JP2009082262A - ジャー炊飯器 - Google Patents

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Abstract

【課題】
電磁誘導加熱式のジャー炊飯器において、誘導加熱の発熱効率を高め、電磁誘導加熱性能の向上を図る内釜を提供する。
【解決手段】
本体1と、該本体1の内壁を構成する保護枠3と、該保護枠3内に着脱自在に収納される内釜4と、前記保護枠3の外側に配置され内釜4を誘導加熱する底面加熱コイル5と、前記本体1及び内釜4の上面開口部を塞ぐ外蓋2とを備えたジャー炊飯器において、前記内釜4を鉄板又は、外側が鉄板8の多層構造材で構成し、さらにその外側に鉄9を溶射した。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁誘導加熱により内釜を発熱させて炊飯を行うジャー炊飯器に関するものである。
電磁誘導加熱式のジャー炊飯器は、内釜の素材として、鉄などの磁性金属を用いたものや、外側に誘導加熱コイルにより誘導加熱される磁性材料を用い、内側には誘導加熱により発熱した磁性材料からの熱が内釜内部の米に均一に伝えられるように熱伝導性の良い材料を用いた多層構造の材料を用いることが一般的であり、それらの素材として、特許文献1に示すように、外側をステンレス板、内側をアルミニウム板としたクラッド材を内鍋形状に絞り加工したものが多く用いられている。
また、特許文献2に示すように、内鍋形状をなす受型の底面に磁性金属材料である皿状のステンレス板等を敷き、その上に非磁性金属材料である溶融アルミニウムを注入し、その上から押型により高圧で加圧して内鍋を成形したものもある。
さらに、誘導加熱の高効率化図るために、特許文献3に示すようにアルミニウム板を絞り加工した内釜の外側底面部に電磁誘導加熱効率の最も良い鉄を溶射し、さらに、鉄溶射面の錆びを防止するために、鉄溶射面を覆うようにセラミックを溶射したものもある。
特開平5−199934号公報 特開平8−24123号公報 特開2000−116506号公報
上記した電磁誘導加熱式のジャー炊飯器においては、内釜の発熱部に発熱効率の最も良い鉄を用いるのが理想であるが、内釜は常に水周りで使用されるため、防錆上の課題があり、上記したように、特許文献1,2,3等に示すように内側に非磁性材料を用い、外側に磁性材料を用いた多層構造の材料を用いている。
それらの中で、現在主流となっている特許文献1に示すものは、外側をステンレス板、内側をアルミニウム板としたクラッド材を用いて内鍋形状に絞り加工するだけであるため、内釜の加工費が安いという利点はあるが、磁性体であるステンレス板の発熱効率が77%程度と、強磁性体である鉄の80%程度に比べて低いという欠点がある。また、材料としてステンレス板を使っているため、絞り加工をする場合の加工性が悪いという欠点もある。
また、特許文献2に示すものは、実際に製造するに当たっては、磁性金属材料が高圧溶融鍛造に耐える強度が必要であるため、強い磁性体である鉄が使用できず、ステンレス板に限定されてしまい、このため上記特許文献1と同様発熱効率が悪いという欠点がある。
また、内鍋の形状によっては、皿状のステンレス板がアルミニウム材から剥がれる心配があり、さらに高圧溶融鍛造であるため、生産コストが多大で安価に消費者に提供できないという欠点がある。
さらに、特許文献3に示すものは、アルミニウムに鉄を溶射し、発熱効率が高い内釜に出来るものの、溶射範囲は底部に限定される問題があった。鉄の溶射範囲を内釜上端近傍にまで広げると、アルミニウムと鉄の熱膨張,収縮の差と溶射の密着強度により急激に加熱,冷却をした際に鉄がアルミニウムから剥がれてしまう問題があるためである。
また、近年は、米の均一加熱性を高めるため内釜の側面上部にも誘導加熱コイルを設けるものがあるが、前述したように内釜の側面まで鉄溶射をすることができず、アルミニウムは電磁誘導加熱が出来ないため、鉄溶射の内釜を使い側面上部に誘導加熱コイルを設ける組み合わせの構成は実現できない問題があった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1では、本体と、該本体の内壁を構成する保護枠と、該保護枠内に着脱自在に収納される内釜と、前記保護枠の外側に配置され内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記本体及び内釜の上面開口部を塞ぐ外蓋とを備えたジャー炊飯器において、前記内釜の少なくとも外側を鉄材で構成し、さらに前記鉄材の外側に鉄を溶射したものである。
