JP2012236297A - 記録装置及びその処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録ヘッド用基板のサイズの大幅な増大を招かずに、発熱抵抗素子の駆動に同期した温度変化を取得できるようにした技術を提供する。
【解決手段】記録装置は、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗素子それぞれに対応して温度検知素子が設けられた記録ヘッドを有し、記録ヘッドに設けられた複数の発熱抵抗素子を時分割駆動させて記録を行なう。記録装置は、記録対象となる画像データを記録する際の各発熱抵抗素子の駆動回数に基づいて、複数の発熱抵抗素子に駆動回数の多い順に優先順位を設定する優先順位設定手段と、発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を、優先順位の高い発熱抵抗素子から順番に、予め設定された検知処理時間内において取得する取得手段と、取得された温度検知素子からの出力それぞれに基づいて、発熱抵抗素子によるインクの吐出状態を判定する判定手段とを具備する。
【選択図】図9

Description

本発明は、記録装置及びその処理方法に関する。
従来、熱等のエネルギーをインクに与えることでインクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出させ、記録媒体上に記録を行なうインクジェット記録方式が知られている。このような方式の記録装置には、一般に、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段(発熱抵抗素子)とを有する記録ヘッドが設けられる(特許文献1参照)。
上述した発熱抵抗素子は、半導体製造プロセスを用いて作製することができる。そのため、従来の記録ヘッドは、(例えば、シリコン基板からなる)記録ヘッド用基板上に発熱抵抗素子を形成し、その上に、インク流路を形成するための溝が形成された(例えば、ポリサルフォン等の樹脂やガラス等からなる)天板が接合された構成となっている。
また、記録ヘッド用基板がシリコン基板からなることを利用して、発熱抵抗素子の他、発熱抵抗素子を駆動するためのドライバや、発熱抵抗素子の温度を測定する温度センサ及びその駆動制御部等が配されている基板も知られている(特許文献2参照)。
このように同一の基板上にドライバや駆動制御部などが配された記録ヘッドにおいては、駆動素子数に比べて遥かに少ない数しか配されていない温度センサを用いて、記録ヘッド全体としての温度変化を捉えて制御をかけるといった方法が採られている。
米国特許第4723129号明細書 特開平7−52387号公報
上述した温度センサを用いて取得した温度変化に基づいて制御をかける場合には、記録ヘッドの吐出状態を駆動素子毎に高速に判定する必要があるため、以下に示すような問題点があった。
まず、駆動素子数と同程度の数の温度センサからの出力をそのまま取り出すとなると、取り出しパッドの数が膨大になってしまい、記録ヘッド用基板のサイズが大きくなってしまう。
また、温度センサからの出力を選択的に取得するために選択回路を配置した場合であっても、駆動素子の駆動を考慮せずに、温度センサからの出力を取得するような構成においては、駆動に同期した温度変化を捉えることができない。また、温度変化を捉えることができたとしても、常に同じ温度センサを選択することになってしまう可能性がある。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録ヘッド用基板のサイズの大幅な増大を招かずに、発熱抵抗素子の駆動に同期した温度変化を取得できるようにした技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗素子それぞれに対応して温度検知素子が設けられた記録ヘッドを有し、該記録ヘッドに設けられた該複数の発熱抵抗素子を時分割駆動させて記録を行なう記録装置であって、記録対象となる画像データを記録する際の各発熱抵抗素子の駆動回数に基づいて、前記複数の発熱抵抗素子に駆動回数の多い順に優先順位を設定する優先順位設定手段と、前記発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を、前記優先順位の高い発熱抵抗素子から順番に、予め設定された検知処理時間内において取得する取得手段と、前記取得された温度検知素子からの出力それぞれに基づいて、発熱抵抗素子によるインクの吐出状態を判定する判定手段とを具備する。
本発明によれば、記録ヘッド用基板のサイズの大幅な増大を招かずに、発熱抵抗素子の駆動に同期した温度変化を取得できる。
