JP2011526292A - 神経線維腫および関連する腫瘍を抑制および/または治療する物質および方法 - Google Patents

神経線維腫および関連する腫瘍を抑制および/または治療する物質および方法 Download PDF

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Abstract

NF1癌抑制遺伝子における生殖系の変異は、叢状神経線維腫の発生を特徴とする神経系の一般的な遺伝疾患である、フォンレックリングハウゼンの神経線維腫症1型(NF1)を引き起こす。本発明者らは、造血細胞の養子移入を用いて、腫瘍微小環境における骨髄由来細胞のNF1ヘテロ接合性がシュワン細胞の完全欠損性に関する神経線維腫を進行させるのに十分であることを示す。さらに、造血細胞におけるc−kitシグナル伝達経路の遺伝的または薬理学的な減衰は、神経線維腫の初発および進行を大きく低減させる。これらの試験により、叢状神経線維腫を予防するための治療標的としてハプロ不全性の造血細胞およびc−kit受容体が同定され、肥満細胞が腫瘍発生の重要な媒介因子として関係していることが示されている。

Description

政府の権利に関する記述
本発明の開発の一部は、助成金番号NS052606のもとでNIHから、助成金番号W81XWH−05−1−0185のもとで国防総省から、政府の支持を受けて行われた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
優先権主張
本出願は、2008年6月27日出願の米国仮特許出願第61/076,185号および2008年10月8日出願の米国仮特許出願第61/103,650号についての利益を主張し、これらの仮特許出願はいずれも、それぞれ個別にその全体が参照により本明細書に組み込まれているかのごとく、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書に開示の多様な態様および実施形態は、一般には、例えば神経線維腫のような、腫瘍の形成を特徴とする疾患のモデル化、治療、予防および診断に関する。
NF1癌抑制遺伝子の変異は、米国、ヨーロッパ、日本のみで約250,000名の患者に影響を及ぼしている、一般的で広範に広まったヒトの遺伝疾患である神経線維腫症1型(NF1)を引き起こす。NF1遺伝子は、少なくとも部分的にp21rasのGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)として機能する320キロダルトンのタンパク質であるニューロフィブロミンをコードしている。ニューロフィブロミンは、脊椎動物種間で高度に保存されており、酵母およびショウジョウバエのそれに相当するものと高い相同性を有する。
NF1個体は、NF1患者のうちのあわせて25〜40%に影響を及ぼしている叢状神経線維腫を含む、広範囲にわたる悪性および非悪性の症状発現を示し、これらの神経線維腫は、生涯罹患率および死亡率の主要な原因である。この状態がこの変異を有する人に負の影響を与えること、ならびにこの状態および関連状態に対する有効な治療法がないことから、この状態に対するさらなる治療法の必要性が差し迫っている。本明細書に開示の多様な態様および実施形態は、この必要性に対処している。
いくつかの実施形態は、式1による化合物:
[式中、Rは、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ置換フェニルもしくはアミノ−低級アルキル置換フェニル(前記アミノ基はそれぞれの場合において、遊離しているか、またはアルキル化もしくはアシル化されている)、5員環炭素原子で結合している1H−インドリルもしくは1H−イミダゾリル、または環炭素原子で結合しており、窒素原子において非置換もしくは酸素で置換されている非置換ピリジルもしくは低級アルキル置換ピリジルであり、RおよびRは、それぞれ他とは独立して水素または低級アルキルであり、
基R、R、R、RおよびRのうちの1個または2個は、それぞれ、ニトロ、フルオロ置換低級アルコキシまたは式IIの基−N(R)−C(=X)−(Y)−R10 (II)
[式中、Rは、水素または低級アルキルであり、Xは、オキソ、チオ、イミノ、N−低級アルキル−イミノ、ヒドロキシミノ(hydroximino)またはO−低級アルキル−ヒドロキシミノであり、Yは、酸素または基NHであり、nは、0または1であり、R10は、少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族基、または芳香族、芳香族−脂肪族、脂環式、脂環式−脂肪族、複素環もしくは複素環−脂肪族の基である]であり、残りの基R、R、R、RおよびRは、それぞれ他とは独立に、水素、非置換低級アルキルまたは遊離しているかもしくはアルキル化されたアミノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはモルホリニルによって置換されている低級アルキル、または低級アルカノイル、トリフルオロメチル、遊離もしくはエーテル化もしくはエステル化(esterifed)ヒドロキシ、遊離もしくはアルキル化もしくはアシル化アミノ、または遊離もしくはエステル化カルボキシである]、または少なくとも1個の塩形成基を有するこうした化合物の塩の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む、ある種の神経線維腫症、例えば叢状神経線維腫を有する患者を治療する方法を含む。
いくつかの実施形態において、この化合物は式1の薬学的に許容できる塩であり、いくつかの実施形態において、この式1の薬学的に許容できる塩はメシル酸塩である。
他のいくつかの実施形態は、叢状神経線維腫または同様の状態を有する患者を診断するステップをさらに含む。さらに他の実施形態は、叢状神経線維腫または同様の状態を生じるリスクにある患者を同定するステップを含む。
いくつかの実施形態において、式1による化合物の治療上有効な用量は、約200mg〜約500mgであり、該化合物のこの用量は患者に少なくとも1日1回投与される。さらに他の実施形態では、式1による化合物の治療上有効な用量は、約350mg〜約450mgであり、該化合物のこの用量は患者に少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、約400mgの式1による化合物の治療上有効な用量を患者に1日当たり2回治療する。
いくつかの実施形態は、式2による化合物:
の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む、ある種の神経線維腫症、例えば叢状神経線維腫を有する患者を治療することを含む。
さらに他の実施形態は、式3による化合物:
の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む、ある種の神経線維腫症、例えば叢状神経線維腫を有する患者を治療する方法を含む。
さらに他の実施形態は、ある種の神経線維腫症、例えば叢状神経線維腫を有する患者を治療する医薬品の調製のための、式(1)、(2)または(3)による少なくとも1種の化合物または薬学的に許容できるその塩の使用を含む。
本開示の実施形態についての以下の説明を、添付の図面、図、模式図、および式などとあわせて参照することにより、本開示の上記の態様およびこれらを達成する方法はより明らかになり、その態様がよりよく理解されるであろう。
対応する参照符号は、いくつかの図にわたって対応する部分を示すために使用している。
