JP2011511628A - タンパク質及びポリペプチドを安定化する方法 - Google Patents

タンパク質及びポリペプチドを安定化する方法 Download PDF

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Abstract

小さい群の突然変異型を産生するために、所定のアミノ酸をタンパク質又はポリペプチドの選択位置に導入する、上記タンパク質及びポリペプチドを修飾、特に安定化する方法。この方法は、或る特定のアミノ酸がタンパク質又はポリペプチドの安定性に重要な役割を果たすという前提に基づいている。それから、生成された突然変異型は、安定性及び/又は機能、例えば親和性に関してさらに解析することができる。さらに、適当な突然変異型を組み合わせて、さらに最適なタンパク質又はポリペプチドを得ることができる。また、安定化した例示的なポリペプチド、並びに不安定化した又は安定化したタンパク質又はポリペプチドを同定及び/又は解析するのに好適な方法が提供される。この方法を、タンパク質の構造及び機能における特定のアミノ酸の役割を研究するのに、並びに新規の又は改善した、例えば安定化したタンパク質及びポリペプチド、例えば抗体及び単一可変ドメインを開発するのに使用することができる。
【選択図】なし

Description

小さい群の突然変異型を産生するために、所定のアミノ酸をタンパク質又はポリペプチドの選択位置に導入する、上記タンパク質及びポリペプチドを修飾、特に安定化する方法。この方法は、或る特定のアミノ酸がタンパク質又はポリペプチドの安定性に重要な役割を果たすという前提に基づいている。それから、生成された突然変異型は、安定性及び/又は機能、例えば親和性に関してさらに解析することができる。さらに、適当な突然変異型を組み合わせて、さらに最適なタンパク質又はポリペプチドを得ることができる。また、安定化した例示的なポリペプチド、並びに不安定化した又は安定化したタンパク質又はポリペプチドを同定及び/又は解析するのに好適な方法が提供される。この方法を、タンパク質の構造及び機能における特定のアミノ酸の役割を研究するのに、並びに新規の又は改善した、例えば安定化したタンパク質及びポリペプチド、例えば抗体及び単一可変ドメインを開発するのに使用することができる。
ランダム化突然変異誘発法又はタンパク質安定化に関する他の戦略は幾つかの制限を抱えている。これらの制限の中には、多くの突然変異型を生成することができるが、実際それらの中から有益又は所望の特性を有する突然変異型を選択することが不可能であることがある。例えば、タンパク質又はポリペプチドにおける特定のアミノ酸の置換、欠失又は挿入が、タンパク質/ポリペプチドに対して局所的又は大域的な影響を与えるか否か、したがって有用な情報又は機能を与える可能性があるか否かを確実に予測する方法は存在しない。突然変異がタンパク質の或る特定の領域、例えばタンパク質の活性部位又は結合部位の又はその周りの領域に限定されるとしても、潜在的な突然変異の数は極めて多く、このため感知できるレベルで生ずる突然変異を同定及び評価することが困難又は不可能となり得る。例えば、全ての他の天然アミノ酸による単一アミノ酸位置の置換により、19個のタンパク質の異なる変異型が得られる。幾つかの位置を一度に置換すると、変異型の数は急激に増大する。タンパク質の10個のアミノ酸位置で全てのアミノ酸が置換されると、19×19×19×19×19×19×19×19×19×19すなわち6.1×1012個のタンパク質の変異型が生成され、これらから有用な突然変異型を選択しなければならない。タンパク質の安定化における突然変異誘発の有効利用のためには、突然変異の種類及び数は、生成される突然変異型タンパク質の数を解析に適した数に維持する幾つかの制限的な標準に従っている必要があるということになる。
本発明は、新規の又は安定化したタンパク質(又はポリペプチド)の生成のための選択又は突然変異誘発の方法、及びこの方法で生成された突然変異型タンパク質のライブラリ及び特定の突然変異型タンパク質に関する。突然変異誘発の標的となるタンパク質、ペプチド又はポリペプチドは、天然、合成又は人工のタンパク質、ペプチド又はポリペプチド、例えば抗体、ナノボディ若しくはdAb等の単一可変ドメイン、1つ若しくは複数の単一可変ドメインを含むポリペプチド、又は変異型(例えば突然変異型)であり得る。一実施の形態では、この方法は、タンパク質のアミノ酸配列の規定のアミノ酸(又は幾つかのアミノ酸)のありとあらゆる位置に所定のアミノ酸を導入することを含む。突然変異型は、a)個々に生成し、これにより別々に処理及び/又は評価し得るか、又はb)規定のアミノ酸位置の1つ又は複数の位置に及び集合的に位置ごとに、所定のアミノ酸を有する突然変異型タンパク質を含有するタンパク質ライブラリを作製し得る。この方法により、タンパク質、例えば抗体又は単一可変ドメインの安定化における特定のアミノ酸の役割を体系的に評価することが可能になる。
本発明は、保存時に生成されるタンパク質、例えば抗体又は単一可変ドメインの主な変異型の幾つかが、
i.典型的に「接近しやすい(accessible)」メチオニンのみで起こる酸化事象(複数可)(1つの酸化事象のみの場合+16Daの変異型)(ここで、酸化はインキュベーション温度及び時間と並行して保存中に増大する)、
ii.ピログルタミン酸の形成をもたらすE1残基(存在する場合)の環化、及び
iii.例えばDG、DS、NG又はNSモチーフでのアスパラギン酸又はアスパラギンの異性化又はアミド分解(ここで、異性化はインキュベーション温度及び時間と並行して保存中に増大する)の結果であることを規定している。
本発明は、この観察結果を利用し、不安定性のこれらの有力「源」に焦点を当てると共に、有力候補物質を選択するか、又はa)部位特異的突然変異誘発により提供することができる、さらに安定化するタンパク質、抗体若しくは単一可変ドメインの個々の突然変異型又はb)所定のアミノ酸を含有する領域に対して設計されたアミノ酸配列の変異を全てコードするオリゴヌクレオチドの単一混合物を合成することにより生成することができる、突然変異型タンパク質、抗体若しくは単一可変ドメインのライブラリのいずれかを作製するためにこの情報を使用するのに便利な方法を提供する。本発明の一実施の形態では、このオリゴヌクレオチド混合物を、合成の各縮合工程に、突然変異する配列(例えば、野生型配列)のヌクレオチドと、所定のアミノ酸のコドンに必要とされるヌクレオチドとの両方を組み込むことにより合成する。突然変異する配列のヌクレオチドが所定のアミノ酸に関するヌクレオチドと同じである場合、さらにヌクレオチドを付加することはない(例えば特許文献1も参照されたい)。
本発明の特定の実施の形態において、例えば選択的突然変異誘発、及びその後の上記タンパク質、ポリペプチド、抗体又は単一可変ドメインの例えば機能的特性、例えば結合特性の解析により、タンパク質、ポリペプチド、抗体又は単一可変ドメインの同定された上記の不安定性「源」を置き換える規定のアミノ酸が提供される。
この突然変異誘発方法を、スクリーニング(例えば結合親和性に関する)に実用的な大きさである、小さい群の突然変異型タンパク質又はライブラリを作製するのに使用することができる。この方法を、タンパク質の安定性及び機能における特定のアミノ酸の役割を研究するのに、並びに酵素、抗体、その結合断片又は類似体、一本鎖抗体、単一可変ドメイン、ナノボディ(登録商標)、dAb、単一ドメイン抗体及び触媒抗体等の新規の又は安定化したタンパク質及びポリペプチドを開発するのに使用することができる。
国際公開第9115581号パンフレット
タンパク質の研究により、或る特定のアミノ酸がその安定性及び機能において重要な役割を果たすことが明らかになっている。例えば、個別の数のアミノ酸だけが酵素の触媒事象又は抗体の結合に関与すると考えられる。
或る特定のアミノ酸が特に不安定化しやすいことが明らかであるにもかかわらず、或るアミノ酸がこのような影響を有するにはどの位置(単数又は複数)を占めなければいけないかを確実に予測することは、不可能ではないにしても困難である。不運なことに、タンパク質におけるアミノ酸側鎖の複雑な空間配置、及び例えば抗体のフレームワーク又はCDR領域における異なる側鎖の相互関係は、このような予測を可能にするのに十分には理解されていない。上記で指摘したように、ランダム化突然変異誘発は、さらに小さいタンパク質、ペプチド又はポリペプチドで非常に多く変異が起こり得ることを考慮して、タンパク質の安定性及び機能の研究に対する有用性が制限されている。
本発明の方法は、タンパク質の安定性及び機能に対する、特定のアミノ酸の重要性及びタンパク質の規定の領域内のそれらの位置を評価する、並びに有用な、例えば安定化したタンパク質を産生する、体系的且つ実用的なアプローチを提供する。この方法は、或る特定の所定のアミノ酸がタンパク質、例えば抗体の特有の安定性に重要であるという仮定から始まっている(例えば、抗体のCDRにおけるアスパラギン酸の異性化の研究に関しては、A A Wakankar et al., 2007, Biochemistry, 46, 1534-1544を参照されたい)。
所定のアミノ酸を選択すると共に、研究するタンパク質の突然変異型のライブラリを、所定のアミノ酸をタンパク質の選択されたアミノ酸位置それぞれに組み込むことにより作製する。例えば表B−2で列挙されるように、様々な突然変異型を本発明により提案される規則に従って生成する。
当業者は、選択された残基を置き換えるための適当なアミノ酸の選択において、さらなる検討、例えばナノボディ又はDabを含むポリペプチドの免疫原性を下げることを適用することができることは、本明細書中に記載の全ての実施の形態の包括的態様であることを理解している。例えば、ナノボディとの関連では、ヒトフレームワーク領域の対応位置に存在するM(又は本明細書中で述べられる任意の他の残基又はモチーフ)の置き換えに関するアミノ酸を選択することが有益であり得る。さらなる参照として、当業者は、国際公開第2009/004065号パンフレット及び/又は国際公開第2009/004066号パンフレットの教示も考慮することができる。
突然変異型タンパク質のライブラリは、置き換えのために設計されるそれぞれの選択されたアミノ酸に所定のアミノ酸を有する個々のタンパク質を含有する。このタンパク質ライブラリは、例えば完全なランダム突然変異、すなわち例えば「ウォークスルー」突然変異により生成される突然変異型ライブラリに比べて、安定性が改善し、且つ機能的活性が保持される突然変異型を含有する可能性が非常に高い。このため、所望の種類の突然変異型がライブラリで濃縮される。適当な時間枠で生成された突然変異型のより迅速且つ詳細な解析が可能になるため、このことが重要である。
別の実施の形態において、所定のアミノ酸(例えば不安定であり得る同定されたアミノ酸を置き換える他の天然の19個のアミノ酸の内の1つ)が、タンパク質のDG、DS、NG又はNSモチーフで同定されたアミノ酸を置き換え、ここで上記モチーフは、例えば同定されたアミノ酸モチーフが抗体のCDR中に見出され得るように溶媒に曝される。好ましくは所定のアミノ酸は、D若しくはNが置き換えられる場合、Q、E、好ましくはEの群から、又はS若しくはGが置き換えられる場合、T若しくはAの群から選択される。さらなる実施の形態では、置き換えられることが予め定まっているアミノ酸、例えば他の天然の19個のアミノ酸の内の1つは同定されたメチオニンを置き換え、好ましくは上記メチオニンは強制酸化に感受性があり、また好ましくは上記予め定まっているアミノ酸(amino acid amino)はA及びTから成るアミノ酸群から選択される。さらなる実施の形態では、所定のアミノ酸、例えば他の天然の19個のアミノ酸の内の1つ、好ましくはDが、末端のE(存在する場合)を置き換える。突然変異した分子及び/又は所望の構造の構造情報又はモデリングに基づくさらなる考察を、突然変異誘発の候補位置のサブセットを簡素化するのに又は絞り込むのにさらに使用することができる。さらに、或る特定の同定された位置にわたるアラニンスクリーニングは、安定化するタンパク質の機能的特性に重要なアミノ酸を迅速に同定することができる。さらなる実施の形態では、様々な突然変異型からのラーニングを組み合わせて、(この方法が開始時に使用した元のタンパク質と比較して)突然変異誘発させたアミノ酸を2つ以上有する突然変異型を生成することができる。
別の実施の形態において、本発明は、例えばこれらのタンパク質を特異的に安定化、不安定化するか、又は不安定化手段の後に再安定化し得るように修飾する単一可変ドメインを含むポリペプチド等のタンパク質の安定化を可能にする方法を提供する。所望の効果がタンパク質を不安定化することである(例えば短いin vivo半減期が例えば血液凝固に機能的に関与する分子に重要である)場合、基本的に本発明の方法を反転する。要するに、DG、DS、NG又はNS等の不安定化アミノ酸モチーフは、例えば抗体に対して好適な、すなわち非機能的な領域、結合に直接関与しない領域に導入されるか、又は例えば好適な、すなわち溶媒に曝されたDG、DS、NG若しくはNSモチーフを置き換える。好ましくは任意のこのような突然変異型は、重要な生物学的機能性、例えば抗体の結合親和性又は酵素の触媒活性を失ってはいない。
ライブラリの大きさは突然変異誘発させるアミノ酸の数に応じて異なる。好ましくはライブラリは、50個未満、より好ましくは40個未満、より好ましくは30個未満、より好ましくは20個未満の突然変異型、より好ましくは10個未満の突然変異型を含有するように設計される。
別のアプローチでは、対象の遺伝子が一本鎖プラスミド上に存在する。例えば、遺伝子をM13ファージベクター、又はヘルパーファージの使用により一本鎖分子の伝播を可能にする糸状ファージの複製起点を有するベクターにクローニングすることができる。一本鎖鋳型を一組の縮重プローブでアニーリングすることができる。プローブを伸長及びライゲーションし、それにより各変異型の鎖を、適当な宿主に導入することができる分子集団に組み込むことができる(Sayers, J. R. et al., Nucleic Acids Res. 16: 791-802 (1988))。このアプローチにより、複数のドメインが突然変異誘発のために選択される複数のクローニング工程を避けることができる。
またポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を、縮重オリゴヌクレオチドを遺伝子に組み込むのに使用することができる。例えば、縮重オリゴヌクレオチド自体を伸長のためのプライマーとして使用することができる。
この実施の形態において、A及びBは変異原性カセット又は「ウィンドウ」をコードする縮重オリゴヌクレオチド集団であり、このウィンドウは互いに相補的である(オリゴのジグザグ部分は縮重部分を表す)。A及びBは、増幅のための3’末端上の鋳型に相補的な野生型配列も含有し、このためウィンドウを組み込む断片を生成することが可能な増幅のためのプライマーである。C及びDは、対象の遺伝子又は領域全体を増幅することができるオリゴヌクレオチドであり、組み込まれた変異原性ウィンドウを有するものを含む(Steffan, N. H. et al., Gene 77: 51-59 (1989))。A及びBからプライム伸長した(primed)伸長生成物は、その相補的ウィンドウを通してハイブリダイズさせると共に、プライマーとしてC及びDを使用して全長分子の生成のための鋳型を提供することができる。C及びDは、クローニングに都合がいい部位を含有するように設計することができる。それから増幅断片をクローニングすることができる。
上記の技法又は他の好適な技法のいずれかにより作製される突然変異型ライブラリを、所望の安定性及び活性を有する突然変異型を同定するのにスクリーニングすることができる。スクリーニングを任意の適当な手段で行うことができる。例えば、結合親和性を、好適なアッセイ、例えばビアコア測定、標準的なイムノアッセイ及び/又はアフィニティクロマトグラフィで確かめることができる。
本発明の方法を、不安定性の有力源を有する、本発明に従って同定されたタンパク質を安定化するのに使用することができる。これまでの記載は、タンパク質に集中していたが、この方法は、ポリペプチド、抗体、ナノボディ及びdAb等の単一可変ドメインを含むポリペプチド、並びにマルチサブユニットタンパク質にも適用されることを理解されたい。本発明の方法により野生型タンパク質で突然変異誘発させることが提案されるアミノ酸は、2つ以上のアミノ酸である可能性があり、好ましくは野生型タンパク質の他の特性には影響を与えない。
通常、研究される領域は結合ドメイン又は触媒ドメイン等のタンパク質の機能的ドメインである。例えばこの領域は、免疫グロブリンの超可変領域(相補性決定領域、すなわちCDR)、酵素の触媒部位、又は結合ドメインであり得る。
上述のように、突然変異誘発のために選択されるアミノ酸は一般的に、対象の機能ではなく安定性に関与することが知られているか、又は関与すると考えられている場合、これらの既知のものから選択される。20個の天然アミノ酸はその側鎖だけが異なっている。各側鎖は各アミノ酸を特有のものにする化学的特性に関与する。レビューのために、Principles of Protein Structure, 1988, by G. E. Schulz and R.
M.Schirner, Springer-Verlagを参照されたい。
側鎖の化学的特性により、選ばれた数の天然アミノ酸だけが触媒事象に優先的に関与すると考えられる。これらのアミノ酸は、Ser、Thr、Asn、Gln、Tyr及びCys等の極性及び中性のアミノ酸群と、Asp及びGlu、Lys及びArg、特にHisアミノ酸等の荷電アミノ酸群とに属する。
典型的な極性及び中性の側鎖は、Cys、Ser、Thr、Asn、Gln及びTyrの側鎖である。またGlyは、この群の境界となる成員であるとみなす。Ser及びThrは、水素結合を形成するのに重要な役割を果たす。Thrはβ炭素でさらに不斉性を有し、そのため1つの立体異性体だけを使用する。また酸アミドGln及びAsnは、水素結合を形成することができ、アミド基が水素供与体として機能し、カルボニル基が水素受容体として機能する。GlnはAsnよりも1つ多くCH基を有し、これにより極性基をより柔軟にすると共に、主鎖との相互作用が低減する。Tyrは、高pH値で解離することができる、非常に極性のあるヒドロキシル基(フェノール性OH)を有する。Tyrは、多少荷電側鎖のように挙動するが、その水素結合の方が強い。
中性の極性酸は、表面及びタンパク質分子内に見出される。内部残基として、これらの酸は通常、互いに又はポリペプチド骨格と水素結合を形成する。Cysはジスルフィド架橋を形成することができる。
ヒスチジン(His)は、複素環芳香族側鎖を有し、pK値は6.0である。生理学的pH範囲で、そのイミダゾール環は、溶液から水素イオンを取り込んだ後、非荷電又は荷電であり得る。これらの2つの状態を容易に利用可能なので、Hisは化学反応を触媒するのに非常に適している。Hisは酵素のほとんどの活性中心に見られる。
Asp及びGluは生理学的pHで負に荷電している。これらの短い側鎖のために、主鎖に関してはAspのカルボキシル基の方が堅固である。これは、多くの触媒部位でのカルボキシル基がGluではなくAspにより与えられる理由であり得る。荷電酸は一般的にタンパク質表面で見られる。
さらに、Lys及びArgが表面で見られる。これらは長く且つ柔軟な側鎖を有する。Lys及びArgを周囲溶液中で揺動すると、タンパク質小球の溶解性が増大する。場合によっては、Lys及びArgは、内部の塩架橋を形成するのに係わるか、又は触媒反応を助ける。タンパク質表面でLys及びArgが曝されることから、Lysは、側鎖を修飾する又はLys残基のカルボニル末端でのペプチド鎖を切断する酵素による攻撃をより頻繁に受ける残基である。
触媒的に重要なアミノ酸を領域に導入するために、本発明は優先的に、所定のアミノ酸が以下の群のアミノ酸の内の1つである突然変異誘発に関する:Ser、Thr、Asn、Gln、Tyr、Cys、His、Glu、Asp、Lys及びArg。しかしながら、結合を変える、又は新たな結合親和性を生じるために、20個の天然アミノ酸のいずれも選択することができる。
重要なことに、タンパク質の幾つかの異なるアミノ酸を、同時に又は連続して突然変異誘発させることができる。同じ又は異なるアミノ酸は、不安定性の有力源のそれぞれの同定されたアミノ酸位置で「ウォークスルー」し、それらの保持又は非保持機能、例えば結合特性に関して確認することができる。
本発明の方法は、様々な種類の安定化したタンパク質の設計に関する新たな可能性を切り開いている。新規の構造を、本発明の方法により関連のアミノ酸だけを突然変異することで、既存のタンパク質の天然「スカフォールド」上に構築することができる。
本発明の方法は特に、抗体分子を修飾するのに有用である。本明細書中に使用されるように、抗体分子又は抗体は、抗体又はその一部、例えば全長抗体、Fv分子、又は他の抗体断片、個々の鎖又はその断片(例えばFvの一本鎖)、一本鎖抗体、ナノボディ及びdAb等の単一可変ドメイン、並びにキメラ抗体を表す。本発明の方法により提起されるような変化を、抗体の可変領域及び/又はフレームワーク(定常)領域に導入することができる。可変領域の修飾により、安定性だけでなく、抗原結合特性及び触媒特性がより良好な抗体を産生することができる。
本発明の方法は、単一可変ドメインを含む安定化したポリペプチドの設計、並びにナノボディ(登録商標)、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」、又はそのフォーマット版、例えば診断及び/又は治療としての多価又は多量体の結合特性を有する、ナノボディ及び/又はdAbを含むポリペプチド等の安定化した単一可変ドメインを含む上記ポリペプチドの新規の使用に特に適している。
診断及び治療としての単一可変ドメインを含むポリペプチドの使用は急速に拡大している分野であり、単一可変ドメインを含む上記ポリペプチドに関する研究は、特にin vivoでの半減期延長と、薬剤の高温、例えば室温以上での規制認可可能な長期保存特性を得る可能性とについて調査している。
例えばラマ由来のナノボディ等の天然単一可変ドメイン又は遺伝子組み換えラクダ化dAbは、保存における長期安定性に、及び/又はin vivoでの長期有効作用には適しておらず、このためそれらの内の少なくとも幾つかは、一般的に従来の抗体よりも安定と考えられるが、依然として不安定であり得る、すなわち或る特定の温度での要求される規制保存時間、又は体温での延長したin vivo半減期に適合するのに十分安定ではないことがある。
このため、当該技術分野においてこのような単一可変ドメインを含むポリペプチドにおける不安定性の有力源を同定する、及び上記ポリペプチドを修飾、例えば安定化又は不安定化する方法を見出す必要性がある。本発明は特に、アミノ酸配列の特異的突然変異により、単一可変ドメインを含む上記ポリペプチドを修飾、例えば安定化又は不安定化する方法に焦点を当てている。
上記で述べられた一般原理と同様に、本発明の方法は、単一可変ドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドに関する安定性プロファイルの変更、例えば改善又は低減を達成するために、以下の主な戦略の1つ又は複数を提供する:a)Asp(D)及びAsn(N)の異性化を回避する、すなわち単一可変ドメインのCDRにおいて、Asp(D)及びAsn(N)、特にAsp−Gly(DG)、Asp−Ser(DS)、Asn−Gly(NG)及びAsn−Ser(NS)の存在に関して配列を調べると共に、少なくとも1つの生物活性、例えば結合親和性が保存されるように、Asp及び/又はAsnを他のアミノ酸に置き換える、例えば関連のAsp及び/又はAsnを例えばGlu(E)又はGln(Q)等の別のアミノ酸に置き換える、b)Metの酸化を回避する、例えば酸化、特に強制酸化されやすいMetに関して確認し、酸化又は強制酸化に耐性がない場合、少なくとも1つの生物活性、例えば結合親和性が保存されるように、Metを他のアミノ酸に置き換える、例えば関連のMetを例えばAla又はThr等の他のアミノ酸に置き換える、及び/又はc)N末端のGluを回避するか、若しくはN末端のGluを代替的なN末端、例えばAspに置き換える。単一可変ドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドを、例えば急性及び/又は局所治療に使用するために不安定化させる必要がある場合(ここでは短期有効性のみが望まれる)、例えば手術中に血液凝固を増大させる必要がある場合、上記の戦略を反転して使用する、例えばAsp異性化又はAsn異性化、好ましくはAsp異性化を助けるために、CDRにおけるNX又はDXをNG、NS、DG又はDSモチーフに置き換える。
本発明の実施の形態の内の1つにおいて、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるN又はD、好ましくはNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、N又はDをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な(例えば真核又は原核)生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法が提供される。
必要に応じて、単一可変ドメインを、生物から単離すると共に、任意で当業者によく知られる方法に従って精製することができる。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列が存在する場合、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)好適な(例えば真核又は原核)生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法が提供される。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、NG、NS、DG又はDSモチーフをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程であって、上記アミノ酸又はモチーフが表面露出し、H−結合供与残基が不安定化したN又はDに密接している、調べる工程、及び
b)a)でヌクレオチド配列が同定される場合、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)好適な(例えば真核又は原核)生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法が提供される。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法/プロセスであって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が(例えば高温での長期保存、及びRPCプロファイルにおけるその後のプレピークの観察により(実験部を参照されたい))行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法/プロセスであって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG又はDGをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が(例えば高温での長期保存、及びRPCプロファイルにおけるその後のプレピークの観察により(実験部を参照されたい))行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、NA、NT、DA又はDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法/プロセスであって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が(例えば高温での長期保存、及びRPCプロファイルにおけるその後のプレピークの観察により(実験部を参照されたい))行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、ES、QS、NA、NT、DA又はDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明の別の実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法/プロセスであって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、DG、NS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS、又は好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明の好ましい実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片に対して、この方法を行い、ここで特にD又はNの後にS又はGが続く、及び/又は上記DG、NG、DS又はNSがポリペプチドの単一可変ドメインのCDR、好ましくはCDR2又はCDR3、より好ましくはCDR3内にある場合、このD又はNに対する少なくとも1つのコドンをポリペプチドの単一可変ドメインの遺伝子において置き換え、真核生物又は原核生物を形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、その断片又はその誘導体を発現する。
本発明の好ましい実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片に対して、この方法を行い、ここで特にMがCDR、好ましくはCDR2若しくはCDR3、より好ましくはCDR3内にあるか、又はMがポリペプチドの単一可変ドメインの77位(カバットナンバリングを使用する)にある場合、このMに対する少なくとも1つのコドンをポリペプチドの単一可変ドメインの遺伝子において置き換え、真核生物又は原核生物を形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、その断片又はその誘導体を発現する。
本発明の好ましい実施の形態において、安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片に対して、この方法を行い、ここでE1(ナノボディに関するカバットナンバリング)(存在する場合)を好ましくはDに置き換え、真核生物又は原核生物を形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、その断片又はその誘導体を発現する。
本発明による方法又はプロセスは、少なくとも単一可変ドメイン(安定化することを目的とする)を含むポリペプチドをシークエンシングし、そのドメイン配列をKabat et al.(1991、以下)の配列で記載されたコンセンサス配列と比較するか、又は連続的にナンバリングするように使用される。アミノ酸位置は、配列の最大相同性又は同一性で規定される。その後、1つ又は幾つかのコドンを本発明に従って、有利には突然変異誘発により修飾することができる。1つのコドンの特異的な置換が既に抗体の安定性にかなりの変化をもたらし得ることが分かっている。しかしながら、2つ、3つ又はそれ以上のコドンが修飾されるのが好ましい。所望の適用目的に重要な抗体の他の特性(例えば親和性、プロテアーゼ安定性、選択性)が悪影響を受ける場合、置換数は上限に達している。
実施例に基づきこの手法を明らかにすることが意図される。初めにアミノ酸位置を、Kabat(1991、以下)の表を用いた配列比較(最大相同性)により決定する。
配列番号2の場合、アミノ酸D105(通し番号、図面、例えば図4を参照されたい)が異性化を受けること、及びこの異性化が高温での長期保存中の効力喪失の基となる主要な分子機構であることが分かっている(実験部を参照されたい)。しかしながら、D105のE105による置き換え、すなわち配列番号2のD105Eの突然変異型は、言及された高温での経時的な親和性の喪失を防ぎ、二価形態でフォーマットされると、配列番号2を有する野生型ポリペプチドに匹敵する全親和性を有する(これも実験部を参照されたい)。したがって、本発明による方法を使用することにより、配列番号2の結合親和性を喪失することなく、安定型、すなわち配列番号2の好ましい突然変異型、すなわち配列番号2のD105E突然変異型を得ることが可能である。他の例が実験部で開示される。
本発明の別の実施の形態において、ポリペプチド、誘導体又は断片の上記ライブラリをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において機能的ポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを製造する方法/プロセスであって、上記で開示されたプロセス工程のいずれか、並びに加えて
a)任意のMが存在するか否かを確認し、また任意でMが強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、Mを、例えばV、L、A、K、G、I、T、好ましくはT、L又はA、より好ましくはA又はT、より好ましくはAに置き換えることによりライブラリ中にさらなる成員を生成すること、及び
b)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、本発明のポリペプチド、断片又は誘導体を発現すること、
を含む、方法/プロセスが提供される。
当業者は、Mを置き換えるための適当なアミノ酸の選択において、さらなる検討、例えばナノボディ又はDabを含むポリペプチドの免疫原性を下げることを適用することができることを理解している。例えば、ナノボディとの関連では、ヒトフレームワーク領域の対応位置に存在するMの置き換えに関するアミノ酸を選択することが有益であり得る(実験部、例えば実施例4のM78T突然変異を参照されたい)。
本発明の別の実施の形態において、ナノボディの上記ライブラリをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物においてナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを製造する方法/プロセスであって、上記で開示されたプロセス工程のいずれか、並びに加えて
a)Mが77位(カバットナンバリングを使用する)に存在するか否かを確認し、また任意でMが強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、Mを、例えばT、V、L、A、K、G、I、好ましくはT、L又はA、より好ましくはA又はT,より好ましくはAに置き換えることによりライブラリ中にさらなる成員を生成すること、及び
b)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、本発明のポリペプチド、断片又は誘導体を発現すること、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明の別の実施の形態において、機能的ポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法/プロセスであって、上記で開示されたプロセス工程のいずれか、並びに加えて
a)任意のMが存在するか否かを確認し、また任意でMのいずれかが強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、少なくとも1つのMを、例えばV、L、A、K、G、I、好ましくはL又はA、より好ましくはA又はT、より好ましくはAに置き換えること、及び
b)N末端のE(存在する場合)を例えばDに置き換える工程、及び
c)真核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現すること、
を含む、方法/プロセスが提供される。
本発明によるプロセスによりタンパク質又はポリペプチドを安定化しながらも、具体的には抗原に対する親和性等の他の特性を保存するために、出来る限りこれらの特性を損わないようにアミノ酸を置換するのが好ましい。このため、同定したアミノ酸を保存的置換で置き換えるのが好ましい。
本発明によるポリペプチド、その誘導体及びその断片を、当業者によく知られる、組換えタンパク質を作製する方法に従って生成することができる。
本発明に従って修飾したポリペプチドを生成するために、(例えば、Sinha et al., NAR 12 (1984), 4539-4557に記載のようにオリゴヌクレオチド合成により)例えば可変ドメインの完全DNAを合成することが可能である。オリゴヌクレオチドを、例えばInnis,Ed. PCR protocols, Academic Press (1990)及びBetter et al., J. Biol. Chem. 267 (1992),16712-16118に記載のようにPCRによりカップリングすることができる。クローニング及び発現を、例えばAusubel et al, Eds.Current protocols in Molecular Biology, John
Wiley and Sons, New York (1989)及びRobinsonet al., Hum. Antibod. Hybridomas 2 (1991) 84-93に記載のように標準的な方法により行う。特異的な抗原結合活性を、例えばHarlowet
al., Eds. Antibodies; A Laboratory Manual, Chapter 14, Cold Spring
HarborLaboratory, Cold Spring Harbor (1988)及びMunson et al., Anal. Biochem. 407 (1980),220-239に記載のように競合試験により調べることができる。
好適な宿主生物は例えば、CHO細胞、免疫グロブリンを産生しないリンパ球細胞株、酵母、昆虫細胞及び大腸菌等の原核生物である。
本発明のさらなる主題は、タンパク質を変性封入体として原核生物(例えば大腸菌)で単離し、当業者によく知られるプロセス(例えば欧州特許第0364926号明細書を参照されたい)で活性化させるようなプロセスである。
