JP2009148248A - 低アレルゲン化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タンパク質分解酵素を含有することを特徴とする穀物の低アレルゲン化剤、及び低アレルゲン化剤を穀物を水の存在下で加熱する前に添加しそのまま加熱することにより調理することを特徴とする穀物の調理方法。
【選択図】 なし
Description
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、タンパク質分解酵素を炊飯の過程で作用させた場合、米飯の味を損なうことなく、低アレルゲン化を達成できることを見出した。これにより、炊飯前に炊飯器内の米及び水に混ぜるだけで、アレルゲンが低減化された米飯を炊くことのできる低アレルゲン化剤を提供することを可能にした。これは、複雑な過程を経なければ米の低アレルゲン化を達成できないと考えられていた従来の常識を覆すものである。
さらに、本発明の発明者等は、本発明の低アレルゲン化剤を用いて炊飯された米飯が、免疫寛容誘導効果を有することを見出した。食物アレルギーの治療においては、アナフィラキシーショックのような重篤な症状を示す患者についてはアレルゲンとなる食物の完全除去が行われるが、通常は、医師の管理下でアレルギー症状に対して適切な処置を行いつつアレルゲンとなる食物を少量ずつ摂取させ、免疫寛容を誘導する治療が試みられる。この時、低アレルゲン化され、且つ免疫寛容誘導効果を有する食物を使用することができれば、アレルギー症状を悪化させることなく免疫寛容を誘導することができる。
(2)前記穀物が米である(1)の低アレルゲン化剤。
(3)前記タンパク質分解酵素が、Streptomyces griseus由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来の酸性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus stearothermophilus由来の中性プロテアーゼ、Bacillus stearothermophilus由来の耐熱性エンド型プロテアーゼ、Aspergillus niger由来の酸性プロテアーゼ、Rhizopus nivers由来の酸性プロテアーゼ、Aspergillus saitoi由来の酸性プロテアーゼ、Aspergillus sp.由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus sp.由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus amyloliquefaciens由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus sojea由来の中性プロテアーゼ、Bacillus licheniformis由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus clausii由来のアルカリ性プロテアーゼ、Ananas comosus M.由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ、豚の膵臓由来の中性プロテアーゼ、パパイヤ由来の中性プロテアーゼ、パパイヤラテックス由来の中性プロテアーゼ及びパイナップル由来の中性プロテアーゼからなる群より選択される1種またはそれ以上のタンパク質分解酵素である(1)または(2)の低アレルゲン化剤。
(5)生米の重量100gに対してタンパク質分解酵素の量として0.001〜1.0gの量で使用される(2)〜(4)のいずれかの低アレルゲン化剤。
(6)米の低アレルゲン化剤であって、浸漬開始時から炊飯開始までの間に米を浸漬した水に添加し、そのまま炊飯を行うための(2)〜(5)のいずれかの低アレルゲン化剤。
(7)米の低アレルゲン化剤であって、炊飯開始の2時間前から炊飯開始までの間に米を浸漬した水に添加し、そのまま炊飯を行うための(2)〜(5)のいずれかの低アレルゲン化剤。
(9)米アレルギーの治療のための(2)〜(8)のいずれかの低アレルゲン化剤。
(10)(1)〜(9)の低アレルゲン化剤を、穀物を水の存在下で加熱する前に添加し、そのまま加熱することにより調理することを特徴とする穀物の調理方法。
(11)(2)〜(9)の低アレルゲン化剤を炊飯前に米と水の混合物に添加し、炊飯することを特徴とする低アレルゲン化米飯の製造方法。
(12)(2)〜(9)の低アレルゲン化剤を、米または米粉を水の存在下で加熱する前に米または米粉と水の混合物に添加し、加熱することを特徴とする米加工食品の製造方法。
さらに、本発明の低アレルゲン化剤を用いて炊飯された米飯を食することにより、免疫寛容を誘導することができる。これにより、アレルギー症状を抑えつつ、米アレルギー患者の治療を有効に行うことが可能になる。本発明による低アレルゲン化剤によると、米アレルギーの治療を、安全性の確立されたタンパク質分解酵素からなる低アレルゲン化剤の添加により低アレルゲン化された米飯を食することにより行うことができ、本発明の低アレルゲン化剤を用いて炊飯された米飯の食味は通常の米飯と同等以上であるため、患者や家族の負担を伴わずに治療を行うことが可能となる。
本発明の低アレルゲン化剤は、特に加熱調理直前、米の場合には炊飯直前に添加することができ、酵素及び分解されたペプチドを分離することなく、そのまま調理することができる。
