JP2007303957A - エンコーダ - Google Patents

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亨 今井
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昭宏 渡邉
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Abstract

【課題】スケールの位置情報を高精度に検出する。
【解決手段】移動スケール24と、受光素子26との間には、凹型シリンドリカルレンズ25が設けられている。これにより、移動スケール24を通過した光は、円筒面波となり、受光素子26の受光面上の光のY軸方向の干渉縞の発生が防止される。この干渉縞による干渉光の光強度の変化は、受光素子26で検出される光電変換信号にノイズ成分として含まれるようになるので、干渉縞の発生を防止すれば、移動スケール24の位置情報を高精度に検出することができるようになる。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンコーダに係り、さらに詳しくは、移動体の位置情報を光学的に検出するエンコーダに関する。
従来より、一般的な光学式のエンコーダとして、移動体とともに移動し、かつ、移動方向に周期的に配列されたパターンを有するスケールと、このスケールに2つの可干渉光束を照射する照射光学系と、そのスケールで回折された正負の回折光の干渉光の強度変化を検出する受光素子とを備え、移動体の移動に伴って発生する2つの可干渉光束の位相差による干渉光の強度変化に基づいて、スケールと照射光学系との相対位置情報を検出する、いわゆる回折干渉式のエンコーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなエンコーダでは、スケールが、移動体の移動方向に対して回転している場合、受光素子の受光面上には、移動体の移動方向と交差する方向にも干渉縞が発生することがある。この干渉縞によりスケールを介した光の強度が変化するため、この干渉縞がスケールの位置情報の高精度な検出の妨げとなる。
特開2005−3438号公報
本発明は、所定方向に延びるパターンが形成され、平面状の波面を有する光が照射されるスケールと;前記スケールに照射された後、前記所定方向に延び、かつ、前記所定方向と交差する方向に拡がる円筒状の波面に変換された前記光を受光する受光素子;とを備えるエンコーダである。
これによれば、平面状の波面の光が、所定方向に延び、かつ、所定方向と交差する方向に拡がる円筒上の波面の光に変換された状態で受光素子により受光される。この結果、受光素子の受光面の各点に集光する光の位相差は相殺され、その光強度が所定方向に関してほぼ一定となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るエンコーダ10の主要部の概略的な構成が示されている。図1に示されるように、エンコーダ10は、いわゆる回折干渉方式のエンコーダであり、X軸方向に移動する移動体(不図示)の位置情報を検出するリニアエンコーダである。
このエンコーダ10は、図1に示されるように、光源12と、振動ミラー14と、コリメータレンズ18と、インデックススケール20、22と、移動スケール24と、シリンドリカルレンズ25と、受光素子26とを備えている。
光源12は、例えばコヒーレントな光、例えば波長λ(=850nm)のレーザ光を図1における+X方向に向けて射出する光源である。
振動ミラー14は、光源12からのレーザ光をインデックススケール20に向けて反射する。振動ミラー14は、アクチュエータを有する駆動装置16によりY軸回りの回転方向に周期的に回転振動する。この回転振動により、振動ミラー14に入射した光の反射方向は、その反射面の向きによって異なることとなり、コリメータレンズ18に入射する照明光の角度が周期的に変調されるようになる。
コリメータレンズ18は、振動ミラー14で反射されたレーザ光を平行光に変換する。
インデックススケール20は、X軸方向を刻線の周期方向とする回折格子が形成されたプレートから成る透過型の位相格子であり、これに、コリメータレンズ18を透過した平行光が入射する。インデックススケール20では、入射した平行光の一部が回折し、複数の回折光が発生する。図1では、それらの回折光のうち、インデックススケール20で発生した±1次回折光(図1において、+X側に出射している回折光を+1次回折光とし、−X側に出射している回折光を−1次回折光とする)が示されている。
