JP2008233610A - 撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置 - Google Patents

撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】撮像レンズにおいて、良好な光学性能とともに、小型かつ広角化を実現する。
【解決手段】物体側から順に、負の第1レンズ群G1と、正の第2レンズ群G2と、絞りと、正の第3レンズ群G3とが配列されている。第1レンズ群G1は、少なくとも2つのレンズを有し、第1レンズ群G1の物体側から2番目のレンズL12は物体側に凸面を向けており、第1レンズ群G1を構成するレンズは全て負のレンズである。第2レンズ群G2は、少なくとも1つの両凸形状のレンズL21を有する。第3レンズ群G3は、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカス形状のレンズL33と、正のレンズL32とを有する。第2レンズ群G2のレンズL21のd線に対するアッベ数νが、下記条件式(1)を満足する。
ν<43 (1)
【選択図】図2

Description

本発明は、撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置に関し、より詳しくは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いた車載用カメラ、携帯端末用カメラ、監視カメラ等に使用されるのに好適な広角の撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
CCDやCMOS等の撮像素子は近年非常に小型化及び高画素化が進んでいる。それとともに、これら撮像素子を備えた撮像機器本体も小型化が進み、それに搭載される撮像レンズにも小型化、軽量化が求められている。
一方、車載用カメラや監視カメラなどでは、寒冷地の外気から熱帯地方の夏の車内まで高い耐候性を持ちながら広い温度範囲で使用可能な、小型の広角レンズが求められている。
上記分野の撮像レンズとしては、下記特許文献1〜4に記載のものが知られている。特許文献1には、5群6枚からなる魚眼レンズが記載されている。特許文献2には、5群6枚または5群7枚からなり、非球面レンズを含む広角レンズが記載されている。特許文献3には、監視用テレビの小型カメラに用いられる5群6枚または5群7枚からなる広角レンズが記載されている。特許文献4には、6群7枚からなる広角レンズが記載されている。
米国特許第7023628号 特許公報第2599312号 特開昭61−123810号公報 特開平4−246606号公報
特許文献1には、F値が2の明るいレンズが記載されているが、屈折率が1.9を超える硝材を多用しているため、コストが高くなってしまうという欠点がある。特許文献2および特許文献4に記載のレンズは、非球面レンズを用いているため、材質をガラスにして作製すると、これもコストが高くなってしまい、好ましくない。特許文献3に記載のレンズは、広角化と小型化が不十分なのに加えて、F値が2.8〜4の暗い光学系となっている。
本発明は、上記事情に鑑み、良好な光学性能を保持しながら、小型かつ広角の撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の撮像レンズは、物体側から順に、全体として負の屈折力を持つ第1レンズ群と、全体として正の屈折力を持つ第2レンズ群と、絞りと、全体として正の屈折力を持つ第3レンズ群とが配列されてなり、前記第1レンズ群が、少なくとも2つのレンズを有し、前記第1レンズ群の物体側から2番目のレンズは物体側に凸面を向けており、前記第1レンズ群を構成するレンズが全て負のレンズであり、前記第2レンズ群が、少なくとも1つの両凸レンズを有し、前記第3レンズ群が、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカスレンズと、正のレンズとを有し、前記第2レンズ群の前記両凸レンズのd線に対するアッベ数νが、下記条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
ν<43 (1)
本発明の第1の撮像レンズは、上記形状の負のレンズからなる第1レンズ群を有することによりディストーションの発生を良好に抑えながら小型化および広角化を図り、絞り近傍に配置され、その材質が好適に選択された両凸レンズを含む正の屈折力を持つ第2レンズ群を有することにより像面湾曲および倍率の色収差を良好に補正し、負のレンズおよび正のレンズを含む第3レンズ群を有することにより倍率色収差および軸上の色収差を良好に補正し、良好な光学性能を確保するとともに小型かつ広角の撮像レンズを提供するものである。
本発明の第2の撮像レンズは、物体側から順に、全体として負の屈折力を持つ第1レンズ群と、全体として正の屈折力を持つ第2レンズ群と、絞りと、全体として正の屈折力を持つ第3レンズ群とが配列されてなり、前記第1レンズ群が、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の第1レンズと、物体側に凸面を向けた負の第2レンズと、像側に凹面を向けた負の第3レンズとから構成され、前記第2レンズ群が、両凸形状の単レンズのみから構成され、前記第3レンズ群が、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカスレンズと、正のレンズとを有することを特徴とするものである。