請求項2では、鉄の溶射は内釜の底面から上端又は上端近傍までの構成としたものである。
請求項3では、鉄の溶射は内釜の底面近傍のみで構成したものである。
本発明の請求項1によれば、内釜の少なくとも外側を鉄材とし、さらに前記鉄材の外側に鉄を溶射することで、強磁性体である鉄で誘導加熱の発熱効率が高いものになるとともに、鉄材に比べても鉄の溶射部は鉄の薄膜が積み重なる組成構造となり、薄膜で電気抵抗が高いため誘導加熱の発熱効率がより高いものとなり、電磁誘導加熱性能の向上が図れるものである。
しかも、外側を鉄板とすることにより絞り加工性も良くすることができる。
請求項2によれば、内釜上端または上端近傍まで鉄を溶射しているので、内釜の側面上部に誘導加熱コイルを設けた構成としたものにおいても、高効率で発熱し均一加熱性をより高めることができる。
また、底部の鉄溶射からの連続性により継ぎ目や段差を無くして清掃性を向上でき、側面に溶射された鉄の比熱により蓄熱性が高まり、炊飯中に蓄えた熱で蒸らし中も高温を維持でき省エネ効果につながる。
請求項3によれば、底面近傍のみに鉄を溶射したものにおいても、底部は鉄で効率よく誘導加熱させ、側面部も鉄材によって効率よく誘導加熱することができるので、側面加熱も十分にできるとともに内釜の重量増加を抑えて低コストにすることができる。
以下本発明の一実施例を図1により説明する。
図1において、ジャー炊飯器の本体1の内側には上面が開口した保護枠3が設けられ、その保護枠3内には内釜4が着脱自在に収納されている。
本体1の上面には、外蓋2が開閉自在に取り付けられ、本体1と内釜4の上面開口部を塞いでいる。
前記保護枠3の外側底面部と外側側面部には、内釜4の底面部を誘導加熱する底面加熱コイル5と側面部を誘導加熱する側面加熱コイル6が設けられている。
前記内釜4は、鉄の鍛造品あるいは鋳造品、鉄板を絞り加工したもの、または外側を鉄板とした多層構造材を絞り加工したものとするのが良い。
本実施例では多層構造材とした場合を説明する。内釜4は、厚さ1.8mmのアルミニウム板7と、厚さ0.5mmの鉄板8をクラッドし、そのクラッド材を前記アルミニウム板7が内釜4の内側に位置し、鉄板8が外側に位置するように内釜形状に絞り加工し、その後、鉄板8のさらに外側に鉄9を溶射したものである。
ここで、鉄9の溶射は、鉄を約2000℃の比較的低い温度の放電で溶かし、ガス噴射を300〜400km/hの比較的低速状態とし、かつガスは圧縮空気とし、鉄板8の溶射する面に対してほぼ垂直方向から空気中を飛ばすことにより、鉄の粒子が低温で粒子が大きく、鉄板8まで飛んでいる間に圧縮空気で表面が酸化鉄に変化するようにしている。そして鉄板8に到達すると、運動エネルギーで扁平に変形しながら鉄板8に密着する。
さらに次々と積層して数十層から数百層(実施例では20〜300層程度になる)になるので、酸化していない鉄層13と酸化鉄層14が交互に折り重なり、また鉄粒子径が大きく温度が低く、速度も遅いので鉄粒子同士は完全には一体化せず部分的に隙間すなわち空気層15が構成される。この空気層15は鉄層13と酸化鉄層14で密閉されるので、密閉時は高温の空気であるが常温に冷却後は真空状態となるものである。このように、鉄9の溶射部は薄膜が積み重なる組成構造としている。
本実施例での鉄9の溶射は内釜4の上端近傍までとし、厚さを0.3〜0.7ミリで構成している。これは内釜4が重くなりすぎず、電磁誘導加熱の効率向上が成し得る厚さである。さらに鉄9の外側には、アルミ又はアルミシリコンの保護層10を鉄9を覆うように0.1ミリ程度の厚さで溶射し、鉄9の防錆としている。このアルミ又はアルミシリコンの保護層10の厚さは、鉄9の電磁誘導加熱を妨げず、防錆性能を確保できる厚さである。
さらに内釜4には、外観と利便性の向上を目的として内面のアルミニウム板7の表面にはフッ素樹脂塗装11を、外側のアルミ又はアルミシリコンの保護層10溶射部の表面には防錆耐熱塗装12を施している。
上記構成からなる本実施例の作用について説明する。
図1において、まず、使用者が内釜4内に適量の米と水を入れ、本体1内に収納して外蓋2を閉じる。
次に、操作手段(図示せず)を操作して炊飯を開始すると、底面加熱コイル5及び側面加熱コイル6に電流が流れ、交番磁界が発生して該加熱コイル5,6と対面した鉄9に渦電流が流れ、その渦電流によるジュール熱で電磁誘導加熱が起こる。そして、鉄9が発生した熱は鉄板8と熱伝導の良いアルミニウム板7を介して内釜4内部の米と水に伝えられ炊飯が行われる。
