JP2009148212A - マンニトールの発酵製造方法及びその実施に用いる微生物 - Google Patents
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Abstract
【課題】油脂産業において大量に副生成するグリセロールを有効利用し、これを主原料として機能性糖質であるマンニトールを安価で効率良く発酵生産する方法、及びそれを効率的に実施するために用いる微生物の提供を目的とする。
【解決手段】グリセロールを炭素源とした液体培地において、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)、スポリジオボラス・パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)又はトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)から選択される少なくとも1種の微生物を培養する、マンニトールの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】グリセロールを炭素源とした液体培地において、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)、スポリジオボラス・パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)又はトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)から選択される少なくとも1種の微生物を培養する、マンニトールの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、グリセロール、特に油脂産業等の副産物として大量に生成される安価なグリセロールを主原料として微生物培養の培地に用いることで、機能性糖質であるマンニトールを効率的に発酵生産するマンニトールの製造方法、及びその製造に使用できる微生物に関するものである。
マンニトールは、六炭糖糖アルコールとして自然界では褐藻類、きのこ類、菌類等に含まれている。マンニトールは、砂糖の30〜40%の甘味度を有しており、砂糖の使用が制限される食品製造で代替甘味料として使われているだけでなく、冷飲昧、低吸湿性、流動性などの優秀な特性により、製菓類の添加剤、医薬品の充填剤、界面活性剤、防水剤等に多く利用されている。また、低血圧治療剤の中間物質としても使われ、各種医薬品製剤の製造工程で苦味を軽減させるためのコーティング剤としても利用されるなど、食品及び医薬品産業で広範囲に使用されている。
マンニトールは様々な果物や野菜等に存在するが、この場合極めて微量にしか存在しないために、果物や野菜から抽出することは産業的に見て経済性が無い。したがって、マンニトールの商業的生産方法は、砂糖等から加水分解によって生成されたフルクトースを分離し、高温・高圧、触媒の存在下でこのフルクトースに水素を添加して製造する。しかし、副産物としてソルビトールが作られるため、別の精製工程を必要とするだけでなく、転換収率が非常に低く製造原価が高いという短所がある。また、高温高圧の反応であることによる危険性、及び廃棄物処理の問題も存在する。
上記問題点を解決するために、微生物によるマンニトールの発酵生産方法に対する多くの研究が進行中である。グルコース、フルクトース等の糖質を原料とするマンニトール生産に関連する微生物として、例えばトルロプシス(Torulopsis)属(特許文献1、非特許文献1)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)(特許文献2)等に属する酵母菌が報告されている。これらの発酵法は経済性が高く、グルコースやフルクトースから特異的にマンニトールのみを生産できることから、反応後マンニトールの分離精製工程を非常に容易にすることができる。
一方、昨今地球温暖化防止対策、持続可能な社会の育成という観点から、バイオマスエネルギーの利用促進が進められ、バイオエタノールの生産原料として膨大な量の糖質が利用されるようになり、糖質原料の価格高騰が進んでいる。今やグルコースは決して安価な原料とは言えない状況にある。対照的に、同じ再生可能な天然資源として植物油を原料とする素材開発、バイオディーゼルの生産等の分野においては、副産物として大量にグリセロールが生産されている。これら余剰のグリセロールは、今後も増加の一途をたどると予想され、その処理又は有効利用方法の開発が望まれている。
最近では上述の時代背景も相まって、グリセロールを発酵原料として機能性物質を生産する研究も活発に進められている。ここで注目すべき報告例として、グリセロールを原料として上記マンニトールを発酵生産する製造方法に関する古い報告例(特許文献3、非特許文献2)が挙げられる。ここでは、トルロプシス・マンニトハシエンス(Torulopsis mannitofaciens)、トルロプシス・バーサチリス(Torulopsis versatilis)、トルロプシス・アノマラ(Torulopsis anomala)に属する微生物を用い、グリセロールを主たる炭素原料とした培地中でマンニトールの発酵生産を行っているが、その生産量は十分とは言えなかった。また上記3例以外の微生物によるグリセロールを原料としたマンニトールの発酵生産例は無い。
上記事情を鑑みて、本発明では、油脂産業において大量に副生成するグリセロールを主原料として用いることで、機能性糖質であるマンニトールを安価で効率良く発酵生産する方法、及びそれを効率的に実施するために用いる新規微生物の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、環境中からスクリーニングしてきた微生物及びその類縁菌等を用い、主原料としてグリセロールを添加した液体培地で培養することで、マンニトールを従来の発酵生産方法よりも高い収量で安価に生産できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕に示される。
