JP2006276203A - 位相差板 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明の別の目的は、液晶の配向欠陥に起因する欠陥が少ない位相差板の提供にある。
1.透明支持体の上に、配向膜と、少なくとも一層の下記一般式(DI)で表される化合物から形成されている光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、棒状液晶を配向させた時に棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性を有することを特徴とする位相差板。
一般式(DI)
一般式(DI−A)
一般式(DI−B)
一般式(DI)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R):*−(−L21−二価の環状基)n1−L22−L23−Q1
[*は一般式(DI)中の5員環に結合する位置を表す。L21は単結合または二価の連結基を表し、二価の環状基は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基を表す。n1は0〜4整数を表す。L22は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)H−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−、を表し(ここで、*は一般式(DI−R)中のベンゼン環に結合する位置を表す。)、一般式(DI−R)中、L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q1はそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。]
2.透明支持体の上に、配向膜と、上記1に記載の一般式(DI)で表される化合物をから形成されている少なくとも一層の光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)又は(III)で表される繰り返し単位とを含むアクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマーであることを特徴とする位相差板。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であり;Mは、プロトン、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり;L0は、−O−、−CO−、−NH−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であり;R0は、炭素原子数が10乃至100の炭化水素基または炭素原子数が1乃至100のフッ素原子置換炭化水素基であり;Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基であり;mは、10乃至99モル%であり;そして、nは、1乃至90モル%である。
3.透明支持体の上に、配向膜と、少なくとも一層の上記1記載の一般式(DI)で表される化合物とから形成されている光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、下記一般式(I−TH)、一般式(II−TH)及び一般式(III−TH)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1種有する重合体を含む配向膜であることを特徴とする位相差板。
4.光学異方性層がハイブリッド配向した液晶性化合物から形成されることを特徴とする上記1、2および3いずれかに記載の位相差板。
[一般式(DI)で表される化合物]
本発明に用いられる一般式(DI)表される化合物は、ディスコティック液晶性を示すことが好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示すことが好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
一般式(DII−R)中のL31は、一般式(DI−R)中のL22の定義と同様である。
一般式(DII−R)中のL32は、一般式(DI−R)中のL23の定義と同様である。
一般式(DII−R)中のQ3は、一般式(DI−R)中のQ1の定義と同様である。
下記スキームにしたがって合成した。
4−シアノフェノール15.0gをジメチルホルムアミド300mlに溶解させ、炭酸カリウム20.9g、1−ブロモヘキサン18.5mlを添加後、窒素雰囲気下、110℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−3Aを25.0g得た。
D−3A 25.0gをエタノール200mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液26.0mlを添加後、90℃で3時間撹拌した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥しD-3Bの結晶を29.0g得た。
D−3B 29.0g、を1,4−ジオキサン300mlに溶解させ、トリメシン酸クロライド10.2g、ピリジン10.9mlを添加後、90℃で7時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D-3を25g得た。得られたD-3のNMRスペクトルは以下の通りである。
0.85(9H、t)
1.25−1.35(12H、m)
1.35−1.45(6H、m)
1.70−1.80(6H、m)
3.95(6H、t)
6.95(6H、d)
8.05(6H、d)
9.10(3H、s)
下記スキームにしたがって合成した。
2−ブロモブタノール0.34gをジメチルアセトアミド5mlに溶解後、アクリル酸クロライド0.26mlを滴下し、室温で1時間攪拌後、水20ml、ヘキサン20mlを加え、有機層を洗浄した。分液後、ヘキサン層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.3g、炭酸カリウム0.44gおよびジメチルホルムアミドを加え、110℃で5時間攪拌した。反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−7の結晶0.36gを得た。
4.33(6H、t)
4.60(6H、t)
5.89(3H、dd)
6.20(3H、dd)
6.50(3H、dd)
7.05(6H、d)
8.15(6H、d)
9.20(3H、s)
下記スキームにしたがって合成した。
0.95(9H、t)
1.30−1.40(12H、m)
1.40−1.50(6H、m)
1.85−1.95(6H、m)
4.20(6H、t)
7.10(3H、dd)
7.90−8.00(6H、m)
9.20(3H、s)
下記スキームにしたがって合成した。
1.40−1.60(12H、m)
1.65−1.75(6H、m)
1.75−1.85(6H、m)
4.15(6H、t)
4.25(6H、t)
5.80(3H、dd)
6.15(3H、dd)
6.45(3H、dd)
7.10(3H、dd)
7.90−8.00(6H、m)
9.25(3H、s)
