JP2006185815A - 電池パック - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造の簡素化が可能でかつ組付け作業が容易になり、また十分な電池集合体の拘束が実現される電池パックを提供する。
【解決手段】 電池パック1Aは、電池モジュール11を複数積層することによって構成された電池集合体10と、電池集合体10が内部に収容されるケース体と、電池集合体10の積層方向の両端に位置するエンドプレート15と、エンドプレート15を連結するブラケット26,27とを備える。電池集合体10は、電池モジュール11の両側面に形成された突出部11aが積層方向に連ねられることによって形成された突条部を両側面に有している。ブラケット26,27は、この突条部を係止するとともに、ケース体2のロワーケース4に対して固定される。
【選択図】 図2
【解決手段】 電池パック1Aは、電池モジュール11を複数積層することによって構成された電池集合体10と、電池集合体10が内部に収容されるケース体と、電池集合体10の積層方向の両端に位置するエンドプレート15と、エンドプレート15を連結するブラケット26,27とを備える。電池集合体10は、電池モジュール11の両側面に形成された突出部11aが積層方向に連ねられることによって形成された突条部を両側面に有している。ブラケット26,27は、この突条部を係止するとともに、ケース体2のロワーケース4に対して固定される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電池パックに関し、より特定的には、電気自動車等に搭載される電池パックに関する。
近年、電動機を駆動源として用いる電気自動車や、駆動源としての電動機とその他の駆動源とを組合わせたいわゆるハイブリッド電気自動車が実用化されてきている。このような車両においては、電動機にエネルギーである電気を供給するための電池が搭載される。この電池としては、たとえば、繰り返し充放電が可能なニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池、リチウムイオン電池などに代表される二次電池が用いられる。
二次電池は、電池セルや電池モジュールを積層した電池集合体として構成されており、この電池集合体がケース体の内部に収容された状態で自動車に搭載される。このケース体と、ケース体の内部に収容された電池集合体およびその他の内部構成部品とを含めたものを電池パックと称する。
各電池セルまたは電池モジュールは、内部での電気化学反応によって発熱し、その温度が上昇する。電池セルまたは電池モジュールは、高温になると発電効率が低下するため、たとえばケース体内部にケース体外部から冷却風を導入して電池モジュールを冷却することが行なわれる。
図8は、従来例1における電池パックの模式断面図である。図9は、図8に示す従来例1における電池パックの組付け構造を示す模式分解図である。なお、従来例1における電池パック1Fにおいては、電池集合体の内部を冷却風が上方から下方に向かって通過する、いわゆるダウンフロー型の冷却構造を採用している。
図8に示すように、電池パック1Fは、アッパーケース3とロワーケース4とからなるケース体2と、ケース体2の内部に設置された電池集合体10(図9参照)とを備える。電池集合体10は、複数の電池モジュール11を積層することによって構成されている。個々の電池モジュール11の主表面には凸部12が設けられており、この凸部12によって積層された電池モジュール11の間に冷却風を流通させるための流路の一部が形成されている。
図8に示すように、電池パック1Fの上部には、上部空間5が設けられており、電池パック1Fの下部には、下部空間6が設けられている。これら空間は、上述の電池集合体10の内部に形成された流路と連通している。また、電池パック1Fの側部には、個々の電池モジュール11の電気的な接続を確保するバスバー等の内部構成部品が配置される右側部空間7aおよび左側部空間7bが設けられている。上部空間5に面する、ケース体2の紙面と垂直な方向における端面には、吸気口(図示せず)が設けられている。下部空間6に面する、ケース体2の紙面と垂直な方向における端面には、排気口(図示せず)が設けられている。電池パック外部に設置されたブロア等の送風手段により、吸気口から電池パック1Fの上部空間5に導入された冷却風は、積層された電池モジュール11の間に形成された流路を経由して下部空間6へと移動する。下部空間6に導入された冷却風は、排気口から電池パック1Fの外部へ導出される。以上により、冷却風の流通に伴って電池モジュール11において発生した熱が電池パック1Fの外部へと排出される。
