JP2009068649A - スピンドル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用中の発熱による悪影響を抑制することが可能なスピンドル装置を提供する。
【解決手段】スピンドル装置は、主軸1と、軸受スリーブ3、4と、冷却スリーブ15と、ハウジング2とを備える。軸受スリーブ3、4は主軸1の側面の一部に対向するように配置され、主軸1の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための給気孔3b、3c、4cが形成されている。冷却スリーブ15は、主軸1の側面において軸受スリーブ3、4と対向する領域以外の領域の少なくとも一部に対向するように配置される。ハウジング2は開口部を有し、当該開口部の内部に軸受スリーブ3、4、冷却スリーブ15および主軸1を保持する。多孔質材料からなる冷却スリーブ15には主軸1の側面に向けて冷却用気体を供給する冷却用気体供給孔として、内周側表面に複数の孔が形成される。主軸1において冷却スリーブ15と対向する側面には、冷却溝部1bが形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】スピンドル装置は、主軸1と、軸受スリーブ3、4と、冷却スリーブ15と、ハウジング2とを備える。軸受スリーブ3、4は主軸1の側面の一部に対向するように配置され、主軸1の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための給気孔3b、3c、4cが形成されている。冷却スリーブ15は、主軸1の側面において軸受スリーブ3、4と対向する領域以外の領域の少なくとも一部に対向するように配置される。ハウジング2は開口部を有し、当該開口部の内部に軸受スリーブ3、4、冷却スリーブ15および主軸1を保持する。多孔質材料からなる冷却スリーブ15には主軸1の側面に向けて冷却用気体を供給する冷却用気体供給孔として、内周側表面に複数の孔が形成される。主軸1において冷却スリーブ15と対向する側面には、冷却溝部1bが形成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、スピンドル装置に関し、より特定的には、軸受として静圧気体軸受を用いたスピンドル装置に関する。
静圧気体軸受は主軸を軸受面に対して非接触状態で支持するため、その回転精度が高い。このため、この静圧気体軸受は、精密加工機や精密検査装置のワークスピンドル装置または工具スピンドル装置などに使用される。このような静圧気体軸受及びこれを用いたスピンドル装置の例は、たとえば特許文献1に開示されている。
従来のスピンドル装置を、図9を参照しながら説明する。図9は、従来のスピンドル装置を示す断面模式図である。このスピンドル装置における静圧気体軸受では、ハウジング103に軸受スリーブ104、105、106を適宜の手段で固定している。そして、主軸101を、二つの軸受スリーブ104、105により形成されたジャーナル軸受部107、108において、微小な軸受隙間を介して非接触状態で径方向に支持する。さらに、主軸101に一体に設けたスラスト板102を、その両面から二つの軸受スリーブ105、106で挟み込むことにより形成された一対のスラスト軸受部109、110で、微小な軸受隙間を介して非接触状態で軸方向に支持する。
この静圧気体軸受を備えるスピンドル装置では、主軸101と同軸的に駆動源122が設けられる。この駆動源122は、主軸101にモータロータ111が一体に取付けられ、モータステータ112との間に作用する電磁力により発生する駆動力によって主軸101を回転させるものである。ジャーナル軸受部107、108を構成する軸受スリーブ104、105には、主軸101と対向する軸受面に開口する複数個の微細な給気孔113が形成されている。複数個の給気孔113は、円周方向において等間隔に、軸方向二列の給気列123となるように配置されている。また、主軸101の外径面には、軸受スリーブ104、105に形成された二列の給気列123と対向する位置に円周溝118が設けられている。
スラスト軸受部109、110を構成する軸受スリーブ105、106には、スラスト板102と対向する軸受面に開口する複数個の微細な給気孔14が形成されている。複数個の給気孔14は、円周方向等間隔に配置され、円周上一列の給気列124を構成している。
この静圧気体軸受では、軸受給気口115から圧縮気体を供給する。供給された圧縮気体は、ハウジング103に設けられた給気路116を経由して給気列123、124の給気孔113、114からジャーナル軸受部107、108およびスラスト軸受部109、110の軸受隙間に流入する。この結果、軸受隙間内の圧縮気体の圧力によって主軸101の自重や外部負荷と釣り合う軸受反力を生じる。このジャーナル軸受部107、108およびスラスト軸受部109、110により、主軸101を非接触状態で支持しながら回転駆動させることによって、高精度の回転運動を実現している。なお、ジャーナル軸受部107、108およびスラスト軸受部109、110から流出する気体は、軸受端部から直接、または排気路117を通ってハウジング103の外部に排出される。
