域に流路を形成する筒状の基部31と、基部31の上端開口を閉鎖するフラップ部32と、基部31及びフラップ部32を接続するヒンジ部33とからなるスイング型の逆止弁である。そして、この逆止弁30は弾性変形可能な軟質の合成樹脂材料(例えば、シリコーンゴム)、又は天然ゴムにより一体に形成されている。なお、逆止弁30を構成する合成樹脂材料の硬度は、フラップ部32の開閉動作の正確性確保という観点から、JIS−K6253に準拠したタイプAデュロメータによる測定値において、A10/S〜A90/Sの範囲であることが好ましい。
基部31は断面欠円状の流路を内域に形成する円筒形状に形成されている。そして、基部31の外径は、注出上部20の支持壁28における第1段部28aと第2段部28bとの間の部位の内径よりも僅かに小さい径に設定されている。フラップ部32は断面欠円状をなすブロック状の蓋部分であり、その周縁の一部分においてヒンジ部33を介して基部31に接続されている。また、基部31の上端面におけるヒンジ部33側の部位、即ち、逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位には、基部31の上端面から外周面にかけて切り欠いた形状の液溜まり部34が設けられている。特に本実施形態においては、基部31の開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも遠くに位置する部位に液溜まり部34が設けられている。
図3に示すように、フラップ部32の上部周縁には側方に突出するフランジ部32aが設けられている。そして、フラップ部32は、フランジ部32aが設けられる上部側において基部31の流路断面よりも大きく、且つ下部側は流路断面よりも小さくなるように形成され、その側面は上部側から下部側に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。なお、フランジ部32aとは、フラップ部32における基部31の流路断面よりも大きい部分(後述する基部31の弁座部31aに係止され得る部分)に対応する概念である。また、フラップ部32の上部周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の位置には、フランジ部32aを直線状に切り欠いた形状の切欠部32bが設けられている。図3(b)及び(c)に示すように、切欠部32bは、基部31の軸線方向(図3(b)における上下方向)において、その一部(X部分)が基部31の上端開口に沿う形状に形成されている。
図3(b)に示すように、ヒンジ部33は、フラップ部32における一側面(欠円の直線部分をなす面)の上部と基部31の上端部分とを接続する。そして、このヒンジ部33を基点として、フラップ部32は基部31の上端開口を閉鎖する閉位置と上端開口を開放する開位置との間で回動可能である。
上記閉位置は、基部31の弁座部31a(上端開口縁全体)とフラップ部32のフランジ部32aとが接触して係止される位置であり、上記開位置は、ヒンジ部33を基点としてフラップ部32が上方に回動して、基部31の弁座部31aから離間した位置である。図3(b)に示すように、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の切欠部32bの一部(基部31の上端開口に沿う部分X)は、逆止弁30の縦断面において、基部31に対して一点で接触する状態となる。また、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の下面は基部31の内域(流路内)に位置している。
図1(b)に示すように、逆止弁30は、支持壁28の第1段部28aに対して基部31の上端を当接させた状態として、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間の領域に取り付けられる。このとき、逆止弁30はヒンジ部33が形成されている側が、注出口24の先端部分の高い側(図中左側)に位置するように取り付けられる。
支持壁28の内域における第1段部28aの上方部分には、逆止弁30のフラップ部32の回動を許容するための空間Sが確保されている。この空間Sの高さ、即ち膨出部23の下面から第1段部28aまでの距離は、フラップ部32の最大回動角度(閉位置を基準として、フラップ部32が上壁21(膨出部23)の下面に当接して回動が規制される角度)が10〜60度の範囲となるように設定することが好ましい。上記範囲に設定することにより、フラップ部32が開位置にある場合における通過面積を好適に確保することができる。
図4に示すように、脱落防止部材40は内域に流路を形成する円環状の部材である。脱落防止部材40の外径は注出上部20の支持壁28における第2段部28bと先端部との間の部位の内径よりも僅かに小さい径に設定されている。脱落防止部材40の外周面には、支持壁28の内周面に設けられた係合溝に係合する係合突部41が設けられている。また、脱落防止部材40の内周部分には、対向する内周面間を接続する架橋壁42が設けられるとともに、架橋壁42の上部中央位置には上方へ向かって延びる断面十字状の規制突起43が設けられている。
