JP2007247512A - 可変容量型圧縮機における容量制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変容量型圧縮機の起動直後において吐出容量が大きくなるまでに掛かる時間を短縮でき、且つ運転効率向上に適した冷媒排出流量に調整できる容量制御弁を提供する。
【解決手段】電磁ソレノイド38によって駆動されるバルブ組み立て48には第1弁体62、第2弁体63及び第3弁体64が設けられている。バルブ組み立て48(駆動力伝達体61)は、第1弁体62が閉位置にあるときには第3弁体64が開位置にある第1配置状態と、第3弁体64が閉位置にあるときには第1弁体62が開位置にある第2配置状態と、第1弁体62と第3弁体64とがいずれも開位置にある第3配置状態とに、電磁ソレノイド38によって切り換え配置される。バルブ組み立て48に設けられた第2弁体63には感圧機構49を構成する受圧体56が接離可能である。
【選択図】図2
【解決手段】電磁ソレノイド38によって駆動されるバルブ組み立て48には第1弁体62、第2弁体63及び第3弁体64が設けられている。バルブ組み立て48(駆動力伝達体61)は、第1弁体62が閉位置にあるときには第3弁体64が開位置にある第1配置状態と、第3弁体64が閉位置にあるときには第1弁体62が開位置にある第2配置状態と、第1弁体62と第3弁体64とがいずれも開位置にある第3配置状態とに、電磁ソレノイド38によって切り換え配置される。バルブ組み立て48に設けられた第2弁体63には感圧機構49を構成する受圧体56が接離可能である。
【選択図】図2
Description
本発明は、供給通路を介して吐出圧領域の冷媒を制御圧室に供給すると共に、排出通路を介して前記制御圧室の冷媒を吸入圧領域に排出して前記制御圧室内の調圧を行い、前記制御圧室内の調圧によって吐出容量を制御する可変容量型圧縮機における容量制御弁に関する。
傾角可変に斜板を収容する制御圧室を備えた可変容量型圧縮機においては、制御圧室の圧力が高くなると斜板の傾角が小さくなり、制御圧室の圧力が低くなると斜板の傾角が大きくなる。斜板の傾角が小さくなると、ピストンのストロークが小さくなって吐出容量が小さくなり、斜板の傾角が大きくなると、ピストンのストロークが大きくなって吐出容量が大きくなる。
特許文献1には、吐出圧領域から制御室へ供給される冷媒の流量を制御すると共に、制御室(本願明細書における制御圧室)から吸入圧領域へ排出される冷媒の流量を制御する容量制御弁が開示されている。特許文献1に開示される容量制御弁は、感圧装置と、電磁ソレノイドと、電磁ソレノイドによって駆動される弁体とを備えている。弁体内には検出連通路(吸入圧領域)に通じる開放通路が形成されており、開放通路内の圧力(吸入圧)は、感圧装置を構成するベローズに結合された係合部に作用するようになっている。又、ベローズの外部に形成された容量室は、第2連通路を介して制御室に連通しており、且つ弁体によって開閉される弁孔を介して第1連通路(吐出圧領域)に連通可能である。ベローズは、第1連通路及び弁孔を介した制御圧力(吐出圧)の波及、又は第2連通路を介した制御室内の圧力の波及によって、伸縮するようになっている。このように構成されている容量制御弁では、検出連通路から流入する吸入圧と、第1連通路から流入する制御圧力(吐出圧)とが弁体に作用し、制御室内の圧力が制御される。
特許文献1に開示の容量制御弁内には、制御室から検出連通路(吸入圧領域)へ冷媒を排出する通路が通っていないため、制御室から吸入圧領域へ排出する排出通路を容量制御弁の外部に設ける必要がある。
特開2003−322086号公報
制御室へ供給される冷媒は、圧縮された高圧の冷媒であるので、制御室から吸入圧領域へ排出される冷媒の排出流量が多くなるほど、可変容量型圧縮機における運転効率が悪くなる。そのため、可変容量型圧縮機における運転効率の観点からすると、制御室から吸入圧領域へ冷媒を排出するための排出通路の通路断面積は、できるだけ小さい方がよい。
