JP2010266477A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤および液晶表示素子 Download PDF

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裕子 犬飼
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謙一 泉
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Abstract

【課題】高品位な表示と良好な残像特性と焼き付き特性とが両立された液晶配向膜を与える液晶配向剤ならびに残像特性および焼き付き特性に優れるとともに高い電圧保持率を有する液晶表示素子を提供すること。
【解決手段】ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、ただし前記重合体はその分子内の少なくとも一部に下記式(A)
Figure 2010266477

で表される構造を有する、を含有する。上記液晶表示素子は、上記液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、高品位な表示と良好な残像特性と焼き付き特性とが両立された液晶配向膜を形成することのできる液晶配向剤ならびに残像特性および焼き付き特性に優れるとともに高い電圧保持率を有する液晶表示素子に関する。
横電界方式の液晶表示素子は、対向配置された一対の基板の方側のみに電極を形成し、基板と平行方向に電界を発生する液晶表示素子である。横電界方式の液晶表示素子は、両基板に電極を形成して基板と垂直方向に電界を発生する旧来の縦電界方式の液晶表示素子と比べて、広い視野角特性を有し、また高品位な表示が可能であることが知られている。かかる横電界方式の液晶表示素子は、例えば特許文献1および2ならびに非特許文献1に記載されている。横電界方式の液晶表示素子は、液晶分子が基板と平行な方向にのみ電界応答するため、液晶分子の長軸方向の屈折率変化が問題とならず、視角を変えた場合でも、観察者に視認されるコントラストおよび表示色の濃淡の変化が少なく、従って視角によらず高品位な表示が可能となる。
しかし、横電界方式の液晶表示素子においては、長期使用時に残像の発生および焼き付きが問題となっており、発生した残像の回復性(残像緩和性)に優れる液晶配向膜が求められている。この点、特許文献3において、ピロメリット酸無水物に由来する構造単位を大きな割合で含む重合体からなる液晶配向膜を用いることにより、残像特性および焼き付き特性を改善する方法が提案されている。しかし、ピロメリット酸無水物に由来する構造単位を多く含む液晶配向膜を用いると、長時間の熱ストレスに対する耐久性が損なわれ、熱ストレス印加後に電圧保持率が低下するという問題点があった。そのため、優れた残像緩和挙動と、熱ストレスに対する高い耐久性を併せ持ち、ピロメリット酸無水物に由来する構造単位を大きな割合で含む材料を凌駕する液晶配向膜の提供が強く望まれている。
米国特許第5928733明細書 特開昭56−91277号公報 特開2008−15497号公報 特開平6−222366号公報 特開平6−281937号公報 特開平5−107544号公報 特開2003−214983号公報
"Liq. Cryst.", vol. 22, p379(1996)
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に横電界方式の液晶表示素子において、高品位な表示と良好な残像特性と焼き付き特性とが両立された液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、高品位な表示と、良好な残像特性および焼き付き特性とが両立された液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第一に、
ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、ただし前記重合体はその分子内の少なくとも一部に下記式(A)
Figure 2010266477
で表される構造を有する、を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第二に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向剤は、広い視野角特性および高品位な表示と、良好な残像特性および焼き付き特性とが両立された液晶配向膜を与える。従って、かかる液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、高品位な表示と良好な残像特性および焼き付き特性とが両立されたものである。
本発明の液晶配向剤は、特に横電界方式の液晶表示素子に用いたときにその有利な効果が最大限に発揮され、従って本発明の液晶表示素子は、好ましくは横電解方式液晶表示素子である。
本発明の液晶表示素子(好ましくは横電解方式液晶表示素子)は種々の装置に有効に適用することができ、例えば時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、携帯情報端末、デジタルカメラ、携帯電話、各種モニター、液晶テレビなどの表示装置に好適に用いることができる。
実施例の横電界方式液晶表示素子における櫛歯状透明電極パターンの構成を示す概略図。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、ただし前記重合体はその分子内の少なくとも一部に上記式(A)で表される構造を有する、を含有する。このような重合体を、本明細書において、以下、「特定重合体」という。該特定重合体において、上記式(A)で表される構造は、重合体の主鎖中に存在していてもよく、重合体の側鎖中に存在していてもよく、あるいは重合体の主鎖および側鎖の双方に存在してもよい。
分子内の少なくとも一部に上記式(A)で表される構造を有するポリアミック酸は、例えば
上記式(A)で表される構造および2つのカルボン酸無水物基を有する化合物を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させるか、あるいは
テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンとを反応させることにより得ることができ、
分子内の少なくとも一部に上記式(A)で表される構造を有するポリイミドは、例えば上記の如くして得られたポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができる。
本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体としては、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンと、を反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。
<ポリアミック酸>
上記のとおり、本発明における好ましいポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンとを反応させて得られるものである。
[テトラカルボン酸二無水物]
上記ポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
Figure 2010266477
(式(T−I)および(T−II)中、RおよびRは、それぞれ、芳香環を有する2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはアルキル基であり、複数存在するRおよびRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物の有するベンゼン環は、一つまたは二つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記のうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうちの下記式(T−1)〜(T−3)
Figure 2010266477
のそれぞれで表される化合物および上記式(T−II)で表される化合物のうちの下記式(T−4)
Figure 2010266477
で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」という。)を用いることが、形成される液晶配向膜が良好な液晶配向性を発現することができるとの観点から好ましい。
