JP2006070188A - コークス炉及びコークス炉炭化室上部のカーボン付着抑制方法 - Google Patents

コークス炉及びコークス炉炭化室上部のカーボン付着抑制方法 Download PDF

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Hoshiyo Koyanagi
保章 小柳
Hisashi Ueda
尚 上田
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Abstract

【課題】 燃焼室上部の温度を制御できる新たな構造のコークス炉を提供する。
【解決手段】 炉体の下部に蓄熱室があり、その上部に燃焼室と炭化室とが交互に配列され、炭化室で乾留されたコークスを炉体のPS(プッシャサイド)からCS(コークサイド)に向かって押し出すコークス炉において、燃焼室の上方に、炉長方向(炉体のPSからCSに向かってコークスを押し出す方向)に伸び、且つ炉体のPS及びCSに開口する水平フリューを設け、前記水平フリューと前記燃焼室の上部とを分岐道で接続し、前記水平フリューの端部に前記水平フリュー内に冷却気体を導入する気体注入装置を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、石炭を炭化室で乾留するコークス炉に関し、特に炭化室上部にカーボンが付着するのを抑制できるコークス炉に関する。
コークス炉は石炭を乾留する炭化室、燃料ガスを燃焼させる燃焼室、燃焼排ガスの予熱を利用するための蓄熱室及び蓄熱室下部のソーリュフリューと、を備える。燃焼室は多数の垂直フリュー(加熱炎道)に細分されている。
炉の加熱には発熱量の高いコークス炉ガス(富ガス)、発熱量の低い高炉ガス又はコークス炉ガスと高炉ガスとの混合ガス(貧ガス)を使用する。富ガス加熱の場合は蓄熱室では空気だけを予熱し、富ガスは蓄熱室を通らないで各垂直フリューに供給される。貧ガス加熱の場合は、空気と貧ガスが蓄熱室下部のソールフリューを経てそれぞれ別の蓄熱室で予熱されて垂直フリューに入る。垂直フリュー内で貧ガスと空気が会合して燃焼し、燃焼排ガスはさらに別の蓄熱室に引落とされ、蓄熱室内の蓄熱煉瓦を加熱してソールフリューを経て煙道にぬける。コークス炉では予熱、蓄熱を繰り返し、熱効率を高めるために20〜30分ごとにガスの流れの方向を転換させている。
炭化室の上部は石炭が装入されない空間となっていて、石炭の乾留中にこの上部空間を乾留ガスが抜け出る。炭化室の上部空間の温度は以下の(1)〜(4)の要因で決まるといわれている。(1)燃焼室内の上部温度、(2)燃焼室の寸法、高さ、形状、(3)装入炭の性状(揮発分)、(4)装入炭量(高さ)。
従来から炭化室の上部空間の温度は750〜800℃が最適と言われている。通常の操業においては、(2)、(3)及び(4)は変更できず、コッパース式コークス炉のみが燃焼室上部の構造に調整機能があり、(1)燃焼室内の上部温度が調整可能であった。
図5は、特許文献1に記載されたコッパース式コークス炉の燃焼室の炉長方向に沿った断面を示す。この図7には、富ガス又は貧ガスによって加熱されるいわゆる複式炉が図示されている。
富ガス加熱の場合、富ガスは交互に富ガスノズル1又は2を介して上向きに導く垂直フリュー3に供給される。燃焼用空気は蓄熱室を経由して流出開口5,6,7を介して同様に上向きに導く垂直フリュー3内に供給される。燃焼室はヘアピンフリューを採用しており、2つの隣接する垂直フリュー3及び3aはその上部で結合されている。二連垂直フリュー3及び3aの一方は他方の垂直フリューと交互に、富ガス及び空気を上向きに導きながら燃焼させるか又は排ガスを下向きに排出させる。
貧ガス加熱の場合、高炉ガス及びコークス炉ガスからの貧ガスは、蓄熱室で予熱された後、垂直フリュー底部の流出開口7を介して供給される。燃焼用空気は蓄熱室を経由して流出開口5,6を介して同様に上向きに導く垂直フリュー3内に供給される。上向きに導く垂直フリュー3内で生ずる排ガスは上側で連絡壁の開口を介して下向きに導く隣接する垂直フリュー3aに越流し、この垂直フリュー3a内の開口5及び中空連絡通路8並びに底部開口6,7を介してかつ蓄熱室を介して排出される。
燃焼室の上部には、炭化室の上部空間の温度を調整するために補助炎道9が設けられる。補助炎道9と燃焼室の天井とを分ける隔壁10には、燃焼室と補助炎道9とを連通する開口10aが設けられ、この隔壁10は一対の風量調整ダンパ4(スライド煉瓦)で開閉可能に塞がれる。人がフックを用いて点検孔10bから風量調整ダンパ4を完全にあるいは部分的に開けることによって、燃焼ガスが補助炎道に流れ、炭化室上部の温度が調整される。
