JP2004354346A - 測定装置 - Google Patents

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龍治 澤田
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Abstract

【課題】統計解析値取得用の光路と顕微鏡観察像取得用の光路をそれぞれ独立に最適化でき、且つ統計解析値と顕微鏡観察像を同時に取得することもできる測定装置を提供する。
【解決手段】試料5からの蛍光の強度を検出し光強度値を出力する光検出装置6、光検出装置6より検出される光強度値を統計解析する統計解析装置7、試料5の顕微鏡観察像を取得する顕微鏡像測定装置9を具備し、試料5から統計解析装置7までの統計解析値取得用光路と顕微鏡観察像を取得するための顕微鏡像取得用光路をそれぞれ独立して設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の特定部位に関する測定信号を統計解析する測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、試料の特定部位に関する測定信号を統計解析する測定装置には、例えば蛍光を利用して測定を行なう蛍光相関分光法を用いたものが知られている。
【0003】
この方法を用いた蛍光相関分光装置については、例えば、非特許文献1、非特許文献2および特許文献1などで論じられている。
【0004】
このような蛍光相関分光装置は、例えば光源装置、分光装置、集光装置、試料保持装置、光検出装置および統計解析装置から構成されている。
【0005】
このような構成において光源装置から励起光が発せられると、励起光は、分光装置、集光装置を経由して試料に照射され、試料より蛍光を発生させる。また、試料からの蛍光は、集光装置および分光装置を経由して光検出装置に入射し、光検出装置から蛍光の強度を示す光強度値を出力させる。そして、この光強度値を統計解析装置に入力し、統計解析を行ない、光強度統計解析値として出力するようにしている。
【0006】
従来では、このようにして試料からの蛍光強度の統計解析がなされているが、さらに蛍光相関解析では、粒子の蛍光強度のゆらぎを測定し、この結果を解析して自己相関関数を求め、この自己相関関数から対象とする粒子の拡散時間、濃度、大きさなどを推測するようにしている。
【0007】
ところで、このような測定装置は、顕微鏡と組み合わせて用いられ、試料上の統計解析値の測定位置などの精度を高めるようにしている。つまり、実際に統計解析値を求める測定を行う場合、試料の特定の位置に測定点を配置する必要があることがある。例えば、試料として細胞を用いた場合、この細胞の核の中心部を測定することがある。このような場合、最初に試料を統計解析値測定用光路上に大まかに設定して視野の中心に統計解析値の測定点を固定し、この状態から、顕微鏡観察用光路に切り替え、顕微鏡像を見ながら試料を移動させて視野の中心に細胞の核が来るように調整し、この状態から再度、統計解析値測定用の光路に切り替えて、統計解析値の測定を行なうようにしていた。
【0008】
【特許文献1】
特表平11−502608号公報
【0009】
【非特許文献1】
「”Fluorescence correlation spectroscopy”R.Rigler,E.S.Elson(eds.)Springer(Berlin)」
【0010】
【非特許文献2】
金城政孝「蛋白質核酸酵素」(1999)Vol44,No.9,P1431−1437
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置では、試料の特定位置の統計解析値を測定しようとすると、極めて煩わしい手順を踏まなくてはならないため、作業効率が極めて悪くなるという問題を生じる。
【0012】
また、従来の装置では、統計解析値の測定と顕微鏡観察では、それぞれの光路を切り替える必要があるため、統計解析値を測定している途中で顕微鏡像を観察することができない。このため、統計解析値の測定途中で試料が動くなどして試料中の意図した位置が測定点が外れてしまっても、このことを知ることができず、この間の統計解析値の測定が不正確になってしまい、精度の高い統計解析値の測定ができないという問題もあった。
【0013】