本発明の第2の撮像レンズは、上記形状の負のレンズからなる第1レンズ群を有することによりディストーションの発生をさらに良好に抑えながら小型化および広角化を図り、絞り近傍に配置され、両凸レンズからなる第2レンズ群を有することにより像面湾曲を良好に補正し、負のレンズおよび正のレンズを含む第3レンズ群を有することにより倍率色収差および軸上の色収差を良好に補正し、良好な光学性能を確保するとともに小型かつ広角の撮像レンズを提供するものである。
上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいては、前記第3レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた正の単レンズと、正のレンズおよび負のメニスカスレンズの接合レンズとから構成されるようにしてもよい。
また、上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいては、前記第3レンズ群における、最も像側の前記負のメニスカスレンズのd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νと、像側から2番目の前記正のレンズのd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νとが、下記条件式(2)、(3)を満足することが好ましい。
0.05<N−N<0.45 (2)
1.5<ν/ν (3)
また、上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離fと、前記第3レンズ群における最も像側の前記負のメニスカスレンズおよび像側から2番目の前記正のレンズの合成焦点距離fpnとが、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
3<fpn/f<30 (4)
また、上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離fと、前記第1レンズ群の合成焦点距離fG1とが、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
−2<fG1/f<−0.5 (5)
また、上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離fと、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズの物体側の面から全系の像側焦点面までの光軸上の距離Lとが、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
7<L/f<14 (6)
また、上記本発明の第1および第2の撮像レンズにおいて、前記第3レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた正の単レンズと、正のレンズおよび負のメニスカスレンズの接合レンズとから構成されている場合には、赤外光を遮断するための膜が、前記第3レンズ群の最も物体側の前記単レンズの像側の面に施されていることが好ましい。
また、本発明の撮像装置は、上記記載の撮像レンズと、前記撮像レンズにより形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、レンズの形状または材質を好適に選択することにより、良好な光学性能を確保しながら、小型化および広角化を図ることが可能な撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の撮像レンズ、および該撮像レンズを備えた撮像装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の撮像レンズは、車載用カメラ、携帯端末用カメラ、監視カメラ等に使用されることができ、特に自動車の前方、側方、後方などの映像を撮影するための車載用カメラなどに好適に使用可能である。図1に使用例として、自動車1に本実施形態の撮像レンズおよび撮像装置を搭載した様子を示す。
図1において、自動車1は、その助手席側の側面の死角範囲を撮像するための車外カメラ2と、自動車1の後側の死角範囲を撮像するための車外カメラ3と、ルームミラーの背面に取り付けられ、ドライバーと同じ視野範囲を撮影するための車内カメラ4とを備えている。車外カメラ2と車外カメラ3と車内カメラ4とは、撮像装置であり、撮像レンズ5と、撮像レンズ5により形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子6とを備えている。
図2に本発明の実施形態にかかる撮像レンズ5の一構成例の光学系断面図を示す。なお、図2に示す構成例は、後述の実施例1のレンズ構成に対応している。撮像レンズ5は、光軸Zに沿って物体側から順に、物体側から順に、全体として負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、全体として正の屈折力を持つ第2レンズ群G2と、開口絞りStと、全体として正の屈折力を持つ第3レンズ群G3とが配列されてなる。
図2に示す例の撮像レンズ5においては、第1レンズ群G1は、レンズL11と、レンズL12とからなり、第2レンズ群G2は、レンズL21からなり、第3レンズ群G3は、レンズL31と、レンズL32およびレンズL33が接合された接合レンズLCとからなる。
撮像レンズ5の結像面には、CCDイメージセンサ等からなる固体撮像素子である撮像素子6の撮像面が配置される。撮像レンズ5と撮像素子6の間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、例えば撮像面保護用のカバーガラスや赤外線カットフィルタ等の平板状の種々の光学部材PPが配置される。
