JP2007144278A - 脱臭装置およびそれを備えた空気調和装置 - Google Patents

脱臭装置およびそれを備えた空気調和装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少量の貴金属系触媒および投入電力で空気中の臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解・除去効率を向上させることができ、より低コスト、低エネルギーで空気を清浄化することができる脱臭装置を提供する。
【解決手段】被処理流体の流通空間内に配置され、高電圧が印加される放電電極1と接地電極4と、放電電極1と接地電極4の間に配置され、臭気ガス成分および有害揮発性化学物質を浄化する触媒部2とを備え、触媒部2に、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔あるいはミクロ孔を有する多孔質吸着剤と、酸化マンガン、酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物と、白金、パラジウム等の貴金属とをそれぞれ1種類以上混合し担持させる。
【選択図】図2

Description

この発明は、空気中の臭気ガス成分や有害揮発性化学物質を除去し、空気を清浄化する脱臭装置およびそれを備えた空気調和装置に関するものである。
従来の脱臭装置は、被処理流体の流通空間で放電により低温プラズマを発生させる放電手段と、該放電手段における放電場中または放電場の下流側に配置された触媒手段とを備え、該触媒手段が貴金属系触媒を含むプラズマ触媒反応器からなるものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−336645号公報(第4−5頁、図1)
従来の脱臭装置では、プラズマ触媒反応器において、触媒手段に含まれる貴金属系触媒を多量に用いなければ臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解・除去効率が低くなるため、貴金属系触媒を多量に用いることになり、高コストになってしまうという問題点があった。また、プラズマ触媒反応器での放電のために投入する電力に対して臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解・除去効率が低いという問題点があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、少量の貴金属系触媒および投入電力で空気中の臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解・除去効率を向上させることができ、より低コスト、低エネルギーで空気を清浄化することができる脱臭装置およびそれを備えた空気調和装置を得るものである。
この発明に係る脱臭装置は、被処理流体の流通空間内に配置され、高電圧が印加される放電電極およびその対向電極と、被処理流体内の臭気ガス成分や有害揮発性化学物質を浄化する触媒部とを備えた脱臭装置において、前記触媒部は前記放電電極と前記対向電極の間に配置され、吸着剤、金属酸化物、貴金属を混合して担持したものである。
この発明に係る脱臭装置は、触媒部が放電電極と対向電極の間に配置され、吸着剤、金属酸化物、貴金属を混合して担持したことにより、触媒上での吸着作用、金属酸化物および貴金属による酸化作用や分解作用、放電のラジカル生成による分解作用を組み合わせ、相乗効果を生み出すことで、低コスト、低エネルギーで、臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解、除去効率を向上させ、室内の空気を清浄化することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における脱臭装置の分解斜視図である。
図1において、脱臭装置6は、ステンレスや銅等の金属からなり、先端部が鋭角で複数の突起部を有する平板形状の放電電極1と、触媒部2と、プラスチック等の絶縁体からなり、放電電極1および触媒部2を収納し、脱臭装置6の前面を支えるケーシング3と、金属や導電性プラスチック等の導電性材料からなり、メッシュ等の開口を有する接地電極(放電電極1の対向電極)4と、ケーシング3および接地電極4を支持して脱臭装置6全体を支える支持カバー5とから構成される。
なお、脱臭装置6は、ケーシング3、放電電極1、触媒部2、接地電極4、支持カバー5の順に風上側から風下側になるように通風路上に配置される。