造血微小環境の役割を調査するための戦略の模式図である。 蛍光サイトメトリーを用いて作製した追跡図である。Nf1+/−骨髄は、Krox20;Nf1flox/floxマウスおよびKrox20;Nf1flox/−マウスにおける叢状神経線維腫形成に必要である。 時間(x軸)の関数としてのパーセント生存率(y軸)のカプランマイヤープロットを示す図である。Nf1+/−またはWTの骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスおよびKrox20;Nf1flox/−マウスを1年齢まで追跡した。 WTのBM(1)またはNf1+/−のBM(2〜3)を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの写真である。 WTまたはNf1+/−の骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの脊髄後根神経節および末梢神経の解剖の写真である。矢印は、脊髄後根神経節における腫瘍および末梢神経における腫瘍を指している。 脊髄後根神経節および近位末梢神経のヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)切片の図である。 マッソンのトリクロームで染色した切片の倍率200×の写真である。ドナー骨髄およびレシピエントマウスの遺伝子型を示している。 アルシアンブルーで染色した切片の倍率200×の図である。パネル2および3における小さな矢印は、肥満細胞を指している。パネル3における大きな矢印は、血管を指している。 異なる遺伝子型間の肥満細胞の数における差異を示している棒グラフである。Nf1+/−BMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの腫瘍由来の系列を、FACSによって単離する。 種々の骨髄由来系列の蛍光サイトメトリーを用いた表現型評価データを示した図である。骨髄(パネル1)および腫瘍細胞(パネル2)は、EGFP+CD45.2陽性集団について単離および選別した。肥満細胞(パネル3)、マクロファージ(パネル4)、Bリンパ球(パネル4)およびTリンパ球の集団を同定するために、腫瘍関連CD45.2細胞をさらに分離した。腫瘍中の各造血細胞集団の比率を示している。 Nf1+/−BMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの腫瘍からFACSによって単離した系列の遺伝子型同定を示しているゲルの図である。矢印は、それぞれの表現型系に由来して表示する対立遺伝子の増幅DNA産物を指している。 時間(x軸)の関数としてのパーセント生存率(y軸)のカプランマイヤープロットを示す図である。 WTのBM(パネル1)またはNf1+/−のBM(パネル2)を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの脊髄および後根の写真である。矢印は、近位神経における腫瘍を指している。 異なる遺伝子型のドナー細胞を用いて測定した脊髄後根神経節(DRG)の大きさを例示しているグラフである。 Nf1+/−またはNf1+/−;W/Wの変異体の骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの脊髄後根神経節および近位脊髄神経の代表的な組織学的切片の写真である。 Krox20;Nf1flox/−マウスをメシル酸イマチニブで処置する効果を例示しているPET画像である。 メシル酸イマチニブまたはPBSを用いた12週間の処置後の平均FDG−PET強度の変化をまとめた図である。 特定の末梢神経を解剖することによって採取したデータを示した図である。 メシル酸イマチニブまたはプラセボで処置したKrox20;Nf1flox/−マウスの組織学的解析を示している写真である。 メシル酸イマチニブの処置の有無について関数としてプロットした肥満細胞数/HPFを示している棒グラフである。 メシル酸イマチニブの処置の有無について関数としてプロットしたTunnel陽性細胞数/HPFを示している棒グラフである。 叢状神経線維腫を有する患者のメシル酸イマチニブでの治療前および治療後のMRIスキャンの図である。 透過型電子顕微鏡検査による脊髄後根神経節の超微細構造解析の図である。パネル1〜4、750×、パネル5〜8、1500×。パネル1〜2 WTのBMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来の近位脊髄神経、パネル3〜8 Nf1+/−のBMを移植したレシピエント由来の近位神経。(U)無髄軸索、(S)は神経内膜空間の拡大を示している。矢印はコラーゲン束を指し、(M)は腫瘍に浸潤している肥満細胞を示している。 マウスから採取した組織試料の顕微鏡写真である。これらの画像は、FDG−PETを用いた叢状神経線維腫の同定を例示している。9カ月齢で撮像した、Krox20;Nf1flox/floxマウスおよびKrox20;Nf1flox/−マウスのFDG−PET画像および脊髄神経の解剖。 トルジン(Toludine)ブルーで染色し、100×および600×の倍率で示している組織試料の顕微鏡写真である。矢印は、肥満細胞を指している。 Nf1+/−;Wv/Wvの骨髄を移植した、放射線照射したKrox20;Nf1flox/floxレシピエントの骨髄から単離した個々の骨髄前駆体のDNAの遺伝型同定を示しているゲルの図である。 FDG−PETを用いた叢状神経線維腫の同定の図である。9カ月齢で撮像した、Krox20;Nf1flox/floxマウスおよびKrox20;Nf1flox/−マウスのFDG−PET画像および脊髄神経の解剖。 Krox20;Nf1flox/−およびKrox20;Nf1flox/floxマウスの目的の坐骨神経部位からのFDG−PETの平均強度を示しているグラフである。 Krox20;Nf1flox/floxマウス(パネル1)およびPET陽性腫瘍を有するKrox20;Nf1flox/−マウス(パネル2〜4)由来の脊髄後根神経節からの代表的な解剖の写真である。 メシル酸イマチニブまたはプラセボでの処置後にTUNELを使用した、叢状神経線維腫におけるアポトーシスの評価。プラセボ対照(左パネル)またはメシル酸イマチニブ(右パネル)で処置した叢状神経線維腫からの代表的な切片の図である。矢印は、TUNEL陽性細胞を示している。 頭部および頸部、MRI画像である。 パネルC、D:メシル酸イマチニブでの処置のそれぞれ6カ月前および6カ月後の、軸面のMRI T2重み付き連続画像である。
以下に提示および/または記載の実施形態は、網羅的であることも、以下の詳細な説明に開示の詳細な形態を限定することも意図するものではない。むしろ、これらの実施形態は、他の当業者が、本明細書中に述べる種々の態様および実施形態の原理および実施方法を認めて理解することができるように、選択して記載しているものである。
種々の疾患の動物モデルは、モデル化された疾患についての理解を深めるために、かつおそらくそれと同程度に重要なことには、モデル化された疾患を診断、治療および/または予防するための新規な物質および/または方法を開発および試験するために極めて有効な手段であることがわかってきている。腫瘍発生に対する細胞自律的寄与および非細胞自律的寄与についての解剖を可能にするとされるネズミ科のモデルは、かなり重要になりつつある。マウスの腫瘍モデルをヒトへの推定に用いる場合には、厳格な精査を行わなければならず、こうした実験戦略の意義は、ヒトの疾患状態に対して明白で証明可能な生理学的関連性がある状況の中でのみ認めることができる。
したがって、ヒトの癌をマウスでモデル化するときの基本原理としては、ヒトの腫瘍と同じ組織において関連分子経路の変異を生じさせることが必要である。さらに、ヒトの疾患をモデル化するために利用されるマウスの腫瘍は、信用性ある一連の細胞性の結末および分子的な結末にてヒト表現型を再現するべきである。実験の設計および結果の解釈の際に十分な注意が払われる場合、ヒトにおける腫瘍発生を研究するためマウスモデルが首尾よく使用されている。例えば、遺伝子のモデル化は、フォンレックリングハウゼンズの(Von Recklinghausens’s)神経線維腫症の場合のように、ヒトの腫瘍が、単一の遺伝子変異にまで単純化できる、遺伝子上の遺伝性の特徴によるものである場合に特に効果が大きい。したがって、本発明のいくつかの態様は、ヒトにおけるいくつかの型の神経線維腫の形成を最小限に抑えるのに適したマウスモデルを教示している。特定の疾患の動物モデルが、同じまたは同様のヒト疾患のための治療法を開発するのに効果的であることを最もうまく証明するのは、多くのヒト疾患動物モデルとは異なり、特定の動物モデルについて考案された治療法がヒト患者の治療において効果的であると示すことを実証することであろう。
神経線維腫症(Neurofibromatoris)のためのマウスモデルの開発
フォンレックリングハウゼンズの神経線維腫症は、単一遺伝子の疾患である。大半の場合、この疾患は、生殖系の突然変異および完全な体細胞のヘテロ接合、その後、細胞型においてヘテロ接合性が稀に消失してにこの疾患の定型的な症状発現を生じることによって顕在化される。この疾患ではほぼ常に、腫瘍は、影響うけた患者の末梢神経系において発生する。ヒトの組織の試験により、シュワン細胞の重要な役割が示唆されているが、これらの試験は、先行する事象を推定するために経験に基づく情報に依存していることを欠点としている。Nf1コンディショナルノックアウトマウスモデルはNf1の組織特異的な欠失を可能にして、この方法に光明を投じた。生理学的に重要な全体的なヘテロ接合性の状況において、これらの試験は、叢状神経線維腫を形成する遺伝的障害は胚性シュワン細胞系におけるNf1ヘテロ接合性の消失にある可能性が高いことを明らかにしている。これらの腫瘍の組織病理学的解析では、ヒトで生じた腫瘍とは視覚上区別できない。