可変容量型圧縮機を長時間にわたって停止しておくと、冷媒が液状化して制御室(本願明細書における制御圧室)に溜まる。制御室に液状の冷媒が溜まった状態で可変容量型圧縮機を起動したとすると、容量制御弁の外部に設けた排出通路の通路断面積を固定した状態で小さくしてある場合には、制御室内の液冷媒が吸入圧領域へ速やかに排出されず、制御圧室内の液冷媒の気化によって制御圧室の圧力が過大になってしまう。そのため、可変容量型圧縮機の起動後において吐出容量が大きくなるまでに時間が掛かり過ぎることになる。
逆に、容量制御弁の外部に設けた排出通路の通路断面積を大きくし過ぎると、制御室から吸入圧領域への冷媒排出流量が多くなり過ぎ、可変容量制御時における可変容量型圧縮機の運転効率が悪くなる。
本発明は、可変容量型圧縮機の起動直後において吐出容量が大きくなるまでに掛かる時間を短縮でき、且つ運転効率向上に適した冷媒排出流量に調整できる容量制御弁を提供することを目的とする。
本発明は、電磁ソレノイドと、前記電磁ソレノイドによって駆動される駆動力伝達体と、吸入圧領域に連通する感圧室内の圧力によって前記駆動力伝達体の駆動方向へ付勢され、且つ前記感圧室内の圧力に応じて前記駆動力伝達体の移動方向における位置を規制される感圧体を有する感圧手段とを備えた容量制御弁であって、制御圧室内の調圧を行なって吐出容量を制御する可変容量型圧縮機における容量制御弁を対象とし、請求項1の発明は、前記感圧室に連通可能に前記駆動力伝達体に設けられた内部通路と、前記制御圧室に連通するように前記駆動力伝達体外に設けられた外部通路と、前記外部通路と前記内部通路との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第1弁体と、前記感圧体に接離可能であって、前記内部通路と前記感圧室との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第2弁体と、前記外部通路と吐出圧領域との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第3弁体とを備え、前記駆動力伝達体は、前記第1弁体が閉位置にあるときには前記第3弁体が開位置にある第1配置状態と、前記第3弁体が閉位置にあるときには前記第1弁体が開位置にある第2配置状態と、前記第1弁体と前記第3弁体とがいずれも開位置にある第3配置状態とに、前記電磁ソレノイドによって切り換え配置されることを特徴とする。
駆動力伝達体が第1配置状態にあるときには、吐出圧領域の冷媒が外部通路を経由して制御圧室へ流入するが、制御圧室の冷媒が吸入圧領域へ流出することはない。第1配置状態は、可変容量型圧縮機の最小容量運転状態若しくは運転停止状態に対応する。駆動力伝達体が第2配置状態にあるときには、制御圧室の冷媒が外部通路及び内部通路を経由して吸入圧領域へ流出するが、吐出圧領域の冷媒が制御圧室へ流入することはない。第2配置状態は、可変容量型圧縮機の最小容量運転状態若しくは運転停止状態から起動した状態に対応する。駆動力伝達体が第3配置状態にあるときには、吐出圧領域から制御圧室への冷媒流入及び制御圧室から吸入圧領域への冷媒流出が可能となる。第3配置状態は、可変容量型圧縮機の可変容量運転状態に対応する。
可変容量型圧縮機の最小容量運転状態若しくは運転停止状態から起動したときには、制御圧室内にある液冷媒は、吸入圧領域へ迅速に排出される。可変容量型圧縮機が可変容量運転状態にあるとき、感圧体と第2弁体とが常に離れた状態にあるのではないため、制御圧室から吸入圧領域への冷媒排出流量が多くなり過ぎることはなく、可変容量制御時における可変容量型圧縮機の運転効率が悪くなることはない。
好適な例では、前記第1弁体、前記第3弁体及び前記第2弁体は、この順に、前記電磁ソレノイド側から前記感圧手段側へ順次配置されており、前記駆動力伝達体をスライド可能に嵌入させる弁孔が設けられており、前記吐出圧領域と前記弁孔とに連通する溝通路が前記第2弁体と前記第3弁体との間における前記駆動力伝達体の周面に形成されており、前記第3弁体は、前記溝通路と前記外部通路との間における通路断面積を調整する。
このような構成は、駆動力伝達体をスライド可能に嵌入させる弁孔を吐出圧領域に連通する通路として利用でき、構成が簡素になる。
好適な例では、前記駆動力伝達体の駆動方向における前記感圧体の受圧面積は、前記第2弁体の閉鎖面積よりも大きい。
好適な例では、前記駆動力伝達体の駆動方向における前記感圧体の受圧面積は、前記第2弁体の閉鎖面積よりも大きい。
