JP2005083203A - 制御軸の回動範囲規制機構 - Google Patents

制御軸の回動範囲規制機構 Download PDF

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Abstract

【課題】 過大なトルクを出力しかつ過大な反力を受ける制御軸への適用が可能であり、かつアクチュエータの動作不能に陥ることなしに、アクチュエータの小型化、構造の簡素化および低消費電力の達成が可能な制御軸の回動範囲規制機構を提供する。
【解決手段】 制御軸15の回動範囲の一端は制御軸15の第1当接平面81とシリンダブロック3の第1平面75との当接により規制され、制御軸15の回動範囲の他端は制御軸15の第2当接平面83とシリンダブロック3の第2平面77との当接により規制されると共に、制御軸15の回動範囲は油圧アクチュエータの揺動回動範囲内に設定されている。
【選択図】 図6

Description

この発明は、回動方向に負荷を受ける制御軸の回動範囲規制機構に関するものである。
特許文献1は、内燃機関(以下、エンジンという)の給気バルブおよび/または排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置を開示している。このバルブタイミング調整装置は、いわゆる揺動回動型の油圧アクチュエータと呼ばれるもので、エンジンの運転状況に応じて開閉タイミングを変える場合に、駆動軸であるクランク軸に対して、吸気バルブおよび/または排気バルブを備えた従動軸(制御軸)を進角側または遅角側へ回動するための油圧室を備えている。油圧室は、上記クランク軸と共に回動するベーン部材と上記制御軸と共に回動するハウジング部材との間に形成されており、ハウジング部材とベーン部材との相対回動範囲はハウジング部材の当接部とベーン部材の被当接部との当接により規制されている。このため、従来の制御軸の回動範囲規制機構は、ハウジング部材の当接部とベーン部材の被当接部との当接に依存している。
また、上記バルブタイミング調整装置では、通常の運転中においては、ハウジング部材の当接部とベーン部材の被当接部とが当接しないようにハウジング部材とベーン部材との相対回動位置がその中間位置に保持されるように制御されるが、運転状況によっては運転中に上記当接が発生することも想定して両当接部位にある程度の衝撃力が加わっても損傷しないように設計されている。
特許第3033582号公報(請求項1、図2)
従来の制御軸の回動範囲規制機構は上述のような構成を有しているので、以下のような課題があった。すなわち、ハウジング部材の当接部とベーン部材の被当接部との当接に依存する従来の制御軸の回動範囲規制機構では、両当接部位に対し想定以上の衝撃力が加わった場合には、両当接部位が破損して油圧アクチュエータの動作不能となり、制御軸の回動を制御できないという事態に陥る可能性がある。また、このような油圧アクチュエータを、バルブタイミング調整装置以上に過大なトルクを回動方向に出力しかつ同様に過大な反力を受ける、例えば近年開発された可変圧縮比機構における制御軸に適用する場合には、大きな衝撃力を受けるために当接部位を大型化する必要が生じる。当接部位の大型化は、油圧アクチュエータ自体の大型化および構造の複雑化を招き、これに伴い大型の油圧アクチュエータの動作に必要な消費電力の増大をも招くという課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、過大なトルクを出力しかつ過大な反力を受ける制御軸への適用が可能であり、かつアクチュエータの動作不能に陥ることなしに、アクチュエータの小型化、構造の簡素化および低消費電力の達成が可能な制御軸の回動範囲規制機構を得ることを目的とする。
この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構は、回動方向に負荷を受ける制御軸に設けられた第1の当接部および第2の当接部と、前記制御軸を回動可能に支持する支持体に設けられかつ前記第1の当接部の当接を受ける第1の被当接部および前記第2の当接部の当接を受ける第2の被当接部とを備え、前記制御軸の回動範囲の一端を前記第1の当接部と前記第1の被当接部との当接により規制しかつ前記制御軸の回動範囲の他端を前記第2の当接部と前記第2の被当接部との当接により規制すると共に、前記制御軸の回動範囲は前記制御軸の回動を制御するアクチュエータの揺動回動範囲内に設定するように構成したものである。