図9に示すように、電池集合体10の積層方向における両端にはエンド部材としてのエンドプレート15が配置されており、このエンドプレート15を拘束パイプ16によって連結することにより、積層された電池モジュール11が積層方向に拘束されている。このエンドプレート15および拘束パイプ16による拘束は、電池モジュール11を固定することによる電池集合体10の積層状態の維持の目的と、電池集合体10に所定の強度を持たせる目的とによってなされるものである。なお、エンドプレート15は、ボルト31によってロワーケース4に固定される。また、個々の電池モジュール11も、ボルト32によってロワーケース4に固定される。
また、図10は、従来例2における電池パックの模式断面図である。図10に示す電池パック1Gは、上述の従来例1における電池パック1Fと同様に、ダウンフロー型の電池パックではあるが、上述の従来例1における電池パック1Fとは異なり、吸気口8および排気口9がケース体2の側面に設けられており、また、ケース体2の内部において、電池集合体10が所定の傾角をもって傾斜配置されている。このように電池集合体10を傾斜配置させた電池パックにあっては、上部空間5および下部空間6において、冷却風の流動方向における断面積が吸気口8および排気口9から遠ざかるに連れて小さくなるように調整されているため、電池集合体10を全域にわたってより均一に冷却することができる。
このように構成された電池パック1Gにおいても、図9において示した従来例1における電池パック1Fと同様に、電池集合体10はエンドプレート15および拘束パイプ16によって積層方向に拘束され、エンドプレート15はボルト31によってロワーケース4に固定され、個々の電池モジュール11もボルト32によってロワーケース4に固定される。
上述の構成の電池パック1F,1Gおいては、上部空間5または下部空間6と右側部空間7aまたは左側部空間7bとの間を気密に維持するために、たとえば電池集合体10とアッパーケース3との間にガスケット23が配置され、電池集合体10とロワーケース4との間にもガスケット23が配置される。これにより、上部空間5または下部空間6から右側部空間7aまたは左側部空間7bに冷媒が漏れでないようになるため、効率的な熱交換が実現できるようになる。
これら従来例1および従来例2の如くの電池パックの構成は、たとえば、特開2003−249202号公報(特許文献1)や、特開2001−167806号公報(特許文献2)、特開2003−346759号公報(特許文献3)、特開2004−111309号公報(特許文献4)等に開示されている。
特開2003−249202号公報
特開2001−167806号公報
特開2003−346759号公報
特開2004−111309号公報
しかしながら、上述の従来例1および従来例2における電池パック1F,1Gにおいては、以下に示す課題を有している。
まず、第1に、電池モジュール11の発熱時において、膨張に伴う電池モジュール11の変形を十分に抑制できないという問題がある。上述のエンドプレート15および拘束パイプ16を用いて電池集合体10を拘束した場合には、拘束パイプ16が配置された部分の近傍においては拘束力が発揮されるため、電池モジュール11の膨張による変形が抑制される。しかしながら、電池モジュール11の発熱に伴ってエンドプレート15にも反りが生じてしまうため、拘束パイプ16の配置されていない電池モジュール11の側部、特に電池モジュール11の角部においては、電池モジュール11に大きな変形が生じる。電池モジュール11の変形は、二次電池の信頼性低下の原因となる。電池モジュール11の側部における変形を抑制するためには、電池集合体10の側部近傍に拘束パイプ16をさらに追加することも考えられるが、構造が複雑化し大型化するとともに部品点数が増加するため、組付け作業が煩雑化し、製造コストを圧迫してしまうことになる。
第2に、組付け作業が煩雑であるという問題がある。図9に示すように、個々の電池モジュール11は、ロワーケース4にボルト32を用いて個別に固定されている。このように構成した場合には、電池モジュール11の数の2倍の数のボルト32が必要となり、非常に多くの部品を必要とするばかりでなく組付け作業が煩雑化する。したがって、製造コストを圧迫する原因となっている。
第3に、上部空間5および下部空間6と右側部空間7aおよび左側部空間7bとの気密性を確保するためのガスケット23の取付け作業が煩雑であるという問題がある。通常、ガスケット23としてはスポンジシールが用いられるが、ケース体2および電池モジュール11にガスケット23を貼着するためには、予めケース体2および電池モジュール11の表面を脱脂処理しておく必要がある。しかしながら、この脱脂処理はコスト増加の原因となる。また、スポンジシール等のガスケットを用いた場合には、経年劣化によって信頼性が大幅に低下することも懸念され、好ましくはガスケットの使用箇所を可能な限り少なくし、より好ましくはガスケットの使用を廃止したいという要請がある。
このように、上述の従来例1および2における電池パックには、種々の問題があり、その解決が望まれていた。
そこで、本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであり、構造の簡素化が可能でかつ組付け作業が容易になり、また十分な電池集合体の拘束が実現される電池パックを提供することを目的とする。