このような構成は、電磁ソレノイドの電磁力によって設定される設定吸入圧に吸入圧領域の圧力(吸入圧)を適正に制御する上で好適である。
本発明は、可変容量型圧縮機の起動直後において吐出容量が大きくなるまでに掛かる時間を短縮でき、且つ運転効率向上に適した冷媒排出流量に調整できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、クラッチレスの可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
図1に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、クラッチレスの可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸18がラジアルベアリング19,20を介して回転可能に支持されている。制御圧室121から外部へ突出する回転軸18は、外部駆動源である車両エンジンEから駆動力を得る。
回転軸18には回転支持体21が止着されていると共に、斜板22が回転軸18の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。回転支持体21に形成されたガイド孔211には斜板22に設けられたガイドピン23がスライド可能に嵌入されている。斜板22は、ガイド孔211とガイドピン23との連係により回転軸18の軸方向へ傾動可能かつ回転軸18と一体的に回転可能である。斜板22の傾動は、ガイド孔211とガイドピン23とのスライドガイド関係、及び回転軸18のスライド支持作用により案内される。
斜板22の径中心部が回転支持体21側へ移動すると、斜板22の傾角が増大する。斜板22の最大傾角は回転支持体21と斜板22との当接によって規制される。図1に実線で示す斜板22は、最大傾角状態にあり、鎖線で示す斜板22は、最小傾角状態にある。斜板22の最小傾角は、0°よりも僅かに大きくしてある。
シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン24が収容されている。斜板22の回転運動は、シュー25を介してピストン24の前後往復運動に変換され、ピストン24がシリンダボア111内を往復動する。
リヤハウジング13内には吸入室131及び吐出室132が区画形成されている。制御圧室121は、抽気通路72を介して吸入室131に連通している。バルブプレート14、弁形成プレート16及びリテーナ形成プレート17には吸入ポート141が形成されている。バルブプレート14及び弁形成プレート15には吐出ポート142が形成されている。弁形成プレート15には吸入弁151が形成されており、弁形成プレート16には吐出弁161が形成されている。吸入圧領域である吸入室131内の冷媒は、ピストン24の復動動作(図1において右側から左側への移動)により吸入ポート141から吸入弁151を押し退けてシリンダボア111内へ流入する。シリンダボア111内へ流入したガス状の冷媒は、ピストン24の往動動作(図1において左側から右側への移動)により吐出ポート142から吐出弁161を押し退けて吐出圧領域である吐出室132へ吐出される。吐出弁161は、リテーナ形成プレート17上のリテーナ171に当接して開度規制される。
吸入室131へ冷媒を導入する吸入通路26と、吐出室132から冷媒を排出する吐出通路27とは、外部冷媒回路28で接続されている。外部冷媒回路28上には、冷媒から熱を奪うための熱交換器29、膨張弁30、及び周囲の熱を冷媒に移すための熱交換器31が介在されている。膨張弁30は、熱交換器31の出口側のガス温度の変動に応じて冷媒流量を制御する。
吐出通路27上には逆止弁32が介在されている。逆止弁32は、筒形状のバルブハウジング33と、バルブハウジング33内にスライド可能に収容された筒状の弁体34と、バルブハウジング33内に嵌合して固定された筒形状のばね座35と、ばね座35と弁体34との間に介在された圧縮ばね36とからなる。バルブハウジング33の端壁には弁孔331が形成されている。弁体34は、バルブハウジング33の端壁に接して弁孔331を閉じる着座位置と、バルブハウジング33の端壁から離間して弁孔331を開く開位置とに配置可能である。圧縮ばね36は、弁孔331を閉じる着座位置に向けて弁体34を付勢する。
