JP2008045008A5 - - Google Patents

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包装材料用プロピレン系樹脂組成物
本発明は、特定の性質を有する包装材料用プロピレン系樹脂組成物に関する。より詳しくは、剛性、透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性に優れた包装材料用プロピレン系樹脂組成物に関する。
プロピレン系樹脂組成物は、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されている。特に、包装用フィルム分野では、それぞれ要求される機能に応じたプロピレン系樹脂組成物が提案されている。しかしながら、既存のプロピレン系樹脂組成物のみでは対応し切れない多くのフィルム分野が出現しつつある。具体的には、レトルト用フィルムまたはプロテクトフィルムが挙げられる。
近年、レトルト食品は、一般家庭から業務分野へと急速に普及し始めており、一般家庭で利用される量よりもさらに大量のレトルト食品を一度に包装できる包装材料が求められている。レトルト食品は、一般には長期間に亙って常温保存、あるいは低温保存されることから、包装体が破れたりあるいは包装体のヒートシール部から包装体が破損して、内容物が漏れないよう、高いヒートシール強度と耐低温衝撃強度を有する包装材料用フィルムが求められている。また、前記包装材料用フィルムをレトルト食品に用いる場合、内容物を充填して密封した後、100〜140℃程度の高温下で高圧釜を用いてレトルト殺菌処理が行われる。そのため、前記包装材料用フィルムには、食品の品質管理上からもその処理に耐えられるようなヒートシール部の耐熱性とヒートシール強度を保持するフィルムであることが要求される。
かかるレトルト食品に用いられている包装材料用フィルムは、ポリプロピレンとエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンドフィルム、ポリプロピレンブロック共重合体フィルム、あるいはそのポリプロピレンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド樹脂組成物から得られたフィルムが広く用いられている。しかしながら、これらのフィルムは、耐熱性、耐低温衝撃強度、耐ブロッキング性およびヒートシール性といった、包装材料用フィルムとしての主要性能のバランスに優れているとはいい難く、特に耐低温衝撃強度とヒートシール性とのバランスには大きな問題点がある。例えば、レトルト処理後のヒートシール強度低下を少しでも防止するために、特許文献1では、ポリプロピレンブロック95〜70重量%とエラストマーブロック5〜30重量%とから構成されたプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体をヒートシール層に用いる提案がなされている。しかしながら、同公報に具体的に開示されているフィルムは、チーグラーナッタ触媒系を用いることにより、プロピレン含有量30〜70モル%のエラストマーブロックを含むプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を得て、これから成形されるフィルムであり、耐低温衝撃強度が十分ではない。
一方、特許文献2では、メタロセン触媒系で製造されたプロピレン系ブロック共重合体によるポリプロピレンシートおよびフィルムが提案されている。これらのシートおよびフィルムは、エラストマーブロックの組成が均一であるプロピレン系ブロック共重合体から得られるため、耐衝撃性の向上が図られている。かかる特許文献2には、n−デカン可溶部のエチレンに由来する構成単位の含有量が30重量%(39mol%)以上であるプロピレン系重合体が開示されている。また、近年環境問題が重要度を増すなか、包装材料用フィルムに対しても減量化が要求されるため、薄膜であっても耐衝撃性を保持するとともに、さらに高い剛性を有するフィルムが望まれている。
さらに、近年、レトルト包装材料として、被包装物を透視することができる程度の透明性を有することが要求される場合がある。透明性を改良するために、特許文献3にはメタロセン触媒を用いて製造されたプロピレン系単独重合体とメタロセン触媒存在下で製造されたエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体からなる樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、同公報に具体的に記載されているフィルムは、透明性については優れるものの、レトルト用フィルムとして要求される低温耐衝撃性、剛性については、改良の余地が残されている。
他方、プロピレン系樹脂組成物からなるプロテクトフィルムは、従来自動車の国内搬送や輸出するときに、表面の傷付き防止を目的として使用されている。プロテクトフィルムの要求特性として、金属表面に該フィルムを貼り付けるときの適度の接着性、剥離作業の容易性、引き裂き等の強度が必要とされる。例えば、特許文献3では、チーグラーナッタ触媒で製造されたプロピレン系ブロック共重合体からなるプロテクトフィルムが開示され、該フィルムは金属表面の保護に適していると記載されている。しかしながら、同公報に具体的に記載されているプロピレン系ブロック共重合体は、ゴム成分の分子量分布が広いために、低分子量ゴムがブリードして粘着力が経時変化することがある。また近年、液晶ディスプレイ市場の拡大を背景に、液晶用ディスプレイに使用される各種光学シートの表面プロテクトフィルムが伸長してきている。光学シート用プロテクトフィルムでは、粘着力の経時変化を抑制し、かつ外観検査を容易化するために、フィッシュアイの少ない高透明性を有することが要求される。
また、輸液製剤容器等の医療容器用材料は、ガラス素材からプラスチック材料へと変遷しつつある。輸液製剤容器用材料としては、これまでポリエチレンが使用されるケースが多かったが、近年、柔軟性、防湿性、耐水性、耐薬品性等のバランスに優れたポリプロピレンが増加する傾向にある。特に、海外では121℃下での滅菌が求められるため、耐熱性の観点からすれば、ポリエチレンよりもポリプロピレンが有利である。しかし、ポリプロピレンはポリエチレンと比較して低温耐衝撃性に劣るため、寒冷地で輸液製剤容器を誤って落下させた場合等には容器が破袋してしまう可能性がある。ポリプロピレンの低温耐衝撃性を改良する方法として、プロピレン系ブロック共重合体を用いる方法が考えられるが、既存のプロピレン系ブロック共重合体では透明性と耐衝撃性、耐熱性のバランスに劣るという問題点がある。
特開2000−255012号公報 特開2006−152068号公報 特開2001−172402号公報 特開2000−168006号公報
本発明は、高透明性、剛性、低温耐衝撃性、耐ブロッキング性のバランスに優れたレトルト用フィルム、プロテクトフィルムを得るに好適な包装材料用プロピレン系樹脂組成物およびかかる組成物から得られるレトルト用フィルム、プロテクトフィルムおよび医療容器包装用フィルムならびにこれらのシートに関する。
すなわち本発明は、下記要件(a1)〜(a2)を満たすプロピレン系重合体(A)60〜90重量%および、下記要件(b1)〜(b4)を満たすプロピレン−エチレン共重合体(B)40〜10重量%を含む(ただし(A)+(B)=100重量%)ことを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物およびかかる組成物から得られるシートまたはフィルムである。
プロピレン系重合体(A);
(a1)メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜10(g/10min)。
(a2)示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃。
プロピレン−エチレン共重合体(B);
(b1)エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%。
(b2)デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g。
(b3)分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下。
(b4)23℃におけるn−デカン可溶部が95重量%以上。
前記プロピレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は3.5以下であることが好ましい。
前記プロピレン−エチレン共重合体(B)は、メタロセン触媒の存在下で重合してなることが好ましい。
本発明はまた、下記要件(a1’)〜(a2’)を満たす、23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol)60〜90重量%および下記要件(b1’)〜(b3’)を満たす、23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol)40〜10重量%含み、且つ、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20(g/10min)の範囲にあることを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物およびかかる組成物から得られるシートまたはフィルムである。
n−デカン不溶部(Dinsol);
(a1')エチレンに由来する構成単位の含有量が2重量%以下。
(a2')示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃。
n−デカン可溶部(Dsol);
(b1')エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%。
(b2')デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g。
(b3')分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下。
本発明はさらに、前記プロピレン系樹脂組成物が、メタロセン触媒の存在下で、
[工程1]プロピレンを単独重合またはプロピレンおよびエチレンを共重合して、23℃におけるn−デカン可溶部(D sol )が0.5重量%以下である重合体を製造する工程と、
[工程2]プロピレンおよびエチレンを共重合して、23℃におけるn−デカン不溶部(D insol )が5.0重量%以下である共重合体を製造する工程と
を連続的に実施して得られることを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物であることが好ましい。
本発明はさらに密度0.850〜0.910g/cm 3 のエチレン−α−オレフィン共重合体(D)を含むことを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物であることが好ましい。