特定テトラカルボン酸二無水物としてより好ましくは、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−1)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であり、さらに好ましくは、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なとも1種である。
本発明におけるポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、50モル%以上含むものであることが好ましく、70モル%以上含むものであることがより好ましく、特に80モル%以上含むものであることが好ましい。
特定テトラカルボン酸二無水物としては、特に
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物と、
ピロメリット酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なとも1種と
を含むものであることが好ましい。この場合、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を、全特定テトラカルボン酸二無水物に対して、50モル%以上含むものであることが好ましく、70モル%以上含むものであることがより好ましく、特に90モル%以上含むものであることが好ましい。
本発明におけるポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物のみからなるものであることが最も好ましい。
[ジアミン]
本発明における好ましいポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物(以下、「化合物(A)」という。)を含むものである。
上記化合物(A)としては、例えば下記式(A−1)〜(A−3)
Figure 2010266477
(上記式(A−1)〜(A−3)中、Rは、それぞれ、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基またはアシル基であり、RIIは、それぞれ、単結合または炭素数4〜20の2価の芳香族基であり、aは0〜3の整数であり、bは、それぞれ、0または1である。)
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
上記式(A−1)〜(A−3)におけるRのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などを挙げることができる。Rのシクロアルキル基は、単環の基、多環の基の双方を含む概念であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル基、デカヒドロナフタレン−2−イル基などを挙げることができる。Rのアルコキシル基としては、例えばメトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基などを挙げることができる。
上記式(A−1)〜(A−3)におけるRIIの炭素数4〜20の2価の芳香族基としては、炭素数6〜20のアリーレン基(2価の芳香族炭素水素基)、炭素数4〜20の2価の複素芳香族基などを挙げることができ、上記アリーレン基として、例えば1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基などを;
上記2価の複素芳香族基として、例えば2,4−ピリジル基、2,5−ピリジル基、2,5−フランジイル基、2,5−チオフェンジイル基などを、それぞれ挙げることができる。
上記式(A−1)におけるaとしては、0または1であることが;
上記式(A−2)および(A−3)におけるbとしては、0であることが、それぞれ好ましい。
かかる化合物(A)の具体例としては、例えば2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール、4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)−4’−アミノビフェニル、2−(4−アミノフェニル)−5−メチルベンゾオキサゾール−6−イルアミン、2−(4−アミノフェニル)−7−メチルベンゾオキサゾール−5−イルアミン、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾ[1,2−d;4,5−d’]ビスオキサゾールなどを挙げることができ、これらのうち、形成される液晶配向膜の残像特性がより良好となる観点から、特に2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾールが好ましい。
本発明における好ましいポリアミック酸を合成するためのジアミンとしては、化合物(A)のみを単独で用いてもよく、化合物(A)とその他のジアミンとを組み合わせて用いてもよい。
ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)メタン、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、下記式(D−1)および(D−2)
Figure 2010266477
(式(D−1)中のyは2〜12の整数であり、式(D−2)中のzは1〜5の整数である。)
のそれぞれで表される化合物などの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチル−ベンジジンおよび下記式(D−I)および(D−II)
Figure 2010266477
(式(D−I)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンよりなる群から選択される窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基であり、Xは2価の有機基であり;
式(D−II)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンよりなる群から選択される窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基であり、Xは、それぞれ、2価の有機基であり、複数存在するXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
のそれぞれで表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
Figure 2010266477
(式(D−III)中、Rは、それぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基であり、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、pは、それぞれ、1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサンを挙げることができる。上記芳香族ジアミンならびに分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミンの有するベンゼン環は、それぞれ、一つまたは二つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。
これらその他のジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いることのできるその他のジアミンとしては、上記のうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、上記式(D−1)および(D−2)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、上記式(D−II)で表される化合物のうちの下記式(D−3)
Figure 2010266477
で表される化合物および上記式(D−III)で表される化合物のうちの1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「他の特定ジアミン」という。)が好ましい。
特に好ましい他の特定ジアミンは、p−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸メチルエステル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルおよび4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルよりなる群から選択される少なくとも1種である。