バルブハウジング33の周壁には流出口332が形成されている。弁体34が開位置にあるときには、吐出室132内の冷媒は、弁孔331及び流出口332を経由して外部冷媒回路28へ流出する。弁体34が着座位置にあるときには、弁孔331が閉じられ、吐出室132内の冷媒が外部冷媒回路28へ流出することはない。
リヤハウジング13には電磁式の容量制御弁37が組み付けられている。
図2に示すように、容量制御弁37の電磁ソレノイド38を構成する固定鉄心39は、コイル40への電流供給による励磁に基づいて可動鉄心41を引き付ける。固定鉄心39と可動鉄心41との間には付勢ばね42が介在されている。可動鉄心41は、付勢ばね42のばね力によって固定鉄心39から遠ざかる方向へ付勢されている。電磁ソレノイド38は、制御コンピュータC(図1に図示)の電流供給制御(本実施形態ではデューティ比制御)を受ける。可動鉄心41には駆動ロッド43が止着されている。
図2に示すように、容量制御弁37の電磁ソレノイド38を構成する固定鉄心39は、コイル40への電流供給による励磁に基づいて可動鉄心41を引き付ける。固定鉄心39と可動鉄心41との間には付勢ばね42が介在されている。可動鉄心41は、付勢ばね42のばね力によって固定鉄心39から遠ざかる方向へ付勢されている。電磁ソレノイド38は、制御コンピュータC(図1に図示)の電流供給制御(本実施形態ではデューティ比制御)を受ける。可動鉄心41には駆動ロッド43が止着されている。
容量制御弁37を構成する筒形状のハウジング44内には隔壁45が嵌入して固定されている。隔壁45は、ハウジング44内を室46と感圧室47とに区画している。室46にはバルブ組み立て48が配設されており、感圧室47には感圧機構49が配設されている。室46は、通路65を介して制御圧室121に連通しており、感圧室47は、通路66を介して吸入室131に連通している。
ハウジング44には弁座板54が室46を閉鎖するように嵌入して固定されている。駆動ロッド43の先端部は、弁座板54を貫通して室46内に突出している。又、ハウジング44には蓋59が感圧室47を閉鎖するように嵌入して固定されている。
バルブ組み立て48は、隔壁45を貫通する軸体50と、室46内で軸体50に嵌合して固定された筒体51とから構成されている。軸体50内には軸内通路501が駆動ロッド43の移動方向に貫設されており、軸内通路501には駆動ロッド43の先端部が嵌合して固定されている。駆動ロッド43及びバルブ組み立て48は、電磁ソレノイド38の電磁力によって駆動される駆動力伝達体61を構成する。駆動力伝達体61が駆動される方向(駆動力伝達体61の駆動方向)は、室46側から感圧室47側へ向かう方向である。
隔壁45には弁孔52が駆動ロッド43の移動方向へ貫設されており、弁孔52には軸体50がスライド可能に嵌入されている。軸体50の先端部は、感圧室47内に突出しており、軸内通路501は、感圧室47に連通可能である。
筒体51の筒内にて軸体50の周面には通口502が軸内通路501に連通するように形成されている。軸内通路501は、通口502を介して筒体51の筒内に連通している。軸内通路501及び通口502は、感圧室47に連通可能に駆動力伝達体61内に設けられた内部通路を構成する。室46は、制御圧室121に連通するように駆動力伝達体61の外部に設けられた外部通路である。
軸体50に固定された筒体51は、付勢ばね53のばね力によって電磁ソレノイド38の電磁力に対抗する方向に付勢されている。筒体51の端部62は、弁座板54の座面541に接離する弁体(以下、第1弁体62と記す)に形成されている。第1弁体62が座面541から離間した開位置にあるときには、軸内通路501と室46とが連通する、第1弁体62が座面541に接した閉位置にあるときには、軸内通路501と室46との連通が遮断される。つまり、第1弁体62は、前記外部通路と前記内部通路との間における通路断面積を調整するように駆動力伝達体61に設けられている。