本発明に用いられる配向膜は、棒状液晶を配向させた時に棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性を有することが好ましい。ここで、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性とは、棒状液晶分子が、均一に配向していない状態も含む。配向膜の特性としは、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と直交方向に均一に配向しうる特性が好ましいが、配向膜と用いる棒状液晶とも相性によっても、均一性は異なるために、均一に配向していないから好ましくないともいえない。
また、棒状液晶の長軸方向が少しでもラビング方向とは異なる向きに配向させようとする配向膜であれば、その配向膜上にディスコティック液晶化合物を配向させたときには、配向欠陥が少なくなる効果が期待できる。
従って、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性とは、下記に示すような棒状液晶を、配向膜上で配向させたとき、20%以上の面積で、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と90°±10°の方向に配向しうる配向膜を示す。より好ましくは、50%以上の面積で、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と90°±10°の方向に配向しうる配向膜である。
ただし、(i){下記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)又(III)で表される繰り返し単位とを含むアクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマー}、(ii){下記一般式(I−TH)、一般式(II−TH)及び一般式(III−TH)のいずれかで表される繰り返し単位を少なくとも1種有する重合体}を配向膜に用いる場合においては、棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性を有することが好ましいが、必ずしも棒状液晶を配向させた時に棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性を有する必要はない。
{下記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)又は(III)で表される繰り返し単位とを含むアクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマー}
R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であり;Mは、プロトン、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり;L0 は、−O−、−CO−、−NH−、−SO2 −、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であり;R0 は、炭素原子数が10乃至100の炭化水素基または炭素原子数が1乃至100のフッ素原子置換炭化水素基であり;Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基であり;mは、10乃至99モル%であり;そして、nは、1乃至90モル%である。
R1、R2、M、L0、R0、Cyおよびnのより詳細な説明および好ましい態様は、特開2002−98836号公報に記載されている内容と同様である。
上記アクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマーとして、特開2002−98836号公報に記載の化合物も用いることができる。
本発明の配向膜は、下記一般式(I−TH)、一般式(II−TH)及び一般式(III−TH)のいずれかで表される繰り返し単位を少なくとも1種有する重合体(以下、「配向膜用ポリマー」という場合がある)を含む。以下、一般式(I−TH)〜(III−TH)について詳細に説明する。
P1は酸素原子、−CO−又は−NR12−を表す。R12は水素原子又は置換もしくは無置換の炭素原子数が1〜6のアルキル基を表す。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。好ましくは水素原子又は炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
n1は1〜3の整数を表す。
L32は置換もしくは無置換の、アルキレン基、2価の環状脂肪族基、2価の芳香族基、2価のヘテロ環基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、L32は前記一般式(I−TH)のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。X3は水素結合性基を表し、前記一般式(I−TH)中のX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。n3は0〜3の整数である。
一方、前記配向膜用ポリマーが、架橋性基を有する構成単位を含む場合、該ポリマーは、(a)対応するモノマー(即ち、架橋性基となる置換基を有するモノマー)を重合して、直接エチレン性不飽和基を導入する手法;又は(b)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られたポリマーに、高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法;により合成することができる。(b)の方法が好ましい。前記高分子反応は、I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させた後に、官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応、脱保護反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法;及びII)任意の官能基を含むポリマーを生成させた後に、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行し、共有結合を生成し得る官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する化合物(以降、「反応性モノマー」と称する。)を反応させる方法が挙げられる。また前記I)及びII)の方法を組み合わせて、前記ポリマーを合成してもよい。ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いてもよく、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
500mLの三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド(300ml)を添加し、4−アミノ安息香酸(40.3g、0.294mol)を溶解し、0℃に冷却したところへ、アクリル酸クロリド(30.0g、0.331mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を40℃まで加温し、更に2時間過熱攪拌後、反応液を水3Lに添加し、析出した固体を減圧濾過で濾別し、送風乾燥して(中間体A)を定量的に得た。100mLの三口フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)を入れ、窒素を35ml/分の流量で流しながら65℃に加熱したところへ、開始剤(和光純薬(株)製V−65、7.5mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液を添加した。10分後に、中間体A(7.5g:0.039mol)及び開始剤(和光純薬(株)製V−65、18.5mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液を3時間掛けて滴下した。滴下終了後、開始剤((和光純薬(株)製V−65、3.8mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)溶液を添加し、そのままの温度で3時間反応させた。その後、反応系を室温に戻した後、攪拌された水(800mL)中にゆっくりと注加し、析出したポリマーを吸引ろ過によって取り出し、更に水洗した。得られたウェットのポリマーは8.9gであった。このポリマーを乾燥することによって、配向膜用ポリマーAL−1を6.9g得た。得られた固体がポリマーであることは1H−NMRより確認した。