本発明のさらなる主題は、本発明のポリペプチドを、所望の活性を有するサイトゾル中で生物活性的に形成し、サイトゾルから活性形態で直接単離することができるように本発明に従って安定化するプロセスである。
本発明による方法/プロセスは、上述の全ての適用範囲に関してポリペプチド及びタンパク質の安定性を改善させる。さらに、非生理学的条件下での使用に適したポリペプチドのような十分に安定な形態ではこれまでに得ることができなかった、新規の安定なポリペプチド変異型を本発明に従って作製することができる。
本発明のさらなる主題は、例えば、迅速な薬物動態が要求される場合に有利に使用することができる、非破壊的な不安定化ポリペプチドを作製するプロセスである。結果としてこのようなポリペプチドを得るためには、上記のものとは反対に、少なくとも1つのアミノ酸置換を行う必要がある。
定義
a)「標的分子("Target Molecule" or "Target
Molecules")」又は「標的」という用語は、細菌及びウイルスを含む生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおいて、疾患の発症又は進行又は維持に関与し得る生物学的機能を有するタンパク質を意味する。好ましくは上記タンパク質は、ヒト成長ホルモン(hGH)、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)及び黄体形成ホルモン(LH)等の糖タンパク質ホルモン、糖タンパク質ホルモン受容体、カルシトニン、グルカゴン、第VIII因子、抗体、ナノボディ、哺乳動物、特にヒトで良好な耐容性を示し、且つ全身的及び/又は局所的に与えられた場合長い半減期を有する分子、例えば異なる大きさのポリグリコール鎖、例えばPEG−20、PEG−30又はPEG40、肺界面活性剤、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒト組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、ボンベシン、第IX因子、トロンビン、造血成長因子、腫瘍壊死因子(TNF)−α及びTNF−β、エンケファリナーゼ、ヒト血清アルブミン、ミューラー管抑制物質、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、微生物性タンパク質、例えばβラクタマーゼ、組織因子タンパク質、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモン又は成長因子に対する受容体;インテグリン、トロンボポイエチン、プロテインA又はD、リウマチ因子、NGF−β等の神経成長因子、血小板成長因子、形質転換成長因子(TGF)、例えばTGF−α及びTGF−β、インスリン様成長因子−I及びインスリン様成長因子−II、インスリン様成長因子結合タンパク質、CD−4、DNase、潜伏関連ペプチド、エリスロポイエチン、骨誘導因子、インターフェロン−α、インターフェロン−β及びインターフェロン−γ等のインターフェロン、コロニー刺激因子(CSF)、例えばM−CSF、GF−CSF及びG−CSF、インターロイキン(IL)、例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、フォン・ヴィルブランド因子、スーパーオキシドジスムターゼ;崩壊促進因子、ウイルス抗原、GP120、GP140等のHIVエンベロープタンパク質、心房性ナトリウム利尿ペプチドA、B又はC、免疫グロブリン、並びに上記で列挙されたタンパク質のいずれかの断片又は変異型から成る群から選択される。さらに、上記タンパク質は、上述の因子/サイトカインに対する受容体、及び/又は受容体と因子/サイトカインとの複合体であり得る。より好ましくは、上記標的分子は多量体タンパク質であり、さらに好ましくはそのサブユニットがフォン・ヴィルブランド因子(vWF)、IL−6、腫瘍壊死因子−α及び腫瘍壊死因子−β等から成る群から選択される多量体タンパク質である。多量体タンパク質は、ヒト等の生物において多量体構造でサブユニットとして他のものと(典型的に非共有結合的な相互作用により)会合し、典型的に多量体形態でのみ、その生物学的機能を展開することができるタンパク質である。これは、タンパク質の4次構造とも呼ばれる。この会合は、ジスルフィド結合及び反応基質又は補因子との非共有結合的な相互作用により安定化させることもできる。
b)本発明の構築物中に存在する単一可変ドメインは単一抗原結合単位を形成する任意の可変ドメインであり得る。一般的に、このような単一可変ドメインは、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)及び3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)、又は(したがって通常、本明細書中にさらに記載のように、少なくとも1つのCDRを形成するアミノ酸残基を少なくとも幾つか含有する)このようなアミノ酸配列の任意の好適な断片から本質的に成るアミノ酸配列である。このような単一可変ドメイン及び断片は、免疫グロブリンフォールドを含むか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することが可能であるようなものが最も好ましい。したがって、単一可変ドメインは、単一抗原結合単位(すなわち例えば、機能的な抗原結合ドメインを形成するのに、例えばV/V相互作用により別の可変ドメインと相互作用する必要がある、例えば従来の抗体及びScFv断片に存在する可変ドメインの場合のように、機能的な抗原結合単位を形成するのに、単一抗原結合ドメインが別の可変ドメインと相互作用する必要がないような本質的に単一可変ドメインから成る機能的な抗原結合単位)を形成することが可能であれば、例えば軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)若しくはその好適な断片又は重鎖可変ドメイン配列(例えばV配列又はVHH配列)若しくはそれらの好適な断片を含み得る。
例えば、単一可変ドメインは、ドメイン抗体(又はドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、単一ドメイン抗体(又は単一ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸配列)、「dAb」又はdAb(又はdAbとしての使用に好適なアミノ酸配列)、又はナノボディ(商標)(本明細書に規定のように、VHH配列を含むが、これに限定されない)、他の単一可変ドメイン、又はこれらのいずれか1つの任意の好適な断片であり得る。(単一)ドメイン抗体の概説に関しては、上記で言及された従来技術、及び欧州特許第0368684号明細書も参照する。用語「dAb」に関しては、例えばWard et al.(Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6)、Holt
et al.(TrendsBiotechnol., 2003, 21(11):484-490)、例えば国際公開第04/068820号パンフレット、国際公開第06/030220号パンフレット、国際公開第06/003388号パンフレット、及びDomantisLtd.の他の公開特許出願を参照する。哺乳動物起源ではないため、本発明との関連ではあまり好ましくはないが、単一ドメイン抗体又は単一可変ドメインは、或る特定種のサメ由来である可能性があることにも留意すべきである(例えばいわゆる「IgNARドメイン」、例えば国際公開第05/18629号パンフレットを参照されたい)。
特に、本発明のアミノ酸配列はナノボディ(商標)又はその好適な断片であり得る(備考:ナノボディ(Nanobody)(商標)、ナノボディ(Nanobodies)(商標)及びナノクローン(商標)は、Ablynx N. V.の商標である)。VHH及びナノボディのさらなる説明に関しては、Reviews inMolecular Biotechnology 74(2001), 277-302におけるMuyldermansによる総説、及び一般的な背景技術として言及される以下の特許出願:VrijeUniversiteit Brusselの国際公開第94/04678号パンフレット、国際公開第95/04079号パンフレット、及び国際公開第96/34103号パンフレット;Unileverの国際公開第94/25591号パンフレット、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第00/40968号パンフレット、国際公開第00/43507号パンフレット、国際公開第00/65057号パンフレット、国際公開第01/40310号パンフレット、国際公開第01/44301号パンフレット、欧州特許第1134231号明細書及び国際公開第02/48193号パンフレット;VlaamsInstituut voor Biotechnologie(VIB)の国際公開第97/49805号パンフレット、国際公開第01/21817号パンフレット、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第03/054016号パンフレット及び国際公開第03/055527号パンフレット;AlgonomicsN.V.及びAblynx N. V.の国際公開第03/050531号パンフレット;カナダの国家研究会議(National ResearchCouncil)による国際公開第01/90190号パンフレット;Institute of Antibodiesによる国際公開第03/025020号パンフレット(=欧州特許第1433793号明細書);並びにAblynxN.V.による国際公開第04/041867号パンフレット、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/062551号パンフレット、国際公開第05/044858号パンフレット、国際公開第06/40153号パンフレット、国際公開第06/079372号パンフレット、国際公開第06/122786号パンフレット、国際公開第06/122787号パンフレット及び国際公開第06/122825号パンフレット、並びにAblynxN.V.によるさらなる公開特許出願を参照する。これらの出願で言及されるさらなる従来技術、特に国際出願国際公開第06/040153号パンフレットの41頁〜43頁で言及される参考リストも参照する(このリスト及び参考文献は参照により本明細書に援用される)。これらの参考文献で記載のように、ナノボディ(特にVHH配列及び部分ヒト化ナノボディ)は特に、1つ又は複数のフレームワーク配列における1つ又は複数の「特徴的な(Hallmark)残基」の存在を特徴とし得る。ナノボディのヒト化及び/又はラクダ化、及び他の修飾体(modifications)、その一部又は断片、誘導体又は「ナノボディ融合体」、多価構築物(リンカー配列の幾つかの非限定的な例を含む)、並びにナノボディ及びその調製物の半減期を増大する様々な修飾を含む、ナノボディのさらなる説明は例えば、国際公開第07/104529号パンフレットに見ることができる。
c)「高親和性」は本明細書中で使用される場合、生理学的条件下で一価の結合ナノボディの解離定数(Kd)が100nM未満、好ましくは10nM、より好ましくは1nM、さらにより好ましくは100pM、最も好ましくは10pMであることを意味し、当該技術分野で標準的な手法により測定される。
d)「高結合活性」は本明細書中で使用される場合、生理学的条件下で二価又は多価の結合ナノボディの解離定数(Kd)が100nM未満、好ましくは10nM、より好ましくは1nM、さらにより好ましくは100pM、最も好ましくは10pMであることを意味し、当該技術分野で標準的な手法により測定される。
e)「堅固な二次構造」は本明細書中で使用される場合、α−へリックス、310へリックス、π−へリックス、並行及び逆並行β−シート、並びに反転折り返し構造(reverse turns:逆ターン)で見られるような規則的な反復構造を示す任意のポリペプチドセグメントを意味する。認識可能な幾何学的秩序を欠く或る特定の「非秩序」構造も、標的と相互作用可能なアミノ酸残基のドメイン又は「パッチ」を形成する場合、及び構造の形全体が構造内でのアミノ酸の置き換えによっては破壊されない場合、堅固な二次構造の定義に含まれる。幾つかの非秩序構造は反転折り返し構造の組み合わせであると考えられる。これらの堅固な二次構造の形状は、ペプチド「骨格」のα炭素に関するφ及びψねじれ角度で十分に規定される。二次構造をポリペプチドの表面に曝す必要があるのは、標的分子に曝し、且つこれと結合することができるアミノ酸残基のドメイン又は「パッチ」を提供するためである。これは主に、ファージ表面上に提示される構造的に関連した(突然変異型)結合ポリペプチドの「ライブラリ」を形成する突然変異誘発により置き換えられる、これらのアミノ酸残基であり、これらから新規のポリペプチドリガンドが選択される。ポリペプチド内部へと向かうアミノ酸残基の突然変異誘発又は置き換えは一般的に回避され、このため堅固な二次構造の構造全体が保存される。堅固な二次構造の内部領域でのアミノ酸の、特に疎水性アミノ酸残基による置き換えの幾つかは耐容性である可能性があり、これはこれらの保存的置換がポリペプチドの構造全体を変形させる可能性が低いためである。
f)「リーダー配列」は本明細書中で使用される場合、メッセンジャーRNA(mRNA)及びそれをコードするDNAの特定部分を意味する。リーダー配列は、+1位(転写が始まる場所)で始まり、コーディング領域の開始コドン(通常AUG)の直前で終わる。リーダー配列は通常、細菌に、シャイン・ダルガノ(Shine-Delgarno)配列(AGGAGGU)としても知られるリボソーム結合部位(RBS)を含有する。5’UTRは100以上のヌクレオチド長であることがあり、3’UTRはさらに長くてもよい(最大で数キロベース長)(Molecular Cell Biology, 5th edition, Lodish et al. p113, chapter 4.2)。特に他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は、当業者にとって明らかな、当該技術分野における通常の意味を有する。例えば標準的なハンドブック(例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(2nd.Ed.),Vols. 1-3, Cold Spring Harbor
Laboratory Press(1989)、F.
Ausubel et al, eds.,"Current protocols in molecular biology", Green
Publishing and WileyInterscience, New York(1987)、Lewin, "Genes II", John Wiley &Sons, New York, N.Y.,(1985)、Old et al., "Principles of Gene
Manipulation:An Introduction to Genetic Engineering", 2nd edition, University
ofCalifornia Press, Berkeley, CA(1981)、Roitt et al., "Immunology"(6th.Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001)、Roitt et al., Roitt's EssentialImmunology, 10th Ed.
Blackwell Publishing, UK(2001)、及びJaneway etal., "Immunobiology"(6th
Ed.), Garland Science Publishing/ChurchillLivingstone,
New York(2005))、並びに本明細書で言及される一般的な背景技術を参照する。
g)特に他に指示がなければ、用語「免疫グロブリン配列」は、本明細書で重鎖抗体を表すのに使用されるか又は従来の4鎖抗体を表すのに使用されるかに関係なく、全長抗体、その個々の鎖、及びその全ての部分、ドメイン又は断片(これらに限定されないが、それぞれVHHドメイン又はV/Vドメイン等の抗原結合ドメイン又は断片を含む)の両方を含む一般的な用語として使用される。さらに(例えば「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変ドメイン配列」、「VHH配列」又は「タンパク質配列」等の用語で)本明細書で使用される用語「配列」は一般的に、文脈上さらなる限定的な解釈が要求される場合を除き、関連のアミノ酸配列と、これをコードする核酸配列又はヌクレオチド配列との両方を含むと理解されるべきである。また、「ヌクレオチド配列」という用語は本明細書中で使用される場合、上記ヌクレオチド配列を有する核酸分子も包含し、このため「ヌクレオチド配列」及び「核酸」という用語は、同等であるとみなし、本明細書中で区別なく用いられるものとする。
h)特に他に指示がなければ、具体的に詳しく説明されていない全ての方法、工程、技法及び操作を実施することができ、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で実施する。また例えば、標準的なハンドブック及び本明細書で言及される一般的な背景技術、並びにそこで言及されるさらなる参考文献並びに例えば以下の総説、Presta, Adv. Drug Deliv. Rev. 2006, 58 (5-6): 640-56、Levin andWeiss, Mol. Biosyst. 2006,
2(1): 49-57、Irving et al., J.Immunol. Methods, 2001,248(1-2), 31-45、Schmitz et al., Placenta, 2000, 21
Suppl. A, S106-12、Gonzaleset al., Tumour Biol., 2005,
26(1), 31-43(これらは、親和性成熟等のタンパク質工学技法及び免疫グロブリン等のタンパク質の特異性及び他の所望の特性を改善する他の技法を記載している)を参照する。
i)アミノ酸残基は、表A−2に言及されるように標準的な3文字アミノ酸コード又は1文字アミノ酸コードに従って示す。
表A−2:1文字アミノ酸コード及び3文字アミノ酸コード
非極性非荷電(pH6.0〜7.0で)(3)
アラニン Ala A
バリン Val V
ロイシン Leu L
イソロイシン Ile I
フェニルアラニン Phe F
メチオニン(1) Met M
トリプトファン Trp W
プロリン Pro P
極性非荷電(pH6.0〜7.0で)
グリシン(2) Gly G
セリン Ser S
スレオニン Thr T
システイン Cys C
アスパラギン Asn N
グルタミン Gln Q
チロシン Tyr Y
極性荷電(pH6.0〜7.0で)
リシン Lys K
アルギニン Arg R
ヒスチジン(4) His H
アスパラギン酸 Asp D
グルタミン酸 Glu E
脚注:
(1)極性非荷電アミノ酸とみなされる場合もある。
(2)非極性非荷電アミノ酸とみなされる場合もある。
(3)当業者にとって明らかであるように、アミノ酸残基が、pH6.0〜7.0で荷電又は非荷電のいずれかであるとしてこの表で示されていることは、該アミノ酸残基が6.0より低いpH及び/又は7.0より高いpHで有し得る電荷を全く考慮に入れない。当業者にとって明らかであるように、この表で言及されたアミノ酸残基はこのようなより高い又はより低いpHでも荷電及び/又は非荷電のいずれかであり得る。
(4)当該技術分野で既知のようにHis残基の電荷は、pHのほんのわずかな移行にも強く依存するが、一般的にHis残基は約6.5のpHで本質的に非荷電であるとみなすことができる。
j)2つ以上のヌクレオチド配列を比較するために、[第2のヌクレオチド配列における対応する位置のヌクレオチドと同一な第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの数]を[第1のヌクレオチド配列におけるヌクレオチド総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性」のパーセントを算出することができ、その際、第1のヌクレオチド配列に比べて、第2のヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一ヌクレオチド(位置)での差異とみなされる。代替的に、標準的な設定を用いて、NCBI Blast v2.0等の配列アラインメント用の既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の程度を算出することができる。配列同一性の程度を決定するための幾つかの他の技法、コンピュータアルゴリズム及び設定は例えば、国際公開第04/037999号パンフレット、欧州特許第0967284号明細書、欧州特許第1085089号明細書、国際公開第00/55318号パンフレット、国際公開第00/78972号パンフレット、国際公開第98/49185号パンフレット及び英国特許出願公開第2357768号明細書に記載されている。通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、他のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
k)2つ以上のアミノ酸配列を比較するために、[第2のアミノ酸配列における対応する位置のアミノ酸残基と同一な第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基総数]で除算し、[100%]で乗算することによって、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」(本明細書で「アミノ酸同一性」とも称される)のパーセントを算出することができ、その際、第1のアミノ酸配列に比べて、第2のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、挿入、置換又は付加のそれぞれは、単一アミノ酸残基(位置)での差異、即ち本明細書に規定の「アミノ酸差異」とみなされる。代替的に、ここでもまた標準的な設定を用いて、既知のコンピュータアルゴリズム(例えばヌクレオチド配列に関する配列同一性の程度を決定するのに上記で言及されるもの)を使用して、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を算出することができる。通常、上述で概説された算出方法に従って、2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセントを決定するために、最も多くのアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的な」アミノ酸置換を考慮してもよく、これは一般的に、アミノ酸残基が類似の化学構造を有する別のアミノ酸残基に置き換わり、且つポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性への影響がほとんど、又は本質的に全くないアミノ酸置換と説明することができる。このような保存的なアミノ酸置換は、例えば国際公開第04/037999号パンフレット、英国特許出願公開第3357768号明細書、国際公開第98/49185号パンフレット、国際公開第00/46383号パンフレット及び国際公開第01/09300号パンフレットから当該技術分野において既知であり、このような置換の(好ましい)種類及び/又は組合せは、国際公開第04/037999号パンフレット及び国際公開第98/49185号パンフレット、並びにそこで言及されるさらなる参考文献からの関連の教示に基づいて選択することができる。
このような保存的な置換は、好ましくは以下の(a)群〜(e)群内の或るアミノ酸が、同じ群内の別のアミノ酸残基に置換される置換である:(a)低分子脂肪族で非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly、(b)極性で負に荷電した残基及びその(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln、(c)極性で正に荷電した残基:His、Arg及びLys、(d)巨大な脂肪族で非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys、並びに(e)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。
特に好ましい保存的置換は以下のようなものである:AlaをGlyに又はSerに、ArgをLysに、AsnをGlnに又はHisに、AspをGluに、CysをSerに、GlnをAsnに、GluをAspに、GlyをAlaに又はProに、HisをAsn又はGlnに、IleをLeuに又はValに、LeuをIleに又はValに、LysをArgに、Glnに又はGluに、MetをLeuに、Tyrに又はIleに、PheをMetに、Leuに又はTyrに、SerをThrに、ThrをSerに、TrpをTyrに、TyrをTrpに、及び/又はPheをValに、Ileに又はLeuに。
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換はまた、Schulz et al.,
Principles of Protein Structure, Springer-Verlag,1978によって開発された異なる種の相同タンパク質間のアミノ酸変異頻度の解析に、Chou and Fasman, Biochemistry 13: 211,1974及びAdv.
Enzymol., 47: 45-149, 1978によって開発された構造形成能(structure
forming potentials)の解析に、並びにEisenberget al., Proc. Nad.
Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984、Kyte & Doolittle;
JMolec. Biol. 157: 105-132, 1981、及びGoldman et al., Ann.
Rev. Biophys. Chem. 15:321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づき得る(全て全体が参照により本明細書に援用される)。ナノボディの一次構造、二次構造、及び三次構造に関する情報は、本明細書中の記載及び上記で言及された一般的な背景技術で与えられる。またこのため、ラマ由来のVHHドメインの結晶構造は例えば、Desmyteret al., Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803(1996)、Spinelli et al.,Natural Structural
Biology(1996); 3, 752-757、及びDecanniere et al., Structure,Vol. 7, 4, 361(1999)によって与えられる。従来のVドメインにおいてこれらの位置でV/V界面及び潜在的なラクダ化置換を形成する幾つかのアミノ酸残基に関するさらなる情報は、上記で言及された従来技術で見出すことができる。
l)アミノ酸配列及び核酸配列は、その全長にわたって(本明細書に規定のように)100%の配列同一性を有する場合、「全く同じ」であると言える。
m)2つのアミノ酸配列を比較するとき、用語「アミノ酸差異」は、第2の配列に比べて第1の配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失又は置換を表し、2つのアミノ酸配列は、1つ又は2つ以上のこのようなアミノ酸差異を含有し得ることが理解される。
n)ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が、それぞれ別のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列を「含む」、又は別のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列「から本質的に成る」というとき、これは、後者のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列に組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、初めに言及されたヌクレオチド配列又はアミノ酸配列がそれぞれ、実際にどのように初めに言及された配列を生成又は入手するか(例えば本明細書に記載の任意の好適な方法によるものであり得る)に関係なく、その配列内にそれぞれ後者の配列と同じヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を有するヌクレオチド又はアミノ酸残基のストレッチを含むことを意味する。非限定的な例によって、本発明のナノボディがCDR配列を含むというとき、これは、上記CDR配列が、本発明のナノボディに組み込まれていることを意味し得るが、より一般的に概してこれは、本発明のナノボディが、どのように該本発明のナノボディを生成又は入手するかに関係なく、その配列内に上記CDR配列と同じアミノ酸配列を有するアミノ酸残基のストレッチを含有することを意味する。後者のアミノ酸配列が具体的な生物学的又は構造的な機能を有する場合、初めに言及されたアミノ酸配列において本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を有するのが好ましい(言い換えれば、初めに言及されたアミノ酸配列は、後者の配列が本質的に同じ、類似の又は同等の生物学的又は構造的な機能を果たすことができるようなものであるのが好ましい)ということにも留意すべきである。例えば、本発明のナノボディがそれぞれ、CDR配列又はフレームワーク配列を含むというとき、CDR配列及びフレームワークはそれぞれ、上記ナノボディでCDR配列又はフレームワーク配列として機能することができるのが好ましい。また、或るヌクレオチド配列が別のヌクレオチド配列を含むというとき、初めに言及されたヌクレオチド配列は、発現産物(例えばポリペプチド)に発現する場合、後者のヌクレオチド配列でコードされるアミノ酸配列が上記発現産物の一部を形成するようなもの(言い換えれば後者のヌクレオチド配列が、初めに言及されたより大きなヌクレオチド配列と同じリーディングフレーム内にあるようなもの)であるのが好ましい。
o)核酸配列又はアミノ酸配列は、通常上記供給源又は媒体に関連がある少なくとも1つの他の成分(例えば別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分、又は巨大分子)、又は少なくとも1つの汚染物質、不純物若しくは微量成分から分離されている場合、(例えばその天然の生物学的供給源及び/又はこれが得られる反応媒体又は培養媒体に比べて)「本質的な単離(形態)」であるとみなされる。特に、核酸配列又はアミノ酸配列は、少なくとも2倍、具体的に少なくとも10倍、より具体的に少なくとも100倍、及び最大1000倍以上精製されている場合に、「本質的に単離された」と考えられる。「本質的に単離形態である」核酸配列又はアミノ酸配列は、好適な技法、例えば好適なクロマトグラフィ技法(例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動法)を使用して決定すると、本質的に均一であるのが好ましい。
p)本明細書で使用される用語「ドメイン」は概して、アミノ酸配列の球状領域(例えば抗体鎖、特に重鎖抗体の球状領域)又は本質的にこのような球状領域から成るポリペプチドを表す。通常、このようなドメインは、例えばシートとして、又はジスルフィド結合によって安定化したペプチドループ(例えば3つ又は4つのペプチドループ)を含む。用語「結合ドメイン」は(本明細書で規定されるように)抗原決定基に指向性を有するようなドメインを表す。
q)用語「抗原決定基」は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)によって、及びより具体的には上記分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを表す。用語「抗原決定基」及び「エピトープ」は、本明細書で区別なく使用することもできる。
r)特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、断片若しくはエピトープに関して)と(特異的に)結合することができる、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する親和性を有する、及び/又は特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質に対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、又は概して抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド、又はその断片)は、上記抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質「に対する」、又は「に指向性を有する」と言う。
s)用語「特異性」は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)分子が結合することができる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を表す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性に基づき決定することができる。親和性(抗原と抗原結合タンパク質との解離に関する平衡定数(K)によって表される)は、抗原決定基と抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との間の結合力の評価基準であり、K値が小さくなれば、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合力が大きくなる(代替的に、親和性は、1/Kである親和定数(K)としても表すことができる)。(例えば本明細書中のさらなる開示に基づき)当業者にとって明らかなように、対象となる特異的な抗原に応じて、それ自体が既知の方法で親和性を決定することができる。結合活性は、抗原結合分子(例えば本発明のナノボディ又はポリペプチド)と関連抗原との間の結合力の評価基準である。結合活性は、抗原決定基と抗原結合分子上のその抗原結合部位との間の親和性、及び抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数の両方に関係する。典型的には、抗原結合タンパク質(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチド)は、10−5モル/L〜10−12モル/L以下、及び好ましくは10−7モル/L〜10−12モル/L以下、及びより好ましくは10−8モル/L〜10−12モル/Lの解離定数(K)で(即ち10L/モル〜1012L/モル以上、及び好ましくは10L/モル〜1012L/モル以上、及びより好ましくは10L/モル〜1012L/モルの結合定数(K)で)これらの抗原と結合する。10モル/Lより大きい任意のK値(即ち10−1(L/モル)よりも小さい任意のK値)は一般的に非特異的な結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明の一価の免疫グロブリン配列は、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(500pM未満等)の親和性で所望の抗原と結合する。抗原結合タンパク質と抗原又は抗原決定基との特異的な結合は、それ自体が既知の任意の好適な方法(例えばスキャッチャード解析及び/又は競合的結合アッセイ(例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ)を含む)及び当該技術分野でそれ自体が既知の様々なその変更方法、並びに本明細書で言及される他の技法で求めることができる。当業者にとって明らかなように、解離定数は実際又は見掛けの解離定数であってもよい。解離定数を決定する方法は、当業者にとって明らかであり、例えば本明細書で言及される技法が含まれる。これに関して、10−4モル/L又は10−3モル/Lより(then)大きい(例えば10−2モル/Lの)解離定数を測定することが不可能であり得ることも明らかである。任意で、また当業者にとって明らかなように、(実際又は見掛けの)解離定数は、その関係性(K=1/K)から(実際又は見掛けの)結合定数(K)に基づき算出することができる。親和性は、分子相互作用の強さ又は安定性を示す。一般的に親和性はK即ち解離定数として与えられ、その単位はモル/L(又はM)である。親和性は、1/Kに等しい結合定数Kとも表すことができ、その単位は(モル/L)−1(又はM−1)である。本明細書では、2つの分子(例えば本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドと、その目的標的との)間の相互作用の安定性は主に、これらの相互作用のK値で表され、K=1/Kの関係性を考慮して、K値で分子相互作用の強さを特定することを、対応するK値を算出するのに利用することもできることは、当業者にとって明らかである。K値は、DG=RT.ln(K)(等しくはDG=−RT.ln(K))(式中、Rは気体定数に等しく、Tは絶対温度に等しく、lnは自然対数を示す)の既知の関係性から、結合の自由エネルギー(DG)と関連するので、熱力学的意味でも分子相互作用の強さを特徴付ける。