感圧機構49は、ベローズ55と、ベローズ55に結合された板形状の受圧体56と、受圧体56を軸体50に近づける方向に付勢する付勢ばね57と、受圧体56を軸体50から遠ざける方向に付勢する付勢ばね58とを備えている。ベローズ55内の室60は、真空室である。蓋59に設けられたストッパ591と受圧体56に設けられたストッパ561とは、接離可能である。ストッパ591とストッパ561とは、伸縮するベローズ55の最短長を規定する。
感圧機構49、感圧室47及び室60は、感圧室47内の圧力によって駆動力伝達体61の駆動方向へ付勢され、且つ感圧室47内の圧力に応じて駆動力伝達体61の移動方向における位置を規制される受圧体56を備えた感圧手段を構成する。ベローズ55及び受圧体56は、感圧室47内の圧力に応じて駆動力伝達体61の移動方向における位置を規制される感圧体を構成する。
軸体50の先端部63は、受圧体56に接離する弁体(以下、第2弁体63と記す)に形成されている。第2弁体63は、受圧体56に接離可能であって、前記内部通路と感圧室47との間における通路断面積を調整するように駆動力伝達体61に設けられている。
駆動力伝達体61の駆動方向における前記感圧体の受圧面積(感圧室47内の圧力に対する受圧面積)は、第2弁体63の閉鎖面積S(図4に図示)よりも大きくしてある。受圧体56と第2弁体63とが接している場合、閉鎖面積Sは、軸内通路501内の圧力に対する受圧体56の受圧面積となる。
室46内にて軸体50の周面には第3弁体64が形成されている。第3弁体64は、隔壁45の座面451に接離する。第3弁体64と第2弁体63との間における軸体50の周面には環状溝503が形成されている。環状溝503は、弁孔52に連通していると共に、通路67を介して吐出室132に連通している。環状溝503は、第2弁体63と第3弁体64との間において吐出室132(吐出圧領域)と弁孔52とに連通する溝通路である。第3弁体64が座面451から離間した開位置にあるときには、環状溝503が室46に連通する。第3弁体64が座面451に接した閉位置にあるときには、環状溝503と室46との連通が遮断される。第3弁体64は、前記外部通路と吐出室132との間における通路断面積を調整するように駆動力伝達体61に設けられている。
通路67、環状溝503、室46及び通路65は、吐出室132内の冷媒を制御圧室121へ供給するための供給通路を構成する。通路65、室46、通口502、軸内通路501、感圧室47及び通路66は、制御圧室121内の冷媒を吸入室131へ排出するための排出通路を構成する。
容量制御弁37の電磁ソレノイド38に対して電流供給制御(デューティ比制御)を行なう制御コンピュータCは、空調装置作動スイッチ68のONによって電磁ソレノイド38に電流を供給し、空調装置作動スイッチ68のOFFによって電流供給を停止する。制御コンピュータCには室温設定器69及び室温検出器70が信号接続されている。空調装置作動スイッチ68がON状態にある場合、制御コンピュータCは、室温設定器69によって設定された目標室温と、室温検出器70によって検出された検出室温との温度差に基づいて、電磁ソレノイド38に対する電流供給を制御する。
車両エンジンEが作動している状態において、可変容量型圧縮機が最小容量で運転された状態〔電磁ソレノイド38に対する電流供給停止(デューティ比零)である状態〕では、図4に示すように、第1弁体62が付勢ばね53,42のばね力によって座面541に接する閉位置に配置されると共に、第3弁体64が座面451から離間した開位置に配置される。第1弁体62が閉位置にあるときには第3弁体64が開位置にあるという第1配置状態に駆動力伝達体61が配置された状態では、吐出室132の冷媒が制御圧室121へ送られ、図1に鎖線で示すように斜板22の傾角が最小となる。斜板傾角が最小状態における吐出圧は低く、圧縮ばね36のばね力は、斜板傾角が最小状態のときの吐出通路27における逆止弁32の上流側の圧力が逆止弁32の下流側の圧力と圧縮ばね36のばね力との和を下回るように設定してある。従って、斜板22の傾角が最小になったときには弁体34が弁孔331を閉じ、外部冷媒回路28における冷媒循環が停止する。この冷媒循環停止状態は、熱負荷低減作用の停止状態である。