撮像レンズ5において、レンズL11とレンズL12との間の有効径外を通過する光束は、迷光となって像面に達し、ゴーストとなるおそれがある。なお、図1における光束7は、最大画角で入射する光束を示すものである。光束7よりも外側を通過する光束は迷光となるおそれがあるため、レンズL11とレンズL12との間に遮光手段11を設けて迷光を遮断することが好ましい。この遮光手段11としては、例えばレンズL11のレンズL12側の有効径外の部分に不透明な塗料を施したり、不透明な板材を設けたりしてもよく、または迷光となる光束のレンズL11とレンズL12の間の光路に不透明な板材を設けるようにしてもよい。また、このような目的の遮光手段は、レンズL11とレンズL12との間だけでなく、必要に応じて他のレンズ間に配置してもよく、図2ではレンズL12の像側の有効径外の部分にも遮光手段11と同様の構成の遮光手段12を施した例を示す。
次に、撮像レンズ5の詳細な構成とその作用効果について説明する。第1レンズ群G1は、少なくとも2つのレンズを有し、第1レンズ群G1の物体側から2番目のレンズは物体側に凸面を向けており、第1レンズ群G1を構成するレンズが全て負のレンズとなるように構成される。
上記のように第1レンズ群G1のレンズの屈折力および形状を選択することにより、ディストーションの発生を良好に抑えながら小型化および広角化を達成することができる。また、第1レンズ群G1を構成するレンズを全て負のレンズにすることにより、第1レンズ群G1に強い負の屈折力を持たせることができる。小型化および広角化のためには、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とを合成した群が、全体として負の屈折力もしくは弱い正の屈折力を持つことが好ましく、この点から第1レンズ群G1が十分強い負の屈折力を持つことが好ましい。
ここで、図2に示す例のようにレンズL11を物体側に凸面を向けたメニスカスレンズで構成した場合には、レンズL11の物体側の凸面に大きな入射角の光線をとらえることができるので光学系を広角化できるとともに、レンズL11射出後の光束を細くすることが可能であり、小型化を実現することができる。また、負のメニスカスレンズであることによってペッツバール和を小さくすることができ、広い画面全域にわたって像面湾曲の補正が可能となる。
なお、レンズL11は、最も物体側のレンズであるため、例えば車載用カメラ等の厳しい環境において使用される場合には、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材質、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材質を用いることが好ましい。また、レンズL11の材質としては堅く、割れにくい材質を用いることが好ましく、具体的にはガラスもしくは透明なセラミクスを用いることが好ましい。セラミクスは通常のガラスに比べ強度が高く、耐熱性が高いという性質を有する。
なお、図2に示す例では第1レンズ群G1は2枚の負のレンズから構成されているが、さらにレンズL12の像側に負のレンズを追加して3枚以上の負のレンズから構成するようにしてもよい。
例えば、後述の実施例9〜12およびその構成図の図11〜図14に示すように、第1レンズ群G1を、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負のレンズL11と、物体側に凸面を向けた負のレンズL12と、像側に凹面を向けた負のレンズL13とから構成することもできる。このように構成した場合は、ディストーションの発生をさらに良好に抑えながら小型化および広角化を達成することができる。
第2レンズ群G2は、少なくとも1つの両凸レンズを有するように構成される。そして、その両凸レンズのd線に対するアッベ数ν
ν<43 (1)
となるように材質が選択されることが好ましい。条件式(1)を満たすように材質を選択することにより、倍率の色収差を良好に補正することができる。
図2に示す例では第2レンズ群G2は両凸形状の単レンズであるレンズL21のみから構成されている。レンズL21は、光線が密集する開口絞りSt位置近傍に配置され、負のレンズであるレンズL11およびレンズL12から射出した発散光に対して収束させる方向に作用する。レンズL21を両凸形状にすることにより、強い正の屈折力を有することができ、像面湾曲を良好に補正することができる。
なお、枚数低減のためには、第2レンズ群G2は、両凸形状の単レンズのみから構成することが好ましいが、さらに他のレンズを有するように構成してもよい。
第3レンズ群G3は、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカスレンズと、正のレンズとを有するよう構成される。このように像側に正負のレンズを配置することにより、倍率の色収差および軸上の色収差を良好に補正することが可能になる。
図2に示す例においては、第3レンズ群G3は、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた正の単レンズであるレンズL31と、正のレンズであるレンズL32および負のメニスカスレンズであるレンズL33の接合レンズLCとから構成されている。
レンズL31を上記形状とすることにより、像面湾曲を良好に補正することができる。さらに、レンズL31を平凸レンズもしくは両凸レンズとすれば、より像面湾曲を良好に補正することができる。
レンズL32およびレンズL33を分離したレンズでなく、接合レンズとすることにより、倍率の色収差および軸上の色収差をさらに良好に補正することが可能になる。また、正のレンズL32を両凸形状にした場合は、屈折力を強くすることができ、色収差の補正上有利である。