有意(例えば特異的)とみなされる、生物学的相互作用に関するKは典型的に、10−10M(0.1nM)〜10−5M(10000nM)の範囲内である。相互作用が強くなれば、Kは低くなる。Kは、(K=koff/kon及びK=kon/koffのように)複合体の解離速度定数(koffと称される)と、その結合速度(konと称される)との比としても表すことができる。解離速度(off-rate)koffの単位は、s−1(sは秒のSI単位表記である)である。結合速度konの単位は、M−1−1である。結合速度は、二分子相互作用に関する拡散律速結合速度定数に近づきながら10−1−1〜約10−1−1の間で変化し得る。解離速度は、t1/2=ln(2)/koffの関係性から所定の分子相互作用の半減期に関連する。解離速度は、10−6−1(t1/2が数日である略不可逆的な複合体)〜1s−1(t1/2=0.69s)の間で変化し得る。
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体が既知の様々な技法(例えば既知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ技法(例えばOber et al., Intern. Immunology, 13, 1551-1559, 2001を参照されたい)(ここで、1つの分子がバイオセンサーチップ上に固定され、もう1つの分子が、kon、koff測定値、及びしたがってK(又はK)値が得られるフロー条件下で固定した分子上を通る)で測定することができる。例えば、既知のビアコアの機器を使用してこれを実施することができる。測定プロセスが、例えば1つの分子のバイオセンサ上でのコーティングに関するアーチファクト(artefact:人工産物)によって、示唆した分子の固有の結合親和性に幾らか影響を与える場合、測定されたKは見掛けのKに対応し得ることも、当業者にとって明らかである。また、1つの分子が、もう1つの分子に対して2つ以上の認識部位を含有する場合、見掛けのKを測定することができる。このような状況下で、測定された親和性は、2つの分子による相互作用の結合活性により影響され得る。
親和性を評価するのに使用することができる別のアプローチは、Friguet et al.(J. Immunol. Methods, 77, 305-19, 1985)の2段階ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)法である。この方法によって、溶液相の結合平衡測定が確立され、プラスチック等の支持体上での分子の1つの吸着に関連する、考えられ得るアーチファクトが避けられる。
しかし、Kの正確な測定はかなりの労働集約型である可能性があり、結果として2つの分子の結合力を評価するのに、見掛けのK値を求めることが多い。全ての測定が一貫して(例えばアッセイ条件を一定にして)行われていれば、見掛けのK測定値は真のKの近似値として使用することができ、したがって本明細書で、K及び見掛けのKは、等しい重要性又は関連性があるとして処理されるべきであることに留意すべきである。
最後に、多くの状況下で経験豊かな科学者は、幾つかの参照分子との関係で結合親和性を決定するのに都合がいいと判断することができることに留意すべきである。例えば、分子Aと分子Bとの間の結合力を評価するために、例えば分子Bと結合することが知られており、且つELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)での検出を容易にするためのフルオロフォア若しくはクロモフォア群、又は他の化学部分(例えばビオチン)、又は他のフォーマット(蛍光検出用フルオロフォア、吸光検出用クロモフォア、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出用ビオチン)で好適に標識される参照分子Cを使用することができる。典型的に、参照分子Cは固定濃度に維持し、分子Aの濃度は、分子Bの所定の濃度又は量に対して変化する。結果として、分子Aの非存在下で分子Cについて測定されたシグナルが半分になる分子Aの濃度に対応して、IC50値が得られる。参照分子のKであるKDref及び参照分子の総濃度crefが既知であれば、以下の式:K=IC50/(1+cref/KDref)からA−B相互作用に対する見掛けのKを得ることができる。cref<<KDrefの場合、K≒IC50であることに留意されたい。IC50の測定が、比較用の結合因子に関して一貫して(例えばcrefを一定にして)実施されれば、IC50によって分子相互作用の強さ又は安定性を評価することができ、この測定値は、本明細書を通してK又は見掛けのKと同等であると判断される。
t)本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの半減期は概して、例えば自然機構による配列若しくは化合物の分解及び/又は配列若しくは化合物のクリアランス(clearance)若しくは捕捉(sequestration)のために、in vivoでアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が50%低減するのにかかる時間と定義することができる。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体が既知の任意の方法(例えば薬物動態解析)で求めることができる。好適な技法は当業者にとって明らかであり、例えば概して、好適な用量の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドを温血動物(即ち、ヒト又は別の好適な哺乳動物、例えばマウス、ウサギ、ラット、ブタ、イヌ又は霊長類(例えばマカク属のサル(例えば特にカニクイザル(マカク・ファシクラリス(Macacafascicularis))及び/又はアカゲザル(マカク・ムラット(Macaca
mulatta)))及びヒヒ(パピオ・ウルジヌス(Papio ursinus)))に好適に投与する工程と、血液試料又は他の試料を上記動物から採取する工程と、上記血液試料中の本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度を求める工程と、このようにして得られたデータ(のプロット)から本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのレベル又は濃度が投与時の最初のレベルに比べて50%低減するまでの時間を算出する工程とを伴い得る。例えば、以下の実験部、並びに標準的なハンドブック(例えばKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A
Handbookfor Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete
analysis: A Practical Approach(1996))を参照する。"Pharmacokinetics", MGibaldi & D Perron, published by
Marcel Dekker, 2nd Rev. edition(1982)も参照する。
また当業者にとって明らかなように(例えば国際公開第04/003019号パンフレットの6頁及び7頁とそこに言及されたさらなる参考文献とを参照されたい)、半減期は、t1/2−α、t1/2−β及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを利用して表すことができる。本明細書において、「半減期の増大」は、これらのパラメータのいずれか1つ、例えばこれらのパラメータのいずれか2つ、又は本質的に3つ全てのこれらのパラメータの増大を表す。本明細書で使用される「半減期の増大」又は「増大した半減期」は特にt1/2−βの増大を表し、t1/2−α及び/又はAUCの一方又は両方は増大しても又は増大しなくてもよい。
u)本発明との関連で、「調節("modulating" or "to
modulate")」は一般的に、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ又はin vivoアッセイを使用して測定するような標的又は抗原の活性の低減若しくは阻害のいずれか、又は代替的に活性の増大を意味する。特に「調節すること」は、好適なin vitroアッセイ、細胞アッセイ、又はin vivoアッセイ(通常関与する標的又は抗原によって変わる)を用いて測定するような、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける標的又は抗原の活性に比べて、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上、標的又は抗原の活性を低減若しくは阻害すること、又は代替的に(関連又は対象の)生物学的活性を増大させることを意味し得る。
当業者にとって明らかなように、「調節」は、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下に比べて、そのリガンド、結合パートナー、ホモ多量体形態若しくはヘテロ多量体形態で結び付くパートナー、又は基質の1つ又は複数に対する標的又は抗原の親和性、結合活性、特異性及び/又は選択性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)、及び/又は標的又は抗原が存在する媒体又は環境における1つ又は複数の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対する標的又は抗原の感受性を変化させること(増大又は減少のいずれであってもよい)も伴い得る。当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適なアッセイを用いてさらにこれを求めてもよい。
「調節」は、標的又は抗原が関与する(又はその基質(複数可)、リガンド(複数可)若しくは経路(複数可)が関与する、そのシグナル伝達経路若しくは代謝経路及び関連の生物学的作用若しくは生理学的作用のような)1つ又は複数の生物学的な若しくは生理学的な機構、作用、反応、機能、経路又は活性に関して変化させる(即ち標的又は抗原及び所望の生物学的作用若しくは生理学的作用に応じて、それぞれ、アゴニストとしての、アンタゴニストとしての、又は逆アゴニストとしての活性を与える)ことも意味し得る。ここでも、当業者にとって明らかなように、関与する標的又は抗原に応じて、任意の好適な方法で、及び/又はそれ自体が既知の任意の好適な(in vitro及び通常は細胞又はアッセイ内)アッセイを使用して、アゴニスト又はアンタゴニストとしてのそのような作用を求めてもよい。特に、アゴニスト又はアンタゴニストとしての作用は、対象の生物学的活性又は生理学的活性をそれぞれ、本発明の構築物が存在しない以外は同じ条件下での同じアッセイにおける生物学的活性又は生理学的活性に比べて少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%若しくは少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は90%以上増大又は低減させるようなものであり得る。
調節は例えば、標的又は抗原のアロステリック調節、及び/又は標的若しくは抗原とその基質若しくはリガンドの1つとの結合の低減若しくは阻害及び/又は標的若しくは抗原との結合に対する基質である天然リガンドとの競合も伴い得る。調節は、標的若しくは抗原、又はこれが関与する機構若しくは経路を活性化することも伴い得る。例えば、調節は、標的若しくは抗原のフォールディング若しくは立体配座(confirmation)に関して、又は標的若しくは抗原がフォールディングする能力、(例えばリガンドの結合の際に)その立体配座を変更する能力、他の(サブ)ユニットと会合する能力、又は解離する能力に関して変化させることも伴い得る。調節は例えば、標的若しくは抗原が、他の化合物を輸送する能力、又は他の化合物(イオン等)に対するチャネルとして働く能力を変化させることも伴い得る。
調節は、可逆的であっても又は不可逆的であってもよいが、薬学的及び薬理学的目的では通常、可逆的である。
v)標的又は抗原に関して、標的又は抗原上の「相互作用部位」という用語は、リガンド、受容体若しくは他の結合パートナーとの結合に関する部位、触媒部位、開裂部位、アロステリック相互作用に関する部位、標的又は抗原の多量体化(ホモマー化又はヘテロ二量体化等)に関与する部位である、標的又は抗原上の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン若しくはアミノ酸残基のストレッチ、又は標的若しくは抗原の生物学的作用又は機構に関与する標的又は抗原上の任意の他の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はアミノ酸残基のストレッチを意味する。より一般的には、「相互作用部位」は、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドが、(本明細書中に規定のように)標的又は抗原(及び/又は標的又は抗原が関与する任意の経路、相互作用、シグナル伝達、生物学的機構又は生物学的作用)を調節するように結合することができる、標的又は抗原上の任意の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン又はアミノ酸残基のストレッチであり得る。
w)アミノ酸配列又はポリペプチドは、上記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合する親和性よりも少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍、及び最大10000倍以上良好な親和性(上記のように、好適にK値、K値、Koff速度及び/又はKon速度と表す)で第1の抗原と結合する場合、第2の標的又は抗原と比べて、第1の標的又は抗原「に特異的」であると言う。例えば、第1の抗原は、上記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2の標的又はポリペプチドと結合するKよりも多くとも10分の1、例えば多くとも100分の1、及び好ましくは多くとも1000分の1、例えば10000分の1以下のK値で標的又は抗原と結合し得る。好ましくは、アミノ酸配列又はポリペプチドが、第2の標的又は抗原に比べて第1の標的又は抗原「に特異的」である場合、そのアミノ酸配列又はポリペプチドは、(本明細書中に規定のように)上記第1の標的又は抗原に指向性を有するが、該第2の標的又は抗原に対しては指向性を有しない。
x)用語「交差遮断("cross-block",
"cross-blocked" and"cross-blocking")」は、本明細書中で区別なく使用し、アミノ酸配列又は他の結合剤(本発明のポリペプチド等)が、他の本発明のアミノ酸配列又は結合剤と所定の標的との結合を妨げる能力を意味する。本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤が別のアミノ酸配列又は他の結合剤と[標的]との結合を妨げることができる範囲、ひいては本発明に従って交差遮断するということができるか否かを、競合結合アッセイを使用して求めることができる。1つの特に好ましい定量的なアッセイは、表面プラズモン共鳴技術を用いて相互作用の程度を測定することができるビアコア機器を使用する。別の好適な定量的な交差遮断アッセイは、標的とのこれらの結合に関して、アミノ酸配列又は別の結合剤間の競合を測定するELISAに基づくアプローチを使用する。
概して以下に、アミノ酸配列又は他の結合剤が、本発明に従って交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否かを求めるのに適したビアコアアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列又は他の結合剤のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。ビアコア機器(例えばビアコア3000)は、製造元の推奨に沿って操作する。このように、1つの交差遮断アッセイでは、標的でコーティングされる表面を作製するのに、標準的なアミンカップリングケミストリを用いて、標的タンパク質をCM5ビアコアチップと結合させる。典型的に200個〜800個の標的の共鳴単位をチップに結合させる(容易に測定可能なレベルの結合を与えるが、使用する試験試薬の濃度によって容易に飽和することができる量)。互いに交差遮断する能力を評価する、2つの試験アミノ酸配列(A及びBと呼ばれる)を、好適なバッファー中で、1:1の結合部位のモル比で混合し、試験混合物を作製する。結合部位ベースの濃度を算出する場合、アミノ酸配列の分子量は、アミノ酸配列の全分子量を、このアミノ酸配列上の標的結合部位の数で除算したものであるとみなす。試験混合物中の各アミノ酸配列の濃度は、ビアコアチップ上に捕捉された標的分子上のこのアミノ酸配列に対する結合部位を容易に飽和するのに十分高いものとする。混合物中のアミノ酸配列は、典型的に(結合部位ベースで)1.00マイクロモル〜1.5マイクロモルである(結合ベースの)モル濃度と同じである。A及びBを単独で含有する分離溶液も調製する。これらの溶液中のA及びBは、試験混合物と同じバッファー中で、且つ試験混合物と同じ濃度であるとする。試験混合物を標的コーティングビアコアチップ上に通し、結合総量を記録する。それから、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を取り除くようにチップを処理する。典型的に、チップを30mMのHClで60秒間処理することによってこれを行う。その後、A単独の溶液を標的コーティング表面上に通し、結合量を記録する。さらに、チップを処理し、チップ結合標的を損なうことなく、結合したアミノ酸配列を全て取り除く。それから、B単独の溶液を標的コーティング表面上に通し、結合量を記録する。次に、AとBとの混合物の最大理論結合を算出し、これは単独で標的表面上を通した際の各アミノ酸配列の結合の合計である。実際に記録された混合物の結合がこの理論最大よりも小さい場合、2つのアミノ酸配列は互いに交差遮断している。このように概して、交差遮断する本発明のアミノ酸配列又は他の結合剤は、アッセイ中、及び本発明の第2のアミノ酸配列又は他の結合剤の存在下で、記録された結合が、組合せた2つのアミノ酸配列又は結合剤の最大理論結合(直前に規定)の80%〜0.1%(例えば80%〜4%)、具体的に最大理論結合の75%〜0.1%(例えば75%〜4%)、及びより具体的に最大理論結合の70%〜0.1%(例えば70%〜4%)であるように、上記のビアコア交差遮断アッセイで標的と結合するものである。上記のビアコアアッセイは、アミノ酸配列又は他の結合剤が本発明に従って互いに交差遮断するかどうかを求めるのに使用する主なアッセイである。稀に、特定のアミノ酸配列又は他の結合剤が、CM5ビアコアチップとアミンケミストリを介して結合した標的と結合しないことがある(通常、標的上の関連の結合部位がチップとの結合によって塞がれるか、又は破壊される場合にこれが起こる)。このような場合、標識型、例えばN末端His標識型の標的(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA;2005 cat# 1406−ST−025)を用いて交差遮断を求めることができる。この特定のフォーマットで、抗Hisアミノ酸配列をビアコアチップに結合させた後、His標識した標的をチップの表面上に通し、抗Hisアミノ酸配列で捕捉する。各チップ再生サイクル後に、抗Hisアミノ酸配列コーティング表面上に、新たなHis標識した標的を充填し戻すことを除いて、本質的に上記のように、交差遮断解析を行う。N末端His標識した[標的]を使用する与えられた例の他に、代替的にC末端His標識した標的を使用することができる。さらに、当該技術分野で既知の様々な他の標識及び標識結合タンパク質の組合せをこのような交差遮断解析に使用することができる(例えば、抗HA抗体によるHA標識;抗FLAG抗体によるFLAG標識;ストレプトアビジンによるビオチン標識)。
概して以下に、標的に指向性を有するアミノ酸配列又は他の結合剤が、本明細書中に規定のように、交差遮断するか、又は交差遮断することができるか否か求めるELISAアッセイを説明している。このアッセイは、本明細書中に記載のアミノ酸配列(又は本発明のポリペプチド等の他の結合剤)のいずれかと共に使用することができることが理解されよう。このアッセイの一般原理は、ELISAプレートのウェル上にコーティングした標的に指向性を有するアミノ酸配列又は結合剤を有することである。過剰量の第2の、潜在的に交差遮断する抗標的アミノ酸配列を溶液中に添加する(即ちELISAプレートと結合しない)。それから、限定量の標的をウェルに添加する。コーティングしたアミノ酸配列と溶液中のアミノ酸配列とは、限定数の標的分子の結合に対して競合する。プレートを洗浄し、コーティングしたアミノ酸配列と結合していない過剰な標的を取り除き、また第2の溶液相のアミノ酸配列及び第2の溶液相のアミノ酸配列と標的との間に形成される任意の複合体を取り除く。その後、標的を検出するのに適切な試薬を使用して、結合標的の量を測定する。コーティングしたアミノ酸配列を交差遮断することができる溶液中のアミノ酸配列によって、第2の溶液相のアミノ酸配列の非存在下でコーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数に比べて、コーティングしたアミノ酸配列と結合することができる標的分子の数を低減させることができる。アミノ酸配列を固定化させるように、第1のアミノ酸配列、例えばAb−Xを選択する場合、第1のアミノ酸配列をELISAプレートのウェル上にコーティングし、その後、プレートを好適な遮断溶液で遮断し、その後添加する試薬の非特異的な結合を最小にする。Ab−Y[標的]結合部位の1つのウェル当たりのモル数が、ELISAプレートのコーティング中に使用したAb−X[標的]結合部位の1つのウェル当たりのモル数の少なくとも10倍になるように、その後、過剰量の第2のアミノ酸配列、即ちAb−YをELISAプレートに添加する。それから、添加した[標的]の1つのウェル当たりのモル数が、各ウェルをコーティングするのに使用したAb−X[標的]結合部位のモル数の多くとも25分の1になるように、[標的]を添加する。好適なインキュベート期間の後、ELISAプレートを洗浄し、標的を検出する試薬を添加し、コーティングした抗[標的]アミノ酸配列(この場合、Ab−X)と特異的に結合した標的の量を測定する。アッセイに関するバックグラウンドシグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列(この場合、Ab−Y)、[標的]バッファーのみ(即ち標的が存在しない)及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。アッセイに関する陽性対照シグナルは、コーティングしたアミノ酸配列(この場合、Ab−X)、第2の溶液相のアミノ酸配列バッファーのみ(即ち第2の溶液相のアミノ酸配列が存在しない)、標的及び標的検出試薬を用いてウェル中で得られたシグナルと定義する。陽性対照シグナルがバックグラウンドシグナルの少なくとも6倍になるように、ELISAアッセイを行い得る。どのアミノ酸配列をコーティングアミノ酸配列として使用し、どのアミノ酸配列を第2の(競合)アミノ酸配列として使用するかという選択に起因する任意のアーチファクト(例えば有意に異なる、[標的]に対するAb−XとAb−Yとの親和性)を避けるために、交差遮断アッセイを2つのフォーマットで行い得る:1)フォーマット1は、Ab−Xが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Yが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合であり、また2)フォーマット2は、Ab−Yが、ELISAプレート上にコーティングするアミノ酸配列であり、且つAb−Xが、溶液中にある競合アミノ酸配列である場合である。Ab−X及びAb−Yは、フォーマット1又はフォーマット2のいずれかで、溶液相の抗標的アミノ酸配列が、溶液相の抗標的アミノ酸配列の非存在下で得られた標的検出シグナル(即ち陽性対照ウェル)に比べて、標的検出シグナル(即ちコーティングしたアミノ酸配列で結合した標的の量)の60%〜100%、具体的に70%〜100%、及びより具体的に80%〜100%の低減をもたらすことができる場合、交差遮断すると定義する。
y)本明細書でさらに記載されるように、ナノボディにおけるアミノ酸残基の総数は、110〜130の範囲内、好ましくは112〜115、及び最も好ましくは113であり得る。しかし、ナノボディの部分、断片、類似体又は誘導体(本明細書中にさらに記載されたように)は、本明細書に概説されるさらなる要求を満たし、また好ましくは本明細書に記載の目的に好適であれば、その長さ及び/又はサイズに関して特に限定されないことに留意すべきである。
z)ナノボディのアミノ酸残基は、一般的に、特に他に指示がなければ、Riechmann and
Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2):185-195の論文(例えばこの論文の図2を参照されたい)においてラクダ由来のVHHドメインに適用されるように、又は本明細書に参照されるようにKabatet al. ("Sequence of proteins of
immunological interest", US PublicHealth Services, NIH Bethesda, MD,
Publication No. 91)によって与えられたVドメインに関する一般的なナンバリングに従って数字が付けられる。このナンバリングに従うと、ナノボディのFR1は1位〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は50位〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位〜113位のアミノ酸残基を含む。[これに関して、Vドメイン及びVHHドメインに関して当該技術分野で既知のように、CDRそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変わる可能性があり、カバットナンバリングで示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(即ちカバットナンバリングによる1つ又は複数の位置が実際の配列で占められていなくてもよく、又は実際の配列が、カバットナンバリングで可能な数より多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)ことに留意すべきである。このことは、概してカバットによるナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても、又は対応していなくてもよいことを意味する。しかし一般的に、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、カバットナンバリングに従うと、カバットナンバリングによる1位は、FR1の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる36位は、FR2の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる66位は、FR3の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる103位は、FR4の出発点に対応する(逆もまた同様)ということができる]。
ドメインのアミノ酸残基の数字を付ける代替方法(この方法は、類似の方法でラクダ由来のVHHドメイン及びナノボディに適用することもできる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883(1989))によって説明される方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。しかし本明細書、態様及び図面では、特に他に指示がなければ、Riechmannand MuyldermansによってVHHドメインに適用されるようなカバットによるナンバリングに従う。
aa)本明細書中で言及される安定性は、経時的な化学的安定性、すなわち本発明のタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの一次構造配列の安定性に関する。例えば、当業者が対象の化合物を試験し、タンパク質又はポリペプチドの一次配列、例えば一次アミノ酸配列において経時的な変化を全く(又は例えばRPC又はHIC等の分離法により、所定の試料においてわずかの変化、例えば1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、10%未満の他の材料しか)見出すことができなかった場合、タンパク質又はポリペプチドは、測定期間にわたって、例えば温度等の所定の条件で安定であるとみなす。
bb)図面、配列表及び実験部/実施例は、本発明をさらに説明するためだけに与えられ、特に他にはっきりと本明細書中に指示がなければ、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものとしては決して解釈すべきではない。
これらに限定されないが、ナノボディ、(単一)ドメイン抗体又は「dAb」は4鎖抗体の可変領域、及び重鎖抗体の可変領域に由来し得る。以下の参考文献で使用される専門用語に従って、天然重鎖抗体に存在する可変ドメインは、従来の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(以下「Vドメイン」と表す)と、従来の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(以下、「Vドメイン」と表す)とから区別するために、「VHHドメイン」とも表される。
このため、これらに限定されないが、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とを含むか、又は本質的にこれらから成るアミノ酸配列を有する。このようなアミノ酸配列は、80個〜200個のアミノ酸残基、例えば90個〜150個のアミノ酸残基、例えば約100個〜130個のアミノ酸残基を含有するのが好ましい(が、このようなアミノ酸配列の好適な断片を、すなわち本質的に本明細書中で本発明のナノボディ又はそれとの均等物に関して記載のように使用してもよい)。またこのようなアミノ酸配列は、免疫グロブリンフォールドを形成するようなもの、又は好適な条件下で(すなわち好適なフォールディングで)、免疫グロブリンフォールドを形成することが可能であるようなものが好ましい。アミノ酸配列は、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」から選択されるのが好ましく、本明細書中で規定のナノボディであるのが最も好ましい。CDRは、ポリペプチド又はタンパク質に所望の特性を与える任意の好適なCDRであり得る。
本発明のさらなる利点は、本発明のポリペプチド、特にナノボディのポリペプチドを、本発明に従って安定化した免疫原性が低い形態で作製することができることである。したがって本発明によるプロセスは、主として組換えポリペプチドハイブリッドの治療的使用に重要である。
さらに本発明のポリペプチドは、免疫系における選択により非常に多くのエフェクター機能に適合するように個別で作製する(tailor-made)ことができる。この天然タンパク質工学システムには無類の効率がある。特別な機能的単一可変ドメインの細胞質発現により、このようなエフェクター機能を細胞に導入することが可能になる。細胞タンパク質の活性の調整をもたらす適用が好都合である。これは例えば、タンパク質−単一可変ドメイン複合体形成により標的タンパク質を安定化させることで達成することができる。これにより、分解速度を変化させることができる。アロステリックなエフェクター作用も考えられ得る。三重複合体の形成及び安定化による2つのエフェクターの接近が、例えば人工多酵素複合体による代謝経路に影響を与えるさらなる可能性、又は誘導性オペレーターの代謝産物濃度の局所増大を生ずる。しかしながら、触媒抗体の細胞質発現が特に有利であり、触媒効率の選択に関連する可能性がある。機能的単一可変ドメインの細胞質発現を、本発明に従って安定化したポリペプチドで単純に達成することができる。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸は、それ自体が既知であり、本明細書中のさらなる説明により当業者にとって明らかである方法で調製することができる。例えば、本発明のナノボディ及びポリペプチドは、抗体の調製、特に抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の調製のためのそれ自体が既知の任意の方法で調製することができる。アミノ酸配列、ナノボディ、ポリペプチド及び核酸を調製するための、好ましいが非限定的な幾つかの方法としては、本明細書中に記載の方法及び技法が挙げられる。
本発明の他の実施の形態は、本明細書中に記載の方法により誘導される、又は得ることができる、又は直接得ることができる、タンパク質、ポリペプチド、単一可変ドメイン、ライブラリ、ヌクレオチド又はその選択物である。
当業者にとって明らかであるように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドの調製に特に有用な一方法は通常、
i)好適な宿主細胞又は宿主生物(本明細書中では「本発明の宿主」とも呼ぶ)において、又は本発明の上記アミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドをコードする核酸(本明細書中では「本発明の核酸」とも呼ぶ)に適切な別の発現系において、発現させる工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程とを含む。
特に、このような方法は、
i)本発明の上記宿主が少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及び/又はポリペプチドを発現及び/又は産生するような条件下で、本発明の宿主を培養及び/又は維持する工程と、場合によってはその後、
ii)このようにして得られる本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを単離及び/又は精製する工程とを含み得る。
本発明の核酸は、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAの形態をとることができ、好ましくは二本鎖DNAの形態をとる。例えば、本発明のヌクレオチド配列はゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(目的とする宿主細胞又は宿主生物内の発現に特異的に適合しているコドンの使用によるDNA等)であってもよい。
本発明の一態様によれば、本発明の核酸は、本明細書中に記載したように、本質的に単離形態である。本発明の核酸は、例えば、プラスミド、コスミド又はYAC等のベクターの形態をとり、ベクター中に存在し、及び/又はその一部であってもよく、また本質的に単離形態であってもよい。本発明の核酸は、本明細書中に記載の本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報に基づき、それ自体が既知の方法で調製するか又は得ることができ、及び/又は好適な天然供給源から単離することができる。類似体を得るためには、天然型VHHドメインをコードするヌクレオチド配列に、例えば、部位特異的な突然変異誘発を起こして、上記類似体をコードする本発明の核酸を得ることができる。また、当業者にとって明らかであるように、本発明の核酸を調製するために、例えば、ナノボディをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、及び例えば、1つ又は複数のリンカーをコードする核酸等の幾つかのヌクレオチド配列を好適な方法で連結することができる。本発明の核酸を生成するための技法は当業者にとって明らかであり、例えば、自動DNA合成、部位特異的突然変異誘発、2つ以上の天然型配列及び/又は合成型配列(又はこれらの2つ以上の部分)の結合(combining)、切断された発現産物を発現させる変異の導入、(例えば、好適な制限酵素を用いて容易に消化及び/又はライゲーションすることができるカセット及び/又は領域を生成するための)1つ又は複数の制限部位の導入、及び/又は、1つ又は複数の「ミスマッチ」プライマーを使用するPCR反応による変異の導入が挙げられ得るが、これらに限定されない。これらの技法及び他の技法は当業者にとって明らかであり、同様に上記のSambrooket al.及びAusubel et al.の文献等の標準的なハンドブック、及び以下の実施例を参照する。
本発明の核酸はまた、当業者にとって明らかであるように、遺伝子構築物の形態をとり、遺伝子構築物中に存在し、及び/又はその一部であってもよい。このような遺伝子構築物は一般に、例えば、1つ又は複数の好適な調節要素(例えば、好適なプロモーター(複数可)、エンハンサー(複数可)、ターミネーター(複数可)等)、及び本明細書中に述べられている遺伝子構築物のさらなる要素等といった、1つ又は複数のそれ自体が既知の遺伝子構築物の要素に、場合によっては連結する少なくとも1つの本発明の核酸を含む。少なくとも1つの本発明の核酸を含むこのような遺伝子構築物は、本明細書中において「本発明の遺伝子構築物」とも呼ばれる。
本発明の遺伝子構築物は、DNAであってもRNAであってもよく、好ましくは二本鎖DNAである。また、本発明の遺伝子構築物は、目的とする宿主細胞又は宿主生物の形質転換に好適な形態、目的とする宿主細胞のゲノムDNAへの組込みに好適な形態、又は目的とする宿主生物における単独での複製、維持及び/又は継承に好適な形態もとり得る。例えば、本発明の遺伝子構築物は、例えば、プラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター又はトランスポゾン等のベクターの形態をとることができる。特に、ベクターは、発現ベクター、即ち、in vitro及び/又はin vivoでの(例えば、好適な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系での)発現を提供し得るベクターであってもよい。