〔1〕グリセロールを炭素源とした液体培地において、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)、スポリジオボラス・パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)又はトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)から選択される少なくとも1種の微生物を培養する、マンニトールの製造方法。
〔2〕微生物が、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)である、〔1〕に記載のマンニトールの製造方法。
〔3〕グリセロールが、植物油の分解又はエステル交換の副生成物である、〔1〕又は〔2〕に記載のマンニトールの製造方法。
〔4〕微生物キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)。
〔1〕グリセロールを炭素源とした液体培地において、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)、スポリジオボラス・パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)又はトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)から選択される少なくとも1種の微生物を培養する、マンニトールの製造方法。
〔2〕微生物が、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)である、〔1〕に記載のマンニトールの製造方法。
〔3〕グリセロールが、植物油の分解又はエステル交換の副生成物である、〔1〕又は〔2〕に記載のマンニトールの製造方法。
〔4〕微生物キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)。
本発明によれば、安価な原料であるグリセロール、特に油脂産業等の副産物、あるいは産業廃棄物として大量に生成される安価なグリセロールを主原料として、付加価値の高いマンニトールを生産することができる。これまで、グルコース、フルクトース、スクロース等の糖質を原料とする製造技術の報告はあったが、さらに安価な原料であるグリセロールを用いることで、より低価格でマンニトールを市場に提供することができる。
グリセロールを原料としてマンニトールを生産する能力を有する微生物は、これまでにトルロプシス・マンニトハシエンス(Torulopsis mannitofaciens)、トルロプシス・バーサチリス(Torulopsis versatilis)、トルロプシス・アノマラ(Torulopsis anomala)の3例が報告されている。これに対して本発明で用いる微生物は、これらを上回る収量でマンニトールを生産することが可能であり、また油脂産業の副産物として生成されるような低純度のグリセロールを原料として使用できる。
特に、昨今の時代背景から、上記糖質の価格高騰が予想されるのに対して、余剰グリセロールの生成量は増加の一途をたどると予想されることから、本発明を利用することによるマンニトールの価格低下に対する効果は極めて大きい。
また同時に、本発明は、これまで利用方法の限られていた、産業界における余剰グリセロールの処理及び有効利用に向けた一つの方法を提供するものであり、天然資源の効率的循環に大きく貢献するものである。
グリセロールを原料としてマンニトールを生産する能力を有する微生物は、これまでにトルロプシス・マンニトハシエンス(Torulopsis mannitofaciens)、トルロプシス・バーサチリス(Torulopsis versatilis)、トルロプシス・アノマラ(Torulopsis anomala)の3例が報告されている。これに対して本発明で用いる微生物は、これらを上回る収量でマンニトールを生産することが可能であり、また油脂産業の副産物として生成されるような低純度のグリセロールを原料として使用できる。
特に、昨今の時代背景から、上記糖質の価格高騰が予想されるのに対して、余剰グリセロールの生成量は増加の一途をたどると予想されることから、本発明を利用することによるマンニトールの価格低下に対する効果は極めて大きい。
また同時に、本発明は、これまで利用方法の限られていた、産業界における余剰グリセロールの処理及び有効利用に向けた一つの方法を提供するものであり、天然資源の効率的循環に大きく貢献するものである。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。
〈マンニトールの製造に使用できる微生物〉
本発明を実施するために使用する微生物としては、例えばキャンディダ・アジマ、キャンディダ・マグノリア、スポリジオボラス・パラロセウス、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ又はトルロプシス・ボンビコーラから選択される少なくとも1種の微生物が挙げられ、特にキャンディダ・アジマに属する微生物が好ましい。また、これらの微生物を常法に基づき得られた変異株も包含する。
〈マンニトールの製造に使用できる微生物〉