この発明によれば、回動方向に負荷を受ける制御軸に設けられた第1の当接部および第2の当接部と、前記制御軸を回動可能に支持する支持体に設けられかつ前記第1の当接部の当接を受ける第1の被当接部および前記第2の当接部の当接を受ける第2の被当接部とを備え、前記制御軸の回動範囲の一端を前記第1の当接部と前記第1の被当接部との当接により規制しかつ前記制御軸の回動範囲の他端を前記第2の当接部と前記第2の被当接部との当接により規制すると共に、前記制御軸の回動範囲は前記制御軸の回動を制御するアクチュエータの揺動回動範囲内に設定するように構成したので、制御軸が過大な負荷を受けた場合でも、第1の当接部と第1の被当接部との当接または第2の当接部と第2の被当接部との当接によりアクチュエータ内の部材間の当接を回避することができるという効果がある。すなわち、制御軸の回動範囲の両端において発生する衝撃力をアクチュエータ側で受けることがないことから、アクチュエータが動作不能に陥ることを回避することができ、アクチュエータの耐久性を向上させることができるという効果がある。このため、アクチュエータ側に大きな衝撃力を受けるための大型の当接部位を設ける必要がないため、アクチュエータの小型化および構造の簡素化を図ることができ、これに伴いアクチュエータの動作に必要な消費電力を低減させることができるという効果がある。
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は可変圧縮比機構を備えたエンジンの外部構成を示す概略側断面図であり、図2は図1のII−II線断面図であって図1に示したエンジンの可変圧縮比機構の内部構成を示す図であり、図3は図1および図2に示した可変圧縮比機構に用いられた油圧アクチュエータを含む油路構成の回路図であり、図4は図3のIV−IV線断面図であって図3に示した油圧アクチュエータの内部構成を示す図であり、図5は図4のV−V線断面図であって中間位置に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図であり、図6は図4のVI−VI線断面図であって油圧アクチュエータが中間位置に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図であり、図7は図4のVII−VII線断面図であって最大圧縮比側に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図であり、図8は図4のVIII−VIII線断面図であって油圧アクチュエータが最大圧縮比側に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図であり、図9は図4のIX−IX線断面図であって最小圧縮比側に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図であり、図10は図4のX−X線断面図であって油圧アクチュエータが最小圧縮比側に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図である。
この実施の形態1は、従来のバルブタイミング調整装置よりも回動方向への負荷が大きい制御軸を有する可変圧縮比機構への適用例である。エンジン1は、図1に示すように、シリンダブロック(支持体)3を備えている。シリンダブロック3は、図2に示すようにシリンダブロック3の下部を構成するホルダ部3aとシリンダブロック3の上部を構成する複数(図1では4つ)のシリンダ部3bとから概略構成されている。シリンダブロック3のシリンダ部3bの内部にはそれぞれピストン5が摺動可能に配設されている。各ピストン5はピストンピン5aを有している。このようなシリンダブロック3の上部にはシリンダヘッド7が固定されている。
シリンダブロック3のホルダ部3a内には、シリンダ部3b毎にクランク軸9に偏心して設けられたクランクピン9aに回転可能に取り付けられたロアリンク11が配設されている。ロアリンク11は、このロアリンク11の一部に支持された第1連結ピン11aと他部に支持された第2連結ピン11bとを備えている。また、上記ホルダ部3a内には、ピストンピン5aと第1連結ピン11aとを連係するアッパリンク13が配設されている。上記ホルダ部3aの下側には、クランク軸9と平行でかつホルダ部3aに回動可能に支持された制御軸15が配設されている。制御軸15にはこの制御軸15に偏心する偏心カム15aが設けられている。また、上記ホルダ部3aの下側には、第2連結ピン11bと偏心カム15aとを連係する制御リンク17が設けられている。上記ロアリンク11とアッパリンク13と制御軸15と制御リンク17と後述の油圧アクチュエータは、エンジン1のノッキングを防止するため、エンジン1の負荷が小さいときに圧縮比を高くし、エンジン1の負荷が大きいときに圧縮比を低くする可変圧縮比機構を構成している。