また、本発明は、ガスケットの使用箇所を可能な限り少なくしつつケース体内部における気密性を十分に確保することが可能な電池パックを提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に基づく電池パックは、電池セルまたは電池モジュールを複数積層することによって構成された電池集合体と、上記電池集合体を内部に収容するケース体と、上記電池集合体を積層方向に拘束する拘束手段とを備える。上記拘束手段は、上記電池集合体の積層方向の両端に配置された一対のエンド部材と、上記積層方向に沿って延在して設けられ、上記一対のエンド部材を連結するブラケットとを含む。上記ブラケットは、上記ケース体に対して固定されている。
このように構成することにより、電池集合体を拘束する拘束手段と、拘束手段によって拘束された電池集合体をケース体に取付けるための固定手段とを、ブラケットにて共有化させることができるため、組付け構造が簡素化するとともに電池集合体の拘束および固定に要する部品の数も大幅に削減することができる。したがって、製造が容易化し、安価に電池パックを製作することが可能になる。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記ブラケットが個々の上記電池セルまたは上記電池モジュールを保持していることが好ましい。
このように構成することにより、個々の電池セルまたは電池モジュールを個別にケース体に固定する必要がなくなり、ブラケットによって一括してケース体に固定されることになる。したがって、構造が簡素化し、安価に電池パックを製作することが可能になる。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記電池セルまたは上記電池モジュールのそれぞれが、上記積層方向と交差する方向に位置する両側面に突出部を有し、上記電池集合体が、上記突出部が上記積層方向に連ねられることによって形成された突条部を両側面に有し、上記ブラケットが、上記電池集合体の上記両側面に沿って延在するように一対配置され、上記一対のブラケットのそれぞれが、上記積層方向に沿って延びかつ上記突条部を係止する係止部を有していてもよい。この場合、上記一対の係止部により、上記電池集合体が挟み込まれて保持されることにより、上記積層方向と交差する方向において上記電池集合体が拘束されることになる。
このように構成することにより、エンド部材およびブラケットによって電池集合体が積層方向に拘束されるのみならず、一対のブラケットによって電池集合体が積層方向と交差する方向において拘束されるようになる。このため、電池セルまたは電池モジュールの膨張に伴う変形が、簡素な構成の拘束手段によってより確実に抑制できるようになる。また、一対のブラケットによってすべての電池モジュールを一括してケース体に固定できるため、安価にかつ容易に電池パックを製作することができる。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記ケース体が、上部に位置するアッパーケースと、下部に位置するロワーケースとによって形成されていてもよく、その場合、上記一対のブラケットのうち、一方のブラケットが上記ロワーケースに固定され、他方のブラケットが上記アッパーケースに固定されていることが好ましい。
このように構成することにより、アッパーケースと電池集合体および電池集合体とロワーケースがブラケットによって固定されるようになり、電池パック全体としての強度が向上し、対振動性に優れた電池パックとすることができる。また、ブラケットを金属等の熱伝導率の高い材料にて形成することにより、ブラケットを介して電池集合体に生じる熱をロワーケースとアッパーケースの両方に放熱させることができるため、放熱性に優れた電池パックとすることができる。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記ブラケットと上記ケース体とがボルトによって固定されていることが好ましく、またその場合に、上記ボルトによってさらに上記ケース体が、電池パックが載置される載置対象に対して固定されていてもよい。
このように構成することにより、ブラケットとケース体との固定と同時に載置対象に対する電池パックの固定も行なえるため、組付け作業が簡略化される。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記ケース体内部の空間が、冷却風が流通する流路を形成する流路形成領域と、上記流路を形成しない非流路形成領域とを含んでいてもよく、その場合、上記流路形成領域と上記非流路形成領域との境界部に配置された上記ブラケットにより、上記流路形成領域と上記非流路形成領域とが気密に維持されていることが好ましい。