さらに、統計解析値取得用の光路と顕微鏡像取得用の光路が重なり合っているため、この重なり部分では、統計解析値取得用に最適化するか、顕微鏡像取得用に最適化するか、あるいはそれらの妥協点を採るかの選択になるため、統計解析値および顕微鏡像のどちらか一方の精度を、ある程度あきらめざるを得ないという問題もあった。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、統計解析値取得用の光路と顕微鏡観察像取得用の光路をそれぞれ独立に最適化でき、且つ統計解析値と顕微鏡観察像を同時に取得することもできる測定装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、試料の特定部位に関する測定信号を光学的に検出する光学的検出手段と、前記光学的検出手段より検出される測定値を統計解析する統計解析手段と、前記試料の顕微鏡観察像を取得する顕微鏡観察像取得手段と、を具備し、前記試料から前記統計解析手段までの統計解析値取得用光路と前記顕微鏡観察像を取得するための顕微鏡像取得用光路をそれぞれ独立して設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記顕微鏡観察像取得手段は、前記試料像を撮像する撮像手段からなることを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、顕微鏡観察像取得手段は、試料からの蛍光の強度を検出し光強度値を出力する光強度検出手段と、前記試料上での光強度の測定点の位置を移動させるとともに、測定点の位置データを出力する測定点移動手段と、前記測定点移動手段の測定点位置データと前記光強度検出手段からの光強度値に基づいて顕微鏡観察像を生成する顕微鏡観察像生成手段とを具備することを特徴としている。
【0018】
この結果、本発明によれば、試料の特定部位に関する測定信号が光学的検出手段への光路に向かい、他の一部が顕微鏡観察像取得手段の光路に向かう。光学的検出手段からは、特定部位に関する測定値が出力される。統計解析手段では、測定値が解析され、この測定値に基づく統計解析値である光強度統計解析値が出力される。一方、顕微鏡観察像取得手段からは試料の顕微鏡観察像が出力される。この場合、光強度統計解析値と顕微鏡観察像は同時測定が可能である。このとき、試料から統計解析手段までの統計解析値取得用光路と顕微鏡観察像を取得するための顕微鏡像取得用光路がそれぞれ独立していて、これらが重複しない。このため、統計解析値取得用光路と顕微鏡像取得用光路をそれぞれ独立に最適化できる。
【0019】
また、本発明によれば、さらに顕微鏡観察像生成手段では、光強度検出手段からの光強度値と測定点移動手段からの測定点位置データに基づいて走査蛍光像を顕微鏡観察像として生成する。この場合も、試料から統計解析手段までの統計解析値取得用光路と顕微鏡観察像を取得するための顕微鏡像取得用光路がそれぞれ独立していて、これらが重複しない。このため、統計解析値取得用光路と顕微鏡像取得用光路をそれぞれ独立に最適化できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態が適用された測定装置の概略構成を示している。
【0022】
図において、1は光源装置で、この光源装置1には、励起光発生源として、例えば発振波長488mmのアルゴンレーザが用いられている。
【0023】
光源装置1から発せられる光の光路上には、分光装置2が配置されている。この分光装置2には、例えば波長500mm以下の光を反射し、500mm以上の光を透過するダイクロイックミラーが用いられる。
【0024】
分光装置2の反射側光路には、第1の集光装置3および試料保持装置4が配置されている。ここで、第1の集光装置3には、例えば、倍率40倍で開口数1.2の対物レンズが用いられる。試料保持装置4は、顕微鏡用試料ステージで、この試料保持装置4には、試料5が載置されている。
【0025】
分光装置2の透過側光路には、光学的検出手段としての光検出装置6が配置されている。この光検出装置6には、アバランシェフォトダイオードが用いられている。光検出装置6は、分光装置2を介して入射される試料5の特定部位に関する測定信号を光学的に検出するもので、ここでは、試料5からの蛍光を検出し、このときの蛍光の強度に応じた光強度値を出力するようになっている。
【0026】
光検出装置6には、統計解析手段としての統計解析装置7が接続されている。この統計解析装置7は、統計解析を行うための相関関数解析ボードが設けられており、光検出装置6より入力される光強度値を統計解析して統計解析値を求め、この結果を外部に出力するようにしている。
【0027】
この場合、試料5より光検出装置6を介して統計解析装置7までの光路を統計解析値取得用光路Aとしている。
【0028】