軸受スリーブ104と105の間には、シールスリーブ119が配設されている。このシールスリーブ119には、内径面と外径面間で貫通する排気孔125、および当該排気孔125と連通する円周溝126が内径面と外径面にそれぞれ形成されている。この排気孔125および円周溝126を介して、主軸101に設けた排気路121とハウジング103に設けた排気路120とが連通している。シールスリーブ119の内径面に形成された円周溝126の両側は、ジャーナル軸受部107、108の軸受隙間と同等の微小なシール隙間を介して主軸101の外径面と対向し、非接触シール構造を構成する。
ただしこの排気路121、120等は常に形成されるとは限らず、主軸101の端部に取付けられるワーク取付板においてワークを固定するために上記排気路121、120を経由して真空吸引する場合等に形成される。
特開2003−301841号公報
上記のように従来のスピンドル装置は、高精度の精密加工機や精密検査装置のワークスピンドル装置等に使用されている。そして、使用中の発熱によって本スピンドル装置の主軸101が伸びると、軸端に取付けたワークの位置が変化するため加工や測定精度に悪影響を及ぼす場合がある。また使用中に発生した熱が、主軸101を経由し非加工物又は測定物(以下ワークと呼ぶ)に伝わり悪影響を及ぼす場合もある。このため、主軸101の回転中は出来る限り当該軸の温度上昇がなく、軸端位置も変化しない事が望まれる。
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、使用中の発熱による悪影響を抑制することが可能なスピンドル装置を提供することである。
この発明に従ったスピンドル装置は、主軸と、軸受スリーブと、冷却スリーブと、ハウジングとを備える。軸受スリーブは、主軸の側面の一部に対向するように配置され、主軸の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための気体供給孔が形成されている。冷却スリーブは、主軸の側面において軸受スリーブと対向する領域以外の領域の少なくとも一部に対向するように配置される。ハウジングは、開口部を有し、当該開口部の内部に軸受スリーブ、冷却スリーブおよび主軸を保持する。冷却スリーブには主軸の側面に向けて冷却用気体を供給する冷却用気体供給孔が形成される。主軸において冷却スリーブと対向する側面には、凹凸形状部が形成されている。
このようにすれば、冷却スリーブから供給される冷却用気体によって主軸を冷却することができる。このため、スピンドル装置において使用中の発熱により主軸が伸びることで加工または測定精度が悪化する、あるいは主軸を介して非加工物または測定物に熱が伝わって悪影響を及ぼすことを防止できる。
本発明によれば、冷却スリーブから主軸に対して冷却用気体を供給して当該主軸を冷却できるので、使用中におけるスピンドル装置の温度上昇を抑制することができる。この結果、使用中の発熱に起因する悪影響を抑制できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図1および図2を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態1を説明する。
図1は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図1および図2を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態1を説明する。
図1および図2を参照して、本発明によるスピンドル装置は、静圧気体軸受を用いたスピンドル装置であって、ハウジング2と軸受スリーブ3と主軸1とを備えている。ハウジング2は開口部を有する。ハウジング2の開口部には軸受スリーブ3、4が固定されている。そして、この軸受スリーブ3、4の中央部に形成された断面形状が円形状の開口部に主軸1が配置されている。主軸1には、フランジ状に外周側へと突出した、平面形状が円形状のスラスト板1aが一体に形成されている。このスラスト板1aの表面および主軸1の側面を囲むように、軸受スリーブ3、4が配置されている。
軸受スリーブ3、4には、主軸1の側面もしくはスラスト板1aの表面と対向する領域に圧縮空気などの気体を供給するための給気孔3b、3c、4cが形成されている。この給気孔3b、3c、4cには、ハウジング2に形成された給気路2aおよび軸受スリーブ3、4に形成された給気路21を介して気体が供給される。また、軸受スリーブ3の主軸1と対向する内周面には、排気用円周溝3dが形成されている。この排気用円周溝3dには、軸受スリーブ3の内部に形成された排気路5およびハウジング2に形成された排気路17が接続されている。
