JP2008157080A - エンジンの動弁機構 - Google Patents

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徹 深見
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信一 竹村
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Abstract

【課題】揺動カムの揺動加速度が大きくなるエンジン運転域においてもバルブ不正運動を抑制できるエンジンの動弁機構を提供する。
【解決手段】エンジンによって駆動されるカムシャフト210の回りに揺動する揺動カム260と、揺動カム260に押圧されて支点回りに揺動し、バルブスプリングのバネ力によって閉弁している動弁51を開弁するカムフォロア53と、を有するエンジンの動弁機構であって、揺動カム260はカムフォロア53の揺動を規制する凸部260cを含み、カムフォロア53は、揺動カムの凸部260cに当接してオーバストロークを防止するオーバストローク防止部53aと、動弁51の閉弁中に揺動カムの凸部260cがカムフォロアに干渉することを防止する凹部53bと、を含む。
【選択図】図5

Description

この発明は、エンジンの動弁機構に関する。
特許文献1に示すように、揺動カムに押圧されてストロークするカムフォロアによって動弁を開閉するエンジンの動弁機構が知られている。
このような動弁機構では、動弁はバルブスプリングのバネ力によって閉弁している。このバネ力に抗してカムフォロアが動弁を押圧して開弁させる。
特開2004−204822公報
高回転高負荷運転域では、動弁の開弁間隔を速くするとともに、バルブリフトを大きくする必要があり、揺動カムの揺動量及び揺動速度が大きくなって揺動加速度が大きくなる。そのため揺動カムに押圧されるカムフォロアに大きな慣性力が作用する。この慣性力がバルブスプリングのバネ力よりも大きくなると、カムフォロアが揺動カムから離れ、動弁が設定されたリフト量よりも大きくなるバルブ不正運動が発生する。バルブ不正運動は、バルブスプリングのバネ力を大きくすれば抑制できる。しかしながら、バネ力を大きくしては動弁系のフリクションが増加して燃費等が悪化してしまう。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、揺動カムの揺動加速度が大きくなるエンジン運転域においてもバルブ不正運動を抑制できるエンジンの動弁機構を提供することを目的とする。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、エンジンによって駆動されるカムシャフト(210)の回りに揺動する揺動カム(260)と、前記揺動カム(260)に押圧されて支点回りに揺動し、バルブスプリングのバネ力によって閉弁している動弁(51)を開弁するカムフォロア(53)と、を有するエンジンの動弁機構であって、前記揺動カム(260)は前記カムフォロア(53)の揺動を規制する凸部(260c)を含み、前記カムフォロア(53)は、前記揺動カムの凸部(260c)に当接してオーバストロークを防止するオーバストローク防止部(53a)と、前記動弁(51)の閉弁中に前記揺動カムの凸部(260c)がカムフォロアに干渉することを防止する凹部(53b)と、を含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、揺動カムにカムフォロアの揺動を規制する凸部を形成するとともに、カムフォロアに揺動カムの凸部に当接してオーバストロークを防止するオーバストローク防止部及び動弁の閉弁中に揺動カムの凸部がカムフォロアに干渉することを防止する凹部を形成したので、揺動カムの揺動加速度が大きくなるような運転域においても、動弁のオーバリフト(バルブ不正運動)を防止できるようになったのである。またカムフォロアの凹部によって、動弁が完全に閉じている状態において揺動カムの凸部がカムフォロアに干渉しないのである。
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による可変動弁機構の第1実施形態を示す図である。
カムフォロアをストロークするには、たとえば特開平11−107725号に開示された可変動弁機構を使用すればよい。ここでは図1に沿って可変動弁機構について簡単に説明する。
可変動弁機構200は、カムシャフト210と、リンクアーム220と、バルブリフト制御シャフト230と、ロッカアーム240と、リンク部材250と、揺動カム260とを備え、揺動カム260の揺動によってカムフォロア53を押圧し動弁を開閉する。
カムシャフト210は、エンジン前後方向に沿ってシリンダヘッド上部に回転自在に支持される。カムシャフト210の一端は、カムスプロケット270に挿入される。カムスプロケット270は、エンジンのクランク軸からトルクが伝達されて回転する。カムシャフト210は、カムスプロケット270とともに回転する。カムシャフト210は、油圧によってカムスプロケット270に対して相対回転し、カムスプロケット270に対する位相を変更できる。このような構造によって、クランク軸に対するカムシャフト210の回転位相を変更できる。カムシャフト210にはカム211が固定される。カム211はカムシャフト210と一体回転する。またカムシャフト210にはパイプで連結された一対の揺動カム260が挿通される。揺動カム260はカムシャフト210を回転中心として揺動し、カムフォロア53をストロークさせる。なお図中の符号Pは、カムフォロア53の揺動カム260によるストローク位置を示す仮想面である。