試料保持装置4を挟んで第1の集光装置3に対向する位置には、第2の集光装置8が配置されている。この第2の集光装置8には、例えば、倍率10倍の対物レンズが用いられる。そして、第2の集光装置8を通った光路には、顕微鏡観察像取得手段としての顕微鏡像測定装置9が配置されている。この顕微鏡像測定装置9には、試料像を撮像する撮像手段、例えば、CCDカメラが用いられている。顕微鏡像測定装置9は、第2の集光装置8を介して取得される試料5の顕微鏡観察像を測定するものである。
【0029】
この場合、試料5より第2の集光装置8を介して顕微鏡像測定装置9までの光路を顕微鏡像取得用光路Bとしている。
【0030】
一方、顕微鏡像測定装置9には、メモリ21とモニタ24が接続されている。試料保持装置4には、XYZ駆動装置22が接続されている。これらメモリ21、モニタ24およびXYZ駆動装置22には、CPU23が接続されている。モニタ24には、例えばマウスやタッチパネルなどの入力装置25が接続されている。
【0031】
なお、この実施の形態において、試料5として細胞を観察する場合は、例えば、細胞内部はローダミングリーン色素で、細胞膜は、炭素数18程度のアルキル鎖で修飾されたローダミングリーンで標識したものが用いられる。また、GFPやYFPのような融合蛋白で観察を行なうようにしてもよい。さらに、統計解析値取得用光路Aおよび顕微鏡像取得用光路Bには、不図示のレンズ、ピンホール、ミラー、各種フィルターなどの光学素子が適宜配置されている。また、光検出装置6で蛍光強度を検出のための光学系は、共焦点光学系であることが望ましい。
【0032】
次に、このように構成した実施の形態を説明する。
【0033】
光源装置1から励起光が出射されると、この励起光は、分光装置2で反射し、第1の集光装置3を透過して試料5に照射される。試料5は、励起光の照射により励起され蛍光を発する。試料5より発せられた蛍光は、第1の集光装置3を透過し、分光装置2を透過して光検出装置6に入射される。
【0034】
光検出装置6は、入射される蛍光の強度に対応した光強度値を出力する。この光強度値は、統計解析装置7に送られる。
【0035】
統計解析装置7は、相関関数解析ボードにより光強度値を統計解析して光強度統計解析値を求め、この統計解析値を外部に出力する。
【0036】
一方、第2の集光装置8を介して試料5の顕微鏡観察像が取り出され、顕微鏡像測定装置9で測定される。そして、顕微鏡像測定装置9で測定された試料5の顕微鏡観察像は、モニタ24に表示される。
【0037】
このようにすれば、試料5から光検出装置6を介して統計解析装置7までの統計解析値取得用光路Aと、試料5より第2の集光装置8を介して顕微鏡像測定装置9までの顕微鏡像取得用光路Bを全く重複しないように、それぞれを独立して形成することができるので、これら統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bをそれぞれ独立に最適化することができる。
【0038】
このことは、例えば、蛍光相関測定の場合は、第1の集光装置3として開口径の大きなものが要求される。このため、倍率も大きなものとなるが、この第1の集光装置3は、第2の集光装置8より独立しているので、第2の集光装置8は、第1の集光装置3による何らの制限を受けない。これにより、例えば、第2の集光装置8に倍率の小さな対物レンズを用いて顕微鏡像測定装置9により顕微鏡観察像を取得するようにすれば、試料5を広範囲に観察することが可能である。
【0039】
次に、顕微鏡の観察と光強度統計解析値の測定を関連させて行なう場合を説明する。まず、顕微鏡像取得用光路Bで試料5の観察画像を取得してモニタ24に表示する。ここで、試料保持装置4上の試料5の位置とモニタ24上の試料画面の位置を目盛り21に記憶する。次に、入力装置25によってモニタ24上の試料5について測定したい点を1個所指定する。指定されたモニタ24上の位置情報は、メモリ21内の情報とともにCPU23で管理され、XYZ駆動装置22を制御する。これにより、試料保持装置4は、XYZ方向に移動されるが、第1の集光装置3による焦点位置と入力装置25で指定された測定点とが一致したところで停止する。そして、統計解析値取得用光路Aにより測定点での光検出が行われる。ここで、指定した測定点が2以上の場合は、統計解析値取得用光路Aでの光検出が順次、各測定点で行われるように、光検出装置6による光検出と試料保持装置4による測定点の位置合わせが連携するようにCPU23が制御する。
【0040】
その後、統計解析装置7の解析値は、CPU23を経てメモリ21からの位置情報及び/又は画像情報をと一緒にモニタ24に表示される。
【0041】