本発明を実施するために使用する微生物としては、例えばキャンディダ・アジマ、キャンディダ・マグノリア、スポリジオボラス・パラロセウス、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ又はトルロプシス・ボンビコーラから選択される少なくとも1種の微生物が挙げられ、特にキャンディダ・アジマに属する微生物が好ましい。また、これらの微生物を常法に基づき得られた変異株も包含する。
本発明者らは、キャンディダ属に属し、沖縄県那覇市で採取した植物(花)サンプルから新規に発見された、上記キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)についても、グリセロールからマンニトールを選択的に生産する能力を有することを見出し、本発明をより有効に利用できることを突き止めた。以下、この新規株の菌学的性質について説明する。
〈7-12G株の菌学的性質〉
7-12G株は、YM寒天培地上にて25℃、4日間培養することで、直径が2〜3mm程度のコロニーを形成する(形:円形、隆起状態:クッション形、周縁:ほぼ全縁、表面の形状:平滑、色調:白色からクリーム色、光沢および性状:輝光、湿性)。さらに、光学顕微鏡による微視的形態性状観察によれば、上記培養4日後の本菌株の栄養細胞は楕円形から広楕円形であり、多極出芽により増殖することが確認される。なお、培養1ヶ月経過した培地上で有性生殖器官ならびに菌糸、偽菌糸の形成は認められない。
7-12G株は、YM寒天培地上にて25℃、4日間培養することで、直径が2〜3mm程度のコロニーを形成する(形:円形、隆起状態:クッション形、周縁:ほぼ全縁、表面の形状:平滑、色調:白色からクリーム色、光沢および性状:輝光、湿性)。さらに、光学顕微鏡による微視的形態性状観察によれば、上記培養4日後の本菌株の栄養細胞は楕円形から広楕円形であり、多極出芽により増殖することが確認される。なお、培養1ヶ月経過した培地上で有性生殖器官ならびに菌糸、偽菌糸の形成は認められない。
7-12G株は、リボソームRNA遺伝子の26SrDNA-D1/D2領域の塩基配列(rDNA配列)を決定し、アポロンDB-FU(Ver.1.0)並びに国際塩基配列データベースを用いてBLAST相同性検索(S.F., Altschulら、Nucleic Acids Research, 25, 3389-3402 (1997))を行ったところ、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)の基準株のrDNA配列と5塩基の相違で、その相同率は99.1 %を示した。本菌株の分子系統樹を図1に示す。一般的に、基準株との相違塩基数が0〜3塩基であれば同種または姉妹種である可能性が高く、相違が1 %以上である場合には別種である可能性が高いとされており、本菌株の場合、キャンディダ・アジマと系統群を形成するものの、系統樹においてキャンディダ・アジマ基準株との距離が認められることから、キャンディダ・アジマとは僅かに異なる近縁なキャンディダ属の新種である可能性が高い。さらに、本菌株の生理性状試験の結果(表1)、キャンディダ・アジマとほぼ類似の生理・生化学的特徴を示したが、キャンディダ・アジマが0.1 %シクロヘキシミド耐性を示すのに対して(Kurtzman, C. P. and Fell, J. W. 1998. The Yeasts, a taxonomic study, 4th edition, Elsevier, Amsterdam, Netherlands)、本菌株は0.1 %シクロヘキシミド存在下で生育が認められなかった点でキャンディダ・アジマと異なる特徴を示した。以上の結果を合わせて、本菌株をキャンディダ・アジマに近縁なキャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G株と命名した。本菌株は、平成19(2007)年10月30日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD)(茨城県つくば市東1−1−3)に受託番号FERM P-21419として寄託されている。
〈マンニトールの製造方法〉
本発明のマンニトールの製造方法は、上記の微生物を、グリセロールを炭素源とした培地で培養することにより行う。該方法の詳細を以下に記載する。
〈培地、培養条件〉
本発明では、上記の微生物の少なくとも1種又は2種以上を、液体培地中で好気的に培養することが望ましい。
前記液体培地は、溶媒、例えば水に、炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミン等の栄養素を添加したものを用いることができる。
本発明のマンニトールの製造方法においては、主な炭素源として、グリセロールを使用する。前記グリセロールは、市販の高純度のグリセロール試薬を用いることができるが、本発明においては特に、油脂産業などにおいて植物油の分解又はエステル交換の副生成物として生成する廃グリセロールをそのまま用いることが可能である。さらに、活性炭処理などによって廃グリセロールに含有する微生物生産阻害物(微量金属など)を除去して培養液に使用すればなお良い。具体的には、上記廃グリセロールに活性炭素(和光純薬工業製、顆粒状)(例えば廃グリセロール1Lに対して200〜500g)を加え、室温にて60分以上撹拌後、ろ過によって活性炭素を除去したろ液分を活性炭処理済み廃グリセロールとして用いることが望ましい。また廃グリセロールの粘度が高い場合は、水で1.5倍〜5倍に希釈して同様の操作を行っても良い。液体培地に添加されるグリセロール純分の濃度条件は50〜500 g/L、好ましくは100〜400g/L、さらに好ましくは150〜300g/L、最も好ましくは200〜300g/Lの範囲で使用されることが好ましい。グリセロールを、例えば初期に100〜400g/L添加し、その後培養2〜4日間隔で100〜200g/Lずつ段階的に追加することもできる。また、グリセロールに加えて、本発明の実施に用いる微生物が資化可能な一般的に用いられる糖類、例えばグルコース、ガラクトース、スクロース等、または糖蜜などを10〜50g/L程度添加することで炭素源として併用しても良い。