本発明の位相差板は、支持体上に本発明の配向膜と、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有することを特徴とする。
(1)光学異方性層
本発明の光学異方性層は、配向状態に固定された液晶性化合物を含有する。好ましくは液晶性化合物が一般式(DI)で表される化合物である。前記光学異方性層は、液晶性化合物、好ましくはディスコティック液晶性化合物、及び所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、例えば支持体上に形成された本発明の配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物を配向及び固定化した後は、支持体を剥離してもよい。
前記光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物もしくは棒状液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、上記の様に支持体上に形成され、且つ、配向性が付与された本発明の配向膜上に塗布することによって作製ることができる。また、可能であれば蒸着による形成でも良いが、塗布による形成が好適に用いられる。塗布方法としてはカーテンコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、ロールコーティング、スライドコーテティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、紫外線照射等によって固定化することによって、液晶性化合物による光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、光学補償等の用途によって、最適なレタデーションの値によって異なるが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
前記光学異方性層は、一般式(DI)で表される化合物をから形成される。特に、一般式(DI)で表され且つディスコティック液晶性を示す化合物から形成されていることが好ましい。本発明に用いることができる、一般式(DI)で表される化合物以外のディスコティック液晶性化合物としては、重合性基を有する円盤状液晶性化合物が好ましい。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
一般式(VI):(Hb−L2−)nB1
式(VI)中、Hbは炭素原子数が6〜40の脂肪族基又は炭素数6〜40の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を表し、L2は−O−、−S−、−CO−、−NR5−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、R5は水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を表し、nは2〜12のいずれかの整数を表し、B1は少なくとも3つの環構造を含むn価の基を表す。一般式(VI)のHb、L2、B1及びnの詳細については、それぞれ特開2002−129612号公報に記載があり、本発明に用いられる配向制御剤についても同様である。
ポリプロピレンオキシド
ポリテトラメチレンオキシド
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリメラミン
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,2−ブチレン グリコール)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレン アジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリ(3−ヒドロキシブチリックアシッド)
本発明の光学異方性層は、TN(Twisted Nematic)のような液晶表示モードの位相差板として使用する場合においては、ディスコティックネマチック相がハイブリッド配向した状態を固定化することが好ましい。ここで、ハイブリッド配向とは、膜厚方向で液晶性化合物のチルト角が連続的に変化している状態を表す。
本発明において、光学異方性層の平均のチルト角(透明支持体面の方向と液晶性化合物の円盤面方向のなす角)は、10〜70°が好ましく、特に20〜60°が好ましい。
また、それぞれの界面におけるチルト角は、空気界面のチルト角が0〜50°且つ支持体側界面のチルト角が20〜90°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜50°且つ空気界面のチルト角が20〜90°の組み合わせが好ましい。特に、空気界面のチルト角が0〜40°且つ支持体側界面のチルト角が40〜80°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜40°、且つ空気界面のチルト角が40〜80°の組み合わせが好ましい。
本発明の位相差板は支持体を有する。支持体は、作製時に用いられる支持体と必ずしも同一でなくてもよく、前記光学異方性層を作製した後、作製時に用いた仮支持体から他の支持体に転写してもよい。本発明の位相差板に用いられる支持体は、透明で光学異方性が小さく、波長分散が小さいポリマーフィルムを用いることが好ましい。ここで支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、ロール状又は長方形のシート状の形状を有することが好ましく、ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。ポリマーの例には、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが含まれる。セルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。セルロースアシレートフィルムを非塩素系溶媒を用いて製造することについて、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、そこに記載されたセルロースアシレートフィルムも本発明に好ましく用いることができる。
本発明の位相差板に、直線偏光膜又は透明保護膜を貼り合せ、偏光板とした後に、実際の液晶表示素子に用いるのが好ましい。以下に該偏光膜及び透明保護膜について説明する。
直線偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性分子の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差板の支持体側に貼り合せるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と貼り合せてもよい。
