JP2007173147A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温かつ長期の使用時に置いて、電池の抵抗が増大するのを抑制した長寿命の非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする負極と、非水電解質とを備え、前記非水電解質が化学式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
Figure 2007173147

【選択図】なし

Description

本発明は非水電解質二次電池に関するものである。
民生用の携帯電話、ポータブル機器や携帯情報端末などの急速な小型軽量化・多様化に伴い、その電源である電池に対して、小型で軽量かつ高エネルギー密度で、さらに長期間繰り返し充放電が実現できる二次電池の開発が強く要求されている。なかでも、水溶液系電解液を使用する鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して、これらの欲求を満たす二次電池としてリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が最も有望であり、活発な研究がおこなわれている。
非水電解質二次電池の正極活物質には、二硫化チタン、五酸化バナジウムおよび三酸化モリブデンをはじめとしてリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型マンガン酸化物等の一般式LiMO(ただし、Mは一種以上の遷移金属)で表される種々の化合物が検討されている。なかでも、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型リチウムマンガン複合酸化物などは、4V(vs Li/Li)以上の極めて貴な電位での充放電が可能であるため、正極として用いることで高い放電電圧を有する電池を実現できる。
非水電解質二次電池の負極活物質には、金属リチウム、リチウム合金、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料などの種々のものが検討されているが、なかでも炭素材料を使用すると、サイクル寿命の長い電池が得られ、かつ安全性が高いという利点がある。
非水電解質二次電池の電解質には、一般にエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの高誘電率溶媒とジメチルカーボネートやジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒との混合系溶媒にLiPFやLiBF等の支持塩を溶解させた電解液が使用されている。
近年では、ハイブリッドカーなどの移動体用の電源としての非水電解質二次電池の需要もたかまってきており、民生用の携帯電話などよりも更なる長寿命化が必要とされている。電池の寿命特性を向上させる方法として、非水電解質に特定の化合物を混合することが有効であることがわかっており、たとえば特許文献1記載のビニレンカーボネートや特許文献2記載の1,3−プロパンスルトンなどが提案されている。
しかしながら、これらの化合物を添加剤として用いても、高温かつ長期の使用時に置いては電池の抵抗が増大し、その効果は十分なものではなく、更なる特性改善が見込める添加剤が要望されていた。
特開平5−13088号 特開平11−162551号
請求項1の発明は、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、前記非水電解液が化学式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
Figure 2007173147
(ここで、nは1〜3の整数であり、R1およびR2の少なくとも一方は炭素-炭素不飽和結合を含む鎖状または分岐鎖状の基であり、R3およびR4は水素原子、ハロゲンおよび置換基を有していても良い有機基からなる群の中の1種である。)
請求項2の発明は、請求項1において、前記化学式(1)記載の化合物がビス(ビニルスルホニル)メタンおよびビス(アリルスルホニル)メタンのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池である。
請求項3の発明は、化学式(1)で表される化合物を含有した非水電解液を電池内に注液して非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法である。
請求項1の発明によれば、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解液が化学式(1)で表される化合物を含有することにより、高温かつ長期の使用時においても電池の抵抗上昇を小さくすることができる。
請求項2の発明によれば、化学式(1)の化合物としてビス(ビニルスルホニル)メタンおよびビス(アリルスルホニル)メタンのうち少なくとも1種を用いることにより、高温かつ長期の使用時においても電池の抵抗上昇を特に小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、化学式(1)で表される化合物を含有した非水電解液を電池内に注液して非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法であり、本製造方法で得られた非水電解質二次電池は高温かつ長期の使用時においても電池の抵抗上昇を特に小さくすることができる。