ここで、触媒部2は、ペーパーセラミックやコージェライト等の基材に、通風路内の風の流れと平行な例えばハニカム状、コルゲート状、四角状の開口部を有するとともに、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔あるいはミクロ孔を有する多孔質吸着剤と、酸化マンガン、酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物と、白金、パラジウム等の貴金属とがそれぞれ1種類以上混合されて基材に担持され、さらに接地電極4と接触するように構成される。よって、触媒部2は、基材に多孔質吸着剤、多孔質金属酸化物、貴金属を担持させた絶縁材料と導電材料の混合体であり、導電性を多少有するため、接地電極4と接触することにより接地電極4と同電位になる。
また、接地電極4の開口部は触媒部2の開口部よりも大きくなるように形成される。さらに、放電電極1と接地電極4には高圧電源(図示せず)が接続され、両者の間に3.5kV〜10kVの正または負の直流高電圧が印加される。
次に、動作について説明する。
まず、高圧電源(図示せず)から放電電極1と接地電極4の間に供給される直流電圧により、放電電極1から触媒部2にコロナ放電が発生する。このとき、ケーシング3から吸い込まれた空気中の臭気ガス成分や揮発性有機化合物、例えばアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等は、触媒部2上の疎水性ゼオライト、酸化マンガン等の吸着部で一旦捕捉され、上記コロナ放電により生成された酸素ラジカルや水酸基ラジカルなどの活性種により分解処理され、無害化され、吸着部から解離する。
ここで、上記コロナ放電は触媒部2上の貴金属に対しても優位に働き、貴金属もコロナ放電による分解を助ける働きをする。特に貴金属の中でも白金やパラジウムは酸素との親和性が強く、多くの酸素原子を吸着する性質を有する。すなわち、コロナ放電により貴金属は活性化され、貴金属上の吸着酸素の解離が促され、酸素原子の吸脱着速度は促進される。貴金属から解離した酸素原子は、高濃度時には主に多孔質吸着剤の吸着部で捕捉された臭気ガス成分や揮発性有機化合物へ、低濃度時には主に多孔質金属酸化物の吸着部で捕捉された臭気ガス成分や揮発性有機化合物へと向かい、酸化反応により臭気ガス成分や揮発性有機化合物を分解し、解離させる。このため、吸脱着速度の向上はそのまま分解速度の向上へと繋がる。
また、貴金属から解離した酸素原子は、コロナ放電によって分解された臭気ガス成分や揮発性有機化合物の分解生成物を酸化することで、臭気ガス成分や揮発性有機化合物の分解生成物の再結合を防止することもできるため、臭気ガス成分や揮発性有機化合物の分解がさらに促進されることになる。
さらに、触媒部において、触媒部2表面上に対して放電エネルギーを均一に印加させるため、触媒部2に担持(添着)された多孔質吸着剤、多孔質金属酸化物、貴金属の各成分は高分散な状態で混合されていることが望ましく、さらには、多孔質吸着剤と多孔質金属酸化物粒子と貴金属粒子が隣接して接触した状態であることが望ましい。
また、担持させる多孔質吸着剤および多孔質金属酸化物は、臭気ガスや有害揮発性化学物質の触媒部2上への吸着性能を高めるため、メソ孔あるいはミクロ孔を有する多孔体であることが望ましい。
次に、この脱臭装置の実験品による検証実験について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品の分解斜視図、図3はこの脱臭装置の実験品によるアセトアルデヒドの分解・除去性能を示す図である。
図2において、脱臭装置の実験品11は、ステンレスや銅等の金属からなり、2つの針状の突起部を有する放電電極1と、ハニカム状の開口部を有する基材に多孔質吸着剤、多孔質金属酸化物、貴金属を担持させた触媒部2と、放電電極1および触媒部2を覆い、プラスチック等の絶縁体からなり、風路用の穴8aを設けた中央カバー8と、中央カバー8の風路上流側に配置され、放電電極1を保持し、風路用の穴9aを設けた前面カバー9と、金属、貴金属、導電性プラスチック等の導電性材料からなり、メッシュ等の開口を有する接地電極4と、接地電極4を保持し、風路用の穴10aを設けた後部カバー10とから構成される。なお、放電電極1と接地電極4の間には、直流電圧が印加され、コロナ放電が行われる。
図3はこの発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品における投入電力とアセトアルデヒド除去率との関係を示す図であり、触媒部2に添着物としてパラジウム(2g/l)のみ(図3のA)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン(同B)、白金(2g/l)のみ(同C)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン+白金(0.025g/l)(同D)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン+パラジウム(0.5g/l)(同E)をそれぞれ用い、電圧印加した場合のアセトアルデヒド除去状況を示す。