本発明のマンニトールの製造方法は、上記の微生物を、グリセロールを炭素源とした培地で培養することにより行う。該方法の詳細を以下に記載する。
〈培地、培養条件〉
本発明では、上記の微生物の少なくとも1種又は2種以上を、液体培地中で好気的に培養することが望ましい。
前記液体培地は、溶媒、例えば水に、炭素源、窒素源、無機塩類、ビタミン等の栄養素を添加したものを用いることができる。
本発明のマンニトールの製造方法においては、主な炭素源として、グリセロールを使用する。前記グリセロールは、市販の高純度のグリセロール試薬を用いることができるが、本発明においては特に、油脂産業などにおいて植物油の分解又はエステル交換の副生成物として生成する廃グリセロールをそのまま用いることが可能である。さらに、活性炭処理などによって廃グリセロールに含有する微生物生産阻害物(微量金属など)を除去して培養液に使用すればなお良い。具体的には、上記廃グリセロールに活性炭素(和光純薬工業製、顆粒状)(例えば廃グリセロール1Lに対して200〜500g)を加え、室温にて60分以上撹拌後、ろ過によって活性炭素を除去したろ液分を活性炭処理済み廃グリセロールとして用いることが望ましい。また廃グリセロールの粘度が高い場合は、水で1.5倍〜5倍に希釈して同様の操作を行っても良い。液体培地に添加されるグリセロール純分の濃度条件は50〜500 g/L、好ましくは100〜400g/L、さらに好ましくは150〜300g/L、最も好ましくは200〜300g/Lの範囲で使用されることが好ましい。グリセロールを、例えば初期に100〜400g/L添加し、その後培養2〜4日間隔で100〜200g/Lずつ段階的に追加することもできる。また、グリセロールに加えて、本発明の実施に用いる微生物が資化可能な一般的に用いられる糖類、例えばグルコース、ガラクトース、スクロース等、または糖蜜などを10〜50g/L程度添加することで炭素源として併用しても良い。
窒素源としては、微生物により利用可能な窒素化合物、例えば有機物(酵母エキス、ペプトン、麦芽エキス、カザミノ酸、コーンスチープリカー、アミノ酸、尿素など)、無機物(硝酸ナトリウム等の硝酸塩、アンモニウム塩など)のいずれかを単独、または混合して使用でき、発酵生産性を高める観点から酵母エキスを好適に用いることができる。
無機塩類は、ミネラル分として、リン酸塩類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類(例えば塩化カルシウム)、マンガン塩類、鉄分、亜鉛分などのいずれかを単独、または混合して使用してもよい。さらに、各種のビタミン、消泡剤なども必要に応じて適宜選択添加することができ、その使用は常法の通りにすればよい。
本発明の方法においては、上記窒素源の濃度を、0.1〜20g/L、好ましくは1〜10g/L、さらに好ましくは3〜7g/Lの範囲とすることが、発酵生産性を高める観点から好ましい。また、上記カルシウム塩類の濃度を、0.1〜20g/L、好ましくは0.5〜10g/L、さらに好ましくは1〜6g/L、最も好ましくは2〜6g/Lの範囲とすることが、発酵生産性を高める観点から好ましい。
以下、上記のようなマンニトールの製造に用いる培地を、「マンニトール製造培地」と言う。
無機塩類は、ミネラル分として、リン酸塩類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類(例えば塩化カルシウム)、マンガン塩類、鉄分、亜鉛分などのいずれかを単独、または混合して使用してもよい。さらに、各種のビタミン、消泡剤なども必要に応じて適宜選択添加することができ、その使用は常法の通りにすればよい。
本発明の方法においては、上記窒素源の濃度を、0.1〜20g/L、好ましくは1〜10g/L、さらに好ましくは3〜7g/Lの範囲とすることが、発酵生産性を高める観点から好ましい。また、上記カルシウム塩類の濃度を、0.1〜20g/L、好ましくは0.5〜10g/L、さらに好ましくは1〜6g/L、最も好ましくは2〜6g/Lの範囲とすることが、発酵生産性を高める観点から好ましい。
以下、上記のようなマンニトールの製造に用いる培地を、「マンニトール製造培地」と言う。
〈マンニトール製造の具体例〉
例えばD-グルコース10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/Lを含む寒天培地で生育させた菌体を、マンニトール製造培地に直接接種するか、別に前培養によって得られる種培養液を、マンニトール製造培地に接種することにより行う。この種培養液の調製は、例えば殺菌したグリセロール10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/Lを含む液体培地に、上記寒天培地上の菌体を1白金耳接種して25〜30℃で20〜30時間好気的に培養することにより行われる。マンニトールを製造するための培養(本培養)の培養温度は、20〜40℃で行われるが、好ましくは25〜34℃の範囲である。マンニトール製造培地のpHは通常3〜10、好ましくは5〜8で調整される。培養期間は使用するグリセロールの濃度により異なるため、3〜14日の範囲でグリセロール消費量に対する菌体増殖量とマンニトール生産量が定常状態に落ち着く最も効果的な時期に終了させることが望ましい。