本発明の一実施の形態に係わるインクジェット記録装置1の機能的な構成の一例を示す図。 記録ヘッド3に用いられる記録ヘッド用基板100の構成の一例を示す図。 記録ヘッド3に用いられる記録ヘッド用基板100の構成の一例を示す図。 温度検知素子93を有する温度検知回路の構成の一例を示す図。 温度検知動作のタイミングの一例を示す図。 記録ヘッド3における駆動回路の構成の一例を示す図。 記録ヘッド3による記録処理の概要を説明するための図。 記録ヘッド3による記録処理の概要を説明するための図。 図1に示すコントローラ600における機能的な構成の一例を示す図。 温度検知素子93の優先順位を決定する際の処理の概要を示す図。 温度検知素子93のタイミングチャートを作成する際の処理の概要を示す図。 温度検知素子93の温度変化の全体を捉える処理の概要を示す図。 タイミングチャートの作成処理の概要を示す図。 図1に示す記録装置1の処理の流れの一例を示すフローチャート。 実施形態2に係わる処理の概要を示す図。 実施形態3に係わる処理の概要を示す図。
以下、本発明に係わる記録装置及び処理方法の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
記録装置は、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであっても良いし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであっても良い。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であっても良い。
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固又は不溶化)に供され得る液体を表す。
図1は、本発明の一実施の形態に係わるインクジェット記録装置1の機能的な構成の一例を示す図である。
インクジェット記録装置(以下、記録装置と呼ぶ)1は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)3を所定方向に往復移動させて記録を行なう。
ここで、記録ヘッド3は、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用している。そのため、記録ヘッド3は、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱抵抗素子を備えている。発熱抵抗素子は、各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、対応する発熱抵抗素子に記録信号に応じたパルス電圧を印加する。これにより、対応する吐出口からインクが吐出される。
コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、A/D変換器606などを具備して構成される。
ROM602は、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。ASIC603は、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御を行なう。また、ASIC603は、記録ヘッド3を制御するための制御信号の生成も行なう。RAM604は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行なう。A/D変換器606は、後述するセンサ群から入力されるアナログ信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号をMPU601に供給する。
620は、スイッチ群であり、電源スイッチ621、プリントスイッチ622、回復スイッチ623などを具備して構成される。630は、装置状態を検出するためのセンサ群であり、位置センサ631、温度センサ632等から構成される。
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査に際して、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッド3に対して発熱抵抗素子(ヒータ)を駆動するためのデータを転送する。
キャリッジモータM1は、キャリッジを矢印A方向に往復走査させるための駆動源であり、キャリッジモータドライバ640は、キャリッジモータM1の駆動を制御する。搬送モータM2は、記録媒体を搬送するための駆動源であり、搬送モータドライバ642は、搬送モータM2の駆動を制御する。記録ヘッド3は、記録媒体の搬送方向と直交する方向(以下、走査方向と呼ぶ)に向けて走査される。具体的には、当該記録媒体に対して相対的に走査される。記録ヘッド3には、インクジェット記録ヘッド用基板(以下、記録ヘッド用基板と略す)100が設けられる。記録ヘッド用基板100は、コントローラ600から入力される記録データに基づいて記録ヘッド3を制御する。