図3により、パラジウム(2g/l)のみでは投入電力が増えるにつれてアセトアルデヒド除去率が徐々に大きくなるものの、25%付近で上限に達してしまう。また、白金(2g/l)のみでは投入電力が増えてもアセトアルデヒド除去率が約15%とほぼ一定であり、除去率が低いままである。
そこで、貴金属をより少なくしてゼオライトと酸化マンガンを混合し添着する、例えば疎水性ゼオライト+酸化マンガン+白金(0.025g/l)の場合では、投入電力が増えるにつれてアセトアルデヒド除去率が大きくなり、投入電力0.2Wではアセトアルデヒド除去率が約38%になり、白金(2g/l)のみの場合よりもアセトアルデヒド除去率が向上する。また、疎水性ゼオライト+酸化マンガン+パラジウム(0.5g/l)の場合でも投入電力が増えるにつれてアセトアルデヒド除去率が大きくなり、投入電力0.2Wではアセトアルデヒド除去率が約42%になり、パラジウム(2g/l)のみよりもアセトアルデヒド除去率が向上するとともに、疎水性ゼオライト+酸化マンガンの場合と比較しても少ない投入電力で高いアセトアルデヒドの除去効果が得られる。
次に、脱臭装置の実験品11におけるアセトアルデヒド除去時に発生するオゾン対策について説明する。図4はこの発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品における投入電力とオゾン発生量の関係を示す図であり、図において、触媒部2に添着物としてパラジウム(2g/l)のみ(図4のA)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン(同B)、白金(2g/l)のみ(同C)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン+白金(0.025g/l)(同D)、疎水性ゼオライト+酸化マンガン+パラジウム(0.5g/l)(同E)をそれぞれ用いた場合を示す。
オゾンは人体に影響があり、臭気性も強いため、発生量を1.0mg/h以下に抑制することが望ましく、投入電力あたりのオゾン発生量を少なくする必要がある。そこで、図4により、触媒部2に疎水性ゼオライト+酸化マンガン+白金またはパラジウムを添着した(図4のDおよびE)場合には、投入電力あたりのオゾン発生量が最も少なくなり、さらに、投入電力を約5W以下にすることによりオゾン発生量を1.0mg/h以下に抑制することができることがわかる。
よって、触媒部に吸着剤+金属酸化物+貴金属を混合して添着した場合は、貴金属のみを添着する場合や吸着剤+金属酸化物を添着する場合よりも投入電力あたりのオゾン発生量を抑制できるため、投入電力を高く設定することができ、臭気ガスや有害揮発性化学物質の除去率を向上させることができ、さらに、投入電力を約5W以下にすることによりオゾン発生量を1.0mg/h以下に抑制することができる。
上記に説明した脱臭装置の構造は、一例として記載したものであり、これに限定されるものではない。例えば突起部を有する放電電極1はこの形状に限定されず、突起部を有さない薄型板状やワイヤー形状であっても同様の効果を奏する。また、触媒部2の構造は、ハニカム状、コルゲート状、四角状に限定されず、ガラスあるいはセラミック、ポリマー材料から成る繊維によって構成された繊維形状、あるいは3次元網目構造を有したセラミック構造体の基材に、多孔質吸着材と、多孔質金属酸化物と、貴金属を担持させた絶縁物と導電材料の混合体とを、担持させた構造であっても同様の効果を奏する。さらに、放電手段として、コロナ放電を一例として記載したが、これに限定されず、例えば、沿面放電、無声放電、などであっても同様の効果を奏する。なお、沿面放電や無声放電を利用する場合は、誘電体が被覆された放電面を有した電極構造を備えることが好ましい。
以上のように、脱臭装置6は、触媒部2に、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔あるいはミクロ孔を有する多孔質吸着剤、酸化マンガン、酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物、白金、パラジウム等の貴金属を混合し担持した材料を配置することにより、触媒部2上での吸着作用、金属酸化物・貴金属による酸化作用や分解作用、放電のラジカル生成による分解作用を組み合わせ、相乗効果を生み出すことにより、低コストで、低エネルギーで臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解・除去効率を向上でき、室内の空気を清浄化することができる。
実施の形態2.