図1(b)に示すように、脱落防止部材40は、支持壁28の第2段部28b、及び逆止弁30の基部31の下端に対して、その上面を当接させた状態として、支持壁28の内域における第2段部28bと先端部との間の領域に取り付けられる。このとき、脱落防止部材40の外周面に設けられた係合突部41と支持壁28の内周面に設けられた係合溝とが係合することによって、脱落防止部材40は支持壁28内に固定される。支持壁28内に逆止弁30及び脱落防止部材40が共に取り付けられた状態において、脱落防止部材40の規制突起43の先端部分は、逆止弁30の基部31の内域に位置して、閉位置にあるフラップ部32の下面に当接する。
図1に示すように、注出上部20にはヒンジ51を介してキャップ部50が取り付けられている。キャップ部50はヒンジ51を基点として、上壁21の膨出部23を覆う閉位置と同膨出部23を露出させる開位置との間で回動することが可能である。注出上部20におけるヒンジ51の形成位置は、逆止弁30のヒンジ部33が形成される側と反対側、即ち注出上部20の中心軸線を挟んで逆止弁30のヒンジ部33に対向する位置に設定されている。
なお、注出上部20におけるヒンジ51の形成位置は、注出口具1から内容物を注出する際における注出口具1の傾け方向を規定する。つまり、注出時にはヒンジ51の形成位置の反対側を下に向けて傾けて使用される。したがって、逆止弁30は、ヒンジ部33が形成される側が注出時に下側に位置するように取り付けられることになる。そして、注出口24は、先端部分の高い側(図中左側)が注出時に下側に位置するように形成されていることになる。
図1(b)に示すように、キャップ部50の上部内面には、キャップ部50を閉位置に位置させたときに注出口24に挿入されて注出口24を塞ぐ挿入突起52が設けられている。なお、符号を省略しているが、キャップ部50の内周面及び上壁21の膨出部23の外周面には、互いに係合してキャップ部50を閉じた状態で保持するための突起状の係合部がそれぞれ設けられている。
ところで、キャップ部50と注出上部20とを接続するヒンジ51は、キャップ部50の開閉動が繰り返し行われることにより伸びてしまうことがある。ヒンジ51に伸びが生じると、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができなくなり、閉位置においてキャップ部50及び膨出部23の各係合部を係合させてキャップ部50を保持することが困難になる場合がある。そこで、本実施形態では、上壁21の平面部22上面におけるヒンジ51の近傍位置に位置決め突起29を設けている。この位置決め突起29は、キャップ部50を閉位置に位置させたときにキャップ部50の内周面に当接して、キャップ部50の位置を位置決めする。これにより、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができ、閉位置におけるキャップ部50と膨出部23との係合関係を好適に形成させることができる。
上述した注出口具1における逆止弁30以外の部位(取付部3、注出下部10、注出上部20、キャップ部50、及び脱落防止部材40)には、スパウト等の注出口具に一般に使用される公知の合成樹脂材料を用いることができる。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
図1(b)に示すように、注出下部10の下面全体にはガスバリア部材としてのガスバリアフィルム60が貼り付けられている。ガスバリアフィルム60は、注出下部10(取付側壁3b)の外周形状よりも一回り大きい形状に形成されている。そして、ガスバリアフィルム60の周縁部分には、取付部3の外周面(側壁3bの外面)に沿って上方へ折り曲げられた状態で取付部3に接着固定される折曲部61が設けられている。本実施形態においては、折曲部61はガスバリアフィルム60の周縁全体に設けられている。また、ガスバリアフィルム60において、注出下部10の閉塞壁11に形成される破断誘導部11aの下側に位置する部位には、破断誘導部11aと同形状のハーフカット62が形成されている。図2においてはガスバリアフィルム60の図示を省略している。なお、ガスバリアフィルム60としては、例えば、アルミニウム箔層、エチレンビニル−アルコール共重合体層、セラミック蒸着フィルム層等をガスバリア層として有する多層樹脂シートを用いることができる。
ここで、注出下部10に対するガスバリアフィルム60の貼り付け方法の一例を、図6及び7に基づいて説明する。先ず、ガスバリア層60aと、ガスバリア層60aの両面のそれぞれに積層された熱融着層60b,60cとからなる3層構造の多層樹脂シート70が巻回されたロール70aを用意する。そして、ロール70aから送り出された多層樹脂シート70に対して注出口具1を接着する接着工程、多層樹脂シート70から注出口具1に対する接着部分を切り出す切出工程、及びガスバリアフィルム60に折曲部61を形成する折曲工程を順に行うことによって、注出下部10にガスバリアフィルム60が貼り付けられる。
接着工程は、多層樹脂シート70に対して注出口具1を接着する工程である。図6に示すように、接着工程においては、先ず、下面(閉塞壁11側の面)側を上に向けた状態として、注出下部10を所定の保持治具71に保持させる。次いで、保持治具71を多層樹脂シート70に向かって移動させて、多層樹脂シート70の熱融着層60c側の面に注出下部10の下面を当接させる。そして、シールバー等の加熱装置72を用いて多層樹脂シート70を加熱しつつ、多層樹脂シート70を注出下部10の下面に向かって押圧する。これにより、注出下部10の下面(注出下部10の閉塞壁11の下面、及び取付部3における取付側壁3bの下縁)に対して多層樹脂シート70が熱溶着される。そして、注出下部10が熱溶着された多層樹脂シート70は切出工程に供される。なお、上記接着工程において多層樹脂シート70が加熱装置72に接着されないように、加熱装置72にはテフロン(登録商標)等の表面処理が施されている。