本発明はさらにエチレンに由来する構成単位の含有量が30〜70mol%のエチレン−プロピレン共重合体(B')を含む包装材料用プロピレン系樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を成形してレトルト用フィルムまたはシートが得られる。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を成形してプロテクト用フィルムまたはシートが得られる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を成形して得られるシートまたはフィルムは、既存のチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系ブロック共重合体から得られるシートまたはフィルムに比べて、透明性、低温耐衝撃性および剛性のバランスに優れる。
プロピレン系重合体(A)
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を形成する成分の一つであるプロピレン系重合体(A)は、
(a1)メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜10(g/10min)、好ましくは0.5〜7(g/10min)、より好ましくは1.0〜5(g/10min)の範囲にあり、
(a2)示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃、好ましくは150℃〜170℃、より好ましくは155℃〜170℃の範囲にある。
MFRが0.1(g/10min)未満のプロピレン系重合体は、プロピレン−エチレン共重合体(B)と混合して得られる包装材料用プロピレン系樹脂組成物の押出成形性が悪化する虞があり、10(g/10min)を超えると得られるシートまたはフィルムの低温衝撃性が悪化する傾向にある。
融点が145℃未満のプロピレン系重合体は、得られるシートまたはフィルムが耐熱性に劣り、レトルト処理時にフィルムが軟化する虞があり、とくにハイレトルト用フィルムとしては適さない場合がある。また、得られるフィルムの腰が弱く、製品表面に貼り付ける際にしわがよる場合があり、プロテクトフィルムとしても適さない虞がある。
本発明に係るプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体、あるいはプロピレンと少量、例えば5mol%以下の他のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンとしてはエチレン、1-ブテン、1−ヘキセン、1-オクテンが好ましく用いられる。
本発明に係るプロピレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。かかる分子量分布を有するプロピレン系重合体(A)を含む包装材料用プロピレン系樹脂組成物からは、更に透明性、耐衝撃性、耐ブロッキング性等に優れるシートまたはフィルムが得られる。
本発明に関わるプロピレン系重合体(A)は、メタロセン触媒の存在下で製造されることが好ましい。プロピレン系重合体(A)の製造に使用するメタロセン触媒としては、後述するように、メタロセン化合物、ならびに有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒で、本出願人による前記公報(WO01/27124)または特開平11-315109号公報中に既に開示されている架橋性メタロセン化合物が好適に用いられる。
プロピレン−エチレン共重合体(B)
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を形成する他の成分であるプロピレン−エチレン共重合体(B)は、
(b1)エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%%、好ましくは17mol%〜25mol%、より好ましくは18〜23mol%の範囲にある。
(b2)デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g、好ましくは1.9dl/g〜3.0dl/g、より好ましくは2.0dl/g〜2.5dl/gの範囲にある。
(b3)分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下の範囲にある。
(b4)23℃におけるn−デカン可溶部が95重量%以上、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上の範囲にある。
エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%未満の共重合体は、得られるシートまたはフィルムの耐ブロッキング性が悪化する虞があり、25mol%を超える共重合体は、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性が低下する傾向にあるので、レトルト用フィルム、プロテクトフィルムとして適さない場合がある。
極限粘度[η]が1.8dl/g未満の共重合体は、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性が低下する虞があり、一方、極限粘度[η]が3.5dl/gを超える共重合体は、得られるシートまたはフィルムにフィッシュアイが発生しやすくなるため、レトルト用フィルムおよびプロテクトフィルムとして適さない場合がある。
分子量分布(Mw/Mn)が3.5を超える共重合体は、低分子量成分が増えるため、
得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性および引き裂き強度が低下することがあり、しかも低分子量重合体がブリードアウトする可能性があるため、レトルト用フィルムやプロテクトフィルムとして適さない場合がある。
23℃におけるn−デカン可溶部が95重量%未満の共重合体は、プロピレン−エチレン共重合体の組成分布が広く、得られるシートまたはフィルムの剛性、耐衝撃性が低下するために、レトルト用フィルムやプロテクトフィルムとして適さない場合がある。
本発明に関わるプロピレン−エチレン共重合体(B)は、メタロセン触媒の存在下で製造されることが好ましい。プロピレン−エチレン共重合体(B)の製造に使用するメタロセン触媒としては、後述するように、メタロセン化合物、ならびに有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒で、本出願人による前記公報(WO01/27124)または特開平11-315109号公報中に既に開示されている架橋性メタロセン化合物が好適に用いられる。
プロピレン系樹脂組成物
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、(A)と(B)との合計100重量%中、前記プロピレン系重合体(A)60〜90重量%、好ましくは70〜85重量%、より好ましくは80〜85重量%および前記プロピレン−エチレン共重合体(B)40〜10重量%、好ましくは30〜15重量%、より好ましくは20〜15重量%の範囲で含む包装材料用プロピレン系樹脂組成物(以下、「組成物C1」ともいう)である。
プロピレン系重合体(A)の量が60重量%未満の組成物は、得られるシートまたはフィルムの剛性が低くなる傾向にあるため、レトルト用フィルムとしては適さない場合がある。一方、90重量%を超える組成物は、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性が低下する傾向にあるため、レトルト用フィルムとして適さない場合がある。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が通常、0.1〜20g/10minの範囲にあることが好ましい。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、また、下記要件(a1’)〜(a2’)を満たす、23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol)60〜90重量%、好ましくは70〜85重量%、より好ましくは80〜85重量%および下記要件(b1’)〜(b3’)を満たす、23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol)40〜10重量%、好ましくは30〜15重量%、より好ましくは20〜15重量%含み、且つ、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20(g/10min)の範囲にあることを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物(以下、「組成物C2」ともいう)である。
n−デカン不溶部(Dinsol);
(a1')エチレンに由来する構成単位の含有量が2重量%以下である。
(a2')示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃、好ましくは150℃〜170℃、より好ましくは155℃〜170℃の範囲にある。
n−デカン可溶部(Dsol);
(b1')エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%、好ましくは17mol%〜25mol%、より好ましくは18〜23mol%の範囲にある。
(b2')デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g、好ましくは1.9dl/g〜3.0dl/g、より好ましくは2.0dl/g〜2.5dl/gの範囲にある。
(b3')分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下の範囲にある。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物(前記組成物C1および組成物C2を含む)には、さらに、プロピレン系重合体(A)およびプロピレン−エチレン共重合体(B)等の他に、他の重合体として、例えば、以下に挙げるエチレン−α−オレフィン共重合体(D)、エチレン−プロピレン共重合体(B')、プロピレン系重合体(I')等を含んでいてもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物には、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性等の機能をさらに改良する目的で、エチレン−α−オレフィン共重合体(D)を添加してもよい。かかるエチレン−α−オレフィン共重合体(D)におけるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィン、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体(D)の密度は、通常、0.850〜0.910g/cm3、好ましくは0.860〜0.890g/cm3である。
密度が0.850g/cm3未満の共重合体は、得られるシートまたはフィルムの透明性あるいは耐ブロッキング性が悪化しやすく、レトルト用フィルムとしては適さない場合がある。一方、密度が0.910g/cm3よりも高い場合、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性が低下するおそれがあり、またフィッシュアイが発生しやすくなる傾向にあるため、レトルト用フィルムとしては適さない場合がある。エチレン−α−オレフィン共重合体(D)の添加量は、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(100重量%)中に、0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%の範囲である。