軸受給気口18から給気路2a、21を介して給気孔3b、3cから供給された空気は、軸受スリーブ3、4と主軸1およびスラスト板1aとの間に供給され、この主軸1とスラスト板1aと軸受スリーブ3、4との間に微小な軸受隙間を形成する。このように、主軸1の側面と軸受スリーブ3との間にはジャーナル軸受部11a、11bが形成されている。この結果、主軸1は、軸受スリーブ3、4に対して非接触の状態で回転可能になっている。
給気孔3b、3c、4cから供給された空気は、排気用円周溝3dや隙間19から排気路5、17を介してスピンドル装置の外部へと排出される。また、主軸1のスラスト板1aの表面と軸受スリーブ3、4との間の間隙にも、給気孔3c、4cから気体が供給されることにより微細な軸受空間が形成される。つまり、スラスト板1aの表面と軸受スリーブ3、4との間にはスラスト軸受部3a、4aが形成される。
次に、スラスト板1aから見てジャーナル軸受部11a、11bが形成された側と反対側における主軸1の端部には、駆動源が設けられている。具体的には、当該端部において主軸1にはモータロータ9aが一体に取付けられている。そして、このモータロータ9aと対向するようにモータステータ9bがハウジング2の内周側に固定されている。このモータロータ9aとモータステータ9bとにより駆動源が構成される。そして、モータロータ9aとモータステータ9bとの間に作用する電磁力によって、モータロータ9aは回転し、この駆動力によって主軸1は回転する。
主軸1においてモータロータ9aが設置された側と反対側の端部には、治具などを固定するための固定部8が設置されている。この固定部8においては、真空吸着などにより治具などを固定することができる。
上述したジャーナル軸受部11a、11bを構成する軸受スリーブ3には、主軸1と対向する内周面(軸受面)に複数の給気孔3bが形成されている。複数の給気孔3bは、主軸1の側面を囲む円周方向において等間隔に配置されている。また、ジャーナル軸受部11a、11bのそれぞれにおいては、主軸1の軸方向2列に給気孔3bが整列した給気列が構成されている。なお、主軸1の外周面には、軸受スリーブ3に形成された2列の上記給気列と対向する位置において、軸受剛性を高めるため円周溝(図示せず)が設けられていてもよい。
また、スラスト軸受部3a、4aを構成する軸受スリーブ3、4の部分には、上述のようにスラスト板1aと対向する内周面(軸受面)に数個の微細な給気孔3c、4cが円周方向において等間隔に配置されている。この給気孔3c、4cは、円周状に一列に並んだ給気列として設けられている。また、このスラスト軸受部3a、4aにおいても軸受剛性を上げるため、軸受スリーブ3、4に形成された給気列と対向する位置に、スラスト板1aの表面に円周溝を設けていてもよい。また、給気孔3c、4cからなる給気列を含む円周状に、軸受スリーブ3、4の表面に円周溝を設けるようにしてもよい。
図1に示したスピンドル装置においては、主軸1においてスラスト板1aが形成された側と反対側の端部において、主軸1の側面の一部と対向する位置に冷却スリーブ15が配置されている。この冷却スリーブ15には、その外周の一部に円周状の給気溝である冷却スリーブ外周溝14が形成されている。冷却スリーブ15は多孔質の材料からなる。この冷却スリーブ15は、図1からもわかるように軸受スリーブ3と隙間19を隔てた位置に配置される。また、冷却スリーブ15は、軸受スリーブ3と同様にハウジング2の内部に挿入設置されている。この冷却スリーブ15のスラスト板1a側の側面および当該スラスト板1a側の側面と反対側の側面は共に接着剤や他の樹脂等の材料で被覆されている。このような被覆層を設けることで、冷却スリーブ15の対向する上記側面から冷却用気体(空気)が漏れることを防止している。
冷却スリーブ15の冷却スリーブ外周溝14に繋がるように、ハウジング2には給気口2cに繋がる給気路13が形成されている。この給気口2cから上記給気路13を介して冷却スリーブ外周溝14には冷却用の空気が供給される。
また、主軸1の冷却スリーブ15と対向する位置には、円周状の溝が複数配置された冷却溝部1bが形成されている。この冷却溝部1bにおいては、複数の円周溝が形成されている。このような円周溝を形成することによって、冷却スリーブ15から噴出された冷却用気体(空気)と主軸1との接触面積を増やすことができる。
また、図2に示すように、冷却スリーブ15の内径側(主軸1と対向する内周側)には、冷却に用いた空気の排気を行なうため、円周方向に等間隔に配置されるように、複数(たとえば4つ)の排気溝15aが設けられている。排気溝15aは、主軸1の軸方向に沿った方向に延びるように形成される。