このようにすれば、顕微鏡の観察と光強度統計解析値の測定を関連させて行なうことができる。また、このような場合であっても、第1の集光装置3で集められた蛍光の全てを光検出装置6に導くことができ、同時に、第2の集光装置8で集められた蛍光の全てを顕微鏡観察像として顕微鏡像測定装置9に導くことができるので、これらの測定時、特に、光強度統計解析値の測定に十分な光量を確保することができ、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0042】
ここで、具体例として、試料5が細胞であり、細胞膜の流動性を測定するような場合を取り上げる。この場合、試料5の蛍光像(顕微鏡観察像)を第2の集光装置8を介して顕微鏡像測定装置9により取得し、この蛍光像から細胞膜の位置を確認する。そして、この確認した位置について第1の集光装置3を介して光検出装置6によ蛍光の強度を検出し、統計解析装置7を用いて蛍光相関測定を行うようにする。この場合、蛍光相関の測定点には励起光が集光し、測定点からの強い蛍光や散乱光が発生するので、顕微鏡像測定装置9より取得される蛍光像から該当する測定点の位置を簡単に確認できる。そして、この蛍光像より細胞膜の位置および蛍光相関の測定点の位置を確認しながら、細胞膜の流動性を求めることができる。
【0043】
また、顕微鏡像測定装置9より取得される顕微鏡観察像により光強度統計解析値を取得するための励起光の焦点位置が分かることから、統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bとの心合わせも簡単に行なうことができる。
【0044】
さらに、統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bとはそれぞれ独立しているため、両光路の角度や位置を様々に設定することができる。これにより、例えば、顕微鏡像取得用光路Bへの光源装置1からの光の入射量を調節することもできる。
【0045】
なお、上述した実施の形態の構成は、各種の変形、変更が可能である。例えば、顕微鏡像取得用光路Bに顕微鏡観察像撮影のための照明を付け加えても良い。あるいは、試料5が十分な蛍光を発する場合は、光源装置1および分光装置2を省略することができる。また、複数の励起光学系や複数の検出光学系で構成したり、検出された信号を様々に処理したりすれば、さらに特殊な効果を期待できる。
【0046】
以上述べたように、第1の実施の形態によれば、光強度統計解析値と顕微鏡観察像とは同時測定が可能で、しかも、試料5から光検出装置6までの統計解析値取得用光路Aと試料5から顕微鏡像測定装置9までの顕微鏡像取得用光路Bが全く重複しないようにでき、これら統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bをそれぞれ独立に最適化することができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0048】
図2は、第2の実施の形態の概略構成を示すもので、図1と同一部分には、同符号を付している。
【0049】
この場合、顕微鏡観察像取得手段は、以下のように構成している。
【0050】
図において、10は、第2の光源装置で、この光源装置10にも、励起光発生源として、例えば発振波長488mmのアルゴンレーザが用いられている。
【0051】
光源装置10からの光路上には、第2の分光装置11が配置されている。この分光装置11にも、例えば波長500mm以下の光を反射し、500mm以上の光を透過するダイクロイックミラーが用いられる。
【0052】
分光装置11の反射光路には、測定点移動手段としての第2の測定点移動装置12、第1の実施の形態で述べた第2の集光装置8および試料保持装置4が配置されている。第2の測定点移動装置12は、試料5上での光強度の測定点の位置を移動(走査)するとともに、測定点の位置データを出力するもので、例えばガルバノスキャナーが用いられる。
【0053】
分光装置11の透過光路には、光強度検出手段として、第2の光検出装置13が配置されている。この光検出装置13には、光電子増倍管が用いられる。光検出装置13は、分光装置11を介して入射される試料5からの蛍光を検出し、このときの蛍光の強度を示す光強度値c2を出力するようになっている。
【0054】
光検出装置13には、顕微鏡観察像生成手段として画像処理装置14が接続されている。また、画像処理装置14には、第2の測定点移動装置12が接続されている。
【0055】
画像処理装置14には、パーソナルコンピューターが用いられている。画像処理装置14は、第2の測定点移動装置12の測定点位置データと光検出装置13からの光強度値に基づいて、顕微鏡観察像として走査蛍光像を生成するようになっている。
【0056】