エチレン−プロピレン共重合体(B’)
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物には、得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性等の機能をさらに改良する目的で、前記プロピレン−エチレン共重合体(B)よりも多いエチレンに由来する構成単位の含有量、あるいは組成物C2のn−デカン可溶部(Dsol)に含まれるエチレンに由来する構成単位の含有量よりも多い量を有するエチレン−プロピレン共重合体(B’)を添加してもよい。
かかるエチレン−プロピレン共重合体(B')のエチレンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは30〜70mol%、より好ましくは30〜55mol%の範囲にある。
エチレン−プロピレン共重合体(B')としては、包装材料用プロピレン系樹脂組成物から得られるシートまたはフィルムの耐衝撃性、耐ブロッキング性を改良する観点から、メタロセン触媒の存在下で製造されたものであることが望ましい。エチレン−プロピレン共重合体(B')の添加量は、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(100重量%)中に、0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
また、エチレン−プロピレン共重合体(B')はプロピレン系重合体(A)およびプロピレン−エチレン共重合体(B)とを同一系で重合する際に重合して添加しても良い。
プロピレン系重合体(I')
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物に添加されるプロピレン系重合体(I')は、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンとのブロック共重合体である。前記α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。なかでも、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンのα−オレフィンが好ましい。プロピレンと共重合されるエチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンは2種以上用いてもよい。
プロピレン系重合体(I')の融点(Tm)は、通常、150〜170℃、好ましくは155〜170℃である。また、プロピレン系重合体(I')のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)は、通常、0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜8g/10分、より好ましくは1.0〜5g/10分である。
プロピレン系重合体(I')の添加量は、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(100重量%)中に、0〜50重量%、好ましくは0〜25重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物には、さらに必要に応じて、通常、オレフィン系重合体に添加される酸化防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤、種々の合成樹脂等の各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
包装材料用プロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、種々公知の製造方法により得られうる。例えば、予め得られた前記プロピレン系重合体(A)と前記プロピレン−エチレン共重合体(B)とを前記記載の量で、必要に応じて前記重合体あるいは各種添加剤を配合して、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサーなどの種々公知の装置を用いて混合する方法、あるいは混合した後、単軸押出機あるいは二軸押出機、ブラベンダー又はロール等の種々公知の混練機を使用して、170〜300℃、好ましくは190〜250℃で溶融混練する方法等が挙げられる。
また、本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、以下の方法で、プロピレンおよびエチレン等を重合することによっても製造し得る。
本発明の包装材料用プロピレン系樹脂組成物、とくに組成物C2を重合により製造する場合は、触媒としてメタロセン触媒の存在下で、次の二つの工程([工程1]および[工程2])を連続的に実施することが好ましい。
[工程1]は、メタロセン触媒の存在下に、プロピレンを単独重合またはプロピレンおよびエチレンを共重合して、前記プロピレン系重合体(A)または23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol)が0.5重量%以下である単独重合体または共重合体を前記範囲の量で製造する工程である。
[工程2]は、メタロセン触媒の存在下に、プロピレンおよびエチレンを共重合して、前記プロピレン−エチレン共重合体(B)または23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol)が5.0重量%以下である共重合体を前記範囲の量で製造する工程である。
本発明における包装材料用プロピレン系樹脂組成物は、具体的には、二つ以上の反応器を直列に連結した重合装置を用い、前記二つの工程([工程1]および[工程2])を連続的に実施することによって製造することが好ましい。
[工程1]は、重合温度0〜100℃、重合圧力常圧〜5MPaゲージ圧で、プロピレンを単独重合、またはプロピレンと少量のエチレンとを共重合させる工程である。[工程1]では、プロピレン単独重合、またはプロピレンと少量のエチレンとを共重合させることによって、[工程1]で製造されるプロピレン系(共)重合体が包装材料用プロピレン系樹脂組成物中の23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol)の主成分となるようにする。
[工程2]は、重合温度0〜100℃、重合圧力常圧〜5MPaゲージ圧で、プロピレンとエチレンを共重合させる工程である。[工程2]では、プロピレンに対するエチレンのフィード量を[工程1]のときよりも多くすることによって、[工程2]で製造されるプロピレン−エチレン共重合体が包装材料用プロピレン系樹脂組成物中の23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol)の主成分となるようにする。
ここで、前記Dinsolは、実質的に包装材料用プロピレン系樹脂組成物中に含まれるプロピレン系重合体(A)に相当する。また、前記Dsolは、実質的に包装材料用プロピレ系樹脂組成物中に含まれるプロピレン−エチレン共重合体(B)に相当する。
なお、包装材料用プロピレン系樹脂組成物で、実質的にプロピレン系重合体(A)に相当するDinsolにおいてプロピレンの2,1-挿入結合量、1,3-挿入結合量が多い場合、実質的にプロピレン−エチレン共重合体(B)に相当するDsolの組成分布が広くなり、剛性、耐衝撃性が低下する場合がある。2,1-挿入および1,3-挿入とは、包装材料用プロピレン系樹脂組成物中におけるプロピレンの位置不規則単位であり、これらを含む部分構造は下記(i)および(ii)で表される。
Figure 2008045008
さらに[工程1]並びに[工程2]での重合終了後、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行うことにより、包装材料用プロピレン系樹脂組成物がパウダーとして得られる。
メタロセン触媒
本発明において、プロピレン系重合体(A)、プロピレン−エチレン共重合体(B)またはプロピレン系樹脂組成物は、メタロセン触媒の存在下で製造されるのが好ましい。
本発明で用いられるメタロセン触媒としては、メタロセン化合物、ならびに有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物から選ばれる少なくても1種以上の化合物、さらに必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒で、好ましくはアイソタクチックまたはシンジオタクチック構造等の立体規則性重合をすることのできるメタロセン触媒を挙げることができる。前記メタロセン化合物の中では、本願出願人による国際出願によって既に公開(WO01/27124)されている架橋性メタロセン化合物が好適に用いられる。
Figure 2008045008
上記一般式[I]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。このような炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。また、R5からR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
前記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環に置換するR1、R2、R3、R4は水素、または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくはR3が炭素数1〜20の炭化水素基である。
前記一般式[I]において、フルオレン環に置換するR5からR12は炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。R5からR12の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環を架橋するYは第14族元素であることが好ましく、より好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウムでありさらに好ましくは炭素原子である。このYに置換するR13、R14は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。これらは互いに同一でも異なっていてもよく、または互いに結合して環を形成してもよい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくはR14は炭素数6〜20のアリール(aryl)基である。アリール基としては、前述の環状不飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有環状不飽和炭化水素基を挙げることができる。また、R13、R14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。このような置換基としては、フルオレニリデン基、10-ヒドロアントラセニリデン基、ジベンゾシクロヘプタジエニリデン基などが好ましい。