切出工程は、多層樹脂シート70から注出口具1に対する接着部分を切り出す工程である。図6に示すように、切出工程においては、レーザーや刃物等の切断装置73を用いて、注出下部10の外周に沿って多層樹脂シート70を切断して、多層樹脂シート70における注出下部10に接着された部位(ガスバリアフィルム60)を切り出す。このとき、切り出されたガスバリアフィルム60は、注出下部10の外周形状よりも一回り大きい形状に切り出されて、ガスバリアフィルム60の周縁部分には、注出下部10から側方に突出する曲げ代61aが設けられる。そして、ガスバリアフィルム60が貼り付けられた注出下部10は折曲工程に供される。
折曲工程は、ガスバリアフィルム60に折曲部61を形成する工程である。図7に示すように、折曲工程では折曲部材74と保持治具71との協働により折曲部61が形成される。折曲部材74は、内域に押込み孔75aが形成される筒状の折曲型75と、折曲型75を加熱するヒータ76とから構成されている。押込み孔75aは、注出下部10の取付部3の外形形状に対応した断面略菱形状をなし、押込み孔75aの断面形状は、注出下部10の取付部3の外形よりも大きく、且つ曲げ代61aを有するガスバリアフィルム60の外形よりも小さく設定されている。
図7(a)に示すように、切出工程後、ガスバリアフィルム60が貼り付けられた注出下部10は、保持治具71に保持された状態のままで、折曲部材74に対向する位置に配置される。そして、図7(b)に示すように、保持治具71に向かって折曲部材74が接近移動して、保持治具71に把持された注出下部10が折曲型75の押込み孔75a内に押し込まれる。これにより、ガスバリアフィルム60は、曲げ代61aが折曲型75の内周面に摺接されて注出下部10の取付部3の外周面に沿った形状に折り曲げられる。
その後、ヒータ76によって折曲型75が加熱されるとともに、折曲型75を介してガスバリアフィルム60の曲げ代61aが加熱される。これにより、ガスバリアフィルム60の曲げ代61aは、注出下部10の取付部3の外周面に熱溶着されるとともに取付部3の外周面に沿って折り曲げた状態にて固定されて折曲部61となる。その後、図7(c)に示すように、保持治具71から折曲部材74を退避させる。なお、上記折曲工程においてガスバリアフィルム60の曲げ代61aが折曲型75に接着されないように、折曲型75にはテフロン(登録商標)等の表面処理が施されている。
次に、本実施形態の作用について以下に記載する。
本実施形態の注出口具1は、液体状の内容物を収容する所定の容器(例えば、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋)の開口部に取り付けて使用される。注出口具1を取り付けた容器においては、閉塞壁11及び取付部3の下面に貼り付けられたガスバリアフィルム60によって、注出口具1部分を通じた容器内への酸素等の外気の侵入が抑制される。
注出口具1の取付部3に対して容器を取り付ける際、ガスバリアフィルム60の切り出し誤差等により注出下部10の下面からガスバリアフィルム60の周縁部分が側方に突出した状態であると、その突出した周縁部分が段差状の障害となって、注出下部10の取付部3と容器とを十分に密着させることが困難になる。そして、取付部3に対する容器の密着性が不十分であると、取付不良となって注出口具1を取り付けた容器のガスバリア性が低下するおそれがある。
ここで、本実施形態の注出口具1では、ガスバリアフィルム60の周縁部分(曲げ代61a)を、取付部3の外周面に沿って折り曲げた状態にて固定して折曲部61としている。これにより、取付部3の外周面とガスバリアフィルム60の周縁部分との間に生じる段差が最小限(ガスバリアフィルム60の厚さ分)に抑えられる。そのため、取付部3に対して容器を密着させやすくなるとともに容器の取付不良を抑制することができる。さらに、ガスバリアフィルム60の折曲部61の外面側も熱融着層60bによって形成されているため、取付部3に対して容器を取り付ける際に折曲部61の外面(熱融着層60b)と容器とを好適に溶着させることができる。
また、注出口具1は以下に記載する開封処理を行うことによって、容器内から内容物を注出可能な状態となる。先ず、注出上部20を回転させて注出上部20及びキャップ部50を注出下部10から取り外す。これにより、引張部14の把持部14aが注出下部10の上部開口から露出されて、把持部14aを容易に把持することができる状態となる。その後、把持部14aを把持して上方に引っ張ることにより、閉塞壁11の破断誘導部11a及びガスバリアフィルム60のハーフカット62を引き裂いて注出下部10の下端を開口させる。そして、注出上部20及びキャップ部50を注出下部10に取り付けることにより、注出口具1は図5に示す開封状態となる。
開封状態とした注出口具1のキャップ部50を開けて容器を傾けると、容器内の内容物は注出下部10内の流路及び脱落防止部材40内の流路を通過して逆止弁30に達する。そして、内容物の注出圧が逆止弁30のフラップ部32に作用すると、内容物に押圧されてフラップ部32が閉位置から開位置へ回動して逆止弁30は内容物の通過を許容する状態となり、注出口24から内容物が注出される。