一方、第1の集光装置3と分光装置2との間には、第1の測定点移動装置31が接続されている。
【0057】
画像処理装置14には、モニタ33が接続されている。また、モニタ33、第1の測定点移動装置31および第2の測定点移動装置12には、CPU32が接続されている。モニタ33には、例えばマウスやタッチパネルなどの入力装置34が接続されている。
【0058】
この場合も、試料5より光検出装置6を介して統計解析装置7までの光路を統計解析値取得用光路Aとし、また、試料5より第2の測定点移動装置12、光検出装置13を介して画像処理装置14までの光路を顕微鏡像取得用光路Bとしている。
【0059】
なお、この実施の形態についても、試料5として細胞を観察する場合は、例えば、細胞内部はローダミングリーン色素で、細胞膜は、炭素数18程度のアルキル鎖で修飾されたローダミングリーンで標識したものが用いられる。また、統計解析値測定用光路などの各光路には、レンズ、ピンホール、ミラー、各種フィルター等の光学素子が適宜配置されている。
【0060】
その他は、図1と同様である。
【0061】
次に、このように構成した実施の形態を説明する。
【0062】
この場合、光源装置1から励起光a1が出射されると、この励起光a1は、分光装置2で反射し、第1の集光装置3を透過して試料5に照射される。試料5は、励起光の照射により励起され蛍光b1を発する。試料5より発せられた蛍光b1は、第1の集光装置3を通り、分光装置2を透過して光検出装置6に入射される。
【0063】
光検出装置6は、入射される蛍光b1の強度に対応した光強度値c1を出力する。この光強度値は、統計解析装置7に送られる。
【0064】
統計解析装置7は、相関関数解析ボードにより光強度値を統計解析して光強度統計解析値を求め、この統計解析値を外部に出力する。
【0065】
一方、光源装置10から励起光a2が出射されると、この励起光a2は、分光装置11で反射し、第2の集光装置8を透過して試料5に照射される。試料5は、励起光a2の照射により励起され蛍光b2を発する。試料5より発せられた蛍光b2は、第2の集光装置8を透過し、分光装置11を透過して光検出装置13に入射される。光検出装置13は、蛍光の強度に対応した光強度値c2を出力する。
【0066】
この場合、第2の測定点移動装置12により、試料5上での測定位置が移動(走査)される。そして、この移動された各位置での蛍光の強度が光検出装置13で検出され、それぞれに対応した光強度値c2が出力される。
【0067】
これにより、画像処理装置14は、第2の測定点移動装置12の測定点位置データと光検出装置13からの光強度値c2に基づいて、顕微鏡観察像として走査蛍光像を生成して出力する。
【0068】
このようにしても、試料5から光検出装置6までの統計解析値測定用光路と試料5から光検出装置13までの走査蛍光像観察用光路を全く重複しないように構成することができ、これら統計解析値測定用光路と走査蛍光像観察用光路をそれぞれ独立に最適化することができる。
【0069】
このことは、例えば、蛍光相関測定の場合は、第1の集光装置3として開口径の大きなものが要求される。このため、倍率も大きなものとなるが、この第1の集光装置3は、第2の集光装置8より独立しているので、走査蛍光像観察は、第1の集光装置3による何らの制限を受けない。これにより、例えば、第2の集光装置8に倍率の小さな対物レンズを用いて画像処理装置14で走査蛍光像を取得するようにすれば、試料5を広範囲に観察することが可能である。
【0070】
次に、走査蛍光像の観察と光強度統計解析値の測定を関連させて行なう場合を説明する。まず、顕微鏡像取得用光路Bで第2の測定点移動装置12の測定点位置データに基づいて取得される試料5の走査画像をモニタ33に表示する。次に、入力装置34によってモニタ33上の試料5について測定したい点を1個所指定する。指定されたモニタ33上位置情報は、CPU32で管理され、第1の測定点移動装置31を制御する。これにより、第1の集光装置3による焦点位置が指定された測定点に移動され、統計解析値取得用光路Aにより測定点での光検出が行われる。
【0071】
このようにすれば、走査蛍光像の観察と光強度統計解析値の測定を関連させて行なうことができる。また、このような場合であっても、第1の集光装置3で集められた蛍光の全てを光検出装置6に導くことができ、同時に、第2の集光装置8で集められた蛍光の全てを光検出装置13に導くことができる。これにより、これらの測定時、特に、光強度統計解析値の測定に十分な光量を確保することができ、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0072】