また、610は、(記録対象となる)画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)であり、例えば、ホスト装置などと総称される。ホスト装置610と記録装置1との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等の授受が行なわれる。
ホスト装置610においては、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがインストールされており、当該ソフトにより画像データが生成される。この画像データは、記録装置1において、最終的に、記録ヘッド3のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)に対応するノズルの駆動/非駆動の制御を行なう1bitのデータに変換される。そして、当該データに基づいて記録処理が行なわれることになる。記録装置1においては、このデータの変換に際して、ページ全体の画像データからページ全体のイメージデータを作成した場合、メモリが逼迫してしまうため、イメージデータを複数のバンドに分割し、バンド単位に分割されたイメージデータを作成する。そして、バンド毎のイメージデータに基づいて記録処理を行なうことになる。
次に、図2(a)及び図2(b)を用いて、図1に示す記録ヘッド3に用いられる記録ヘッド用基板100について説明する。ここで、図2(a)は、記録ヘッド用基板100の平面の一例を示す図であり、図2(b)は、記録ヘッド用基板100の断面の一例を示す図である。なお、ここでは、ノズルの図示については省略している。
記録ヘッド用基板100では、Si基板91上に各層が積層される。Si基板91には、熱酸化膜SiO2等からなる蓄熱層92を介して、温度検知素子93が設けられる。温度検知素子93は、Al、AlCu、Pt、Ti、TiN、TiSi、Ta、TaN、TaSiN、TaCr、Cr、CrSiN、W等の薄膜抵抗体で形成される。また、Si基板91には、Al等の個別配線31や共通配線33の他、ヒータ95と制御回路とを接続するAl配線も形成されている。
温度検知素子93の上側には、層間絶縁膜94を介して、TaSiN等の発熱抵抗素子(ヒータ)95、SiO2等のパシベーション膜96、Ta等の耐キャビテーション膜97が半導体プロセスで高密度に積層されて形成される。
ここで、薄膜抵抗体で形成される温度検知素子93は、ヒータ95各々の直下に分離独立して配置される。より具体的には、温度検知素子93は、矩形形状を有し、ヒータ直下に分離して配置されている。ヒータ95と温度検知素子93との距離は、例えば、1μm程度となる。各温度検知素子93に接続される個別配線31及び共通配線33は、温度検知素子93の情報を検出する検出回路の一部として構成される。
このような積層の構成は、蓄熱層92上に、薄膜抵抗体で形成される温度検知素子93と、Al等の個別配線31及び共通配線33とを成膜し、パターンニングすることで作製される。そのため、従来の記録ヘッド構造を変えることなく、当該積層の構成を作製することができるので工業生産上も大きな利点を有する。
図3は、図2(a)に示す構成とは別の実施形態に係わる温度検知素子の形状の一例を示す平面図である。図2(a)では、矩形形状の温度検知素子93がヒータ直下に配置されていたのに対して、図3には、スネーク形状の温度検知素子93がヒータ直下に配置されている。
図2(a)に示す矩形形状の温度検知素子93では、層間絶縁膜94を介したヒータ95の形状を平坦に形成できるため、吐出の安定性を容易に確保できることになる。これに対して、図3に示すスネーク形状では、温度検知素子93の抵抗値を大きく設定することが容易になるため、より微小の温度変化を精度良く検出できるという利点が得られる。
図4は、温度検知素子93を有する温度検知回路の構成の一例を示す図である。
定電流源81は、定電流源Irefと、カレントミラーとで構成され、温度検知素子群82に定電流Isを供給する。
温度検知素子群82は、Seg1〜SegNのセグメントを備えている。各セグメントは、薄膜抵抗の温度検知素子Rs(93)と、温度検知素子93をオン/オフするMOSトランジスタからなる選択スイッチM1と、温度検知素子93の両端子電圧を読み出すMOSトランジスタの読み出しスイッチM2及びM3とを有している。各セグメントの読み出しスイッチM2及びM3は、共通配線L1及びL2に接続されている。