マウス遺伝学のおかげで、異なる遺伝形態において、腫瘍許容性または腫瘍抵抗性のいずれでもよいという微小環境の重要な役割が明らかにされている。これらのデータにより、シュワン細胞系以外でのNf1ヘテロ接合性が腫瘍形成に必要であることが示されている。例えば、これらのマウスでは末梢神経への肥満細胞の浸潤が腫瘍出現の数カ月前に認められるが、腫瘍非形成性のNf1野生型(flox/flox)の遺伝子型では認められない。肥満細胞は、ヒトの神経線維腫中で観察されるが、マウスモデルが存在しないため、腫瘍の発生または維持における機能的役割の試験を直接には研究できない。Nf1ハプロ不全性の要件は、神経冠シュワン細胞系を標的とするさらなるCre導入遺伝子(ペリオスチン−Cre、P0−Creおよびタモキシフェン誘導性PLP−Creを含む)によって代用されていることに注目すると興味深い。これらの観察により、シュワン細胞系以外でのNf1ヘテロ接合性の必要性がさらに確認される。組織特異的Cre導入遺伝子を使用して集められたデータでは、企図した実験条件下で、野生型環境において腫瘍が発生できる可能性は下がっていない。実際に、本発明者らは、早期に広範かつ強力に発現する神経冠特異的Creドライバーを利用すると、flox/floxマウスにおいてさえも末梢神経の過形成を生じるが、flox/−マウスよりは少ないことを観察している。
本明細書中に開示される結果によって、後者のモデルはNF1を患うヒトの生理学的状態からはかけ離れており、そのような条件ではLOH(ヘテロ接合性の喪失)が非常に稀な確率事象になるので、単離の際に生じる完全欠損性(nullizygous)の胚性シュワン細胞前駆体が微小環境において腫瘍に発達するには比較的不利であることが例示される。これらのマウスモデルによって、単離した完全欠損性細胞の嚢(pocket)は、形成されたヘテロ接合性肥満細胞との見かけの相乗作用によって、有意な選択優位性を得ることが示される。これらの結果についてのデータと矛盾しない1つの解釈は、強力なCreを介した組換えモデルにおける過形成が、シュワン細胞において非生理的で広範なNf1喪失を反映しているだけでなく、さらなる系列におけるさらなるNf1喪失をも反映しており、その喪失が切り分けたLOHという障害を打開し得るということである。
神経線維腫は、末梢神経に関連して生じ、シュワン細胞、内皮細胞、線維芽細胞、脱顆粒している炎症性の肥満細胞、および周皮細胞/血管平滑筋細胞(VSMC)からなり、大きなコラーゲン沈着物を含んでいる。Nf1コンディショナルノックアウトマウスモデルは、シュワン細胞系におけるNf1のヘテロ接合性の喪失(LOH)が神経線維腫の誘発に必要であるが十分ではないように見えることを示して、ヒト腫瘍からの再帰的研究を強めている。報告されているように、腫瘍進行には、腫瘍微小環境中のシュワン細胞とNf1ハプロ不全細胞系との間の複雑な相互作用が必要である。したがって、Nf1 WTのバックグラウンドでは、シュワン細胞におけるNf1完全欠損が必要であり得るが、腫瘍形成を引き起こすためには必ずしも十分ではない。腫瘍を形成しているヘテロ接合マウスについて報告されている1つの特徴は、腫瘍発生のかなり前に、末梢神経に肥満細胞が出現することである。さらに、シュワン細胞馴化培地と肥満細胞とを混合するin vitroの実験より、Nf1ヘテロ接合肥満細胞が完全欠損性シュワン細胞からの馴化培地に対して過敏性であることが示されている。それら細胞型の腫瘍形成モデルとして、本発明者らは、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、新生物が発生する前において、Nf1ヘテロ接合性肥満細胞の末梢神経への浸潤および腫瘍発生に寄与するNf1完全欠損性シュワン細胞との関与を含むことを仮説とした。
他のWT環境において、内在性の完全欠損性シュワン細胞系の特異的除去と組み併せて腫瘍形成を誘導するにはヘテロ接合Nf1+/−由来骨髄の養子移入で足りるという知見から、骨髄由来細胞においてはハプロ不全性の必要性があるが、これらの腫瘍中に見られる他の細胞型には必要でないことが示唆される。さらに、このことが因果的相互作用を構成するという仮説が、ドナー骨髄におけるc−Kitシグナル伝達性に関する遺伝的要件、およびドナーのヘテロ接合性肥満細胞が初期型の末梢神経腫瘍中に浸潤することによって、強く支持される。
c−Kit受容体は、肥満細胞の発生および機能において中心的な役割を有している。神経線維腫の2つの主な構成要素である、シュワン細胞および線維芽細胞は、多くの異なる刺激物質に応答してkit−リガンドを分泌する。例えば、神経線維腫組織中にkit−リガンドmRNA転写産物が多いことが報告されており、NF1患者は、その血清中に高レベルのkitリガンドを有することが報告されている。FDAに承認されている薬理学的作用剤であるメシル酸イマチニブは、前臨床試験で、c−Kitを含むいくつかのチロシンキナーゼを阻害することによって働くと考えられていた。
疾患のマウスモデルで神経線維腫に対する効力を試験した際に、メシル酸イマチニブは予想外の効力を示した。この化合物の治療上有効な用量を投与することは、神経線維腫の病状を反転させるのに劇的な効果を有する。イマチニブでの治療により、この化合物で治療した動物において、肥満細胞が末梢神経から消失する結果となった。NF1シュワン細胞とヘテロ接合肥満細胞との間でc−Kitを介した相互作用を示すin vitroの試験が進むにつれて、そのin vivoの試験は、メシル酸イマチニブ応答性腫瘍の維持に関して依然として必要であることを明らかにしている。
炎症および肥満細胞の腫瘍の発生における役割は、活発に研究されている領域である。肥満細胞は、高親和性のIgE受容体(FcεRI)およびc−kit受容体の活性化後にヒスタミン、セロトニン、プロテオグリカン、およびロイコトリエンなどの炎症のメディエーターを放出する。さらに、報告によると、肥満細胞は、シュワン細胞の強力な増殖因子、生存因子、および走化性因子でもある血管新生因子であるVEGFを放出する。VEGFは、腫瘍形成における血管新生のスイッチにも関連付けられてきている。最後に、肥満細胞は、周皮細胞および線維芽細胞の増殖を促進する増殖因子であるPDGF−β、ならびに線維芽細胞の増殖およびコラーゲンの合成を促進する増殖因子であるTGF−βも放出する。
メシル酸イマチニブおよび腫瘍微小環境。
神経線維腫の状況における重要な問題は、肥満細胞がどのようにシュワン細胞と共同して腫瘍形成を誘発するかである。本明細書中に示すデータは、腫瘍中の他の細胞型が必ずしもヘテロ接合性である必要はないことを示している。しかし、浸潤しているNf1ヘテロ接合性肥満細胞が主に完全欠損性シュワン細胞と相互に作用して腫瘍形成を促進するのか、または代替的に、局所的なストローマと間接的に相互作用すること、およびこれらの腫瘍中に含まれるさらなる細胞型が腫瘍の誘発に必要な媒介因子であるのかどうかを断定するにはやや早急である。神経線維腫中でのさらなるパラクリン相互作用、ならびにこれらがどのように腫瘍の形成および維持に影響を及ぼし得るかについてのよりよい理解のために、さらなる試験が待望されている。
さらに、本明細書中および過去のin vitro試験において報告されている遺伝的結果より、メシル酸イマチニブは、複数のNf1+/−周皮細胞、および線維芽細胞の腫瘍を促進する機能、を阻害することが示されている。ここでも、これらのさらなる腫瘍細胞におけるヘテロ接合性の必要性がないことにより、腫瘍の退縮を引き起こすメシル酸イマチニブの能力が肥満細胞に対するその阻害活性によって排他的に引き起こされているわけではない可能性がある点がが除外されているわけではない。以下の仮説は、メシル酸イマチニブのような化合物を用いた治療が腫瘍を減少させるという事実を実例として示すものであって、限定するものではなく、これは、本発明の一態様であり、この結果を説明しようとして提供するあらゆる所与の理論または説明の正確さに決して依存しない。メシル酸イマチニブおよび同様の化合物または類似の系統の化合物は、他の腫瘍細胞型においてさらなるおよび/または他の潜在的に重要な可能性のある腫瘍促進活性を偶然に阻害することもある。例えば、メシル酸イマチニブは、肥満細胞においてc−Kitを阻害することに加えて、PDGFRを介して血管新生を低減し得、かつc−Ablを介して線維形成/コラーゲン産生を低減し得る。これらの重要かつ魅力的なシナリオを解決するために、さらなる調査が必要とされることもあり、暫定的に、1つ観察されるのは、この化合物の有効量が神経線維腫のマウスモデルおよび叢状神経線維腫のような状態に属するヒトの患者において腫瘍退縮を引き起こすことである。
c−kitの薬理学的阻害は、腫瘍サイズおよび代謝活性を低減する。
本発明を実施するために使用され得る化合物としては、式1の化合物:
