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二次電池用電極及び電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合剤層の塗工量のバラツキにより、プレス後の合剤膜厚が不均一になる場合がある。集電体上に形成される合剤の膜厚均一性が高く、且つ容易に任意膜厚に調整可能なリチウムイオン二次電池用電極板を提供する。
【解決手段】集電体上に形成される合剤層に球状のスペーサ粒子を添加し、この粒径を制御することで任意の合剤膜厚を得るものである。スペーサ粒子の添加により、塗工後の合剤膜厚バラツキの影響を受けにくく、プレス後に均一な膜厚の合剤層を得ることができる。スペーサ粒子の平均粒径は、合剤層の膜厚tに対し、t−8μmからt−12μmの範囲であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車等に搭載される二次電池の電極に関する。
地球温暖化や枯渇燃料の問題から電気自動車(EV)や駆動の一部を電気モーターで補助するハイブリッド電気自動車(HEV)が各自動車メーカーで開発され、その電源として高容量で高出力な二次電池が求められるようになってきた。このような要求に合致する電源として、高電圧を有する二次電池が注目されている。
車両用の二次電池は大電流を流すため、その内部抵抗を低減するため、集電体上に形成される合剤層の導電性を向上し、且つ集電体と合剤の密着力を向上する必要がある。このため、合剤膜厚の均一性,導電性を向上する技術(特許文献1)(特許文献2)や、集電体と合剤層の密着力を向上する技術(特許文献3)が提案されている。
特開2006−107779号公報 特開2006−252945号公報 特開2008−21453号公報
特許文献1乃至3に記載された技術を用いた場合であっても、集電体に合剤層を形成した場合、塗工量のバラツキが大きい。そこで、所定の膜厚にプレスするために、事前にプレス圧力に対する合剤厚みを測定し、その検量線から所定の膜厚が得られるプレス圧を算出する工程を有する。この方法では、事前の条件出しが必要であり、材料ロス,装置稼働率の低下を生ずる。
そこで本発明の課題は、製造時の事前のプレス条件出しを不要とする電極及び電極の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する本願発明の特徴は、電極合剤中に、所定の粒径のスペーサ粒子を混合したことにある。集電体上にスペーサ粒子を含む電極合剤を塗布し、塗布された合剤層を乾燥,プレスして、正極合剤層を形成する。
上記構成によれば、容易に合剤層を所定の膜厚にプレスすることができ、材料ロスをなくすとともに、装置稼働率を向上させる。
スペーサ粒子を有する電極の製造工程模式図である。 円筒形二次電池の構造を示す分解斜視図である。 円筒形二次電池の構造を示す断面図である。 電極の作製工程を示すフロー図である。 実施例1における、所定の合剤厚みにプレスするための、塗工量に対するプレス圧力の関係図。 プレスされた合剤層のスペーサ粒子の周辺部の拡大図である。 比較例1における所定の合剤厚みにプレスするための塗工量に対するプレス圧力の関係図。
以下、本発明の詳細を説明する。集電体上に形成された合剤層中に、所定粒径の球状粒子を添加しておくと、粒子がプレス時にスペーサとなるため、塗工量バラツキの影響を受けずに、事前の条件出し無しに、一定圧力で合剤層を所定の膜厚にプレスすることができる。プレスは、スペーサ粒子の粒径(a)に対し、所定の膜厚(約a+10μm)となる圧力で実施する。つまり、スペーサ粒子の粒径は、目標膜厚tに対しt−10μm前後、t−8μmからt−12μmが好ましい。その結果、塗工量のバラツキの影響を受けずに、一定のプレス圧で、合剤層を所定の膜厚にプレスすることができる。