バッファアンプ83は、共通配線L1及びL2に出力される温度検知素子93の両端子電圧V1及びV2を高入力インピーダンスで受けてバッファする。なお、抵抗R5及びR6は、非選択時におけるバッファアンプ入力の電位固定用の抵抗器であり、その抵抗値は、高入力インピーダンスを妨げない抵抗値に設定されている。
差動アンプ84は、利得設定抵抗R1、R2、R3及びR4と、基準電圧Vrefと、バッファアンプとで構成される。差動アンプ84は、バッファアンプ83の出力を受けて温度検知素子Rsの端子間電圧を増幅する。
制御回路85は、各セグメントを選択するための選択信号S1〜Snを発生する。制御回路85においては、例えば、選択信号S1を出力することで選択スイッチM1をオンさせ、セグメントSeg1の温度検知素子Rsに定電流Isを導通させる。温度検知素子Rsには、温度に応じた端子電圧V1及びV2が発生する。そして、同時にオンされる読み出しスイッチM2及びM3を介して端子電圧V1及びV2が読み出される。端子電圧V1及びV2がバッファアンプ83を介して差動アンプ84に入力され、差動アンプ84において、基準電圧Vrefと利得Gとが与えられることにより、温度検知電圧Vsが得られる。ここで、温度検知電圧Vsは、以下の式で与えられる。
Vs=G(V1−V2)−Vref
なお、G=R3/R1、R1=R2、R3=R4である。
このようにしてセグメントSeg1の温度検知電圧が読み出される。なお、他のセグメントSegについても、上記同様に、選択信号Snの出力によってセグメントSegNが選択されることで温度検知電圧Vsが読み出される。
次に、図5を用いて、温度検知動作のタイミングの一例について説明する。温度検知動作は、ヒータの駆動に同期して行なわれる。
ここで、LT信号は、記録データをラッチに取り込むタイミングを示し、ヒータの時分割駆動に同期した信号である。HE信号は、ヒータ95への印加パルスの時間を規定する信号である。信号S1及びSnは、上述した選択信号S1〜Snを示しており、制御回路85から出力される。Vsは、制御回路85により選択された温度検知素子93に基づく温度検知電圧を示す。
(実施形態1)
ここで、実施形態1について説明する。実施形態1においては、記録ヘッド3には、32個の吐出口が設けられており、32ドット幅分のデータを1走査で記録する場合について説明する。温度検知素子93は、ヒータ各々に対応して設けられており、選択信号を入力することにより32個の温度検知素子93の中から1つが選択され、当該選択された温度検知素子93の出力が記録ヘッド3外へ出力される。
ここで、図6を用いて、記録ヘッド3(記録ヘッド用基板100)におけるインク吐出に係わる回路(駆動回路)の構成について説明する。
記録ヘッド3は、記録データに応じて同時駆動され得る駆動素子(ドライバ74)の最大数(すなわち、1時分割駆動単位に含まれるドライバ数)を8個とし、4回の時分割駆動を行なう構成を有している。
ヒータ95の駆動に際しては、まず、8ビットのデータを格納するラッチ76からのDATA(記録データ)信号とHE(ヒート)信号とがヒート回路75に入力される。なお、ラッチ76には、ラッチ(LT)信号のタイミングで、8ビットのシフトレジスタ77からDATA信号が入力される。
これら信号が入力されたヒート回路75は、当該信号を論理積する。そして、ヒート回路75からの当該論理積されたDATA信号とデコーダ73からのBE(ブロックイネーブル)信号とがドライバ74に入力される。すなわち、1時分割駆動単位に含まれるドライバ数に対応する8ビットのDATA信号と、4回の時分割駆動順を選択するための2ビットのBE信号との論理積によりヒータ95の駆動が制御される。
ドライバ74は、これら信号を論理積し、その結果に基づいて、対応するヒータ95に電圧を印加する。以上のような動作を繰り返し行なう。これにより、時分割駆動が実現される。
ここで、図7及び図8を用いて、記録ヘッド3による記録処理の概要について説明する。
図7には、記録ヘッド3の吐出口21と、イメージデータ19との概略図が示されている。イメージデータ19においては、説明を分かり易くするため、黒塗り部分22は画像情報を含む部分を示し、白抜き部分は画像情報を含まない部分を示している。
Bは、記録ヘッド3の吐出口21の模式を示しており、1走査で記録可能な幅を示す。上述した通り、記録ヘッド3の吐出口の数は32個であるため、Bは32ラスタ(1ラスタAは1ドットラインに相当)の幅を示す。1走査の記録幅C、つまり、駆動する回数は6回(6カラム)である。実施形態1においては、記録ヘッド3は、1時分割駆動単位で8個のヒータが駆動するので、4時分割で1列(1カラム)分の駆動を行なう。
