JP2009065755A - 振動型モータおよびそれを用いた振動型圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内周側及び外周側が異極に着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の主磁石と、この主磁石の軸方向両端部にそれぞれ同軸状に接合され、かつ、内周側及び外周側が前記主磁石とは逆極性で着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の補助磁石とを有する可動部、前記可動部の半径方向外側に一定の空隙部を介して、前記可動部に対向する二つの脚部を備え、前記可動部の円周方向に均等に配置された複数個の励磁ヨーク、前記複数個の励磁ヨークに個別に巻装され、前記脚部に磁束を発生させる励磁コイル、前記可動部の半径方向内側に、前記励磁ヨークと対向するように配置されている、円筒状のバックヨークを備える。
【選択図】 図1
Description
図5,図6は、可動磁石型モータの駆動原理を説明するための概略的な構成図であり、何れもほぼ円筒状のモータの中心軸Cに沿った断面図の一部を示している。
図5において、101は励磁ヨーク、102は励磁コイル、103はバックヨーク、104は励磁ヨーク101とバックヨーク103との間の空隙部に配置され、かつ内周側及び外周側が異極に着磁された円筒状の永久磁石からなる可動部、201は可動部104による磁束である。なお、可動部104を支持するケーシングは図示を省略してある。
多くの可動磁石型モータでは、図示する如く可動部104として単極着磁された単一の永久磁石が使用されており、この可動部104はピストン(図示せず)と一体的に連結されていると共に、可動部104の軸方向両端部は、励磁ヨーク101の脚幅内に収められている。
図5に示すように、可動部104の外周側をN極、内周側をS極とした場合、外周側から発生した磁束201は可動部104の外側を回って内周側に戻る。このため、可動部104の軸方向両端部では、上記の磁束201が、あたかも紙面垂直方向にそれぞれ逆向きに電流を流した場合に発生する磁束と等価になる。これを、永久磁石の等価電流IMと呼ぶ。
上記の推力Fは、簡易的に数式1によって算出することができる。
数式1において、通常のB・I・L則と異なって等価電流IMが2倍されているのは、本モデルでは可動部104の軸方向両端部の2箇所に等価電流IMが存在するためである。
一方、可動部104は、図示していない軸方向に適正なばね力を持つ機械ばね(例えば、コイルばねや板ばね)を設置している(特許文献2参照)。これは、機械振動の共振点で運転させることで、入力電力を抑えることができるからである。一般的には、スターリング冷凍機では、40〜80Hzの比較的低周波数で運転される。
また、図5,図6に示すように、励磁ヨーク101が励磁コイル102を覆うように配置するには、励磁ヨーク101を分割可能な構造とし、励磁ヨーク101と励磁コイル102を別個に製造した後に組み合わせて整合する必要がある。具体的には、励磁ヨーク101を、円筒周方向に分割された構造(特許文献2参照)や、円筒軸方向に脚部111,112が分割可能な構造とし、後に組み合わせて整合することが多い。
まず、磁束密度Bを増加させるには、空隙部のギャップ長を短くするか、励磁コイル102を流れる励磁電流を増加させる必要がある。しかし、前者の方法は、可動部104及びそれを支える部材が薄くなるため強度不足や加工コストの上昇を招き易く、後者の方法はジュール熱損失(I2R)が増大して性能の低下を招くという問題がある。
一方、等価電流IMを増加させるには、可動部104としての永久磁石の厚さを変えるほか、磁力がより大きい永久磁石を使うことが考えられるが、いずれもコストを上昇させる原因となる。
そこで、推力Fを大きくするための別の方法として、図7に示すような構造が考えられる。この可動磁石型モータは、円筒状の主磁石105の軸方向両端部に、主磁石105とは逆方向に着磁された円筒状の補助磁石106,107を同軸状かつ一体的に接合して可動部104Aを形成し、等価電流IMを仮想的に増加させたものである。
なお、図7の構造によると、非励磁状態において主磁石105と補助磁石106,107との接合部分において磁束が打ち消し合うことにより、図5,図6の構造に比べて可動部104Aの中立位置における保持力が強くなり、いわゆる自動中立位置決め(セルフセンタリング)が容易になるという利点もある。
図8は、特許文献1に記載された可動磁石型モータの構成図である。図8において、201はバックヨーク、202は励磁コイル、203は励磁ヨーク、204は可動部、205は主磁石、206,207は補助磁石、300はスターリングエンジン、301はケーシング、302はピストン、303はディスプレイサーである。また、210は可動部204の中立位置を示す。