[式中、Rは、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ置換フェニルもしくはアミノ−低級アルキル置換フェニル(前記アミノ基はそれぞれの場合において、遊離しているかまたはアルキル化もしくはアシル化されている)、五員環炭素原子で結合している1H−インドリルもしくは1H−イミダゾリル、または環炭素原子で結合しており、窒素原子において非置換もしくは酸素で置換されている非置換ピリジルもしくは低級アルキル置換ピリジルであり、RおよびRは、それぞれ他とは独立して水素または低級アルキルであり、基R、R、R、RおよびRのうちの1個または2個は、それぞれ、ニトロ、フルオロ置換低級アルコキシまたは式IIの基−N(R)−C(=X)−(Y)−R10 (II)であり、式中、Rは、水素または低級アルキルであり、Xは、オキソ、チオ、イミノ、N−低級アルキル−イミノ、ヒドロキシミノ(hydroximino)またはO−低級アルキル−ヒドロキシミノであり、Yは、酸素または基NHであり、nは、0または1であり、R10は、少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族基、または芳香族、芳香族−脂肪族、脂環式、脂環式−脂肪族、複素環もしくは複素環−脂肪族の基であり、残りの基R、R、R、RおよびRは、それぞれ他とは独立に、水素、非置換低級アルキルまたは遊離しているかもしくはアルキル化されたアミノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニルまたはモルホリニルによって置換されている低級アルキル、または低級アルカノイル、トリフルオロメチル、遊離もしくはエーテル化もしくはエステル化(esterifed)ヒドロキシ、遊離もしくはアルキル化もしくはアシル化アミノ、または遊離もしくはエステル化カルボキシである]または少なくとも1個の塩形成基を有するこうした化合物の塩などが挙げられる。
式1の化合物は、内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許出願US5,521,184に、詳細には、化合物の請求項および有効な実施例の最終産物に、一般的かつ具体的に開示されている。式1の化合物の上記の定義において遊離基および記号は、本明細書にその全体が組み込まれている、US5,521,184に示されているような意味を有する。
本発明の目的で、イマチニブは、そのモノメシル酸塩の形態で適用することができる。モノメシル酸イマチニブは、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、US6,894,051に開示されている方法に従って調製することができる。同様に含有されるのは、その中に開示される対応する多形体、例えば結晶の改変形態である。
成人患者では、約200〜約800mgの間の日用量、例えば400mgのイマチニブのモノメシル酸塩を経口的に投与する。モノメシル酸イマチニブは、いずれも、その全体が、それぞれ別々に組み込まれているかのように本明細書に組み込まれている、US5,521,184、US6,894,051、US2005/0267125またはWO2006/121941に記載のような剤形で投与することができる。これらの化合物のさらなる考察には、例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、米国特許出願第11/815,046号、現在の米国公開第2008/00114001 A1号、2008年5月15日公開を参照されたい。
チロシンキナーゼ活性に関与していると考えられる疾患の治療に特に有用な1種類の化合物は、化合物メシル酸イマチニブ(4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−(ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド)である。イマチニブは、例えば、WO03/066613に開示されている方法に従って調製することができる。この化合物の1種の薬学的に許容できる塩は、以下のような式3に示すメシル酸イマチニブ:
である。
メシル酸イマチニブは、c−Kit、PDGF−BB、およびc−ablチロシンキナーゼの強力な阻害剤である。この化合物は、保護された商標名Gleevecの下で市販されている。これは、Kitを発現している(CD 117+)患者の治療用に米国で承認されている。National Guideline Clearinghouse(www.guidline.gov)に従って、成人ヒト患者における初期推奨用量レベル400mgを1日2回投与した。実際の治療上有効な用量は、患者特異的であり、患者の体重、年齢、性別、年齢、全体的な健康状態および薬剤に対する応答性を含む多様な要因を元に、処方する医師によって決定される。
マウスモデルの1つの限界は、この動物の生存期間が短いことであり、これを考慮に入れると、どれだけ長く生きた腫瘍が反応すると予想され得るのかをマウスの試験に基づいて予測することはできない。しかし、マウスモデルでのこれらの結果は、これらの化合物を用いた治療は、いくつかの腫瘍で侵されているヒトに対して有益な効果を有し得、有するであろうことを強く示唆している。メシル酸イマチニブを用いたヒト患者の治療がそのヒト患者において腫瘍のサイズを低減させるのに成功した際に得られた予想外に良好な結果により、この仮説がさらに支持される。
例としてであって限定されるものではないが、以下の考察を提供する。特発性の癌の発生の背景にある細胞機構および分子的機構に関する理論は、近年、著しく発展してきている。細胞自律的事象が1個の細胞にその通常の調節を超えさせて悪性腫瘍の発生をもたらすという初期の概念、およびさらに腫瘍の起源の細胞型の同一性は、現在、協力して再調査されている。1個の細胞における一連の遺伝的事象および後成的事象が悪性の表現型に向かう軌道に乗ると同時に、大部分の型の癌は、腫瘍形成性の状態を可能にしてさらに促進する許容性の微小環境を取り入れることが次第に明らかになってきており、この仮説によれば、抵抗性の環境は、基本的に腫瘍形成の可能性をなくすであろう。腫瘍形成の取り入れられた許容性のプロセスに対する、同定された非細胞の自律的な寄与因子の中には、血管新生、局所的なストローマの関与、および他の細胞型間の炎症がある。パラクリン相互作用の詳細な順序の理解、相対的重要性、および非腫瘍形成性環境相互作用の分子基盤は、依然として初期段階にある。しかし、本明細書に開示の化合物の治療的使用は、本明細書に記載の材料および/または方法を使用して意欲的に治療または制御され得る多様な疾患または状態についていかなる仮定の機構によっても提案される分子病因によっても決して限定されるものではない。
これらのデータは、叢状神経線維腫形成における骨髄由来細胞の役割と矛盾しない。また、これらのデータより、c−kit受容体の薬理学的阻害および遺伝的阻害はNf1マウスにおける叢状神経線維腫形成を予防または少なくとも遅延し得ることが示される。これらの結果により、神経線維腫を進行させるためには、腫瘍微小環境中に骨髄由来細胞のNf1ハプロ不全性および特にc−kit受容体の活性化に依存するものが必要であることが示される。このデータは、肥満細胞が腫瘍形成に積極的に関与していることを示し、ヒトの第1〜2相の臨床試験の新規治療標的を同定するものである。
本開示は、起源の腫瘍細胞と微小環境との間の複雑な相互作用に対する具体的な洞察を提供する、重要なヒトの癌についての生理学的に関連性のあるマウスモデルの一例を提供する。一方、ヒトの疾患のモデルとしてこのマウスを使用した研究により、腫瘍形成性細胞よりもむしろ腫瘍形成のための微小環境を標的とすることによってこれまで治療不能の腫瘍を治療するための潜在的な治療方法が示唆される。ヒトとマウスとの間の相当な細胞の相違および生理学的な相違のため、ヒトの神経線維腫を治療するためにメシル酸イマチニブのような化合物を使用することの効力は、その化合物を用いてヒトの治療に成功することによってのみ「証明する」ことができる。少なくとも部分的に、ヒトは一般にマウスよりも長命であるので、神経線維腫のような状態を有するヒトを治療するメシル酸イマチニブの能力は、慢性骨髄性白血病を治療するためにこの化合物を用いた場合とは異なり、薬剤耐性の発生をもたらし得る。CMLでは、メシル酸イマチニブは白血病細胞に対して直接作用すると考えられており、変異した構成的に活性なチロシンキナーゼ腫瘍性タンパク質(Bcr−abl)を標的とする。このBcr−abl癌遺伝子は、第2の部位変異の獲得を介して薬剤耐性を獲得し得る。対照的に、例えば神経線維腫に対するメシル酸イマチニブのように抗c−kit剤の排他的でなくとも主要な活性は、非腫瘍細胞作用性のもの、例えば、薬剤耐性について選択するために使用可能な経路がなくてもよいWTタンパク質に対するものである可能性が高い。