このように構成することにより、電池集合体とケース体との固定手段であるブラケットによって流路形成領域と非流路形成領域との気密性が確保されるようになるため、ガスケットを用いて気密性を確保すべき箇所が少なくなり、また場合によってはガスケットの使用を廃止することが可能になる。そのため、簡素な構成にて高い気密性を維持することが可能になるため、安価にかつ容易に高い冷却性能を備えた電池パックとすることができる。
上記本発明の第1の局面に基づく電池パックにあっては、上記ケース体内部の空間が、冷却風が流通する流路を形成する流路形成領域と、上記流路を形成しない非流路形成領域とを含んでいてもよく、その場合、上記流路形成領域内に配置された上記ブラケットによって上記流路が遮蔽されないように、上記ブラケットに連通孔が設けられていることが好ましい。
このように構成することにより、冷却風の流路上にブラケットを配置した場合にも、ブラケットの両側に位置する空間が連通孔を介して連通することになり、流路が遮蔽されることがなくなる。そのため、ブラケットの設置位置の自由度を高めることができ、最大限にブラケットを利用して電池集合体を拘束・固定することが可能になる。
本発明の第2の局面に基づく電池パックは、電池セルまたは電池モジュールを複数積層することによって構成された電池集合体と、上記電池集合体が内部に収容されるケース体と、上記電池集合体を積層方向に拘束する拘束手段とを備える。上記拘束手段は、上記電池集合体の積層方向の両端に配置された一対のエンド部材と、上記ケース体の上記積層方向に沿って延在する所定の部分にて構成され、上記一対のエンド部材を連結する係止部とを含んでいる。
このように構成することにより、電池集合体を拘束する拘束手段をケース体自体で形成することができるため、組付け構造が簡素化するとともに電池集合体の拘束および固定に要する部品の数も大幅に削減することができる。したがって、製造が容易化し、安価に電池パックを製作することが可能になる。
本発明によれば、構造の簡素化が可能でかつ組付け作業が容易な電池パックとすることができる。また、十分な電池集合体の拘束が実現された電池パックとすることができる。
また、本発明によれば、ガスケットの使用箇所を可能な限り少なくすることができ、場合によってはガスケットの使用を廃止することも可能である。その場合にもケース体内部における気密性を十分に確保することができるため、安価にかつ容易に高い冷却性能を備えた電池パックを製作することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電池パックの模式断面図である。また、図2は、図1における電池パックの組付け構造を示す模式分解図である。なお、本実施の形態における電池パック1Aは、電池集合体の内部を冷却風が下方から上方に向かって通過する、いわゆるアップフロー型の冷却構造を有している。
図1は、本発明の実施の形態1における電池パックの模式断面図である。また、図2は、図1における電池パックの組付け構造を示す模式分解図である。なお、本実施の形態における電池パック1Aは、電池集合体の内部を冷却風が下方から上方に向かって通過する、いわゆるアップフロー型の冷却構造を有している。
図1に示す電池パック1Aは、アッパーケース3およびロワーケース4からなるケース体2と、ケース体2の内部に設置された電池集合体10(図2参照)とを主に備える。アッパーケース3は、ケース体2の上部を構成しており、ロワーケース4は、ケース体2の下部を構成している。アッパーケース3とロワーケース4は、互いに組み合わされて端部においてボルト33によって締結されることにより、内部に空間を有する箱状体として形成される。電池集合体10は、複数の電池モジュール11を積層することによって構成されている。個々の電池モジュール11の主表面には凸部12が設けられており、この凸部12によって積層された電池モジュール11の間に冷却風を流通させるための流路の一部が形成されている。電池モジュール11としては、たとえばニッケル−カドミウム電池や、ニッケル−水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池を用いることができる。電池モジュール11はいわゆる角型平板状の外形を有している。なお、電池集合体10は、ロワーケース4の底面に対して所定の角度をもって傾斜して配置されている。
ケース体2の内部空間は、ケース体2の内部に配置された電池集合体10によって区画されている。電池集合体10の上面とアッパーケース3との間には、上部空間5が形成されている。電池集合体10の下面とロワーケース4との間には、下部空間6が形成されている。そして、電池集合体10の両側の側面のそれぞれとアッパーケース3およびロワーケース4の両側の側面のそれぞれとの間には、左右一対の側部空間である右側部空間7aおよび左側部空間7bが形成されている。上部空間5および下部空間6は、上述の電池集合体10の内部に形成された流路を介して連通している。