本発明における好ましいポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記の如き化合物(A)を、全ジアミンに対して、0.1モル%以上含むものであることが好ましく、1〜40モル%含むものであることがより好ましく、特に5〜20モル%含むものであることが好ましい。また本発明に用いられるジアミンは、化合物(A)のほかに、上記の如き他の特定ジアミンを含むものであることが好ましい。この場合における他の特定ジアミンの使用割合としては、全ジアミンに対して、30〜99.9モル%であることが好ましく、50〜99モル%であることがより好ましく、特に80〜95モル%であることが好ましい。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記の如き化合物(A)および他の特定ジアミンのみからなるものであることが好ましい。
[ポリアミック酸の合成]
本発明における好ましいポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含むジアミンとを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
ポリアミック酸の合成に際して使用することのできる有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。
上記非プロトン性極性溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;
上記フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
上記アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;
上記ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンを;
上記エステルとしては、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチルなどを;
上記エーテルとしては、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;
上記炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒ならびにフェノールおよびその誘導体よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、または前期第一群の有機溶媒から選択される1種以上とアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒および第二群の有機溶媒の合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに30重量%以下であることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。
この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。
ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液中の溶媒をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、エバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
<ポリイミド>
本発明における好ましいポリイミドは、上記の如きポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
上記ポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上述したポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物と同じ化合物を挙げることができる。好ましいテトラカルボン酸二無水物の種類およびその好ましい使用割合もポリアミック酸の場合と同様である。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドを合成するために用いられるジアミンとしては、上記のポリアミック酸の合成に用いられるジアミンと同じジアミンを挙げることができる。すなわち、本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドの合成に用いられるジアミンは、化合物(A)を含むものであり、化合物(A)のみを用いてもよく、化合物(A)と上記他のジアミンとを併用してもよい。好ましい他のジアミンの種類および各ジアミンの好ましい使用割合もポリアミック酸の場合と同様である。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは、原料であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは、イミド化率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、特に70%以上であることが好ましい。
上記イミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくは(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは1.0〜24時間であり、より好ましくは1.0〜12時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
上記方法(i)において得られるポリイミドは、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においてはポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
−末端修飾型の重合体−
本発明における好ましいポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ、分子量が調節された末端修飾型の重合体であってもよい。かかる末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などをさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを;
上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを;上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを、それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは20重量以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
−溶液粘度−
以上のようにして得られるポリアミック酸またはポリイミドは、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<その他の添加剤>
本発明の液晶配向剤は、好ましくは上記の如き特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えばその他の重合体、接着性向上剤などを挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体は、上記の如き特定重合体以外の重合体であり、例えばテトラカルボン酸二無水物と化合物(A)を含まないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド(以下、「他のポリイミド」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のポリイミドが好ましく、他のポリアミック酸がより好ましい。
その他の重合体の使用割合としては、重合体の合計(上記特定重合体およびその他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは0.1〜40重量%であり、さらに0.1〜30重量%であることが好ましい。
上記接着性向上剤としては、例えば分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記エポキシ化合物としては、分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましく、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き特定重合体および必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
かくして得られる本発明の液晶配向剤は、特に横電解方式液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために好適に用いることができる。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子であり、好ましくは横電解方式の液晶表示素子である。