第3レンズ群G3において、最も像側の負のメニスカスレンズ(レンズL33)のd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νと、像側から2番目の正のレンズ(レンズL32)のd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νとが、下記条件式(2)、(3)を満足することが好ましい。
0.05<N−N<0.45 (2)
1.5<ν/ν (3)
条件式(2)の下限を超えると、接合面の曲率半径が小さくなってしまい、加工が困難となる。条件式(2)の上限を超えると、実用上使用可能な材質が限られてしまい、また、使用可能な材質が高価なものになるため低コスト化の障害になる。条件式(3)の下限を超えると、色収差を良好に補正することが困難となる。
撮像レンズ5において、全系の焦点距離fと、第3レンズ群G3における最も像側の負のメニスカスレンズおよび像側から2番目の正のレンズの合成焦点距離(接合レンズLCの合成焦点距離)fpnとが、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
3<fpn/f<30 (4)
条件式(4)の下限を超えると、像面湾曲を良好に補正することが困難となる。条件式(4)の上限を超えると、第3レンズ群G3における最も像側の負のメニスカスレンズおよび像側から2番目の正のレンズの合成屈折力が弱くなり、色収差を良好に補正することが困難となる。
撮像レンズ5において、全系の焦点距離fと、第1レンズ群G1の合成焦点距離fG1とが、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
−2<fG1/f<−0.5 (5)
条件式(5)の下限を超えると、広角化は容易に達成できるが像面湾曲が大きくなり良好な像を得ることが難しくなる。また、条件式(5)の上限を超えると、広角化を達成することが困難となるか、レンズ系が大型化してしまう。
撮像レンズ5において、全系の焦点距離fと、第1レンズ群G1の最も物体側のレンズ(レンズL11)の物体側の面から全系の像側焦点面までの光軸上の距離Lとが、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
7<L/f<14 (6)
条件式(6)の下限を超えると、広角化が困難となる。条件式(10)の上限を超えると、レンズ系が大型化してしまう。
さらに、撮像レンズ5において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを合成した群の合成焦点距離fG1G2が、下記条件式(7)または条件式(8)を満足することが好ましい。
300<fG1G2 (7)
G1G2<0 (8)
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを合成した群は、全体として負の屈折力もしくは弱い正の屈折力を持っていることが好ましい。これは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを合成した群が全体として強い正の屈折力を持つと、広角化が困難となるか、レンズ系が大型化してしまうからである。
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離を、条件式(7)または(8)の範囲におさめることで広角化と小型化を同時に達成することができる。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離が条件式(7)および(8)の範囲を外れると、広角化を達成することが困難となるか、レンズ系が大型化してしまう。
また、撮像レンズ5において、全系の焦点距離fと、レンズL11の中心厚Dとが、下記条件式(9)を満足することが好ましい。
0.4<D/f (9)
例えば撮像レンズ5が車載などの用途で用いられる場合、レンズL11には各種衝撃に対する強度が求められる。条件式(9)の下限値を超えると、レンズL11が薄くなり割れやすくなり、各種衝撃に対する強度が弱くなる。
また、撮像レンズ5において、全系の焦点距離fと、第3レンズ群G3の合成焦点距離fG3とが、下記条件式(10)を満足することが好ましい。
1.7<fG3/f<3.0 (10)
条件式(10)の下限を超えると、バックフォーカスが短くなってしまい、撮像レンズ5と撮像素子6との間にカバーガラスやフィルタ等の光学部材PPを配置することが困難となる。条件式(10)の上限を超えると、像面湾曲を良好に補正することが困難となる。
また、撮像レンズ5において、第3レンズ群G3の最も像側の負のメニスカスレンズ(レンズL33)のd線に対するアッベ数νが、下記条件式(11)を満足することが好ましい。
ν<20 (11)
νが条件式(11)を満足した場合には、第3レンズ群G3の最も像側の負のメニスカスレンズ(レンズL33)と像側から2番目の正のレンズ(レンズL32)のアッベ数の差を大きくすることができるため、軸上の色収差および倍率の色収差を補正することが容易となる。
また、撮像レンズ5において、第3レンズ群G3が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた正の単レンズであるレンズL31と、正のレンズであるレンズL32および負のメニスカスレンズであるレンズL33の接合レンズLCとからなるレンズ構成である場合には、赤外光を遮断するための膜が、第3レンズ群G3の最も物体側の単レンズ(レンズL31)の像側の面に施されていることが好ましい。これによりゴーストの発生を最小限に抑えることができるとともに、赤外光カット用のフィルタ等をレンズ系に挿入する必要がなくなる。なお、第3レンズ群G3の最も物体側の単レンズの像側の面以外に赤外光を遮断するための膜を施した場合には、この膜が原因となる強いゴーストが発生しやすくなり、好ましくない。