本発明は、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、前記非水電解液が化学式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
Figure 2007173147
(ここで、nは1〜3の整数であり、R1およびR2の少なくとも一方は炭素-炭素不飽和結合を含む鎖状または分岐鎖状の基であり、R3およびR4は水素原子、ハロゲンおよび置換基を有していても良い有機基からなる群の中の1種である。)
ここで、化学式(1)で示される具体例としては、R1およびR2の少なくともいずれか一方がビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−プロピニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ペンテン−4−イニル基などから選択される一価の不飽和基をもつ官能基である化合物を上げることができる。R3およびR4が水素原子の場合、例えばメチルスルホニルビニルスルホニルメタン、エチルスルホニルビニルスルホニルメタン、プロピルスルホニルビニルスルホニルメタン、メチルスルホニルアリルスルホニルエタン、エチルスルホニルアリルスルホニルエタン、プロピルスルホニルアリルスルホニルエタン、ビニルスルホニルフェニルスルホニルメタン、ビニルスルホニルフェニルスルホニルエタン、ビニルスルホニルフェニルスルホニルプロパン、アリルスルホニルフェニルスルホニルメタン、アリルスルホニルフェニルスルホニルエタン、アリルスルホニルフェニルスルホニルプロパン、イソプロペニルスルホニルフェニルスルホニルメタン、イソプロペニルスルホニルフェニルスルホニルエタン、イソプロペニルスルホニルフェニルスルホニルプロパン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、ビス(アリルスルホニル)メタン、ビス(イソプロペニルスルホニル)メタン、ビス(ビニルスルホニル)エタン、ビス(アリルスルホニル)エタン、ビス(イソプロペニルスルホニル)エタン、ビス(ビニルスルホニル)プロパン、ビス(アリルスルホニル)プロパン、ビス(イソプロペニルスルホニル)プロパン、アリルスルホニルビニルスルホニルメタン、アリルスルホニルビニルスルホニルエタンおよびアルルスルホニルビニルスルホニルプロパン等があげられる。ここで、R3とR4に相当する部分は水素原子、ハロゲンおよび置換基を有していても良い有機基からなる群の中の1種である。また、これらを単独または混合して使用することができる。これらの中で特に好適なのは、化学式(1)においてR1とR2がともに炭素−炭素不飽和結合を有する鎖状または分岐鎖状の不飽和基であり、R3およびR4を水素原子としたときであり、特に、ビス(ビニルスルホニル)メタンまたはビス(アリルスルホニル)メタンを用いると特に電池の抵抗上昇を抑制する効果が高く、より好適である。これらの化合物を用いた場合に高温かつ長期使用時の電池抵抗上昇が抑制される理由は現時点で明らかではないが、本発明の化合物を用いることで、正極および負極に安定な被膜が形成し、非水電解質の分解を効果的に抑制していることが考えられる。
化学式(1)の化合物の添加量は特に制限されるものではないが、添加量が少なすぎると添加の効果が小さく、逆に過剰に添加すると添加剤のコストがかかるばかりでなく、その効果が小さくなる傾向にあるので、非水電解質を製造する際の非水電解質全体に対する添加量は非水電解質全体に対して0.2wt%〜2.0wt%とすることが好ましく、0.5wt%〜1.0wt%とすることがより好ましい。ここで、添加剤は電池を作製して充放電させると電極上で消費されるため、電池内に残存する量は電池作製時に非水電解質に添加した量よりも減少する。ここでいう添加量は電池作製時に非水電解質に添加した量であって、充放電後の電池内残存量は添加した量よりも減少する。
非水電解質としては、電解液または固体電解質のいずれも使用することができる。電解液を用いる場合には、電解液溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソランやジオキソラン、フルオロエチルメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジプロピオネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、アセトニトリル、フルオロアセトニトリル、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンなどのアルコキシおよびハロゲン置換環状ホスファゼン類および、鎖状ホスファゼン類、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチルなどのホウ酸エステル類、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン等の非水溶媒を、単独でまたはこれらの混合溶媒を使用することができる。