リンクアーム220はカム211を挿通して支持される。
バルブリフト制御シャフト230は、カムシャフト210と平行に配置される。バルブリフト制御シャフト230にはカム231が一体形成される。バルブリフト制御シャフト230はアクチュエータ280によって所定回転角度範囲内で回転するように制御される。
ロッカアーム240はカム231を挿通して支持され、リンクアーム220に連結される。
リンク部材250は、ロッカアーム240に連結される。
揺動カム260は、カムシャフト210を挿通し、カムシャフト210を中心として揺動自在である。揺動カム260は、リンク部材250に連結される。揺動カム260は上下動して、カムフォロア53(仮想面P)を押し下げ、動弁を開閉する。
続いて図2を参照して可変動弁機構200の動作を説明する。
図2(A−1)(A−2)はカムフォロア53のストローク量を最大にして動弁のリフト量を最大にするときの様子を示す図である。図2(A−1)はカムノーズ260bが最高位置にあって揺動カム260の揺動方向が反転するときの様子を示す。このときカムフォロア53(仮想面P)は上端位置にあり動弁51は閉弁状態である。図2(A−2)はカムノーズ260bが最低位置にあって揺動カム260の揺動方向が反転するときの様子を示す。このときカムフォロア53(仮想面P)は下端位置にあり動弁51は最大リフト状態である。
図2(B−1)(B−2)はカムフォロア53のストローク量を最小にするときの様子を示す図である。図2(B−1)はカムノーズ260bが最高位置にあって揺動カム260の揺動方向が反転するときの様子を示す。図2(B−2)はカムノーズ260bが最低位置にあって揺動カム260の揺動方向が反転するときの様子を示す。本実施形態ではカムフォロア53(仮想面P)のストローク量がゼロであり動弁のリフト量もゼロである。そのため、図2(B−1)(B−2)では揺動カム260の作動にかかわらず、動弁51は常に閉弁状態である。
カムフォロア53のストローク量を大きくして動弁のリフト量を大きくするには、図2(A−1)(A−2)に示すように、バルブリフト制御シャフト230を回転してカム231の位置を下げ、軸心P1を軸心P2の下方にセットする。これによりロッカアーム240は、全体が下方に移動する。
この状態でカムシャフト210を回転駆動すると、その駆動力が、リンクアーム220→ロッカアーム240→リンク部材250→揺動カム260と伝達する。
図2(A−1)のようにカム211がカムシャフト210の左側にあるときは揺動カム260の基円部260aがカムフォロア53(仮想面P)に当接しており、このときカムフォロア53は上端位置にあり動弁51は最大リフト状態である。
図2(A−2)のように、カム211がカムシャフト210の右側にあるときは揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53(仮想面P)に当接しており、このときカムフォロア53は下端位置にあり動弁51は閉弁状態である。
カムフォロア53のストローク量を小さくして動弁のリフト量を小さくするには、図2(B−1)(B−2)に示すように、バルブリフト制御シャフト230を回転してカム231の位置を上げ、軸心P1を軸心P2の右斜上方にセットする。これによりロッカアーム240は、全体が上方に移動する。
この状態でカムシャフト210を回転駆動すると、その駆動力が、リンクアーム220→ロッカアーム240→リンク部材250→揺動カム260と伝達する。
図2(B−1)のように、カム211がカムシャフト210の左側にあるときは揺動カム260の基円部260aがカムフォロア53(仮想面P)に当接する。
図2(B−2)のように、カム211がカムシャフト210の右側にあるときであっても揺動カム260の基円部260aがカムフォロア53(仮想面P)に当接する。
このように、バルブリフト制御シャフト230を回転してカム231の位置を上げ、軸心P1を軸心P2の右斜上方にセットした場合には、カムシャフト210が回転して揺動カムが揺動しても、カムフォロア53(仮想面P)はストロークせず、動弁51は閉弁したままである。
図3は、可変動弁機構200による動弁のリフト量及び開閉時期を示す図である。実線はバルブリフト制御シャフト230を回転したときの動弁51のリフト量及び開閉時期を示す図である。破線はカムシャフト210のカムスプロケット270に対する位相を変更したときの動弁51の開閉時期を示す図である。
上述した可変動弁機構200の構造によれば、動弁51のリフト量及び作動角を連続的に変更することができる。このようにバルブリフト制御シャフト230の角度及びカムシャフト210のカムスプロケット270に対する位相を変更することで、動弁51のリフト量及び作動角を連続的に自在に変更することができる。
図4は、本発明による可変動弁機構の揺動カム及びカムフォロア付近の拡大斜視図である。