次に、上述したスピンドル装置の動作を簡単に説明する。上述したスピンドル装置では、軸受給気口18から圧縮気体を供給すると、当該圧縮気体はハウジング2に設けられた給気路2aおよび軸受スリーブ3、4に形成された給気路21を介して給気列の給気孔3b、3c、4cから、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aの軸受隙間に流入する。この軸受隙間内の圧縮気体の圧力によって、主軸1の自重や外部負荷に釣り合う軸受反力が生じる。このジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aによって、主軸1を非接触状態で支持しながら駆動源から発生した駆動力によって回転駆動させることができる。この結果、主軸1において高精度の回転運動を実現することができる。なお、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、3bから流出する気体は、軸受端部から直接、あるいは排気路17を通ってハウジング2の外部に排出される。
上述したスピンドルの使用時には、ハウジング2に設けた給気口2cから給気路13を介して冷却スリーブ15の冷却スリーブ外周溝14に冷却用の圧縮気体が給気される。そして、冷却スリーブ外周溝14から多孔質の冷却スリーブ15の内部を介して、主軸1の冷却溝部1bに向けて冷却用の圧縮気体が供給される。そして、冷却溝部1bにおいては当該冷却用の圧縮気体が表面に吹付けられることによって主軸1が冷却される。
この冷却に用いられた圧縮気体の大半は、主軸1の冷却溝部1bに形成された円周溝に沿って冷却スリーブ15の排気溝15a(図2参照)まで流れる。また、冷却に用いられた圧縮気体の一部は、冷却スリーブ15と、軸受スリーブ3との間の隙間19を通って、排気路17を介してハウジング2の外部へ排気される。また、冷却に用いられた圧縮気体の一部は、排気溝15aの上端およびハウジング2と主軸1との隙間20からハウジング2の外部に放出される。
上述したスピンドルでは、冷却溝部1bの周囲を取り囲む冷却スリーブ15を構成する材料として多孔質材を用いているので、冷却に用いる気体が冷却スリーブ15の内周側(主軸1の冷却溝部1bに対向する側の表面)の長手方向および円周方向において均一に主軸1に向けて噴出される。このため、スピンドル装置の回転精度に悪影響を及ぼすことなく、冷却溝部1bを効率的に冷却できる。また、要求される特性に応じて、主軸1の延在方向における冷却スリーブ15および冷却溝部1bの長さを調節すれば(たとえば長くすれば)、冷却効率を変更する(たとえばより高める)ことができる。さらに、主軸1に吹付けられる冷却用の気体として、外部から事前に温度を下げた(冷却した)圧縮気体(たとえば圧縮空気)を用いれば、より冷却効率を高めることができる。
上述したスピンドル装置においては、たとえばジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aへ気体を供給する給気路2aと冷却スリーブ外周溝14とを連通させてもよい。この場合、1ヶ所からの給気でジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aでの空気軸受を動作させることと同時に、冷却溝部1bにおいて主軸1を冷却する効果を奏することもできる。ただし、この場合冷却溝部1bに供給される気体の量が多くなると、スラスト軸受部3a、4aおよびジャーナル軸受部11a、11bに供給される気体の圧力が低下し、当該軸受部の剛性の低下を招くことになる。したがって、本発明によるスピンドル装置の使用される用途に応じて、必要とされる軸受部の剛性の範囲内で冷却スリーブ15の主軸1の軸方向の長さを決定することが好ましい。
また、冷却溝部1bおよび冷却スリーブ15から構成される冷却部は、非接触シールとしての機能も有している。すなわち、この冷却溝部1bと冷却スリーブ15とにより構成される冷却部に冷却用の気体が供給され、当該部分からハウジング2の外部へと気体が排気されるため、スラスト軸受部3a、4aおよびジャーナル軸受部11a、11bにスピンドルの外部から塵などの異物が侵入することを防止できる。
(実施の形態2)
図3は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図2を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態2を説明する。
図3は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図2を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態2を説明する。