かかる横電界方式液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤を用いて例えば下記(1)ないし(3)の工程により製造することができる。
(1)先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
ここで、基板としては、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の導電膜形成面と、これに対向する、導電膜が設けられていない基板とを一対として用い、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の導電膜形成面と、導電膜が設けられていない基板(対向基板)の片面とに、本発明の液晶配向剤を好ましくはロールコーター法、スピンナー法またはインクジェット印刷法によってそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
基板を構成する素材としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックなどを挙げることができる。片側の基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じてポリアミック酸を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であるポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
本発明の液晶配向剤は、上記のようにして塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤がポリアミック酸またはイミド環構造とアミック酸構造とを併有するポリイミドを含有する場合には、塗膜形成後にさらに加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
(2)次に、上記のようにして形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
さらに、上記のようにして形成された液晶配向膜に対し、例えば特許文献4(特開平6−222366号公報)や特許文献5(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献6(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって得られる液晶表示素子の視界特性をさらに改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができ、これらのうちネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名C−15、CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお、下記合成例において2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾールは、和歌山精化工業(株)製の市販品をそのまま使用した。
また、各合成例における重合体の溶液粘度(mPa・s)は、いずれも所定の溶媒を用い、各合成例に記載した濃度の重合体溶液について、E型粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<特定重合体の合成>
[上記式(A)で表される構造を有するポリアミック酸の合成]
合成例1
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物150g(0.50モル)ならびにジアミンとして2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール45g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル40g(0.20モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,300gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度110mPa・sのポリアミック酸(A−1)を10重量%含有する溶液を得た。
合成例2
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物150g(0.50モル)ならびにジアミンとして2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール45g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20g(0.10モル)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)および3,5−ジアミノ安息香酸15g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,300gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度80mPa・sのポリアミック酸(A−2)を10重量%含有する溶液を得た。
[上記式(A)で表される構造を有するポリイミドの合成]
合成例3
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール11g(0.050モル)、3,5−ジアミノ安息香酸38g(0.25モル)、p−フェニレンジアミン14g(0.13モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度60mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン820gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約85%のポリイミド(B−1)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は20mPa・sであった。
合成例4
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール11g(0.050モル)、3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン5.4g(0.050モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13g(0.050モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,880gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度64mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン850gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約87%のポリイミド(B−2)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
合成例5
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール5.6g(0.025モル)、3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン11g(0.10モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度75mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン820gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約90%のポリイミド(B−3)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は32mPa・sであった。
<その他の重合体の合成>
[他のポリアミック酸の合成]
比較合成例1
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物120g(0.40モル)、ピロメリット酸無水物22g(0.10モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン22g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル40g(0.20モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,300gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度120mPa・sのポリアミック酸(a−1)を10重量%含有する溶液を得た。