非水電解質は、これらの非水溶媒に支持塩を溶解して使用する。支持塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCFCO、LiCFSO、LiCFCFSO、LiCFCFCFSO、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiN(COCF、LiN(COCFCF、LiBF、LiBC、LiPF(CおよびLiPF(CFCFなどの塩もしくはこれらの混合物を使用することができる。
また、電池特性向上のために、少量の化合物を非水電解質中に混合してもよく、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどのカーボネート類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ジアリルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルビニルスルフィド、アリルエチルスルフィド、プロピルスルフィド、ジアリルジスルフィド、アリルエチルジスルフィド、アリルプロピルジスルフィド、アリルフェニルジスルフィド等のスルフィド類、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロぺンスルトン、1,4−ブテンスルトン等の環状スルホン酸エステル類、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸プロピル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸フェニル、エタンスルホン酸フェニル、プロパンスルホン酸フェニル、ベンジルスルホン酸メチル、ベンジルスルホン酸エチル、ベンジルスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸ベンジル、エタンスルホン酸ベンジル、プロパンスルホン酸ベンジル等の鎖状スルホン酸エステル類、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、エチルメチルサルファイト、メチルプロピルサルファイト、エチルプロピルサルファイト、ジフェニルサルファイト、メチルフェニルサルファイト、エチレンサルファイト、ビニルエチレンサルファイト、ジビニルエチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ビニルプロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ビニルブチレンサルファイト、ビニレンサルファイト、フェニルエチレンサルファイトなどの亜硫酸エステル類、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、エチレングリコール硫酸エステル、プロピレングリコール硫酸エステル、ブチレングリコール硫酸エステル、ペンテングリコール硫酸エステルなどの硫酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、ジフェニルエーテル、tert−ブチルベンゼン、オルトターフェニル、メタターフェニル、ナフタレン、フルオロナフタレン、クメン、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールなどの芳香族化合物、パーフルオロオクタンなどのハロゲン置換アルカン、ホウ酸トリストリメチルシリル、硫酸ビストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリルなどのシリルエステル類など、目的に応じて適宜添加してもよい。
固体電解質を用いる場合は、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに電解液を含有させることで良い。また、ゲル状の高分子固体電解質を用いる場合には、ゲルを構成する電解液と、細孔中等に含有されている電解液とは異なっていてもよい。このような高分子固体電解質を用いる場合には、本願発明の化学式(1)記載の化合物を電解液中に含有させれば良い。ただし、HEV用途のように高い出力が要求される場合は、固体電解質や高分子固体電解質を用いるよりも電解質として非水電解液を単独で用いるほうがより好ましい。
本発明を適用する非水電解質二次電池の正極活物質としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、二酸化マンガン、スピネル型マンガン酸リチウム、五酸化バナジウムのような遷移金属化合物や、硫化鉄、硫化チタンのような遷移金属カルコゲン化合物、さらにはこれらの遷移金属とリチウムの複合酸化物LixMO2−δ(ただし、Mは、Co、NiまたはMnを表し、0.4≦x≦1.2、0≦δ≦0.5である複合酸化物)、またはこれらの複合酸化物にAl、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Zn、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素を含有した化合物を使用することができる。さらに、好ましくはリチウムとニッケルの複合酸化物、すなわちLixNipM1qM2rO2−δで表される正極活物質(ただし、M1、M2はAl、Mn、Fe、Co、Cr、Ti、Zn、Zrから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素でもよい。さらに0.4≦x≦1.2、0.8≦p+q+r≦1.2、0≦δ≦0.5である)などを用いることができる。また、有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電性ポリマー等が挙げられる。.さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いてもよい。