空調装置作動スイッチ68をONして可変容量型圧縮機10を起動したときには、デューティ比100%の制御が行われる。この制御状態は、可変容量型圧縮機10を起動時から所定時間(例えば数分)継続される。
この制御状態では、図2に示すように、第3弁体64が付勢ばね53,42のばね力に抗して座面451に接する閉位置に配置されると共に、第1弁体62が座面541から離間した開位置に配置される。可変容量型圧縮機10が最小容量運転あるいは運転停止の状態では、可変容量型圧縮機10内の圧力は均圧しているため、吸入圧領域の圧力(吸入圧)は高くなっている。そのため、感圧室47内の圧力は高く、受圧体56と第2弁体63とは、大きく離れた状態になる。つまり、第3弁体64が閉位置にあるときには第1弁体62が開位置にあるという第2配置状態に駆動力伝達体61が配置された状態では、制御圧室121内の冷媒が室46、軸内通路501及び感圧室47を経由して吸入室131へ流出するが、吐出室132内の冷媒が制御圧室121へ流入することはない。従って、制御圧室121内の圧力(制御圧)が低減し、斜板22の傾角が最小傾角から最大傾角へ移行する。
可変容量型圧縮機10の運転停止状態が長く続いた場合、制御圧室121内には液冷媒が溜まることがあるが、制御圧室121内の液冷媒は、室46、軸内通路501及び感圧室47を経由して吸入室131へ迅速に排出される。従って、起動後に斜板22の傾角が最小傾角から最大傾角へ移行するという復帰動作が液冷媒のフォーミングによって妨げられることはなく、斜板22の傾角は、最小傾角から最大傾角へ迅速に移行する。
斜板22の傾角が最小傾角から増大すると吐出圧が増大し、吐出通路27における逆止弁32の上流側の圧力が逆止弁32の下流側の圧力と圧縮ばね36のばね力との和を上回る。従って、斜板22の傾角が最小傾角よりも大きいときには弁孔331が開き、吐出室132内の冷媒が外部冷媒回路28へ流出する。つまり、外部冷媒回路28における冷媒循環が行われ、熱負荷低減が行われる。
デューティ比100%の制御が所定時間経過すると、前記目標室温と前記検出室温との温度差に基づいたデューティ比制御(可変容量制御)が行われる。図3は、0<(デューティ比)<100%の状態にある一例を示す。この状態では、第1弁体62が座面541から離間した開位置に配置されると共に、第3弁体64が座面451から離間した開位置に配置される。第1弁体62及び第3弁体64がいずれも開位置にあるという第3配置状態に駆動力伝達体61が配置された状態では、吐出室132の冷媒が室46を経由して制御圧室121へ送られる。又、受圧体56は、感圧室47内の圧力(吸入圧)の変動に応じて第2弁体63に接離する。従って、吸入圧が電磁ソレノイド38に対するデューティ比によって設定される設定吸入圧となるように制御される。
受圧体56と第2弁体63とは、常に離れた状態にあるのではないため、制御圧室121から吸入室131への冷媒排出流量が多くなり過ぎることはなく、可変容量制御時における可変容量型圧縮機10の運転効率が悪くなることはない。
本実施形態では以下の効果が得られる。
(1)可変容量型圧縮機10の運転停止状態から起動したときには、吸入室131(吸入圧領域)の圧力(吸入圧)が高いため、受圧体56と第2弁体63との間の開度(通過断面積)が大きく、制御圧室121内にある液冷媒は、吸入室131へ迅速に排出される。
(1)可変容量型圧縮機10の運転停止状態から起動したときには、吸入室131(吸入圧領域)の圧力(吸入圧)が高いため、受圧体56と第2弁体63との間の開度(通過断面積)が大きく、制御圧室121内にある液冷媒は、吸入室131へ迅速に排出される。
可変容量型圧縮機10が可変容量運転状態にあるとき、吸入室131の圧力(吸入圧)が電磁ソレノイド38の電磁力によって設定される設定吸入圧を跨るように変動すると、受圧体56と第2弁体63とが接離する。受圧体56と第2弁体63とは常に離れた状態にあるのではないため、制御圧室121から吸入室131への冷媒排出流量が多くなり過ぎることはなく、可変容量制御時における可変容量型圧縮機10の運転効率が悪くなることはない。