本実施形態の揺動カム260の幅は、カムフォロア53の幅と略同じである。そして揺動カム260の幅方向の中心付近にストッパ260cが凸設されている。本実施形態のストッパ260cの幅は、カムフォロア53の幅の1/2〜1/3程度である。
カムフォロア53の一端(ピボットピン52側の一端)には、オーバストローク防止部53aが形成されている。カムフォロア53の上面(揺動カム260が摺動する面)の一部にストッパ通過部53bが凹設されている。後述のように、揺動カム260のストッパ260cが、このストッパ通過部53bを通過する。
図5は、本実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。図5(A)は揺動カム260の基円部260aがカムフォロア53に当接する状態を示す。図5(B)は揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53に当接する状態を示す。
図5(A)の状態では、揺動カム260に形成されたストッパ260cは、カムフォロア53のストッパ通過部53bを通過しており、揺動カム260の基円部260aがカムフォロア53に当接する。
そして揺動カム260が右回転して揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53を押し下げ、カムフォロア53が揺動する。図5(A)の状態から揺動カム260が少しだけ右回転した状態であればカムフォロア53の揺動量も少なく、カムフォロア53はオーバストロークしにくい。ところが揺動カム260の回転量が大きくなると、カムフォロア53がオーバストロークするおそれがある。本実施形態のカムフォロア53はオーバストローク防止部53aを有するので、このようなときに図5(B)に示すように、オーバストローク防止部53aが、揺動カム260のストッパ260cに当接する。したがってカムフォロア53の動作が規制され、オーバストロークしない。
このように本実施形態によれば、カムフォロア53にオーバストローク防止部53aを形成するとともに、カムフォロア53の揺動を規制するストッパ260cを揺動カム260に設けた。このような構造によって、揺動カム260の揺動加速度が大きくなるような運転域においても、動弁のオーバリフト(バルブ不正運動)を防止できたのである。
また本発明に使用する可変動弁機構は、上述の通り揺動カム260の揺動量によってカムフォロア53のストローク量が変化する。揺動カム260が図5(B)に示した位置まで回転(揺動)しなければ、カムフォロア53のストローク量も小さくなる。そのように揺動量が変わっても、オーバストローク防止部53aがストッパ260cに当接するようにストッパ260cを山形に形成し、揺動カム260の揺動量が小さくカムフォロア53のストローク量も小さいほど、ストッパ260cの頂部側にオーバストローク防止部53aが当接するようにすることで、揺動カム260の揺動量にかかわらず、動弁のオーバリフト(バルブ不正運動)を防止できたのである。
さらに揺動カム260の幅がカムフォロア53の幅と略同じであり、揺動カム26の幅方向の中心付近にストッパ260cを凸設したので、カムフォロア53が揺動カム260やストッパ260cに当接したときに倒れを生じることがない。
さらにまた揺動カム260のカムフォロア53への摺動面が、揺動カム260の揺動中心からみて、動弁側に配置することにより、バルブリフト開始時のカムフォロア53のレバー比を小さくすることができ、接触荷重を小さくすることができる。
またカムフォロア53のオーバストローク防止部53aと、揺動カム260のストッパ260cと、は、揺動カム260の揺動量が大きくなるにつれて徐々に近接するので、衝撃荷重を低めることができ、また衝突音も発生しにくい。
(第2実施形態)
図6は、本発明による可変動弁機構の第2実施形態を示す図である。
なお以下では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
本実施形態のオーバストローク防止部53aは、カムフォロア53の一端(ピボットピン52側の一端)よりも中央寄りに形成されている。
また揺動カム260には、幅方向の中心付近に、ストッパ260cではなく、カムフォロアストローク量調整溝260dが凹設されている。カムフォロアストローク量調整溝260dの幅は、カムフォロア53の幅の1/2〜1/3程度である。
図7は、本実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。図7(A)は動弁51が閉弁の状態を示す。図7(B)は揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53に当接して動弁51が開弁の状態を示す。
図7(A)の状態では、動弁51がバルブスプリングのバネ力によって閉弁しており、カムフォロア53は最上位位置にある。このとき揺動カム260の基円部260aとカムフォロア53との間には僅かに隙間がある。またカムフォロア53のオーバストローク防止部53aと揺動カム260の基円部260aとの間にも僅かに隙間がある。