制御軸15の一端側には、制御軸15の回動を制御するロータリーベーン式の油圧アクチュエータ(アクチュエータ)19が配設されており、この油圧アクチュエータ19の外側には上記ホルダ部3aに制御軸15の回動範囲を規制するストッパ機構(回動範囲規制機構)21が設けられている。
油圧アクチュエータ19は、圧縮比を変更する際に制御軸15を所定の回動範囲で回動駆動するための油圧を油圧回路23から受けている。油圧回路23は、図3に示すように、エンジン1のオイルパンまたは外部タンクからなる作動油収容手段25と、この作動油収容手段25と油圧アクチュエータ19とを接続する第1配管27および第2配管29と、第1配管27上に設けられかつ作動油収容手段25からの作動油を加圧する油圧ポンプ31と、衝撃や異常状態によって発生した過剰な油圧を第1配管27から第2配管29へ逃がすリリーフバルブ33と、作動油が油圧ポンプ31へ逆流することを防止するチェックバルブ35と、作動油を濾過してコンタミネーションを防止する油圧フィルタ37と、第1配管27中の油圧を検出する油圧センサ39と、第1配管27および第2配管29を介して油圧アクチュエータ19に対して油圧を給排する油圧制御バルブ41と、油圧ポンプ31を駆動する電動モータ43と、ECU(図示せず。エンジンコントロールユニット)から入力される信号により油圧制御バルブ41および電動モータ43を制御するコントローラ45と、制御軸15の回動位置を検出して検出信号をコントローラ45に出力する位置センサ47と、上記コントローラ45等の機器に電力を供給する電源49とから概略構成されている。
油圧アクチュエータ19は、図4および図5に示すように、制御軸15に例えばキー結合等の手段により固定されて制御軸15と一体に回動するロータ51と、シリンダブロック3のホルダ部3aにボルト等の締結部材53で固定されたハウジング55と、上記ロータ51を所定の回動範囲に回動可能に収容するケース57と、このケース57および上記ロータ51のシリンダブロック3から離れた側の開口部を閉塞するカバー59と、このカバー59および上記ケース57を上記ハウジング55に締結固定する締結部材61とから概略構成されている。
ロータ51は、図5に示すように、制御軸15と同心で制御軸15に一体に設けられたボス部63と、このボス部63の外周面63aから径方向外方へ延在する一対のベーン部65とから概略構成されている。ボス部63の中央部には、制御軸15の挿通を許す孔63bが設けられている。図4に示すように、ハウジング55の中央部には上記制御軸15の挿通を許す孔55aが設けられており、ハウジング55の周縁部には締結部材53を受け入れる複数のねじ孔55bが設けられている。ケース57は、断面環状の本体部67と、この本体部67の内周面67aから径方向内方へ延在する一対のシュー部69とから概略構成されている。また、本体部67の周縁部には、締結部材61を受け入れる複数のねじ孔67bが設けられている。カバー59は略円盤状の部材であり、その周縁部には締結部材61を受け入れるねじ孔59aが設けられている。
ロータ51の一対のベーン部65とケース57の一対のシュー部69との間には、制御軸15を矢印X1方向(図5では時計方向)に回動して低圧縮比へ変更するための第1油圧室(圧力室)71と、制御軸15を矢印Y1方向(図5では反時計方向)に回動して高圧縮比へ変更するための第2油圧室(圧力室)73とが区画されている。第1油圧室71には、第1配管27と接続する第1ポート71aおよび第2ポート71bが形成されており、第2油圧室73には、第2配管29と接続する第3ポート73aおよび第4ポート73bが形成されている。
ストッパ機構21は、上述したように、制御軸15の回動範囲を規制する回動範囲規制機構を構成するものであり、図6に示すように、シリンダブロック3に設けられた第1平面(第1の被当接部)75および第2平面(第2の被当接部)77と、制御軸15に一体に設けられた略扇状の回動部材79の外側に設けられた第1当接平面(第1の当接部)81および第2当接平面(第2の当接部)83とから概略構成されている。シリンダブロック3の第1平面75および第2平面77は、制御軸15の近傍に離間して制御軸15に直交する方向に形成されており、上記回動部材79の要(かなめ)部分79aの逃げとしての凹み85を介して互いに実質的に面一となるように構成されている。第1当接平面81および第2当接平面83は制御軸15を挟みかつ要部分79aから上記第1平面75および第2平面77に対して制御軸の回動角度を残して開くように構成されている。なお、制御軸15に一体に設けられた回動部材79は、切削加工等の手段により制御軸15と一体化した状態で形成されるが、必要な機械強度を発揮する、例えばキー結合等の手段により制御軸15に固定されてもよい。