さらに、負極材料たる化合物としては、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe、WO、MoO、SiO、CuO等の金属酸化物、難黒鉛化性炭素や易黒鉛化性炭素等の非晶質炭素質材料、黒鉛などの結晶性炭素材料、LiN等の窒化リチウム、チタン酸リチウム、もしくは金属リチウム、又はこれらの混合物を用いてもよく、複合体を用いてもよい。特に好ましくは、非晶質炭素材料を用いることが望ましい。
また、本発明に係る非水電解質電池の隔離体としては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等を用いることができ、特に、合成樹脂微多孔膜を好適に用いることができる。中でもポリエチレン及びポリプロピレン製微多孔膜、アラミドやポリイミドと複合化させたポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、または、これらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
さらに、高分子固体電解質等の固体電解質を用いることで、セパレータを兼ねさせることもできる。さらに、合成樹脂微多孔膜と高分子固体電解質等を組み合わせて使用してもよい。この場合、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに電解液を含有させることで良い。ただしこの場合、電池出力が低下する原因となるので、高分子固体電解質を最小限の量にとどめるほうが好ましい。
また、電池の形状は特に限定されるものではなく、角形、長円筒形、コイン形、ボタン形、シート形、円筒型電池等の様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではなく、その主旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[実施例1]
図1は、本実施例の角形非水電解質二次電池の概略断面図である。この角形非水電解質二次電池1は、アルミニウム集電体に正極合材を塗布してなる正極3と、銅集電体に負極合材を塗布してなる負極4とがセパレータ5を介して巻回された扁平巻状電極群2と、非水電解液とを電池ケース6に収納してなる、幅34mm×高さ50mm×厚さ5.0mmのものである。
電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極端子9は負極リード11を介して負極4と接続され、正極3は正極リード10を介して電池蓋と接続されている。
正極板は、結着剤であるポリフッ化ビニリデン8重量%と導電剤であるアセチレンブラック6重量%とリチウム−コバルト−ニッケル−マンガン複合酸化物である正極活物質LiCo0.34Ni0.33Mn0.3386重量%とを混合してなる正極合材に、N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調製した後、これを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体両面に塗布、乾燥することによって作製した。
負極板は、難黒鉛化性炭素95重量%とポリフッ化ビニリデン5重量%をN−メチルピロリドンに加えてペースト状に調製した後、これを厚さ10μmの銅箔集電体両面に塗布、乾燥することによって製作した。
セパレータには、ポリエチレン微多孔膜を用いた。また、電解液には、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:2:5(体積比)の混合溶媒に、更にLiPFを調整後に1mol/Lとなるように溶解し、さらにビス(ビニルスルホニル)メタン[BBSM:CHCHS(O)CHS(O)CHCH]を非水電解質全体に対して0.05wt%の濃度となるようにそれぞれ添加したものを用い、電池内に注液した。
以上の構成・手順で実施例1の非水電解質二次電池を3セル作製した。
[実施例2〜9]
実施例2〜9の6種類の電池については、表1に示すように、非水電解質に添加したBBSMの量を変化させた以外は、実施例1とまったく同様にして、非水電解質二次電池を各3セルずつ作製した。
[実施例10]
実施例10の電池については、ビス(ビニルスルホニル)メタンのかわりにビス(アリルスルホニル)メタン[BASM:CHCHCHS(O)CHS(O)CHCHCH]を用いた以外は実施例1とまったく同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[実施例11]
実施例11の電池については、ビス(ビニルスルホニル)メタンのかわりにビス(ビニルスルホニル)プロパン[BBSP:CHCHS(O)CHCHCHS(O)CHCH]を用いた以外は実施例1とまったく同様にして非水電解質二次電池を作製した。
[比較例1]
比較例1の電池については、ビス(ビニルスルホニル)メタンを添加しない以外は実施例1とまったく同様にして非水電解質二次電池を作製した。
Figure 2007173147