例えばD-グルコース10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/Lを含む寒天培地で生育させた菌体を、マンニトール製造培地に直接接種するか、別に前培養によって得られる種培養液を、マンニトール製造培地に接種することにより行う。この種培養液の調製は、例えば殺菌したグリセロール10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/Lを含む液体培地に、上記寒天培地上の菌体を1白金耳接種して25〜30℃で20〜30時間好気的に培養することにより行われる。マンニトールを製造するための培養(本培養)の培養温度は、20〜40℃で行われるが、好ましくは25〜34℃の範囲である。マンニトール製造培地のpHは通常3〜10、好ましくは5〜8で調整される。培養期間は使用するグリセロールの濃度により異なるため、3〜14日の範囲でグリセロール消費量に対する菌体増殖量とマンニトール生産量が定常状態に落ち着く最も効果的な時期に終了させることが望ましい。
〈マンニトールの定量、回収、精製〉
培養液中のマンニトールの生成量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィーなどの周知の方法を用いて測定することができる。得られた培養液中からのマンニトールの単離、精製に関しては、ろ過、遠心分離、イオン交換または吸着クロマトグラフィー、溶媒抽出、結晶化などの通常用いられる操作を必要に応じて適宜組み合わせて行われる。例えば、遠心分離などにより培養液から菌体を除去し、次いでこの液を活性炭で処理して着色物質などを除き、さらにイオン交換樹脂により脱塩した後、濃縮したシロップから例えばエタノール、アセトンなどの有機溶媒の存在、非存在下で晶析することにより、純粋なマンニトールの結晶を得ることができる。
以下に、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、濃度(g/L)で示す場合には、全て培養液1Lに対する物質の純分の濃度を意味する。また、以下に特に記載しない場合において、培養は好気的条件下で行った。
培養液中のマンニトールの生成量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やガスクロマトグラフィーなどの周知の方法を用いて測定することができる。得られた培養液中からのマンニトールの単離、精製に関しては、ろ過、遠心分離、イオン交換または吸着クロマトグラフィー、溶媒抽出、結晶化などの通常用いられる操作を必要に応じて適宜組み合わせて行われる。例えば、遠心分離などにより培養液から菌体を除去し、次いでこの液を活性炭で処理して着色物質などを除き、さらにイオン交換樹脂により脱塩した後、濃縮したシロップから例えばエタノール、アセトンなどの有機溶媒の存在、非存在下で晶析することにより、純粋なマンニトールの結晶を得ることができる。
以下に、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、濃度(g/L)で示す場合には、全て培養液1Lに対する物質の純分の濃度を意味する。また、以下に特に記載しない場合において、培養は好気的条件下で行った。
(実施例1)
(廃グリセロールからのマンニトール発酵生産)
グリセロールからマンニトールを生産する微生物として、キャンディダ・アジマNBRC10406株を使用した。
(廃グリセロールからのマンニトール発酵生産)
グリセロールからマンニトールを生産する微生物として、キャンディダ・アジマNBRC10406株を使用した。
上記の菌株を、D-グルコース10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/L、寒天20 g/Lを含む寒天培地で培養し、菌体1白金耳を種培養培地(グリセロール10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/L、121℃で20分間滅菌)5 mLを含む試験管に接種し、28℃、150 rpmで24時間振とう培養し、これを種培養液とした。
この種培養液1 mLを、マンニトール製造培地(活性炭処理済み廃グリセロール250 g/L、酵母エキス6 g/L、リン酸二水素カリウム1 g/L、pH6.5、121℃で20分間滅菌)30 mLを含む300 mL容三角フラスコに接種し、28℃、250 rpmで7日間振とう培養した。なお、ここで用いた活性炭処理済み廃グリセロールとは、植物油脂のエステル交換反応で副生成する廃グリセロール液(ライオン株式会社製 廃グリセロール:グリセロール分85質量%)を2倍に希釈し、これに活性炭(和光純薬工業製、顆粒状)を40質量%(対廃グリセロール)加えて、室温で1時間撹拌し、ろ過によって活性炭を除去したろ液のことである。以下、特に記載がない場合、「活性炭処理済みグリセロール」と記載する場合には、前記処理を行ったグリセロールを意味するものとする。なお、活性炭処理の前後において、グリセロールの濃度に変化は無かった。
培養液中に生成したマンニトール濃度の測定は、一部採取した培養液から遠心分離により菌体を除去した後、その上清を適宜希釈し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することにより測定した。HPLC分析はShodex Sugar SC1011をカラムに用い、カラム温度80℃、移動相に純水を用い、流速1.0 mL/分の条件で測定した。検出器は、示差屈折率(RI)検出器を使用した。例として、キャンディダ・アジマNBRC10406株の培養液上清のHPLCチャートを図1に示す。これを見ると、培地成分、炭素源であるグリセロール以外には、マンニトールのピークのみが検出されており、選択的にマンニトールのみを生産していることが示された。なお、マンニトールの生成量は、マンニトール標準品(和光純薬工業製、商品名D-(-)-マンニトール)を使用して作成した検量線を基にして算出した。
(実施例2〜6)