合剤層の塗布量を厳密に調整することは難しく、合剤層を塗工,乾燥させた後の塗工量バラツキが大きい。そこで通常は、所定の最終的な電極合剤層の厚みをプレスにより達成するため、事前に塗布量に応じたプレス圧力と合剤厚みとを測定し、その検量線から所定の膜厚が得られるプレス条件を算出している。つまり、従来の方法では、塗布量に応じたプレス条件の検討と、その結果に応じたプレス加工が必要となる。このような事前の条件出しにより、材料ロス,装置稼働率の低下を生ずる。本発明の手法によれば、事前のプレス条件出し作業を不要にできる。その結果、この材料ロスを低減し、装置稼働率の向上が可能となる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、電極の製造工程、及び得られる電極の構造を示す断面図である。薄板状の集電体22の両面に、球状のスペーサ粒子21を混合した電極合剤20を塗布し、乾燥させる。乾燥により合剤層の厚みは小さくなる。さらにその後、プレス工程を行い、所望の厚みの電極を得る。プレス後の拡大図で示されるとおり、電極合剤層20には、活物質23,導電助剤,バインダなどとともに球状のスペーサ粒子21が混合されている。使用されるスペーサ粒子は、屈曲などに対する局所的な変形、特に面方向の変位を抑制・防止できるものであれば、いずれの材料が用いられてもよい。
スペーサ粒子として、具体的には、正負極の活物質として使用される材料、もしくは、電極の機能に影響のない安定な物質を使用することができる。正極合剤に使用されるスペーサ粒子としては、AgO,MnO2,PbO2,V25,MoO3等の金属酸化物や、MoS,VS2,TiS2等の金属硫化物、LiCoO2,LiNiO2,LiMnO2等のリチウム繊維金属酸化物などが例示される。また、負極合剤に使用されるスペーサ粒子としては、通常使用される負極の電極活物質、特にカーボン,グラファイト,金属酸化物,リチウム−金属複合酸化物などが例示される。合剤層に球状のスペーサ粒子を添加することで、これをプレス時のスペーサとし、塗工量バラツキの影響を受けずに、一定のプレス圧で所定の合剤厚みにすることができる。
スペーサ粒子は、電極合材層の目標とする厚みに合わせて選択する。電極合材層のプレス時における流動性,プレス圧力によるが、スペーサ粒子の粒径は、最終的な合材層の膜厚tに対しt−1〜t−20μmの範囲とする。特に、t−8〜t−12μmの範囲とすることが望ましい。流動性の高い合剤層を使用する場合には、粒径の小さいスペーサ粒子、流動性の低い合剤層を使用する場合は、粒径の大きいスペーサ粒子を使用する。好ましいスペーサ粒子の大きさは10〜30μm程度である。なお、スペーサ粒子は、細かい一次粒子が集合した二次粒子ではなく、粗い一次粒子である必要がある。二次粒子径がスペーサ粒子と同等の大きさがあったとしても、プレス圧により小さくなり、スペーサ粒子としての機能が得られにくい。
スペーサ粒子は、電極合剤層中に1〜2wt%程度混合されていることが好ましい。少ないと、プレスした場合に所定の合剤厚みとする効果が少なく、多すぎると相対的に活物質量が減少するため電極の特性が低下する。
図2は、車載用二次電池の1つである円筒形リチウムイオン二次電池の構造を示す分解斜視図である。図1は、図2において正極合剤16,負極合剤17に位置する部分である。正極電極14は、アルミニウム等の金属薄膜よりなる集電体の両面に正極合剤16が塗布されたものである。正極電極14の図中上方の長辺部には、正極タブ12が複数設けられている。負極電極15は銅等の金属薄膜よりなる集電体を備え、両面に負極合剤17が塗布されている。負極電極15の図中下方の長辺部には負極タブ13が複数設けられている。
これらの正極電極14と負極電極15を、多孔質で絶縁性を有するセパレータ18を介して積層し、樹脂製の軸芯7の周囲に捲回し、最外周のセパレータをテープ19で止めて電極群8を構成する。この際、軸芯7に接する最内周はセパレータ18である。また、最外周は負極電極15を覆うセパレータ18である。管状の軸芯7の両端には正極集電部品5と負極集電部品6が嵌め合い構造により固定されている。正極集電部品5には正極タブ12が、例えば、超音波溶接法により溶接されている。同様に負極集電部品6には負極タブ13が、例えば、超音波溶接法により溶接されている。負極の端子を兼ねる電池容器1の内部には、樹脂製の軸芯7を軸として捲回された電極群8に、正極,負極の集電部品5,6が取り付けられて、収納されている。この際、負極の集電部品6は負極リード(図示せず)を介して電池容器1に電気的に接続される。その後、非水電解液が電池容器1内に注入される。
電池容器1と上蓋ケース4との間にはガスケット2が設けられ、このガスケット2により電池容器1の開口部を封口するとともに電気的に絶縁する。正極集電板5の上には電池容器1の開口部を封口するように設けられた電導性を有する上蓋部があり、上蓋部は上蓋3と上蓋ケース4からなる。上蓋ケース4に正極リード9の一方が溶接され、他方が正極集電部品5に溶接されることによって上蓋部と電極群8の正極が電気的に接続される。