包装袋を傾けた状態から元の状態に戻すと、逆止弁30のフラップ部32に対する内容物による押圧状態が解消されて、逆止弁30は開位置から閉位置に戻る。このとき、逆止弁30のフラップ部32の下面が基部31の内域にて脱落防止部材40に設けられた規制突起43の先端に当接するとともに、フラップ部32のフランジ部32aが弁座部31aに係止されて、それ以上の基部31内へのフラップ部32の潜り込みが規制される。そして、フラップ部32に対して内容物の注出圧が作用しない通常の載置状態においては、フラップ部32は基部31内の流路を閉鎖する閉位置に位置する。
注出口具1を傾けた状態から元の状態に戻す際、逆止弁30が完全に閉位置に移行するまでの間においては、逆止弁30の上部側の空間Sに残った内容物は逆止弁30の基部31とフラップ部32との間の隙間(戻り流路A)を通って下部側へと戻ることができる。このとき、図5(b)に示すように、逆止弁30のフラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた部分においては、内容物が逆止弁30の上部側から下部側へと戻るための戻り流路Aが大きく確保される。そして、戻り流路Aが大きく確保されることにより、空間Sに存在する内容物を逆止弁30の下部側へ効率よく戻すことができる。
逆止弁30が完全に閉位置に移行した後、内容物が十分に戻りきらずに逆止弁30の上部側の空間Sに多くの残留内容物が残ってしまう場合がある。この場合、残留内容物は、先ず逆止弁30に設けられた液溜まり部34内、より具体的には基部31の液溜まり部34と注出上部20の支持壁28の内周面とにより囲まれた空間Tに収容される。そして、逆止弁30上の空間S内には、液溜まり部34から溢れた残留内容物が収容されることになる。そのため、残留内容物が逆止弁30上の空間S内に多量に収容されることが抑制される。これにより、包装袋を僅かに傾けた場合や、キャップ部50を閉じて逆止弁30上の空間S内に挿入突起52が挿入された場合においても、逆止弁30上の残留内容物がこぼれ難くなる。
また、逆止弁30が完全に閉位置に移行した後、内容物が十分に戻りきらずに逆止弁30の上部側の空間Sに多くの残留内容物が残った場合には、逆止弁30の上部に内容物の質量に基づく圧力が作用する。このとき、上記圧力が所定の値を超えると、逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分X(図3(b)及び(c)参照)を通じて、残留内容物が滲み出すようにして逆止弁30の下部側へと戻っていく。このように、本実施形態においては、逆止弁30のフラップ部32に切欠部32bを設けることにより、空間Sに残った残留内容物を逆止弁30の下部側へ効率よく戻すことができ、空間Sに多量の残留内容物が溜まり難い構成となっている。
次に本実施形態における効果について、以下に記載する。
(1)筒状の基部31と、フラップ部32と、基部31に対してフラップ部32を回動可能に接続するヒンジ部33とを備えるスイング型の逆止弁30を、注出部2の流路内に配置している。上記構成によれば、開封の有無にかかわらず、内容物の注出時を除いて閉じた状態にある逆止弁30が注出部2の流路内に存在することになり、注出部2の流路を通じた容器内への外気の流入を逆止弁30によって好適に抑制することができる。
(2)逆止弁30には液溜まり部34が設けられている。上記構成によれば、残留内容物が逆止弁30上の空間S内に多量に収容されることが抑制されて、キャップ部50を閉じる際や包装袋を僅かに傾けた際にも逆止弁30上の残留内容物がこぼれ難くなる。
(3)液溜まり部34は、逆止弁30の基部31の上端面に設けられるとともに、基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位に設けられている。
注出口具1を傾けた状態から元の状態に戻す際、基部31の開口の中心Pを基準として、ヒンジ部33と反対側の箇所ほど戻り流路Aが大きく形成される。そのため、逆止弁30上において、ヒンジ部33と反対側の近傍に存在する内容物は下部側へと戻りやすく、戻り流路Aが形成されないヒンジ部33の近傍に存在する内容物は下部側へ戻り難くなる傾向がある。したがって、内容物が戻り流路Aを通って下部側へ戻り難い箇所の近傍に位置する、基部31の開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位に対して液溜まり部34を設けた場合には、戻り流路Aを通って下部側へ戻ることなく逆止弁30上に残る残留内容物をより確実に液溜まり部34内に収容させることができる。
(4)液溜まり部34は、逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位であって、開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも遠くに位置する部位に設けられている。逆止弁30の基部31における開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位は、開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位のなかでも、逆止弁30上における戻り流路Aが形成されない箇所の最も近くに位置している。そのため、上記構成によれば、上記(3)の効果を更に顕著に得ることができる。