インデックススケール22は、インデックススケール20と同様、X軸方向を周期方向とする回折格子が形成されたプレートから成る透過型の位相格子であり、インデックススケール20と移動スケール24との間に配置されている。このインデックススケール22は、インデックススケール20で発生した−1次回折光を回折して+1次回折光を生成する。この+1次回折光は、移動スケール24に向かう。また、インデックススケール22は、インデックススケール20で発生した+1次回折光を回折して−1次回折光を生成する。この−1次回折光は、移動スケール24に向かう。
移動スケール24は、インデックススケール20、22と同様、X軸方向を周期方向とする回折格子が形成されたプレートから成る透過型の位相格子であり、不図示の移動体に固定されている。この移動スケール24では、インデックススケール22で生成された+1次回折光を回折して−1次回折光を生成し、−1次回折光を回折して+1次回折光を生成する。これらの回折光は重なり合い、干渉しつつ−Z方向に進む。
なお、本実施形態では、インデックススケール20と移動スケール24の格子ピッチが同一であり、インデックススケール22の格子ピッチが、インデックススケール20及び移動スケール24の格子ピッチの1/2であるものとする。
そして、移動スケール24から射出された±1次回折光は、互いに干渉した状態で、シリンドリカルレンズ25に入射する。シリンドリカルレンズ25は、Y軸方向に関して凹型のシリンドリカルレンズである。このシリンドリカルレンズ25に入射した干渉光は、平面状の波面の光であったが、シリンドリカルレンズ25は、この光を、Y軸方向に延び、かつ、Z軸方向に拡がる円筒状の波面の光に変換する。
シリンドリカルレンズ25から出射された光は、受光素子26に入射する。この結果、受光素子26は、干渉光の干渉強度を示す光電変換信号を出力するようになる。干渉光の干渉強度は、移動スケール24のX軸方向の移動によって周期的に変化する。エンコーダ10では、この光電変換信号から干渉光の干渉強度の変動を検出し、その変動に基づいて、移動スケール24の位置情報を検出する。
図2(A)には、移動スケール24を+Z側から見た様子が示されている。本来、移動スケール24は、その刻線の周期方向が、X軸と平行となるように設置されるが、実際には、図2(A)に示されるように、移動スケール24は、X軸方向に移動しながらも、Z軸回りにも微小に回転する。図2(A)では、移動スケール24のZ軸回りの回転量をθで表している。この回転量θをヨーイング量とも呼んでいる。
ところで、移動スケール24がZ軸回りに回転(X軸に対して傾斜)すると、図2(B)に示されるように、Y軸方向にも光が回折し、異なる方向に進む複数の回折光が生じるようになる。この場合、もし、本実施形態に係るエンコータ10のように、シリンドリカルレンズ25がないとすると、受光素子26の受光面上に、Y軸方向の干渉縞が発生するようになる。この干渉縞により、受光素子26で検出される光電変換信号の信号レベルが変動するようになるため、この干渉縞は、移動スケール24の位置情報の検出誤差の原因となる。
そこで、本実施形態に係るエンコーダ10においては、図3に示されるように、移動スケール24と受光素子26との間に、凹型のシリンドリカルレンズ25が配置されている。このシリンドリカルレンズ25の焦点位置は、移動スケール24のパターン形成面上に合致している。このシリンドリカルレンズ25を配置することにより、移動スケール24から出射された光は、Y軸方向に延び、かつ、−Z方向に拡がる円筒状の波面の光に変換された状態で、受光素子26に到達する。このようにすれば、受光素子24の受光面の各点に到達する光には光路長差の変化が低減されるようになるため、その受光面上の光強度はY軸方向に関してほぼ一定となり、Y軸方向の干渉縞は生じなくなる。この結果、受光素子26から出力される光電変換信号に含まれるノイズを低減され、この光電変換信号に基づいて移動スケール24の位置情報を高精度に検出することが可能となる。
以上詳細に述べたように、本実施形態に係るエンコーダ10では、移動スケール24に入射した平面状の波面の光が、シリンドリカルレンズ25の作用により、円筒状の波面の光に変換した状態で受光素子26で受光されるので、受光素子26の受光面における光強度をY軸方向に関してほぼ一定にすることができるようになる。この結果、移動スケール24(結果的に、移動体)の位置情報を高精度に検出することが可能となる。