前記一般式[I]において、Mは好ましくは第4族遷移金属であり、さらに好ましくはTi、Zr、Hf等が挙げられる。また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
このような架橋メタロセン化合物としては、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル−シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドが好ましく用いられる。
また、下記一般式[II]で表されるメタロセン化合物も好適に使用することができる。
Figure 2008045008
一般式[II]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は水素原子、炭化水素原子基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR16までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。ただしR2はアリール基ではない。なお、ここで言うアリール基とは芳香族炭化水素基において共役sp2炭素上に遊離原子価をもつ置換基、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基などを指し、ベンジル基やフェネチル基、フェニルジメチルシリル基などは含まない。炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、アリル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert-ブチル基、アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基; シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルアダマンチル基などの環状飽和炭化水素基; フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基; ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基; メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。また、フルオレニル環のR9からR16の隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。このような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
前記一般式[II]において、R1およびR3は水素原子であることが好ましい。さらにR6およびR7から選ばれる少なくとも1つは水素原子であることが好ましく、R6およびR7は共に水素原子であることがより好ましい。
前記一般式[II]において、シクロペンタジエニル環に置換するR2はアリール基ではなく、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、前述の炭化水素基を例示することができる。R2としては炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基が好ましく、特に好ましくはtert-ブチル基である。
R4およびR5は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基およびアリール基から選ばれ、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基である。R4およびR5は、メチル基およびフェニル基から選ばれることがさらに好ましく、R4とR5が同一であることが特に好ましい。
前記一般式[II]において、フルオレン環上のR9、R12、R13およびR16は水素原子であることが好ましい。
前記一般式[II]において、Mは第4族遷移金属であり、具体的にはTi、Zr、Hf等が挙げられる。また、Qはハロゲン原子、炭化水素原子基、アニオン配位子、及び孤立電子対で配位可能な中性配位子からなる群より選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上の時は、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものを挙げることができる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基、アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基、メシレート、トシレートなどのスルホネート基、ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類等が挙げられる。Qは少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
本発明に係わる、前記一般式[II]で表されるメタロセン化合物としては、[3-(フルオレニル)(1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3,5-テトラメチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3,5-テトラメチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3,5-テトラメチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3,5-テトラメチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリエチル-2-メチル5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリエチル-2-メチル5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリエチル-2-メチル5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリエチル-2-メチル5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,3-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,3-ジメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-エチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-エチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-エチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-エチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-トリメチルシリル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-トリメチルシリル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-トリメチルシリル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-トリメチルシリル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1-フェニル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-フェニル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-フェニル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1-フェニル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1-p-トリル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-p-トリル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-p-トリル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1-p-トリル-3-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,3-ジフェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジフェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジフェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,3-ジフェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,3-ジフェニル-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジフェニル-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジフェニル-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,3-ジフェニル-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,3-ジ(p-トリル)-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジ(p-トリル)-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,3-ジ(p-トリル)-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,3-ジ(p-トリル)-1-メチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1-メチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-メチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1-メチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1-メチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1-ジメチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1-ジメチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1-ジメチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1-ジメチル-3-フェニル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ハフニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ハフニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ハフニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ハフニウムジクロライド、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]チタニウムジクロライド、[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]チタニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]チタニウムジクロライド、