グリセロールからマンニトールを生産する微生物として、スポリジオボラス・パラロセウスNBRC0376株(実施例2)、ハンセヌラ・アノマラNBRC10213株(実施例3)、キャンディダ・マグノリアNBRC0705株(実施例4)、トルロプシス・ボンビコーラNBRC10243株(実施例5)、キャンディダ属酵母 (Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)(実施例6)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。
(実施例2〜6)
グリセロールからマンニトールを生産する微生物として、スポリジオボラス・パラロセウスNBRC0376株(実施例2)、ハンセヌラ・アノマラNBRC10213株(実施例3)、キャンディダ・マグノリアNBRC0705株(実施例4)、トルロプシス・ボンビコーラNBRC10243株(実施例5)、キャンディダ属酵母 (Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)(実施例6)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。
(実施例7、8)
(純グリセロールを用いたキャンディダ・アジマNBRC10406株、及びキャンディダ属酵母 (Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)のマンニトール生産)
市販の純粋なグリセロール試薬(和光純薬工業製)を用い、キャンディダ・アジマNBRC10406株(実施例7)、及びキャンディダ属酵母(Candida sp.) 7-12(FERM P-21419)(実施例8)でのマンニトール生産性を調べた。培養、分析に関しては実施例1と同様に行った。
(純グリセロールを用いたキャンディダ・アジマNBRC10406株、及びキャンディダ属酵母 (Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)のマンニトール生産)
市販の純粋なグリセロール試薬(和光純薬工業製)を用い、キャンディダ・アジマNBRC10406株(実施例7)、及びキャンディダ属酵母(Candida sp.) 7-12(FERM P-21419)(実施例8)でのマンニトール生産性を調べた。培養、分析に関しては実施例1と同様に行った。
実施例において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表1にまとめて示す。用いたすべての菌株において、簡便な活性炭処理により廃グリセロールからマンニトールの生成が3.8〜31.8g/Lの範囲で確認された。キャンディダ・アジマNBRC10406は、廃グリセロールにおいても純グリセロールと同程度のマンニトール生成量を示した。以上より、本発明によれば非常に高い効率でグリセロールを利用し、選択的にマンニトールを発酵生産できる。
(実施例9)
(マンニトール生産におけるグリセロール濃度の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地中のグリセロール濃度が150〜350g/Lの場合のマンニトール生産性を調べた。市販の純粋なグリセロール試薬(和光純薬工業製)を炭素源として用い、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例9において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表3にまとめた。用いた全てのグリセロール濃度において、マンニトールの生成が18.3〜35.5 g/Lの範囲で確認され、特にグリセロール濃度250g/Lで培養を行った時にマンニトールの生産量は最大となった。
(マンニトール生産におけるグリセロール濃度の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地中のグリセロール濃度が150〜350g/Lの場合のマンニトール生産性を調べた。市販の純粋なグリセロール試薬(和光純薬工業製)を炭素源として用い、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例9において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表3にまとめた。用いた全てのグリセロール濃度において、マンニトールの生成が18.3〜35.5 g/Lの範囲で確認され、特にグリセロール濃度250g/Lで培養を行った時にマンニトールの生産量は最大となった。
(実施例10)
(マンニトール生産における窒素源の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、各種窒素源を用いたマンニトール製造培地でのマンニトール生産性を調べた。供試窒素源の濃度を5g/Lとし、微量元素等の栄養源を補うために酵母エキスを1g/Lとなるように添加した。それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例10において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表4にまとめた。用いた全ての窒素源濃度において、マンニトールの生成が5.3〜35.5 g/Lの範囲で確認され、特に酵母エキスを用いた時にマンニトールの生産量は最大となった。