やがて、米が水を吸って内釜4内の水がなくなると、内釜4の底部の温度が急上昇し、それを温度検知手段(図示せず)が検知して底面加熱コイル5及び側面加熱コイル6への通電を停止し、加熱が終了する。その後、一定時間蒸らしを行って炊飯が終了する。
そして、上記炊飯器において、本発明では、内釜4の外側を鉄板8とし、さらにその外側に鉄9を溶射した構成とすることにより鉄板8だけで構成するものに比べて、鉄9の溶射部は数μmから数十μmの薄さで鉄層が存在している積み重ねられた組成構造となっているため、通常の鉄鋼材よりも薄膜で電気抵抗が高く、強く発熱する。これにより通常の鉄鋼材での80%程度の発熱効率に比較して高い(85%程度)発熱効率を実現し、同じ電力の投入で高い火力で美味に炊飯でき、かつ省エネルギー効果が得られるものである。
また、内釜4にステンレス板よりも絞り加工性の良い鉄板8を用いたことにより、内釜形状に絞り加工するときの加工性を良くすることができるものである。
また、内釜4の底面部を誘導加熱する底面加熱コイル5と側面部を誘導加熱する側面加熱コイル6の両方に対しても対応でき、米の均一加熱性の向上が図れるものである。
また、鉄9の溶射により蓄熱性が高まり、保温時の放熱量も少なく、省エネ効果にもつながるものである。
さらに、鉄9を熱膨張・収縮が同等である鉄板8に溶射することにより、鉄9を内釜4上端又は上端近傍まで設ける構成にしても、冷熱収縮差がなく、剥がれの心配なく側面上部に側面加熱コイル6を設けた構成が実現し得るものである。
また、底部にのみ底面加熱コイル5がある構成においても、内釜4の上端または上端近傍まで鉄9を溶射する内釜4と組み合わせても良い。この場合は側面上部に誘導加熱コイルがないので、側面上部の鉄板8及び鉄9は加熱効率の向上に寄与しないがステンレスに比べて鉄は熱伝導が良いので均一加熱性を向上でき、内釜4の外面は底部の鉄溶射からの連続性により継ぎ目や段差を無くして清掃性を向上でき、また側面に溶射された鉄9の比熱により蓄熱性が高まり炊飯中に蓄えた熱で、蒸らし中も高温を維持できるものである。
なお内釜4を、鉄の鍛造品あるいは鋳造品,鉄板を絞り加工したものによって構成した場合でも、これらの鉄材の外側に鉄9を溶射することによって同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の他の実施例を図2により説明する。このものは、鉄9の溶射を内釜4上端近傍まででなく、鉄9の溶射部を内釜4の底面近傍のみとしている。
これにより、底面加熱コイル5に対しては鉄9の高効率の誘導加熱効果が得られ、側面加熱コイル6に対しては鉄9が対向していないが鉄板8が対向しているため、側面加熱コイル6に対しても発熱効率の良い誘導加熱を成し得ることができ、側面加熱も十分にでき均一加熱性を向上することができるとともに、内釜4の重量増加を抑えて低コストにすることができる。
なお、本実施例ではアルミニウム板7,鉄板8,鉄9,アルミ又はアルミシリコンの保護層10の厚さについて一例をあげたが、これらの厚さに限定されるものではない。
また、多層構造材にする場合、鉄板としてアルミメッキ鋼板のように表面処理した鋼板を用いても良いものである。
本発明の一実施例を示すジャー炊飯器の縦断面図である。 本発明の他の実施例を示すジャー炊飯器の縦断面図である。
符号の説明
1 本体
2 外蓋
3 保護枠
4 内釜
5 底面加熱コイル
6 側面加熱コイル
7 アルミニウム板
8 鉄板
9 鉄
10 保護層
11 フッ素樹脂塗装
12 防錆耐熱塗装

Claims (3)

  1. 本体と、該本体の内壁を構成する保護枠と、該保護枠内に着脱自在に収納される内釜と、前記保護枠の外側に配置され内釜を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記本体及び内釜の上面開口部を塞ぐ外蓋とを備えたジャー炊飯器において、前記内釜の少なくとも外側を鉄材で構成し、さらに前記鉄材の外側に鉄を溶射したことを特徴とするジャー炊飯器。
  2. 前記鉄の溶射は、内釜の底面から上端又は上端近傍までとしたことを特徴とする請求項1記載のジャー炊飯器。
  3. 前記鉄の溶射は内釜の底面近傍のみとしたことを特徴とする請求項1記載のジャー炊飯器。
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