比較合成例2
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物120g(0.40モル)、ピロメリット酸無水物22g(0.10モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン22g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル40g(0.20モル)N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)および3,5−ジアミノ安息香酸15g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,200gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度94mPa・sのポリアミック酸(a−2)を10重量%含有する溶液を得た。
比較合成例3
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物150g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン22g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル40g(0.20モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,100gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度110mPa・sのポリアミック酸(a−3)を10重量%含有する溶液を得た。
比較合成例4
テトラカルボン酸二無水物として3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物150g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン22g(0.20モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20g(0.10モル)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン27g(0.10モル)および3,5−ジアミノ安息香酸15g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,100gに溶解し、室温で6時間反応させることにより、溶液粘度78mPa・sのポリアミック酸(a−4)を10重量%含有する溶液を得た。
[他のポリイミドの合成]
比較合成例5
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100g(0.45モル)、ピロメリット酸無水物11g(0.050モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸38g(0.25モル)、p−フェニレンジアミン19g(0.18モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度75mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン820gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約87%のポリイミド(b−1)を15重量%含有する溶液1,000gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は24mPa・sであった。
比較合成例6
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100g(0.45モル)、ピロメリット酸無水物11g(0.050モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン11g(0.10モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13g(0.050モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度92mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン850gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約88%のポリイミド(b−2)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は25mPa・sであった。
比較合成例7
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物100g(0.45モル)、ピロメリット酸無水物11g(0.050モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン14g(0.13モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度78mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン820gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約93%のポリイミド(b−3)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は37mPa・sであった。
比較合成例8
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸38g(0.25モル)、p−フェニレンジアミン19g(0.18モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,600gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度55mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン780gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約84%のポリイミド(b−4)を15重量%含有する溶液1,100gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は21mPa・sであった。
比較合成例9
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン11g(0.10モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン13g(0.050モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度60mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン820gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約91%のポリイミド(b−5)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は23mPa・sであった。
比較合成例10
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸46g(0.30モル)、p−フェニレンジアミン14g(0.13モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.050モル)およびN,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン6.7g(0.025モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,700gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度71mPa・sのポリアミック酸を含有する溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン810gを追加し、ピリジン400gおよび無水酢酸310gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒をγ−ブチロラクトンで溶媒置換し、次いで濃縮することにより、イミド化率約89%のポリイミド(b−6)を15重量%含有する溶液1,200gを得た。この溶液を少量分取し、γ−ブチロラクトンを加えてポリイミド濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は31mPa・sであった。