(5)フラップ部32の周縁に、基部31の上面に係止されるフランジ部32aと、一部が基部31の開口に沿う形状に形成される切欠部32bとを設けている。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じるまでの間において、切欠部32bが設けられた部分では上記戻り流路Aがより大きく確保されて逆止弁30の下部側へより多くの内容物を戻すことができる。そのため、逆止弁30の上部に多量の残留内容物が溜まることを抑制できる。なお、上記「基部31の開口に沿う」という概念は、切欠部32b(の一部)が完全に基部31の開口に沿って形成されている状態のみに限らず、フランジ部32aの極一部が残存しているような状態も許容する概念である。
(6)フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側に切欠部32bを設けている。フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の部分は、逆止弁30が開位置から閉位置へ移る際に最後に閉じられる部分である。そのため、上記構成によれば、上記戻り流路Aをより大きく確保することができるという効果を、逆止弁30が完全に閉じるまで得ることができる。
(7)フラップ部32が閉位置にある逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分Xが存在するように構成している。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じた後であっても、逆止弁30の上部に多量の残留内容物が溜まって逆止弁30に大きな圧力が作用する状況であれば、上記一点で接触する部分Xを通じて、残留内容物を逆止弁30の下部側へ戻すことも可能となる。そして、逆止弁30上の残留内容物が少量となると、上記一点で接触する部分Xを通じて戻ることなく逆止弁30の上部に残ったままとなる。しかしながら、逆止弁30の上部に少量の残留内容物が残ることにより、その残留内容物(の液膜)がガスバリア層として機能して、外気の流入を抑制するという効果を得ることができる。
(8)閉位置にある逆止弁30のフラップ部32の下面に当接する規制突起43を有する脱落防止部材40を備えている。上記構成によれば、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制することができる。また、規制突起43を断面十字形状に形成することにより、規制突起43の強度を高めるとともに、フラップ部32の下面に当接する接触面積を増大させている。これにより、脱落防止部材40の成形誤差や取付誤差等によって、フラップ部32下面における規制突起43の当接部位が中央から周辺側へずれた場合にも、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを好適に規制することができる。
更に、フラップ部の周縁全体にフランジ部を設けた構成と比較して、フラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた構成とした場合には、フランジ部32aのない部分(切欠部32b)が存在するために、フランジ部32aに基づく、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制する作用が弱くなる。そこで、規制突起43を設けることによって、フラップ部32の周縁全体にフランジ部32aを設けた構成と同等以上に、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制することができる。
(9)脱落防止部材40に設けられる規制突起43について、逆止弁30の基部31の内域へ延びる形状に形成している。上記構成によれば、逆止弁30のフラップ部32が薄肉に形成されている場合であっても、フラップ部32の潜り込みを好適に抑制することできる。そのため、フラップ部32の薄肉化を容易に実現できる。
(10)注出部2を注出上部20と注出下部10とに分離及び組立可能に構成し、逆止弁30と、規制突起43を備える脱落防止部材40とを注出上部20に配置している。上記構成によれば、外気の流入抑制に関する構成である逆止弁30及び規制突起43(脱落防止部材40)を注出上部20に集中して配置することにより、外気の流入抑制に関する構成が存在しない注出下部10側に他機能を付与して、注出口具1の更なる多機能化を図ることが容易になる。なお、上記他機能として本実施形態では、内容物が流路から流出することを防止する閉栓機能(閉塞壁11及び引張部14)を注出下部10に付与している。また、注出下部10側に他機能を付与した場合に、機能別に注出上部20と注出下部10とを区分することができ、部材管理が容易である。
(11)注出下部10の下端に流路を塞ぐ閉塞壁11を設けるとともに、閉塞壁11の内面に閉塞壁の一部を除去するための引張部14を設けている。そして、閉塞壁11の外面にガスバリア部材としてのガスバリアフィルム60を貼り付けている。上記構成によれば、注出口具1の開封前の状態、即ち注出下部10における閉塞壁11を除去する前の状態において、注出口具1を介した容器内への外気の侵入を好適に抑制することができる。また、注出口具1の開封は、引張部14を引っ張ることにより容易に実現できる。