第1当接平面81は、図9および図10に示すように、制御軸15および回動部材79が矢印X1方向に回動したときに第1平面75に当接可能であり、第2当接平面83は、図7および図8に示すように、制御軸15および回動部材79が矢印Y1方向に回動したときに第2平面77に当接可能である。第1当接平面81と第2当接平面83との開き角Aは、油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との開き角をBとすると、第1平面75と第2平面77との開き角が実質的に180°であるから、(180°−A)<Bという関係式を満たし、かつ第1当接平面81と第1平面75との当接時および第2当接平面83と第2平面77との当接時にはロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69とが当接せずに、必ず離間するように各平面が位置決めされている。換言すれば、制御軸15の回動範囲は油圧アクチュエータ19の揺動回動範囲内に設定されている。
次に動作について説明する。
まず、コントローラ45に対して、油圧アクチュエータ19へ供給されている油圧が油圧センサ39から入力され、制御軸15の回動位置、すなわち実際の圧縮比が位置センサ47から入力された状態で、ECU(図示せず)から圧縮比の変更の指令がコントローラ45に入力されると、コントローラ45は油圧制御バルブ41を制御して油圧アクチュエータ19を作動させる。この際に、圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更する場合には、図2に示すように、ロータ51が矢印X1方向に回動する。これにより制御軸15もロータ51と同方向に回動し、制御軸15の偏心カム15aが制御リンク17を矢印X2方向に駆動し、ロアリンク11を矢印X3方向に回動させ、ピストン5の上死点を矢印X4方向へ移動させて圧縮比を低下させる。この低圧縮比に制御された状態で、エンジン1の運転状況によってピストン5が過大な負荷を受けた場合には、その過大な負荷により制御軸15が矢印X1方向にさらに回動する可能性がある。このとき、図10に示すように、制御軸15に一体に設けられた回動部材79の第1当接平面81がシリンダブロック3の第1平面75に当接することで、図9に示すように、油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との当接が回避される。
また、圧縮比を低圧縮比から高圧縮比に変更する場合には、図2に示すように、ロータ51が矢印Y1方向に回動する。これにより制御軸15もロータ51と同方向に回動し、制御軸15の偏心カム15aが制御リンク17を矢印Y2方向に駆動し、ロアリンク11を矢印Y3方向に回動させ、ピストン5の上死点を矢印Y4方向へ移動させて圧縮比を上昇させる。この高圧縮比に制御された状態で、エンジン1の運転状況によってピストン5が過大な負荷を受けた場合には、その過大な負荷により制御軸15が矢印Y1方向にさらに回動する可能性がある。このとき、図8に示すように、制御軸15に一体に設けられた回動部材79の第2当接平面83がシリンダブロック3の第2平面77に当接することで、図7に示すように、油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との当接が回避される。
以上のように、この実施の形態1によれば、回動方向(矢印X1方向またはY1方向)に負荷を受ける制御軸15に第1当接平面(第1の当接部)81および第2当接平面(第2の当接部)83を設け、制御軸15を回動可能に支持するシリンダブロック(支持体)3に第1当接平面81の当接を受ける第1平面(第1の被当接部)75および第2当接平面83の当接を受ける第2平面(第2の被当接部)77を設け、制御軸15の回動範囲の一端を第1当接平面81と第1平面75との当接により規制しかつ制御軸15の回動範囲の他端を第2当接平面83と第2平面77との当接により規制すると共に、制御軸15の回動範囲を制御軸15の回動を制御する油圧アクチュエータ19の揺動回動範囲内に設定するように構成したので、制御軸15がその回動方向に過大な負荷を受けた場合でも、第1当接平面81と第1平面75との当接または第2当接平面83と第2平面77との当接により油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との当接を回避することができるという効果がある。