本発明者らは、in vitroでメシル酸イマチニブよりも10倍も高いNf1ヘテロ接合肥満細胞に対する阻害活性を有する化合物を同定した(非公開の結果)。患者がフォンレックリングハウゼンズの神経線維腫症と限局性白皮症との双方を有する、極めて少数の症例が報告されている。これらの試験は、限局性白皮症がc−Kit受容体の希少形態(hypomorphic)の変異から結果として生じたことを意味する。これらの患者は、神経線維腫がないと報告された。この回避についての他の信頼できそうな説明としては、これらの個体は、肥満細胞が欠損していたということである。したがって、これらの報告は、ヒトでの神経線維腫形成におけるc−Kitおよび肥満細胞の重要性を確認させ得るものである。
ここで述べる神経線維腫マウスモデルの遺伝的な適応性および細胞の適応性により、フォンレックリングハウゼン神経線維腫症の場合以外のヒトの癌に一般的な関連性を有する腫瘍形成における微小環境の関与についての重要な詳細が明らかにされる。
実験
材料および方法
動物および試薬。
これらの試験で利用するKrox20;Nf1flox/floxマウスは、以前に記載されている(Zhuら、2002)、「Neurofibroma in NF1:Schwann cell origin and role of tumor environment」、Science 296、920〜922。Krox20;Nf1flox/−マウスを作製するために、本発明者らは、Krox20;Nf1flox/floxマウスをNf1+/−マウスと異種交配させた。動物の使用を含むすべての方法は、インディアナ大学医学部(Indiana University School of Medicine)の組織内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認された。他に明記しない限り、化学薬品はSigma(St.Louis、MO)から購入した。
造血細胞の養子移入。
叢状神経線維腫進行についての微小環境調節の役割を評価するために、骨髄移植を実施した。簡単に説明すると、WT GFPマウスまたはNf1+/− GFPマウスからの同系のWTまたはNf1+/−の骨髄細胞をレシピエントあたり200万個、若年成体のKrox20;Nf1flox/floxマウスおよびKrox20;Nf1flox/−マウスに2回にわたり分割線量を与えて1100radの電離放射線でこれらを処置した後に養子移入した。
PET画像解析。
叢状神経線維腫を検査し、かつ解剖学的に位置決定をするために、[18F]フルオロデオキシグルコース([18F]FDG)PETおよびX線CTの画像診断を組み合わせた。CT画像を集めている際には、テンプレートは、標準化した関心体積(VOI)で得るために、領域にわたって横方向に配置し、それによって研究者がFDGの取込みを定量化できるようにした。登録して重ね合わせたCT画像データを使用して、特定の椎骨を識別した(例えば、標識L1〜S1)。操作者は、次いで、この脊髄に沿って場所を選択して、L1〜S1間を通る脊髄の経路を決定する。次に、3個の円形の関心領域(ROI)を脊髄に沿った挿入場所に配置して、脊髄および脊髄後根神経節の領域を取り込む。最後に、これらの円形のROIを組み合わせて、脊髄、左側脊髄後根神経節、および右側脊髄後根神経節のVOIを作成する。FDG画像は、尾静脈注射による約0.5〜1.0mCiのFDGの注射後45分に取得した。すべての動物に、覚醒したままFDGの注射を行い、動物を画像診断用に動けなくさせるために注射後約40分でイソフルラン麻酔を行った。
予備的な画像診断試験は、非腫瘍形成性のKrox20;Nf1flox/floxマウスにおいて、かつ完全な浸透度で神経線維腫を生じるKrox20;Nf1flox/−マウスにおいて実施する。実験的なPET画像診断ならびに脊髄後根神経節および近位末梢神経の解剖の双方の予備的な試験では、遺伝子型にかかわらず6カ月齢以前のいずれのマウスにおいても腫瘍は検出されなかった(データは示していない)。同様に、Krox20;Nf1flox/floxマウスでは、9カ月齢で腰仙領域にFDGの取込みはほとんどなかった(図8A)。対照的に、坐骨神経において腫瘍が一般的である9カ月齢のKrox20;Nf1flox/−マウスのFDG PETスキャンでは、脊椎の腰部においてFDG−PET強度の特異的な増大が示された(図8A;矢印)。画像診断を行った動物のその後の剖検により、FDG PET画像で同定された腫瘍について一致した検証が得られた(図8B)。比較可能年齢のKrox20;Nf1flox/floxのコホートに対するKrox20;Nf1flox/−マウスのコホートからのFDG−PET画像情報の概要を図8Cに示す。これらの試験は、非侵襲性のFDG−PET画像診断がKrox20;Nf1flox/−マウスにおける叢状神経線維腫の同定に有効であることを実証している。
脊髄後根神経節の解剖。
これらを屠殺した直後に、死後のマウスを4%パラホルムアルデヒド中で灌流して固定する。次いで、脊髄後根神経節および末梢神経を解剖顕微鏡下で摘出する。組織を電子顕微鏡解析によって解析するマウスを、2%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒド、および0.1Mカコジル酸塩(pH7.4)で灌流固定する。
腫瘍サイズの測定。
腫瘍のサイズを評価するために、カリパスを使用して近位脊髄後根神経節の最も大きくなり得る幅および長さを測定した後に、脊髄後根神経節サイズの解剖測定を実施する。腫瘍の体積は、スフェロイドのおよその体積を確定することによって決定する(例えば、0.52×(幅)2×長さ)。
脊髄後根神経節におけるドナー細胞の表現型の評価。
腫瘍中に再構成させるドナー由来の細胞型(1種または複数)を調べるために、フローサイトメトリー解析を実施した。簡単に説明すると、脊髄後根神経節を摘出し、細かく切り刻み、コラゲナーゼVによって消化した。次いで、この単一細胞懸濁液を、抗CD117、CD31またはCol1A、およびFcεRIの抗体と混合した。次いで、細胞集団を、蛍光標示式細胞分取器(Becton Dickson)を使用して分離した。
組織学的解析。
腫瘍の形態を詳細に調べるために、パラフィン切片をヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。ヒトの叢状神経線維腫の乾燥重量のうちコラーゲンが約60%を占めることを考慮に入れて、組織切片をマッソントリクロームでさらに染色した。腫瘍中の肥満細胞の存在を決定するために、アルシアンブルー染色を実施した。
透過型電子顕微鏡検査。
灌流固定後、組織を段階的な一連のエタノールおよびアセトンの中で脱水し、Epon−Araldite(Electron Microscopy Sciences、Hatfield、PA)中に包埋した。超薄切片(銀〜金)を酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で染色し、FEI Tecnai G2電子顕微鏡(Philips、Eindhoven、Netherlands)で検査した。
実験1
Nf1ヘテロ接合骨髄(BM)の養子移入は、腫瘍関連のレシピエントの生存を低減する。
ここで図1を参照すると、この模式図は、レシピエントマウスの遺伝子型、レシピエントの電離放射線後に養子移入した細胞の遺伝子型、および移植後に得られた測定値を図示している。腫瘍微小環境中の造血細胞におけるNf1のヘテロ接合性が神経線維腫形成に必要とされる遺伝的ハプロ不全性の原因となっているという仮説を検証するために、本発明者らは、シュワン細胞の約10%において、Krox20−Cre導入遺伝子により切断されたNf1対立遺伝子を2つ有するマウスにNf1ヘテロ接合の骨髄を移入した(Krox20;Nf1flox/flox)。Krox20;Nf1flox/floxマウスは、すべての細胞系において機能的に野生型であり、神経線維腫は観察されない。相補的な実験として、WTの骨髄細胞を、上記のようなシュワン細胞系においてNf1生殖系完全欠損対立遺伝子および組換え可能なflox対立遺伝子を有するマウスに移植した(Krox20;Nf1flox/−)。Krox20;Nf1flox/−マウスは、以前に記載されているように、均一に叢状神経線維腫を生じる(Zhuら、2002)。一部のNf1+/−またはWTの骨髄を電離放射線後のレシピエントに養子移入し、叢状神経線維腫の発生およびこれらの腫瘍に関連した死亡率を1歳齢までモニタリングした。