(12)引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定している。注出口具1を包装袋(容器)に取り付ける場合には、包装袋を構成する一対の樹脂シートの周縁間に注出口具1の取付部3を挟み込み、取付部3と樹脂シートの周縁部分とを接着させる方法が採用される。そのため、取付部3には、樹脂シートに接着される接着面としての側面部分を設ける必要があるが、側面部分を形成するために取付部の上下方向の幅を大きくすると、それに応じて注出部2も上下に長く形成しなければならない。注出部2を上下に長く形成した場合、注出部2の奥深くに引張部14が隠れてしまって、開封処理を行う際に注出部2内の引張部14を把持して引っ張ることが困難になることがある。そこで、上記構成では、引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定している。これにより、注出部2を注出上部20と注出下部10とに分離したときに、引張部14が注出下部10の上部開口に露出した状態となって、引張部14を容易に把持して引っ張ることができる。
(13)注出上部20と注出下部10とを組み立てた際に、注出下部10に設けられる引張部14の把持部14aの内側に支持壁28が収容されるようになっている。上記構成によれば、引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定したことによる注出部2全体の高さの増大を抑制することができる。
(14)注出時に注出口具1を所定の傾け方向(ヒンジ51の形成位置により規定される傾け方向)に傾けた際に、ヒンジ部33が形成される側が下側に位置するように逆止弁30を取り付けている。上記構成によれば、フラップ部32に作用する重力が逆止弁30を閉位置とする方向に作用し難くなる。そのため、注出時に内容物が逆止弁30を通過する際の通過抵抗が小さくなって、内容物を好適に流通させることができる。
(15)注出下部10の取付部3から側方へ突出するガスバリアフィルム60の周縁部分を取付部3の外周面に沿って折り曲げてなる折曲部61を形成している。上記構成によれば、取付部3の外周面とガスバリアフィルム60の周縁部分との間に生じる段差が抑えられて、取付部3に対して容器を密着させやすくなって容器の取付不良を抑制することができる。
(16)注出口具1の取付部3に対して、ガスバリアフィルム60の折曲部61を接着固定している。上記構成によれば、ガスバリアフィルム60の折曲部61に対して他の部材が接触する等により、折曲部61を立ち上げて元の突出状態に戻す力が作用した場合にも、折曲部61の折り曲げ状態を維持することができる。そのため、上記(15)の効果をより確実に得ることができる。
(17)ガスバリアフィルム60の周縁全体に折曲部61を形成している。上記構成によれば、注出下部10に容器を取り付ける際に、折曲部61の外面部分にてガスバリアフィルム60と容器とを接着させることができる。そして、折曲部61の大きさに相当する所定幅にわたってガスバリアフィルム60と容器とを接着させることにより、ガスバリアフィルム60の周縁部分の端面においてのみガスバリアフィルム60と容器とが接着する構成と比較して、ガスバリアフィルム60の周縁部分と容器との間を通じた外気の流入を効果的に規制することができる。
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
・ 上記実施形態では、逆止弁30の基部31におけるヒンジ部33側の部位に対して穴状の液溜まり部34を一つ設けていたが、液溜まり部34の数、形状、大きさ及び配置位置は、本発明の主旨を変更しない範囲において適宜変更することができる。例えば、基部31における液溜まり部34の配置位置を、基部31の開口の中心Pよりもヒンジ部33側の部位であって、開口の中心Pに対してヒンジ部33よりも近い部位に変更してもよいし、基部31の開口の中心Pを基準としてヒンジ部33と反対側の部位に変更してもよい。
また、図8に示すように、逆止弁30の基部31の上端面に対して穴状又は溝状の液溜まり部34を設けてもよい。また、逆止弁30のフラップ部32の上端面に対して穴状又は溝状の液溜まり部34を設けてもよい。このように構成した場合には、液溜まり部34を設けるに際して、逆止弁30の基部31の外周面形状が変更されることがない。したがって、液溜まり部34を設けた場合にも、注出上部20の支持壁28に対する逆止弁30の取付安定性を好適に確保することができる。
更に、図9に示すような液溜まり部34を形成することもできる。図9に示す例では、基部31の流路内の中間位置に段差部分35を設けるとともに、段差部分35を弁座部とするフラップ部32を基部31内の中間位置に設けている。このように構成した場合には、基部31の流路内におけるフラップ部32の上方部分が液溜まり部34として機能する。
・ 逆止弁30のフラップ部32の周縁に設けられるフランジ部32a及び切欠部32bの数、形状、大きさ及び各配置位置は、本発明の主旨を変更しない範囲において適宜変更することができる。図3(d)に示すように、複数箇所に切欠部32bを形成してもよいし、ヒンジ部33との接続部位の反対側以外の部分に切欠部32bを形成してもよい。また、切欠部32bを所定幅にわたって、基部31の弁座部31a(開口縁)に沿う形状に形成してもよい。この場合、上記一点で接触する部分Xが広範囲に形成されることになる。更に、上記実施形態では、切欠部32bの端面は、逆止弁30の軸線に沿った垂直面状に形成されていたが、上側に向かって内方に傾斜する傾斜面状に形成してもよい。