本実施形態では、平面状の波面から円筒状の波面への変換は、凹型のシリンドリカルレンズ25によって実現されるが、平面状の波面から円筒状の波面へ変換する光学素子であれば、任意のものを用いることが可能である。例えば、同じシリンドリカルレンズの一種である、フレネル型のシリンドリカルレンズを適用することも可能である。フレネル型のシリンドリカルレンズは、同様の光学的効果を有する通常のシリンドリカルレンズ(シリンドリカルレンズ25)よりも薄いので、移動スケール24と、受光素子26との間の距離を短くすることができる。これにより、装置の小型化が可能となる。
また、必ずしも、移動スケール24と受光素子26との間に光学素子を配置する必要はない。例えば、凹型のシリンドリカルレンズ25を配置せずに、移動スケール24の代わりに、図4(A)に示される移動スケール24’を採用するようにしてもよい。図4(A)に示されるように、移動スケール24’は、図2(A)に示される移動スケール24に対して、刻線長が短く規定されている。
この刻線長をLとする。図4(B)には、刻線長Lを説明するための図が示されている。図4(B)には、2本の刻線が示されている。移動スケール24’のヨーイング許容回転量がθであるとすると、刻線長Lは、以下の式で規定される。
L≦p/tanθ …(1)
ここで、pは、移動スケール24の刻線ピッチである。例えば、θ=30分のとき、p=5μmであるとすると、刻線長はLは573μmまで許容することができる。すなわち、Y軸方向に関する刻線の長さLが、その長さに対する刻線のピッチpの比が、移動スケール24の回転角度の許容値における正接の値以上となるように、規定される。
刻線長Lを上記式(1)で規定した場合、図4(C)で示されるように、移動スケール24を通過した光は、円筒状の波面の光となり、本実施形態に係るエンコーダ10のように、移動スケール24と受光素子26との間に、シリンドリカルレンズ25を配置するのと同様に、受光素子26の受光面上の光のY軸方向の干渉縞の発生が防止され、その受光面上の光強度がY軸方向に関してほぼ一定となる。
なお、上記実施形態に係るエンコーダ10の構成は、適宜設計変更が可能である。例えば、各スケール上の回折格子は、刻線により形成されていなくてもよく、クロムパターンであってもよい。また、インデックススケール20の代わりに、レーザ光を2つの分岐させるビームスプリッタなどの光学素子を配置するようにしてもよい。また、インデックススケール22の代わりに、2枚の反射ミラーを配置するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、移動スケール24が、透過型である場合について説明したが、これに限らず、移動スケール24を反射型スケールとすることも可能である。この場合、移動スケール24で反射した光を、ビームスプリッタ等を用いて反射させ、その反射光の光路上に、凹型のシリンドリカルレンズ25及び受光素子26を設けることとすればよい。この場合にも、本実施形態と同様の計測を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、振動ミラー14を採用することとしたが、これに代えて、クリスタル、音叉型クリスタルなどを用いることとしてもよい。要は、インデックススケール20への照明光の入射角を周期的に変動させるような機構を備えていればよい。例えば、複数の点光源を一列に並べたものを光源とし、各点光源を周期的に点灯させようにしてもよい。
また、上記実施形態では、レーザ光の進行方向を変えて、インデックススケール20への入射角を周期的に振動させたが、レーザ光の進行方向を固定して、インデックススケール20の姿勢を周期的に回転振動させるようにしてもよい。
また、移動スケール24のZ軸方向へのドリフトを検出する機構は、上記実施形態のエンコーダ10以外のエンコーダにも適用することが可能である。例えば、振動ミラー14を駆動する駆動装置16を取り去り、単なる反射ミラーに代え、ミラーを振動させる代わりに、光源12をZ軸に沿って周期的に振動させるようにするようなエンコーダにも適用することが可能である。また、インデックススケール20を、X軸方向に振動させるようにしてもよい。
また、光源12に振動させずに、コリメータレンズ18をX軸に沿って周期的に振動させるエンコーダにも本発明を適用することが可能である。また、光源12とコリメータレンズ18との間に音響光学素子(AOM)や、電気光学素子(EOM)を配置することによって、レーザ光の進行方向又は通過位置を周期的に振動させるエンコーダにも本発明を適用することができる。