低アレルゲン化剤が米のアレルゲンを低減化するためのものである場合、タンパク質分解酵素は、好ましくは、Streptomyces griseus由来の中性プロテアーゼ(科研ファルマより市販のアクチナーゼAS)、Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼA「アマノ」G、ナガセケムテックスより市販のデナチームAP)、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼN「アマノ」G)、Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ(ナガセケムテックスより市販のビオプラーゼSP−4FG)、Bacillus stearothermophilus由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼS「アマノ」G)、Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼPアマノ3G)、パパイヤラテックス由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のパパインW−40)、特に好ましくは、Streptomyces griseus由来の中性プロテアーゼ(科研ファルマより市販のアクチナーゼAS)、Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ(ナガセケムテックスより市販のデナチームAP)、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼN「アマノ」G)、Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ(ナガセケムテックスより市販のビオプラーゼSP−4FG)、Bacillus stearothermophilus由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のプロテアーゼS「アマノ」G)、パパイヤラテックス由来の中性プロテアーゼ(天野エンザイムより市販のパパインW−40)から選択される。
本発明の低アレルゲン化剤は、一種類のタンパク質分解酵素を含有していても、二種類以上のタンパク質分解酵素の混合物を含有していてもよい。
本発明の低アレルゲン化剤は、タンパク質分解酵素の量として、穀物、例えば生米の重量100gに対して0.0005〜5.0g、好ましくは0.001〜2.0g、より好ましくは0.01〜2.0g、例えば0.1〜1.0gの量で使用される。米の低アレルゲン化の場合、本発明の低アレルゲン化剤は、より好ましくは生米100gに対してタンパク質分解酵素の重量として0.0005〜2.0g、好ましくは0.001〜1.0g、例えば0.01〜0.1gの量で使用される。そのような範囲の量とすることにより、米飯の味を低下させることなく、低アレルゲン化され且つ免疫寛容誘導効果を有する米飯を提供することができる。
電気炊飯器の場合、通常の加熱方式の炊飯器であってもよく、IH式の炊飯器であってもよく、加圧式の炊飯器であってもよく、またIH式且つ加圧式の炊飯器であってもよい。
本発明の低アレルゲン化剤を、米アレルギーの治療に使用する場合、酵素としては、上記の酵素を使用し得るが、好ましくはStreptomyces griseus由来酵素(科研ファルマにより販売されているアクチナーゼAS)、パパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)またはBacillus stearothermophilus由来中性プロテアーゼ(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼS「アマノ」Gを使用することができる。また、本発明の低アレルゲン化剤による米アレルギーの治療は、本発明の低アレルゲン化剤を添加して炊飯した米飯を一定期間にわたり摂取させることにより行われる。摂取量は医師の指導の下に決定されるのが好ましい。また、治療は、アレルギー症状が現れた場合には摂取を中止し適切な処置を施す等、医師の管理下で行うのが望ましい。
生米を1分間洗米した後、生米重量に対して1.3倍量の水に30分間浸漬した。浸漬終了2分前に、低アレルゲン化剤としてのStreptomyces griseus由来酵素(科研ファルマにより販売されているアクチナーゼAS)を、生米重量の1重量%の量で添加し、約30秒間撹拌して炊飯器(東芝製保温釜RCX−X10A)により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯100gに、500mlの超純水を加え、室温で2時間撹拌し、9500×g,30分間の遠心分離により沈殿を得た。得られた沈殿に2MのNaClを500ml加え、室温で2時間撹拌し、9500×g,30分間の遠心分離により上清を得た。得られた上清を超純水で透析した後、凍結乾燥して、米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにBacillus subtilis由来中性プロテアーゼ(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼN「アマノ」G)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにBacillus stearothermophilus由来中性プロテアーゼ(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼS「アマノ」Gを用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにAspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼA「アマノ」G)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにAspergillus melleus由来アルカリ性プロテアーゼ(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼP「アマノ」3G)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにパパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにBacillus subtilis由来アルカリ性プロテアーゼ(ナガセケムテックスにより販売されているビオプラーゼSP−4FG)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼASの代わりにAspergillus oryzae由来プロテアーゼ(ナガセケムテックスにより販売されているデナチームAP)を用いる以外は、実施例1と同様の方法により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