図3を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態2は、基本的には図1および図2に示したスピンドル装置と同様の構造を備えるが、冷却スリーブ25の構造が異なっている。すなわち、図3に示したスピンドル装置においては、冷却スリーブ25を構成する材料としてカーボンまたは金属など中実体である材料を用いている。そして、冷却スリーブ外周溝14から内周表面(主軸1の冷却溝部1bに対向する側の表面)に繋がる複数の通気路25aが形成されている。この通気路25aを介して、冷却スリーブ外周溝14の内部から冷却溝部1bに対して冷却用の気体が吹付けられる。この通気路25aは、冷却スリーブ25の円周方向および長手方向において複数個配置されている。たとえば、円周方向において複数の通気路25aは等間隔で配置されていてもよい。このような構造によっても、図1および図2に示したスピンドル装置と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態3を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態3を説明する。
図4は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態3を示す断面模式図である。図4を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態3を説明する。
図4を参照して、スピンドル装置は基本的には図1および図2に示したスピンドルと同様の構造を備えるが、冷却スリーブ15における冷却スリーブ外周溝14に供給される冷却用の気体の供給方法が異なっている。具体的には、図4に示したスピンドル装置においては、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aからの排気を冷却用の気体として冷却スリーブ外周溝14に供給している。つまり、図4に示したスピンドル装置においては、軸受スリーブ3において排気用円周溝3dと繋がる排気路3eが、通気路3fを介して冷却スリーブ15に形成された通気路14eに繋がっている。この通気路14eは冷却スリーブ外周溝14に接続されている。また、このように通気路3fと通気路14eとを接続するため、冷却スリーブ15と軸受スリーブ3とは互いに対向する面が接触した状態になるように配置されている。
図4に示したスピンドル装置では、冷却スリーブ15の軸受スリーブ3に対向する側の側面が突出し、当該側面が軸受スリーブ3の表面に接触している。このようにすれば、冷却用の気体を供給するための供給通路をハウジング2において別途設けたり、当該冷却用の気体を供給するための供給部材などを別途設ける必要がなく、軸受に供給された気体を有効利用することができる。
なお、図4では冷却スリーブ15と軸受スリーブ3とは各々別体とした場合の構造を示しているが、上記冷却スリーブ15と軸受スリーブ3とは一体で形成されていてもよい。
(実施の形態4)
図5は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態4を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態4を説明する。
図5は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態4を示す断面模式図である。図5を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態4を説明する。
図5を参照して、スピンドル装置は基本的には図1および図2に示したスピンドル装置と同様の構造を備えるが、冷却スリーブ15の冷却スリーブ外周溝14に供給される冷却用の気体の供給経路が異なっている。すなわち、図5に示したスピンドルにおいては、図4に示したスピンドルと同様に排気用円周溝3dに繋がるように排気路3eが形成されている。この排気路3eに繋がるように、ハウジング2において通気路2bが形成されている。この通気路2bは冷却スリーブ外周溝14に接続されている。この結果、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aから排気された気体が排気路3eおよび通気路2bを介して冷却スリーブ外周溝14に供給される。そして、この冷却スリーブ外周溝14の内部から多孔質材料からなる冷却スリーブ15を介して気体が冷却溝部1bへと吹付けられる。この結果、図4に示したスピンドル装置と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態5)