図7に示した可動部104Aが主磁石105と補助磁石106,107を使用した場合には、励磁ヨーク101において、脚部111,112のみでほとんどの磁束がループするため、励磁コイル102の鎖交磁束がほとんど変化しない。しかし、略円筒状に巻かれた励磁コイル102を使用しているため、励磁コイル102の円筒軸に沿って永久磁石からなる可動部104Aが運動すると、励磁コイル102の鎖交磁束が変化する。
いずれの場合においても励磁コイル102の鎖交磁束が変化するために起電力が発生し、電気共振の設計をするに際してこの起電力を考慮しなければならず、設計を困難にさせていた。
また、励磁ヨーク101を分割可能な構造とし、励磁ヨーク101と励磁コイル102を組み合わせて整合することで、コスト的に高いものとなっていた。さらに、励磁コイル102を励磁ヨーク101が覆っているため、励磁コイル102の放熱環境が悪くモータ全体の効率を低下させるといった問題もあった。
そこで、本発明の解決課題は、補助磁石による推力増大効果を低減させることなく、設計パラメータを簡素化し、モータの効率を上げ、低コスト、高信頼性を実現する振動型モータおよびそれを用いた可動磁石型圧縮機を提供することにある。
内周側及び外周側が異極に着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の主磁石と、この主磁石の軸方向両端部にそれぞれ同軸状に接合され、かつ、内周側及び外周側が前記主磁石とは逆極性で着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の補助磁石とを有する可動部、
前期可動部の半径方向外側に一定の空隙部を介して、前記可動部に対向する二つの脚部を備え、前記可動部の円周方向に均等に配置された複数個の励磁ヨーク、
前記複数個の励磁ヨークに個別に巻装され、前記脚部に磁束を発生させる励磁コイル、
前記可動部の半径方向内側に、前記励磁ヨークと対向するように配置されている、円筒状のバックヨークを備え、
前記励磁コイルに交流電流を通流して前記可動部を軸方向に往復動させるようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した振動型モータにおいて、前記励磁ヨークが磁束方向に分割せず一体で構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載した振動型モータにおいて、前記励磁ヨークが電磁鋼板を積層し、カシメ接合していることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載した振動型モータを搭載した振動型圧縮機において、外部との気密を保持する圧力ケーシングを有し、前記圧力ケーシングの内部において、前記圧力ケーシングの内壁と前記励磁コイルが接触していることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4に記載した振動型モータを搭載した振動型圧縮機において、前記励磁コイルが、良熱伝導材料により一体となるようモールド成型され、前記圧力ケーシングの内部において、前記圧力ケーシングの内壁と前記モールド成型部が接触していることを特徴とする。
図1は本発明に係る振動型モータの実施態様の主要部を示す構成図であり、モータ中心軸Cに沿った断面図である。図2は図1に示したA−A切断面の切断図である。
図1または図2において、1は励磁ヨーク、2は励磁ヨーク1に個別に巻装された励磁コイル、3はバックヨーク、4は励磁ヨーク1とバックヨーク3との空隙部に配置された円筒状の永久磁石からなる可動部である。
可動部4は、外周側をN極、内周側をS極に着磁した円筒状の主磁石5の軸方向両端部に、主磁石5とは逆方向に着磁された円筒状の補助磁石6,7を同軸状かつ一体的に連結して構成されている。また、主磁石5及び補助磁石6,7は磁石ホルダ10に固定されている。なお、8,9は、主磁石5と補助磁石6,7との接合部である。
主磁石5及び補助磁石6,7には、例えばネオジウムやサマリウムといった希土類の永久磁石が用いられる。
励磁コイル2が個別に巻装された複数の励磁ヨーク1は、図2に示すように円筒状の可動部4の半径方向外側に、磁束を発生させる2つの脚部11,12の内径を基準に放射状に配置されている。
励磁ヨーク1は、鉄板や珪素鋼板などを複数、積層して形成する方が好ましい。振動型モータのように交番磁界が加わる場合には、磁束に垂直な方向を絶縁することにより、励磁ヨーク1に発生する渦電流を抑制し、性能の低下を防止できるからである。
なお、励磁ヨーク1を積層して形成する場合には、プレス加工等をした積層用の鋼板等をカシメ接合することが好ましい。積層用の鋼板等をカシメ接合してブロック化することで、そのまま励磁コイル2の巻線加工が可能となるからである。さらに、積層された鋼板等が励磁コイル2により固定されて広がらなくなるため、溶接等の後加工を無くすこともでき、コストダウンを図ることができるからである。