(マンニトール生産における窒素源の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、各種窒素源を用いたマンニトール製造培地でのマンニトール生産性を調べた。供試窒素源の濃度を5g/Lとし、微量元素等の栄養源を補うために酵母エキスを1g/Lとなるように添加した。それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例10において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表4にまとめた。用いた全ての窒素源濃度において、マンニトールの生成が5.3〜35.5 g/Lの範囲で確認され、特に酵母エキスを用いた時にマンニトールの生産量は最大となった。
(実施例11)
(マンニトール生産における酵母エキス濃度の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地中に2〜8g/Lの濃度で酵母エキスを用いた場合の、マンニトール生産性を調べた。本培養培地中の酵母エキスの濃度以外は実施例1と同様に行った。
実施例11において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表5にまとめた。用いた全ての酵母エキス濃度において、マンニトールの生成が30.1〜38.2 g/Lの範囲で確認され、特に酵母エキス濃度を4〜8g/Lの範囲で用いた時に最もマンニトールを生産した。
(マンニトール生産における酵母エキス濃度の影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地中に2〜8g/Lの濃度で酵母エキスを用いた場合の、マンニトール生産性を調べた。本培養培地中の酵母エキスの濃度以外は実施例1と同様に行った。
実施例11において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表5にまとめた。用いた全ての酵母エキス濃度において、マンニトールの生成が30.1〜38.2 g/Lの範囲で確認され、特に酵母エキス濃度を4〜8g/Lの範囲で用いた時に最もマンニトールを生産した。
(実施例12)
(マンニトール生産におけるpHの影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、各pH条件下でのマンニトール生産性を調べた。マンニトール製造培地のpHを3〜9に調整し、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例12において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表6にまとめた。培養試験を行った全てのpHにおいて、マンニトールの生成が26.1〜37.7 g/Lの範囲で確認され、特にpH5〜7の範囲の時、効果的にマンニトールを生産した。
(マンニトール生産におけるpHの影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、各pH条件下でのマンニトール生産性を調べた。マンニトール製造培地のpHを3〜9に調整し、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例12において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表6にまとめた。培養試験を行った全てのpHにおいて、マンニトールの生成が26.1〜37.7 g/Lの範囲で確認され、特にpH5〜7の範囲の時、効果的にマンニトールを生産した。
(実施例13)
(発酵槽を使用した廃グリセロールからのマンニトール生産)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を、実施例1の種培養と同様の条件で培養し、これを種培養液1とした。この種培養液1 mLを、種培養培地2(D-グルコース10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/L、121℃で20分間滅菌)30 mLを含む300 mL容三角フラスコ2本にそれぞれ接種し、28℃、250 rpmで1日間振とう培養した。
(発酵槽を使用した廃グリセロールからのマンニトール生産)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を、実施例1の種培養と同様の条件で培養し、これを種培養液1とした。この種培養液1 mLを、種培養培地2(D-グルコース10 g/L、酵母エキス3 g/L、麦芽エキス3 g/L、ペプトン5 g/L、121℃で20分間滅菌)30 mLを含む300 mL容三角フラスコ2本にそれぞれ接種し、28℃、250 rpmで1日間振とう培養した。
この種培養2液の全量を、マンニトール製造培地(活性炭処理済み廃グリセロール250 g/L、酵母エキス6 g/L、リン酸二水素カリウム1 g/L、pH6.5、121℃で20分間滅菌)800 mLを含む2000 mL容発酵槽に接種し、28℃、800 rpm、通気量1 vvmで7日間培養した。培養液の分析に関しては実施例1と同様に行った。菌体増殖量及びマンニトール生産量を培養時間に沿って追跡したグラフを図3に示す。
培養7日目でのマンニトール生成量は36.2 g/Lを示した。
培養7日目でのマンニトール生成量は36.2 g/Lを示した。
(実施例14)
(キャンディダ・アジマNBRC10406株における発酵槽を使用したカルシウム添加条件での廃グリセロールからのマンニトール生産)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を、実施例13の種培養1、2と同様の条件で培養した。