このようなイメージデータ19を時分割駆動により記録する場合、図8に示すように、各タイミング毎に対応する吐出口からインクが吐出されることになる。ヒータの駆動順序は、BE1、BE2、BE3、BE4、BE5となっており、1カラム目のBE1信号が入力されるヒータが一番始めに駆動し、それに続いてBE2、BE3が順に駆動される。つまり、図8においては、左から右に向けて時間が流れていることになる。
ここで、上述した温度検知素子93は、イメージデータ19を記録媒体上に記録するタイミングに同期して選択される。そして、当該選択された素子93から出力される信号が温度検知電圧として取得される。このような温度検知動作は、例えば、記録ヘッド3の走査方向に沿って1走査の記録が行なわれる時間(検知処理時間)を単位として行なわれる。
次に、図9を用いて、図1に示すコントローラ600における機能的な構成の一例について説明する。
コントローラ600には、その機能的な構成として、画像処理部61と、時間設定部62と、優先順位設定部63と、検知温度取得部64と、吐出状態判定部66とが具備される。
画像処理部61は、ホスト装置610から受信したイメージデータに対して各種画像処理を行なう。画像処理部61においては、例えば、バンディング処理を行なう。より具体的には、イメージデータを複数のバンドに分割し、バンド毎のイメージデータを作成する。これにより、バンディング処理された2値の記録データが得られる。すなわち、各ノズル毎(画素毎)に駆動/非駆動を示す2値の駆動信号が得られる。なお、ホスト装置610からは、2値のデータが送られてくる形態であっても良いし、また、多値のデータが送られてくる形態であっても良い。
時間設定部62は、検知処理時間を設定する。検知処理時間とは、複数の温度検知素子からの検知温度の取得処理を行なう時間の単位を示す。詳細については後述するが、この検知処理時間毎に、ヒータに優先度が割り当てられ、当該優先度に基づいて対応する温度検知素子から検知温度が取得されることになる。なお、上述した通り、検知処理時間は、記録ヘッド3の走査方向に沿って1走査の記録が行なわれる時間に相当する。
優先順位設定部63は、バンディング処理された2値の記録データ(所定の記録領域内)に基づいて1走査で各ノズルが何回駆動するのかを示す駆動情報(すなわち、各ノズルの吐出デューティ)を取得する。そして、当該駆動情報に基づいて各ヒータ(の識別子)に優先順位を設定する。ここで、優先順位は、各ヒータに対応する温度検知素子93からの出力を取得する順番を示す。この優先順位は、1走査中の駆動回数が多いヒータから順番に割り当てられ、その割り当て結果は、優先順位レジスタ67に格納される。
検知温度取得部64は、優先順位レジスタ67に記憶されている優先順位の高いヒータから順番に、ヒータの駆動タイミングに合わせて、当該ヒータに対応する温度検知素子からの出力を取得する。検知温度取得部64には、タイミングチャート作成部65が設けられる。タイミングチャート作成部65は、温度検知素子93を選択する際のタイミングを規定するタイミングチャートを作成する。このタイミングチャートは、記録ヘッド3内の制御回路85に転送される。これにより、制御回路85においては、このタイミングチャートに従って選択信号S1〜S4を出力することになる。
吐出状態判定部66は、検知温度取得部64により取得された温度検知素子93からの出力(温度検知電圧)の温度波形(温度変化を示す波形)に基づいてインクの吐出状態を判定する。
次に、図10を用いて、図9に示す優先順位設定部63により温度検知素子93の優先順位を決定する際の処理の概要について説明する。
優先順位設定部63においては、まず、バンディング処理されたイメージデータ(バンド毎のイメージデータ)に基づいて、各ノズル(ドライバ74)が1走査で何回駆動するのかを示す駆動情報26を取得する。そして、1走査中の駆動回数が多い順番に、対応する温度検知素子93が優先して選択されるように、優先順位レジスタ67にヒータを識別する識別子を順に記憶していく。これにより、優先順位レジスタ67には、優先順位情報27が格納される。
イメージデータ19を参照すると、ノズル番号7(BE3、DATA1)が最も多く記録に使用されており、次いで、ノズル番号13(BE1、DATA3)、19(BE3、DATA4)、16(BE4、DATA3)と続いている。
このとき、ノズル番号13、16、19は、駆動回数が同じであるが、データの入力順に従って優先順位が付けられている。つまり、温度検知素子93の優先順位を決定する際には、第1指標を駆動回数とし、第2指標をBE信号の入力順とし、第3指標をDATA信号の入力順とする。なお、この指標は、適宜変更しても良く、第2指標をDATA信号にし、第3指標をBE信号にするなどしても良い。
次に、図11を用いて、図9に示すタイミングチャート作成部65により温度検知素子93の選択タイミングを示すタイミングチャートを作成する際の処理の概要について説明する。