軸方向に沿った補助磁石6,7の長さは、モータストロークとして要求される最大変位時にも、可動部4の両端部(補助磁石6,7の各一端)が脚部11,12にあって可動部4に最も近い面にかからないような長さとなっている。これは、補助磁石6,7の長さが短い場合には、補助磁石6,7の外側端部に存在する等価電流(図8参照)による反力を発生させてしまい、推力の増大効果が小さくなってしまうためである。
この支持ばね13,14は、例えば円板にスパイラル形状のスリットを加工したものが複数枚積層されたフレクシャーベアリングなるものが、一般的によく使用されている。この種のばねは、径方向の剛性が大きく強固に支持できるが、軸方向の剛性は小さく自由に振動することができるからである。
これにより、励磁ヨーク1を固定し、複数の励磁コイル2に同位相の交流電流を流すことで、主磁石5および補助磁石6,7に推力が働き、可動部4が固定されている磁石ホルダ10が左右へ運動することとなる。
複数の励磁ヨーク1に励磁コイル2が個別に巻装され、円筒状の可動部4の半径方向外側に放射状に配置されたことにより、励磁コイル2の内部で永久磁石が運動することはなく、励磁コイル2には起電力がほとんど発生せず、動特性を考慮した設計が容易になる。
また、分割された励磁ヨーク1を個別の励磁コイル2により励磁することで、コイルのインダクタンス成分が並列に配置された回路になり、インダクタンス成分が低減されことで、力率を向上することができる。
このように構成することで、励磁コイル2の発熱を直に表面積の大きい圧力ケーシング22に熱伝導できるようになり、振動型モータ21の保護だけでなく、モータ効率も向上させることができる。
次に、図4は振動型モータを用いた圧縮機のもう一つの実施態様を示した構成図である。
図4に示すように、振動型モータ21から圧力ケーシング22への熱伝導性を高めると同時に、振動型モータ21の組立時の作業性を高めるために、少なくとも励磁ヨーク1および励磁コイル2を含む振動型モータ21の外周部を良熱伝導材料31(例えばアルミニウム)にてモールド成型する。こうすることで、圧力ケーシング22と振動型モータの接触面が大きくなり、より放熱を促進することができ、励磁コイル2の絶縁の信頼性が向上する。
2:励磁コイル
3:バックヨーク
4:可動部
5:主磁石
6,7:補助磁石
8,9:接合部
10:磁石ホルダ
11,12:脚部
13,14:支持ばね
15,16:スペーサ
Claims (6)
- 内周側及び外周側が異極に着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の主磁石と、この主磁石の軸方向両端部にそれぞれ同軸状に接合され、かつ、内周側及び外周側が前記主磁石とは逆極性で着磁された永久磁石からなるほぼ円筒状の補助磁石とを有する可動部、
前記可動部の半径方向外側に一定の空隙部を介して、前記可動部に対向する二つの脚部を備え、前記可動部の円周方向に均等に配置された複数個の励磁ヨーク、
前記複数個の励磁ヨークに個別に巻装され、前記脚部に磁束を発生させる励磁コイル、
前記可動部の半径方向内側に、前記励磁ヨークと対向するように配置されている、円筒状のバックヨークを備え、
前記励磁コイルに交流電流を通流して前記可動部を軸方向に往復動させるようにしたことを特徴とする振動型モータ。 - 前記励磁ヨークが磁束方向に分割せず一体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載した振動型モータ。
- 前記励磁ヨークが電磁鋼板を積層し、カシメ接合していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した振動型モータ。
- 前記可動部の軸方向長さを、前記励磁ヨーク脚部にあって前期可動部に最も近い面の外側端部間の距離よりも長くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載した振動型モータ。
- 外部との気密を保持する圧力ケーシングを有し、前記圧力ケーシングの内部において、前記圧力ケーシングの内壁と前記励磁コイルが接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載した振動型モータを搭載した振動型圧縮機。
- 前記励磁コイルが、良熱伝導材料により一体となるようモールド成型され、前記圧力ケーシングの内部において、前記圧力ケーシングの内壁と前記モールド成型部が接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載した振動型モータを搭載した振動型圧縮機。
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