[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]チタニウムジクロライド、特に好ましい化合物としては、[3-(フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、
[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(3',6'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを例示することができる。 ただし、本発明のメタロセン化合物[m]は、上記例示化合物に何ら限定されるものではなく、本願請求の範囲で定義された要件を満たす全ての化合物を包含するものである。なお、上記化合物の命名に用いた位置番号を[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド、および[3-(2',7'-ジ-tert-ブチルフルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを例にとりそれぞれ下式[II']及び式[II'']に示す。
Figure 2008045008
Figure 2008045008
なお、本発明に係わるメタロセン触媒において、前記一般式[I]、[II]で表わされる第4族遷移金属化合物とともに用いられる、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、さらには必要に応じて用いられる粒子状担体については、本出願人による前記公報(WO01/27124)または特開平11-315109号公報中に開示された化合物を制限無く使用することができる。
シートまたはフィルム
本発明のシートまたはフィルムは、本発明の前記包装材料用プロピレン系樹脂組成物から得られるシートまたはフィルムである。
かかるシートまたはフィルムは、包装材料用プロピレン系樹脂組成物を用い、種々公知の成形方法、例えば、押出し機の先端にT−ダイあるいはサーキュラーダイを備えたフィルム成形機で製造し得る。
本発明のシートまたはフィルムの厚さは、用途に応じて種々決め得るが、通常、10μm〜2mm、好ましくは10〜200μmの範囲にある。本発明のフィルムは、比較的薄いフィルムとしても低温での耐衝撃性に優れている。
本発明のシートまたはフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、未延伸フィルムが好ましい。
本発明のシートまたはフィルムは単層でもレトルト用フィルム等の包装材料として使用し得るが、延伸または未延伸ポリアミドフィルム、一軸または二軸延伸ポリエステルフィルム、アルミニウム箔または紙等とラミネートすることにより、複層のレトルト用フィルムとして用いることができる。また、単層および多層のプロテクトフィルムとすることにより、光学シートや金属の表面保護材料として使用することができる。
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。本発明において採用した分析方法は以下の通りである。
[m1] MFR(メルトフローレート)
MFRは、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した。
[m2] 融点 (Tm)
示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製)を用いて測定を行った。ここで、第3stepにおける吸熱ピークを融点(Tm)と定義した。
(測定条件)
第1step : 10℃/minで240℃まで昇温し、10min間保持する。
第2step : 10℃/minで60℃まで降温する。
第3step : 10℃/minで240℃まで昇温する。
[m3] 極限粘度[η]
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]= lim(ηsp/C) (C→0)
[m4] Mw/Mn測定〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)〕
ウォーターズ社製GPC-150C Plusを用い以下の様にして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6-HT及びTSK gel GMH6-HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業)0.025重量%を用い、1.0 ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用い、汎用較正法を用いてPPに換算した。なお、PS、PPのMark-Houwink係数はそれぞれ、文献(J. Polym. Sci., Part A-2, 8, 1803 (1970)、Makromol. Chem., 177, 213 (1976))に記載の値を用いた。
[m5] 23℃におけるn-デカン可溶部量(D sol
最終生成物(すなわち、本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物)のサンプル5gにn-デカン200mlを加え、145℃で30分間加熱溶解した。約3時間かけて、23℃まで冷却させ、30分間放置した。その後、析出物(以下、23℃におけるn-デカン不溶部:Dinsol)をろ別した。ろ液を約3倍量のアセトン中入れ、n-デカン中に溶解していた成分を析出させた。析出物(A)とアセトンをろ別し、析出物を乾燥した。なお、ろ液側を濃縮乾固しても残渣は認められなかった。23℃におけるn-デカン可溶部量は、以下の式によって求めた。
23℃におけるn-デカン可溶部量(重量%)=[析出物(A)重量/サンプル重量]×100
[m6] エチレンに由来する構成単位の含量
プロピレン−エチレン共重合体(B)およびDinsol、Dsol中のエチレンに由来する構成単位の濃度を測定するために、サンプル20〜30mgを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C-NMR)を行った。プロピレン、エチレン、α-オレフィンの定量はダイアッド連鎖分布より求めた。例えば、プロピレン−エチレン共重合体の場合、PP=Sαα、EP=Sαγ+Sαβ、EE=1/2(Sβδ+Sδδ)+1/4Sγδを用い、以下の計算式(Eq-1)および(Eq-2)により求めた。
プロピレン(mol%) = (PP+1/2EP)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE) …(Eq-1)
エチレン(mol%) = (1/2EP+EE)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE) …(Eq-2)
なお、本実施例におけるDinsolのエチレン量およびα-オレフィン量の単位は、重量%に換算して表記した。
[m7] 2,1-挿入結合量、1,3-挿入結合量
サンプル20〜30mgを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C-NMR)を行った。2,1-挿入で形成されたモノマーは、ポリマー鎖中において前記の部分構造(i)で表される位置不規則単位を形成する。全プロピレン挿入に対する2,1-プロピレンモノマー挿入量は、下記の式で計算した。
Figure 2008045008
この式において、ΣICH3は全メチル基の面積を示す。また、IαδおよびIβγはそれぞれαβピーク(37.1ppm付近で共鳴)の面積、βγピーク(27.3ppm付近で共鳴)の面積を示す。なお、これらメチレンピークの命名は、Carmanらの方法(Rubber Chem. Technol.,44(1971),781)に従った。
同様に、全プロピレン挿入に対する前記の部分構造(ii)で表される1,3-プロピレンモノマー挿入量は、下記の式で計算した。
Figure 2008045008
[m8] 密度
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度の測定は測定サンプルを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
[m9] フィルムの剛性
JIS K 6781に準じてフィルムのヤング率を測定し、剛性を評価した。
<試験条件>
温度: 23℃
引張速度: 200mm/min
チャック間距離: 80mm
[m10] フィルムの耐衝撃性
フィルムを5cm×5cmにサンプリングし、所定温度下でインパクトテスター(下から上へハンマーを突きあげる方式)で面衝撃強度を測定し、耐衝撃性を評価した。
<試験条件>
温度: -10℃
ハンマー: 先端 1インチ、 荷重 3.0J
[m11] フィルムのヘイズ(HAZE)
ASTM D-1003に準拠して測定した。
[m12] フィルムの耐ブロッキング性
MD方向10cm×TD方向10cmのフィルムのチルロール面どうしを重ね合わせ、50℃の恒温槽に200g/cm2の荷重下で3日間保持する。その後、23℃、湿度50%の室内にて24時間以上状態調節した後、引張速度200mm/minで剥離させたときの剥離強度を測定し、剥離強度を試験片幅で割った値をブロッキング係数とし、耐ブロッキング性を評価した。ここで、ブロッキング係数が小さいほど、耐ブロッキング性に優れる。
[m13] フィルムのヒートシール強度
フィルムを5mm幅にサンプリングし、ヒートシール時間1秒、ヒートシール圧力0.2MPaでシールした。シールしたフィルムの両端を300mm/minで引張り、剥離する最大強度を測定した。なお、シールバーの上部を200℃の指定温度に設定し、下部の温度を70℃とした。
〔製造例1〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−1)の製造
(1) 固体触媒担体の製造
1L枝付フラスコにSiO2300gをサンプリングし、トルエン800mLを入れ、スラリー化した後、5L4つ口フラスコへ移液をし、トルエン260mLを加えた。メチルアルミノキサン(以下、MAO)のトルエン溶液(10重量%溶液)を2830mL加え、室温下で30分間攪拌した。1時間かけて110℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、室温まで降温した。冷却後、上澄みトルエン液を除去し、再びトルエンを加え、置換率が95%になるまで、置換を行った。