ここで図2Aを参照すると、それぞれのプロット線の隣に遺伝子型を示している。主要な罹患の明白な徴候を示し次第、マウスを屠殺した。Y軸は、生存しているマウスの百分率を示している。Krox20;Nf1flox/flox+Nf1+/−BM(点線)対Krox20;Nf1flox/flox+WT BM(白四角)(P<0.002)、Krox20;Nf1flox/flox+Nf1+/−BM(点線)対Krox20;Nf1flox/−(白丸)(有意差なし)の比較。Krox20;Nf1flox/−(白丸)対Krox20;Nf1flox/−+WT骨髄(黒四角)(p<0.0.002)。移植6カ月後、ヘテロ接合のNf1+/−骨髄を移植した機能的な生殖系WT(Krox20;Nf1flox/flox)レシピエントは、運動麻痺、体重減少を示し始め、15%のマウスのみが全実験期間生存した。例えば、図2AおよびBを参照されたい。この死亡率は、大部分は、生殖系ヘテロ接合性Krox20;Nf1flox/−マウスにおける以前の観察を反映している(図2A)。対照的に、WTの骨髄で再構成したKrox20;Nf1flox/floxマウスの約90%は、生存しており、叢状神経線維腫形成の臨床的な特徴を示さなかった(図2A)。これらのデータは、生殖系ヘテロ接合性(Krox20;Nf1flox/−)マウスへのWT骨髄細胞の移植が、その生存を、完全な骨髄を含む非腫瘍形成性Krox20;Nf1flox/floxマウスの生存と比較可能なレベルまで回復させるという逆の実験によって確認された(図2A)。
ここで図2CのWTまたはNf1+/−いずれかの骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの脊髄後根神経節および末梢神経の解剖の写真を参照する。矢印は、脊髄後根神経節および近位末梢神経における腫瘍を指している。この病的なマウスの脳および脊髄の剖検により、22匹うちの21匹のNf1+/−骨髄移植レシピエントは、WTの骨髄を移植した非症候性のマウスの脊髄と比較して、全体の脊髄の厚さの増加を有することが明らかになった。この異常な形態は、腫瘍形成性Krox20;Nf1flox/−マウスのものと似ている。
ここで図2C、異なる遺伝子構成を有するマウスの脊髄後根神経節の顕微鏡写真を参照する。矢印は、運動麻痺を示す肢に働いている神経節を指す。図2Cのパネル2および3は、Nf1+/−骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの脊髄後根神経節から生じている別々の腫瘍の存在を示し、またこれらの腫瘍が特に坐骨神経によく認められたことを示している。腫瘍の体積測定解析により、腫瘍を生じなかったマウスにおける影響を受けていない脊髄後根神経節と比較して、体積で3〜6倍増加していることが明らかとなった。坐骨神経および腰仙骨神経叢に浸潤しているこの腫瘍のサイズが大きいことおよび解剖学的な部位は、観察された行動異常後肢麻痺、水腎および拡大した弛緩膀胱の原因である可能性が高い(図2B)。まとめると、これらのデータにより、シュワン細胞ヘテロ接合性消失の環境におけるNF1ヘテロ接合の骨髄の存在は、最初にKrox20;Nf1flox/−腫瘍形成性マウスにおいて観察された罹患および末梢神経過形成を再現するために十分であることが示される。
実験2
Nf1+/−骨髄(BM)レシピエントは、叢状神経線維腫を発生する。
ここで図3Aを参照すると、病理学的解析により、Nf1ヘテロ接合骨髄レシピエントにおける叢状神経線維腫の存在が確認された。パネル1および6は、WTのBMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来の切片である。パネル2、3、7、8は、Nf1+/−のBMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来である。パネル4、5、9、10は、WTのBMを移植したKrox20;Nf1flox/−マウス由来である。上のパネルの写真は、100×のもとで光学顕微鏡法を用いて撮影したものであり、下のパネルの写真は、200×のもとで撮影したものである。Nf1+/−骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来の脊髄後根神経節は、以下の正常構造の崩壊、すなわち、波状のシュワン細胞および過染色性の核を有する浸潤細胞(図3A、パネル7〜8)、過剰なコラーゲン沈着(図3B、パネル2、3)、血管新生(図3C、パネル3における大きな矢印は血管を特定している)、および典型的な超微細構造の異常(図7)を含む、ヒトの叢状神経線維腫の典型的な組織学的特徴を示す。図7では、パネル1〜4、750×、パネル5〜8、1500×。パネル1〜2 WTのBMを移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来の近位脊髄神経、パネル3〜8 Nf1+/−のBMを移植したレシピエント由来の近位神経。これらの写真において、(U)は無髄軸索を示し、(S)は神経内膜空間の拡大を示し、矢印はコラーゲン束を指し、(M)は腫瘍に浸潤している肥満細胞を示している。対照的に、WTの骨髄を移植した、Krox20;Nf1flox/floxマウスまたはKrox20;Nf1flox/−マウスからの神経はいずれかが、脊髄後根神経節および近位末梢神経の切片の全体にわたって正常に見える均一に広がった核を示し(例えば、図3A、パネル1、4〜6、および9〜10を参照されたい)、コラーゲン沈着の形跡はなかった。Nf1+/−の骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスから単離される腫瘍は、叢状神経線維腫の組織学的特徴を有する。
ここで図3B、パネル1、4〜5、血管新生、および維持された正常な超微細構造の形態(図7)を参照する。神経線維腫は複数の細胞型を含む複雑な腫瘍であり、その中で、LOHはシュワン細胞系に特有である(Zhuら、2002)。肥満細胞の浸潤は、ヒトおよびネズミ科の叢状神経線維腫の特徴である(Zhuら、2002)。本明細書中で用いるこの状態のネズミ科モデルにおいて、本発明者らは、腫瘍出現前に肥満細胞による末梢神経の浸潤を観察している。したがって、再構成されたKrox20;Nf1flox/floxマウスのヘテロ接合の骨髄も、広範囲な肥満細胞浸潤を示した(図3C、パネル2〜3)。蛍光サイトメトリーを用いて、Nf1+/−骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスの神経線維腫中の内皮細胞(CD31)、線維芽細胞(Col1A)、および造血細胞(c−Kit、CD117)を精製する。
ここで図3Dを参照する。矢印は、それぞれの表現型の系列からの示した対立遺伝子の増幅DNA産物を指している。驚くべきことに、その後の遺伝子型同定により、FcεRIも発現する(図示せず)、c−Kit集団のみが、Nf1完全欠損対立遺伝子を有していることが示された(図3D)。これらのデータは、Nf1完全欠損欠損シュワン細胞の部位への移植したヘテロ接合肥満細胞のホーミングを含む再構成されたKrox20;Nf1flox/floxにおける本物の叢状神経線維腫の出現と矛盾しない。
ここで図3Eを参照する。骨髄(BM)(バンド1−および腫瘍細胞(パネル2)は、EGFP+;CD45,2陽性集団によって単離および選別する。肥満細胞(パネル3)、マクロファージ(パネル4)、Bリンパ球(パネル4)およびTリンパ球(パネル5)のために、腫瘍関連CD45.2細胞をさらに分離する。グラフは、腫瘍中の各造血細胞集団の比率を示している。
ここで図3F、Nf1+/−の骨髄(BM)をトランスフェクトした(trasfected)Krox20;Nf1flox/floxマウスの腫瘍からFACSによって単離される系列の遺伝子型を参照する。図3F中の矢印は、表示している表現型系列から単離した同一の対立遺伝子の増幅DNA産物によって形成されるゲル上のバンドを指している。
Nf1+/−骨髄を介した腫瘍形成にはc−Kitが必要とされる。
再構成された叢状神経線維腫中に検出されたNf1ヘテロ接合細胞のみが骨髄由来であった。この発見は、肥満細胞のハプロ不全性の必要性が腫瘍形成に関係していることを示している本発明者らの以前のin vitroおよびin vivoでの観察と一致している。c−kitの受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、肥満細胞の成長および機能の多くの面を制御すると考えられている。本発明者らは、c−Kit活性が、Nf1+/−の骨髄由来の肥満細胞の移動、増殖、および生存を制御しているようであることを報告している。本発明者らは、これらの状況間の関連性を仮定し、Krox20;Nf1flox/floxマウスに移植したNf1+/−骨髄細胞におけるc−kit活性の遺伝的な破壊による、腫瘍進行に対する作用を試験した。