以上のようにして作製した実施例1〜11および比較例1の角形非水電解質二次電池について、25℃における初期放電容量を測定し、いずれも470mAとほぼ同等の放電容量が得られていることを確認した。なお、放電容量は、25℃において、充電電流90mA、充電電圧4.28Vの定電流−定電圧充電で6時間充電した後、すなわち、90mAの電流値で充電して電圧が4.28Vに達したのち、定電圧充電をおこない、合計で6時間の充電をおこなった後、放電電流90mA、終止電圧2.50Vの条件で定電流放電をおこなうことにより測定した。
直流抵抗の測定は、25℃において、充電電流0.5CmA(235mA)の電流値で1時間充電することにより電池のSOCを50%に設定し、0.2CmAで10秒間放電した時の電圧、0.5CmAで10秒間放電したときの電圧および1CmAで10秒間放電したときの電圧をそれぞれ測定し、放電電流(I)に対する電圧降下(E)の傾き(R=E/I)を測定することにより測定した。
放置試験は以下の方法でおこなった。初期の直流抵抗Raを測定後、0.4CmA(188mA)の電流値で2時間充電して電池のSOCを80%に設定し、60℃の恒温槽で30日間保存した。25℃に冷却後、初期放電容量確認した条件と同様の方法で放電し、その後、試験後の直流抵抗Rbについて、初期直流抵抗Raを測定した条件と同様に測定した。
直流抵抗の増加率は、60℃放置試験前の直流抵抗Raと60℃30日放置試験後の直流抵抗Rbから以下の式を用いて算出した。
直流抵抗増加率(%)=((Rb/Ra)−1)*100
表2に、実施例1〜11、および比較例1の直流抵抗増加率を示す。
Figure 2007173147
比較例1の添加剤未添加の場合は60℃で30日放置後の直流抵抗が37%上昇したのに対し、BBSMを0.05wt%添加した場合では35%の増加にとどまった。また、BBSMの添加量を5.0wt%まで増やしていくと、0.05wt%から1.0wt%では添加量が多いほど直流抵抗の増加率は小さくなり、さらに1.0から5.0wt%と添加量を増やしていくと逆に効果が小さくなる傾向がみられた。いずれの添加量でも比較例1の未添加と比較して直流抵抗の増加率は小さく、直流抵抗増加を低減できることが確認された。しかし、添加量が0.05wt%の実施例1や0.1wt%の実施例2ではその効果が十分大きなものではなく、逆に添加量が3.0wt%と多過ぎるとBBSMを添加した効果が小さくなっていくこと、また添加量が0.2wt%〜2.0wt%とすることで直流抵抗の増加率が比較例1よりも15%以上も低かったことから、BBSMの添加量としては0.2wt〜2.0wt%が好ましいことがわかった。さらに、添加量が0.5wt%〜1.5wt%の時に直流抵抗の増加率が比較例1よりも25%〜29%低く、直流抵抗の増大抑制効果が著しかったことから、より好ましい添加量は0.5wt%〜1.5wt%であることがわかった。ここで、添加量が多い場合に直流抵抗の増加率が実施例5の1.0wt%添加よりも大きかった理由としては、添加量が過剰であったために、過剰のBBSMが電池内で好ましくない副反応をおこしたためであると考えられる。
また、BBSMの類似化合物であるBASMを添加した実施例10でも実施例4とほぼ同様の効果が得られた。さらにBBSPを添加した実施例11でも、実施例4や実施例10よりはやや劣るものの比較例1よりも明らかに直流抵抗の増大が小さかった。なお、ここではEC:EMCの混合系について記述したが、環状カーボネートと鎖状カーボネートの比率を変化させた場合や、電解質塩の種類や濃度を変化させた場合、また、鎖状カーボネートとして、ジエチルカーボネートやメチルプロピルカーボネートなどを用いた場合や、酢酸エチルなどのカルボン酸エステルを用いた場合にも同様の傾向が見られ、さらに、環状カーボネートとしてプロピレンカーボネートを使用した場合にも同様の傾向が得られた。
本発明の実施例及び比較例の角形電池の断面構造を示す図。
符号の説明
1 角形非水電解質二次電池
2 巻回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 電池ケース
7 電池蓋
8 安全弁
9 負極端子
10 正極リード
11 負極リード

Claims (3)

  1. リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする正極と、リチウムを吸蔵・放出する物質を構成要素とする負極と、非水電解質とを備え、前記非水電解質が化学式(1)で表される化合物を含有することを特徴とした非水電解質二次電池。
    Figure 2007173147
    (ここで、nは1〜3の整数であり、R1およびR2の少なくとも一方は炭素-炭素不飽和結合を含む鎖状または分岐鎖状の基であり、R3およびR4は水素原子、ハロゲンおよび置換基を有していても良い有機基からなる群の中の1種である。)
  2. 前記化学式(1)記載の化合物がビス(ビニルスルホニル)メタンおよびビス(アリルスルホニル)メタンのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 化学式(1)で表される化合物を含有した非水電解液を電池内に注液して非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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