(2) 固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5Lの4つ口フラスコに3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを2.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.46リットルと(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットルを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られた[3-(1',1',4',4',7',7',10',10'-オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3-トリメチル-5-tert-ブチル-1,2,3,3a-テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。
(3) 前重合触媒の製造
前記 (2)で調製した固体触媒成分404g、トリエチルアルミニウム218mL、ヘプタン100Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを1212g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で4g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(4) 本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を2NL/時間、前記(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として3.5g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合を行なった。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーを内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.2mol%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.52(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるように、プロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂組成物を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例2〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−2)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法で包装材料用プロピレン系樹脂組成物を製造した。
(1) 本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.10(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂組成物を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例3〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−3)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法で包装材料用プロピレン系樹脂組成物を製造した。
(1) 本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09mol%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.10(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.9MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂組成物を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例4〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−4)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法で包装材料用プロピレン系樹脂組成物を製造した。
(1) 本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.20(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.0MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂組成物を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例5〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−5)の製造
製造例1(1)で製造した固体触媒担体を用い、以下の方法により包装材料用プロピレン系樹脂組成物を製造した。
(1)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5Lの4つ口フラスコにジフェニルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを2.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.46リットルと(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットルを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られたジフェニルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。
(2)前重合触媒の製造
前記の(1)で調製した固体触媒成分404g、トリエチルアルミニウム218mL、ヘプタン100Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを606g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で4g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(3)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、前記(2)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として10.0g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合を行なった。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーを内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.05mol%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.10(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例6〕包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2−6)の製造
製造例1(1)で製造した固体触媒担体を用い、以下の方法により包装材料用プロピレン系樹脂組成物を製造した。
(1)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5Lの4つ口フラスコにジメチルシリレンビス-(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドを2.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.46リットルと(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットルを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られたジメチルシリレンビス-(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。
(2)前重合触媒の製造
前記 (1)で調製した固体触媒成分202g、トリエチルアルミニウム109mL、ヘプタン100Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを606g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で2g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(3)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を2NL/時間、前記(2)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として1.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.14mol%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.45(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.7MPa/Gで重合を行った。
得られた包装材料用プロピレン系樹脂組成物を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例7〕プロピレン系重合体(A−1)の製造
製造例1(1)で製造した固体触媒担体を用い、以下の方法によりプロピレン系重合体を製造した。
(1)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5Lの4つ口フラスコにジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライドを2.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.46リットルと(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットルを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られたジメチルメチレン(3-tert-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(3,6-ジ-tert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロライド/MAO/SiO2/トルエンスラリーはn-ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。