養子移入したNf1+/−骨髄におけるc−kitの遺伝的な破壊により、レシピエントKrox20;Nf1flox/floxマウスにおける叢状神経線維腫の発生が阻止される。簡単に説明すると、Nf1+/−マウスは、キナーゼ活性をそれぞれ85%(W41/W41)〜95%(Wv/Wv)低減するc−kit受容体における点変異によって肥満細胞の可動性を阻害された低下形態のマウス2系統と独立に異系交配した。
ここで図4Aを参照する。Nf1+/−;Wv/Wv二重変異体マウスまたはNf1+/−;W41/W41二重変異体マウスのいずれかからの骨髄を、それぞれ5匹および10匹のKrox20;Nf1flox/floxマウスに移植した。Nf1+/−;Wの変異体骨髄を移植したマウスの罹患率は、Nf1+/−の骨髄を移植したNf1flox/floxマウスと比較して、有意に低下した。Nf1+/−またはNf1+/−;W変異体の骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウスを1年間追跡した。この2群間の遺伝子型および統計的有意性を示している。したがって、Nf1+/−骨髄のレシピエントとは対照的に、Nf1+/−;W変異体の骨髄を移植したKrox20;Nf1flox/floxマウス由来の脊髄後根神経節および近位末梢神経は、正常な形態を有し、肥大も腫瘍の証拠も示さない(図4B)。これらの結果は、Nf1ハプロ不全性は、骨髄内で生じるという仮説を支持し、さらに、その活性成分がc−Kit依存的な細胞型に固有であることを詳細に示す。ここで図4Cを参照すると、Krox20;Nf1flox/floxマウスの坐骨神経由来の個々の脊髄後根神経節(DRG)の体積の、遺伝子型の関数としてのグラフを示している。個々の点は個々のDRGの体積を表し、直線はそれぞれの実験群からの平均体積を表す。Nf1+/−骨髄細胞で再構成されたレシピエントは、c−kit経路を不活化するc−kit受容体の変異をさらに含むNf1+/−骨髄によって再構成されたマウス(Nf1+/−;W/W)よりも、有意により高い平均坐骨神経DRG体積を有する。
ここで図4Dを参照すると、パネル1〜3に示している切片は、H&Eで染色されている。パネル4〜6の切片は、アルシアンブルーを用いて染色されている。矢印は、肥満細胞を強調している。養子移入した骨髄の遺伝子型をパネルのそれぞれの列の下に示している。
実験4
メシル酸イマチニブおよび他の潜在的に可能な薬剤の、腫瘍の負担に対する活性を評価するために、本発明者らは、Krox20;Nf1flox/−マウスにおける叢状神経線維腫の同定および縦断的観察を可能にする非侵襲性のフッ化(fluoridinated)デオキシグルコース陽電子放出断層撮影FDG−PET画像化プロトコルを実証した(方法の段落および図8も参照されたい)。
ここで図5Aを参照すると、メシル酸イマチニブを用いた12週間の処置後、平均FDG−PET陽性腫瘍において画像が変化する。関心領域、3匹の個々のマウスにおける時系列のスキャン、および実験上の治療群を確認している。次いで、本発明者らは、250mg/kg/日のメシル酸イマチニブまたはプラセボ対照(PBS)のいずれかを用いた経口処置で坐骨神経の領域においてPET取込み陽性が確認される8〜9カ月齢のKrox20;Nf1flox/−マウスのコホートを同定した。腫瘍の進化を評価するために、続けてFDG−PET画像化試験を行った。メシル酸イマチニブまたはPBSを用いた3週間の処置の前および後に画像化した3匹のマウスからの、影響を受けている神経の代表的なFDG−PET軸面切片を示している。予測したように、FDGの取込みの増加は、メシル酸イマチニブまたはPBSでの処置前に、Krox20;Nf1flox/−動物においてその脊椎の側方に多く認められた(図5A、パネル1、3、5)。FDGの取込みは、PBS対照(図5A、パネル6)と比較して、メシル酸イマチニブで処置したKrox20;Nf1flox/−マウス(図5A、パネル2〜4)において質的に著しく低下した。処置したすべての動物においてFDG−PET強度を注意深く定量化するために、標準化した関心領域(ROI)を各動物において利用して、定量的なFDGの取込みの値(mCi/ml組織)を求めた。シリンダーの形状の三次元ROIを利用して、このROIシリンダーで脊柱の側方の領域を封入し、すべての場合にL1〜S1の特定の椎骨の標識を用いて、均一性を確実にした。治療の前および後の、1匹の実験動物からの代表的な結果をパネル7〜8(図5A)に示している。これらの画像より、メシル酸イマチニブでの処置は、この動物中の腫瘍サイズを縮小させることが例示される。ここで図5Bを参照すると、12匹の実験用マウスの1コホートの坐骨神経領域ROIについてのグラフ形式で示しているPET画像化結果の概要を図面上に表している。全体として、メシル酸イマチニブで処置したマウスは、処置後のFDG−PETの取込みに平均50%の減少(p<0.035)を有した。対照的に、PBSで処置したコホートにおける腫瘍の代謝活性は、FDG取込み率において、Krox20;Nf1flox/−マウスで叢状神経線維腫が出現する時間の関数として観察されるFDGにおける進行性の取込みと比較可能な、中程度であるが有意でない上昇を有した。
代謝活性(FDG取込み)における変化は腫瘍における組織学的な変化と直接関連があるかどうかを決定するために、画像化したコホートを屠殺し、脊髄を検査し、組織学的に評価するために切片を調製した。
ここで図5Cの、ビヒクルプラセボ対メシル酸イマチニブで処置したKrox20;Nf1flox/−マウスの全坐骨神経からの脊髄後根神経節の平均体積を参照する(ビヒクル対照群においてn=28、グリベック処置群においてn=28)。実線は、各それぞれの群の平均体積を示している。各記号は、個々の神経の体積を示している。剖検で、本発明者らは、Krox20;Nf1flox/floxマウスの同年齢のコホートからの全脊髄後根神経節の体積の比較も行った。FDG−PET画像化試験と一致して、メシル酸イマチニブ処置群では、脊髄後根神経節体積がPBS処置群と比較して明らかに減少していた。
メシル酸イマチニブまたはPBSで処置したマウスにおける脊髄後根神経節および近位周囲の神経の組織学的評価も実施した。ここで図5Dを参照すると、H&E染色、アルシアンブルー染色、およびマッソンのトリクローム染色の後の代表的な切片を示している。この実験的な療法、標本を調製するために利用した染色を図の左側に示している。各組のパネルにおける画像の倍率を図の下に示している。列の表題で示しているように、パネル1〜6に示している試料は、メシル酸イマチニブで処置したマウスから得たものであり、パネル7〜12に示している試料は、プラセボのみで処置したマウスから得たものである。パネル10の矢印は、それぞれの切片上で認められる肥満細胞を指している。質的に、プラセボ処置マウスから採取した神経では、メシル酸イマチニブ処置マウスと比較して、正常な神経構造の異常な崩壊があり、細胞充実性が増大している。これは、遠位後根部および近位神経部を示す組織切片において例示される(図5D、パネル7〜12と比較したパネル1〜6)。さらに、メシル酸イマチニブで処置したマウスから摘出した神経における肥満細胞の数が、PBS処置の対照と比較して著しく減少する(図5D、パネル3、4対パネル9、10)。あわせると、PET、肉眼的解剖および組織学的データにより、Krox20;Nf1flox/−マウスにおいて腫瘍体積を減少させるメシル酸イマチニブの潜在可能性が同定されている。
ここで図5Eの、イマチニブで処置したマウスとこの化合物で処置していないマウスとの間の肥満細胞の数における劇的な差を例示している棒グラフを参照する。ここで図5F、メシル酸イマチニブで処置したマウス対この化合物で処置していないマウスから採取した試料において、Tunnel陽性細胞/HPFがより少ないことを例示している棒グラフを参照する。
本発明者らのマウスモデルの1つの限界は、この動物の生存期間が短いことである。したがって、本発明者らは、長命の腫瘍がどのように反応すると予想され得るのかを本発明者らのマウスの試験に基づいて予測することはできない。時間をかけて、腫瘍細胞が、例えば肥満細胞シュワン細胞相互作用のような、特定の早期のパラクリン事象と独立させるようなさらなる特性を得ることも考え得ることである。
実験5
メシル酸イマチニブを用いて特別な配慮によって使用する、叢状神経線維腫を有する小児の治療。
NF1を有する乳児および幼児に主に存在する叢状神経線維腫は、速い増殖および近接器官への浸潤を特徴とすることが多く、正常な器官機能の損傷を生じることが多い。さらに、これらの腫瘍は、治療法がない悪性腫瘍に進行する可能性が高い。良性の場合でも、これらの腫瘍が生命を脅かすことがあり、外科手術の治療のような主要な臨床的挑戦は有効性が限られており、広く許容できる他の療法もない。大きな三叉神経叢状神経線維腫を含む、NF1の典型的な臨床徴候を示している3歳児が、生命を脅かす気道圧縮で小児科腫瘍診療所に紹介された。この状態および関連状態のネズミ科のモデルにおける本発明者らの現在の試験に基づいて、主治医は、限られた試みのために、この小児に350mg/m2/用量のメシル酸イマチニブを設定した。