図6は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態5を示す断面模式図である。図6を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態5を説明する。
図6は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態5を示す断面模式図である。図6を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態5を説明する。
図6を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態5は基本的には図1に示したスピンドル装置と同様の構造を備えるが、冷却溝部と冷却スリーブとにより構成される冷却部が複数箇所(3ヶ所)形成された構造となっている。すなわち、図6に示したスピンドル装置においては、図1などに示したスピンドル装置と同様に主軸1のスラスト板1aが配置された側と反対側の端部に冷却溝部1bと冷却スリーブ15とからなる冷却部が配置されている。さらに、図6に示したスピンドル装置においては、軸受スリーブ33a、33bの間に(すなわちジャーナル軸受部11aとジャーナル軸受部11bとの間に)、冷却スリーブ35と冷却溝部1cとからなる第2の冷却部が配置されている。この冷却溝部1cは、基本的には冷却溝部1bと同様の構造を備えており、主軸1の外周面に円周溝が複数個形成されている。また、冷却スリーブ35は冷却スリーブ15と同様の構造を備えている。
また、図6に示したスピンドル装置では、スラスト板1aとモータロータ9aとの間に、冷却スリーブ45と冷却溝部1dとからなる第3の冷却部が配置されている。この冷却スリーブ45も冷却スリーブ15と同様の構造を備えている。また、冷却溝部1dも、上述した冷却溝部1cと同様の構造を備えており、複数の円周溝が主軸1の外周側面に形成されている。
このように3ヶ所(複数箇所)に冷却部を配置することで、スピンドル装置の主軸1をより効果的に冷却することができる。なお、これらの冷却スリーブ15、35、45のそれぞれの冷却スリーブ外周溝14には、外部から給気口2cを介して冷却用の気体が供給される。これは、第1から第3の冷却部における合計の冷却用の気体の消費量が比較的多くなるため、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aに供給する気体を冷却用気体に流用した場合に当該軸受部の剛性が悪影響を受けることを防止するためである。
なお、図6に示したスピンドル装置において、3ヶ所に冷却部を配置したが、冷却部の数は図6に示したような3個に限られることなく、2つあるいは4個以上の複数箇所としてもよい。また、冷却部の配置についても、ジャーナル軸受部11a、11bの間やスラスト板1aとモータロータ9aとの間といった位置と異なる位置に配置してもよい。また、図6に示した3つの冷却部のうちの任意の2つの組合せ、あるいはこれらの3つの冷却部のうちの任意の1つを配置してもよい。
(実施の形態6)
図7は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態6を示す断面模式図である。図7を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態6を説明する。
図7は、本発明によるスピンドル装置の実施の形態6を示す断面模式図である。図7を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態6を説明する。
図7を参照して、スピンドル装置は基本的には図6に示したスピンドル装置と同様の構造を備えるが、冷却スリーブ15、35、45へ冷却用の気体を供給する供給方法が異なっている。具体的には、図7に示したスピンドル装置においては、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aから排気された気体を排気用円周溝3dや通気路3fを介して各冷却スリーブ15、35の冷却スリーブ外周溝14へと供給している。またさらに、ハウジング2において、上述した通気路3fに連通する通気路2dをさらに設け、当該通気路2dを介して冷却用の気体を冷却スリーブ45の冷却スリーブ外周溝14へと供給している。このようにすれば、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aへ十分な圧力の気体が供給されている場合に、これらの軸受部からの排気を冷却部における冷却用の気体として流用することができる。このため、冷却用の気体を別系統としてスピンドル装置に供給する必要がないため、スピンドル装置の装置構成を簡略化することができる。