また、撮像レンズ5において、レンズの材質としては、紫外光の透過率が低いものが好ましい。一般的なレンズ用材質の分光透過率は、可視光領域から紫外光領域に向かうに伴い減少する傾向にある。撮像レンズ5は、この減少曲線において透過率が5%になる波長が360nm以上となる材質で形成されたレンズを少なくとも1つ含むことが好ましい。これにより、紫外光を遮光するためのフィルタもしくは成膜を省くことができ、レンズ系全体のコストを下げることができる。
撮像レンズ5が、例えば車載用カメラに適用される場合には、寒冷地の外気から熱帯地方の夏の車内まで広い温度範囲で使用可能なことが要求される。そのため全てのレンズの材質がガラスであることが好ましい。具体的には−40℃〜125℃の広い温度範囲で使用可能なことが好ましい。また、安価にレンズを製作するためには、全てのレンズが球面レンズであることが好ましい。
次に、本実施形態にかかる撮像レンズ5の具体的な数値実施例について説明する。以下に述べる実施例のうち、実施例1〜8、13、14は6枚構成であり、実施例9〜12は7枚構成である。
<実施例1>
実施例1にかかる撮像レンズの諸元値、設計仕様、各焦点距離を表1に示す。表1において、Siは最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1〜15)の面番号を示す。Riはi番目(i=1〜15)の面の曲率半径を示し、Diはi(i=1〜14)番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示す。また、Ndjは最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1〜7)のレンズまたは光学部材PPのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjはj番目のレンズまたは光学部材PPのd線に対するアッベ数を示す。表1において、曲率半径および面間隔の単位はmmであり、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
表1において、FNo.はF値、L’はレンズL33と像面との間に上記光学部材PPがあるときのレンズL11の物体側の面から像側焦点面までの光軸Z上の距離、LはレンズL11の物体側の面から像側焦点面までの光軸Z上の距離(光学部材PP分は空気換算してある)、fは全系の焦点距離、fG1は第1レンズ群G1の合成焦点距離、fG2は第2レンズ群G2の合成焦点距離、fG3は第3レンズ群G3の合成焦点距離、fG1G2は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成焦点距離、fG2G3は第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の合成焦点距離、fpnは接合レンズLCの合成焦点距離である。なお、表中の記号の意味は後述の実施例についても同様である。
また、実施例1のレンズ構成図を図3に示す。図3における符号Ri(i=1〜14)、Di(i=1〜14)は表1のRi、Diと対応している。図3における開口絞りStは形状や大きさを表すものではなく光軸Z上の位置を示すものである。なお、表1および図3の符号は、開口絞りStおよび光学部材PPも含めて付している。また、図3では結像面として撮像素子6の撮像面6aを図示している。
Figure 2008233610
<実施例2>
実施例2にかかる撮像レンズの諸元値を表2に、レンズ構成図を図4に示す。図4において、符号Ri、Diは表2のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例3>
実施例3にかかる撮像レンズの諸元値を表3に、レンズ構成図を図5に示す。図5において、符号Ri、Diは表3のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例4>
実施例4にかかる撮像レンズの諸元値を表4に、レンズ構成図を図6に示す。図6において、符号Ri、Diは表4のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例5>
実施例5にかかる撮像レンズの諸元値を表5に、レンズ構成図を図7に示す。図7において、符号Ri、Diは表5のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例6>
実施例6にかかる撮像レンズの諸元値を表6に、レンズ構成図を図8に示す。図8において、符号Ri、Diは表6のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例7>
実施例7にかかる撮像レンズの諸元値を表7に、レンズ構成図を図9に示す。図9において、符号Ri、Diは表7のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例8>
実施例8にかかる撮像レンズの諸元値を表8に、レンズ構成図を図10に示す。図10において、符号Ri、Diは表8のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