正極合剤16は、正極活物質と、正極導電材と、正極バインダとを有する。正極活物質は、リチウム酸化物が好ましい。リチウム酸化物の例としては、コバルト酸リチウム,マンガン酸リチウム,ニッケル酸リチウム,リン酸鉄リチウム,リチウム複合酸化物(コバルト,ニッケル,マンガンから選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)、などが挙げられる。
正極導電材は、正極合剤中におけるリチウムイオンの吸蔵放出反応で生じた電子の正極電極への伝達を補助できる物質を使用できる。正極導電材の例としては、黒鉛やアセチレンブラックなどが挙げられる。
正極バインダは、正極活物質と正極導電材を一体化するとともに、正極合剤を正極集電体に結着させるものである。バインダとしては、非水電解液との接触により、大幅に劣化しないものを使用する。正極バインダの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。
負極合剤17は、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とを有する。また、適宜アセチレンブラックなどの負極導電材を混合しても良い。負極活物質としては炭素材を使用する。特に、大容量が要求されるプラグインハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池では黒鉛炭素を用いることが好ましい。
前記正極合剤層,負極合剤層の形成方法は、前記集電体上に前記合剤層が形成される方法であれば制限はない。集電体上に正極,負極合剤層を形成する方法の例として、電極合剤を構成する物質を溶媒に混合,分散させた分散溶液を集電体上に塗布,乾燥する方法が挙げられる。塗布方法としては、ロール塗工法,スリットダイ塗工法などがある。分散溶液の溶媒として、N−メチルピロリドン(NMP)や水を使用できる。正極,負極合剤の塗布厚さは適宜設計される。例えば正極合剤層,負極合剤層を集電体上に片側約40〜80μmの厚さで塗布する。
非水電解液としては、電解質としてリチウム塩、溶媒としてカーボネート系溶媒を使用することが好ましい。リチウム塩として、フッ化リン酸リチウム(LiPF6),フッ化ホウ酸リチウム(LiBF6)などが挙げられる。また、カーボネート系溶媒として、エチレンカーボネート(EC),ジメチルカーボネート(DMC),プロピレンカーボネート(PC),メチルエチルカーボネート(MEC)など、もしくはこれらの混合溶媒を使用できる。
図3は円筒型電池の概略断面図を示す。樹脂製の軸芯7の周囲に捲回された電極群8には、正極,負極の集電部材5,6が取り付けられて、電池容器1内に収納されている。電極群8のうち、負極の電極は負極の集電板6に溶接等で接続され、負極のリード10を介して、電池容器1に電気的に接続されている。電池容器1内に電極群8と正極,負極の集電部材5,6が収納された後、軸芯7の中央に溶接冶具を通して、電池容器1の缶底と負極のリード10を溶接する。その後、電池容器1内に電解液が注入される。正極の集電板5の上には電池容器1の開口部を封口するように設けられた電導性を有する上蓋部があり、上蓋部は上蓋3と上蓋ケース4からなる。上蓋ケース4に正極リード9の一方が溶接され、他方が正極集電部品5に溶接されることによって上蓋部と電極群8の正極が電気的に接続される。電池容器1と上蓋ケース4との間にはガスケット2が設けられ、このガスケット2により電池容器1の開口部を封口するとともに電池容器1と上蓋ケース4とを電気的に絶縁する。これにより、二次電池11が構成される。
図4に電極作成工程のフローを示す。この工程フローは、正極合剤,負極合剤共に同様である。スラリー原料として、活物質,導電体,バインダ樹脂,球状粒子スペーサを溶剤に加え、それらが均質に分散するように混練する。次に、集電体上にスラリーを塗工,乾燥し、最後にプレスを行い、集電体上に所定の膜厚の合剤層を得る。本実施例によれば、塗工量と必要なプレス圧力との関係を事前に測定し、検量線を引く工程が不要であり、事前のプレス圧の確認のみで電極合剤層のプレスを実施することが可能である。
以下に本発明の実施例として、負極活物質層にスペーサ粒子を混合した非水電解液二次電池用負極を作製した。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