(2)第1弁体62、第3弁体64及び第2弁体63は、この順に、電磁ソレノイド38側から感圧機構49側へ順次配置されており、第2弁体63と第3弁体64との間における駆動力伝達体61の周囲(軸体50の周囲)に供給通路の一部となる環状溝503が形成されている。このような構成は、駆動力伝達体61をスライド可能に嵌入するための弁孔52を供給通路の一部として利用でき、構成が簡素になる。
(3)駆動力伝達体61の駆動方向における感圧体(受圧体56)の受圧面積は、第2弁体63の閉鎖面積Sよりも大きい。仮に、感圧体(受圧体56)の受圧面積と第2弁体63の閉鎖面積Sとが同じであるとすると、可変容量運転時における受圧体56と第2弁体63との接離は、専ら軸内通路501内の圧力(制御圧)に左右され、制御圧室121内の圧力を電磁ソレノイド38の電磁力に応じた設定制御圧にする制御が行われてしまう。
駆動力伝達体61の駆動方向における感圧体(受圧体56)の受圧面積を第2弁体63の閉鎖面積Sよりも大きくした構成は、電磁ソレノイド38の電磁力によって設定される設定吸入圧に吸入圧領域の圧力(吸入圧)を適正に制御する上で好適である。
(4)可変容量型圧縮機10の最小容量運転状態において、外部冷媒回路28の冷媒循環が停止した状態では、可変容量型圧縮機10内の摺動部材の潤滑を行なうためには、可変容量型圧縮機10内での冷媒循環を行なう必要がある。最小容量運転状態は、第3弁体64が開いて吐出室132内の冷媒を制御圧室121へ供給することで維持されるが、仮に第1弁体62が開いた状態で制御圧室121と吸入室131とが連通しているとすると、容量制御弁37内で冷媒循環経路が形成されてしまい、可変容量型圧縮機10内での冷媒循環経路が形成されず、摺動部材の循環を行えないおそれがある。
本実施形態では、筒体51に形成された第1弁体62は、座面541に接して室46と軸内通路501との連通を確実に遮断するため、制御圧室121内の冷媒が容量制御弁37内を経由して吸入室131へ漏洩することはない。軸体50と筒体51とを結合して構成したバルブ組み立て48は、第1弁体62によって室46(外部通路)と軸内通路501(内部通路)との遮断を確実に行なう上で、簡便な構成である。
(5)特許文献1では、感圧装置が制御圧室121の圧力(制御圧)に感応する構成となっている。起動制御から可変容量制御へ移行した際に吐出圧領域の冷媒が制御圧室へ流入して制御圧が急激に増大すると、ベローズ内のストッパ同士が激突して感圧装置が損傷するおそれがある。
本発明における感圧手段を構成する感圧室47は、吸入圧領域である吸入室131に連通する構成となっているため、制御圧が急激に増大してもベローズ55内のストッパ561,591同士が激突することはなく、感圧装置が損傷するおそれはない。又、ベローズの振動を防止することによる耐久性の向上も見込める。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○図5に示すように、第3弁体64A、第1弁体62及び第2弁体63を、この順に、電磁ソレノイド38側から感圧手段側へ順次配置した構成も可能である。第3弁体64Aを収容する室71は、吐出室132に連通しており、弁座板54には弁孔543が室46に連通するように形成されている。第3弁体64Aは、弁座板54の座面542に接離して、室71と弁孔543との連通及び遮断を行なう。
○図5に示すように、第3弁体64A、第1弁体62及び第2弁体63を、この順に、電磁ソレノイド38側から感圧手段側へ順次配置した構成も可能である。第3弁体64Aを収容する室71は、吐出室132に連通しており、弁座板54には弁孔543が室46に連通するように形成されている。第3弁体64Aは、弁座板54の座面542に接離して、室71と弁孔543との連通及び遮断を行なう。
○ダイヤフラムを有する感圧体を備えた感圧手段を用いてもよい。
○ピストン型の可動壁を感圧体とする感圧手段を用いてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
○ピストン型の可動壁を感圧体とする感圧手段を用いてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
〔1〕前記駆動力伝達体は、前記内部通路を形成した軸体と、前記軸体に嵌合して固定された筒体とからなるバルブ組み立てを備え、前記第1弁体及び第2弁体は、前記軸体に形成されており、前記第3弁体は、前記筒体に形成されている請求項2に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