(2)前重合触媒の製造
前記 (1)で調製した固体触媒成分202g、トリエチルアルミニウム109mL、ヘプタン100Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを606g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で2g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(3) 本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を3NL/時間、前記(2)で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として8.0g/時間、トリエチルアルミニウム5.5ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合を行なった。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーを内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。プロピレンを160kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.07mol%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを16kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.07mol%になるように供給した。重合温度69℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを12kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.07mol%になるように重合器へ供給した。重合温度68℃、圧力2.9MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、重合を行った。重合器へは、プロピレンを17kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.07mol%になるように供給した。重合温度67℃、圧力2.8MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを気化後、気固分離を行い、プロピレン系重合体を得た。得られたプロピレン系重合体を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例8〕プロピレン系重合体(A−2)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例5と同様の方法でプロピレン系重合体を製造した。
(1)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを57kg/時間、水素を4NL/時間、前重合で製造した触媒スラリーを固体触媒成分として7.1g/時間、トリエチルアルミニウム4.0mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は2.6MPa/Gであった。
得られたスラリーを内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。重合器へは、プロピレンを50kg/時間、エチレンを1.7kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.16mol%になるように供給した。重合温度60℃、圧力2.5MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを11kg/時間、エチレンを1.2kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.16mol%になるように重合器へ供給した。重合温度59℃、圧力2.4MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを気化後、気固分離を行い、プロピレン系重合体を得た。得られたプロピレン系重合体を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例9〕プロピレン−エチレン共重合体(B−1)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例5と同様の方法でプロピレン系重合体を製造した。
(1) 本重合
充分に窒素置換し、10℃にした内容量30LのSUS製オートクレーブに液体プロピレン9kgを装入し、エチレンを分圧として0.5MPa装入した。充分に撹拌しながら45℃まで加温し、触媒挿入用ポットから、固体触媒成分として0.6g/ヘプタン300mlとトリエチルアルミニウム0.5mlの混合溶液を窒素でオートクレーブに加圧挿入した。60℃で、20分間重合を行った後、メタノールを添加し重合を停止した。重合終了後、プロピレンをパージし、充分窒素置換をし、ポリマーを分別した。80℃で真空乾燥した。
〔製造例10〕プロピレン−エチレン共重合体(B−2)の製造
(1) 固体状チタン触媒成分の調製
無水塩化マグネシウム952g、デカン4420mlおよび2−エチルヘキシルアルコール3906gを、130℃で2時間加熱して均一溶液とした。この溶液中に無水フタル酸213gを添加し、130℃にてさらに1時間攪拌混合を行って無水フタル酸を溶解させた。
このようにして得られた均一溶液を23℃まで冷却した後、その溶液の750mlを、−20℃に保持された四塩化チタン2000ml中に1時間かけて滴下した。滴下後、得られた混合液の温度を4時間かけて110℃まで昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)52.2gを添加し、さらに2時間攪拌しながら同温度に保持した。次いで熱時濾過にて固体部を採取し、この固体部を2750mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間加熱した。
加熱終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンを用いて、洗浄液中にチタン化合物が検出されなくなるまで洗浄した。
上記の調製された固体状チタン触媒成分はヘキサンスラリーとして保存されるが、このうち一部を乾燥して触媒組成を調べた。固体状チタン触媒成分は、チタンを2重量%、塩素を57重量%、マグネシウムを21重量%およびDIBPを20重量%の量で含有していた。
(2) 前重合触媒の製造
遷移金属触媒成分56g、トリエチルアルミニウム9.8mL、ヘプタン80Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温5℃に保ちプロピレンを560g挿入し、60分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、遷移金属触媒成分濃度で1.0g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は遷移金属触媒成分1g当りポリプロピレンを10g含んでいた。
(3) 本重合
充分に窒素置換した内容量30LのSUS製オートクレーブに液体プロピレン9kgを装入し、充分に撹拌しながら45℃まで加温した。エチレンを分圧として0.15MPa、水素20NLを装入した。触媒挿入用ポットから、固体触媒成分として0.2g/ヘプタン200mlとトリエチルアルミニウム2.0mlとジシクロペンチルジメトキシシラン0.4mlの混合溶液を窒素でオートクレーブに加圧挿入した。50℃で、15分間重合を行った後、メタノールを添加し重合を停止した。重合終了後、プロピレンをパージし、充分窒素置換をし、ポリマーを分別した。80℃で真空乾燥した。得られたプロピレン−エチレン共重合体(B−2)のエチレン量は20mol%、極限粘度[η]は2.1dl/gであった。
[実施例1]
製造例1で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-1)100重量部に対して、熱安定剤IRGANOX1010(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、アンチブロッキング剤サイロホービック505(富士シリシア化学株式会社製)0.5重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を調整し、Tダイ押出機[品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製]にてキャストフィルムを製膜した。フィルムの物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向ニ軸混練機 : 品番 NR2-36、ナカタニ機械(株)製
混練温度 : 240℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 400rpm
<フィルム成形>
25mmΦTダイ押出機 : 品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製
押出温度 : 230℃
チルロール温度 : 30℃
引取速度 : 4.5m/min程度
フィルム厚さ : 70μm
[実施例2]
実施例1において、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-1)100重量部を製造例2で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-2)100重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
[実施例3]
製造例3で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-3)95重量部とエチレン−オクテン共重合体(D-1)(エンゲージ8003(登録商標):デュポンダウエラストマー株式会社製、密度=0.885(g/cm3))5重量部とを合わせて100重量部に対して、熱安定剤IRGANOX1010(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、アンチブロッキング剤サイロホービック505(富士シリシア化学株式会社製)0.5重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を調整し、Tダイ押出機[品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製]にてキャストフィルムを製膜した。フィルムの物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向ニ軸混練機 : 品番 NR2-36、ナカタニ機械(株)製