ここで図6の、叢状神経線維腫を有する発端患者におけるメシル酸イマチニブの効力の評価を参照する。腫瘍の周辺は、双方のパネルにおいて厚い暗線でなぞってある。メシル酸イマチニブを用いた治療の前(パネル1)および3カ月後(パネル2)の、叢状神経線維腫を有するNF1患者の頭部および中咽頭の矢状方向のMRIスキャン。治療の前および3カ月後のMRIスキャンにより、著しい約70%の腫瘍体積の縮小が明らかになった(図6)。副作用の観察されない6カ月間の治療後、患者は、症状が再発することなしに治療を6カ月間停止した。
ここで図13Aを参照する。横列A、Bのパネルは、冠状MRI T1重み付きSTIR連続画像である。それぞれ、メシル酸イマチニブ前(横列A)およびメシル酸イマチニブを用いた治療の6カ月後(横列B)。これらの画像により、治療の前および後における腫瘍サイズの著しい縮小の証拠が示される。
ここで図13Bを参照すると、双方の一連の画像において、メシル酸イマチニブ前の画像(横列C)における腫瘍による右への移動を伴う上気道の著しい狭小化(矢印)に対する、イマチニブ治療後(横列Dの画像)を示している。メシル酸イマチニブを用いた治療後に得られた画像により、後部から正中線に向かって気道拡大を伴って著しく改善されていることが示される。それぞれの画像において、腫瘍の領域を示している。
これは、化合物メシル酸イマチニブを用いた、ヒトにおける医薬介入が結果として叢状神経線維腫の大きさを有意に縮小させる明白な証拠である。1名のみの患者の経過を反映しているにもかかわらず、この顕著な結果は、ネズミ科のモデルにおける前臨床試験と一致している。
多様な態様および実施形態の原理が組み込まれている例示的実施形態を以上に開示してきたが、本発明は、開示の実施形態によって限定されるものではない。それよりも、本出願は、本明細書中に開示の一般原理を用いて開示される情報の任意の変形、使用、または適応をカバーすることを意図するものである。さらに、本出願は、本発明が関連する当分野で既知のものまたは慣習的に実施されているものに属し、かつ添付の特許請求の範囲の限定に含まれるような本開示からの逸脱物、およびその等価物をカバーすることを意図するものである。

Claims (21)

  1. 叢状神経線維腫を治療する方法であって、式1による化合物:
    [式中、
    は、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ置換フェニルもしくはアミノ−低級アルキル置換フェニル(前記アミノ基はそれぞれの場合において、遊離しているか、またはアルキル化もしくはアシル化されている)、五員環炭素原子で結合している1H−インドリルもしくは1H−イミダゾリル、または環炭素原子において結合しており、窒素原子において非置換もしくは酸素で置換されている非置換ピリジルもしくは低級アルキル置換ピリジルであり、
    およびRは、それぞれ他とは独立に、水素または低級アルキルであり、
    基R、R、R、RおよびRのうちの1個または2個は、それぞれ、ニトロ、フルオロ置換低級アルコキシまたは式IIの基
    −N(R)−C(=X)−(Y)−R10 (II)
    [式中、
    は、水素または低級アルキルであり、
    Xは、オキソ、チオ、イミノ、N−低級アルキル−イミノ、ヒドロキシミノまたはO−低級アルキル−ヒドロキシミノであり、
    Yは、酸素または基NHであり、
    nは、0または1であり、
    10は、少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族基、または芳香族、芳香族−脂肪族、脂環式、脂環式−脂肪族、複素環もしくは複素環−脂肪族の基である]であり、
    残りの基R、R、R、RおよびRは、それぞれ他とは独立に、水素、非置換低級アルキルまたは遊離もしくはアルキル化アミノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニルもしくはモルホリニルによって置換されている低級アルキル、または低級アルカノイル、トリフルオロメチル、遊離もしくはエーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、遊離もしくはアルキル化もしくはアシル化アミノ、または遊離もしくはエステル化カルボキシである]
    または少なくとも1個の塩形成基を有するこうした化合物の塩の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む方法。
  2. 前記化合物が式1の薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記式1の薬学的に許容できる塩がメシル酸塩である、請求項2に記載の方法。
  4. 叢状神経線維腫または同様の状態を有する患者を診断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 叢状神経線維腫または同様の状態を生じるリスクにある患者を同定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 式1による前記化合物の前記治療上有効な用量が約200mg〜約500mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
  7. 式1による前記化合物の前記治療上有効な用量が約350mg〜約450mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 式1による前記化合物の前記治療上有効な用量が約400mgであり、前記化合物の前記用量が患者に1日2回投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 叢状神経線維腫を治療する方法であって、式2による化合物
    の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む方法。
  10. 前記化合物が式2の薬学的に許容できる塩である、請求項9に記載の方法。
  11. 叢状神経線維腫または同様の状態を有する患者を診断するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  12. 叢状神経線維腫または同様の状態を生じるリスクにある患者を同定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  13. 式2による前記化合物の前記治療上有効な用量が約200mg〜約500mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項9に記載の方法。
  14. 式2による前記化合物の前記治療上有効な用量が約350mg〜約450mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項9に記載の方法。
  15. 式2による前記化合物の前記治療上有効な用量が約400mgであり、前記化合物の前記用量が患者に1日2回投与される、請求項9に記載の方法。
  16. 叢状神経線維腫を治療する方法であって、式3による化合物
    の治療上有効な少なくとも1用量を提供するステップを含む方法。
  17. 叢状神経線維腫または同様の状態を有する患者を診断するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 叢状神経線維腫または同様の状態を生じるリスクにある患者を同定するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  19. 式3による前記化合物の前記治療上有効な用量が約200mg〜約500mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項16に記載の方法。
  20. 式3による前記化合物の前記治療上有効な用量が約350mg〜約450mgであり、前記化合物の前記用量が患者に少なくとも1日1回投与される、請求項16に記載の方法。
  21. 式3による前記化合物の前記治療上有効な用量が約400mgであり、前記化合物の前記用量が患者に1日2回投与される、請求項16に記載の方法。
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