以下に述べる実施例9〜12では、第1レンズ群G1が、レンズL11と、レンズL12と、レンズL13との3枚のレンズからなり、この点が上述の実施例1〜8、後述の実施例13、14と異なる。
<実施例9>
実施例9にかかる撮像レンズの諸元値を表9に、レンズ構成図を図11に示す。図11において、符号Ri、Diは表9のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例10>
実施例10にかかる撮像レンズの諸元値を表10に、レンズ構成図を図12に示す。図12において、符号Ri、Diは表10のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例11>
実施例11にかかる撮像レンズの諸元値を表11に、レンズ構成図を図13に示す。図13において、符号Ri、Diは表11のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例12>
実施例12にかかる撮像レンズの諸元値を表12に、レンズ構成図を図14に示す。図14において、符号Ri、Diは表12のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例13>
実施例13にかかる撮像レンズの諸元値を表13に、レンズ構成図を図15に示す。図15において、符号Ri、Diは表13のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
<実施例14>
実施例14にかかる撮像レンズの諸元値を表14に、レンズ構成図を図16に示す。図16において、符号Ri、Diは表14のRi、Diと対応している。
Figure 2008233610
上記実施例1〜14の撮像レンズにおける上記条件式(1)〜(5)に対応する値を表15に、上記条件式(6)〜(11)に対応する値を表16に示す。表15、表16からわかるように、実施例1〜4、7〜14の撮像レンズのいずれも、上記条件式(1)〜(11)全てを満たしている。また、実施例5、6の撮像レンズは、条件式(1)〜(8)、(10)、(11)を満たしている。なお、ここでは条件式(7)、(8)についてはいずれか一方を満たせばよいものとして条件式(7)、(8)を一括で扱っている。
Figure 2008233610
Figure 2008233610
上記実施例1〜14にかかる撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)、倍率色収差の収差図をそれぞれ図17〜図30に示す。各収差図には、e線(波長546.07nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図および倍率色収差図には、F線(波長486.1nm)、C線(波長656.3nm)についての収差も示す。歪曲収差図は、理想像高をfω(全系の焦点距離fと半画角ωとの積)とし、それからのずれ量を示す。球面収差図の縦軸のFNo.はF値であり、その他の収差図の縦軸のωは半画角を示す。図17〜図30からわかるように、上記実施例1〜実施例14は各収差が良好に補正されている。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、上記実施形態では、本発明を車載用カメラに適用した例について説明したが、本発明はこの用途に限定されるものではなく、例えば、携帯端末用カメラや監視カメラ等にも適用可能である。
本発明の実施形態にかかる車載用の撮像装置の配置を説明するための図 本発明の実施形態にかかる撮像レンズの一構成例の光学系断面図 本発明の実施例1にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例4にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例5にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例6にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例7にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例8にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例9にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例10にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例11にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例12にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例13にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例14にかかる撮像レンズのレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例1にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例2にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例3にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例4にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例5にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例6にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例7にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例8にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例9にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例10にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例11にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例12にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例13にかかる撮像レンズの各収差図 本発明の実施例14にかかる撮像レンズの各収差図
符号の説明
1 自動車
2、3 車外カメラ
4 車内カメラ
5 撮像レンズ
6 撮像素子
6a 撮像面
7 光束
11、12 遮光手段
Di i番目の面とi+1番目の面との光軸上の面間隔
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
L11、L12、L13、L21、L31、L32、L33 レンズ
LC 接合レンズ
PP 光学部材
Ri i番目の面の曲率半径
St 開口絞り
Z 光軸

Claims (9)

  1. 物体側から順に、全体として負の屈折力を持つ第1レンズ群と、全体として正の屈折力を持つ第2レンズ群と、絞りと、全体として正の屈折力を持つ第3レンズ群とが配列されてなり、
    前記第1レンズ群が、少なくとも2つのレンズを有し、前記第1レンズ群の物体側から2番目のレンズは物体側に凸面を向けており、前記第1レンズ群を構成するレンズが全て負のレンズであり、
    前記第2レンズ群が、少なくとも1つの両凸レンズを有し、
    前記第3レンズ群が、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカスレンズと、正のレンズとを有し、
    前記第2レンズ群の前記両凸レンズのd線に対するアッベ数νが、下記条件式(1)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    ν<43 (1)
  2. 物体側から順に、全体として負の屈折力を持つ第1レンズ群と、全体として正の屈折力を持つ第2レンズ群と、絞りと、全体として正の屈折力を持つ第3レンズ群とが配列されてなり、
    前記第1レンズ群が、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の第1レンズと、物体側に凸面を向けた負の第2レンズと、像側に凹面を向けた負の第3レンズとから構成され、
    前記第2レンズ群が、両凸形状の単レンズのみから構成され、
    前記第3レンズ群が、最も像側から順に、少なくとも負のメニスカスレンズと、正のレンズとを有することを特徴とする撮像レンズ。
  3. 前記第3レンズ群が、物体側から順に、像側に曲率半径の絶対値の小さい方の面を向けた正の単レンズと、正のレンズおよび負のメニスカスレンズの接合レンズとから構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
  4. 前記第3レンズ群における、最も像側の前記負のメニスカスレンズのd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νと、像側から2番目の前記正のレンズのd線に対する屈折率Nおよびアッベ数νとが、下記条件式(2)、(3)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    0.05<N−N<0.45 (2)
    1.5<ν/ν (3)
  5. 全系の焦点距離fと、前記第3レンズ群における最も像側の前記負のメニスカスレンズおよび像側から2番目の前記正のレンズの合成焦点距離fpnとが、下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    3<fpn/f<30 (4)
  6. 全系の焦点距離fと、前記第1レンズ群の合成焦点距離fG1とが、下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    −2<fG1/f<−0.5 (5)
  7. 全系の焦点距離fと、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズの物体側の面から全系の像側焦点面までの光軸上の距離Lとが、下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    7<L/f<14 (6)
  8. 赤外光を遮断するための膜が、前記第3レンズ群の最も物体側の前記単レンズの像側の面に施されていることを特徴とする請求項3から7のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  9. 前記請求項1から8のいずれか1項記載の撮像レンズと、
    前記撮像レンズにより形成される光学像を電気信号に変換する撮像素子と、
    を備えたことを特徴とする撮像装置。
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