タイミングチャート作成部65は、検知処理時間内において、優先順位レジスタ67に記憶されている最上位のヒータが駆動するタイミングに合わせて、当該最上位のヒータに対応する温度検知素子93が選択されるようにタイミングチャート28に書き込む。なお、信号29は、上述したDATA信号、HE信号、LT信号等に基づいて規定される駆動信号を示している。ヒータ95の駆動は、この駆動信号に従って行なわれる。
実施形態1においては、温度検知素子93からの信号の出力は、同じタイミングでは1信号なので、いずれかの温度検知素子93からの信号を選択している間は選択スイッチM1を切り替えない。この時間の間は、他の温度検知素子への選択の切り替えを禁止にする。
ここで、ヒータ95と温度検知素子93との距離が1μm程度の場合、1回の吐出駆動で検出される温度変化は、図12(a)に示す状態となる。具体的には、ヒータ95の温度は、駆動信号が入力されてから急激に上昇し、信号入力後、2.0μs位で最高到達温度まで達した後は急激に下降していく。そして、信号入力後、8.0μs位で温度の降下速度が変化する現象が顕われる。なお、この特徴的な現象が現れる時間は、ノズルの形状や記録ヘッドの構成材料の物性により変わることが知られている。
ここで、図12(b)を用いて、この温度変化全体を捉える処理の概要について説明する。ここでは、説明を分かり易くするため、この温度変化全体を捉える場合についての検知処理時間の設定処理について説明する。
温度変化全体を捉える場合、駆動信号が入力されてから10.0μsの間、選択スイッチM1を切り替えることができない。そのため、選択された温度検知素子93に対応するヒータ95が駆動するタイミングの前後10.0μs、すなわち、20.0μsを切替禁止(切替禁止時間)にする。ここで、駆動前も切替禁止にするのは、仮に、現在選択されている温度検知素子の2.0μs前に別の温度検知素子が選択されていたとすると、信号出力が重複してしまうという問題が起こるためである。
このようにしていずれかの温度検知素子を選択するようにタイミングチャートに書き込むとともに、次のタイミングで選択する温度検知素子については、上記切替禁止時間を考慮して、タイミングチャートに書き込みを行なう。
そして、検知処理時間内において可能な限り、温度検知素子の選択を切り替えるタイミングをタイミングチャートに書き込んでいく。具体的には、検知処理時間において、次に優先順位の高い温度検知素子を選択する時間が残っていれば、図13に示すように、当該次に優先順位の高い温度検知素子についてのタイミングを上記同様にして追加書き込みする。ここで、符号42は、切替禁止時間を示しており、符号23は、検知処理時間の残り時間を示している。
次に、図14を用いて、図1に示す記録装置1における処理の流れの一例について説明する。ここでは、温度検知素子93を選択する際の処理の流れについて説明する。
この処理が開始すると、記録装置1は、時間設定部62において、検知処理時間を設定する(S101)。上述した通り、記録ヘッド3の走査方向に沿って1走査の記録が行なわれる時間を検知処理時間として設定する。
続いて、記録装置1は、優先順位設定部63において、バンド毎のイメージデータ(2値の記録データ)の記録に際して、1走査で各ノズルが何回駆動するのかを示す駆動情報に基づいて各ヒータ(の識別子)に優先順位を設定する(S102)。すなわち、ノズル毎の吐出デューティを比較し、当該吐出デューティの高い順に各ヒータの識別子に優先順位を設定する。
記録装置1は、タイミングチャート作成部65において、タイミングチャートの作成を行なう。タイミングチャートの作成に際しては、まず、検知処理時間内において、優先順位の最も高いヒータの駆動タイミングに合わせて、対応する温度検知素子が選択されるようにタイミングチャートに書き込む(S103)。そして、当該選択した温度検知素子の優先順位を最下位に変更するとともに(S104)、当該温度検知素子が選択されるタイミングの前後所定時間(実施形態1においては、20.0μs)を切替禁止時間に設定する。
その後、記録装置1は、タイミングチャート作成部65において、検知処理時間内に他の温度検知素子を選択する時間が残っているか否かを判定する(S106)。そして、残り時間がある限り(S107でYES)、記録装置1は、上述したS103〜S106の処理を繰り返し行なう。
一方、残り時間がなければ(S107でNO)、タイミングチャートの作成処理が終わる。そして、タイミングチャートが記録ヘッド3の制御回路85に送られるとともに、イメージデータに基づく駆動データが記録ヘッド3の駆動回路(図6参照)に送られ、吐出動作と温度検知動作とが同期して行われる。