この実施の形態2では、実施の形態1で示した脱臭装置6を備えた空気調和装置について説明する。
図5はこの発明を実施するための実施の形態2における脱臭装置を備えた空気調和装置の正面図であり、便宜上、前面パネルを外したものを示す。図6はこの脱臭装置を備えた空気調和装置の側面断面図である。図6において、脱臭装置6は空気調和装置12の通風路入口、例えば正面に向かって右側上方の熱交換器13の前面に取り付けられる。これにより、空気調和装置12の運転時には、ファン14を稼動させ、室内空気を空気調和装置12正面上方から脱臭装置6へ取り込み、脱臭装置6で清浄化した後、熱交換器13で加熱または冷却し、空気調和装置12正面下方から室内へ送出する。
図7はこの発明を実施するための実施形態2における脱臭装置の触媒部の斜視図であり、この脱臭装置の触媒部以外の構成は実施の形態1と同様であるため、図示を省略する。図8はこの脱臭装置の触媒部における平方インチあたりのセル数と圧力損失との関係を示す図、図9はこの脱臭装置の触媒部におけるセル数とアセトアルデヒド除去率との関係を示す図である。
ここで、脱臭装置6の触媒部2において、平方インチあたり200〜500セルのコルゲート状開口部を有するセラミックペーパー基材を用い、この基材に吸着剤、金属酸化物、貴金属を添着している。これにより、空気中の臭気ガス成分や揮発性有機化合物の除去率の向上が見込める。
次に、空気調和装置の脱臭装置の動作について説明する。
まず、脱臭装置6を空気調和装置12の通風路入口に備え、臭気成分を除去する場合に、触媒部2におけるより効果的な構造としては、ハニカム状、コルゲート状、四角状の開口部を有する構造、または繊維形状が挙げられる。特に、図7に示すようなコルゲート状の触媒を用いた場合には、通風時の圧損が低く、流通が良いため、臭気成分の触媒への衝突確率が高く、優れた吸着性能を有する。
また、図8は通風方向に厚さ10mmの触媒部2を用いた場合の流速1m/sにおける圧力損失のセル数依存性を示し、セル数の増加に伴い圧力損失は二次関数的に上昇することがわかる。そのため、空気調和装置12はより少ないセル数のコルゲート状触媒を用いる必要がある。特に、500セル以下の圧力損失は、空気調和装置12において外気吸引に大きな影響を与える15Paよりも低い値であるため、500セル以下のコルゲート状の構造を有する触媒を用いることが、外気吸引に大きな影響が少なく、望ましい。
さらに、図9は空気調和装置12に備えたコルゲート状の構造を有する触媒部2において、アセトアルデヒド除去効率のセル数依存性を示し、200〜500セル間ではセトアルデヒド除去率が高く、触媒の効果を十分に発揮でき、吸着・分解効果が最も高いことを示している。
なお、コルゲート状の開口部を有する触媒部2を中心に説明したが、ハニカム状、四角状の開口部を有する構造や繊維形状であっても同様の効果が得られる。
以上のことから、コルゲート状、ハニカム状、四角状の開口部を有する触媒部2を200〜500セル間で用いる、または繊維形状の触媒部2を用いることにより、空気調和装置12内での脱臭装置6は最適動作を実現することができ、貴金属による分解・酸化反応、触媒上の吸着成分における放電による分解が活性化され、脱臭装置6の分解、除去効果を最大限に生かすことが可能である。
また、脱臭装置を空気調和装置の通風路入口に備えたことにより、臭気ガス成分や有害揮発性化学物質の分解、除去して清浄化した空気を加熱または冷却でき、快適な冷暖房を行うことができる。
実施の形態3.
この実施の形態3では、実施の形態1で示した脱臭装置6の放電電極の材質をステンレスや銅等の金属から貴金属に変更したものについて説明する。
図10はこの発明を実施するための実施の形態3における脱臭装置の放電電極の材質とアセトアルデヒド残存率との関係を示す図である。なお、脱臭装置6の構成は図1や図2と同様であり、放電電極1の材質が異なるだけであるため、図示を省略し、図1や図2を流用する。
次に、動作について、図1を用いて説明する。
脱臭装置6において、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属を一種類以上用いて形成された放電電極1、あるいは上記貴金属成分をコーティング(被膜)した放電電極1を用いる。これにより、脱臭装置6中の通風路の前半部分において、高圧電源(図示せず)による放電電極1への高電圧印加により活性化された放電電極1上の貴金属成分による臭気成分の吸着除去・酸化分解が行われ、かつ、貴金属からの酸素原子の解離によりオゾン生成が促進される。さらに、コロナ放電により生成された放電ラジカル(酸素ラジカルや水酸基ラジカル等)により臭気成分や有害揮発性化学物質が分解され、その後の再結合が貴金属から解離した酸素原子により抑制されることで、放電電極1および放電内部での臭気成分の分解除去率が向上する。よって、通風路を流れる臭気成分の濃度が低下し、触媒部2の吸着量が低減されるとともに、臭気成分の吸着除去・分解反応も効率的に行われ、脱臭装置6全体の除去率が大きく向上する。
次に、この脱臭装置の実験品11による検証実験について、図2、図10を用いて説明する。
図10は、脱臭装置の実験品11に一定濃度のアセトアルデヒドを流し続けた場合に、放電電極1の素材の違いによるアセトアルデヒド残存率の経時変化を示すものである。そこで、図2の脱臭装置の実験品11において、放電電極1をステンレスおよび白金により形成し、通風路に一定濃度の臭気成分を流通させると、開始直後はアセトアルデヒド吸着除去・分解率が高く残存率が低くなるが、常に一定濃度のアセトアルデヒドを流入しているため、時間の経過に伴い徐々に吸着量が減衰し、アセトアルデヒド残存率が増加していく。そして、所定の時間が経過すると、触媒部2上へのアセトアルデヒドの吸着速度とコロナ放電による触媒部2上での分解速度が平衡に達し、残存率の変化が少なくなる。