得られた米飯から、実施例1と同様の方法により米グロブリン画分を得た。
実施例1〜8で得られた米グロブリン画分を各々SDSサンプルバッファーに溶解し、100℃で5分間処理した後、SDS−PAGEを行った。SDS−PAGE後のゲルを、タンパク質を染色するCBB染色液で染色した。対照として、低アレルゲン化剤を添加せずに炊飯した米飯のグロブリン画分を用いた。
1.ウサギ抗体の作成:
配列表の配列番号1に示す16kDaの米アレルゲンタンパク質のアミノ酸配列の一部のアミノ酸配列Cys Arg Pro Gly Ile Ser Tyr Pro Thr Tyr Ser Leu Pro Gln(配列番号2)からなるペプチドを合成し、抗体作成のための抗原ペプチドとして使用した。このペプチドは、他の植物体のアレルゲンタンパク質のエピトープ配列と類似している点、データベース上に同様のアミノ酸配列を持つタンパク質が存在しない点、ウサギに免疫した時の抗体のできやすさなどを考慮して、抗原ペプチドとして選択された。
上記で製造した抗米アレルゲンペプチドウサギ抗体を用いて、ウェスタンブロッティングにより実施例1〜8で得られた米グロブリン画分における16kDa米アレルゲンタンパク質の存在を調べた。
本発明の低アレルゲン化剤を添加して炊飯した米のグロブリン画分では、対照の米グロブリン画分と比較して16kDaのタンパク質を示すバンドが薄くなっており、特にレーン2,3,4,7,8,9では著しく薄くなっており、レーン5,6でも薄くなっていた。
実施例1〜8で得た米グロブリン画分をマイクロプレートに吸着させ、米アレルギー患者の血漿と反応させて、ELISA法によりその反応性を測定した。反応性は、対照の米グロブリン画分の反応性を100として、下記式により計算した。結果を表1に示す。
低アレルゲン化剤の添加量を0.1重量%とすること以外は実施例1,3,8と同様の方法により得た米グロブリン画分をマイクロプレートに吸着させ、米アレルギー患者の血漿と反応させて、ELISA法によりその反応性を測定した。反応性は、試験例3と同様に計算した。結果を表2に示す
生米を1分間洗米した後、生米重量に対して1.3倍量の水に30分間浸漬した。浸漬終了2分前に、低アレルゲン化剤としてのパパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)を、生米重量の0.24重量%の量で添加し、約30秒間撹拌して炊飯器(東芝製保温釜RCX−X10A)により炊飯を行った。得られた米飯を試食したところ、味も硬さも良好であった。
炊飯した米飯をO.T.Cコンパウンドに漬け、液体窒素で凍結し、これを凍結ミクロトーム(LeicaCM1510-11、ライカマイクロシステムズ、東京)で切片厚5μmに切削して米切片を作成した。この米切片中のタンパク質をCBB染色により染色し、顕微鏡観察した。顕微鏡写真を図4に示す。対照としてパパインを添加せずに炊飯した米飯の凍結ミクロトーム切片の顕微鏡写真を図5に示す。
顕微鏡観察の結果、パパインを添加して炊飯した米飯は無添加のものよりも全体的な色が薄くなっていた。
低アレルゲン化剤としてアクチナーゼ(科研ファルマにより販売されているアクチナーゼAS)、プロテアーゼS(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼS「アマノ」G)、パパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)、ビオプラーゼ(ナガセケムテックスにより販売されているビオプラーゼSP−4FG)、デナチーム(ナガセケムテックスにより販売されているデナチームAP)を、生米の重量に対して0.001重量%、0.010重量%、0.100重量%、1.000重量%の量で用いること以外は、実施例1と同様の方法により得た米グロブリン画分をマイクロプレートに吸着させ、米アレルギー患者の血漿と反応させて、ELISA法によりその反応性を測定した。各低アレルゲン化剤についての添加量とアレルギー患者の血漿との反応性の関係を図6のグラフに示す。
図6のグラフより明らかなように、用いた全ての低アレルゲン化剤について、0.001重量%の添加量でアレルゲン性の低下が認められた。
生米を1分間洗米した後、生米重量に対して1.3倍量の水に30分間浸漬した。浸漬終了2分前に、低アレルゲン化剤として、各々アクチナーゼ(科研ファルマにより販売されているアクチナーゼAS)、プロテアーゼS(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼS「アマノ」G)、パパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)、ビオプラーゼ(ナガセケムテックスにより販売されているビオプラーゼSP−4FG)、デナチーム(ナガセケムテックスにより販売されているデナチームAP)を生米重量に対して0.001重量%の量で添加し、約30秒間撹拌して炊飯器(東芝製保温釜RCX−X10A)により炊飯を行った。
得られた各々の米飯について、日本穀物検定協会で行われている評価法に準拠して15名のパネラーにより官能試験を行った。評価項目は外観、香り、味、粘り、硬さ、総合の6項目とし、+3〜−3の評定尺度で評価した。結果を図7のグラフに示す。
グラフより明らかなように、本発明の低アレルゲン化剤を添加した試験区は、全ての項目において同等または若干の評価の上昇があった。
Brown Norway rat(SPF、4週齢、雌)20匹を環境への馴化のために、一週間予備飼育を行った。飲料水としては水道水を与え、飼料は自由摂取させた。
予備飼育後、ラットを5群(コントロール群、無添加米群、アクチナーゼ群、パパイン群、プロテアーゼS群)に分け、ネンブタール麻酔下で尾静脈より採血を行った。