ここでも、具体例として、試料5が細胞であり、細胞膜の流動性を測定するような場合を取り上げる。この場合、蛍光相関の測定点には励起光が集光し、測定点からの強い蛍光や散乱光が発生するので、画像処理装置14より取得される走査蛍光像から該当する測定点の位置を簡単に確認できる。そして、この走査蛍光像より細胞膜の位置および蛍光相関の測定点の位置を確認しながら、細胞膜の流動性を求めることができる。
【0073】
また、画像処理装置14より取得される走査蛍光像により光強度統計解析値を取得するための励起光の焦点位置が分かることから、統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bとの心合わせも簡単に行なうことができる。
【0074】
さらに、統計解析値取得用光路Aと顕微鏡像取得用光路Bとはそれぞれ独立しているため、両光路の角度や位置を様々に設定することができる。これにより、例えば、顕微鏡像取得用光路Bへの光源装置1からの光の入射量を調節することもできる。
【0075】
なお、上述した実施の形態の構成は、各種の変形、変更が可能である。例えば、統計解析値取得用光路Aの構成要素と顕微鏡像取得用光路Bの構成要素を異なる色素に最適化することは有用である。また、試料5が十分な蛍光を発する場合は、光源装置1および分光装置2を省略することができる。さらに、複数の励起光学系や複数の検出光学系で構成したり、検出された信号を様々に処理したりすれば、さらに特殊な効果を期待できる。
【0076】
以上述べたように、第2の実施の形態によれば、光強度統計解析値と走査蛍光像とは同時測定が可能で、しかも、試料5から光検出装置6までの統計解析値取得用光路Aと試料5から光検出装置13までの顕微鏡像取得用光路Bが全く重複しないようにできるので、これら試料5から光検出装置6を介して統計解析装置7までの統計解析値取得用光路Aと、試料5より第2の測定点移動装置12、光検出装置13を介して画像処理装置14までの顕微鏡像取得用光路Bをそれぞれ独立に最適化することができる。
【0077】
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。
【0078】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0079】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、統計解析値取得用の光路と顕微鏡観察像取得用の光路をそれぞれ独立に最適化でき、且つ統計解析値と顕微鏡観察像を同時に取得することもできる測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構成を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1…光源装置
2…分光装置
3…第1の集光装置
4…試料保持装置
5…試料
6…光検出装置
7…統計解析装置
8…第2の集光装置
9…顕微鏡像測定装置
10…光源装置
11…分光装置
12…第2の測定点移動装置
13…光検出装置
14…画像処理装置
21…メモリ
22…XYZ駆動装置
23…CPU
24…モニタ
25…入力装置
31…第1の測定点移動装置
32…CPU
33…モニタ
34…入力装置
A…統計解析値取得用光路
B…顕微鏡像取得用光路

Claims (3)

  1. 試料の特定部位に関する測定信号を光学的に検出する光学的検出手段と、
    前記光学的検出手段より検出される測定値を統計解析する統計解析手段と、
    前記試料の顕微鏡観察像を取得する顕微鏡観察像取得手段と、を具備し、
    前記試料から前記統計解析手段までの統計解析値取得用光路と前記顕微鏡観察像を取得するための顕微鏡像取得用光路をそれぞれ独立して設けたことを特徴とする測定装置。
  2. 前記顕微鏡観察像取得手段は、前記試料像を撮像する撮像手段からなることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
  3. 顕微鏡観察像取得手段は、
    試料からの蛍光の強度を検出し光強度値を出力する光強度検出手段と、前記試料上での光強度の測定点の位置を移動させるとともに、測定点の位置データを出力する測定点移動手段と、前記測定点移動手段の測定点位置データと前記光強度検出手段からの光強度値に基づいて顕微鏡観察像を生成する顕微鏡観察像生成手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の測定装置。
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