混練温度 : 240℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 400rpm
<フィルム成形>
25mmΦTダイ押出機 : 品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製
押出温度 : 230℃
チルロール温度 : 30℃
引取速度 : 4.5m/min程度
フィルム厚さ : 70μm
[実施例4]
実施例3において、エチレン−オクテン共重合体(D-1) (エンゲージ8003(登録商標):デュポンダウエラストマー株式会社製、密度=0.885(g/cm3))5重量部を、エチレン−オクテン共重合体(D-2)(エンゲージ8480 (登録商標):デュポンダウエラストマー株式会社製、密度=0.902(g/cm3))5重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
[実施例5]
実施例3において、エチレン−オクテン共重合体(D-1) (エンゲージ8003(登録商標):デュポンダウエラストマー株式会社製、密度=0.885(g/cm3))5重量部を、エチレン−オクテン共重合体(D-3)(エンゲージ8100(登録商標):デュポンダウエラストマー株式会社製、密度=0.870(g/cm3))5重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
[実施例6]
実施例1において、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-1)100重量部を製造例5で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-5)100重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
[実施例7]
製造例7で製造されたプロピレン系重合体(A-1)80重量部と製造例9で製造されたプロピレン−エチレン共重合体(B-1)20重量部とを合わせて100重量部に対して、熱安定剤IRGANOX1010(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、アンチブロッキング剤サイロホービック505(富士シリシア化学株式会社製)0.5重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を調整し、Tダイ押出機[品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製]にてキャストフィルムを製膜した。フィルムの物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向ニ軸混練機 : 品番 NR2-36、ナカタニ機械(株)製
混練温度 : 240℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 400rpm
<フィルム成形>
25mmΦTダイ押出機 : 品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製
押出温度 : 230℃
チルロール温度 : 30℃
引取速度 : 4.5m/min程度
フィルム厚さ : 70μm
[実施例8]
実施例7において、プロピレン系重合体(A-1)80重量部を、チーグラーナッタ触媒系で製造されたプロピレン単独重合体(A-3)(F102W:プライムポリマー株式会社製)80重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
〔比較例1〕
実施例7において、プロピレン−エチレン共重合体(B-1)20重量部を、製造例8で製造されたプロピレン系重合体(A-2)20重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-1)100重量部を、製造例4で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-4)100重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-1)100重量部を、製造例6で製造された包装材料用プロピレン系樹脂組成物(C2-6)100重量部に代えた以外は同様にしてキャストフィルムを製膜した。得られたフィルムの物性を表2に示す。
〔比較例4〕
プロピレン系重合体(A-3)(F102W:プライムポリマー株式会社製)80重量部と製造例10で製造されたプロピレン−エチレン共重合体(B-2)20重量部とを合わせて100重量部に対して、熱安定剤IRGANOX1010(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(チハ゛・スペシャリティ・ケイミカルス゛株式会社製)0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、アンチブロッキング剤サイロホービック505(富士シリシア化学株式会社製)0.5重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を調整し、Tダイ押出機[品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製]にてキャストフィルムを製膜した。フィルムの物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向ニ軸混練機 : 品番 NR2-36、ナカタニ機械(株)製
混練温度 : 240℃
スクリュー回転数 : 200rpm
フィーダー回転数 : 400rpm
<フィルム成形>
25mmΦTダイ押出機 : 品番GT-25A、(株)プラスチック工学研究所製
押出温度 : 230℃
チルロール温度 : 30℃
引取速度 : 4.5m/min程度
フィルム厚さ : 70μm
Figure 2008045008
Figure 2008045008
本発明の、特定の性質を満たすプロピレン系樹脂組成物を成形して得られるフィルムおよびシートは、高透明性、剛性、低温耐衝撃性、耐ブロッキング性に優れたることから、レトルト用フィルム、プロテクトフィルムおよび医療容器包装用フィルムならびにこれらのシートに好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. 下記要件(a1)〜(a2)を満たすプロピレン系重合体(A)60〜90重量%および、下記要件(b1)〜(b4)を満たすプロピレン−エチレン共重合体(B)40〜10重量%を含む(ただし(A)+(B)=100重量%)ことを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物;
    プロピレン系重合体(A);
    (a1)メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜10(g/10min)。
    (a2)示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃。
    プロピレン−エチレン共重合体(B);
    (b1)エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%。
    (b2)デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g。
    (b3)分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下。
    (b4)23℃におけるn−デカン可溶部が95重量%以上。
  2. 前記プロピレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記プロピレン−エチレン共重合体(B)が、メタロセン触媒の存在下で重合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物。
  4. 下記要件(a1')〜(a2')を満たす、23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol60〜90重量%および下記要件(b1')〜(b3')を満たす、23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol40〜10重量%含み、且つ、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20(g/10min)の範囲にあることを特徴とする包装材料用プロピレン系樹脂組成物;
    n−デカン不溶部(Dinsol);
    (a1')エチレンに由来する構成単位の含有量が2重量%以下。
    (a2')示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)が145℃〜170℃。
    n−デカン可溶部(Dsol);
    (b1')エチレンに由来する構成単位の含有量が15mol%〜25mol%。
    (b2')デカリン溶媒、135℃における極限粘度[η]が1.8dl/g〜3.5dl/g。
    (b3')分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下。
  5. 前記プロピレン系樹脂組成物が、メタロセン触媒の存在下で、
    [工程1]プロピレンを単独重合またはプロピレンおよびエチレンを共重合して、23℃におけるn−デカン可溶部(Dsol)が0.5重量%以下である重合体を製造する工程と、
    [工程2]プロピレンおよびエチレンを共重合して、23℃におけるn−デカン不溶部(Dinsol)が5.0重量%以下である共重合体を製造する工程と
    を連続的に実施して得られることを特徴とする請求項4に記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物。
  6. さらに密度0.850〜0.910g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体(D)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物。
  7. さらにエチレンに由来する構成単位の含有量が30〜70mol%のエチレン−プロピレン共重合体(B')を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られるレトルト用フィルムまたはシート。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られるプロテクト用フィルムまたはシート。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装材料用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる医療容器包装用フィルムまたはシート。
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