好ましいが非限定的な一態様では、本発明の遺伝子構築物は、
i)ii)と作用可能に結合している少なくとも1つの本発明の核酸と、
ii)プロモーター、及び場合によっては好適なターミネーター等の、1つ又は複数の調節要素と、場合によってはさらに
iii)それ自体が既知の遺伝子構築物の1つ又は複数のさらなる要素とを含み、ここで、用語「調節要素」、「プロモーター」、「ターミネーター」、及び「作用可能に結合した」は、当該技術分野における(本明細書中に詳述するような)通常の意味を有しており、遺伝子構築物中に存在する上記「さらなる要素」とは、例えば、3’−又は5’−UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は形質転換若しくは組込み(の効率)を促進又は増大させ得る要素であってもよい。このような遺伝子構築物に好適なこれら及び他の要素は当業者にとって明らかであり、例えば、使用する構築物の種類、目的とする宿主細胞又は宿主生物、対象となる本発明のヌクレオチド配列を発現させる方法(例えば、構成的発現、一時的発現、又は誘導性発現等を介するもの)、及び/又は使用する形質転換法に応じ得る。例えば、抗体及び抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の発現及び産生のための、それ自体が既知の制御配列(requences)、プロモーター、及びターミネーターを、本質的に同様の方法で使用してもよい。
好ましくは、本発明の遺伝子構築物において、上記少なくとも1つの本発明の核酸、及び上記調節要素、及び場合によっては上記1つ又は複数のさらなる要素は、互いに「作用可能に連結」しており、これにより通常、これらは互いに機能的な関係にあることが意図されている。例えば、プロモーターが、コーディング配列の転写及び/又は発現を、開始又は他の方法により制御/調節することができる場合(上記コーディング配列は、上記プロモーター「に制御されている」ものとして理解されたい)、コーディング配列に「作用可能に連結」していると考えられる。一般に、2つのヌクレオチド配列が作用可能に連結している場合、これらは同じ配向を有し、また通常、同じリーディングフレーム内にある。また、必ずしも必要ではないが、通常、これらは本質的に隣接している。
好ましくは、本発明の遺伝子構築物の調節要素及びさらなる要素は、目的とする宿主細胞又は宿主生物において意図される生物学的機能を付与することができるほどのものである。
例えば、プロモーター、エンハンサー又はターミネーターは、目的とする宿主細胞又は宿主生物において「作用可能」でなければならず、このため(例えば)、上記プロモーターは、(本明細書で規定したように)作用可能に連結したヌクレオチド配列(例えばコーディング配列)の転写及び/又は発現を、開始、又は他の方法により制御/調節することができるものであると意図される。
特に好ましい幾つかのプロモーターとしては、本明細書中に述べた宿主細胞における発現のためのそれ自体が既知のプロモーター、特に、本明細書中に述べたもの及び/又は実施例において使用されるもの等の、細菌細胞における発現のためのプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
選択マーカーは、(即ち、適切な選択条件下で)本発明のヌクレオチド配列による形質転換が(首尾良く)起こった宿主細胞及び/又は宿主生物を、形質転換が(首尾良く)起こらなかった宿主細胞/宿主生物と区別できるようなものでなければならない。このようなマーカーの好ましいが非限定的な幾つかの例は、抗生物質(カナマイシン又はアンピシリン等)に対する耐性を付与する遺伝子、温度耐性を付与する遺伝子、又は形質転換されていない細胞又は生物が生存する上で不可欠な、培地中の或る種の因子、化合物及び/又は(食品)成分がない状態で宿主細胞又は宿主生物を維持させる遺伝子である。
リーダー配列は、(目的とする宿主細胞又は宿主生物において)所望の翻訳後修飾を可能にし、及び/又は転写されたmRNAを細胞の所望の部分又はオルガネラに配向させるようなものでなければならない。また、リーダー配列は、上記細胞から発現生成物を分泌させてもよい。そのようなものとして、リーダー配列は、宿主細胞又は宿主生物中で作用可能な任意のプロ配列、プレ配列、又はプレプロ配列であってもよい。リーダー配列は、細菌細胞中で発現しなくてもよい。例えば、抗体及び抗体断片(単一ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるが、これらに限定されない)の発現及び産生のための、それ自体が既知であるリーダー配列を、本質的に同様の方法で使用することができる。
発現マーカー又はレポーター遺伝子は、(宿主細胞又は宿主生物中で)遺伝子構築物(に存在する遺伝子又はヌクレオチド配列)の発現を検出できるようなものでなければならない。発現マーカーは、場合によっては、発現産物を、例えば、細胞の特定の部分又はオルガネラに、及び/又は多細胞生物の特定の細胞(複数可)、組織(複数可)、器官(複数可)、又は部分(複数可)に局在化させてもよい。このようなレポーター遺伝子は、本発明のアミノ酸配列とのタンパク質融合として発現されてもよい。好ましいが非限定的な幾つかの例としては、GFP等の蛍光性タンパク質が挙げられる。
好適なプロモーター、ターミネーター、及びさらなる要素の好ましいが非限定的な幾つかの例としては、本明細書中に記載した宿主細胞における発現に使用することができるもの、及び具体的には本明細書中に論じ、及び/又は下記の実施例で用いられているもの等の細菌細胞における発現に好適であるものが挙げられる。ターミネーター、転写及び/又は翻訳エンハンサー、及び/又は組込み因子等の、本発明の遺伝子構築物中に存在/使用し得るプロモーター、選択マーカー、リーダー配列、発現マーカー、及びさらなる要素についての(さらなる)非限定的な幾つかの例については、上記Sambrook et al.及びAusubel et al.文献等の概説ハンドブック、並びに国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第96/23810号パンフレット、国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第95/21191号パンフレット、国際公開第97/11094号パンフレット、国際公開第97/42320号パンフレット、国際公開第98/06737号パンフレット、国際公開第98/21355号パンフレット、米国特許第7207410号明細書、米国特許第5693492号明細書、及び欧州特許第1085089号明細書に示された例を参照する。他の例は当業者にとって明らかであろう。上記の一般的な背景技術に関する参考文献及び本明細書中にさらに引用した参考文献も参照する。
本発明の遺伝子構築物は、通常、例えば、上記Sambrook et al.及びAusubel et al. 文献等の概説ハンドブックに記載の技法を用いて、本発明のヌクレオチド配列(複数可)を、1つ又は複数の上記のさらなる要素と適切に連結させることにより得ることができる。多くの場合、本発明の遺伝子構築物は、本発明のヌクレオチド配列を、それ自体が既知の好適な(発現)ベクターに挿入することによって得られる。好適な発現ベクターの好ましいが非限定的な幾つかの例は、以下の実施例において使用されるもの、及び本明細書中に記載したものである。
本発明の核酸及び/又は本発明の遺伝子構築物は、宿主細胞又は宿主生物の形質転換に、即ち本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを発現及び/又は産生させるために使用することができる。好適な宿主又は宿主細胞は当業者にとって明らかであり、例えば、任意の好適な真菌、原核細胞若しくは細胞株又は真核細胞若しくは細胞株、又は任意の好適な真菌、原核生物若しくは真核生物、例えば:
大腸菌の菌株、ミラビリス変形菌等のプロテウス属の菌株、蛍光菌等のシュードモナス属の菌株等のグラム陰性菌株、及び枯草菌又はブレビス菌等のバチルス属の菌株、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)等のストレプトミセス属の菌株、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcuscarnosus)等のブドウ球菌の菌株、及び乳酸連鎖球菌等のラクトコッカス属の菌株等のグラム陽性菌株が挙げられるがこれらに限定されない細菌株、
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)等のトリコデルマ属、アカパンカビ等のニューロスポラ属、ソルダリア・マクロスポラ(Sordariamacrospora)等のソルダリア属、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus
niger)又はショウユコウジカビ等のアスペルギルス属の種由来の細胞、又は他の糸状菌由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない真菌細胞、
出芽酵母等のサッカロミセス属、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomycespombe)等のシゾサッカロミセス属、ピキア・パストリス又はピキア・メタノリカ等のピキア属、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)等のハンセヌラ属、クルイベロミセス・ラクティス等のクルイベロミセス属、アークスラ・アデニニボランス(Arxulaadeninivorans)等のアークスラ属、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia
lipolytica)等のヤロウィア属の種由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない酵母細胞、
アフリカツメガエル卵母細胞等の両生類細胞又は細胞株、
シロイチモンジヨトウSF9及びSf21細胞を含むがこれらに限定されない鱗翅目に由来する細胞/細胞株、又はシュナイダー細胞及びKc細胞等のショウジョウバエに由来する細胞/細胞株等の昆虫に由来する細胞又は細胞株、
タバコ植物等の植物又は植物細胞、及び/又は
例えば、CHO細胞、BHK細胞(BHK−21細胞等)、及びHeLa細胞、COS細胞(COS−7細胞等)、及びPER.C6細胞等のヒト細胞又は細胞株が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトに由来する細胞又は細胞株、哺乳動物に由来する細胞又は細胞株等の哺乳動物細胞又は細胞株、並びに、
抗体及び抗体断片((単一)ドメイン抗体及びScFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)を発現及び産生することでそれ自体が既知の他の全ての宿主又は宿主細胞であってもよく、これらは当業者に明らかであろう。上記で引用した一般的な背景技術に関する文献、並びに例えば、国際公開第94/29457号パンフレット、国際公開第96/34103号パンフレット、国際公開第99/42077号パンフレット、Frenken et al.(1998)(上記)、Riechmann and Muyldermans (1999)(上記)、vander Linden (2000)(上記)、Thomassen et al.(2002)(上記)、Joosten et al.(2003)(上記)、Joostenet al.(2005)(上記)及び本明細書中にさらに引用した文献を参照する。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドはまた、例えば予防目的及び/又は治療目的(遺伝子治療等)のために、多細胞生物の1つ又は複数の細胞、組織、又は器官に導入し、発現させることができる。このために、本発明のヌクレオチド配列を、例えば、このように(例えば、リポソームを用いて)、又は好適な(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス等のパルボウイルス等のレトロウイルスに由来する)遺伝子治療用ベクターに挿入後、任意の好適な方法で細胞又は組織に導入することができる。また当業者にとって明らかであるように、このような遺伝子治療は、本発明の核酸又は本発明の核酸をコードする好適な遺伝子治療用ベクターを、患者又は患者の特定の細胞又は特定の組織若しくは器官に投与することにより患者の身体において、in vivo及び/又はin situで行うことができ、又は好適な(多くの場合、外植リンパ球、骨髄吸引物又は組織生検試料等の、治療対象となる患者の身体から採取された)細胞は、本発明のヌクレオチド配列を用いてin vitroで処理した後、患者の身体に好適に(再)導入することができる。これらは全て、例えばCulver, K. W., "Gene Therapy", 1994, p. xii, Mary
AnnLiebert, Inc., Publishers, New York, N.Y)、Giordano,
Nature F Medicine 2 (1996),534-539、Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919、Anderson, Science 256 (1992), 808-813、Verma,Nature
389 (1994), 239、Isner, Lancet 348 (1996), 370-374、Muhlhauser, Circ. Res.77 (1995), 1077-1086、Onodera,
Blood 91; (1998), 30-36、Verma, Gene Ther. 5 (1998),692-699、Nabel, Ann. N.Y. Acad. Sci.: 811 (1997), 289-292、Verzeletti,
Hum. GeneTher. 9 (1998),
2243-51、Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716、国際公開第94/29469号パンフレット、国際公開第97/00957号パンフレット、米国特許第5580859号明細書、米国特許第55895466号明細書、又はSchaper,Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640に記載の当業者に既知の遺伝子治療用ベクター、技法、及びデリバリーシステムを用いて行うことができる。例えば、ScFv断片(Afanasievaet al., Gene Ther., 10, 1850-1859 (2003))及びダイアボディ(Blanco et al., J.
Immunol,171, 1070-1077 (2003))のin situ発現は当該技術分野において記述されている。
細胞中でのナノボディの発現のために、これらは、例えば、国際公開第94/02610号パンフレット、国際公開第95/22618号パンフレット、及び米国特許第7004940号明細書、国際公開第03/014960号パンフレット、Cattaneo, A.及びBiocca, S. (1997) Intracellular Antibodies:Development
and Applications. Landes and Springer-Verlag、並びにKontermann,
Methods34, (2004), 163-170に記載の、いわゆる「細胞内抗体」として発現させることもできる。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを、例えば、ウサギ、ウシ、ヤギ又はヒツジの母乳中のようなトランスジェニック哺乳動物の母乳中(トランス遺伝子を哺乳動物に導入する一般的な技法については、例えば、米国特許第6741957号明細書、米国特許第6304489号明細書、及び米国特許第6849992号明細書を参照されたい)、葉、花、果実、種、根、塊茎を含むがこれらに限定されない植物、又は植物の一部中(例えば、タバコ、トウモロコシ、大豆、又はアルファルファ)、又は、例えば、カイコガの蛹中で産生することもできる。
さらに、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを、細胞を含まない発現系で発現及び/又は産生してもよく、このような系の好適な例は当業者にとって明らかであろう。好ましいが非限定的な幾つかの例としては、小麦胚芽系、ウサギ網状赤血球溶解物、又はZubayの方法による大腸菌を用いた系での発現が挙げられる。
上記のように、ナノボディを使用する利点の1つは、これに基づくポリペプチドを、好適な細菌系における発現によって調製することができる点であり、及び好適な細菌発現系、ベクター、宿主細胞、調節要素等は、例えば上記で引用した参考文献によって当業者にとって明らかであろう。しかしながら、本発明は、最も広い意味では細菌系における発現に限定されないことに留意されたい。
好ましくは、本発明では、本発明のポリペプチドを医薬用途に適した形態で提供する細菌発現系等の(in vivo又はin vitro)発現系を使用し、このような発現系も当業者にとって明らかであろう。さらに当業者にとって明らかであるように、医薬用途に適した本発明のポリペプチドは、ペプチド合成法を用いて調製することができる。
工業的スケールでの製造において、ナノボディ又はナノボディを含有するタンパク質治療剤の(工業的)製造のために好ましい異種宿主としては、大規模スケールでの発現/産生/発酵、特に大規模スケール(即ち、GMPグレード)での医薬用途発現/産生/発酵に適した大腸菌、ピキア・パストリス、出芽酵母の菌株が挙げられる。このような菌株の好適な例は、当業者にとって明らかであろう。このような菌株及び産生/発現系も、Biovitrum社(Uppsala, Sweden)等の企業から入手可能である。
代替的には、哺乳動物細胞株、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、大規模スケールでの発現/産生/発酵、特に大規模スケールでの医薬用途発現/産生/発酵のために用いることができる。さらにこのような発現/産生系も、上記の幾つかの企業から入手可能である。
特定の発現系の選択は、或る特定の翻訳後修飾、より具体的にはグリコシル化の必要条件に一部依存している。グリコシル化が望ましいか又は必要とされるナノボディを含有する組換えタンパク質の産生には、発現したタンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳動物発現用宿主の使用が必要である。これに関連して、得られるグリコシル化パターン(即ち、結合する残基の種類、数、及び位置)が、発現に用いられる細胞又は細胞株に依存することは、当業者にとって明らかであろう。好ましくは、ヒト細胞若しくは細胞株(即ち、本質的にヒトのグリコシル化パターンを有するタンパク質を与える)が用いられるか、又は本質的に及び/又は機能的にヒトのグリコシル化と同一であるか、又は少なくともヒトのグリコシル化を模倣したグリコシル化パターンを与えることができる別の哺乳動物の細胞株が用いられる。一般に、大腸菌等の原核宿主はタンパク質をグリコシル化する能力を有しておらず、酵母等の下等真核細胞を使用すると、通常、ヒトのグリコシル化と異なるグリコシル化パターンがもたらされる。それにもかかわらず、上記宿主細胞及び発現系の全てを、得ようとする所望のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドに応じて、本発明に用いることができることを理解されたい。
したがって、本発明の非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドはグリコシル化される。本発明の別の非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドはグリコシル化されない。
本発明の好ましいが非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細菌細胞中、具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の株の細胞等の細菌細胞中で産生する。
本発明の好ましいが非限定的な別の態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、酵母細胞中、具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の種の細胞等の酵母細胞中で産生する。
本発明のさらに好ましいが非限定的な別の態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、哺乳動物細胞中、具体的にはヒト細胞又はヒト細胞株の細胞中で、さらに具体的には大規模スケールでの医薬品製造に適した上記の細胞株等のヒト細胞又はヒト細胞株の細胞中で産生する。
宿主細胞中での発現が、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの製造に用いられる場合、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、細胞内(例えば、サイトゾル中、ペリプラズム(periplasma)中、又は封入体中)で産生し、次いで宿主細胞から単離し、場合によってはさらに精製してもよく、又は細胞外(例えば、宿主細胞を培養する培地中)で産生し、次いで培地から単離し、場合によってはさらに精製してもよい。真核宿主細胞を使用する場合、得られるナノボディ及びタンパク質のさらなる単離及び下流工程での処理が大幅に容易になるため、通常、細胞外で産生されることが好ましい。通常、大腸菌の菌株等の上記細菌細胞は、毒素及び溶血素等の数種のタンパク質を除き、タンパク質を細胞外に分泌せず、大腸菌において分泌物を産生することは、内膜を通してペリプラズム空間へタンパク質を転移させることを意味する。ペリプラズムでの産生は、細胞質での産生に対して、幾つかの利点がある。例えば、分泌産物のN末端のアミノ酸配列は、特異的シグナルペプチダーゼによる分泌シグナル配列の切断後の天然遺伝子産物と同一であってもよい。また、ペリプラズム中では、細胞質中よりもプロテアーゼ活性がはるかに低いと思われる。さらに、ペリプラズム中では、タンパク質の汚染が少ないため、タンパク質の精製がより容易である。別の利点は、ペリプラズムが細胞質よりも酸化的な環境をもたらすため、正しくジスルフィド結合が形成される可能性があるという点である。大腸菌中で過剰発現されたタンパク質は、不溶性の凝集物、いわゆる封入体中に見られることが多い。これらの封入体は、サイトゾル中にもペリプラズム中にも存在させることができ、これらの封入体からの生理活性タンパク質の回収は、変性/リフォールディングプロセスを必要とする。治療効果を有するタンパク質を含む多くの組換えタンパク質は、封入体から回収される。代替的には、当業者に明らかであるように、所望のタンパク質、特に本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを分泌するように遺伝的に改変された細菌の組換え菌株を用いることができる。
したがって、本発明の非限定的な一態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細胞内で産生され、宿主細胞から、特に細菌細胞から、又は細菌細胞中の封入体から単離したアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドである。本発明の別の非限定的な態様によれば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、細胞外で産生され、宿主細胞を培養する培地から単離されたアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドである。
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で用いるためのプロモーターとしては、
大腸菌における発現のための:lacプロモーター(及び、lacUV5プロモーター等のこれらの誘導体);アラビノースプロモーター;λファージの左側(PL)及び右側(PR)プロモーター;trpオペロンのプロモーター;ハイブリッドlac/trpプロモーター(tac及びtrc);T7−プロモーター(より具体的にはT7−ファージ遺伝子10のプロモーター);及び他のT−ファージプロモーター;Tn10テトラサイクリン耐性遺伝子のプロモーター;外来制御オペレーター配列の1つ又は複数の複製を含む上記プロモーターの組換え変異体;
出芽酵母における発現のための:ADH1(アルコール脱水素酵素1)、ENO(エノラーゼ)、CYC1(チトクロームc iso−1)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK1(ピルビン酸キナーゼ)の構成的プロモーター;GAL1,10,7(ガラクトース代謝酵素)、ADH2(アルコール脱水素酵素2)、PHO5(酸ホスファターゼ)、CUP1(銅メタロチオネイン)の制御的プロモーター;CaMV(カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター)の異種プロモーター;
ピキア・パストリスにおける発現のための:AOX1プロモーター(アルコール酸化酵素I);
哺乳動物細胞における発現のための:ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期エンハンサー/プロモーター;プロモーターがTetリプレッサーによって制御可能なように2個のテトラサイクリンオペレーター配列を含有するヒトサイトメガロウイルス(hCMV)前初期プロモーター変異体;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター;ラウス肉腫ウイルスの長末端反復配列(RSV LTR)エンハンサー/プロモーター;ヒト、チンパンジー、マウス、又はラット由来の伸長因子1α(hEF−1α)プロモーター;SV40初期プロモーター;HIV−1の長末端反復配列プロモーター;βアクチンプロモーターが挙げられる。
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で用いるためのベクターとしては、
哺乳動物細胞における発現のためのベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC 37199)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及びlZD35(ATCC 37565)、並びにアデノウイルスに基づくもの等のウイルスに基づく発現系;
細菌細胞における発現のためのベクター:pETベクター(Novagen)及びpQEベクター(Qiagen);
酵母又は他の真菌細胞における発現のためのベクター:pYES2(Invitrogen)及びピキア発現ベクター(Invitrogen);
昆虫細胞における発現のためのベクター:pBlueBacII(Invitrogen)及び他のバキュロウイルスベクター;
植物又は植物細胞における発現のためのベクター:例えば、カリフラワーモザイクウイルス又はタバコモザイクウイルスに基づくベクター、アグロバクテリウムの好適な菌株又はTi-プラスミドに基づくベクターが挙げられる。
好ましいが非限定的な幾つかの、これらの宿主細胞で使用するための分泌配列としては、
大腸菌等の細菌細胞における使用のための:PelB、Bla、OmpA、OmpC、OmpF、OmpT、StII、PhoA、PhoE、MalE、Lpp、LamB等;TATシグナルペプチド、ヘモリシンC−末端分泌シグナル;
酵母における使用のための:α−接合因子プレプロ配列、ホスファターゼ(pho1)、インベルターゼ(Suc)等;
哺乳動物細胞における使用のための:固有シグナル(標的タンパク質が真核細胞由来である場合)、マウスIgκ鎖V−J2−Cシグナルペプチド等が挙げられる。
本発明の宿主又は宿主細胞を形質転換するのに好適な技法は、当業者にとって明らかであり、目的とする宿主細胞/宿主生物及び使用する遺伝子構築物に依存することもある。同様に、上記ハンドブック及び特許出願を参照する。
形質転換後、本発明のヌクレオチド配列/遺伝子構築物によってうまく形質転換された宿主細胞又は宿主生物を検出及び選択する工程を実行することができる。この工程は、例えば、本発明の遺伝子構築物中にある選択可能なマーカーに基づいて選択する工程、又は、例えば、特異的抗体を使用する本発明のアミノ酸配列の検出を含む工程であってもよい。
形質転換された宿主細胞(安定な細胞株の(or)形態をとることができる)又は宿主生物(安定な変異体系列又は株の形態をとることができる)は、本発明のさらなる態様をなす。
好ましくは、これらの宿主細胞又は宿主生物は、(宿主生物の場合には、その少なくとも1つの細胞、部分、組織又は器官において)本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを発現し、又は(少なくとも)(例えば、好適な条件下で)発現することができるようなものである。本発明はまた、本発明の宿主細胞又は宿主生物のさらなる世代、後代及び/又は子孫を含んでおり、これらは、例えば、細胞分裂又は有性若しくは無性生殖により得られるものであってよい。
本発明のアミノ酸配列を生成し/その発現を得るために、形質転換された宿主細胞又は形質転換された宿主生物は一般に、(所望の)本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドが発現/産生されるような条件下で飼育、維持及び/又は培養され得る。好適な条件は当業者にとって明らかであり、通常、使用する宿主細胞/宿主生物、及び(関連する)本発明のヌクレオチド配列の発現を制御する調節因子に依存する。この場合にも、本発明の遺伝子構築物に関する上記の段落に記載したハンドブック及び特許出願を参照する。
一般に、好適な条件には、好適な培地の使用、好適な食餌及び/又は好適な栄養源の存在、好適な温度の使用、及び場合によっては好適な誘導因子又は化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターにより制御される場合)が含まれることができ、これらは全て当業者が選択することができる。この場合にも、このような条件下で、本発明のアミノ酸配列は、構成的に、一時的に、又は適切に誘導された場合にのみ発現することができる。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、(まず)未成熟型(上記)で産生され、次いで、使用する宿主細胞/宿主生物に応じて翻訳後修飾されてもよいことも、当業者にとって明らかであろう。また、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、この場合にも、使用する宿主細胞/宿主生物に応じてグリコシル化されてもよい。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドは、次いで、宿主細胞/宿主生物から、及び/又は該宿主細胞若しくは宿主生物を培養した培地から、(分取)クロマトグラフィ法、及び/又は電気泳動法、分別沈殿法、アフィニティ法(例えば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドに融合した特定の切断可能なアミノ酸配列を用いる)、及び/又は分取免疫法(即ち、単離対象のアミノ酸配列に対する抗体を用いる)等の、それ自体が既知のタンパク質の単離技法及び/又は精製技法を用いて単離することができる。
一般に、医薬用途のために、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つの本発明のポリペプチドと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤、及び/又はアジュバントとを含み、場合によっては1つ又は複数のさらなる薬理活性ポリペプチド及び/又は化合物を含む薬学的調製剤又は薬学的組成物として製剤化することができる。非限定的な例により、このような製剤は、経口投与のため、非経口投与(静脈内、筋内若しくは皮下注射、又は静脈内点滴等による)のため、局所投与のため、吸入による、経皮パッチによる、インプラントによる、座剤等による投与のために適した形態をとることができる。このような好適な投与形態(投与の方法に応じて、固体、半固体又は液体であってよい)と、その調製剤で用いるための方法及び担体とは、当業者にとって明らかであり、本明細書にさらに記載する。
したがって、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明のアミノ酸配列、少なくとも1つの本発明のナノボディ又は少なくとも1つの本発明のポリペプチド、及び少なくとも1つの好適な(即ち医薬用途に好適な)担体、希釈剤又は賦形剤を含み、場合によっては1つ又は複数のさらなる活性物質を含有する薬学的組成物に関する。
概して、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、それ自体が既知の任意の好適な方法により製剤化及び投与することができ、これらについては、例えば、上記で引用した一般的な背景技術(特に、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041867号パンフレット)、及びRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed.,
MackPublishing Company, USA (1990)若しくはRemington, the Science and Practice ofPharmacy, 21th Edition,
Lippincott Williams and Wilkins (2005)等の標準的なハンドブックを参照する。
例えば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、従来の抗体及び抗体断片(例えばScFv及びダイアボディ)及び他の薬理活性タンパク質のための、それ自体が既知の任意の方法で製剤化及び投与することができる。このような製剤及びこれを調製する方法は当業者にとって明らかであり、例えば、非経口投与(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、管腔内、動脈内若しくは髄腔内投与)又は局所(即ち経皮若しくは皮内)投与に好適な調製剤が挙げられる。
非経口投与のための調製剤は、例えば、点滴又は注射に好適な滅菌液剤、懸濁剤、分散剤又は乳化剤であってもよい。このような調製剤に好適な担体又は希釈剤としては、例えば、限定するものではないが、滅菌水及び緩衝水溶液、並びにリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス液等の溶液、水性油、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール等のグリコール、又は(or as well as)鉱物油、動物油、及び植物油、例えば、落花生油、大豆油、並びに好適なこれらの混合物が挙げられる。通常、水溶液剤又は懸濁剤が好ましい。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、遺伝子治療の送達方法を使用して投与することもできる。例えば、その全文が参照により援用される米国特許第5399346号明細書を参照されたい。遺伝子治療の送達方法を使用して、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドをコードする遺伝子によりトランスフェクトされた初代細胞を、特定の器官、組織、移植片、腫瘍又は細胞を標的とするための組織特異的プロモーターによりさらにトランスフェクトすることができ、且つ細胞内に局在化した発現のためのシグナル及び安定化配列によりさらにトランスフェクトすることもできる。
このように、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、不活性希釈剤又は担体等の薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせて、例えば、経口的に全身投与することができる。これらを、ハード若しくはソフトシェルゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤として打錠してもよく、又は患者の食事中の食品に直接加えてもよい。経口治療用の投与のために、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを1つ又は複数の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェハー剤等の形態で使用することができる。このような組成物及び調製剤は、少なくとも0.1%の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドを含有していなければならない。組成物及び調製剤中のこれらの割合は、当然ながら変えることができ、便宜的には所定の単位投薬形態の重量の約2%〜約60%であろう。このような治療上有用な組成物中の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドの量は、有効な用量レベルが得られるような量である。