位相差板の光学異方性層側に透明保護膜を貼り合せてもよい。該透明保護膜としては、透明なポリマーフィルムが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
1.本発明の位相差板の作製
(1)配向膜の形成
厚さ100μmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。本発明の配向膜用ポリマー(例示化合物AL−2)を水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、中和剤としてトリエチルアミンを添加し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に塗布し、塗布層を120℃で2分間加熱して、乾燥し、その表面をラビング処理することで厚さ1μmの配向膜を形成した。この配向膜に、下記棒状液晶(V−1)をメチルエチルケトンに溶解させ塗布し、液晶温度でその配向性を確認したところ、分子長軸方向がラビング方向と直交方向に配向していることが分った。
配向膜のラビング処理面上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて塗布した。
光学異方性層塗布液
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本発明の液晶性化合物(D−109) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.0質量部
増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
界面活性剤(KK−1) 0.4質量部
メチルエチルケトン 270質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1)配向膜の形成
厚さ100μmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。本発明の配向膜用ポリマー(アクリル酸コポリマー(PA732)特開2002−98836号公報に記載)を水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、中和剤としてトリエチルアミンを添加し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に塗布し、塗布層を120℃で2分間加熱して、乾燥し、その表面をラビング処理することで厚さ1μmの配向膜を形成した。この配向膜に、上記棒状液晶(V−1)をメチルエチルケトンに溶解させ塗布し、液晶温度でその配向性を確認したところ、分子長軸方向がラビング方向と直交方向に配向していることが分った。
配向膜のラビング処理面上に、実施例1で用いた塗布液を塗布し、実施例と同様の方法で位相差板を作製した。
厚さ100μmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。PVA−203((株)クラレ製)を水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に塗布し、塗布層を110℃で2分間加熱して、乾燥し、その表面をラビング処理することで厚さ1μmの配向膜を形成した。この配向膜に、上記棒状液晶(V−1)をメチルエチルケトンに溶解させ塗布し、液晶温度でその配向性を確認したところ、分子長軸方向がラビング方向と平行方向に配向していることが分った。
実施例1および2で得られた位相差板の断面の超薄切片をマイクロトームを用いて作製し、その切片を偏光顕微鏡で観察することで、実施例1および2で得られた位相差板の光学異方性層がハイブリッド配向していることが確認できた。
次に、実施例1、2および比較例1で得られた位相差板を偏光顕微鏡で観察を行ったところ、実施例1および2で得られた位相差板は、配向の欠陥がほとんど見られず均一に配向していることが確認できた。一方、比較例1で得られた位相差板は、ラビング方向と平行方向にスジ状の欠陥が発生していることが確認できた。
Claims (4)
- 透明支持体の上に、配向膜と、少なくとも一層の下記一般式(DI)で表される化合物から形成されている光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、棒状液晶を配向させた時に棒状液晶の長軸方向がラビング方向と略直交方向に配向しうる特性を有することを特徴とする位相差板。
一般式(DI)
一般式(DI−A)
一般式(DI−B)
一般式(DI)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R):*−(−L21−二価の環状基)n1−L22−L23−Q1
[*は一般式(DI)中の5員環に結合する位置を表す。L21は単結合または二価の連結基を表し、二価の環状基は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基を表す。n1は0〜4整数を表す。L22は*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)H−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−、を表し(ここで、*は一般式(DI−R)中のベンゼン環に結合する位置を表す。)、一般式(DI−R)中、L23は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q1はそれぞれ独立に重合性基または水素原子を表す。] - 透明支持体の上に、配向膜と、請求項1に記載の一般式(DI)で表される化合物をから形成されている少なくとも一層の光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)又は(III)で表される繰り返し単位とを含むアクリル酸コポリマー又はメタクリル酸コポリマーであることを特徴とする位相差板。
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であり;Mは、プロトン、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり;L0は、−O−、−CO−、−NH−、−SO2−、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であり;R0は、炭素原子数が10乃至100の炭化水素基または炭素原子数が1乃至100のフッ素原子置換炭化水素基であり;Cyは、脂肪族環基、芳香族基または複素環基であり;mは、10乃至99モル%であり;そして、nは、1乃至90モル%である。 - 透明支持体の上に、配向膜と、少なくとも一層の請求項1記載の一般式(DI)で表される化合物とから形成されている光学異方性層とを有する位相差板であって、該配向膜が、下記一般式(I−TH)、一般式(II−TH)及び一般式(III−TH)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1種有する重合体を含む配向膜であることを特徴とする位相差板。
一般式(I−TH)
一般式(II−TH)
一般式(III−TH)
- 光学異方性層がハイブリッド配向した液晶性化合物から形成されることを特徴とする請求項1、2および3のいずれかに記載の位相差板。
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