特表平4−501876号公報
炭化室上部の温度が高すぎると炭化室上部にカーボンが析出・付着するので、石炭を装入する装炭作業ができなくなったり、石炭を平らに均すレベリング作業ができなくなったりする。付着したカーボンを除去しようとすると、人力で落とさなければならず、それによって煉瓦を損傷してしまう。
コッパース式コークス炉のみが、燃焼室の上部が2段構造になっていて、補助炎道へのガス導入量を調整することにより、燃焼室上部の温度を適正に制御でき、ひいては炭化室上部の温度を適正に制御できる。しかし補助炎道へのガス導入量を調整するために風量調整ダンパを閉めると、点検孔から燃焼室内の観察ができなくなるという欠点があった。
そこで本発明は、燃焼室上部の温度を制御できる新たな構造のコークス炉及びコークス炉炭化室上部のカーボン付着抑制方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、炉体の下部に蓄熱室があり、その上部に燃焼室と炭化室とが交互に配列されていて、炭化室で乾留されたコークスを炉体のPS(プッシャサイド)からCS(コークサイド)に向かって押し出すコークス炉において、燃焼室の上方又は上部に、炉長方向(炉体のPSからCSに向かってコークスを押し出す方向)に伸び、且つ炉体のPS及び/又はCSに開口する水平フリューを設け、前記水平フリューの端部に前記水平フリュー内に冷却気体を導入する気体注入装置を設けることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコークス炉において、前記水平フリューと前記燃焼室の上部とを分岐道で接続することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のコークス炉において、一つの前記燃焼室に対して二列の前記水平フリューを、前記燃焼室両側の前記炭化室の間に設けることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3いずれかに記載のコークス炉において、前記気体注入装置を、前記水平フリューのCSの端部のみに設けることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4に記載のコークス炉を用い、前記気体注入装置からの冷却気体を前記水平フリューに導入することによって、前記燃焼室上部の温度を制御することを特徴とするコークス炉炭化室上部のカーボン付着抑制方法である。
請求項1の発明によれば、気体注入装置から水平フリューに冷却空気を導入することで、燃焼室上部の温度を適正に制御することができる。
請求項2の発明によれば、燃焼室上部の温度を効果的に低減することができる。
請求項3の発明によれば、燃焼室の両側の炭化室上部を均等に冷却することができる。
CSの方がPSに比べて燃焼室の温度が高い(炭化室の幅がCS>PSなのでその分高くなる)ので、請求項4の発明のように、CSに冷たい空気を投入する方が温度バランスが良好になる。
図1及び図2は本発明の一実施形態におけるコークス炉を示す。図1はコークス炉の炉体の炉長方向(炉体のPS(プッシャサイド)からCS(コークサイド)に向かってコークスを押し出す方向)に沿った断面形状を示し、炭化室11の断面と燃焼室12の断面の双方が示されている。勿論実際には炭化室11と燃焼室12とは図1の奥行き方向で位置がずれている。図2は炉長方向と直交する炉体の断面形状を示し、炭化室11と燃焼室12が交互に配置されている。なおこの図2では、炭化室11及び燃焼室12の数は実際よりも少なく示されている。
コークス炉の炉体の下部には蓄熱室があり、その上部には燃焼室12と炭化室11とが交互に配列されている。炭化室11は例えば長さ12〜16m、高さ4〜7m、幅400〜800mm、石炭装入量12〜50t程度の大きさを有する。コークスの押出を容易にするために、コークガイド車のあるCSの炭化室の幅が押出し機のあるPSよりも広い。炭化室11の加熱の際には幅の広いCSと幅の狭いPSの炉壁温度に差がつけられる。
燃焼室12は、多数の垂直フリュー(加熱炎道)に細分されていて、この実施形態では交互に配列されている燃焼フリュー13と引落しフリュー13aとで一つの燃焼室が構成される。このような燃焼室12は双子炎道式(ヘアピン式)と呼ばれる。