図8は、図7に示した本発明によるスピンドル装置の実施の形態6の変形例を示す断面模式図である。図8を参照して、本発明によるスピンドル装置の実施の形態6の変形例を説明する。
図8を参照して、スピンドル装置は基本的には図7に示したスピンドル装置と同様の構造を備えるが、冷却スリーブ15、35の冷却スリーブ外周溝14へ冷却用の気体を供給する経路が異なっている。具体的には、ジャーナル軸受部11a、11bおよびスラスト軸受部3a、4aから排気された気体は、排気用円周溝3dおよび軸受スリーブ33a、33bに形成された通気路3fを介して、ハウジング2に形成された通気路2bを通り冷却スリーブ15、35、45のそれぞれの冷却スリーブ外周溝14へと供給されている。このようにしても、図7に示したスピンドルと同様の効果を得ることができる。
なお、上述した実施の形態3〜6においては、冷却スリーブ15、35、45として、図3に示した冷却スリーブ25と同じ構造のものを用いてもよい。
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
この発明に従ったスピンドル装置は、主軸1と、軸受スリーブ3、33a、33b、4と、冷却スリーブ15、25、35、45と、ハウジング2とを備える。軸受スリーブ3、33a、33b、4は、主軸1の側面の一部に対向するように配置され、主軸1の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための気体供給孔(給気孔3b、3c、4c)が形成されている。冷却スリーブ15、25、35、45は、主軸1の側面において軸受スリーブ3、33a、33b、4と対向する領域以外の領域の少なくとも一部に対向するように配置される。ハウジング2は、開口部を有し、当該開口部の内部に軸受スリーブ3、33a、33b、4、冷却スリーブ15、25、35、45および主軸1を保持する。冷却スリーブには主軸の側面に向けて冷却用気体を供給する冷却用気体供給孔(多孔質材料からなる冷却スリーブ15、35、45における内周側表面の複数の孔、および図3に示した冷却スリーブ25の通気路25の冷却溝部1b側の開口端部)が形成される。主軸1において冷却スリーブ15、25、35、45と対向する側面には、凹凸形状部(冷却溝部1b、1c、1d)が形成されている。
このようにすれば、冷却スリーブ15、25、35、45から供給される冷却用気体によって主軸1を冷却することができる。このため、スピンドル装置において使用中の発熱により主軸1が伸びることで加工または測定精度が悪化する、あるいは主軸1を介して非加工物または測定物に熱が伝わって悪影響を及ぼすことを防止できる。
上記スピンドル装置において、冷却スリーブ15、25、35、45には、主軸1の周囲を周回するように配置される円周状の給気溝(冷却スリーブ外周溝14)が形成されていてもよい。冷却スリーブ外周溝14は冷却スリーブ15、25、35、45の外周面に形成されていてもよいが、内部に形成されていてもよい。冷却用気体供給孔としての冷却スリーブ15、35、45の内周側表面の複数の孔、および図3に示した冷却スリーブ25の通気路25は給気溝に連通していてもよい。
この場合、冷却用気体を一度冷却スリーブ外周溝14に貯留し、一定の圧力で冷却スリーブ15、25、35、45の内周側表面から主軸1に向けて噴出することができる。このため、安定した条件で主軸1を冷却することができる。
上記スピンドル装置において、冷却スリーブ15、35、45は多孔質材料からなる。この場合、複数の孔が形成されている多孔質材料によって冷却スリーブ15、35、45を形成するので、当該複数の孔を冷却スリーブ15、35、45の冷却用気体供給孔として利用することができる。このため、冷却スリーブ15、35、45の製造工程において、冷却用気体供給孔を形成するための加工工程を別途行なう必要が無い。
上記スピンドル装置において、冷却溝部1b、1c、1dは、主軸1の側面における周方向の全周にわたって形成されていてもよい。冷却溝部1b、1c、1dに対向する冷却スリーブ15、25、35、45の表面に、主軸1の側面の周方向に添って複数の冷却用気体供給孔(多孔質材料からなる冷却スリーブ15、35、45における内周側表面の複数の孔、および図3に示した冷却スリーブ25の通気路25の冷却溝部1b側の開口端部)が形成されていてもよい。
この場合、主軸1の側面の周方向における全周にわたって、冷却用気体による冷却を行なうことができるので、主軸を効率的に冷却することができる。
上記スピンドル装置において、図4、図5、図7、図8に示すように、軸受スリーブ3、33a、33b、4と主軸1の側面との間の間隙から排出される気体を冷却スリーブ15、35、45の冷却スリーブ外周溝14に導入するための気体流路(通気路3f、2b、2d)が形成されていてもよい。