また、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、トラガカントガム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチン等の結着剤;リン酸二カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;及びスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテーム等の甘味料を含有していてもよく、又はペパーミント、冬緑油若しくはチェリー香料等の香料を加えてもよい。単位投薬形態がカプセル剤である場合、上記のような種類の物質以外に、植物油又はポリエチレングリコール等の液体担体を含有していてもよい。種々の他の物質が、コーティングとして、又は固体状の単位投薬形態の物理的形態を他の方法により変化させるために存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ロウ、シェラック又は砂糖等でコーティングされていてもよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチド、甘味料としてのスクロース又はフルクトース、保存料としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、色素、及びチェリー又はオレンジ香料等の香料を含有していてもよい。当然ながら、任意の単位投薬形態の調製に使用される任意の物質は、薬学的に許容可能であり、使用する量において実質的に無毒でなければならない。さらに、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、徐放剤及び装置中に封入されていてもよい。
経口投与のための調製剤及び製剤には、本発明の構築物が胃内環境に耐性を有し且つ腸内を通過することを可能にする腸溶コーティングが付与されることもある。より包括的には、経口投与のための調製剤及び製剤は、消化管のいずれかの所望部分に送達するのに好適に製剤化され得る。また、消化管に送達するのに好適な坐薬を使用してもよい。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドはまた、点滴又は注射によって静脈内投与又は腹腔内投与してもよい。本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの溶液、又はこれらの塩は、水中で調製することがき、任意で非毒性界面活性剤と混合することができる。分散剤液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びこれらの混合物中、並びに油中で調製することもできる。通常の保存及び使用条件下において、これらの調製剤は、微生物の増殖を防ぐための保存料を含有している。
注射又は点滴に好適な薬剤投薬形態としては、滅菌注射又は滅菌点滴可能な溶液剤又は分散液剤の即時調製に適し、場合によってはリポソームに封入された活性成分を含む、滅菌水溶液剤又は分散液剤又は滅菌粉末が挙げられ得る。全ての場合において、最終的な投薬形態は、滅菌されており、流体であり、製造及び保存条件下で安定でなければならない。液体の担体又はビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリルエステル、及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は液体の分散媒であってもよい。例えば、リポソームの形成により、分散液剤の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、又は界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤により微生物の作用を妨害することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、砂糖、緩衝剤、又は塩化ナトリウムを含んでいることが好ましい。組成物において、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することにより、注射可能な組成物の長時間にわたる吸収をもたらすことができる。
滅菌注射可能な溶液剤は、所要の量の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを、必要に応じて、上記に列挙した種々の他の成分を含む適切な溶媒中に混合させた後、滅菌濾過することにより調製される。滅菌注射可能な溶液剤を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥法及び凍結乾燥法であり、活性成分の粉末、及び先に滅菌濾過された溶液剤中に存在する任意のさらなる望ましい成分が得られる。
局所投与のためには、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドが液体の場合には、純粋な形態で適用することができる。しかし、概して、これらは、固体であっても液体であってもよい皮膚科学的に許容される担体と共に、組成物又は製剤として皮膚に投与されることが望ましい。
有用な固体担体としては、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉砕された固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、ヒドロキシアルキル又はグリコール又は水−アルコール/グリコール配合物が挙げられ、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドは、場合によっては非毒性界面活性剤の助けにより、有効なレベルで溶解又は分散することができる。所定用途のための性質を最適化するために、芳香剤及び他の抗菌剤等の補助剤を加えてもよい。得られる液体組成物は、ばんそうこう及び他の包帯に薬剤を含浸させるのに用いられる吸収パッドによって塗布することができ、又はポンプ型又はエアロゾルスプレーを使用して患部の上に噴霧することができる。
使用者の皮膚に直接塗布するための塗布用ペースト、ゲル、軟膏及び石鹸等を形成するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、修飾セルロース又は修飾無機物質等の増粘剤を液体担体と共に使用することもできる。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドを皮膚に送達するために使用することができる有用な皮膚科用組成物の例は当業者に既知であり、例えば、Jacquet et al.(米国特許第4608392号明細書)、Geria(米国特許第4992478号明細書)、Smith etal.(米国特許第4559157号明細書)及びWortzman(米国特許第4820508号明細書)を参照されたい。
本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの有用な用量は、これらのin vitro活性、及び動物モデルにおけるin vivo活性を比較することにより決定することができる。マウス及び他の動物における有効用量をヒトに外挿するための方法は当業者に既知であり、例えば、米国特許第4938949号明細書を参照されたい。
概して、ローション等の液体組成物中の本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの濃度は、約0.1重量%〜25重量%、好ましくは、約0.5重量%〜10重量%である。ゲル又は粉末等の半固形又は固形組成物中の濃度は、約0.1重量%〜5重量%、好ましくは約0.5重量%〜2.5重量%である。
治療における使用に必要な本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの量は、選択される特定のアミノ酸配列、ナノボディ又はポリペプチドだけでなく、投与経路、治療する症状の性質、並びに患者の年齢及び状態によっても変動し、最終的には担当する医師又は臨床医の判断に委ねられる。また、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ及びポリペプチドの用量は、標的となる細胞、腫瘍、組織、移植片又は器官によっても変動する。
望ましい用量は便宜上、単回用量で、又は例えば、1日2回、3回、4回以上の部分用量として、適切な間隔で投与される分割用量で示され得る。部分用量自体を、例えば、吸入器からの複数回の吸入又は複数滴の点眼投与等の、大まかな間隔の数多くの別々の投与にさらに分割してもよい。
本発明に従って安定化したポリペプチドを、例えば癌及び感染の治療において、抗毒素として、薬剤標的化のための及び遺伝子治療での全ての適用分野で有利に使用することができる。画像化及び診断での使用は、例えば抗原結合物質を解析するために等しく有利である。
本発明によるプロセスは、例えば、ヒト化又はキメラ単一可変ドメイン等の他の理由で既に修飾されている単一可変ドメインを安定化するのに特に有利である。アミノ酸のこの修飾が、不安定化をもたらす可能性があり、本発明によるプロセスが、CDR領域の外側にあるこれらの単一可変ドメインのさらなる修飾により単一可変ドメインの元の安定性を回復又はさらに改善させることができる。
本発明は、天然免疫グロブリン配列が配列のカノニカルコレクションであり、その総数が単一可変ドメイン機能の全ての態様に適合性を有する必要があることを前提とする。
本発明は、以下の実験部、図面、表及び配列プロトコルでより詳細に説明する。
プレピーク及びポストピークとして現れる(すなわち主ピークの前後で溶出する)生成物関連の物質を示す、配列番号1のRP−HPLCクロマトグラムの拡大図である。配列番号1マスター参照標準、バッチ1に存在するピークの標識化に使用する命名を示す。 −70℃、+5℃及び+25℃での0ヶ月、1ヶ月及び2ヶ月の保存後の配列番号1バッチ2のRP−HPLCクロマトグラムの関連部分を示す図である。 37℃での0週間、4週間及び8週間のインキュベーション後の配列番号1バッチ1のRP−HPLCクロマトグラムの関連部分を示す図である。 二価ナノボディ(登録商標)配列番号1の一価の構成要素である配列番号2のアミノ酸配列及び順序ナンバリングを示す図である。配列番号1は、3つのアラニン残基のリンカー越しに頭尾(head-to-tail)融合する、配列番号2免疫グロブリンドメインの2つの同一コピーから成る単一ポリペプチド鎖である(合計259残基)。CDR領域を下線処理する。本発明の報告で検討される残基を強調する。これらの残基を一価の配列番号2での位置に従ってナンバリングする、すなわちE1、M34、M78、M83、D62/S63、D105/G106及びN84/S85。読み手は、配列番号1との関連では、これらの指定が2つの同等位置(2つの同一のドメインそれぞれに1つ)を表すこと、例えば、M34は配列番号1において165位に存在するメチオニン残基も表すことを理解する。また、このナンバリングは本願において他の箇所においても言及されるカバットナンバリングシステムとは対応していないことが指摘される。 時間0での(青色のクロマトグラム)及び37℃で8週間のインキュベーション後の(赤色のクロマトグラム)214nmで記録された、配列番号1バッチ1のトリプシン消化のRP−HPLCクロマトグラムを表す図である。現在まで特徴付けされている様々なピークを標識し、それらの同一性を表B−3に示す。標識されていないピークの同一性は求めずにおく。T12よりも遅れて溶出するピークは部分消化生成物であると考えられ、また無傷の配列番号1はおよそ90分で溶出する。 意図的に酸化した(点線)及び参照(実線、バッチ1)配列番号1のRPCクロマトグラムの関連部分の比較を示す図である。挿入図は連続した強制酸化後のプロファイルを示す。明らかに、単酸化(+16Da)配列番号1だけでなく、二重酸化(+32Da)配列番号1もHによる処理の過程で形成される。 過酸化水素(H、下部パネル)及び第三級ブチルヒドロキシペルオキシド(TBHP、上部パネル)による変性(unfolded)及び未変性の配列番号2の意図的な酸化を示す図である。4Mの塩酸グアニジン(Gua.HCl)の存在下、TBHPで処理すると配列番号1が容易に酸化し、過酸化水素ではさらにより容易に酸化する。非酸化材料(すなわち右端のピーク)に加えて、7つのピークをRPCクロマトグラムで識別することができる。MS解析(データ図示せず)は、これら7つのピークが3つの起こり得る単酸化形態(+16Da)、3つの異なる二重酸化変異型(+32Da)、及び最後に左端の三重酸化種(+48Da)を表すことを示した。D−PBSにおいて配列番号2で酸化が行われる際に得られたプロファイルは、未変性の配列番号2分子においては基本的に単一のメチオニン残基だけが酸化されやすいことをはっきりと示している。小さいピークは、第2のメチオニン残基がH処理に対して多少感受性があることの証拠と考えられ得る。図8におけるH処理M78A突然変異型のRPCプロファイルにより、この考えが確かめられる。RPC解析の前に、様々な混合物をSEC(NAP5脱塩カラム、GEHealthcare)にかけた。 配列番号2野生型(wt)と3つの異なるM→A突然変異型との意図的な酸化を示す図である。それぞれの場合において、非処理変異型のRPCプロファイル(青色)を、第三級ブチルヒドロキシペルオキシド(TBHP、緑色)又は過酸化水素(H、赤色)のいずれかによる酸化の後に得られたクロマトグラムと比較する。本実験で使用したwt配列番号2のバッチは、(図7と比較して)汚染物質を含有していると考えられることに留意されたい。RPC解析の前に、様々な混合物をSEC(NAP5脱塩カラム、GE Healthcare)にかけた。 ノルロイシン残基による全てのメチオニンの全体的な置き換えを用いた配列番号1変異型のRPC(左側のパネル)及びMS(右側のパネル)解析結果を示す図である。左側のパネルは、wt配列番号1(2.5μgのバッチ1)及びノルロイシン変異型(25μg)のRPCプロファイルのオーバーレイを示す。外見上、ノルロイシン変異型の調製は、全ての起こり得る部分置換した変異型、及び幾つかのwt配列番号1を含む(詳細に関しては本文を参照されたい。組み込まれるノルロイシンの数に従って様々な種が標識化される)。以下の分子量を実験で求めた:27876(wt、予測分子量 27876);27823.5(3、3つのノルロイシンを有する変異型の予測分子量は27822である);27805(4、予測分子量 27804);27786.5(5、予測分子量 27786);27768(6、予測分子量 27768)。 ポストピーク2の面積とRPCカラム上での滞留時間との間の相関関係を示す図である。初めの時点は滞留/保持時間に対応する。他の実験では、勾配開始を15分、30分、60分又は120分遅らせた。 37℃での4週間の保存後のバッチ1、配列番号1のE1Q−a変異型及びE1Q−b変異型のRPCプロファイルを示す図である。 37℃で保存した配列番号1のペプチド地図部分を示す図である。バッチ1を、トリプシン消化及びRPC解析前に2週間、4週間、6週間又は8週間、37℃で保存した。青色のプロファイルは時間0の対照を表す。RP−HPLCを、Zorbax 300SB−C3カラムを使用して、1分当たり0.33%で5%から36.7%へとACNを勾配させて70℃で行った。 バッチ1、配列番号1のE1Q−a変異型及びE1Q−b変異型のペプチドマッピングを示す図である。タンパク質を37℃で24時間、トリプシン(1/50(w:w))で消化した。消化したタンパク質それぞれ25μgをカラム上に加えた。RPC条件は図12での実験と同じであった。 cIEFによるピログルタミン酸修飾の同定を示す図である。電気泳動図の関連部分の拡大図により、pIの差をより明らかにして示す。左側のパネル:バッチ1とE1Q−a変異型との混合物のcIEF解析(注入試料は0.23mg/mLのバッチ1と0.09mg/mLのE1Q−aとを含有する)。右側のパネル:バッチ1とE1Q−b変異型との混合物のcIEF解析(注入試料は0.23mg/mLのバッチ1と0.15mg/mLのE1Q−bとを含有する)。試料を、ICE280等電点電気泳動装置(focuser)で解析の前にZeba脱塩スピンカラム(Pierce)で脱塩処理した。 cIEFによる安定性試料におけるピログルタミン酸修飾の同定を示す図である。上部のパネル:37℃で6週間保存したバッチ1を含有する試料の電気泳動図。下部のパネル:同じバッチ1の安定性研究試料とE1Q−a変異型との混合物(0.42mg/mLのバッチ1及び0.09mg/mLのE1Q−a)の電気泳動図。試料を、ICE280等電点電気泳動装置で解析の前にZeba脱塩スピンカラム(Pierce)で脱塩処理した。 37℃での保存時間に対する配列番号1バッチ1(上部のパネル)及び配列番号2(下部のパネル)のRP−HPLCプロファイルを示す図である。材料そのまま(対照、主ピークが最も高い曲線)、並びに37℃での2週間(主ピークが2番目に高い曲線)、4週間(主ピークが3番目に高い曲線)、6週間(主ピークが4番目に高い曲線)及び8週間(主ピークが最も低い曲線)の保存後の材料で解析を行った。70℃に維持したC3カラムで試料のクロマトグラフィを行い、吸光度を280nmで測定した。配列番号2でのRPCプロファイルにより、I1及びI2とも呼ばれる2つの新たなより早く溶離する分子種が明らかになる。 時間0(青色線/上方の出力波形)及び37℃での8週間の保存後(赤色線/下方の出力波形)のwt配列番号2とその突然変異型D105A、D105E、D105Q、D105N及びG106AとのRPCプロファイルの比較を示す図である。 時間0(赤色線/上方の出力波形)及び37℃での4週間の保存後(青色線/下方の出力波形)の野生型配列番号2(WT)とその突然変異型D62A、D62E及びS63GとのRPCプロファイルの比較を示す図である。 37℃で保存した配列番号1及び配列番号2でのイソアスパラギン酸の生成を示す図である。様々なインキュベーション期間後、イソアスパラギン酸を、無傷の配列番号1(白丸)、トリプシン消化した配列番号1(黒丸)又はトリプシン消化した配列番号2(三角)で測定した。無傷タンパク質で測定されたイソアスパラギン酸のレベルは顕著に低く、このことは消化がイソアスパラギン酸残基の検出に対するタンパク質構造の影響を最小限に抑えるのに必要であったことを示している。タンパク質におけるイソアスパラギン酸の存在量をパーセントで表す(%M:M、イソアスパラギン酸のモル:ナノボディ(登録商標)のモル)。或る特定の試料では、イソアスパラギン酸含有量の独立した測定を2回又は3回行った。 配列番号1(丸)及びその一価の対応した配列番号2(四角)に関する37℃での保存中の活性の喪失を示す図である。データを擬一次速度論モデルにフィッティングさせ(本文中の方程式2を参照されたい)、不活性化の分子機構であると考えられる異性化プロセスに関する見掛けの速度定数を推測した。半減期は、配列番号1及び配列番号2それぞれに関して約58日及び約100日である。 製造時に存在する、又は保存中に生じる、主生成物に関連した配列番号1の変異型を示す図である。二価ナノボディ(登録商標)配列番号1の一価の構成要素である配列番号2のアミノ酸配列が示される。CDR領域を下線処理する。本発明の報告で論じられる残基、すなわちE1、M34、M78、M83、D62/S63、D105/G106(図4に従ってナンバリングを使用する)を赤色で示す。E1を除いて、これらの指定は2つの同等位置(配列番号1の2つの同一のドメインそれぞれに1つ)を表す。 RANKL−1及びRANKL−1_D62Eがアルファスクリーンアッセイで測定されるものと同様の効力を示すことを表す図である(例えば、Perkin Elmer, UKから入手可能なアルファスクリーン(商標)技術)。 RANKL−1+RANKL−1_D62EのRPC解析を示す図である(出力線はおおよそ同一である)。isoD62ピーク、isoD105ピーク及びoxM78ピークを有する配列番号1のプロファイル(実施例1も参照されたい)は陽性対照として含まれる。*は、出発材料と参照材料とにも存在するピークを示している。isoD62及びisoD105はそれぞれ、Asp−105及びAsp−62の異性化に対応する。oxM78はMet−78の酸化に対応する。pyroE1はN末端の環状ピログルタミン酸の生成に対応する。 流速1mL/分、0.33% B/分の勾配傾斜で、イオン対生成剤としてTFAを使用するが、種々のカラム温度(50℃−60℃−70℃−75℃)で、ZORBAX C3カラムでのIL6R203解析の214nmのRP−HPLCクロマトグラムを示す図である。カラム温度が低減すると共に、ピーク溶出時間が増大し、且つ面積が減少する。 75℃及び70℃で解析した試料のピーク基線領域の拡大図である。75℃では、最初のポストピークがかなりの増大を示す。この増大は温度の影響であり得ることに留意されたい。 IL6R202のRP−HPLCプロファイルに対する種々のカラム温度の影響が劇的であることを示す図である。このことはIL6R203でも示された。有用なクロマトグラムを得るための最小温度は70℃である。 IL6R201野生型及び突然変異型をRPCで解析した結果を示す図である。使用されるカラムは、Agilent製のシステム上でZORBAX 300SB C3(5μm)カラムである。実験中のカラム温度は70℃であった。実験中に使用されるバッファーAは0.1%トリフルオロ酢酸であり、バッファーBは0.1%トリフルオロ酢酸/99.9%アセトニトリルであった。 図27と同じ。 図27と同じ。 図27と同じ。 図27と同じ。 図27と同じ。 図27と同じ。 配列番号2及び配列番号26の両方を37℃で保存した。4週間後、試料をRPCで解析した。クロマトグラムのオーバーレイを図34に示す。 ALX−0081及びVWF0001によるフォルツ研究の結果を示す図である。CFRを示す血流は時間に応じて示される。CFRを大腿動脈の損傷及び狭窄後30分間、測定した(対照)。食塩水を注入し、CFRに対する影響を30分間測定した。ALX−0081又はVWF0001を注入し、30分毎に用量を増大させた。投与時間を赤色の矢印で示し、用量を赤色で示す(μg/kg)。CFRの完全抑制が観察されたら、新たな損傷を加えた。最大用量の試験項目の後、エピネフリンを注入した。 ALX−0081及びVWF0001で処理したヒヒに関する全ての用量に応じたリストセチン誘導性の凝集(%)及びCFRの長さ(秒)を示す図である。 VHH断片IL6R201の強制酸化実験の280nmでの多重RP−HPLCクロマトグラムを示す図である。下方の出力波形は、非処理の参照材料IL6R201のクロマトグラムである。上方の出力波形は、10mMのHで2時間処理したIL6R201のクロマトグラムである。 119A3による強制酸化実験の280nmでの多重RP−HPLCクロマトグラムを示す図である。上方の出力波形:非処理の119A3参照試料;真ん中の出力波形:6Mのグアニジンの存在下でのHで処理した119A3試料;下方の出力波形:Hで処理した119A3試料。 37℃で8週間インキュベートした1配列番号26(上方の出力波形)及び−80℃で保存した参照材料(下部の出力波形)の280nmで記録したRP/HPLC/RPCクロマトグラムを示す図である。 37℃で8週間インキュベートした後の配列番号25(上方の出力波形)及び−80℃で保存した参照材料(下部の出力波形)の280nmで記録したRP/HPLCクロマトグラムを示す図である。 RANKL−1におけるN末端の環状ピログルタミン酸のpH依存的な生成を示す図である。RANKL−1を種々のバッファー中で配合し、37℃で最大8週間保存した。63mg/mlでの10mMのNaHPO(pH7)(黒四角)、30mg/mlでの10mMのNaHPO(pH7)(白四角)、63mg/mlでの酢酸ナトリウム(pH5.5)(黒三角)又は30mg/mlでの10mMの酢酸ナトリウム(pH5.5)(白三角)中でのRANKL−1保存試料のRPC解析は、インキュベーション時間及びバッファーのpHと共に、ピログルタミン酸変異型の形成が増大することを示した。統合した表面積全体に対する割合として表されるピログルタミン酸のピーク表面積は、pH5.5よりもpH7で高い。 ナノボディ321におけるN末端の環状ピログルタミン酸のpH依存的な生成を示す図である。ナノボディ321の安定性を2つのバッファーで評価した:pH6で20mMのヒスチジン対pH6.5で20mMのヒスチジン、両方ともタンパク質濃度5mg/mL。試料に37℃で最大6週間ストレスを加えた。ナノボディ321保存試料のRPC解析は、インキュベーション時間及びバッファーpHと共に、ピログルタミン酸変異型の形成が増大することを示した。上方のパネル(図42A)は、37℃で6週間後のRPCクロマトグラム例である(下部の出力波形:−80℃の参照材料;真ん中の出力波形:pH6;上部の出力波形:pH6.5)。下部のパネル(図42B)は、統合した表面積全体に対する割合として表されるピログルタミン酸のピーク表面積を示すグラフであり、該表面積はpH6(黒四角)よりもpH6.5(白四角)で高かった。 同上。
実験部
実施例1:vWF結合ナノボディ及びナノボディ構築物(配列番号1、配列番号2)の安定化
1)配列番号1の化学的特徴付け
配列番号1は二価ナノボディ(登録商標)であり、この単一ポリペプチド鎖は3つのアラニン残基のリンカー越しに頭尾融合する、免疫グロブリンドメインの2つの同一コピーから成る(国際公開第2006122825号パンフレットの配列番号98及び配列番号1の生成に関する詳述を参照されたい)。それぞれのドメインに1つのジスルフィド結合が存在する。解析用パッケージは、通常観察されるタンパク質分解/修飾機構、より具体的には加水分解、酸化、アミド分解、ジスルフィド結合修飾及び凝集/沈降の大部分を評価する。或る特定の修飾、例えば脱リン酸化及び脱グリコシル化が起こらないので、これらの翻訳後修飾は適用することができないことに留意されたい。
表B−1:配列番号1の様々なバッチに関して特定の方法で得られた試験結果。
試験 試験結果
バッチ1 バッチ2 バッチ3 バッチ4 バッチ5
ビアコア効力 バッチ1に対
する% 100 95 95 94 96
cIEF
(キャピラリー
等電点電気泳
動法) 主ピーク 97.8 97.7 98.1 98.1 97.6
SEC
(サイズ排除ク
ロマトグラフィ)主ピーク 99.6 99.9 99.5 99.6 99.5
RPC 主ピーク 93.6 93.8 93.4 92.8 93.1 プレピーク
1+2+3 1.9 1.8 2.1 2.6 2.3 ポストピーク
1 3.7 3.5 3.6 4.6 3.6 他のポスト
ピーク 0.8 0.9 0.9 4.6 0.9(#)
表で示される値は全てパーセントである。(#)バッチ5に関しては、ポストピーク2の面積%が別に報告される。この試料での他のピークの面積%は0%である。
一般に、cIEF、SEC、RPC及び表面プラズモン共鳴のような解析方法により、配列番号1の様々なバッチ間での高度な一致が明らかになった。このことは、最も関連性のある生成物に特異的な解析方法の結果を示す表B−1に図示される。その中でも逆相クロマトグラフィ(RPC)は、配列番号1の薬剤物質(DS)を多くの異なる種に分離させるという点で最も有益な方法である(図1を参照されたい)。また代替的に、HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィ)は、DSでの多様性を解析するのに適した方法であり得る。主ピークの他に、プレピーク(主材料の前に溶出する物質)及び多くのポストピークを識別することができる。このようにして得られたバッチにおいて、プレピーク及びポストピーク1はそれぞれ一貫して、約2%及び3.6%を示すが、他のポストピークはDSの1%未満しか占めていない。
予めRPCプレピーク及びポストピーク1に関して特徴付けを行った。プレピークは、ESI質量分析により、対象の材料よりも16Da重いことが分かった。Hによる処理から成る強制酸化実験と組み合わせると、このことはプレピークが酸化に起因することを示唆している。この酸化は、1つ又は複数のメチオニン残基で起こると仮定された(配列番号1が2つの同一のドメインのそれぞれに3つのメチオニン残基を含有することに留意されたい)。さらに、強制酸化の程度は(或る特定の範囲内では)生物活性に影響しないことが実証された。質量分析及びアミノ酸解析は、ポストピーク1が主材料より18Da軽いこと、及びこれはメチオニン部位でのノルロイシン残基の取り込み違いの結果であることを実証している。RPC後のポストピーク1材料の回収は、この生成物に関連する物質も機能的であることを示唆した。実験作業により、酸化物質及びノルロイシン生成物に関連する物質の両方が採取の時点で培養培地中に存在することができ、それらのレベルが、下流プロセシング中、或る程度まで低減することが明らかになった。
配列番号1の様々なバッチの安定性研究により、或る特定の生成物に関連する物質の相対的存在量が時間及び温度と共に増大することが示される。図2により、このことはプレピーク及びポストピーク2の場合に当てはまることがはっきりと示される。これに対して、非常に驚くべきことに、ポストピーク1の相対ピーク面積は見かけ上、インキュベーション時間又は温度のいずれにも影響されない。さらに、配列番号1で観察されるRPC主ピークは、特に高温(25℃以上、図3を参照されたい)での長期インキュベーションの際に幾つかの異なる種に分割されると考えられる。このデータにより、幾つかのより早く溶出する新規の分子種が保存中に生成されることが示される。
アミノ酸に関しては以下の一文字コードを使用する:A、アラニン;D、アスパラギン酸;E、グルタミン酸;G、グリシン;K、リシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリン;T、スレオニン。
幾つかの異なる配列番号1の調製物/試料(例えば配列番号1バッチ1を含む、他は表B−1を参照されたい)を、本発明の報告で論じられた様々な実験に使用した。二価の配列番号1ナノボディ(登録商標)は、3つのアラニンのリンカー越しに頭尾融合する免疫グロブリンドメインの2つの同一コピーから成る。配列番号2と称される一価の構成要素(国際公開第2006122825号パンフレットの配列番号90及び配列番号2の生成に関する詳述を参照されたい)の解析が非常に貴重であることが分かった。これは、配列番号1と比較した複雑性の低減、並びに対象の分子及びその生成物に関連する変異型が、二価の配列番号1を用いるよりも配列番号2の場合にRP−HPLCでより良好に分離されるという事実のためである。さらに、突然変異解析を行い、配列番号1及び配列番号2両方の様々な突然変異型を構築、精製及び解析した(表B−2を参照されたい)。一価の構成要素である配列番号2のアミノ酸配列を図4に示し、本発明の報告で論じられる残基を強調する。少なくとも1つのバッチはRPCポストピーク1(図1を参照されたい)を含有せず、このことは生合成中のノルロイシンの組込み違いの結果であることが分かった(以下を参照されたい)。
表B−2:本発明の特徴付け研究で使用される配列番号1又は配列番号2の修飾型/突然変異型のリスト。全ての組換えタンパク質は大腸菌で産生され、イオン交換クロマトグラフィ、その後のサイズ排除クロマトグラフィで精製した。
Figure 2011511628
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配列番号2の他の突然変異型
Figure 2011511628
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2)方法:
配列番号1及び配列番号2の突然変異型の生成(表B−2):
突然変異を、QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene, CA, USA)を用いて導入した。QuikChange部位特異的突然変異誘発法を、PfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼ及び温度サイクラーを使用して行った。PfuTurbo DNAポリメラーゼが、高い忠実度で、突然変異型のオリゴヌクレオチドプライマーを動かすことなく両方のプラスミド鎖を複製する。基本的な手法は、対象のインサートを有する超らせん状の(supercoiled)二本鎖DNA(dsDNA)ベクター、及び所望の突然変異を含有する2つの合成オリゴヌクレオチドプライマーを利用する。それぞれベクターの逆鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが、PfuTurbo DNAポリメラーゼによる温度サイクリング中に伸長する。オリゴヌクレオチドプライマーの組込みにより、ねじれ型ニック(staggerednicks)を含有する突然変異したプラスミドが生成される。温度サイクリングの後、生成物をDpn Iで処理する。Dpn Iエンドヌクレアーゼ(標的配列:5’−Gm6ATC−3’)はメチル化及びヘミメチル化DNAに特異的であり、親DNA鋳型を消化するのに、及び突然変異を含有する合成DNAに関して選択するのに使用される。ほとんど全ての大腸菌株から単離されたDNAは、damメチル化されているのでDpn I消化しやすい。
2.1)配列番号1、配列番号2及びそれらの突然変異型の結合効力
配列番号1の結合効力を、平行線を使用して求めた。この方法は、二官能性が観察されるように設計し、そのため配列番号1の一価の構成要素である配列番号2は結合効力を有しない。
vWFのA1ドメインに対するwt及び突然変異型の配列番号2の親和性を、SPR技術(ビアコア)により求めた。様々な濃度(0.5nM〜20nMの範囲)の配列番号2をA1センサーチップに通した。速度定数(kon及びkoff)を得られたセンサーグラムから推測し、平衡解離定数(K)を算出するのに使用した。或る特定の実験では、wt及び突然変異型の配列番号2の試料を、A1センサーチップとの初期結合速度を測定することにより比較した。これらの実験では、試料を2nM濃度に希釈した。初期結合速度を、注入開始後、5秒〜25秒で得られたデータ点の線形フィッティングによりセンサーグラムの結合期から求め、報告された値は5つの独立した測定値の平均である。
2.2)配列番号1、配列番号2及びそれらの突然変異型のRP−HPLC解析
無傷タンパク質でのRPC解析のほとんどを基本的に他で記載のように行った(A.A. Wakankar et
al., Biochemistry 2007, 46, 1534-1544)。関連の偏差は、本発明の報告で言及される。トリプシン消化のRPC解析を以下でより詳細に説明する。
2.3)RPCによる配列番号1の濃度の決定
逆相HPLC(RP−HPLC又はRPC)
使用するカラムは、Agilent製のシステム上でZORBAX 300SB C3(5μm)カラムであった。実験中のカラムの温度は70℃であった。実験中に使用するバッファーAは0.1%トリフルオロ酢酸であり、バッファーBは0.1%トリフルオロ酢酸/99.9%アセトニトリルであった。使用するプログラムを以下に記載する:
プログラム
時間
(分) %B
2 10
3 27.5
25,5 35
26 100
28,5 100
29 10
35 10
一般的規則として、配列番号1、配列番号2及びそれらの突然変異型の濃度を分光学的に求めた。或る特定のRP−HPLC画分中に含有される材料を、生物活性の直接的な測定のために回収した。回収率は通常かなり低く、再構築試料における配列番号1(生成物に関連する変異型)の濃度では、濃度の分光学的な測定は不可能であった。このような場合、RPCによる回収した材料の再解析と、配列番号1バッチ1で確立した、配列番号1の量をRPCの全ピーク面積に関連付ける検量線に対するピーク面積の比較とにより、濃度を求めた。
2.4)質量分光分析
質量分光分析を、Agilent製のMSD ESI−TOF機器を用いて行った。機器をAgilent製の1100 HPLC(この場合、RPC法において様々なピーク質量を求めるMS検出器として使用した)と接続させた。別々の試料の質量測定のために、Poros−1カラムをMS解析前のバッファー交換に使用した。
ヘント大学のタンパク質生化学タンパク質工学研究所で行ったMS及びMS/MS実験は、4700 Proteomics Analyzer(MALDI−TOF/TOF、Applied Biosystems)又は陽イオンモードで操作する四重極飛行時間型機器(Q−TOF I、Micromass/Waters)で実行した。Ablynx及びブリュッセルの自由大学で、ESI質量スペクトルを、Q−TOF Ultima(Micromass/Waters)を使用して得た。
MALDI解析のために、0.5μLのトリプシン消化物を10μLのα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸(1mLの50% ACN、10%エタノール及び0.1% TFA中、10mg)と混合し、MALDI標的プレート上にスポットした。スペクトルを400Th〜4500Thのm/z範囲内に記録した。ESI−MS解析のために、スペクトルを400Th〜1200Thのm/z範囲内に記録した。最終スペクトルをデコンボリューションして(deconvoluted)、MaxEntソフトウェア(Micromass/Waters)を使用して、タンパク質の分子量を求めた。ESI−MS/MS解析を衝突誘導性解離(CID)により行った。MaxEnt3アルゴリズム(Micromass/Waters)を使用して、MS/MSスペクトルから配列情報を得た。
2.5)配列番号1のトリプシンペプチド地図
配列番号1又は配列番号2の試料(約1mg/mLの最終濃度)を、還元メチル化で修飾されたトリプシン(Promega、約20μg/mLの最終濃度)を用いて消化した。必要に応じて、D−PBSを用いて希釈を行い、−20℃で混合物を凍結させる前に24時間、37℃で加水分解を行った。ペプチド分画化を70℃で操作するC3カラム上で行った。典型的に、25μLの消化物(約20μgのタンパク質)をカラムに注入し、97分にわたり5% ACN−0.1% TFAから36.7% ACN−0.1% TFAへと増大させるアセトニトリル勾配を用いて、ペプチドを溶出させた。ピークを214nmで検出した。図5は、トリプシン消化後に得られ、37℃での8週間のインキュベーション後に得られたプロファイルに重ねたクロマトグラムを表す。ほとんどのピークの同一性を質量分析で確立した(表B−3を参照されたい)。
表B−3:配列番号1のトリプシン地図で観察されるピークの同一性。T2−T2’は、予測されるジスルフィド結合ペプチドを表す。T2−T2及びT2’−T2’は予測されない。これらが配列番号2でも観察されることは、これらが幾つかの人工的なジスルフィド転換を反映し、ジスルフィド結合の誤りによるものではないことを示す。