炉の加熱には発熱量の高いコークス炉ガス(富ガス)、発熱量の低い高炉ガス又はコークス炉ガス(貧ガス)と高炉ガスとの混合ガスを使用する。富ガス加熱の場合は蓄熱室では空気だけを予熱し、富ガスは蓄熱室を通らないで流出開口20を介して各フリュー13,13aに供給される。
貧ガス加熱の場合は、空気と貧ガスが蓄熱室下部のソールフリューを経てそれぞれ別の蓄熱室で予熱された後、流出開口14,15,16を介して燃焼フリュー13に入る。貧ガスは燃焼フリュー底部の流出開口14を介して燃焼フリュー13内に導かれ、空気はフリュー底部の流出開口15を介して、かつ中空連絡通路17及び上側の流出開口16を介して燃焼フリュー13内に導かれる。燃焼フリュー13内では貧ガスと空気が会合して燃焼する。より詳しくは貧ガスは空気用の下側の流出開口15が設けられる燃焼フリューの底部で一次燃焼した後、上側の流出開口16が設けられている部分で二次燃焼し、燃焼フリュー13を上昇する(図3も参照)。炉長方向におけるガスと空気の分配調整は、例えば蓄熱室下部に設けた調整板(ノズルプレート)により調整される。
燃焼フリュー13内で生ずる排ガスは上側の連絡通路18を経由して、排ガスを下向きに導く引落しフリュー13aに流れる。燃焼排ガスはさらに流出開口14,15,16を介して別の蓄熱室に引落とされ、蓄熱室内の蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱室下部のソールフリューを経て煙道にぬける。コークス炉では予熱、蓄熱を繰り返し、熱効率を高めるために20〜30分ごとに13,13aを切替えてガスの流れの方向を転換させている。このことはガスの切替と呼ばれる。
燃焼室12の温度を熱電対で測定し、この測定値に基づいてソールフリューへの燃料ガスの供給量を操作し、燃焼室全体の温度を制御する。また炉長方向における各燃焼室12の温度を点検孔26から光学的な温度測定装置で測定し、この測定値に基づいて各燃焼室12のガスと空気の分配調整を行い、炭化室の炉長方向の温度勾配を調整する。
燃焼フリュー13と引落としフリュー13aとを分ける隔壁の底部には、サーキュレーション開口19が開けられる。燃焼排ガスはこのサーキュレーション開口19から燃焼フリュー13内に再流入する。図3に示されるように、空気用の流出開口15及び16を2段に設けることによる2段燃焼と、この燃焼排ガスの循環により、燃焼排ガス中のNOxを低減することができる。
燃焼室12の上部には、炭化室の上部空間の温度を調整するために補助炎道21が設けられる。補助炎道21と燃焼室12の天井とを分ける隔壁22には、燃焼室12と補助炎道21とを連通する開口23が設けられ、この開口23は一対の風量調整ダンパ25(スライド煉瓦、図4参照)で開閉可能に塞がれる。図1に示されるように、人がフックを用いて点検孔26から風量調整ダンパ25を図4(A)に示されるように完全にあるいは部分的に開けることによって、ガスが補助炎道に流れ、炭化室上部の温度が調整される。図4(B)は開口23が風量調整ダンパ25で塞がれた状態を示す。
図1及び図2に示されるように、燃焼室12の上方又は上部(燃焼室12の天井よりも上か又は天井よりも下の燃焼室12の上部)には炉長方向に伸びる水平フリュー27が設けられる。この水平フリュー27は両端がそれぞれ炉体のPS及びCSに開口する。またこの水平フリュー27は一つの燃焼室12に対して二列設けられ、二列の水平フリュー27は燃焼室12両側の炭化室11の間で点検孔26を避けた左右の場所に設けられる(図2参照)。二列の水平フリューは炉体の同じ高さに設けられるのが望ましいが、若干高さを異ならせてもよい。
水平フリュー27の両端部には、水平フリュー27内に燃焼排ガスを導入する気体注入装置としてファン等の空気注入装置31が設けられる。空気注入装置31は水平フリュー27に空気を導入すると共に導入する空気量を調整する。水平フリュー27の中間部は複数個所を燃焼室に分岐道32で接続され、空気注入装置31の燃焼排ガスは燃焼室上部に排出される。空気注入装置31はコークス炉の燃焼時間と同じタイミングで燃焼し、コークス炉の燃焼を休止する時間は煙道が切り替わるので、空気注入装置31も休止する。
燃焼室12の温度は1200℃〜1300℃である。これに対して、従来から石炭が装入されていない炭化室上部33の温度は750℃〜800℃が最適といわれている。炭化室上部33の温度が高すぎると炭化室上部にカーボンが析出・付着する。