この場合、軸受スリーブ3、33a、33b、4と主軸1の側面(主軸1の側面およびスラスト板1aの表面)との間に、所定の間隙を形成して静圧気体軸受を形成するための気体を、冷却用気体として再利用することができる。このため、軸受スリーブ3、33a、33b、4の給気孔3b、3c、4cに供給するための気体を導入する系とは別に、冷却用気体を供給するための系を設ける必要が無いので、スピンドル装置全体の装置構成を簡略化できる。
上記スピンドル装置は、主軸1の側面から外側へ突出するスラスト板1aと、主軸1の端部に接続された、主軸1を回転させるための駆動部(モータステータ9bおよびモータロータ9a)とをさらに備えていてもよい。冷却スリーブ15、25、35、45は、モータロータ9aに接続された主軸1の端部とスラスト板1aから見て反対側に位置する主軸1の側面、またはスラスト板1aとモータロータ9aとの間に位置する主軸1の側面のいずれかと対向する位置に配置されていてもよい。この場合、冷却スリーブ15、25、35、45と軸受スリーブ3、33a、33b、4との配置を、スピンドル装置の装置構成に応じて適宜設定することができる。たとえば、主軸1においてスラスト板1aから見てモータロータ9aに接続された端部と反対側の領域に、スペース的な余裕があれば、当該領域に冷却スリーブ15、25、35を配置することができる。また、スラスト板1aとモータロータ9aとの間に位置する領域での発熱が特に問題になっているような場合、当該領域に冷却スリーブ45を配置することもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によるスピンドル装置は、軸受として静圧気体軸受を用いたスピンドル装置であって、精密加工機や精密検査装置のワークスピンドル装置または工具スピンドル装置などに使用されるものに有利に適用される。
1,101 主軸、1a,102 スラスト板、1b〜1d 冷却溝部、2,103 ハウジング、2c 給気口、2a,13,21,116 給気路、2b,2d,3f,5,14e,25,25a 通気路、3a,4a,109 スラスト軸受部、3d 排気用円周溝、3e,17,117,120,121 排気路、3b,3c,14,113 給気孔、3,33a,33b,4,104,105 軸受スリーブ、8 固定部、9b,112 モータステータ、9a,111 モータロータ、11a,11b,107 ジャーナル軸受部、14 冷却スリーブ外周溝、15,25,35,45 冷却スリーブ、15a 排気溝、18,115 軸受給気口、19,20 隙間、118,126 円周溝、119 シールスリーブ、122 駆動源、123,124 給気列、125 排気孔、126 円周溝。
Claims (6)
- 主軸と、
前記主軸の側面の一部に対向するように配置され、前記主軸の側面の一部との間の間隙に気体を供給するための気体供給孔が形成された軸受スリーブと、
前記主軸の側面において前記軸受スリーブと対向する領域以外の領域の少なくとも一部に対向するように配置された冷却スリーブと、
開口部を有し、前記開口部の内部に前記軸受スリーブ、前記冷却スリーブおよび前記主軸を保持するハウジングとを備え、
前記冷却スリーブには前記主軸の側面に向けて冷却用気体を供給する冷却用気体供給孔が形成され、
前記主軸において前記冷却スリーブと対向する側面には、凹凸形状部が形成されている、スピンドル装置。 - 前記冷却スリーブには、前記主軸の周囲を周回するように配置される円周状の給気溝が形成され、
前記冷却用気体供給孔は前記給気溝に連通している、請求項1に記載のスピンドル装置。 - 前記冷却スリーブは多孔質材料からなる、請求項1または2に記載のスピンドル装置。
- 前記凹凸形状部は、前記主軸の側面における周方向の全周にわたって形成され、
前記凹凸形状部に対向する前記冷却スリーブの表面に、前記主軸の側面の周方向に添って複数の前記冷却用気体供給孔が形成されている、請求項1または2に記載のスピンドル装置。 - 前記軸受スリーブと前記主軸の側面との間の前記間隙から排出される前記気体を前記冷却スリーブの前記給気溝に導入するための気体流路が形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のスピンドル装置。
- 前記主軸の側面から外側へ突出するスラスト板と、
前記主軸の端部に接続された、前記主軸を回転させるための駆動部とをさらに備え、
前記冷却スリーブは、前記駆動部に接続された前記主軸の端部と前記スラスト板から見て反対側に位置する前記主軸の側面、または前記スラスト板と前記駆動部との間に位置する前記主軸の側面のいずれかと対向する位置に配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスピンドル装置。
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