負極活物質(90wt%)と、負極バインダ(5wt%)と、増粘剤(5wt%)を負極合剤の構成物質とし、NMP中に分散させ、負極スラリーを作製した。固形分比は50wt%とした。この負極スラリー中に、平均粒径30μm(CV値=7%,CV値=(標準偏差)/平均粒径×100)の導電性カーボンからなる球状粒子スペーサを、合剤重量に対して2wt%添加し、プラネタリーミキサーで分散させた。
この負極スラリーを、ロール塗工法を用い、塗布量を77〜79.5g/cm2の範囲で変え、負極集電体上に塗工した。塗布された負極合剤層について乾燥させた後、所定の合剤厚み(40μm)にするために必要なプレス圧力を測定した。表1,図5に測定の結果を示す。
Figure 2012059583
スペーサ粒子を混合した負極合剤層は、各塗工量において、ほぼ一定のプレス圧力で所定の合剤厚みとすることが可能であった。すなわち、塗工量のバラツキがあっても、所定のプレス圧力で所定の合剤厚みを得ることができた。
図6にプレス後の負極合剤層の模式図を示す。スペーサ粒子の平均粒径を30μmとすることで、所定の膜厚(40μm)にプレスした際に、球状粒子の膜厚方向の上,下に合計10μmの合剤層が形成されている。これは、図1に示すように、スラリーからの乾燥収縮が大きいため、プレス前球状粒子の大部分で、膜厚方向の上下に合剤層が形成される。その後、400N/cmまでのプレス圧では、プレスによる収縮時に、球状粒子の膜厚方向に存在する合剤層が、無くなるまで流動しないためである。本実施例においては、スペーサ粒子の上下には10μm程度の活物質、バインダ等が残留するため、目標とする合剤層厚み(t)に対し、スペーサ粒子径をt−10前後、t−8μmからt−12μmの範囲とすることが好ましかった。
(比較例)
図7は、上記実施例と同様に、スペーサ粒子を混合していない負極合剤層の塗工量と、所定の膜厚(40μm)を得るためのプレス圧との関係を示す図である。このように小さな塗工量変化に対して、必要なプレス圧が大きく変化する。現状の塗工・乾燥技術では、塗工量バラツキは、±2gと大きい。従って、スペーサ粒子を混合していない場合には、プレス圧の事前確認作業(塗工量と必要なプレス圧力との関係を事前に測定し、検量線を引く工程)が必要となる。
1 電池缶
2 ガスケット
3 上蓋
4 上蓋ケース
5 正極集電部品
6 負極集電部品
7 軸芯
8 電極群
11 二次電池
12 正極タブ
13 負極タブ
14 正極電極
15 負極電極
16 正極合剤
17 負極合剤
18 セパレータ
19 テープ
20 合剤層
21 スペーサ粒子
22 集電体
23 活物質

Claims (5)

  1. セパレータと、前記セパレータを介して配置される一対の電極とを有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記電極は、集電体と、前記集電体の表面に形成された合剤層とを有し、前記合剤層は、スペーサ粒子を含み、前記スペーサ粒子の平均粒径は、合剤層の膜厚tに対し、t−8μmからt−12μmの範囲であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池であって、
    前記スペーサ粒子は、SiO2,TiO2,Al23,アセチレンブラック,黒鉛の少なくともいずれかであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池であって、
    前記集電体は、アルミニウムまたは銅よりなることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池であって、
    前記スペーサ粒子は、前記活物質を構成する物質よりなることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 集電体上に電極合剤を塗布し、塗布された合剤層をプレスして形成するリチウムイオン二次電池の電極の製造方法であって、
    前記電極合剤はスペーサ粒子を含み、
    前記プレスは、前記スペーサ粒子の粒径(a)に対し、膜厚がa+10μmとなる圧力で実施することを特徴とする電極の製造方法。
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