本実施形態のように空気注入装置から冷却空気を水平フリュー27に導入することで、燃焼室上部の温度を適正に制御でき、ひいては炭化室上部33の温度を適正に制御して温度が高くなるのを防止することができる。具体的には炭化室上部33の温度が例えば800℃より高い場合には、冷却空気を水平フリュー27及び燃焼室上部に導入し、燃焼室上部の温度を下げ、炭化室上部33の温度を下げる。水平フリュー27を設けることで、補助炎道の風量調整ダンパ25を開けた燃焼室内の観察が可能な状態で、燃焼室上部の温度を制御することが可能になる。
また、一つの燃焼室12に二列の水平フリュー27を設けることで、燃焼室12の両側の炭化室上部33を均等に冷却することができる。さらに水平フリュー27の両端部に空気注入装置31を設けることで、冷却空気による水平フリュー27内の温度を長手方向で略均等にすることができる。
なお図示しないが、炭化室上部33に熱電対等の温度測定装置を設置し、この温度測定装置の測定値に基づいて空気注入装置31が水平フリュー27に導入する空気量を遠隔操作し、炭化室上部33の温度を自動的に制御してもよい。この他にも装入炭性状、装入量に合わせて空気注入装置31が水平フリュー27に導入する空気量を遠隔操作し、炭化室上部33の温度を制御してもよい。
本実施形態は本発明の要旨を変更しないで種々変更可能である。例えば本発明の水平フリューは2段補助炎道を有さない多段燃焼式のカールスティル式コークス炉、オットー式のコークス炉に適用可能である。またヘアピン方式でないゾーン方式のカールスティル式コークス炉、オットー式コークス炉にも適用可能である。
また水平フリューは炉体のPS及びCSのどちらか一方のみに開口してもよいし、空気注入装置は炉体のPS及びCSのどちらか一方のみに設けられてもよい。空気注入装置を炉体のPS及びCSのどちらか一方のみに設けた場合、燃焼室に空気を導くことなく、気体注入装置を設けていない水平フリューの端部から空気を排出してもよい。さらに水平フリューに空気の替わりに窒素等の気体を導入してもよい。
本発明の一実施形態におけるコークス炉の炉体の炉長方向に沿った断面図。 炉長方向と直交する炉体の断面図。 燃焼室内の2段燃焼と排ガス循環を示す概略図。 補助炎道内の風量調整ダンパを示す斜視図(図中(A)はダンパを開けた状態を示し、図中(B)はダンパを閉めた状態を示す)。 従来のコッパース式コークス炉を示す断面図。
符号の説明
11…炭化室
12…燃焼室
27…水平フリュー
31…気体注入装置(空気注入装置)
32…分岐道
33…炭化室上部

Claims (5)

  1. 炉体の下部に蓄熱室があり、その上部に燃焼室と炭化室とが交互に配列されていて、炭化室で乾留されたコークスを炉体のPS(プッシャサイド)からCS(コークサイド)に向かって押し出すコークス炉において、
    燃焼室の上方又は上部に、炉長方向(炉体のPSからCSに向かってコークスを押し出す方向)に伸び、且つ炉体のPS及び/又はCSに開口する水平フリューを設け、
    前記水平フリューの端部に前記水平フリュー内に冷却気体を導入する気体注入装置を設けることを特徴とするコークス炉。
  2. 前記水平フリューと前記燃焼室の上部とを分岐道で接続することを特徴とする請求項1に記載のコークス炉。
  3. 一つの前記燃焼室に対して二列の前記水平フリューを、前記燃焼室両側の前記炭化室の間に設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉。
  4. 前記気体注入装置を、前記水平フリューのCSの端部のみに設けることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のコークス炉。
  5. 請求項1ないし4に記載のコークス炉を用い、
    前記気体注入装置からの冷却気体を前記水平フリューに導入することによって、前記燃焼室上部の温度を制御することを特徴とするコークス炉炭化室上部のカーボン付着抑制方法。
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CN107815516A (zh) * 2017-12-15 2018-03-20 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 一种用于生产直接还原铁的外热式煤基直立炉
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