すなわち、制御軸15の回動範囲の両端において発生する衝撃力を油圧アクチュエータ19側で受けることがないことから、油圧アクチュエータ19が動作不能に陥ることを回避することができ、油圧アクチュエータ19の耐久性を向上させることができるという効果がある。このため、油圧アクチュエータ19側に大きな衝撃力を受けるための大型の当接部位を設ける必要がないため、油圧アクチュエータ19の小型化および構造の簡素化を図ることができ、これに伴い油圧アクチュエータ19の動作に必要な消費電力を低減させることができるという効果がある。また、油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との当接を回避しているため、制御軸15から過大入力が加わり最回動した場合の直後のアクチュエータ19の再作動レスポンスもベーン油圧室71または73への油圧通路71a,71bまたは73a,73bがベーン部65により塞がれる事がない為向上させられる。
この実施の形態1によれば、ストッパ機構21の第1当接平面81および第2当接平面83を油圧アクチュエータ19の外側近傍の制御軸15上に設けるように構成したので、油圧アクチュエータ19内に当接部位を設ける場合よりも高い剛性を当接部位に持たせることができ、これにより制御軸15の回動位置等の精度も従来と比べて出し易いという効果がある。また、第1当接平面81および第2当接平面83を油圧アクチュエータ19の近傍に設けるように構成したので、制御リンク17とストッパ機構21との距離を可能な限り短くすることで、捻り剛性に有利となり、油圧アクチュエータ19および制御軸15の耐久性を向上させることができるという効果がある。また、この実施の形態1によれば、ストッパ機構21を油圧アクチュエータ19の外側に設けるように構成したので、仮に油圧アクチュエータ19が動作不能状態に陥っても、ストッパ機構21により制御軸15の回動可能範囲を規制できることから、フェールセーフを確保することができるという効果がある。
この実施の形態1によれば、第1平面75および第2平面77を制御軸15から離間させかつ互いに実質的に面一となるように構成し、第1当接平面81および第2当接平面83を制御軸15に一体に設けられた略扇状の回動部材79の要部分79aから第1平面75および第2平面77に対して制御軸15の回動角度を残して開くように構成したので、ケース57のシュー部69とロータ51のベーン部65とが当接する場合よりも大きな当接面積で制御軸15の回動範囲を精確に規定できることから、油圧アクチュエータ19のエンジン1への組込みバラツキ等に関係なく、エンジン1の圧縮比の上限および下限の精度を向上させることができるという効果がある。また、この実施の形態1によれば、第1平面75および第2平面77を互いに実質的に面一となるように構成したので、シリンダブロック3に対して第1平面75および第2平面77を容易に加工することができるという効果がある。
この実施の形態1によれば、シリンダブロック3に固定されかつ径方向内方へ延びるシュー部69を有するケース57と、このケース57内に配設されると共に径方向外方へ延びるベーン部65を有しかつ制御軸15に固定されたロータ51と、このロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との間に形成された油圧室71および73とを備えた油圧アクチュエータ19において、制御軸15の回動範囲の一端においては第1当接平面81と第1平面75とが当接しかつ制御軸15の回動範囲の他端においては第2当接平面83と第2平面77とが当接する際に、ケース57のシュー部69とロータ51のベーン部65とを離間させるように構成したので、制御軸15がその回動方向に過大な負荷を受けた場合でも、ケース57のシュー部69とロータ51のベーン部65との当接による破損を確実に回避でき、油圧アクチュエータ19の耐久性を向上させることができるという効果がある。また、この実施の形態1によれば、当接部位としてのストッパ機構21を油圧アクチュエータ19外のエンジン1側に設けるように構成したので、当接部位を油圧アクチュエータ19内に設ける場合に生じる構成部品の複雑化およびアクチュエータ特性への悪影響を解消することができると共に、アクチュエータの構造として構成し易い要素、例えばハウジング、ケース、カバーおよびロータ等に分割して構成することが可能となることから、油圧アクチュエータ19からの油漏れ特性等の基本性能を向上させることができ、消費エネルギの低減を図ることができるという効果がある。
実施の形態2.