・ 切欠部32bを設けることなく、フラップ部32の周縁全体にフランジ部32aが設けられる構成としてもよい。また、フランジ部32aを省略して、フラップ部32の周縁全体が切欠部32bに相当する形状となるように構成してもよい。
・ 形状等の逆止弁30の具体的構成は適宜変更することができる。
・ 上記実施形態では、規制突起43は逆止弁30のフラップ部32の下面に当接するように配置されていたが、テーパ状に形成される側面に当接するように規制突起43を配置してもよい。
・ 閉位置において、逆止弁30のフラップ部32の下面に必ずしも規制突起43が当接する必要はない。例えば、閉位置にあるフラップ部32の下面と規制突起43との間に僅かに隙間を設けておき、フラップ部32が閉位置よりもさらに内側に回動したところでフラップ部32と規制突起43とが当接する構成であってもよい。
・ 規制突起43の形状は特に限定されるものではない。逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
・ 規制突起43と逆止弁30のフラップ部32の当接位置は、基部31の内域に限られるものではなく、弁座部31aよりも流路の上流側の位置であれば上記実施形態と同様の規制作用を得ることができる。
・ 逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制する規制手段として、脱落防止部材40に設けられる規制突起43に代えて別の構成を採用してもよい。例えば、逆止弁30と脱落防止部材40との間に、規制突起43を備える規制部材を配置してもよいし、逆止弁30の基部31の流路内周面に突起部分や架橋部分を設けてもよい。逆止弁30に規制手段を設ける場合は、基部31と一体形成されるようにしてもよいし、ピン等の他部材を配置させるようにしてもよい。
・ 規制突起43等、逆止弁30のフラップ部32の下面に当接してフラップ部32の潜り込みを規制する規制手段を省略してもよい。
・ 脱落防止部材40は、注出上部20からの逆止弁30の脱落を防止するものであるが、逆止弁30の位置ずれを抑制するものであってもよい。また、脱落防止部材40を省略してもよい。
・ 引張部14を引っ張って破断される部位は閉塞壁11の一部であってもよいし、閉塞壁11全体であってもよい。閉塞壁11全体を破断する場合には、破断誘導部11aを注出下部10の内周面に沿って形成すればよい。
・ 注出上部20と注出下部10とを組み立てた際に、引張部14の把持部14aの上方に支持壁28が位置するように構成してもよい。
・ 上記実施形態では、閉塞壁11に対して薄肉状の破断誘導部11aを設けていたが、破断誘導部の構成は特に限定されるものではなく、例えば、ミシン目状の孔であってもよい。また、閉塞壁11の破断誘導部11aを省略してもよい。
・ 上記実施形態では、注出下部10の下端位置に閉塞壁11を設けていたが、注出下部10の上端位置や流路内における中間位置に閉塞壁11を設ける構成としてもよい。注出下部10の上端位置に設ける場合には、例えば、注出下部10と注出上部20との接続長を調整することで可能となる。また、注出下部10の流路内に設ける場合には、例えば、流路内径が小径となる部分と大径となる部分を形成し、その両部分の段差部分に閉塞壁11を設ければよい。
・ ガスバリアフィルム60の周縁に設けられる折曲部61の構成は適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、ガスバリアフィルム60の周縁全体に曲げ代61aを設けて、同周縁全体に折曲部61が形成されるように構成していたが、ガスバリアフィルム60の周縁に対して部分的に曲げ代61aを設けて、ガスバリアフィルム60の周縁に対して部分的に折曲部61を形成してもよい。また、折曲部61は意図的に設けられた曲げ代61aを折り曲げて形成されるものに限らず、ガスバリアフィルム60の切り出し誤差や貼り付け誤差等により生じたガスバリアフィルム60の周縁の突出部分を折り曲げて形成されるものであってもよい。
・ 上記実施形態では、ガスバリアフィルム60の折曲部61は、熱溶着によって注出口具1の取付部3に接着固定されていたが、取付部3に対する折曲部61の接着構成は特に限定されるものではい。また、取付部3に対して折曲部61の一部のみを部分的に接着する構成であってもよい。更に、取付部3に対して折曲部61を接着することなく、単純に折り曲げたのみの構成であってもよい。
・ 注出下部10に対するガスバリアフィルム60の貼り付け方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、注出下部10を保持させた保持治具71を多層樹脂シート70に向かって移動させていたが、上下方向に移動可能な加熱装置72を採用し、その加熱装置72を下降させることにより多層樹脂シート70を保持治具71側へ移動させつつ、多層樹脂シート70を注出下部10に接触させるようにしてもよい。また、折曲工程において、ガスバリアフィルム60の曲げ代61aの折り曲げと、折り曲げられた曲げ代61a(折曲部61)の取付部3への熱融着とを別々の部材により行うようにしてもよい。また、切出工程に用いる切断装置73として図7に示すような折曲部材74を用い、加熱された折曲型75を多層樹脂シートに押圧させることによって折曲型75の下端内周縁にて多層樹脂シート70を溶断する構成としてもよい。この場合には、多層樹脂シート70からのガスバリアフィルム60の切り出しと、切り出されたガスバリアフィルム60の曲げ代61aの折り曲げ及び取付部3への熱融着とを、折曲部材74による一連の動作にて行うことができる。