採血後、本飼育を行った。本飼育において、コントロール群にはPBS0.4mlを10日間経口胃内投与し、無添加米群には、低アレルゲン化剤を添加しない以外は実施例1と同様の方法により製造した米グロブリン画分70mgをPBS0.4mlに溶解した飼料を、10日間経口胃内投与した。アクチナーゼ群、パパイン群、プロテアーゼS群のラットには、各々アクチナーゼ(科研ファルマにより販売されているアクチナーゼAS)、パパイン(天野エンザイムにより販売されているパパインW−40)、プロテアーゼS(天野エンザイムにより販売されているプロテアーゼS「アマノ」G)を生米に対して1.0重量%の量で添加すること以外は実施例1に記載の方法と同様の方法により製造した米グロブリン画分70mgをPBS0.4 mlに溶解した飼料を、10日間経口胃内投与した。
本飼育12日目に、ネンブタール麻酔下で尾静脈より採血を行った。採血後、各ラットの首背部に、米タンパク質グロブリン画分50mg及びアジュバントとしてImject(登録商標)Alum 0.5mlを皮下注射した。また同時に、不活性化百日咳菌懸濁液Bordetella pertussis 6x108cells/PBS0.2mlを腹腔内投与し、1次免疫を行った。1次免疫から1週間後に同様に2次免疫を行い、さらに14日間飼育を行った。14日後、全採血を行い、得られた血清中の米タンパク質特異的IgG、総IgE及び米タンパク質特異的IgEをELIZAにより測定し、経口免疫寛容が誘導されているか否かを検討した。
結果を各々図8、図9及び図10のグラフに示す。グラフ中の値は各群の平均値である。また、グラフ中、*はp<0.05であることを示し、**はp<0.01であることを示し、いずれもコントロール群に対して有意差を有していた。従って、アクチナーゼ群、パパイン群、プロテアーゼS群において経口免疫寛容が誘導されていることが明らかである。
Claims (12)
- タンパク質分解酵素を含有することを特徴とする穀物の低アレルゲン化剤。
- 前記穀物が米である請求項1記載の低アレルゲン化剤。
- 前記タンパク質分解酵素が、Streptomyces griseus由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来の酸性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ、Bacillus subtilis由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus stearothermophilus由来の中性プロテアーゼ、Bacillus stearothermophilus由来の耐熱性エンド型プロテアーゼ 、Aspergillus niger由来の酸性プロテアーゼ、Rhizopus nivers由来の酸性プロテアーゼ、Aspergillus saitoi由来の酸性プロテアーゼ、Aspergillus sp.由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus sp.由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus amyloliquefaciens由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus sojea由来の中性プロテアーゼ、Bacillus licheniformis由来のアルカリ性プロテアーゼ、Bacillus clausii由来のアルカリ性プロテアーゼ、Ananas comosus M.由来の中性プロテアーゼ、Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ、豚の膵臓由来の中性プロテアーゼ、パパイヤ由来の中性プロテアーゼ、パパイヤラテックス由来の中性プロテアーゼ及びパイナップル由来の中性プロテアーゼからなる群より選択される1種またはそれ以上のタンパク質分解酵素である請求項1または2記載の低アレルゲン化剤。
- 穀物の重量100gに対してタンパク質分解酵素の量として0.0005〜5.0gの量で使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 生米の重量100gに対してタンパク質分解酵素の量として0.001〜1.0gの量で使用される請求項2〜4のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 米の低アレルゲン化剤であって、浸漬開始時から炊飯開始までの間に米を浸漬した水に添加し、そのまま炊飯を行うための請求項2〜5のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 米の低アレルゲン化剤であって、炊飯開始の2時間前から炊飯開始までの間に米を浸漬した水に添加し、そのまま炊飯を行うための請求項2〜5のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 低アレルゲン化され、且つ免疫寛容誘導効果を有する米飯の製造のための請求項2〜7のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 米アレルギーの治療のための請求項2〜8のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤を、穀物を水の存在下で加熱する前に添加し、そのまま加熱することにより調理することを特徴とする穀物の調理方法。
- 請求項2〜9のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤を炊飯前に米と水の混合物に添加し、炊飯することを特徴とする低アレルゲン化米飯の製造方法。
- 請求項2〜9のいずれか1項に記載の低アレルゲン化剤を、米または米粉を水の存在下で加熱する前に米または米粉と水の混合物に添加し、加熱することを特徴とする米加工食品の製造方法。
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