ペプチド 配列(本研究で同定される修飾を示す)
T2−T2 LSCAASGR+LSCAASGR
T8 FTISR
T7≠ TGGSTYYPisoDSVEGR
(D62の異性化、以下を参照されたい)
T7 TGGSTYYPDSVEGR
T6 ELVAAISR
T10≠ 主にMVYLQMN(非特異的な断片化に起因する)
及びMoxVYLQMNSLR(M78の酸化、以下を参照されたい) T2−T2’ LSCAASGR+AEDTAVYYCAAAGVR
T10 MVYLQMNSLR
T1 EVQLVESGGGLVQPGGSLR
T2’−T2’AEDTAVYYCAAAGVR+AEDTAVYYCAAAGVR T1≠ pyroEVQLVESGGGLVQPGGSLR
(ピログルタミン酸、以下を参照されたい)
T13 TLPSEYTFWGQGTQVTVSS
T3 TFSYNPMGWFR
T12 TLPSEYTFWGQGTQVTVSSAAAEVQLVESGGGL VQPGGSLR
2.6)イソアスパラギン酸量の酵素的定量化
ISOQUANT(登録商標)イソアスパラギン酸検出キット(Promega Corporation,
Madison, WI, USA)を配列番号1及び配列番号2におけるイソアスパラギン酸残基の定量的検出に使用した。ISOQUANT(登録商標)法は、非定型のβ−アスパラギン酸ペプチド結合の通常のペプチド結合への変換を媒介する酵素である酵素タンパク質イソアスパルチルメチルトランスフェラーゼ(PIMT)を使用する。PIMTは、O−メチルエステルを形成させるためにα−カルボキシル位でS−アデノシル−L−メチオニン(SAM)からイソアスパラギン酸へと活性メチル基の移動、及びこのプロセスにおけるS−アデノシルホモシステイン(SAH)の生成を触媒する。このメチルエステルの自発的分解により、メタノールの放出及びスクシンイミド中間体(すなわちアスパラギン残基のアミド分解、及びアスパラギン酸残基の転位の間に生成される同じ環状イミド中間体)の生成が起こる。それから、環状イミドをゆっくりと加水分解し、アスパラギン酸とイソアスパラギン酸との混合物を形成する。各メチル化サイクルで、非定型のペプチド結合の15%〜30%が通常のペプチド結合へと変換される。通常のペプチド結合へのイソペプチド結合のメチル化依存的な変換は、年齢に応じて損傷するタンパク質の修復におけるPIMTに対する生物学的役割を支持する。
酵素的メチル化は、ペプチド又はタンパク質におけるイソアスパラギン酸の測定に関する高感度で定量的なアッセイを提供する。一形態では、ISOQUANT(登録商標)キットは、メチル化反応の副生成物、SAHを検出する。SAHは比較的小さな分子なので、通常SAHをペプチドから単離し、逆相高速液体クロマトグラフィ(Everest C18カラムを使用するRP−HPLC)により定量することができる。試験試料における標的タンパク質に対するイソアスパラギン酸の量を、参照標準ペプチド(配列:WAGG−IsoD−ASGE)及びSAH HPLC標準(両方の試薬はキットと共に与えられる)を使用して行う反応と比較することにより求める。典型的に、約82%の期待されるイソアスパラギン酸を陽性対照ペプチドによる実験で回収した。ISOQUANT(登録商標)キットの製造業者の取扱説明書に従ってアッセイを行った。本発明者らは、イソアスパラギン酸残基の検出に対するタンパク質構造の影響を最小限にするために、配列番号1又は配列番号2の試料を断片化する必要があることを見出した。実際、無傷のタンパク質で測定されるイソアスパラギン酸のピコモル数は、消化タンパク質におけるピコモル数よりも顕著に低かったことが観察された。試料のプロテアーゼ消化を、37℃で24時間、トリプシン(1:50(w:w))を用いて行い、プロテアーゼ阻害剤PMSF(1mMの最終濃度、フッ化フェニルメタンスルホニル)を用いて反応を停止させた。残存トリプシン活性がないことを確認するため、及びトリプシンプロテアーゼに存在する任意のイソアスパラギン酸残基を把握するため、適切なブランク/対照反応がISOQUANT(登録商標)解析に包含された。
3)結果
3.1)RPCプレピーク1(及びプレピーク3)の解析
RPCプレピーク(主材料の前に溶出する物質)は主要なプレピーク1を含む。このプレピーク1の相対的なピーク面積は、保存時間及び温度と共に増大する(図2を参照されたい)。このことは、このプレピーク1が対象の配列番号1よりも16Da重い単酸化形態を表すESI質量分析及び強制酸化実験(図6を参照されたい)により事前に示された。この酸化は、この酸化がタンパク質の化学修飾の共通型であるということに基づいて、1つ又は複数のメチオニン残基で起こると仮定された。配列番号1は、2つの同一ドメインのそれぞれに3つ、すなわち6つのメチオニン残基を含有する(図4)。意図的な酸化は、さらなる(複数の)酸化種、特に図6で示される+32Da種を生成することができる。14%の主ピークと86%ものプレピークとから成る材料が十分に機能的であるという観察結果からも明らかなように全ての酸化変異型が活性であると考えられる。
プレピークが完全に活性であるという主張は、RP−HPLC分離中に回収されたプレピーク1材料の直接解析によりさらに裏付けられた。このため、プレピーク1を表す溶出画分をspeedvac(miVAc濃縮装置、Genevac)を使用して乾燥させ、0.02% Tween80を有するPBS中で再び可溶化し、濃度測定後、効力アッセイで解析した。単離材料の同一性をRPCによる再解析で確認した。またこれは、配列番号1で確立した検量線に対するピーク面積の比較によるプレピーク1材料の定量化を可能にした(6.3項を参照されたい。比較的少量のプレピーク1材料では、濃度の分光学的測定は不可能であったことに留意されたい)。対照によるものと同じ方法を使用して、RPC主ピーク材料を単離し、再構築して、定量化した。RPC主ピーク及びプレピーク1の効力はほぼ同一であり、相対効力は主ピーク及びプレピークに関してそれぞれ66.7%及び65.5%であることが分かった。回収した主ピーク及びプレピーク1材料が同等であることは、酸化した配列番号1が真の(authentic)タンパク質と同程度の活性を有するという考えを強く支持している。
配列番号1ナノボディ(登録商標)の酸化を、配列番号2、すなわち配列番号1の一価の構成要素を使用してさらに研究した。本発明者らは、配列番号1の配列番号2サブドメインが3つのメチオニン残基しか含有していないため、複雑度、すなわち酸化変異型の理論的に可能な数を低減するので配列番号2が有益であると予測している。本発明者らは、非酸化分子及び様々な酸化変異型が、配列番号1と比較して配列番号2の場合により良好に分離されることも発見した。図7は、未変性の配列番号2ナノボディの酸化は、大部分が1つの単一メチオニン残基で行われるが、これに対して分子が塩酸グアニジン処理により変性されると、3つのメチオニン残基全てが酸化されやすいことを示している。酸化されやすい残基の同定と、同時に実際に酸化がメチオニンで行われているという決定的な実証とが、3つの異なるメチオニンからアラニンへの突然変異型、すなわちM34A、M78A及びM83Aの解析により得られた。図8で示されるこれらの解析により、酸化が78位のメチオニン残基で行われること、M34A及びM83A突然変異型が依然として酸化されやすい一方で、アラニンによるM78の置換が(少なくとも試験条件下で)本質的に強制酸化に耐性のある配列番号2変異型をもたらすと考えられることがはっきりと示される。M34A及びM83A突然変異型と異なり、M78A変異型は産生の時点ではプレピークを含有しておらず、このことはプレピークがM78酸化によってのみ引き起こされることを示している(データ図示せず)。さらに、M34A及びM83Aの場合で見られる小さいプレピークは、37℃での長期保存(例えば6週間、データ図示せず)時に増大することも分かった。後者の観察結果により、空気酸化及び強制的な過酸化物媒介性の酸化が同じM78残基を標的とすることが確認される。一価の配列番号2において基本的に単一のメチオニンだけが酸化されやすいという結論は、二価の配列番号1ナノボディ(登録商標)の連続酸化中の単酸化種と二重酸化種との両方の蓄積と一致している(図6を参照されたい)。この二重酸化形態はRPCプロファイルにおけるプレピーク3に対応していると考えられる。
固定化されたvWF A1ドメインに対する3つのメチオニンからアラニンへの突然変異型全ての親和性がwt配列番号2ナノボディ(1.2nM)の結合定数と同じ範囲内であることにも留意されたい。M34A、M78A及びM83Aの平衡解離定数はそれぞれ、1.96nM、1.46nM及び1.29nMであることが見出された。この結果は、メチオニン酸化が配列番号1の効力には影響を与えないという知見に一致している。したがってメチオニン残基はvWF A1ドメインとの結合に関与していないと考えられる。
また配列番号1の酸化を、トリプシンペプチド地図を使用して調べた。ピークT10≠(図5及び表B−3を参照されたい)により、T10の単酸化変異型(1253.5+16Da)に正確に対応する1269.6Daのペプチドを含有することが示された。これは、T10ペプチドがM78及びM83の両方を包含するので、ピークT10≠の酸化感受性のメチオニン残基の位置を特定できない。さらに、T10≠ピークは、主に897.4Daの非特異的な開裂生成物(MVYLQMN、表B−3及びペプチドマッピング開発報告を参照されたい)(これも78位及び83位にメチオニンを含む)から成ることが分かった。後者の断片は、T10に比べてT10≠のピーク面積が、時間0で既に高く、37℃でのインキュベーション中には顕著に増大しないという観察結果を説明している。実際、酸化はT10≠に存在する2つの断片で反対の効果があり、一方でT10+16Da変異型が増大するが、その一方では非特異的な開裂生成物が減少する。またペプチドマッピングデータ解析により、T10ピーク面積は37℃で保存中に徐々に減少することが示されている。このことは78位でのメチオニン残基の酸化に一致しているが、この結果は、非特異的な開裂に干渉する可能性があるので、注意して扱わなければいけない。37℃での8週間のインキュベーション後に配列番号1で観察された1269.6Daの断片をESI−Q−TOF MS/MS解析にかけた。この実験で得られた部分配列データによっては、78位のメチオニルスルホキシドを直接確認することはできなかった。しかしながら、このことは83位の非修飾メチオニンの存在から推測することができた。
3.2)RPCポストピーク1の解析
ポストピーク1は生合成中の1つのメチオニン部位でのノルロイシン残基の組込み違いに起因する。このことは、質量分析とアミノ酸解析との組合せにより決定的に実証された。エレクトロスプレーイオン化飛行時間(EletroSpray Ionization Time of flight)(ESI−TOF)測定により、ポストピーク1が真のジスルフィド結合した配列番号1ナノボディ(登録商標)よりも分子量が−18Da低い27858Daの質量のタンパク質で占められることが示されている。−18Daの違いに対する可能な説明の1つは、ノルロイシンへのメチオニン残基の置換である。この仮定は、精製された主ピーク及びポストピークのアミノ酸解析により確認され、これによってポストピーク1材料のみがノルロイシンとそれに比例して少量のメチオニンとを含有することが示された。通常アミノ酸解析における内部標準として使用されるノルロイシンをこれらの実験では除外したことに留意すべきである。
−18Daの生成物に関連した変異型の効力(すなわち親和性測定から判断される)を求めるために、ポストピーク1をRP−HPLC分離中に回収し、PLA効力アッセイで直接測定した。プレピーク1で行ったのと同様に、初めにポストピーク1を表す溶出画分をspeedvac(miVac Duo Concentrator、Genevac)を使用して乾燥させた後、PBS中に再び可溶化した。RPC主ピークを対照と同様に精製した。3つの独立しているがわずかに異なる実験を行った。第1の実験では、再構築後の濃度を分光学的に測定したが、TweenをPBSに添加しなかった。第2の実験では、0.02% Tweenが乾燥材料の再構築時にPBS中に存在し(相対的な希釈試料からのタンパク質の喪失を防ぐため)、濃度をRP−HPLCによる再解析でのピーク面積から推測した。またRPC再解析により単離材料の同一性も確認された。第3の実験では、本発明者らはさらに、可能な限り多くの、主ピーク試料とポストピーク試料との相違を取り除くため、精製された主ピーク材料をポストピーク変異型とおおよそ同じ濃度に希釈した。第1の実験では、主ピーク及びポストピーク1画分をRPC解析後に回収し、遠心分離機フィルターユニット(Microcon YM−3、3kDa NMW、Millipore)で濃縮して、バッファーをSephadex G−25スピンカラムでのゲル濾過によりD−PBSに交換した。実験中、一部の材料の沈殿が観察され、効力アッセイに使用される濃度に関して不確実性が幾らか存在した。主ピーク及びポストピーク1の効力はそれぞれ、参照配列番号1の91.9%及び51.6%であることが分かった。第2の実験では、乾燥及び水中での再可溶化により、タンパク質をRPC画分から再構築した。第1の測定とは対照的に、主ピーク及びポストピーク1はそれぞれ、50%及び81%の効力を有することが分かった。全体として、上記の結果は、ポストピーク1が真の配列番号1と同じ効力を有するという強い証拠を与える。観察された変動は、無傷の材料をHO−TFA−ACN溶媒から回収するのが難しいことが原因であり、回収率自体は特に生成物に関連する変異型の存在量が低い場合に極めて低いことが分かった。
配列番号1における組込み部位にかかわらず、ノルロイシンは効力に悪影響を与えないという仮説をさらに実証するために、本発明者らは、メチオニンのノルロイシン残基による全体的な置き換えにより配列番号1変異型を産生した。この配列番号1変異型を、L−ノルロイシンを添加した最小培地中で成長させたメチオニン栄養要求株で産生した。より具体的には、初めに細胞を非誘導条件下で、富栄養培地中で成長させた後、遠心分離により回収し、L−ノルロイシンを含有する最小培地中で再懸濁して、最後に短いインキュベーション時間の後、IPTGを添加することにより誘導した。この方法はこれまでに説明されている(Cirino et al., 2003, Biotechnol. Bioeng. 83, 729-734)。配列番号1調製物はRPC、ペプチドマッピング及びMSで特徴付けられ、基本的にこれらの方法は6つ全てのメチオニンのノルロイシン残基による交換を確認した。しかしながら、調製物が、対象となるノルロイシン変異型(図9で6と標識された)の他に、より少量の起こり得る全ての部分置換変異型(図9で1〜5と標識された)と、一部のwt配列番号1とを含有することは、図9から明らかである。wt配列番号1の存在はおそらく、富栄養培地における細胞の前培養中のプロモータの不完全な遮断による発現の漏れ(leaky)の結果である。部分置換型は、最小培地+ノルロイシンへの移行後の残存メチオニンの存在ををはっきりと示している。複数置換変異型の相対効力は80%であることが分かった(3つの測定値:67.9%、85.5%及び86.7%の平均)。したがって、配列番号1の生物活性は、6つ全てのメチオニン残基がノルロイシンに完全に置換された場合であっても影響を受けないと考えられ、またこの結果は必然的に、単一のノルロイシン交換はその位置にかかわらず、効力に影響しないことを示唆している。
配列番号1の効力がノルロイシン残基による単一メチオニンの置換によっても、またメチオニン−78の酸化によっても(測定可能な)影響を受けないという結論は、固定化されたvWF A1ドメインに対する3つのメチオニンからアラニンへの突然変異型全ての親和性(7.1項を参照されたい)はwt配列番号2ナノボディの結合定数と同じ範囲内であるという観察結果に一致している。野生型、M34A、M78A及びM83Aの平衡解離定数はそれぞれ、1.2nM、1.96nM、1.46nM及び1.29nMであることが分かった。生来のものであると仮定されるこのような比較的小さい差異は、二価の配列番号1と固定化されたvWF A1ドメインとの結合の強力な条件下で実証される可能性は低い。まとめると、データは、メチオニン残基が配列番号1の生物活性には重要ではないことを示している。
3.3)RPCポストピーク2の解析
ポストピーク2はRPC解析法により或る程度まで形成される
ポストピーク2は産生時に全ピーク面積の約0.9%に達する。材料が70℃で、溶出する前により長い時間、カラムに留まるようにRPCの流速(run)を変えるとこのポストピークの増大が観察された。溶出を15分、30分、60分又は120分遅らせた実験は、ポストピーク2の面積がカラム上の滞留時間に線形的に相関していることを示した(図10を参照されたい)。時間0への外挿により、カラム上での滞留時間が0という実施不可能な場合では、ポストピーク2はほとんど発生しないことが示される。これらの所見により、本発明者らは、ポストピーク2で表される配列番号1変異型が、産生時に、配列番号1の様々なバッチには存在しないも同然であり、RPCカラム上で70℃の温度に比較的短時間曝されている間、又は保存中しか形成されないと結論付けている(図2及び配列番号1を参照されたい)。
ポストピーク2はN末端ピログルタミン酸を有する配列番号1を表す
ポストピーク2は、5℃、25℃及び40℃での長期インキュベーション中に形成される。これは図2でも示される。しかしながら、変異型の一部がカラム上でのRPC解析中に発生するために、%ピーク面積は誇張的な表現である。本発明者らは、ポストピーク2はN末端グルタミン酸残基の環状ピログルタミン酸への変換に起因することを示している。この結論に至った様々な実験を以下で論じる。
ポストピーク2変異型は真の配列番号1よりも18Da軽い
ポストピーク2としてのタンパク質溶出を同定するために、ポストピークをRP−HPLC分離後に回収し、その質量をESI−TOF質量分析で求めた。バッチ1標準で利用可能な濃度が低すぎるため、ESI−QTOF解析に使用する材料は、37℃で4週間保存したバッチ1調製物であった。RPC画分からの主要ピークの質量は、27858Daであった、すなわち天然の配列番号1(27876Da)よりも18Da軽かった。このような質量の減少に対しては幾つかの異なる説明があり得るが、この質量の減少はピログルタミン酸をもたらすN末端グルタミン酸残基の環化の結果としての水分子の喪失と一致する(ポストピーク1と同様に、ポストピーク2が生合成中に、メチオニン残基がノルロイシンに置き換わる配列番号1変異型を表すという形式的な可能性が、この場合に相対的なピーク面積がインキュベーションの時間又は温度により影響を受けないために拒絶される)。
組換えピログルタミン酸変異型がRPCポストピーク2と同じ保持時間を有する
一般に、ピログルタミン酸は、グルタミン酸と比較して、N末端グルタミン残基の場合でより容易に現れる(Gadgil
et al., 2006, J. of the American Society of Mass Spectrometry17, 867-872)。したがって本発明者らは、N末端グルタミン酸をグルタミンに置換する配列番号1変異型(E1Q突然変異型)を構築することにした。この配列番号1突然変異型は、pH4でmonoSカラム上に分画化することができ、E1Q−a及びE1Q−bで指定される2つのほぼ等しい存在量の種が溶出することが分かった。両方の画分を脱塩処理し、ESI−TOF質量分析にかけた。E1Q−bの質量は27874Daであり(E1Q変異型の予測質量は27875Daである)、E1Q−aの質量が27857Daであることが分かった(N末端グルタミンの環化により、NH分子又は17Daの喪失が起こり、予測質量は27858Daである)。これらのデータから、E1Q−bはN末端グルタミン残基を有する配列番号1に対応し、E1Q−aは環状化ピログルタミン酸型を表すと結論付けた。RPC解析により、E1Q−aの保持時間はポストピーク2と同じであり、E1Q−bプロファイルはバッチ1の主ピーク及びポストピーク2と一致する2つのピークを含有することが示された(図11を参照されたい)。おそらくほとんど、後者の結果は、野生型の配列番号1分子で観察されるように、RPC解析中に、N末端グルタミンの重要部分がピログルタミン酸に変換されることに起因するに違いない。まとめるとデータは、RPCポストピーク2が環状ピログルタミン酸型の形成に起因しているという考えを支持している。
ペプチドマッピングにより、保存中のピログルタミン酸の形成が確認される
N末端でのピログルタミン酸残基の形成は、ペプチドマッピングにより確認された(2.5項を参照されたい)。トリプシンペプチドのRPC解析により、質量がN末端断片−18Daのものに対応するピーク(すなわち表B−3によるピークT1≠)の存在が明らかになる。MS/MS解析による部分配列決定により、実際にこのペプチドがN末端T1トリプシン断片に対応することが確認されている。RPCポストピーク2で観察されるものに従い、ペプチド地図におけるピークT1≠の相対的なピーク面積が保存時間と共に増大することが分かった。ピログルタミン酸のN末端ペプチドはバッチ1には(ほとんど)存在しないが、37℃で8週間の保存の後では十分に存在する(図13を参照されたい)。T1≠ピーク面積の増大と同時に、非修飾N末端T1ペプチドの面積は保存時間と共に低減する(データ図示せず)。T1≠ピークの同一性は、上記で論じられたE1Q−a変異型及びE1Q−b変異型でペプチドマッピングを行うことによりさらに実証された。E1Q−aがN末端に環状ピログルタミン酸を有する配列番号1を表すという考えに一致して、この変異型は、T1ペプチドを失い、その代わりにT1≠ピークと一致する断片が得られることが分かった。E1Q−b変異型は、同じT1≠ピークと、本発明者らが1位にグルタミン酸残基ではなくグルタミンを含有するT1−ペプチドに対応すると推測する別のピークとを生じることが分かった(図13を参照されたい)。
配列番号1及びそのピログルタミン酸変異型の効力は等しい
E1Q−a、すなわち配列番号1のピログルタミン酸変異型(上記を参照されたい)の効力、すなわち結合親和性を上記のように求めた。バッチ1の効力に対する効力の平均値は105%であった。2つの実験での95%CLは105%〜113%及び96%〜106%であった。配列番号1及びそのピログルタミン酸型の効力は有意に異なってはいないと結論付ける。
cIEFによる配列番号1のピログルタミン酸変異型の検出
ピログルタミン酸修飾が配列番号1の等電点(pI)の移行を誘導することが分かった。これはバッチ1及びバッチ1と上述のE1Q−aピログルタミン酸変異型との混合物のcIEF解析により明らかになる(図14を参照されたい)。ピログルタミン酸形成により、pIが高い異なるピークがはっきりと得られる。また図14は、グルタミン酸のグルタミンによる置き換え(すなわちE1Q−b変異型)も、環状ピログルタミン酸より明確ではないが、pIに対する影響があることを示す。一方でピログルタミン酸と、他方でE1Q−b変異型とのpIに対する明白な影響は容易に合理化されない。
37℃で6週間インキュベートした配列番号1の電気泳動図は、保存により、主ピークの他に多くの新たなピークが出現することをはっきりと示している(図15)。より高いpIを特徴とする最も目立つ新たなピークは明らかに、N末端ピログルタミン酸環の形成を割り当てることができる。図15は、この高pI変異型がE1Q−a種と一致することを示す。このためN末端のピログルタミン酸生成物を、RP−HPLCによりポストピーク2及びcIEFにおける高pI変異型として検出することができる。ポストピーク2とは対照的に、高pI変異型は、保存していない配列番号1バッチでは観察されない。この所見は、RPC条件自体が幾らかのピログルタミン酸形成を誘導するという考えを支持している。この影響を考慮すると、2つの異なる技法を使用して相対的なピーク面積から推測されたピログルタミン酸の形成量は十分に一致している(データ図示せず)。
ピログルタミン酸形成は他のナノボディ構築物でも観察されている(図41及び図42を参照されたい)。ナノボディ321のアミノ酸配列が配列番号38に列挙されることに留意されたい。
ナノボディ321−配列番号38のアミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRIFSLPASGNIFNLLTIAWYRQAPGKGRELVATINSGSRTYYADSVKGRFTISRDNSKKTLYLQMNSLRPEDTAVYYCQTSGSGSPNFWGQGTLVTVSSGGGGSGGGSEVQLVESGGGLVQPGNSLRLSCAASGFTFSSFGMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNAKTTLYLQMNSLRPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTLVTVSSGGGGSGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTLSSYAMGWFRQAPGKGREFVSRISQGGTAIYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAKDPSPYYRGSAYLLSGSYDSWGQGTLVTVSS。
ピログルタミン酸(pyroglutamte)形成が高pH環境と共に増大するという兆候がある(pH6.5はpH6よりも高いピログルタミン酸形成を示すと思われる。図42を参照されたい)。
3.4)保存中のRPC主ピークの分割の解析
RPC主ピークが長期保存後に分割される
配列番号1で観察されるRPC主ピークは、高温での長期インキュベーション時に幾つかの異なる種に分かれると考えられる。データは、幾つかのより早く溶出する新たな種が長期保存中に生成されることを示す(図3及び図16を参照されたい)。
この解析は、分解能が向上しているため、一価の構成要素である配列番号2でより容易であることが分かった。RPCプロファイルにより、より容易に主ピークの破壊が明らかになり、同時に複雑性が低減している。図16は、2つの新規のより早く溶出するピークを識別することができることを示す。図16で示されるように、本発明者らは、これらのピークをI1及びI2と表す。
主ピークの分割はD105及びD62の異性化によるものである
より早く溶出するI1種及びI2種を同定するために、これら2つのピークと主ピークとを、RP−HPLC分離後に回収し、その質量をESI−TOF質量分析で求めた。ESI−TOF解析で使用される材料は、37℃で6週間保存した配列番号2の調製物であった。3つのピーク全てが同じ質量、すなわち配列番号2で算出される質量であることが分かった。この結果により、I1及びI2を生じる修飾が質量には影響しないことが実証される。データにより、本発明者らは、I1及びI2は、アスパラギン酸の中性質量(mass-neutral)異性化、又はおそらくは重量がわずか1Da増大するアスパラギン残基のアミド分解のいずれかによるものであり得ると仮定した。この作業仮説は、異性化変異型が通常RPクロマトグラフィにおいて非修飾型より早く溶出することを示す文献データにも基づいていた。配列番号1のアミノ酸配列の調査は、3つの最も有望な分解部位がN84/S85、D105/G106及びD62/S63であることを示す。それぞれの場合で、N残基又はD残基の後に、本発明に従って最も不安定であることが概して認められている残基であるグリシン又はセリンが続く。また、D105はどちらかといえば柔軟であると推測され得るCDR3領域に位置しており、この別の条件はβ-Asp形成に有利に働くことが知られている(Clarke,1987、Robinson, 2002、Xie, 2003)。これに関して、従来のモノクローナル抗体CDR領域に位置するアスパラギン酸残基の異性化が報告されていることに留意されたい(Caciaet al., 1996、Wakankar et al., 2007)。
84位のアスパラギン残基は、全てのラマ/ヒトコブラクダ構造で厳密に保存される。その側鎖が溶媒に等しく曝される。N84のアミド分解に関する実験的証拠を見出すことはできなかった。最初に、ペプチドマッピングデータは、37℃での長期インキュベーションによってはT10ピークよりも早く溶出する分子種は現れないことを示している。第2に、N84のアミド分解の際に形成される分子種の1つである、配列番号2のN84D突然変異型は、wt種と共に同時に溶出することが分かっており、RPCプレピーク又はポストピークのいずれをも説明しなかった。
62位及び105位でのアスパラギン酸残基の異性化が行われるという最も説得力がある証拠は、ジペプチドD105/G106及びD62/S63の突然変異解析に由来する。図17は、A、E又はQによるD105の置き換えがI1ピークの発生を排除したことを示し、このことは37℃で8週間インキュベートしたwt分子の対応するRPCプロファイルではっきりと見られた。他方でD105N突然変異型は、37℃での8週間のインキュベーション後にイソアスパルチルと通常のペプチドとの混合物へと完全に変換したと考えられる。D105に対するβ−D105の平衡時での比率は、他で見られたものと同程度の値である70:30すなわち約2.3である(Geiger and Clarke, 1987, J. ofBiological Chemistry 262, 785-794)。D105N突然変異型のクロマトグラムにより、また他の生成物に関連する変異型(すなわち酸化及びピログルタミン酸型)がD105及びβ−D105型に対して同程度の相対量で分けられることが示される。さらに、G106のアラニン残基による置換により、極めて小さいI1ピークが生じたことが分かった。I1種とD105の存在との関連性と、I1ピークをアスパラギン酸のすぐ下流にあるアミノ酸の性質により調節することができるというさらなる所見とが、実際に105位での異性化がより早く溶出する種I1の形成に関連するという強力な証拠を与える。同様に、D62のA又はEによる置換が37℃でのインキュベーション中のI2ピークの形成を妨げることが示された(図18)。また、S63残基のグリシンによる置き換えがI2ピークの形成をはっきりと促進する。後者の場合、62位の異性化が105位での異性化よりも重要になり、37℃での4週間の保存後のクロマトグラムが、β−D105/β−D62二重異性化変異型の存在の兆候をはっきりと示す。同じことが、β−D105が豊富に形成される上述のD105N突然変異型でもいえる。これらのデータより、アスパラギン酸異性化が105位及び62位の両方で行われると考えられ、2つの修飾がはっきりと37℃での配列番号2の保存時に新たに形成されるピークを説明する。I1及びI2の相対ピーク面積は、D62異性化速度が105位での速度よりかなり低いことを示している。配列番号1の場合、複数の分離されていないピークが37℃でのインキュベーションの際に形成されると考えられる(図16を参照されたい)。本発明者らは、これらが、二価分子のさらなる複雑性を考慮して、2つの上述の異性化事象により適切に説明されると考えている(すなわち両方のドメインにβ−D105を有する配列番号1のようなさらなる変異型を生成することができる)。
62位でのβ−アスパラギン酸形成に関する第1の証拠は、配列番号1のペプチド地図におけるピーク(すなわち図5におけるピークT7≠)の検出に由来し、この形成は、37℃での保存時間と共に線形的に増大し、T7、すなわちD62残基を含有するペプチドの前で溶出する。T7≠ピークは、37℃での8週間のインキュベーション期間後の総量(T7+T7≠)の約6.4%を表す。このピークの質量は、T7断片の理論質量に対応することが分かり(1487.5Da対1487.7Da)、MS/MS解析により同一性が確認された。D62残基の中性質量異性化がこれらの所見の最良の説明を与える。低エネルギー条件下で生成されるb型及びy型のシリーズイオンにより、T7≠ピークの全配列決定が可能になるが、α−アスパラギン酸とβ−アスパラギン酸とを区別することはできなかった。D105の異性化は、この残基がペプチド地図では気付かれない小さい5−merペプチドの一部であるため、ペプチド地図を用いても研究することはできない。
Isoquant(登録商標)イソアスパラギン酸検出キットを、37℃で保存した配列番号1及び配列番号2におけるイソアスパラギン酸残基の定量的な検出に使用した。37℃でのβ−D形成速度はそれぞれ、バッチ1及び配列番号2に関して1ヶ月当たり約7.6%及び3.9%であった(イソアスパラギン酸(モル):タンパク質(モル))。2倍の差異はこれらのナノボディ(登録商標)の価数に一致している。配列番号2においてIsoquantキットで検出されるイソアスパラギン酸レベルは、ペプチド地図から推測されるβ−D62量と同じ範囲内である(すなわち37℃での8週間の保存の後、2×3.9%対6.4%)。この結果は、無傷のナノボディ(登録商標)又はトリプシン断片のいずれかにおける105位でのイソアスパラギン酸はおそらく、PIMT酵素に関する基質ではないが(又は少なくとも非常に弱い基質であるが)、この酵素はin vitroで広範なイソアスパラギン酸基質特異性を有することを示唆している。この推測は、単離したRPCピークI1が期待量のイソアスパラギン酸のおよそ10分の1しか含有していないという観察結果により支持され(結果的には、検出されたレベルは、I1ピークのI2による汚染に起因するものであったと考えられる)、すなわちRPC主ピークを並行して単離し、Isoquantアッセイにおいて負の値を付けた。単離したRPCピークを、RPC再解析で確かめ、分光学的に定量化した。β−D105がPIMT酵素に対する基質ではないという決定的証拠は、最終的に合成ペプチドA−E−IsoD−G−Rとその非修飾対応部分A−E−D−G−RとでIsoquantアッセイを行うことにより得られた。D105残基を含有するトリプシン断片に対応するこのペプチド(図4を参照されたい)は実際、アッセイ条件下ではPIMT酵素に対する基質ではなかった。
37℃での保存中のI1ピーク面積の増大は、この温度でのD105異性化の反応速度を得るのに使用されている。線形最小二乗回帰解析を、データ組にフィッティングさせると共に、擬一次速度定数(kobs)を得るのに使用した。以下の方程式をフィッティングするのに使用した:
ln(I1−I1/I1)=−kobst[方程式1]
(式中、I1は時間tでの配列番号2のRPCクロマトグラムにおけるピークI1の相対面積を表し、I1は無限遠での相対的なピーク面積である(t→∞))。I1は、異性化により70:30比が得られることが期待されるため、70%に設定した(D105N突然変異型のアミド分解で観察されるように、上記)。速度定数は0.006/日であることが分かっており(95%信頼区間:0.0065〜0.0049;t1/2≒115日と同等)、この値は他のタンパク質/ペプチドで見られた異性化速度に一致している(Stephenson and Clarke, 1989, J. of Biological Chemistry
264,6164-6170)。
62位及び105位での異性化に関する実験的所見は、構造データと十分に一致している。配列番号1において、D62は溶媒に強く曝され、相対的な接触可能表面積は0.906である。D105に関して算出された、かなり低い相対的な接触可能表面積値0.191は、R102及びR107の側鎖が結晶構造で接近することにより説明することができる。しかしながら、溶液中ではアルギニン側鎖は非常に柔軟である。非対称ユニットに存在する3つの配列番号1分子のそれぞれで、D105の側鎖がG106の骨格アミドと相互作用し、このことによりこの位置で観察される有意な異性化に関する説明を与えることができる。これに対して、ペプチドマッピングデータ(データ図示せず)に従った異性化が行われていない残基であるD90は溶媒に接近することができないと考えられる。さらに、この残基は、T91骨格アミドと相互作用することなくR67から水素結合を受け取り、このことが異性化を妨げることが期待される。
D105の異性化は効力の喪失の基となる主要な分子機構である
配列番号1は、保存中にその結合親和性(本明細書中で効力とも称される)を喪失する。幾つかの保存研究を行った。喪失は25℃(12ヶ月で約50%の喪失)、40℃(7週間後及び5ヶ月後にそれぞれ、約40%及び約20%の残存活性)で検出可能であったが、5℃では検出することができなかったことが分かった。同様の研究では、一価の構成要素である配列番号2が、保存中、(ビアコア解析で求められるような)vWF A1ドメインに関する親和性を失うことも分かった。配列番号1が分子の二価性質のために約2倍の速さで減衰することを考慮すると、配列番号2で観察された親和性の喪失(37℃での最初の8週間のインキュベーション中、約20%)は、おおよそ配列番号1の効力の喪失に従っているといえる。
105位での異性化が生物活性の喪失に関与し得るという最初の手掛かりは、配列番号2の親和性の喪失の程度が、RPCピークI1の相対的なピーク面積と相関関係にあるように見えるという観察結果によるものである(図16を参照されたい)。この見解は、D105がCDR3に位置するという事実によっても支持され、このことにより一般的に一次抗原結合領域、すなわちほとんどの結合自由エネルギーを構築することが認められている。以下の観察結果により、本発明者らは、D105の異性化が主要な不活性化機構を表していると結論付けている(表B−5を参照されたい):
i.単離RPCピークI1は主ピークの活性の5%であり、これはIsoquantアッセイ(上記)で使用されたものと同じ材料であり、残存活性が汚染の結果であることは排除されないものとする。
ii.D105A突然変異により、親和性が10分の1に降下し、このことは、D105側鎖がvWF A1ドメインとの結合に重要な貢献をすることを示している。
iii.D105N突然変異型において、異性化は相当に高速なアミド分解プロセスに入れ替わる。37℃で、アスパラギニル残基は約2.5:1の比率でβ−DとDとの混合物へと迅速に修飾する。RPC解析により、この修飾反応は約2週間後に完了することが示されている(データ図示せず)。Dに対するβ−Dの比率は観察された約30%の残存活性に極めて一致する。
iv.全体的に、D105Nを除くD105突然変異タンパク質での安定性研究は、D105突然変異タンパク質が、37℃でのインキュベーション中にこれらの活性を維持するか、又はいずれの場合でも野生型の配列番号2分子よりも相当遅い速度で不活性化することを示している。
表B−5:D62/S63異性化部位又はD105/G106異性化部位のいずれかに置換を含有する、配列番号2の突然変異タンパク質の生物活性。平衡解離定数と、37℃での4週間、8週間及び16週間のインキュベーション後の活性とが列挙される。保存中の活性化に続いて、センサーチップ上に固定化されたvWF A1ドメインとの初期結合速度を求めた(5回の測定)。活性を時間0のものと比較し、パーセントで表す(±95%信頼区間、n=10)。