・ ガスバリアフィルム60の層構造は、少なくともガスバリア層を備えるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ガスバリア層60aの片面のみに熱融着層を備えるものであってもよいし、ガスバリアフィルム60に強度を付与するための基材層を備えるものであってもよい。また、接着剤等によりガスバリアフィルム60を注出下部10に貼り付ける構成とした場合には熱融着層を省略することもできる。
・ 閉塞壁11及びガスバリアフィルム60の一方を省略してもよい。また、閉塞壁11及びガスバリアフィルム60の両方を省略してもよい。なお、閉塞壁11を省略した場合には、閉塞壁11に設けられる引張部14も省略される。また、ガスバリアフィルム60のハーフカット62については、これを省略するようにしてもよい。
・ 注出部2を一の部材から形成してもよいし、三以上の複数の部材に分離及び組立可能に構成してもよい。また、注出上部20にヒンジ51を介してキャップ部50を取り付けていたが、注出上部20そのものを有蓋筒状のキャップとしてもよい。さらに、注出下部10にヒンジを介してキャップ部を取り付けるようにしてもよい。
・ 注出上部20の上端開口、下端開口又は注出下部10の上端開口に対して、その開口を封鎖するガスバリアフィルム60を更に貼り付けた構成としてもよい。この場合、ガスバリアフィルム60は開封処理時に、開封者の手によって除去される。
・ 取付部3の中空状の内部について上記実施形態では、補強部3cを備えたが、この構成を変更してもよい。例えば、補強部3cの延びる方向を取付上壁3aの短手方向に変更してもよいし、取付部3の内部を中実状にすることも可能である。
・ ヒンジ51の形成位置によって注出時の傾け方向を規定していたが、注出口24の形状等の別の構成によって注出時の傾け方向を規定するようにしてもよい。
・ 注出口具1に設けられる所定の構成により規定される注出時の傾け方向と、逆止弁30の取付方向(接続部33の位置)は上記実施形態の関係に限定されるものではない。
・ 本発明の注出口具1は、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋に限らず、紙製の容器等、様々な容器に適用することができる。その場合、取付部3については、容器の形態に合わせて適宜変更が可能であることは言うまでもない。
・ 上壁21の構成を適宜変更することが可能である。例えば、支持壁28の第1段部28aよりも上方の内空間が高くなるように調整すれば、フラップ部32の閉位置から開位置へ移行する回動量を大きくすることができるとともに、残留内容物の許容量を増大させることができる。また、注出上部20の上壁21に設けられる周壁25についても、その配置、高さを変更するが可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記フラップ部の下面に当接して前記フラップ部の潜り込みを規制する規制手段を、前記弁座部よりも前記流路の上流側に設けた前記注出口具。
(ロ)前記注出部を注出上部と注出下部とに分離可能に構成し、前記注出下部に流路を塞ぐ閉塞壁を設けるとともに、前記閉塞壁の下面にガスバリア部材を設け、前記閉塞壁の上面に、前記閉塞壁の少なくとも一部を前記ガスバリア部材と共に破断して開口させるための引張部を設け、前記引張部の高さを、前記注出下部の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定した前記注出口具。
(ハ)前記フラップ部の周縁には、前記基部の上面に係止されるフランジ部と、少なくとも一部が前記基部の開口に沿うように形成される切欠部とが設けられている前記注出口具。
S…空間、1…注出口具、2…注出部、3…取付部、30…逆止弁、31…基部、32…フラップ部、33…ヒンジ部、34…液溜まり部、60…ガスバリアフィルム、61…折曲部、61a…曲げ代。

Claims (2)

  1. 液体状の内容物を収容する容器に取り付けて使用される注出口具であって、
    流路を形成する注出部と、前記注出部から突出形成される容器取付部と、前記注出部の流路内に配置される逆止弁とを備え、
    前記逆止弁は、筒状の基部と、前記基部の開口を閉鎖する閉位置と前記基部の開口を開放する開位置との間で回動可能なフラップ部と、前記基部に対して前記フラップ部を回動可能に接続するヒンジ部とを備え、
    前記逆止弁には、前記逆止弁上に残留した内容物を収容する液溜まり部が設けられていることを特徴とする注出口具。
  2. 前記液溜まり部は、前記基部の上端面に設けられるとともに、前記基部の開口の中心よりもヒンジ部側の部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の注出口具。
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