そして揺動カム260が右回転して図7(B)に示すように揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53を押し下げ、カムフォロア53のオーバストローク防止部53aが、揺動カム260に凹設されているカムフォロアストローク量調整溝260dに入る。このとき、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dの溝面との間には僅かに隙間があるが、揺動カム260の揺動量が大きくなるにつれて、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dは徐々に近接する。そして、カムフォロア53がオーバリフトしそうになると、カムフォロアストローク量調整溝260dの溝面にオーバストローク防止部53aが当接し、カムフォロア53の動作が規制されてカムフォロア53のオーバストロークが防止され、ひいては動弁51のオーバリフトが防止される。
なお、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dの溝面との隙間を可変動弁機構200の最大作動角時の動弁51の最大揺動量時のみ僅少であるように設定し、カムフォロア53のオーバストロークを可変動弁機構200の最大作動角時の動弁51の最大揺動量時のみ防止するようにしてもよい。
本実施形態によっても、カムフォロア53の動作が規制され、揺動カム揺動加速度が大きくなるような運転域においても、オーバリフト(バルブ不正運動)を防止できたのである。また本実施形態によれば、揺動カム260にカムフォロアストローク量調整溝260dを凹設して形成したので、第1実施形態のストッパ260cのようにカムフォロア53に干渉する部品がない。そのためカムフォロア53を容易に成形できる。また揺動カム260の慣性重量を小さくすることができるとともに、カムフォロア53の当接面に切り欠きを設ける必要がなく、低回転時に高面圧となる揺動カム先端部分の当接面とカムフォロア53の当接面との接触幅を大きくすることができ、磨耗及び焼き付きを防止することができる。
また揺動カム260の揺動量が変わっても、オーバストローク防止部53aがカムフォロアストローク量調整溝260dに当接するように揺動カム260の揺動量が大きくカムフォロア53のストローク量も大きくなるほど、カムフォロアストローク量調整溝260dが深くなるように形成し、カムフォロア53の最大揺動量が大きいほど、揺動カム260のカムフォロアストローク量調整溝260dの底側(カムフォロアストローク量調整溝が深い側)に、カムフォロア53のオーバストローク防止部53aが当接するようにしたのである。このようにすることで、揺動カム260の揺動量にかかわらず、動弁のオーバリフト(バルブ不正運動)を防止できたのである。
また、動弁51のリフトし始めの初期状態において、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dの溝面との間には僅かに隙間があり、揺動カム260の揺動量が大きくなるにつれてオーバストローク防止部53aとカムフォロアスローク量調整溝260dの溝面が徐々に近接することによって、揺動カム260がカムフォロア53を押し下げている時にカムフォロア53がオーバストロークしそうになると、常にオーバストローク防止部53aがカムフォロアストローク量調整溝260dの溝面に当接し、カムフォロア53のオーバストロークが防止され、ひいては、動弁51のオーバリフトが防止される。さらには、オーバストローク防止部53がカムフォロアストローク量調整溝260dの溝面に当接する際に、衝撃荷重、衝撃音の抑制を図ることができる。
一方、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dとの隙間を、可変動弁機構200の最大作動角時の動弁51の最大揺動時のみ僅少になるように設定し、カムフォロア53のオーバストロークを可変動弁機構200の最大作動角時の動弁51の最大揺動時のみ防止する設計にすることにより、オーバストローク防止部53を小さく、かつカムフォロアストローク量調整溝260dを浅く形成することができ、小型で軽量な動弁系を形成することができる。
さらに揺動カム26の幅方向の中心付近にカムフォロアストローク量調整溝260dが凹設したので、カムフォロア53がカムフォロアストローク量調整溝260dに当接したときに倒れを生じることがない。
(第3実施形態)
図8は、本発明による可変動弁機構の第3実施形態を示す図である。
本実施形態のオーバストローク防止部53aは、カムフォロア53の一端(ピボットピン52側の一端)よりも中央寄りであって、先端が二股に形成されている。
また揺動カム260には、幅方向の中心付近を残して、カムフォロアストローク量調整部260eが形成されている。
図9は、本実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。図9(A)は動弁51が閉弁の状態を示す。図9(B)は揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53に当接して動弁51が開弁の状態を示す。
図9(A)の状態では、動弁51がバルブスプリングのバネ力によって閉弁しており、カムフォロア53は最上位位置にある。このとき揺動カム260の基円部260aとカムフォロア53との間には僅かに隙間がある。またカムフォロア53のオーバストローク防止部53aと揺動カム260の基円部260aとの間にも僅かに隙間がある。