突然変異型 親和性 37℃での4週 37℃での8週 37℃での16週
(K、nM) 間後の活性(%)間後の活性(%) 間後の活性(%)
配列番号2
野生型 1.0 93.5±3.2 80.3±2.9 60.2±4.8

配列番号2
D62E 1.3 89.6±2.2 80.2±2.1 −−−

配列番号2
D62A 1.0 88.4±2.9 87.4±1.4 −−−

配列番号2
S63G 1.2 95.5±2.6 83.8±2.4 −−−

配列番号2
D105E 4.4 −−− 98.8±1.9 99.6±3.1
配列番号2
D105A 9.3 −−− 98.7±2.5 104.5±2.1
配列番号2
D105Q 1.1 97.6±2.2 90.8±2.1 −−−

配列番号2
D105N 0.8 29.5±4.0 32.7±2.2 −−−

配列番号2
D105S 3.7 93.7±4.8 94.2±2.6 −−−

配列番号2
D105T 7.2 101.0±2.5 96.0±2.2 −−−

配列番号2
G106A 検出不可 −−− −−− −−−
利用可能なデータは、62位での異性化が結合親和性に悪影響を与えないことも実証している。これは、(i)D105突然変異タンパク質が37℃での保存中にその活性を維持するように見えると共に(上記)、(ii)62位での異性化を105位での異性化よりも重要なものとするS63G突然変異が、37℃での保存中の野生型の配列番号2よりも迅速には不活性化しないという観察結果から得られる。D62A突然変異型の親和性が野生型分子のものと同程度であるという見解は、この残基が結合に寄与するものではないことを実証しており、この位置での異性化は親和性に影響しないという考えに一致している。
D105/G106及びD62/S63異性化部位の突然変異解析は、106位でのアラニンによるグリシン残基の置き換えにより全ての活性が排除されることを示している(表B−5)。これまでこの見解は理解されていない。このグリシン残基が、通常他のアミノ酸では観察されないφ/ψ二面角を特徴とするという考えは、結晶構造データによっては支持されず、G106に対するφ/ψ角(平均−86°/−5°)はループ領域では異常ではない範囲にある。しかしながら、G106残基及びCDR3領域がvWF a1ドメインとの結合の際に異なる局所構造をとることを排除することはできない。
105位での異性化が主要な分子不活性化機構であるという観点に基づき、本発明者らは、D105異性化の反応速度を得るために、37℃で保存中での活性の喪失を利用した。kobs値を、配列番号2及び配列番号1を用いて行われた安定性研究から得られた親和性/効力データとの擬一次フィッティング(pseudofirst-order fits)により得た。以下の方程式をフィッティングに使用した:
ln(A−A/A−A)=−kobst[方程式2]
(式中、Aは時間tでの相対活性を表し、Aは初期相対活性であり、Aは無限遠での相対活性である(t→∞))。Aは、D105の異性化による活性の喪失が約30%でプラトーに達することが期待されるため、配列番号2に関して30%に設定した。配列番号1の場合、二官能性が十分な効力に必要であることから、効力の喪失が約9%(=30%×30%)のA値で安定すると予測される。見掛けの異性化速度定数は、配列番号2で測定される場合、0.007/日(95%信頼区間:0.0074〜0.0062)、及び配列番号1で測定される場合、0.012/日(95%信頼区間:0.0177〜0.0065)であった。配列番号2の安定性データから得られた値は、I1ピーク面積の増大から得られた値と良好に一致している(上記を参照されたい)。これは、活性の喪失が、37℃での保存の少なくとも最初の数ヶ月間にわたり、D105異性化と相関関係にあるという考えを裏付けている。配列番号1の効力の喪失は、一価の対応物、配列番号2の不活性化の約2倍の速さで起こる。これは、2つの同等部位(すなわち各ドメインにおけるD105)の存在と一致しており、そのそれぞれでの異性化がナノボディを不活性化する。またしたがって、この効力喪失のデータから推測されるような見掛けの異性化速度は、配列番号2で観察されるものよりも2倍高い。
結論
配列番号1の主な生成物に関連した物質が、
iv.RPCプレピーク1:存在する3つのメチオニンのうち1つの特定のメチオニン(M78)で2つの同一ドメインのいずれかで起こる単酸化事象(+16Da)、
v.RPCポストピーク1:生合成中のメチオニン部位でのノルロイシン残基の単一の組込み違い(−18Da)、
vi.RPCポストピーク2:ピログルタミン酸の形成をもたらすE1残基の環化、
の結果であるという決定的な証拠を提示している。
さらに、3つの上述の変異型の効力は全て、真の生成物のものと有意に異なってはいないことが分かった。これらの結果は、これらの生成物に関連する変異型の相対的存在量と組み合わせて(表B−1)、配列番号1のDS/DPの純度は、活性に基づき99%を超えて良好であるという結論につながる。
高温(すなわち25℃以上)での配列番号1の長期インキュベーションにより、RPCプロファイルが相当変化する。上述の酸化及びピログルタミン酸変異型は、インキュベーション温度及び時間と並行して、保存中に増大する。さらに、主ピークが幾つかの異なる種に分割され、このことは1つ又は複数の新規の分子種が生成されていることを示している。本発明者らは、RPC主ピークの分割が105位でのアスパラギン酸、及びより低い程度でD62の異性化に起因していることを見出している。本発明者らは、CDR3領域に位置する105位でのアスパラギン酸残基の異性化が、高温での配列番号1の効力の喪失の基となる主要な分子機構であることも示している。この知見を図21に要約する。
実施例2:RANKL結合ナノボディ(登録商標)構築物(配列番号19)の安定化
1.RANKL結合ナノボディの生成
アミノ酸配列:
RANKL−1(配列番号19)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYPMGWFRQAPGKGREFVSSITGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAYIRPDTYLSRDYRKYDYWGQGTLVTVSS
RANKL−1_D62E(配列番号20)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYPMGWFRQAPGKGREFVSSITGSGGSTYYAESVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAYIRPDTYLSRDYRKYDYWGQGTLVTVSS
上記で開示のアミノ酸配列に基づき、当業者は、例えばポリペプチド配列の逆翻訳、重複オリゴプライマーの生成、PCR増幅、好適な発現ベクターへのクローニング、好適な宿主での発現、及び(例えばGeneArt、DNA−2−go(商標)、sloningBioTechnology等の企業により提供される)所望のポリペプチド、例えば上記のRANKL−1の単離/精製に基づくポリポリペプチドを生成することができる。
RANKL−1の一次配列の解析は、分子の異性化に関する潜在的な部位として、及びしたがって化学的不安定性に関する潜在的な源としてD62を同定した。この可能性を試験するために、安定性アッセイを、RANKL−1分子、及び潜在的異性化部位がグルタミン酸残基(E)に置き換わっている突然変異型(RANKL−1_D62E)を用いて行った。RANKL−1におけるD62Eの突然変異を、突然変異を含むプライマー:
RevRANKL−1_D62E:CCTCCCTTTGACGGATTCCGCGTAATACGT(配列番号21)
FwRANKL−1_D62E:ACGTATTACGCGGATTCCGTCAAAGGGAGG(配列番号22)
を使用して重複PCRにより導入した。
pAX054ベクターにおけるSfiI/BstEII断片がpUC119の誘導体であるため、RANKL−1又はRANKL−1_D62EをコードするcDNAを両方ともクローニングした。ベクターは、IPTGを使用して、発現の導入の制御を可能にするLacZプロモータを含有する。ベクターは、カナマイシンに対する耐性遺伝子を有する。マルチクローニング部位は幾つかの制限部位を保有し、そのSfiI及びBstEIIはナノボディ(登録商標)をクローニングするのに頻繁に使用される。ナノボディ(登録商標)コーディング配列を有するフレーム内で、ベクターはC末端のc−mycタグ及び(His)6タグをコードしている。シグナルペプチドは発現ナノボディ(登録商標)をペリプラズムに転座させるgen3リーダー配列である。
産生のために、RANKL−1及びRANKL−1_D62E構築物を50mlのTB/0.1%グルコース/カナマイシン中に接種し、懸濁液を37℃で一晩インキュベートした。5×400ml培地に、100倍希釈の得られたo/n前培養物を接種した。培養物をOD600が5を超えるまで、37℃、250rpmでさらにインキュベートした。培養物を1mMのIPTGで誘導し、さらに37℃、250rpmで4時間、インキュベートし続けた。培養物を4500rpmで20分間遠心分離し、その後上清を廃棄した。ペレットを−20℃で保存した。精製のために、ペレットを解凍し、20mLのdPBS中で再懸濁して、4℃で1時間インキュベートした。それから、懸濁液を8500rpmで20分間、遠心分離し、ペリプラズム抽出物から細胞残屑を取り除いた。
ナノボディを、陽イオン交換(Source 30Sカラム、洗浄バッファー:10mMのクエン酸(pH4.0)、溶出バッファー:10mMのクエン酸/1MのNaCl(pH4.0))、その後サイズ排除クロマトグラフィ(Superdex 75 Hiload 16/60カラム、d−PBS中))により精製した。
OD280nmを測定し、濃度を算出した。試料を−20℃で保存する。
アルファスクリーン
ナノボディRANKL−1及びRANKL−1_D62Eの精製試料を、ヒトRANKLとヒトRANK−Fcとの間の相互作用を阻害するそれらの能力に関してアルファスクリーンで解析した。このアッセイでは、1uM〜10pMの範囲の様々な濃度の抗RANKLナノボディを、384ウェルプレートで15分間、3nMのビオチン化ヒトRANKと共にインキュベートした。その後、RANKL(1nM)と抗RANKL MAb BN−12(Diaclone)でコーティングしたアクセプタビーズ(20ug/ml)との混合物を添加し、30分間インキュベートした。最後に、ストレプトアビジンでコーティングしたドナービーズ(20ug/ml)を添加した。1時間のインキュベーション後、プレートをEnvisonアルファスクリーンリーダー(PerkinElmer)で読み取った。全ての実験を二連で行った。抑制曲線及びIC50値を図22に示す。RANKL−1_D62E突然変異型におけるD62E突然変異は結合効力を損わない。
安定性研究
タンパク質バッチをD−PBS中で1mg/mLまで希釈した。その後、試料を0.22μm径のフィルターで濾過した。試料の一部を参照試料として−80℃で保存し、他の部分をその後の逆相−HPLC解析のために、37℃で4週間(インキュベーションオーブン中で)保存した。
逆相−HPLC解析:使用するカラムは、Agilent製のシステム上でのZORBAX 300SB C3(5μm)カラムであった。カラムの温度は実験中70℃であった。実験中で使用するバッファーAは0.1%トリフルオロ酢酸であり、バッファーBは0.1%トリフルオロ酢酸/99.9%アセトニトリルであった。使用するプログラムを以下に記載する。
プログラム
時間
(分) %B
2 10
3 27.5
25,5 35
26 100
28,5 100
29 10
35 10
図23は、RANKL−1及びRANKL−1_D62Eが両方ともいかなる異性化(例えばD62及び/又はD105での異性化(isomarization))をも示唆するピークを示さず、対照のナノボディであるvWF−12A2h1配列番号2はピークを示していることを示す。N末端の環状ピログルタミン酸の形成を反映するピークは両方のRANKLナノボディに存在したが、これは2つのポリペプチドが(所定の条件下で)1位では不安定であることを示している。
実施例3:RP−HPLCに関するカラム温度の最適化
材料−IL6R203(配列番号23):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYDIGWFRQAPGKGREGVSGISSSDGNTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAEPPDSSWYLDGSPEFFKYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGSEVQLVESGGGLVQPGNSLRLSCAASGFTFSSFGMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNAKTTLYLQMNSLRPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTLVTVSSGGGGSGGGSEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYDIGWFRQAPGKGREGVSGISSSDGNTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAEPPDSSWYLDGSPEFFKYWGQGTLVTVSS
IL6R203(配列番号23)を、例えば上記で開示のように生成し(GeneArtサービスプロバイダによる)、上記のクロマトグラフィ条件下であるが、RP−HPLCプロファイルに対するカラム温度の影響を評価するために、4つの異なるカラム温度(75℃、70℃、60℃及び50℃)でZORBAX C3カラムにおいて解析した。
HPLC条件:
移動相A:99.9% H2Oq/0.1% TFA
移動相B:0.1% TFA/99.9% アセトニトリル
カラム:ZORBAX 300SB−C3(Agilent、製品番号883995−909、シリアル番号USKD001612)
流速:1mL/分
勾配:0.33%B/分(5%B(0分)−5%B(3分)−30.5%B(3.5分)−40.5%B(33.5分)−95%B(34分)−95%B(37分)−5%B(37.1分)−5%B(40分))
検出:UV214nm(280nmでも回収した)
注入量:5μg
使用するカラム温度:50℃−60℃−70℃−75℃
表:B−6
カラム温度 ピーク 面積(mAU分)

75℃ 主ピーク 5382.81
前勾配ピーク 138.07

70℃ 主ピーク 5173.70
前勾配ピーク 187.26

60℃ 主ピーク 3492.77
前勾配ピーク 858.34
:異なるカラム温度(75℃、70℃及び60℃)を使用するIL6R203の解析の統合データの概要。低いカラム温度のクロマトグラムは統合されなかった。示されるように、カラム温度の減少にはピーク回収に対して負の影響がある。統合データは、主ピークと前勾配ピークとして表されるピークとで示される。明らかに、主ピークは低いカラム温度で低減する。臨界点には、60℃〜70℃で達すると考えられる。主ピーク面積が低減すると、前勾配ピークで溶出する材料の量が有意に増大する。このことは、低いカラム温度での分子の高度な粘性を示し得る。
評価:
カラム温度は、溶出ピーク特徴に対して劇的な影響がある。得られたデータは、70℃〜75℃の最適温度を示す。試験された低い温度により、ピーク面積の回収率(表B−6を参照されたい)、分解能の喪失が引き起こされ、テーリングが誘導される。60℃で既に、ピークの形は70℃〜75℃のものと完全に異なっている。
75℃のクロマトグラムは、70℃のクロマトグラムと比較すると、幾つかの側面ピークの面積/高さの増大を示す。これらは、IL6R203バッチの実際の亜集団ではなく、温度誘導性のピークであり得る。
IL6R202
IL6R202(配列番号24)を、例えば上記で開示のように生成し(GeneArtサービスプロバイダによる)、同じ範囲のカラム温度をIL6R202でも試験した。
IL6R202:配列番号24
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYDIGWFRQAPGKGREGVSGISSSDGNTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAEPPDSSWYLDGSPEFFKYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGSEVQLVESGGGLVQPGNSLRLSCAASGFTFSSFGMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGSDTLYADSVKGRFTISRDNAKTTLYLQMNSLRPEDTAVYYCTIGGSLSRSSQGTLVTVSS
HPLC条件:
移動相A:0.1% TFA
移動相B:0.1% TFA/99.9% アセトニトリル
カラム:ZORBAX 300SB−C3(Agilent、製品番号883995−909、シリアル番号USKD001612)
流速:1mL/分
勾配:0.33%B/分(5%B(0分)−5%B(3分)−30.5%B(3.5分)−40.5%B(33.5分)−95%B(34分)−95%B(37分)−5%B(37.1分)−5%B(40分))
検出:UV214nm
注入量:5μg
使用するカラム温度:
50℃−60℃−70℃−75℃
表:B−7
カラム温度 ピーク 面積(mAU分)

75℃ 主ピーク 18155.9
前勾配ピーク 283.95

70℃ 主ピーク 18265.30
前勾配ピーク 395.94

60℃ 主ピーク 16568.80
前勾配ピーク 1174.07
:異なるカラム温度(75℃、70℃及び60℃)を使用するIL6R202の解析の統合データの概要。低いカラム温度のクロマトグラムは示されていない。IL6R203で示されるように、臨界点には、60℃〜70℃で達する。この境界の低温端で、ピーク回収の相当な喪失が起こると考えられる。同時に前勾配ピーク面積がかなり増大する。
評価:
カラム温度は、(IL6R203と同様に)IL6R202の溶出ピークプロファイルに対して劇的な影響がある。最適温度は70℃〜75℃である。
実際には、このような高いカラム温度でIL6R202の分解により引き起こされる人為的なピークの発生を最小限に抑えるために、カラム温度には70℃を使用するのがより良好である。
実施例4:上記の突然変異型研究による研究結果を考慮する12A2h1及びALX−00081の安定化
配列番号1及びその一価の構成要素である配列番号2の化学的安定性における本発明者らの考えに基づき、本発明者らは、4つの単一のアミノ酸置換、すなわちE1D、D62E、M78T及びD105Q(配列番号26)を組み込む配列番号2の変異型を操作した。
このため本明細書中では、安定化した一価の構成要素は、安定化した12A2h1又は配列番号26と称し、実施例1の安定化したvWF化合物を、VWF0001又は配列番号25と称する。
配列番号25−本明細書中でVWF0001とも称されるALX−0081 SV1のアミノ酸配列
DVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGRTFS YNPMGWFRQA PGKGRELVAA ISRTGGSTYY PESVEGRFTI SRDNAKRTVY LQMNSLRAED TAVYYCAAAG VRAEQGRVRT LPSEYTFWGQ GTQVTVSSAA AEVQLVESGG GLVQPGGSLR LSCAASGRTF SYNPMGWFRQ APGKGRELVA AISRTGGSTY YPESVEGRFT ISRDNAKRTV YLQMNSLRAE DTAVYYCAAA GVRAEQGRVR TLPSEYTFWG QGTQVTVSS
配列番号26−12A2H1 SV1のアミノ酸配列
DVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGRTFS YNPMGWFRQA PGKGRELVAA ISRTGGSTYY PESVEGRFTI SRDNAKRTVY LQMNSLRAED TAVYYCAAAG VRAEQGRVRT LPSEYTFWGQ GTQVTVSS
12A2h1 SV1遺伝子及びALX−0081 SV1遺伝子の構築を遺伝子アセンブリにより行った。PCRで遺伝子を組み立てるために、対象の遺伝子をカバーする重複オリゴヌクレオチド組を発注した。残留(rescue)PCR生成物をゲルから精製し、KpnI及びNdeI制限酵素で消化した。それから断片を、KpnI/NdeI酵素で事前に切断したpet28a/TAC/pelBベクターでライゲーションした。
それからライゲーション混合物をTOP10エレクトロコンピテント細胞に形質転換した。SOC培地の添加後、37℃で1時間インキュベーションして、アリコートをLB/カナマイシンプレート上にプレーティングして、37℃で一晩インキュベートした。翌日、個々のクローンを、pet28aプロモータとT7ターミネータプライマーとを使用するコロニーPCRにより解析した。続いて12A2 SV1及びALX−0081 SV1でのPCR陽性クローンをLB/カナマイシン中で一晩成長させた。DNAシークエンシングのために、一晩培養物から、プラスミドDNAをMini−Prep(Sigma Aldrich製のキット)で調製した。
12A2h1 SV1及びALX0081 SV1の発現及び精製
一晩始動培養物(starter cultures)を調製し、カナマイシン及び0.1%(g/v)グルコースを含有するテリフィックブロス(TerrificBroth)培地中でより大きい規模で発現を開始するのに使用した。上記の培地が300mL入ったフラスコを10mLの始動培養物で接種した後、250rpmで振盪しながら37℃で成長させた。およそ4時間後、温度を28℃まで下げた。さらに3時間後、IPTGにより最終濃度が1mMになるまで誘導を開始し、培養物を28℃で一晩さらにインキュベートした。翌日、培養物を4500rpmで30分間遠心分離した。ペレットを短時間凍結し、解凍した後、PBS/1mM EDTAを添加した。細胞を再懸濁した後、懸濁液を室温で2時間振盪した。懸濁液を8500rpmで20分間、遠心分離し、抽出物から細胞残屑を取り除いた。その後、上清をpH3.5まで酸性化し、4℃で一晩保存した。翌朝、懸濁液を8000rpmで遠心分離し、上清を濾過した。濾過後、導電率が5mS/cmより低くなるまで溶液を水で希釈した。その後、溶液をバッファーA(10mMのクエン酸(pH3.5))で予め平衡化したSource Sイオン交換カラムに充填した。バッファーAで洗浄後、結合材料を10カラム容量の0%〜100%勾配のバッファーB(10Mmのクエン酸/1MのNaCl(pH3.5))で溶出した。対象のタンパク質を含有する画分をSDS−PAGEにより同定し、プールした。その後、プールした画分をSuperdex75カラムでのゲル濾過クロマトグラフィにより処理した。その後、精製した構築物を含有する画分のタンパク質濃度を、280nmで分光光度法により、算出された吸光係数及び分子量を使用して求めた。タンパク質の純度をHPLC−RPCにより確認した。
安定な変異型12A2h1 SV1及びALX−0081 SV1の結合機能性
ALX−0081 SV1の結合効力を、平行線法により参照材料としてALX−0081を使用して、ビアコア300機器で求めた。この方法を、二官能性が観察されるように設計する。このアッセイでは、本発明者らは、予想通りALX−0081 SV1では強力な結合を観察し、12A2h1 SV1では効力を観察しなかった。ALX0081(配列番号1)と比較した相対効力は約80%であった。
VWFのA1ドメインに関する12A2h1 SV1の親和性もビアコア機器を用いて求めた。運動速度定数(kon及びkoff)と平衡解離定数(K)とを求めた(以下の表を参照されたい)。
配列番号2 配列番号26
on(1/Ms) 1.93E+07 2.1E+07
off(1/s) 0.0207 0.0207
(nM) 1.07 0.986
安定な変異型の化学的安定性
12A2h1 SV1及びALX−0081 SV1の両方を、D−PBS中、1mg/mLの濃度で37℃でインキュベートした。様々な時点で、試料をRP/HPLCにより解析した。図39及び図40に示されるように少量の変異型しか8週間後に形成されなかったと考えられた。配列番号1及び配列番号2に関して図16に表したプロファイルとは対照的に、RP/HPLCプロファイルは余り複雑なものではなく、主なプレピーク及びポストピークが失われており、これは酸化、ピログルタミン酸(puroglutamte)形成及びアスパラギン酸異性化によるものであることが示されている。このため、重要残基を適当な厳選されたアミノ酸残基で置き換えることにより、本発明者らは、本質的に同程度の生物活性、及び劇的に改善された化学的安定性を有する変異型を産生することができた(またフォルツモデル及びRIPAで測定されるin vivo活性に関しては実施例6を参照されたい)。
本発明者らは、37℃ビアコアで保存した試料の機能性も求めた。これらの実験では、参照試料及び安定性試料の両方が10000倍に希釈され、その後3500RU vWF A1ドメインでコーティングされたセンサーチップを通った。参照試料と安定化試料との間に結合センサーグラムではわずかな差異しか観察されなかったため、本発明者らは、化学的安定性は改善されるが、結合機能性はほぼ同程度であると結論付ける。
上記のような同様の結果は、それぞれ配列番号39(二価)及び配列番号40(一価の構成要素)による突然変異型結合剤でも期待される。
実施例5:別のナノボディ構築物、すなわちIL6R結合ナノボディ(登録商標)構築物(配列番号27)の安定化
DNA配列:
IL6R201(配列番号27、野生型:安定性に関して確認し、潜在的に安定化している):
GAGGTACAGCTGGTGGAGTCTGGCGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201の突然変異型:
IL6R201_D55E(配列番号28):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGAAGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D55Q(配列番号29):GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTCAAGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D62E(配列番号30):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGAAAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D102E(配列番号31):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGAAAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D102Q(配列番号32):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCACAAAGCTCGTGGTATCTGGATGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D108E(配列番号33):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGGAAGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
IL6R201_D108Q(配列番号34):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGTCTGGTTCAACCGGGCGGGAGCTTGCGTCTGAGTTGCGCTGCGAGCGGTTTCACATTTAGCGACTACGACATCGGATGGTTTCGTCAGGCTCCGGGCAAAGGTCGCGAAGGTGTGTCTGGCATTTCAAGTTCTGACGGCAACACTTATTACGCAGACAGCGTTAAAGGTCGTTTCACCATTTCGCGTGATAACGCAAAGAATACCCTGTACCTTCAAATGAATAGCTTACGCCCAGAAGATACCGCCGTTTACTATTGTGCCGCGGAACCGCCAGATAGCTCGTGGTATCTGCAAGGCTCTCCTGAATTCTTTAAATATTGGGGTCAGGGTACGCTGGTCACCGTCTCCTCATAATGA
ナノボディを、Tacプロモータ及びPelBリーダー配列を使用するpet28aベクターにクローニングした。
発現及び精製
50mlのLB/カナマイシン中でIL6R201構築物D55E(クローン2)、D55Q(クローン4)、D102E(クローン3)、D102Q(クローン1)、D108E(クローン2)及びD108Q(クローン2)(pet28a/TAC/pelBベクター)の前培養を開始し、37℃で一晩インキュベートする。発現を3×±330mLのTB I+II/カナマイシン中で開始する。各フラスコを10mLの始動培養物で接種し、その後温度を28℃まで下げた後、約4時間250rpmで振盪しながら37℃で成長させた。6時間後に培養物を1mMのIPTG(1Mのストック330uL)で誘導し、さらに28℃、250rpmで一晩インキュベートし続けた。培養物を4500rpmで30分間、遠心分離し、その後上清を廃棄した。ペレットを−20℃で2〜3時間保存し、その後ペレットを30mLのPBS/1mMのEDTA中で再懸濁して、室温で2時間振盪した。懸濁液を8500rpmで20分間、遠心分離し、抽出物から細胞残屑を取り除いた。
精製に使用するカラムはMabCaptureA(Poros)である。この実験では、バッファーAはD−PBS/0.5MのNaClであり、バッファーBは100Mmのグリシン(pH2.5)であった。±30mLのペリプラズム抽出物を10mL/分の流速でカラムへとポンプにより注入した。その後、カラムを、複合カラム容量でバッファーAを用いて洗浄した。結合タンパク質を溶出するために、バッファーBに切り替えた。
次に、サイズ排除クロマトグラフィを使用した。Superdex 75HR26/60をサイズ排除に使用した。ゲル濾過をD−PBS中で行った。
OD280nmを測定し、濃度を算出した。試料を−20℃で保存した。
安定性研究
元のタンパク質バッチをD−PBS中で500mg/mL又は1mg/mLまで希釈した(総容量5mL)。その後、試料を0.22μmのフィルターで濾過し、500μlを参照試料として−80℃で保存し、およそ4500μlを37℃で(インキュベーションオーブン中で)保存した。
ビアコア3000での解析
37℃で4週間保存したIL−6R201、IL−6R201 D55E、IL−6R201 D55Q、IL−6R201 D102E、IL−6R201 D102Q、IL−6R201 D108E及びIL−6R201 D108Qの結合特性を、初期結合速度(IBR)及び傾斜を使用することにより研究した。
検量線は、高密度hIL−6RチップでのIL−6R201及びその突然変異型に関しては0ng/mL〜50ng/mLの範囲で完全に線形であることが分かっている。したがって、0ng/ml〜50ng/mlの範囲の濃度は、(線形性を制御するため)この実験に含まれ、また機能性を40ng/mlの濃度で5回各試料を注入することにより求める。
初めに、高密度hIL−6Rチップを、IL−6R201を5回注入することによりプレコンディショニングする(preconditioned)。次に、0ng/mL〜50ng/mLの範囲の濃度のIL−6R201を注入した後、全ての試料を5回注入する。BIAevaluationソフトウェアを使用して評価を行う。傾斜を、「全体的適合(Generalfit)」法及び線形適合モデルを使用してBIAevaluationソフトウェアで求める。初期結合速度(IBR)を求めるのに使用するデータは、5s〜25sの間で選択される傾斜である。
逆相−HPLC
使用するカラムは、Agilent製のシステム上でZORBAX 300SB C3(5μm)カラムであった。実験中のカラムの温度は70℃であった。実験中に使用するバッファーAは0.1%トリフルオロ酢酸であり、バッファーBは0.1%トリフルオロ酢酸/99.9%アセトニトリルであった。使用するプログラムを以下に記載する:
プログラム
時間(分) %B
2 10
3 27,5
25,5 35
26 100
28,5 100
29 10
35 10
評価:突然変異誘発を行い、潜在的な異性化部位(CDR2で2つの部位及びCDR3で2つの部位)を取り除いた。安定性研究を様々な突然変異型で行った(37℃で4週間の保存)。RPCでの解析により、活性を保つと共に、異性化を低減するのに重要な突然変異として、D108E及びD108Qが同定された(図27と図33とを比較されたい:D108をD108E又はD108Qに置き換えるだけで、異性化が妨げられた)。
実施例6:ALX−0081(配列番号1)及びVWF0001(配列番号25)のin vivo有効性
フォルツモデル
ヒヒにおける改良フォルツモデルを、急性血栓症の予防における有効性を求めるのに使用した。フォルツモデルは、国際公開第2004/062551号パンフレットの実施例18に詳しく記載されている。9匹の健常な雄ヒヒ(チャクマヒヒ(Papio ursinus))(体重9.6kg〜17kg)を野生で捕獲し、本研究に使用した。ヒヒには標準的な乾燥飼料のみを与えた。
全ての手法は、'National Code for Animal Use in Research,
Education, Diagnosis andTesting of Drug and Related Substanced in South Africa'に従った'Ethics committeefor Animal Experimentation of the University of the
Free State and Free StateProvincial Administration'により認可された。
簡潔にいうと、全身麻酔下で、シャントを大腿動脈と大腿静脈との間に入れた。シャントは、薬剤投与及び血液サンプリングのため、並びにシャントの周りに配置した血管周囲の超音波フロープローブを用いて、血流をモニタリングするのに使用した(TransonicシステムTS410、プローブ(rpobe):ME3PXL10O8)。それから鉗子を用いて大腿動脈を損傷させ、クランプを損傷部位上に置き、大腿動脈の外部狭窄を生じさせるのに使用した。結果として、高いせん断速度が得られ、血流は元の流速の20%まで低減した。多血小板血栓が形成され、続いてこれを機械的に取り除き、これにより循環流低減(cyclic flow reductions)(CFR)をもたらした。1CFRは、動脈の狭窄と完全閉塞(流量0)との間の時間である。再現性のあるCFRの30分の制御期間後、シャントを洗い流し、ビヒクル(食塩水)を内部対照として投与した。CFRはさらに30分間続いた。続いて、漸増用量のナノボディ(登録商標)をシャントに静脈注射し、CFRに対する影響を研究した。抑制が天然の治癒現象ではなく、治療の影響であったことを確認するために、CFRの抑制後に、新たな損傷を加えた。最高用量のナノボディ(登録商標)の投与後にCFRが完全に抑制された後、ナノボディ(登録商標)の効力をさらに試験するために、エピネフリンを注射した。エピネフリンは再び血小板を活性化し、CFRの弱い抑制と強い抑制とを区別することができる。実際、アスピリン(登録商標)を同じモデルで使用した場合、エピネフリンの存在下でCFRが再び現れることが、これまでに実証されている。
各投与の10分後、血液試料(6.5ml)を実験室解析のために採取した。RIPA、FVIII:C、並びにナノボディ(登録商標)及びVWF:Agの血漿濃度を、本明細書とは別に、例えば国際公開第2004/062551号パンフレットの実施例18に記載のように解析した。
2つの異なる出血解析を行った:皮膚出血時間(Surgicut装置を使用して、ナノボディ(登録商標)の各投与の10分後に測定される)及びガーゼを鼠径部の切断部に挿入し、ガーゼを秤量することにより総失血を測定した第2の手術による出血試験。ナノボディ(登録商標)の新たな投与それぞれの直前、30分毎にガーゼを交換した。各投与に関する失血量を、ガーゼを秤量することにより求めた。これは、(食塩水注射中の)対照ガーゼでの失血量と比較して表された。
RIPA
RIPAはALX−0081に対するバイオマーカーであり、多血小板血漿(PRP)の試料中に分散した血小板が抗生物質リストセチンによるA1ドメインの非生理学的活性化後に凝集体を形成する速度及び程度の尺度である(例えばさらに国際公開第2004/062551号パンフレットの実施例18を参照されたい)。RIPAは2つの工程で起こる。第1の工程では、血小板が、リストセチンの存在下でVWFと凝集し、第2の工程では、内部ADPの血小板からの放出により、血小板が凝集する。血小板の凝固により、PRPの濁度が低下する。濁度の変化を血小板凝集装置で測定する。
RIPAを、Free State, Bloemfontein, South Africaの大学で解析した。血小板の凝集を、Chronologの全血光学血小板凝集計(Model 560CA、Chronolog,USA)で行った。PRPを、1200rpmで5分間、全血(0.32%クエン酸で回収)を遠心分離することにより調製した。PRPを含有する上方の画分を慎重に除去した。下方の画分を3000rpmで10分間さらに遠心分離し、乏血小板血漿(PPP)を調製した。血小板をPRP中で計測し、最終濃度が1μl当たり200000個の血小板になるように自己PPP中で希釈した。凝集を、3mg/mlのリストセチン(DAKO)を添加することにより誘導し、血小板凝集計を用いて測定した。
ALX−0081及びVWF0001の有効性
初めに2匹のヒヒそれぞれに、漸増用量のALX−0081及びVWF0001(ALX−0081_Sv又はALX−0081の安定な変異型)を注射した。これらのフォルツ実験中の血流測定値を図35に示す。
試験化合物の各投与後のCFRの平均長を表B−8に要約する。またこの表は、その時点での全投与の累積用量である総用量を示す。CFRの完全な抑制が得られた用量を(>1800)で表す。
表B−8:ALX−0081及びVWF0001で治療した動物に対するCFR長(秒)。>1800=30分間の完全な抑制、血流の減少なし