電池集合体10の上部には、電池モジュール11の内部から排出される水素ガスなどの気体を外部へ排出するための排気端子14が設けられている。上部空間5には、排気端子14に接続され、排気端子14から排出されるガスを電池パック1Aの外部へ導出するための排気ホース20が設置されている。また、電池集合体10の温度を検出するための温度センサ21が電池集合体10の上部表面上に設置されている。なお、電池モジュール11の側面には、電池モジュール11への充放電を行なうための端子13が設けられている。これら端子13は、図示しないバスバーによって接続される。
電池集合体10の側方に位置する右側部空間7aおよび左側部空間7bには、それぞれ吸気用ダクト8aおよび排気用ダクト9aが設置されている。吸気用ダクト8aは、紙面と垂直な方向におけるケース体2の端面に設けられた吸気口8に連通している。また、排気用ダクト9aは、紙面と垂直な方向におけるケース体2の端面に設けられた排気口9と連通している。吸気用ダクト8aは下部空間6と連通しており、排気用ダクト9aは上部空間5と連通している。
以上の構成において、吸気口8から吸気用ダクト8aに流入した冷却風は、吸気用ダクト8aの延在方向に沿って流動しつつ下部空間6に流入し、電池集合体10の内部に形成された流路を経由して上部空間5に流入する。この際、電池集合体10に生じた熱を受け取ることにより、電池集合体10を冷却する。上部空間5に流入した冷却後の冷却風は、排気用ダクト9aに流入し、排気用ダクト9aの延在方向に沿って流動して排気用ダクト9aから電池パック1A外部へ排出される。
ここで、吸気用ダクト8a内の空間、上部空間5、積層された電池モジュール11の間に位置する空間、下部空間6および排気用ダクト9a内の空間は、ケース体2内部において冷却風が流通する流路を形成する流路形成領域に相当する。一方、右側部空間7aおよび左側部空間7bのうち、吸気用ダクト8aおよび排気用ダクト9aが配置された空間以外の空間は、ケース体2内部において冷却風が流通する流路を形成しない非流路形成領域に相当する。
図2に示すように、電池集合体10の積層方向における両端にはエンド部材としてのエンドプレート15が配置されている。これら電池集合体10の積層方向の両端に配置されたエンドプレート15は、電池集合体10の側面に取付けられるブラケット26,27によって連結される。また、ブラケット26,27は、電池集合体10を保持した状態で、ケース体2のロワーケース4に対して固定される。ブラケット26,27としては、電池集合体10を安定的に支持できるように金属等の強度に優れた材料を用いることが好ましい。また、より好ましくは、電池モジュール11に生じる熱をロワーケース4に放熱できるように、熱伝導性に優れた材料とする。
より詳細には、図1および図2に示すように、各電池モジュール11の両側面の下部には突出部11aが設けられており、電池モジュール11を積層することによってこれら突出部11aが電池集合体10の両側面において連ねられて突条部となる。また、一対のエンドプレート15の両側面の下部にも同様に突出部15aが設けられており、積層後において上記突条部に連なることになる。一方、ブラケット26,27は、電池集合体10の両側面に沿って延在する形状を有しており、上記突条部を係止可能な係止部26a,27aと、ケース体2のロワーケース4に固定可能な固定部26b,27bとをそれぞれ備えている。
エンドプレート15の突出部15aにはボルト孔が設けられており、ブラケット26,27を介在させた状態にてボルト34が取付けられることにより、エンドプレート15がブラケット26,27によって連結される。これにより、個々の電池モジュール11が積層された状態で束ねられることになり、電池集合体10の積層方向において電池集合体10が拘束されることになる。また、このとき、電池集合体10の両側面に形成された突条部にブラケット26,27に設けられた係止部26a,27aがそれぞれ係止する。これにより、個々の電池モジュール11がブラケット26,27に挟持されることになり、個々の電池モジュール11が一括して保持されることになる。したがって、電池集合体10が、ブラケット26,27よって電池集合体10の積層方向と交差する方向において拘束されることになる。
ブラケット26,27の固定部26b,27bおよびロワーケース4の所定位置にはボルト通し用の穴が設けられており、これらボルト通し用の穴にボルト35が取付けられることにより、ブラケット26,27がロワーケース4に固定される。
以上により、電池集合体10がブラケット26,27によってケース体2に固定されることになる。
以上において説明した如くの組付け構造を採用することにより、従来別々に構成されていた、電池集合体10を拘束する拘束手段と、拘束手段によって拘束された電池集合体10をケース体2のロワーケース4に取付けるための固定手段とを、ブラケット26,27にて共有化させることができるため、組付け構造が簡素化するとともに電池集合体10の拘束および固定に要する部品の数も大幅に削減することができる。したがって、製造が容易化し、安価に電池パックを製作することが可能になる。