そして揺動カム260が右回転して図9(B)に示すように揺動カム260のカムノーズ260bがカムフォロア53を押し下げ、カムフォロア53のオーバストローク防止部53aが、揺動カム260に凹設されているカムフォロアストローク量調整溝260eに入る。このとき、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260eの溝面との間には僅かに隙間があるが、揺動カム260の揺動量が大きくなるにつれて、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260eは徐々に近接する。そして、カムフォロア53がオーバリフトしそうになると、カムフォロアストローク量調整溝260dの溝面にオーバストローク防止部53eが当接し、カムフォロア53の動作が規制されてカムフォロア53のオーバストロークが防止され、ひいては動弁51のオーバリフトが防止される。
本実施形態によれば、オーバストローク防止部53aは、先端を二股に形成した。このようにすればオーバストローク防止部53aがカムフォロアストローク量調整部260eを挟むように移動するので、オーバストローク防止部53aの倒れを防止できる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
例えば、第2実施形態においては、揺動カム26の幅方向の中心付近にカムフォロアストローク量調整溝260dが凹設したが、カムフォロアストローク量調整溝260dを揺動カム260の片面側に形成してもよい。このようにすれば揺動カム260の片面側にのみ砥石を使用して、カムフォロアストローク量調整溝260dを容易に形成することができる。
またカムフォロアストローク量調整溝260dを揺動カム260の片面側に形成した場合には、オーバストローク防止部53aもカムフォロア53に偏倚して設けられることとなるので、オーバストローク防止部53aとカムフォロアストローク量調整溝260dとが当接するときに、カムフォロア53に倒れ方向の力が作用し易くなる。そこで、このようなときには、カムフォロア53をピボットピン52で支持するのではなく、図10に示すようにカムシャフトと平行に設けられたシャフトでカムフォロア53を支持する構造とすればよい。なお図10(A)は図10(B)のA方向視図であり、図10(B)は図10(A)のB−B断面図である。
または図11に示すようにカムフォロア53を、基部53cから先端にかけて二股に分かれるY字形として、そのY字形カムフォロア53の基部53cをピボットピン52で支持するようにしても、カムフォロア53の倒れ方向の力の作用を抑制することができる。なお図11(A)は図11(B)のA方向視図であり、図11(B)は図11(A)のB−B断面図である。
本発明による可変動弁機構の第1実施形態を示す図である。 可変動弁機構の動作を説明する図である。 可変動弁機構による動弁のリフト量及び開閉時期を示す図である。 本発明による可変動弁機構の揺動カム及びカムフォロア付近の拡大斜視図である。 本実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。 本発明による可変動弁機構の第2実施形態を示す図である。 第2実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。 本発明による可変動弁機構の第3実施形態を示す図である。 第3実施形態の可変動弁機構の作用効果を説明する図である。 他の実施形態の可変動弁機構の構造図である。 他の実施形態の可変動弁機構の構造図である。
符号の説明
51 動弁
52 ピボットピン
53 カムフォロア
53a オーバストローク防止部
53b ストッパ通過部(凹部)
200 可変動弁機構
210 カムシャフト
220 リンクアーム
230 バルブリフト制御シャフト
240 ロッカアーム
250 リンク部材
260 揺動カム
260c ストッパ(凸部)

Claims (19)

  1. エンジンによって駆動されるカムシャフト回りに揺動する揺動カムと、
    前記揺動カムに押圧されて支点回りに揺動し、バルブスプリングのバネ力によって閉弁している動弁を開弁するカムフォロアと、
    を有するエンジンの動弁機構であって、
    前記揺動カムは、前記カムフォロアの揺動を規制する凸部を含み、
    前記カムフォロアは、
    前記揺動カムの凸部に当接してオーバストロークを防止するオーバストローク防止部と、
    前記動弁の閉弁中に前記揺動カムの凸部がカムフォロアに干渉することを防止する凹部と、を含む、
    ことを特徴とするエンジンの動弁機構。
  2. 前記揺動カムは、揺動量を任意に変更自在であってその揺動量に応じて前記カムフォロアの最大揺動量を調整し、
    前記揺動カムの凸部は、前記カムフォロアの最大揺動量にかかわらず最大揺動量以上にカムフォロアが揺動しないようにカムフォロアの揺動を規制する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの動弁機構。