さらに、移動スケール24によって形成された干渉光に相当する信号を光電変換信号を変調させずに検出するエンコーダにも、本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、移動スケール24が移動する場合について説明したが、これに限られるものではなく、移動スケール24以外の部分が移動する場合についても本発明を採用することができる。要は、移動スケール24と他の光学部材とが相対的に移動する構成であればよい。
なお、上記実施形態では、インデックススケール20、22と移動スケール24、参照スケール25が位相格子を有する場合について説明したが、これに限らず、振幅型の回折格子(明暗型の回折格子)を採用してもよい。また、振幅型の回折格子と位相格子とを混在させるようにしてもよい。
このように、エンコーダにおける光学系の配置は、様々な変形が可能である。紙面の都合上、上記実施形態等においては、エンコーダにおける光学系の各種光学素子を、XZ平面内にすべて配置したが、これに限らず、インデックススケール20で発生した回折光を移動スケール24上に導く各種光学素子を、3次元的に配置してもよいことは勿論である。
なお、上記実施形態では、±1次回折光を計測光として用いたが、本発明はこれには限られない。さらに高次の回折光の干渉光を計測光として用いてもよいし、0次とn次(又は−n次)、+n次と+(m+n)次というように異なる次数の回折光同士の干渉光を計測光として用いてもよい。ただし、回折光の強度を考慮すれば±1次回折光を計測光として用いるのが望ましいといえる。
上記実施形態におけるレーザ光の波長や各回折格子の格子ピッチの値などは、あくまで一例であって、エンコーダに対して要求される分解能に応じて適宜決定される。一般的に、回折格子の格子ピッチを小さくすればするほど、エンコーダの分解能は向上する。
以上説明したように、本発明のエンコーダは、移動体の位置情報を検出するのに適している。
本発明の一実施形態に係るエンコーダの概略的な構成を示す図である。 図2(A)は、移動スケール24を+Z側から見た図であり、図2(B)は、エンコーダの一部を+X側から見た図である。 図1のエンコーダの原理を説明するための図である。 図4(A)は、エンコーダの移動スケールの他の例を示す図であり、図4(B)は、移動スケールの刻線長の規定を説明するための図であり、図4(C)は、このエンコーダの原理を説明するための図である。
符号の説明
10…エンコーダ、12…光源、14…振動ミラー、16…駆動装置、18…コリメータレンズ、20、22…インデックススケール、24、24’…移動スケール、25…シリンドリカルレンズ、26…受光素子。

Claims (6)

  1. 所定方向に延びるパターンが形成され、平面状の波面を有する光が照射されるスケールと;
    前記スケールに照射された後、前記所定方向に延び、かつ、前記所定方向と交差する方向に拡がる円筒状の波面に変換された前記光を受光する受光素子;とを備えるエンコーダ。
  2. 前記スケールを介した前記平面状の波面を有する光を、前記所定方向に延び、かつ、前記所定方向と交差する方向に拡がる前記円筒状の波面を有する光に変換する光学素子をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
  3. 前記光学素子は、
    焦点位置が前記スケールの前記パターン形成面上にあり、前記所定方向に関して、凹型のシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ。
  4. 前記シリンドリカルレンズは、フレネル型のレンズであることを特徴とする請求項3に記載のエンコーダ。
  5. 前記スケール上には、前記パターンが、所定方向と直交する方向に周期的に配列されており、
    前記所定方向に関する前記パターンの長さが、
    前記パターンの長さ方向と、前記パターンの周期方向とを含む2次元平面内における前記スケールの回転角度と、前記パターンの周期とに基づいて規定されることを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
  6. 前記所定方向に関する前記パターンの長さに対する前記パターンの周期の比が、前記スケールの回転角度の許容値における正接の値以上となるように、前記所定方向に関する前記パターンの長さが、規定されていることを特徴とする請求項5に記載のエンコーダ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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