この種培養2液の全量を、マンニトール製造培地(活性炭処理済み廃グリセロール250 g/L、酵母エキス6 g/L、リン酸二水素カリウム1 g/L、塩化カルシウム二水和物2g/L、pH6.5、121℃で20分間滅菌)800 mLを含む2000 mL容発酵槽に接種し、28℃、800 rpm、通気量1 vvmで7日間培養した。培養液の分析に関しては実施例1と同様に行った。それぞれの菌株について、菌体増殖量及びマンニトール生産量を培養時間に沿って追跡したグラフを図4に示す。
培養7日目でのマンニトール生成量は、50.8 g/Lを示した。
(キャンディダ・アジマNBRC10406株における発酵槽を使用したカルシウム添加条件での廃グリセロールからのマンニトール生産)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を、実施例13の種培養1、2と同様の条件で培養した。
この種培養2液の全量を、マンニトール製造培地(活性炭処理済み廃グリセロール250 g/L、酵母エキス6 g/L、リン酸二水素カリウム1 g/L、塩化カルシウム二水和物2g/L、pH6.5、121℃で20分間滅菌)800 mLを含む2000 mL容発酵槽に接種し、28℃、800 rpm、通気量1 vvmで7日間培養した。培養液の分析に関しては実施例1と同様に行った。それぞれの菌株について、菌体増殖量及びマンニトール生産量を培養時間に沿って追跡したグラフを図4に示す。
培養7日目でのマンニトール生成量は、50.8 g/Lを示した。
(実施例15)
(マンニトール生産におけるカルシウムの影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地におけるカルシウム存在下でのマンニトール生産性を調べた。マンニトール製造培地に塩化カルシウム二水和物を0〜8g/Lとなるように添加し、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例15において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表7にまとめた。用いたすべての塩化カルシウム濃度において、マンニトールの生成が35.5〜64.1 g/Lの範囲で確認され、特に4g/Lの塩化カルシウム二水和物を添加した時、最も効果的にマンニトールを生産した(64.1g/L)。これは、従来の報告(非特許文献2)で示された、トルロプシス・バーサチリスCBS1752を用いた純グリセロールからのマンニトール生成量(24.0 g/L)の2倍以上であり、極めて効率良くマンニトールが生産されることが確認された。以上より、本発明によれば安価な廃グリセロールを原料に用いて、高い収量でマンニトールを生産できる。
(マンニトール生産におけるカルシウムの影響)
キャンディダ・アジマNBRC10406株を用い、マンニトール製造培地におけるカルシウム存在下でのマンニトール生産性を調べた。マンニトール製造培地に塩化カルシウム二水和物を0〜8g/Lとなるように添加し、それ以外は実施例1と同様に行った。
実施例15において得られたマンニトールの生産量の分析結果を表7にまとめた。用いたすべての塩化カルシウム濃度において、マンニトールの生成が35.5〜64.1 g/Lの範囲で確認され、特に4g/Lの塩化カルシウム二水和物を添加した時、最も効果的にマンニトールを生産した(64.1g/L)。これは、従来の報告(非特許文献2)で示された、トルロプシス・バーサチリスCBS1752を用いた純グリセロールからのマンニトール生成量(24.0 g/L)の2倍以上であり、極めて効率良くマンニトールが生産されることが確認された。以上より、本発明によれば安価な廃グリセロールを原料に用いて、高い収量でマンニトールを生産できる。
Claims (4)
- グリセロールを炭素源とした液体培地において、キャンディダ・アジマ(Candida azyma)、キャンディダ・マグノリア(Candida magnoliae)、スポリジオボラス・パラロセウス(Sporidiobolus pararoseus)、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)、ハンセヌラ・アノマラ(Hansenula anomala)又はトルロプシス・ボンビコーラ(Torulopsis bombicola)から選択される少なくとも1種の微生物を培養する、マンニトールの製造方法。
- 微生物が、キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)である、請求項1に記載のマンニトールの製造方法。
- グリセロールが、植物油の分解又はエステル交換の副生成物である、請求項1又は2に記載のマンニトールの製造方法
- 微生物キャンディダ属酵母(Candida sp.)7-12G(FERM P-21419)。
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---|---|---|---|
JP2007329801A JP2009148212A (ja) | 2007-12-21 | 2007-12-21 | マンニトールの発酵製造方法及びその実施に用いる微生物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119321A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Kao Corp | 糖アルコールの製造方法 |
JP2011244789A (ja) * | 2010-05-31 | 2011-12-08 | Tohoku Univ | 海藻からエタノールを生産する方法 |
-
2007
- 2007-12-21 JP JP2007329801A patent/JP2009148212A/ja active Pending
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