図11は油圧アクチュエータが中間保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態2を示す断面図である。なお、この実施の形態2の構成要素のうち、実施の形態1の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。
この実施の形態2の特徴は、ストッパ機構21を、制御軸15に一体に設けられた回動部材87の外側に互いに平行に形成された形成された第1当接平面81および第2当接平面83と、これら第1当接平面81および第2当接平面83に対して制御軸15の回動角度を残して開く第1平面75および第2平面77とから構成した点にある。すなわち、この実施の形態2では、第1平面75と第2平面77との開き角Cを、実施の形態1における第1当接平面81と第2当接平面83との開き角Aと同様に、油圧アクチュエータ19のロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69との開き角をBとすると、第1当接平面75と第2平面77との開き角が実質的に180°であるから、(180°−C)<Bという関係式を満たし、かつ第1当接平面81と第1平面75との当接時および第2当接平面83と第2平面77との当接時にはロータ51のベーン部65とケース57のシュー部69とが当接せずに、必ず離間するように各平面が位置決めされている。換言すれば、制御軸15の回動範囲は油圧アクチュエータ19の揺動回動範囲内に設定されている。また、この実施の形態2における第1平面75および第2平面77は、実施の形態1の場合よりも長く形成されて第1当接平面81および第2当接平面83との当接面積が大きく設定されており、その分、実施の形態1の場合よりも大きな剛性を付与することが可能である。
以上のように、この実施の形態2によれば、ストッパ機構21を、制御軸15に一体に設けられた回動部材87の外側に互いに平行に形成された形成された第1当接平面81および第2当接平面83と、これら第1当接平面81および第2当接平面83に対して制御軸15の回動角度を残して開く第1平面75および第2平面77とから構成したので、実施の形態1よりも当接面積を大きく設定でき、それだけ、ストッパ機構21の剛性の向上を図ることができるという効果がある。
なお、この実施の形態1では、エンジンの可変圧縮比機構の制御軸への適用例を説明したが、この発明は当該適用例に限定されることなく、回動方向に負荷を受ける制御軸であれば、如何なる構造の制御軸に対しても適用可能である。
可変圧縮比機構を備えたエンジンの外部構成を示す概略側断面図である。 図1のII−II線断面図であって図1に示したエンジンの可変圧縮比機構の内部構成を示す図である。 図1および図2に示した可変圧縮比機構に用いられた油圧アクチュエータを含む油路構成の回路図である。 図3のIV−IV線断面図であって図3に示した油圧アクチュエータの内部構成を示す図である。 図4のV−V線断面図であって中間位置に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図である。 図4のVI−VI線断面図であって油圧アクチュエータが中間位置に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図である。 図4のVII−VII線断面図であって最大圧縮比側に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図である。 図4のVIII−VIII線断面図であって油圧アクチュエータが最大圧縮比側に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図である。 図4のIX−IX線断面図であって最小圧縮比側に保持された油圧アクチュエータの内部構成を示す図である。 図4のX−X線断面図であって油圧アクチュエータが最小圧縮比側に保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態1を示す図である。 油圧アクチュエータが中間保持された状態における、この発明に係る制御軸の回動範囲規制機構の実施の形態2を示す断面図である。