  3. 前記カムフォロアのオーバストローク防止部は、前記カムフォロアの最大揺動量が小さいほど、揺動カムの凸部の頂部側に当接する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの動弁機構。
  4. 前記揺動カムの凸部は、幅方向の中心軸が、前記揺動カムの幅方向の中心軸と一致するように形成される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  5. 前記揺動カムの揺動量が大きくなるにつれて、前記カムフォロアのオーバストローク防止部と、前記揺動カムの凸部と、が徐々に近接する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  6. エンジンによって駆動されるカムシャフト回りに揺動する揺動カムと、
    前記揺動カムに押圧されて支点回りに揺動し、バルブスプリングのバネ力によって閉弁している動弁を開弁するカムフォロアと、
    を有するエンジンの動弁機構であって、
    前記カムシャフトは、前記カムフォロアの揺動を規制する凹部を含み、
    前記カムフォロアは、前記揺動カムの凹部に当接してオーバストロークを防止するオーバストローク防止部を含む、
    ことを特徴とするエンジンの動弁機構。
  7. 前記揺動カムは、揺動量を任意に変更自在であってその揺動量に応じて前記カムフォロアの最大揺動量を調整し、
    前記揺動カムの凹部は、前記カムフォロアの最大揺動量にかかわらず最大揺動量以上にカムフォロアが揺動しないようにカムフォロアの揺動を規制する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のエンジンの動弁機構。
  8. 前記カムフォロアのオーバストローク防止部は、前記カムフォロアの最大揺動量が大きいほど、揺動カムの凹部の底側に当接する、
    ことを特徴とする請求項7に記載のエンジンの動弁機構。
  9. 前記揺動カムの揺動量が大きくなるにつれて前記カムフォロアのオーバストローク防止部と前記揺動カムの凹部とが徐々に近接する、
    ことを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  10. 前記揺動カムの凹部の幅方向の中心軸が、揺動カムの幅方向の中心軸と一致するように形成される、
    ことを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  11. 前記揺動カムの凹部は、揺動カムの片側の側面に形成される、
    ことを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  12. 前記揺動カムは、同一気筒の2つの動弁を開閉する一対の揺動カムであって、
    前記揺動カムの凹部は、前記一対の揺動カムが対向する側の側面に形成される、
    ことを特徴とする請求項11に記載のエンジンの動弁機構。
  13. 前記カムフォロアのオーバストローク防止部は、先端が二股状に形成され、
    前記揺動カムの凹部は、前記揺動カムの両側面に形成される、
    ことを特徴とする請求項6に記載のエンジンの動弁機構。
  14. 前記カムフォロアの前記揺動カムによる押圧部分が、カムフォロアの揺動中心よりも動弁側である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  15. 前記カムフォロアのオーバストローク防止部は、前記カムフォロアが前記揺動カムから離隔して前記動弁を開弁することを防止する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  16. 前記カムフォロアの支点は、ピボットピンである、
    ことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  17. 前記カムフォロアの支点は、前記カムシャフトと平行に設けられたシャフトである、
    ことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  18. 前記カムフォロアは、一対の動弁を同時に開閉する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
  19. 前記カムシャフトを挿通して支持されるリンクアームと、
    前記リンクアームに連結され、バルブリフト制御シャフトのカム回りに揺動可能なロッカアームと、
    前記ロッカアームと前記揺動カムとを連結するリンク部材と、
    を備え、
    前記揺動カムは、前記ロッカアームの揺動中心位置が変更されて揺動量が任意に調整される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載のエンジンの動弁機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018035689A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 スズキ株式会社 エンジンの頭上弁作動機構

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