また、エンドプレート15およびブラケット26,27によって電池集合体10が積層方向に拘束されるのみならず、一対のブラケット26,27によって電池集合体10が積層方向と交差する方向において拘束されるようになる。このため、電池モジュール11の膨張に伴う変形が、簡素な構成の拘束手段によってより確実に抑制できるようになる。また、一対のブラケット26,27によってすべての電池モジュール11を一括してケース体2のロワーケース4に固定できるため、安価にかつ容易に電池パックを製作することができる。
なお、上述の本実施の形態における電池パック1Aにおいては、ブラケット26,27とケース体2のロワーケース4とがボルト35によって固定されているが、当該ボルト35によってさらに電池パック1Aが載置される載置対象(たとえば自動車のフロア等)に対してケース体2が固定されるように構成してもよい。このように構成した場合には、さらなる部品点数の削減が可能になる。
図1に示すように、本実施の形態における電池パック1Aにおいては、吸気口8から吸気用ダクト8a内に流入した冷却風を下部空間6に導入する必要がある。したがって、本実施の形態における電池パック1Aにおいては、この吸気用ダクト8aと下部空間6との境界部分は、流路形成領域に相当する。しかしながら、この吸気用ダクト8aと下部空間6との境界部分には、電池集合体10を支持するためブラケット27が配置されている。ブラケット27を、単に板状部材をプレスして折り曲げるだけの加工で成形した場合には、この境界部分において冷却風の流通する流路が遮蔽されてしまうことになる。そこで、本実施の形態における電池パック1Aにおいては、上記ブラケット27に連通孔27cを設けることにより、ブラケット27の両側に位置する空間を連通させることによって冷却風の流路が遮蔽されないように構成している。
ここで、ブラケット27に設けられる連通孔27cとしては、電池集合体10を支持するための強度が損なわれない範囲内で可能な限り大きくする。このようにすることにより、冷却風が流通する流路の断面積を大きく確保した上に電池集合体10の安定した支持が実現されるようになる。
一方、排気用ダクト9aが配置された左側部空間7bと下部空間6との境界部分は、下部空間6を流通する冷却風が左側部空間7bに漏れでないように気密に構成する必要がある。すなわち、この左側部空間7bと下部空間6との境界部分は、流路形成領域と非流路形成領域との境界部に相当する。このため、本実施の形態における電池パック1Aにあっては、この左側部空間7bと下部空間6との境界部分にブラケット26が配置されるように構成することにより、ブラケット26によって左側部空間7bと下部空間6とが気密に維持されている。これにより、信頼性に劣るガスケットをこの境界部において使用する必要がなくなるため、当該部分においてガスケットの使用を廃止することができる。したがって、構造が簡素化することによって安価にかつ容易に製造ができるようになるとともに、高信頼性の電池パックとすることができる。
図3は、図1に示した電池パックを含む電池システムを用いた自動車のブロック図である。図3を参照して、本発明に基づく電池パックを含む電池システムを適用した自動車100は、制御部101と、本実施の形態における電池パック1Aを含む電池部102と、駆動部103とを備える。制御部101は電池部102および駆動部103を制御する。駆動部103は、電池部102から供給される電流によって駆動するモータなどの電動機以外に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を含んでいてもよい。すなわち、自動車100には、電池部102から供給される電流によって駆動するモータなどの電動機のみを駆動源とする電気自動車のみでなく、駆動源としてガソリンエンジンなどの電動機以外の駆動手段を備えた、いわゆるハイブリッドカーも含まれる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における電池パックの模式断面図である。なお、上述の実施の形態1における電池パック1Aと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図4は、本発明の実施の形態2における電池パックの模式断面図である。なお、上述の実施の形態1における電池パック1Aと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図4に示すように、本実施の形態における電池パック1Bにおいては、上述の実施の形態1における電池パック1Aと異なり、左右一対のブラケット26,27のうち、右側に位置するブラケット27が、ケース体2のアッパーケース3に固定されている。より具体的には、電池モジュール11の両側面に形成される突出部11aのうち、右側面に形成される突出部が、電池モジュール11の右側面の上部に設けられている。そのため、電池集合体10の右側面に形成される突条部も電池集合体10の右側面上部に形成される。そして、ブラケット27は、この電池集合体10の右側面の上部に形成された突条部を係止部27aによって係止する。また、ブラケット27の固定部27bおよびアッパーケース3の所定位置にはボルト通し用の穴が設けられており、これらボルト通し用の穴にボルト35が取付けられることにより、ブラケット27がアッパーケース3に固定されている。