そこで、放電電極1にステンレスを用いた場合と白金を用いた場合のアセトアルデヒド残存率を比較すると、ステンレスよりも白金を用いた方がアセトアルデヒド残存率が常に低い状態を維持していることから、放電電極1での臭気成分除去が白金によって行われ、臭気成分の分解・除去効率および触媒部2の寿命が向上していることがわかる。
なお、放電電極1を白金を用いて形成したものについて説明したが、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属を一種類以上用いて形成する、あるいは上記貴金属成分をコーティングして形成すればよく、同様の効果が得られる。
また、本実施形態の放電電極1を有する脱臭装置6を空気調和装置の通風路入口に設けてもよいことは言うまでも無い。
以上のことから、放電電極1を白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属を一種類以上用いて形成する、あるいは上記貴金属成分をコーティングして形成することにより、放電電極1および放電内部での臭気成分の分解除去率が向上し、通風路を流れる臭気成分の濃度が低下し、触媒部2の吸着量が低減されるとともに、臭気成分の吸着除去・分解反応も効率的に行われ、脱臭装置6全体の除去率が大きく向上することができる。
この発明の実施の形態1を示す脱臭装置の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品の分解斜視図である。 この発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品における投入電力とアセトアルデヒド除去率との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1を示す脱臭装置の実験品における投入電力とオゾン発生量の関係を示す図である この発明の実施の形態2を示す脱臭装置を備えた空気調和装置の正面図である。 この発明の実施の形態2を示す脱臭装置を備えた空気調和装置の側面断面図である。 この発明の実施の形態2を示す脱臭装置の触媒部の斜視図である。 この発明の実施の形態2を示す脱臭装置の触媒部における平方インチあたりのセル数と圧力損失との関係を示す図である。 この発明の実施の形態2を示す脱臭装置の触媒部におけるセル数とアセトアルデヒド除去効率との関係を示す図である。 この発明の実施の形態3を示す脱臭装置の放電電極の材質とアセトアルデヒド残存率との関係を示す図である。
符号の説明
1 放電電極、 2 触媒部、 3 ケーシング、 4 接地電極、 5 支持カバー、 6 脱臭装置、 8 中央カバー、9 前面カバー、 10 後部カバー、 11 脱臭装置の実験品、 12 空気調和装置、 13 熱交換器、 14 ファン。

Claims (13)

  1. 被処理流体の流通空間内に配置され、高電圧が印加される放電電極およびその対向電極と、被処理流体内の臭気ガス成分や有害揮発性化学物質を浄化する触媒部とを備えた脱臭装置において、前記触媒部は前記放電電極と前記対向電極の間に配置され、吸着剤、金属酸化物、貴金属を混合して担持したことを特徴とする脱臭装置。
  2. 前記触媒部に担持される貴金属は、白金または/およびパラジウムであることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  3. 前記触媒部に担持される吸着剤は、細孔構造を有する多孔体材料であることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  4. 前記触媒部に担持される吸着剤は、メソ孔あるいはミクロ孔構造を有することを特徴とする請求項1または3記載の脱臭装置。
  5. 前記触媒部に担持される吸着剤は、ゼオライト、活性炭、シリカのいずれかの1種類以上からなることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載の脱臭装置。
  6. 前記触媒に担持される金属酸化物は、細孔構造を有する多孔体材料であることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  7. 前記触媒に担持される金属酸化物は、遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項1または6記載の脱臭装置。
  8. 前記放電電極とその対向電極への投入電力が5W以下であることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  9. 前記触媒部は、ハニカム状、コルゲート状、四角状の開口部を有する形状、あるいは繊維形状であることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  10. 前記触媒部は、平方インチあたり200〜500セルの開口部を有することを特徴とする請求項1または9記載の脱臭装置。
  11. 前記放電電極は、貴金属より形成される、または貴金属で被覆されることを特徴とする請求項1記載の脱臭装置。
  12. 前記放電電極が形成される貴金属または被覆される貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀のうち1種類以上であることを特徴とする請求項1または11記載の脱臭装置。
  13. 前記請求項1〜12のいずれかに記載の脱臭装置を通風路入口に備えたことを特徴とする空気調和装置。
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