符号の説明
1 エンジン、3 シリンダブロック(支持体)、3a ホルダ部、3b シリンダ部、5 ピストン、5a ピストンピン、7 シリンダヘッド、9 クランク軸、9a クランクピン、11 ロアリンク、11a 第1連結ピン、11b 第2連結ピン、13 アッパリンク、15 制御軸、15a 偏心カム、17 制御リンク、19 油圧アクチュエータ、21 ストッパ機構(制御軸の回動範囲規制機構)、23 油圧回路、25 作動油収容手段、27 第1配管、29 第2配管、31 油圧ポンプ、33 リリーフバルブ、35 チェックバルブ、37 油圧フィルタ、39 油圧センサ、41 油圧制御バルブ、43 電動モータ、45 コントローラ、47 位置センサ、49 電源、51 ロータ、53 締結部材、55 ハウジング、55a 孔、55b ねじ孔、57 ケース、59 カバー、59a ねじ孔、61 締結部材、63 ボス部、63a 外周面、63b 孔、65 ベーン部、67 本体部、67a 内周面、67b ねじ孔、69 シュー部、71 第1油圧室(圧力室)、73 第2油圧室(圧力室)、75 第1平面(第1の被当接部)、77 第2平面(第2の被当接部)、79 回動部材、79a 要部分、81 第1当接平面(第1の当接部)、83 第2当接平面(第2の当接部)、85 凹み、87 回動部材。

Claims (6)

  1. 回動方向に負荷を受ける制御軸に設けられた第1の当接部および第2の当接部と、前記制御軸を回動可能に支持する支持体に設けられかつ前記第1の当接部の当接を受ける第1の被当接部および前記第2の当接部の当接を受ける第2の被当接部とを備え、前記制御軸の回動範囲の一端は前記第1の当接部と前記第1の被当接部との当接により規制されかつ前記制御軸の回動範囲の他端は前記第2の当接部と前記第2の被当接部との当接により規制されると共に、前記制御軸の回動範囲は前記制御軸の回動を制御するアクチュエータの揺動回動範囲内に設定された制御軸の回動範囲規制機構。
  2. 第1の当接部および第2の当接部はアクチュエータ外側近傍の制御軸上に設けられたことを特徴とする請求項1記載の制御軸の回動範囲規制機構。
  3. 第1の被当接部および第2の被当接部は制御軸から離間しかつ互いに実質的に面一となる2つの平面で構成され、第1の当接部および第2の当接部は前記制御軸に一体に設けられた略扇状の回動部材の要部分から前記第1の被当接部および前記第2の被当接部に対して前記制御軸の回動角度を残して開く2つの平面で構成されたことを特徴とする請求項2記載の制御軸の回動範囲規制機構。
  4. 第1の当接部および第2の当接部は制御軸に一体に設けられた回動部材の外側に互いに平行に形成された2つの平面で構成され、第1の被当接部および第2の被当接部は前記第1の当接部および前記第2の当接部に対して前記制御軸の回動角度を残して開く2つの平面で構成されたことを特徴とする請求項2記載の制御軸の回動範囲規制機構。
  5. アクチュエータは、支持体に固定されかつ径方向内方へ延びるシューを有するケースと、該ケース内に配設されると共に径方向外方へ延びるベーンを有しかつ制御軸に固定されたロータと、該ロータのベーンと前記ケースのシューとの間に形成された圧力室とを備え、前記制御軸の回動範囲の一端においては第1の当接部と第1の被当接部とが当接しかつ前記制御軸の回動範囲の他端においては第2の当接部と第2の被当接部とが当接する際に、前記ケースのシューと前記ロータのベーンとが離間するように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の制御軸の回動範囲規制機構。
  6. アクチュエータはマルチリンク式可変圧縮比機構の制御軸に用いることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の回動範囲規制機構。
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