これにより、記録ヘッド3の制御回路85は、当該作成されたタイミングチャートに従って、温度検知素子93を切り替えて選択するための選択信号の出力を行なう。また、この選択信号の出力は、各ヒータの駆動に同期して行なわれる。そして、記録装置1は、吐出状態判定部66において、温度検知素子93からの温度検知電圧を順次取得し、その温度波形に基づいてインクの吐出状態を判定する(S108)。
以上説明したように実施形態1によれば、ヒータの駆動回数(吐出デューティ)に基づいて温度検知素子の選択順序を決定するため、記録ヘッド用基板のサイズの大幅な増大を招かずに、発熱抵抗素子の駆動に同期した温度変化を取得できる。これにより、例えば、画像欠陥の原因となる吐出異常ノズルを早い段階で検出することができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態1と相違する点としては、記録ヘッドの構成が挙げられ、実施形態2においては、記録ヘッドがマルチ記録ヘッドである場合について説明する。すなわち、実施形態2においては、記録ヘッドが複数設けられる。
ここで、マルチ記録ヘッドにおいては、複数の記録ヘッドがノズル配置方向に沿って複数配置されている。そして、記録に際しては、マルチ記録ヘッドをノズル配置方向と直交する方向(記録媒体の搬送方向)に走査させることで一度の走査で複数行の記録を同時に行なう。ここで、各記録ヘッドには、例えば、32個の吐出口がそれぞれ設けられている。
図15を用いて、実施形態2に係わる処理の概要について説明する。ここで、図15には、イメージデータ45の記録に際して、各記録ヘッド(この場合、記録ヘッドは、4つ)による記録処理を時分割時間毎に示す概要が示される。なお、黒塗り部分は画像情報を含む部分を示し、白抜き部分は画像情報を含まない部分を示している。
図15に示すように、複数(この場合、4つ)の記録ヘッド46〜49が、ノズル配置方向に沿って複数配置されている。そして、記録ヘッド46〜48各々において、符号50〜53に示す時分割駆動が行なわれることによりイメージデータ45が記録媒体上に記録される。
ここで、温度検知素子からの出力(温度検知電圧)は、同じタイミングでは、1つの記録ヘッドから1信号得られる。そのため、記録ヘッドが4つ設けられる場合、検知温度取得部64においては、同じタイミングで温度検知素子からの出力が4つ得られることになる。なお、画像処理部61において、各ノズルに対応した2値の記録データを記録ヘッド毎に生成した後は、基本的に、実施形態1と同様の処理を行なえば良い。
以上説明したように実施形態2によれば、マルチ記録ヘッドの場合にも、実施形態1同様の処理が行なえる。すなわち、実施形態2の構成においても、記録ヘッド用基板のサイズの大幅な増大を招かずに、発熱抵抗素子の駆動に同期した温度変化を取得できることになる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、イメージデータに基づく記録を行なう前の予備動作中に上述した温度検知動作を行なう。なお、予備動作では、一般に、イメージデータに基づく記録処理を行なう前に吐出口内のインク粘度上昇による吐出不良状態を改善するために、数回吐出動作が行なわれる。
ここで、図16を用いて、予備動作中に温度検知動作を行なう場合について説明する。
予備動作中においては、符号30に示すように、全てのノズルからインクを吐出することになる。ここで、符号25は、予備動作後に記録を行なうイメージデータを示している。実施形態3においては、このイメージデータ25を記録する際の駆動情報に基づいて各ノズルに優先順位を設定する。そして、予備動作中に、当該優先順位に基づいて、対応する温度検知素子からの出力を取得する。最後に、その温度波形に基づいて吐出状態の判定を行なう。この場合、検知処理時間として、符号23に示す時間が設定される。
以上説明したように実施形態3によれば、予備動作中に温度検知動作を行なう。これにより、記録処理の開始に先立って、吐出状態の判定が行なえることになる。
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
例えば、上述した実施形態1〜3においては、各記録ヘッドにつき温度検知素子からの出力を同時に1出力取得できる場合について説明したが、記録ヘッド用基板のサイズが許すのであれば、1出力に限られず、同時に複数出力を取得できても良い。
また、例えば、上述した実施形態1〜3においては、発熱抵抗素子(ヒータ)それぞれに対応して温度検知素子が設けられる場合について説明したが、全ての発熱抵抗素子に対応して温度検知素子が設けられる必要はない。