実施例1
<液晶配向剤の調製>
上記合成例1で得られたポリアミック酸(A−1)を含有する溶液に、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを、N−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブの比が重量比で80:20になるように加え、さらに接着性向上剤としてエポキシ化合物であるN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを2重量部加えて、固形分濃度3.5重量%の溶液を調製した。この溶液を十分に撹拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
<液晶セルの製造および評価>
上記で調製した液晶配向剤を用いて、以下のように液晶セルを製造して評価した。
(1)電圧保持率評価用液晶セル(アンチパラレル配向液晶セル)の製造
上記で調製した液晶配向剤を、厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、230℃のホットプレート上で15分間加熱(ポストベーク)して膜厚約100nmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1,000rpm、ステージの移動速度2cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmの条件下でラビング処理を行い、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とした。この液晶配向膜を有する基板を、超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のクリーンオーブン中で10分間乾燥した。
これら一連の操作を繰り返すことにより、液晶配向膜を有する基板を二枚(一対)作成した。
次に、この一対の液晶配向膜を有する基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、それぞれの液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板間に、誘電率の異方性が正の値を示すネマチック型液晶(メルク社製、MLC−2019)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、アンチパラレル配向の液晶セルを製造した。
(2)熱ストレスに対する耐久性(熱耐久性)の評価
電圧保持率を指標にして熱ストレスに対する耐久性を評価した。先ず、上記で製造したアンチパラレル配向液晶セルに対し、60℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した(初期電圧保持率(VHR0))。測定装置は(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
次いで、初期電圧保持率測定後の液晶セルを100℃のオーブン中に1,000時間静置して熱ストレスを印加した後に、再度上記と同様にして電圧保持率を測定した(熱ストレス印加後電圧保持率(VHR1))。
これらの測定値を用いて下記の数式(1)
ΔVHR=VHR0−VHR1 (1)
により電圧保持率の差を求め、この差が5%以下であった場合を熱耐久性「良好」、5%を超えた場合を熱耐久性「不良」として評価したところ、この液晶セルの液晶配向性は「良好」であった。
(3)残像特性評価用液晶セル(横電界方式液晶セル)の製造
上記アンチパラレル配向液晶セルの製造において、クロムからなる櫛歯状の透明導電膜パターンを2系統有するガラス基板および透明導電膜を持たないガラス基板を一対として用い、櫛歯状透明導電膜を有する基板の透明導電膜上およびもう一方の基板の片面にそれぞれ上記液晶配向剤を塗布したほかは、上記アンチパラレル配向液晶セルの製造と同様にして実施して、横電界方式液晶セルを製造した。上記ガラス基板上の櫛歯状透明電極パターンの構成を示す概略図を図1に示した。
上記で製造した横電界方式液晶セルの有する2系統の透明導電膜パターンを、以下、それぞれ「電極A」および「電極B」という。
(4)残像特性の評価
残像特性の評価は上記の特許文献7(特開2003−214983号公報)に記載された方法に準じて行った。
上記で製造した横電界方式液晶セルをクロス二コルに配置した偏光板ではさみ、25℃、1気圧の環境下におき、電極Bには電圧をかけずに、電極Aに交流電圧3.5Vと直流電圧5Vの合成電圧を2時間印加した。その直後、電極Aおよび電極Bの双方に交流4Vの電圧を印加した。ここで、両電極に交流4Vの電圧を印加し始めた時点から5秒ごとに液晶セルの写真を撮影し、電極Aおよび電極Bの輝度を測定した。電極Aおよび電極Bの輝度に差がなくなるまでの時間が500秒以下であった場合に残像特性「良好」、500秒を超えた場合に残像特性「不良」として評価したところ、上記横電界方式液晶セルの残像特性は「良好」であった。
実施例2〜5および比較例1〜10
上記実施例1において、使用した重合体の種類および溶媒組成をそれぞれ表1に記載のとおりとなるようにしたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、それぞれ2種類ずつの液晶表示素子を製造して評価した。
評価結果は表1に示した。
なお、表1における溶媒の略称は、それぞれ以下の意味である。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
Figure 2010266477

Claims (9)

  1. ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、ただし前記重合体はその分子内の少なくとも一部に下記式(A)
    Figure 2010266477
    で表される構造を有する、を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  2. 上記重合体が、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物が、下記式(A−1)〜(A−3)
    Figure 2010266477
    (上記式(A−1)〜(A−3)中、Rは、それぞれ、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基またはアシル基であり、RIIは、それぞれ、単結合または炭素数4〜20の2価の芳香族基であり、aは0〜3の整数であり、bは、それぞれ、0または1である。)
    のいずれかで表される化合物である、請求項2に記載の液晶配向剤。
  4. 上記ジアミンが、上記式(A)で表される構造および2つのアミノ基を有する化合物のほかに、さらにp−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸メチルエステル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルおよび4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである、請求項2または3に記載の液晶配向剤。
  5. 上記テトラカルボン酸二無水物が、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なとも1種を含むものである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  6. 上記テトラカルボン酸二無水物が、
    2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物と、
    ピロメリット酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンよりなる群から選択される少なとも1種と
    を含むものである、請求項5に記載の液晶配向剤。
  7. 横電解方式液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、横電解方式液晶表示素子。
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