このように構成した場合には、上述の実施の形態1において説明した効果に加え、アッパーケース3と電池集合体10および電池集合体10とロワーケース4がブラケット26,27によって固定されるようになり、電池パック1B全体としての強度が向上し、耐振動性に優れた電池パックとすることができる。また、ブラケット26,27を金属等の熱伝導率の高い材料にて形成することにより、ブラケット26,27を介して電池集合体10に生じる熱をアッパーケース3とロワーケース4の両方に放熱させることができるため、放熱性に優れた電池パックとすることができる。
さらに、上部空間5と右側部空間7aとの境界部における気密性の維持をブラケット27にて実現できるため、信頼性に劣るガスケットをこの境界部において使用する必要がなくなり、当該部分においてガスケットの使用を廃止することができる。したがって、構造が簡素化することによって安価にかつ容易に製造ができるようになるとともに、高信頼性の電池パックとすることができる。
図5は、本実施の形態における電池パックの変形例を示す模式断面図である。図5に示すように、本変形例における電池パック1Cにあっては、上述の電池パック1Cの構造において、左側部空間7bに設けられていた排気用ダクト9aを廃止した構成を有している。このように、排気用ダクト9aは必ずしも必要な構成部品ではなく、電池パックの仕様等によっては廃止することも可能である。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における電池パックの組付け構造を示す模式分解図である。なお、上述の実施の形態1における電池パック1Aと同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図6は、本発明の実施の形態3における電池パックの組付け構造を示す模式分解図である。なお、上述の実施の形態1における電池パック1Aと同様の部分については、図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図6に示すように、本実施の形態における電池パック1Dにおいては、電池集合体10がブラケット26,27で挟持されることによって拘束されるほかに、拘束ベルト38によって積層方向において拘束されている。このように拘束ベルト38を用いて補完的に電池集合体10の略中央部を拘束することにより、さらに膨張による変形の生じ難い電池集合体を備えた電池パックとすることができるため、高性能の冷却機構を備えた高信頼性の電池パックとすることができる。
なお、電池集合体10の拘束は主にブラケット26,27で行なわれるため、この拘束ベルト38は補完的なものである。ブラケット26,27を用いて電池集合体10を拘束した場合であっても、電池集合体10の幅が長い場合には、電池集合体10の幅方向における略中央部を補完的に拘束することが好ましい。しかしながら、ブラケット26,27を用いて電池集合体10を拘束している限りにおいて、必ずしも上述の従来例における拘束パイプ16を用いた拘束手段の如くの強固な拘束は必要ではなく、ベルト状の金属部材によって電池集合体を巻き回す程度の比較的簡素な構成の拘束手段で足りる。したがって、この場合にも、従来に比して安価に電池パックを製作することが可能である。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4における電池パックの模式断面図である。なお、上述の実施の形態2における電池パック1Bと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図7は、本発明の実施の形態4における電池パックの模式断面図である。なお、上述の実施の形態2における電池パック1Bと同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
図7に示すように、本実施の形態における電池パック1Eは、上述の実施の形態2における電池パック1Bと異なり、左右一対のブラケット26,27を、ケース体2のアッパーケース3自体およびロワーケース4自体の一部を折り曲げることによって形成したものである。より具体的には、アッパーケース3の所定部分を折り曲げることにより、電池集合体10の右側面の上部に設けられた突条部を係止可能な係止部3aを形成するとともに、ロワーケース4の所定部分を折り曲げることにより、電池集合体10の左側面の下部に設けられた突条部を係止可能な係止部4aを形成し、これら突条部をケース体2に設けられた係止部3a,4aで直接挟み込んで保持することにより、電池集合体10がアッパーケース3とロワーケース4とによって拘束・固定されている。
このように構成することにより、別途ブラケットを用いることなく、ケース体自体で電池集合体を拘束・固定することができるようになるため、さらなる構成の簡素化と製造コストの削減が可能になる。