また、例えば、上述した実施形態1〜3においては、バンド毎のイメージデータに基づいて各ノズルの駆動情報(吐出デューティ)を取得していたが、これに限られない。例えば、記録対象となるイメージデータ全体から駆動情報を求めても良い。
また、例えば、上述した実施形態1〜3においては、検知処理時間内において可能な限り温度検知素子の選択を切り替えるタイミングをタイミングチャートに書き込む場合について説明したが、これに限られない。例えば、検知処理時間内において予め決められた所定数の温度検知素子の選択を切り替えるタイミングをタイミングチャートに書き込み、それに従って検知温度を取得するようにしても良い。

Claims (7)

  1. インクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗素子それぞれに対応して温度検知素子が設けられた記録ヘッドを有し、該記録ヘッドに設けられた該複数の発熱抵抗素子を時分割駆動させて記録を行なう記録装置であって、
    記録対象となる画像データを記録する際の各発熱抵抗素子の駆動回数に基づいて、前記複数の発熱抵抗素子に駆動回数の多い順に優先順位を設定する優先順位設定手段と、
    前記発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を、前記優先順位の高い発熱抵抗素子から順番に、予め設定された検知処理時間内において取得する取得手段と、
    前記取得された温度検知素子からの出力それぞれに基づいて、発熱抵抗素子によるインクの吐出状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする記録装置。
  2. 前記記録対象となる画像データに対してバンディング処理することによりバンド単位に分割されたデータを生成する画像処理手段
    を更に具備し、
    前記優先順位設定手段は、
    前記バンド単位に分割されたデータに基づいて各発熱抵抗素子の駆動回数を示す駆動情報を取得し、該駆動情報に基づいて前記優先順位の設定を行なう
    ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  3. 前記取得手段は、
    前記発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を、前記優先順位の高い発熱抵抗素子から順番に、前記検知処理時間内において可能な限り取得する
    ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  4. 前記取得手段は、
    前記発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を選択させるためのタイミングチャートを作成する作成手段
    を具備し、
    前記記録ヘッドは、
    前記タイミングチャートに従って複数の温度検知素子のいずれかからの出力を選択する制御回路
    を具備することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  5. 前記記録ヘッドは、複数設けられており、
    前記優先順位設定手段、前記取得手段及び前記判定手段による処理は、複数の記録ヘッドそれぞれに対応して行なわれる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置。
  6. 前記優先順位設定手段、前記取得手段及び前記判定手段による処理は、前記記録対象となる画像データを記録する前に行なわれる予備動作中に行なわれる
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. インクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱抵抗素子それぞれに対応して温度検知素子が設けられた記録ヘッドを有し、該記録ヘッドに設けられた該複数の発熱抵抗素子を時分割駆動させて記録を行なう記録装置の処理方法であって、
    優先順位設定手段が、記録対象となる画像データを記録する際の各発熱抵抗素子の駆動回数に基づいて、前記複数の発熱抵抗素子に駆動回数の多い順に優先順位を設定する工程と、
    取得手段が、前記発熱抵抗素子の駆動タイミングに合わせて対応する温度検知素子からの出力を、前記優先順位の高い発熱抵抗素子から順番に、予め設定された検知処理時間内において取得する工程と、
    判定手段が、前記取得された温度検知素子からの出力それぞれに基づいて、発熱抵抗素子によるインクの吐出状態を判定する工程と
    を含むことを特徴とする処理方法。
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