薬剤→ ALX−0081 VWF0001
ヒヒ番号→ B1 B2
総用量↓ 用量↓

0μg/kg 対照 92 84
0μg/kg 食塩水 142 97
3μg/kg 3μg/kg 139 125
13μg/kg 10μg/kg 189 559
43μg/kg 30μg/kg >1800 >1800
133μg/kg 90μg/kg >1800 >1800
403μg/kg 270μg/kg >1800 >1800
CFRの完全な抑制が、ALX−0081では、30μg/kg(43μg/kgの累積用量)、及びVWF0001では10μg/kg(13μg/kgの累積用量)の用量で得られた。
抑制は、新たな損傷時でも保持されたが、エピネフリンの注入後には予想外に喪失した。後者は、おそらく実験を余りに長期間続けたため、ALX−0081の血漿レベルがエピネフリン注射時には低すぎたことにより説明することができる(以前は、本発明者らは、ボーラス+連続注入によりALX−0081を投与したが、今回はボーラスのみを投与した)。
RIPAを、食塩水注射、及びALX−0081又はVWF0001の各投与の10分後に採取した血液試料において測定した。両方のヒヒで、RIPA試験の結果をCFR長と比較した(図36)。
RIPAとCFR長との間で逆の関係が観察された。両方のヒヒで、RIPA結果を、フォルツモデルでの有効性の結果と十分に比較する。したがって、RIPAは、例えばALX−0081/VWF0001等のvWF結合因子に対する有効性バイオマーカーとみなし得る。
実施例7:強制酸化実験
実施例7.1 IL6R201での強制酸化実験
本発明者らはこれまでに、配列番号2(vWF−12A2h1)で78位に存在するメチオニンが酸化されやすいことを実証していた。本実施例では、VHH断片IL6R201(配列番号35)において突然変異を導入したことを記載しておく。この突然変異型では、78位のスレオニン(スレオニンは、VH断片又はVHH断片におけるFR3でこの位置に存在することが多い残基である)をメチオニンに変えて、IL6R201 T78M(配列番号36)と称した。突然変異型タンパク質の精製後、Hによる強制酸化実験を、IL6R201及びIL6R201 T78Mの両方を用いて行った。続くRP/HPLCでの解析により、本発明者らは、突然変異したVHHが酸化を受けやすくなることを実証することができたが(図37、上方の出力波形)、非修飾型はHによる処理に耐性があった(図37、下方の出力波形)。
IL6R201のアミノ酸配列(配列番号35):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYDIGWFRQAPGKGREGVSGISSSDGNTYYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAEPPDSSWYLDGSPEFFKYWGQGTLVTVSS
IL6R201−T78Mのアミノ酸配列(配列番号36):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDYDIGWFRQAPGKGREGVSGISSSDGNTYYADSVKGRFTISRDNAKNMLYLQMNSLRPEDTAVYYCAAEPPDSSWYLDGSPEFFKYWGQGTLVTVSS
実施例7.2 Hによる119A3の強制酸化実験
119A3のアミノ酸配列(配列番号37)
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRIFSLPASGNIFNLLTIAWHRQAPGMQRELVATINSGSRTNYADSVKGRFTISRDNAQKTVYLQMNNLKPEDTAVYYCQTSGSGSPNFWGQGTQVTVSS
119A3(配列番号37)はそれぞれ、フレームワーク2での52位のメチオニンと、FR3での91位の第2のメチオニンとである2つのメチオニン残基を含有する。vWF−12A2h1(配列番号2)による以前の所見に基づき、本発明者らは、ナノボディ119A3において、M52だけが溶媒に接近可能であり、このためHにより酸化されやすいと仮定している。vWF−12A2h1による所見に基づき、本発明者らは、未変性条件下で、M52だけが強制酸化されやすく、変性条件下で、両方の残基が酸化されやすいものと仮定している。精製後、1mg/mLの119A3のD−PBS溶液を10mMのHと共に2時間インキュベートした。脱塩処理カラムで余分なHを除去した後、混合物をRP−HPLCで解析した。図38で示されるように、非処理材料(上部の出力波形)と比較してカラムからより早く溶出したピークが存在していたため(ピークの移行)、処理材料(図38での下部の出力波形)が修飾されたと考えられた。本発明者らは、非処理試料において、酸化材料に対応する小さいピークが既に存在していたことも観察していた。
また材料を6Mのグアニジンの存在下でHで処理した。またRP−HPLCでのこの材料の解析は非処理試料よりも早く溶出したピークを明らかにした(図38における真ん中の出力波形)。未変性試料及び変性試料で形成された酸化変異型の保持時間の差異は、未変性条件下では、M52だけが酸化するのに対して、変性状態では、両方の残基が酸化を受けやすくなるという証拠をもたらしている。
好ましい態様:
1. 単一可変ドメインであり且つ1位にDを有する、又はヒト化単一可変ドメインであり、且つ1位にDを有する、ポリペプチド。
2. 単一可変ドメインがナノボディ若しくはdAbであるか又はヒト化ナノボディ若しくはdAbであり、且つ1位にDを有する、態様1に記載のポリペプチド。
3. アミノ酸配列が、1位にDを有し、且つCDR内にMを又はカバットナンバリングを使用する77位にMを有しない、態様1又は2に記載のポリペプチド。
4. アミノ酸配列がCDRのいずれにもNを有しない、態様1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
5. アミノ酸配列がCDR3にNを有しない、態様1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド。
6. アミノ酸配列がCDRのいずれにもDを有しない、態様1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
7. アミノ酸配列がCDR3にDを有しない、態様1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド。
8. アミノ酸配列がCDRのいずれにもNGモチーフ又はNSモチーフを有しない、態様1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
9. アミノ酸配列がCDR3にNGモチーフ又はNSモチーフを有しない、態様1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド。
10. アミノ酸配列がCDRのいずれにもDGモチーフ又はDSモチーフを有しない、態様1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
11. アミノ酸配列がCDR3にDGモチーフ又はDSモチーフを有しない、態様1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド。
12. 単一可変ドメインであり、且つCDRのいずれにもDGモチーフ又はDSモチーフを有しない、ポリペプチド。
13. 単一可変ドメインであり、且つCDR3にDGモチーフ又はDSモチーフを有しない、ポリペプチド。
14. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、異性化しやすい少なくとも1つのN又はDを置き換える工程を含む、方法。
15. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、酸化されやすい少なくとも1つのMを置き換える工程を含む、方法。
16. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、E1又はQ1を置き換える工程を含む、方法。
17. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)E1若しくはQ1(存在する場合)を、別の天然アミノ酸に置き換える工程、又は
b)酸化されやすい少なくとも1つのM(存在する場合)を別の天然アミノ酸に置き換える工程、又は
c)異性化しやすい少なくとも1つのN若しくはD(存在する場合)を別の天然アミノ酸に置き換える工程、又は
d)工程a)と工程b)とを組み合わせる工程、又は
e)工程b)と工程c)とを組み合わせる工程、又は
f)工程a)と工程c)とを組み合わせる工程、
を含む、方法。
18. 態様17に記載の方法により生成される突然変異型のライブラリ。
19. 態様14〜18のいずれか1つに記載の方法に従って突然変異型の生成に使用されるヌクレオチド。
20. 態様19に記載のヌクレオチドを含む宿主細胞。
21. 態様20に記載の宿主細胞を含むスクリーニング方法。
22. 態様18に記載のライブラリから選択される群の突然変異型であって、上記突然変異型の解離定数Kdが、1000nM未満、好ましくは100nM未満、より好ましくは10nM未満、より好ましくは1nM未満である、突然変異型。
23. 態様18に記載のライブラリから選択される群の突然変異型であって、上記突然変異型の解離定数Kdが、安定化される元のポリペプチドのKdの約100%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である、突然変異型。
24. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、Nをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
25. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるDをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、Dをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
26. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG又はNSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、Nをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
27. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるDG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、Dをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
28. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードする上記ヌクレオチド配列が存在する場合、N又はDをコードする上記ヌクレオチド配列を突然変異させる工程、及び
c)好適な生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
29. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)上記ジペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が少なくとも1つ存在する場合、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
30. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、NG、NS、DG又はDSモチーフをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程であって、上記モチーフが表面露出し、H−結合供与残基が不安定化したN又はDに密接している、調べる工程、及び
b)a)でヌクレオチド配列が同定される場合、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
31. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、NG、NS、DG又はDSモチーフをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程であって、上記モチーフが表面露出し、H−結合供与残基が不安定化したN又はDに密接している、調べる工程、及び
b)a)でヌクレオチド配列が同定される場合、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
32. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、NS、DG又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG、又は安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
33. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG又はDGをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が(例えば高温での長期保存、及びRPCプロファイルにおけるその後のプレピークの観察により(実験部を参照されたい))行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、NA、NT、DA又はDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNG又はDGが見出される場合はEG又はQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
34. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)同定した配列の異性化が(例えば高温での長期保存、及びRPCプロファイルにおけるその後のプレピークの観察により(実験部を参照されたい))行われているか否かと、任意で同定した配列の異性化が上記ポリペプチドの少なくとも1つの活性、好ましくは全ての活性の喪失に関与しているか否かとを確認する工程、及び
c)異性化が観察される場合は常に、ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、ES、QS、NA、NT、DA又はDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS又はDSが見出される場合はES又はQS)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
d)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
35. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片をコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において上記ポリペプチド、誘導体又は断片を製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、DG、NS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS、又は安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)真核生物又は原核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
36. ポリペプチド、誘導体又は断片の上記ライブラリをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において機能的ポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、DG、NS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS、又は安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)任意のMが強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、Mを、例えばV、L、A、K、G、I、好ましくはL又はA、より好ましくはAに置き換えることにより、ライブラリ中にさらなる成員を生成する工程、及び
d)真核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、本発明のポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
37. ポリペプチド、誘導体又は断片の上記ライブラリをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において機能的ポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、DG、NS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS、又は安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)Mが78位に存在するか否かを確認すると共に(ナノボディ内での連続ナンバリングシステムにおいて、例えば配列番号2でのナンバリングの図4を参照されたい)、M78が存在する場合には、Mを、例えばV、L、A、K、G、I、好ましくはL又はA、より好ましくはAに置き換えることにより、ライブラリ中にさらなる成員を生成する工程、及び
d)真核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、本発明のポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
38. ポリペプチド、誘導体又は断片の上記ライブラリをコードする組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な(例えば真核又は原核)生物において機能的ポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを製造する方法であって、
a)ポリペプチドの可変ドメインの少なくとも1つをコードする遺伝子を、CDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにおけるNG、DG、NS又はDSをコードするヌクレオチド配列に関して調べる工程、及び
b)ポリペプチド誘導体を含む(又は本質的にこれらから成る)突然変異型のライブラリを作製する工程であって、a)で同定された上記ヌクレオチド配列の1つ又は複数を、EG、QG、ES、QS、NA、NT、DA若しくはDT(好ましくは安定化するポリペプチド中にNS若しくはDSが見出される場合はES若しくはQS、又は好ましくは安定化するポリペプチド中にNG若しくはDGが見出される場合はEG若しくはQG)をコードするヌクレオチド配列に置き換える、作製する工程、及び
c)任意のMが強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、Mを、例えばV、L、A、K、G、I、好ましくはL又はA、より好ましくはAに置き換える工程、及び
d)N末端のE(存在する場合)を例えばDに置き換える工程、
e)真核生物をこのように修飾した遺伝子で形質転換すると共に、所望の活性を有する、ポリペプチド、断片又は誘導体を発現させる工程、
を含む、方法。
39. 好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含む、ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを他のポリペプチドに修飾する方法であって、上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、方法。
40. ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチド(ここでは、a)上記ポリペプチドが、好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループにDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含み、且つb)上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフがタンパク質の活性部位内にあることが知られている)を別のタンパク質(ここでは、上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つがDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換わっている)に修飾する方法。
41. 態様24〜40のいずれか1つに記載の方法により作製された、ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含む突然変異型ポリペプチドのライブラリ。
42. 同定されたDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフで可能な置き換えを全て行う、態様41に記載のナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含む突然変異型ポリペプチドのライブラリ。
43. 同定されたDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフで或る特定の置き換えだけ、例えばDQ又はDE、好ましくはDEへの置き換えだけを行う、態様41に記載のナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含む突然変異型ポリペプチドのライブラリ。
44. ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを安定化させる方法であって、a)ポリペプチドの一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが、好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループで同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程を含む、方法。
45. ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを安定化させる方法であって、a)ポリペプチドの一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが、好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループで同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程であって、これらの突然変異型は全て、効果的な分離アッセイにおいて(効果的とは、野生型タンパク質を、D又はNの少なくとも1つが異性化されているタンパク質と分離することができることである)タンパク質の主ピーク以外のさらなる主要ピークを観察することができる所定の条件下での期間が、野生型タンパク質と比較して長期化している場合に安定性が改善したとみなす、スクリーニングする工程を含む、方法。
46. ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを安定化させる方法であって、a)ポリペプチドの一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが、好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループで同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程であって、これらの突然変異型は全て、効果的な分離アッセイにおいてタンパク質の主ピーク以外のさらなる主要ピーク(すなわちタンパク質の主ピークの例えば10%超又は5%超を示すピーク)を観察するように、上記突然変異型を例えば25℃又は37℃を超える高温で保存する期間が、野生型タンパク質と比較して長期化している場合に安定性が改善したとみなす、スクリーニングする工程を含む、方法。
47. 同定されたアミノ酸モチーフをDQ又はDEから成る群から選択されるアミノ酸モチーフ、好ましくはDEに置き換える、態様44〜46のいずれか1つに記載のナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを安定化させる方法。
48. ナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを含むポリペプチドを安定化させる方法であって、a)ポリペプチドの一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが、好ましくはCDRループ、好ましくはCDR2ループ及び/又はCDR3ループ、より好ましくはCDR3ループで同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)任意のMが酸化、例えば強制酸化されやすいか否かを確認すると共に、もしそうであれば、Mを、例えばT、V、L、A、K、G、I、好ましくはT、L又はA、より好ましくはAに置き換える工程、及び任意でd)N末端のE(存在する場合)を例えばDに置き換える工程、及びe)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程を含む、方法。
49. DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含むタンパク質を別のタンパク質に修飾する方法であって、上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つがDQ又はDEから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換わっている、方法。
50. タンパク質(ここでは、a)上記タンパク質が、DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含み、且つb)上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフがタンパク質の活性部位内にあることが知られている)を別のタンパク質(ここでは、上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つがDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換わっている)に修飾する方法。
51. 態様49又は50に記載の方法により作製された突然変異型タンパク質のライブラリ。
52. 同定されたDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフで可能な置き換えを全て行う、態様51に記載の突然変異型タンパク質のライブラリ。
53. 同定されたDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフで或る特定の置き換えだけ、例えばDQ又はDE、好ましくはDEへの置き換えだけを行う、態様51に記載の突然変異型タンパク質のライブラリ。
54. タンパク質を安定化させる方法であって、a)タンパク質の一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程を含む、方法。
55. タンパク質を安定化させる方法であって、a)タンパク質の一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをDQ、DE、DT、DA、NT及びNAから成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程であって、これらの突然変異型は全て、効果的な分離アッセイにおいて(効果的とは、野生型タンパク質を、D又はNの少なくとも1つが異性化されているタンパク質と分離することができることである)タンパク質の主ピーク以外のさらなる主要ピークを観察することができる所定の条件下での期間が、野生型タンパク質と比較して長期化している場合に安定性が改善したとみなす、スクリーニングする工程を含む、方法。
56. タンパク質を安定化させる方法であって、a)配列のRPCプロファイルが、参照化合物、例えば比較的安定なRPC)を有する配列番号21のポリペプチドと比較して変化しているか否かを安定性試験で確認する工程、及びb)変化が観察された場合、突然変異型のライブラリの作製を開始する工程であって、同定された不安定であり得るアミノ酸源が他のアミノ酸に置き換わっている、作製を開始する工程を含む、方法。
57. タンパク質を安定化させる方法であって、a)タンパク質の一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをXS又はXG(ここでXはD又はN以外の任意の他のアミノ酸であり、好ましくはXはQ又はEである)から成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程であって、これらの突然変異型は全て、上記突然変異型の第1の分解生成物を検出する期間が、安定化したタンパク質の元々の期間と比較して長期化している場合に安定性が改善したとみなす、スクリーニングする工程を含む、方法。
58. タンパク質を安定化させる方法であって、a)タンパク質の一次配列を確認する工程、及びb)DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフが同定される場合、突然変異型のライブラリを作製する工程であって、1つの突然変異型当たり少なくとも1つの同定されたアミノ酸モチーフをNX又はDX(ここでXはG又はS以外の任意の他のアミノ酸であり、好ましくはXはA又はTである)から成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換える、作製する工程、及びc)安定性の改善に関して個々の突然変異型をスクリーニングする工程であって、これらの突然変異型は全て、上記突然変異型の第1の分解生成物を検出する期間が、安定化したタンパク質の元々の期間と比較して長期化している場合に安定性が改善したとみなす、スクリーニングする工程を含む、方法。
59. いずれかのCDR領域内にDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含む単一可変ドメインを別の単一可変ドメインに修飾する方法であって、上記DS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つがXS又はXG(ここでXはD又はN以外の任意の他のアミノ酸であり、好ましくはXはQ又はEである)から成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換わっている、方法。
60. 高温で長期間にわたって、例えば25℃を超える高温、例えば37℃で、例えば1週間、2週間、3週間又は4週間を超える期間、異性化するDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含む単一可変ドメインを修飾する方法であって、上記単一可変ドメインは他の単一可変ドメインに修飾されるものであり、異性化するDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフの少なくとも1つがXS又はXG(ここでXはD又はN以外の任意の他のアミノ酸であり、好ましくはXはQ又はEである)から成る群から選択されるアミノ酸モチーフに置き換わっている、方法。
61. 上記のDS、DG、NG又はNSアミノ酸モチーフを少なくとも1つ含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインを修飾する方法であって、上記突然変異した単一可変ドメインのRPCプロファイルが、該単一可変ドメインが高温で長期間にわたって保存される場合、例えば37℃で4週間にわたって保存される場合に変化するか否かを確認する工程を含む、方法。
62. 特定の標的分子に対する修飾されたタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの解離定数が100nM、好ましくは10nM、より好ましくは1nM、より好ましくは0.1nM以下である、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
63. 特定の標的分子に対する修飾されたタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの解離定数が、修飾されていない親又は野生型の単一可変ドメインと本質的に同程度に留まる、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
64. 特定の標的分子に対する修飾されたタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの解離定数が10nMを超えない、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
65. 特定の標的分子に対する修飾されたタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの解離定数が1nMを超えない、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
66. 特定の標的分子に対する修飾されたタンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインの解離定数が0.1nMを超えない、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
67. 上記タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインが、単一ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」、好ましくはナノボディを含むか、又は本質的にこれらから成る、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
68. 上記タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインが、少なくとも2つのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」、好ましくはナノボディを含むか、又は本質的にこれらから成る、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
69. 上記タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインが、1つのエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに対して少なくとも1つのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、別のエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに指向性を有する少なくとも1つの他のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」とを含むか、又は本質的にこれらから成る、態様54〜61のいずれか1つに記載の方法。
70. 異性化しやすいDS、DG、NG又はNSモチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインを欠いている、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)のライブラリを作製する方法。
71. タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)のライブラリが、異性化しやすいDS、DG、NG又はNSモチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメインを欠くように、ライブラリを変化させる方法。
72. 異性化しやすいDS、DG、NG又はNSモチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)を修飾する方法であって、上記モチーフがD又はNを含有せず、例えばQ又はEを含有するモチーフに変化する、方法。
73. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がD又はN以外のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含む、方法。
74. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がD又はN以外のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含み、
c.ここで突然変異したヌクレオチド配列の少なくとも1つが、野生型ポリペプチドと本質的に同程度の標的分子に対する親和性を有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む突然変異したポリペプチドをコードする、方法。
75. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がD又はN以外のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含み、
c.ここで突然変異したヌクレオチド配列の少なくとも1つが、100nM、好ましくは10nM、より好ましくは1nM、より好ましくは100pM、より好ましくは10pM、より好ましくは1pM以下のその標的分子に対する解離定数を有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む突然変異したポリペプチドをコードする、方法。
76. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフの少なくとも1つを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がQ及びEから成る群から選択されるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含む、方法。
77. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がQ及びEから成る群から選択されるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含み、
c.ここで突然変異したヌクレオチド配列の少なくとも1つが、野生型ポリペプチドと本質的に同程度の標的分子に対する親和性を有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む突然変異したポリペプチドをコードする、方法。
78. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、
a.CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有する、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む、上記のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を用意する工程、及び
b.突然変異したヌクレオチド配列のライブラリを作製する工程であって、上記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はNをコードする配列がQ及びEから成る群から選択されるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列に変化する、作製する工程、
を含み、
c.ここで突然変異したヌクレオチド配列の少なくとも1つが、100nM、好ましくは10nM、より好ましくは1nM、より好ましくは100pM、より好ましくは10pM、より好ましくは1pM以下のその標的分子に対する解離定数を有する、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含む突然変異したポリペプチドをコードする、方法。
79. 上記CDR領域がCDR1領域、CDR2領域又はCDR3領域である、態様73〜78のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を作製する方法。
80. 上記CDR領域がCDR2領域又はCDR3領域である、態様73〜78のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を作製する方法。
81. 上記CDR領域がCDR3領域である、態様73〜78のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を作製する方法。
82. ヌクレオチド配列を作製する方法であって、CDR領域、好ましくはCDR2領域若しくはCDR3領域、より好ましくはCDR3領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有しない、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有しない、ナノボディ又はdAbの少なくとも1つ、好ましくは少なくともナノボディを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を用意する工程を含む、方法。
83. 単一可変ドメイン、例えばナノボディ又はdAb、好ましくはナノボディを少なくとも1つ含むポリペプチド、その機能的誘導体又はその断片において修飾を同定する方法であって、逆相−HPLC解析を使用する工程を含む、方法。
84. 配列番号3〜配列番号18、配列番号25及び配列番号26から成る群から選択されるポリペプチドを含むアミノ酸配列。
85. 配列番号15、配列番号25及び配列番号26から成る群から選択されるポリペプチドを含むアミノ酸配列。
86. 配列番号15を有するポリペプチドを含むアミノ酸配列。
87. 配列番号3〜配列番号18、配列番号25及び配列番号26から成る群から選択されるポリペプチド。
88. 配列番号15から成るポリペプチド。
89. 配列番号15、配列番号25及び配列番号26から成る群から選択されるポリペプチド。
90. 実施形態81〜86のポリペプチドをコードするヌクレオチド。
91. 実施形態82又は86のポリペプチドをコードするヌクレオチド。
92. 実施形態83又は85のポリペプチドをコードするヌクレオチド。
93. 態様90〜92のいずれか1つに記載のヌクレオチドを含む宿主細胞。
94. 異性化しやすいDS、DG、NS又はNGアミノ酸モチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)を修飾する方法であって、上記モチーフがD又はNを含有せず、例えばQ又はEを含有するモチーフに変化する、方法。
95. 酸化されやすいMアミノ酸モチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)を修飾する方法であって、上記モチーフがMを含有せず、例えばT又はAを含有するモチーフに変化する、方法。
96. ピログルタミン酸形成又はアミド分解しやすい、1位にQアミノ酸モチーフ又はEアミノ酸モチーフを含む、タンパク質、ポリペプチド又は単一可変ドメイン(例えばナノボディ)を修飾する方法であって、上記モチーフがQ又はEを含有せず、例えばDを含有するモチーフに変化する、方法。

Claims (16)

  1. 安定性が改善した、単一可変ドメイン、その機能的誘導体又はその断片を少なくとも1つ含むポリペプチドを産生することができる組換え遺伝子を含有する発現ベクターによる形質転換により、好適な生物において前記ポリペプチド配列を作製する方法であって、
    a)N末端のE(E1)又はN末端のQ(Q1)(存在する場合)を別の天然アミノ酸に置き換える工程、及び/又は
    b)酸化されやすい少なくとも1つのM(存在する場合)を別の天然アミノ酸に置き換える工程、及び/又は
    c)異性化しやすい少なくとも1つのN又はD(存在する場合)を別の天然アミノ酸に置き換える工程、
    とを含む、方法。
  2. 化学的安定性が改善したポリペプチド配列を作製する方法であって、
    a.親ポリペプチドから突然変異したポリペプチド配列のライブラリを作製する工程であって、前記親ポリペプチドが、単一可変ドメイン、その機能的誘導体又はその断片を少なくとも1つ含み、前記親ポリペプチドが、CDR領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有するか、又は不安定化したN若しくはDに近接したH−供与基を有する表面露出領域にDS、DG、NG若しくはNSモチーフを有し、前記突然変異したポリペプチド配列の一部のアミノ酸配列を、
    i.N末端のE(E1)又はN末端のQ(Q1)(存在する場合)をDに置き換える方法、及び/又は
    ii.酸化されやすい少なくとも1つのM(存在する場合)をA又はTに置き換える方法、及び/又は
    iii.前記DS、DG、NG又はNSモチーフのD又はN(存在する場合)をQ又はEに置き換える方法、
    で変化させる、作製する工程、及び
    b.高い親和性又は結合活性を有するポリペプチド配列に関して前記作製したライブラリをスクリーニングする工程、及び
    c.任意で前記高い親和性又は結合活性を有する、1つ又は幾つかの突然変異したポリペプチドを選択する工程、
    を含む、方法。
  3. 前記DS、DG、NG又はNSモチーフがCDR領域にある、請求項2に記載の方法。
  4. 前記DS、DG、NG又はNSモチーフがCDR2領域又はCDR3領域にある、請求項2に記載の方法。
  5. 前記DS、DG、NG又はNSモチーフがCDR3領域にある、請求項2に記載の方法。
  6. 前記高い親和性又は結合活性をその標的分子に対する解離定数として表し、前記解離定数が100nM以下である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記解離定数が10nM以下である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記解離定数が1nM以下である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記ポリペプチドが本質的にナノボディ又はその構築物から成る、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により生成される突然変異型のライブラリ。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法による突然変異型の生成に使用されるヌクレオチド。
  12. 請求項11に記載のヌクレオチドを含む宿主細胞。
  13. 請求項10に記載の突然変異型のライブラリを含むスクリーニング方法。
  14. 配列番号25及び配列番号26から成る群から選択されるポリペプチド。
  15. 配列番号33及び配列番号34から成る群から選択されるヌクレオチド配列。
  16. 請求項8に記載のヌクレオチド配列でコードされるポリペプチド。
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