軸体と筒体とを結合して構成したバルブ組み立ては、第1弁体によって内部通路と外部通路との遮断を確実に行なう上で、簡便な構成である。
〔2〕前記感圧体は、ベローズを備えている請求項1乃至請求項3、前記〔1〕項のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
〔2〕前記感圧体は、ベローズを備えている請求項1乃至請求項3、前記〔1〕項のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
〔3〕吐出圧領域の冷媒を制御圧室に供給する供給通路、及び前記制御圧室の冷媒を吸入圧領域に排出する排出通路があり、前記内部通路は、前記供給通路と前記排出通路との両者の一部となり、前記外部通路は、前記供給通路と前記排出通路との両者の一部となる請求項1乃至請求項3、前記〔1〕,〔2〕項のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
10…可変容量型圧縮機。121…制御圧室。131…吸入圧領域としての吸入室。132…吐出圧領域としての吐出室。37…容量制御弁。38…電磁ソレノイド。46…外部通路としての室。47…感圧手段を構成する感圧室。49…感圧手段を構成する感圧機構。501…内部通路を構成する軸内通路。502…内部通路を構成する通口。503…吐出圧領域と弁孔とに連通する溝通路としての環状溝。52…弁孔。55…感圧体を構成するベローズ。56…感圧体を構成する受圧体。61…駆動力伝達体。62…第1弁体。63…第2弁体。64,64A…第3弁体。S…閉鎖面積。
Claims (3)
- 電磁ソレノイドと、前記電磁ソレノイドによって駆動される駆動力伝達体と、吸入圧領域に連通する感圧室内の圧力によって前記駆動力伝達体の駆動方向へ付勢され、且つ前記感圧室内の圧力に応じて前記駆動力伝達体の移動方向における位置を規制される感圧体を有する感圧手段とを備えた容量制御弁であって、制御圧室内の調圧を行なって吐出容量を制御する可変容量型圧縮機における容量制御弁において、
前記感圧室に連通可能に前記駆動力伝達体に設けられた内部通路と、
前記制御圧室に連通するように前記駆動力伝達体外に設けられた外部通路と、
前記外部通路と前記内部通路との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第1弁体と、
前記感圧体に接離可能であって、前記内部通路と前記感圧室との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第2弁体と、
前記外部通路と吐出圧領域との間における通路断面積を調整するように前記駆動力伝達体に設けられた第3弁体とを備え、
前記駆動力伝達体は、前記第1弁体が閉位置にあるときには前記第3弁体が開位置にある第1配置状態と、前記第3弁体が閉位置にあるときには前記第1弁体が開位置にある第2配置状態と、前記第1弁体と前記第3弁体とがいずれも開位置にある第3配置状態とに、前記電磁ソレノイドによって切り換え配置される可変容量型圧縮機における容量制御弁。 - 前記第1弁体、前記第3弁体及び前記第2弁体は、この順に、前記電磁ソレノイド側から前記感圧手段側へ順次配置されており、前記駆動力伝達体をスライド可能に嵌入させる弁孔が設けられており、前記吐出圧領域と前記弁孔とに連通する溝通路が前記第2弁体と前記第3弁体との間における前記駆動力伝達体の周面に形成されており、前記第3弁体は、前記溝通路と前記外部通路との間における通路断面積を調整する請求項1に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
- 前記駆動力伝達体の駆動方向における前記感圧体の受圧面積は、前記第2弁体の閉鎖面積よりも大きい請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機における容量制御弁。
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