上述の実施の形態1ないし4においては、アップフロー型の冷却構造を備えた電池パックを例示して説明を行なったが、本発明はダウンフロー型の冷却構造を備えた電池パックにも当然に適用が可能である。
また、ブラケットの形状や材質についても上述の実施の形態1ないし4において用いたブラケットの形状や材質に限定されるものではなく、種々の形状や材質に変更可能である。
また、上述の実施の形態1ないし4においては、積層された電池モジュールの間に冷却風を流通させるための流路の一部を、個々の電池モジュールの主表面に設けた凸部によって形成した場合を例示して説明を行なったが、特にこのような態様に限定されるものではなく、電池モジュールとは別の部材を積層される電池モジュール間に介在させて冷却風を流通させるための流路の一部を形成するように構成してもよい。
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A〜1G 電池パック、2 ケース体、3 アッパーケース、3a 係止部、4 ロワーケース、4a 係止部、5 上部空間、6 下部空間、7a 右側部空間、7b 左側部空間、8 吸気口、8a 吸気用ダクト、9 排気口、9a 排気用ダクト、10 電池集合体、11 電池モジュール、11a 突出部、12 凸部、13 端子、14 排気端子、15 エンドプレート、15a 突出部、16 拘束パイプ、20 排気ホース、21 温度センサ、23 ガスケット、26,27 ブラケット、26a,27a 係止部、26b,27b 固定部、27c 連通孔、31〜35 ボルト、38 拘束ベルト、100 自動車、101 制御部、102 電池部、103 駆動部。
Claims (8)
- 電池セルまたは電池モジュールを複数積層することによって構成された電池集合体と、
前記電池集合体を内部に収容するケース体と、
前記電池集合体を積層方向に拘束する拘束手段とを備え、
前記拘束手段は、前記電池集合体の積層方向の両端に配置された一対のエンド部材と、前記積層方向に沿って延在して設けられ、前記一対のエンド部材を連結するブラケットとを含み、
前記ブラケットが、前記ケース体に対して固定されている、電池パック。 - 前記ブラケットが、個々の前記電池セルまたは前記電池モジュールを保持している、請求項1に記載の電池パック。
- 前記電池セルまたは前記電池モジュールのそれぞれは、前記積層方向と交差する方向に位置する両側面に突出部を有し、
前記電池集合体は、前記突出部が前記積層方向に連ねられることによって形成された突条部を両側面に有し、
前記ブラケットは、前記電池集合体の前記両側面に沿って延在するように一対配置され、
前記一対のブラケットのそれぞれは、前記積層方向に沿って延びかつ前記突条部を係止する係止部を有し、
前記一対の係止部により、前記電池集合体が挟み込まれて保持されることにより、前記積層方向と交差する方向において前記電池集合体が拘束されている、請求項2に記載の電池パック。 - 前記ケース体は、上部に位置するアッパーケースと、下部に位置するロワーケースとによって形成され、
前記一対のブラケットのうち、一方のブラケットは前記ロワーケースに固定され、他方のブラケットは前記アッパーケースに固定されている、請求項3に記載の電池パック。 - 前記ブラケットと前記ケース体とがボルトによって固定され、前記ボルトによってさらに前記ケース体が当該電池パックが載置される載置対象に対して固定されている、請求項1から4のいずれかに記載の電池パック。
- 前記ケース体内部の空間は、冷却風が流通する流路を形成する流路形成領域と、前記流路を形成しない非流路形成領域とを含み、
前記流路形成領域と前記非流路形成領域との境界部に配置された前記ブラケットにより、前記流路形成領域と前記非流路形成領域とが気密に維持されている、請求項1から5のいずれかに記載の電池パック。 - 前記ケース体内部の空間は、冷却風が流通する流路を形成する流路形成領域と、前記流路を形成しない非流路形成領域とを含み、
前記流路形成領域内に配置された前記ブラケットによって前記流路が遮蔽されないように、前記ブラケットに連通孔が設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の電池パック。 - 電池セルまたは電池モジュールを複数積層することによって構成された電池集合体と、
前記電池集合体が内部に収容されるケース体と、
前記電池集合体を積層方向に拘束する拘束手段とを備え、
前記拘束手段は、前記電池集合体の積層方向の両端に配置された一対のエンド部材と、前記ケース体の前記積層方向に沿って延在する所定の部分にて構成され、前記一対のエンド部材を連結する係止部とを含む、電池パック。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070531 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20081224 |